JPH0545592U

JPH0545592U - 時計用文字盤

Info

Publication number: JPH0545592U
Application number: JP9606891U
Authority: JP
Inventors: 亮介名方; 恵介脇坂
Original assignee: 京セラ株式会社
Priority date: 1991-11-22
Filing date: 1991-11-22
Publication date: 1993-06-18

Abstract

(57)【要約】【目的】セラミック部材に彩色を施してもセラミック
部材表面の質感を低下させることはなく、また塗装など
の剥がれを防止でき、さらに紫外線などによる脱色や変
色なども防止できる時計用文字盤を提供する。【効果】基調色を有する薄板状のセラミック部材の裏
面側に彩色を施して成る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、時計用文字盤に関し、特にセラミック部材から成る時計用文字盤に関する。

【０００２】

【従来の技術】

セラミック部材は、耐蝕性、耐候性にすぐれ、また平滑性があって、表面光沢もあることから、従来から時計用文字盤として多く利用されて来た。セラミック部材で形成した時計用文字盤では、文字盤そのものの色調を変える場合、添加する着色顔料を変えることによって素材そのものの色調を変えていた。また、セラミック部材から成る時計用文字盤に２色以上の着色を施す場合、文字盤の表面に塗料を塗布したり、金属膜などを蒸着することにより表現していた。

【０００３】

【考案が解決しようとする問題点】

ところが、時計用文字盤をセラミック部材で形成する場合、色調を単色にするときはセラミック部材の原料に添加する着色顔料を選択して着色すればよいが、２色以上の色調を得たい場合は、塗布、印刷、あるいは蒸着などによって着色しなければならず、その着色した部分はセラミック本来の質感が得られないため、高級感が阻害されるという問題がった。また、表面に印刷などすると、剥がれやすくなるとともに、紫外線による変色なども発生し、短期間で品質が損なわれるという問題があった。

【０００４】一方、単結晶サファイアやガラスなどの透明度の高い素材では、素材の裏面側に彩色を施すことも行われているが、透明度の高い素材は裏面側の彩色がはっきり見え、表面彩色と多少の質感の違いはあれ、ほぼ同様の効果しか得られない。

【０００５】また、サファイアなどは、時計用文字盤として薄く加工しても充分強度はあるがコストが高い。さらに、ガラスはコストは安いものの強度が弱い為に破損し易いなどの問題もあった。

【０００６】

【問題点を解決するための手段】

本考案は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その特徴とするところは、基調色を有する薄板状のセラミック部材の裏面側に彩色を施して成る点にある。

【０００７】

【作用】

上記のように構成することにより、セラミック部材に彩色を施してもセラミック部材表面の質感を低下させることはなく、また塗装などの剥がれを防止でき、さらに紫外線などによる脱色や変色なども防止できる。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案を添付図面に基づき詳細に説明する。

【０００９】図１は、本考案に係る時計用文字盤の断面図であり、１はセラミック部材である。

【００１０】前記セラミック部材１は、例えば酸化アルミニウム（Ａｌ₂Ｏ₃）などを主原料（最終製品中の組成比にして９０重量％以上）として、酸化マグネシウム（ＭｇＯ）や酸化カルシウム（ＣａＯ）などの焼結助剤を少量添加して焼結させたセラミック部材や、酸化イットリウム（Ｙ₂Ｏ₃）、酸化カルシウム（ＣａＯ₂）、あるいは酸化マグネシウム（ＭｇＯ）などの部分安定化剤を少量添加した酸化ジルコニウム（ＺｒＯ₂）などで構成される。これらのセラミック部材は、白色の基調色を呈する。また、これらのセラミック部材に、光の透過率を大きく低下させない程度の着色顔料を添加して基調色を変えてもよい。

【００１１】このようなセラミック部材１は、本来不透明であるが、厚みを薄くすることにより、若干の透光性が出てくる。但し、セラミック部材は、材質、粒径の大小、表面粗度、あるいはボイドの状態などにより透光性が変わる。上述した酸化アルミニウムや酸化ジルコニウムでは、厚みは２ｍｍ以下にすることにより裏塗りの効果が得られるようになる。セラミック部材の光の透過率に影響が最も大きいものは粒界および粒子内の不純物の量と気孔であるが、真空炉などでセラミック部材を焼成することによって気孔をできるだけ減らしたり、気孔径を０．３μｍ以下に制御することによって光の透過率を向上させればよい。また、セラミック部材の表面粗度を上げることにより、セラミック部材の表面での光の乱反射を防止して光の透過率を向上させるようにすればよい。一方、表面粗度をコントロールして光の透過度をコントロールすることにより、所望の外観を得ることもできる。このセラミック部材１の光の透過率が、２０％以下の場合、裏塗りの効果が得られず、また８０％以上の場合、ほとんど透明状態になってガラスなどと同様の効果しか得られないことから、このセラミック部材１は、２０〜８０％の光の透過率を有するように形成することが望ましい。

【００１２】また、このセラミック部材１は、一般には、０．１５ｍｍ程度の厚みに形成される。すなわち、時計用文字盤は、通常０．３ｍｍ程度の厚みに形成されるが、時計用文字盤をセラミック部材などで形成する場合、この文字盤をケースの底面から所定間隔離して維持するための支柱を金属板などに溶接して、この金属板上にセラミック部材１を張りつけるのが一般的であり、このような場合、金属板の厚みを０．１５ｍｍ程度にするとともに、セラミック部材の厚みを０．１５ｍｍ程度にする。なお、セラミック部材の厚みを０．１ｍｍ以下にすることは、技術上の問題から実質上は極めて困難である。すなわち、このようなセラミック部材１は、予め所望厚みよりも厚く形成して、研削などして所望厚みとなるように調整するが、セラミック部材１の厚みが、０．１ｍｍ以下になると研削中に破損する確率が極めて高くなる。したがって、このセラミック部材１は、０．１ｍｍ以上の厚みに形成することが望ましい。

【００１３】前記セラミック部材１の裏面側には、彩色２が施されている。すなわち、有機塗料をシルクスクリーンなどを用いて塗布することにより着色される。この彩色２は、セラミック部材１の表面から視識することができる。なお、彩色２を施す場合は、有機塗料を塗布することに限らず、金属膜などを蒸着させたものであってもよい。このような彩色２によって、時刻表示部などを形成する。なお、時刻表示部やブランドなどを塗料以外のもので形成する場合は、セラミック部材１の表面側に設けてもよい。

【００１４】

【考案の効果】

以上のように、本考案に係る時計用文字盤によれば、基調色を有する薄板状のセラミック部材の裏面側に彩色を施して成ることから、セラミック部材に彩色を施してもセラミック部材表面の質感を低下させることはなく、また塗装などの剥がれを防止でき、さらに紫外線などによる脱色や変色なども防止でき、多種多様の色彩を有する時計用文字盤を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る時計用文字盤の一実施例を示す断
面図である。

【符号の説明】

１・・・セラミック部材

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】基調色を有する薄板状のセラミック部材
の裏面側に彩色を施して成る時計用文字盤。
【請求項２】前記セラミック部材の厚みが０．１〜２
ｍｍであることを特徴とする請求項１に記載の時計用文
字盤。
【請求項３】前記セラミック部材が２０〜８０％の光
の透過率を有することを特徴とする請求項１および２に
記載の時計用文字盤。