JPH0540362Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、密封装置、特に、シールリツプしゆ
う動部の油を増加させ、シールリツプの潤滑状態
を改善した密封装置に関する。

（従来の技術） 従来、このような密封装置として、第３図及び
第４図に示すような密封装置１００がある。密封
装置１００は、スプリング１０１を装着した単一
のシールリツプ１０２を有し、該シールリツプ１
０２を軸１０５の表面に圧接せしめることによつ
て油等の漏洩を防止するものである。１０３は前
記密封装置１００の外周に焼付け等によつて一体
的に取付けられる金属環で、この金属環１０３の
外周面であつて軸方向内方端部、すなわち、密封
装置１００の挿入方向端部（図示の実施例では密
封装置１００の右方端部）には、密封装置１００
を挿入すべきハウジングの取付孔の内径より大き
い外径のガイド突起１０３が半径方向外方へ突設
されている。このガイド突起１０３ａは金属環１
０３の全周にわたつて連続的に延びていてもよ
く、或いは円周方向へ所定のピツチを設けて複数
分割されていてもよい。１０３ｂは上記ガイド突
起１０３ａの外径より小さな外径を有する金属環
外周面の小径表面部で、この小径表面部１０３ｂ
の外径はハウジング取付孔の内径と略一致してい
る。

ここでシールリツプ１０２は、リツプしゆう動
部１０４を有し、リツプしゆう動部１０４は、密
封流体側傾斜面１０４ａと大気側傾斜面１０４ｂ
とを有する。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら斯かる従来技術の密封装置１００
によれば、指定量以下の潤滑油で使用する低潤滑
（油量：軸下端上数mm）状態で油が、密封流体側
傾斜面１０４ａに添つて流れる。この結果、リツ
プしゆう動部１０４の油量が少なくなり、油の潤
滑不足によりシールリツプ１０２にクラツクが発
生し、油漏れの発生する原因となつていた。

本考案は上記諸問題に鑑みなされたものでその
目的とするところは、低潤滑状態でリツプしゆう
動部に油を確保し、シールリツプにクラツク等が
発生するのを防止し、油漏れの発生を防止し得る
密封装置を提供するにある。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を有する本考案は、可動軸に接して流
体を密封するシールリツプの、密封流体側のリツ
プしゆう動面に、リツプ先端部より密封流体側に
向けて可動軸の軸線に垂直な外方向にテーパ状を
成すテーパ面部と該テーパ面部に連続し可動軸の
軸線に垂直は内方向に凹な曲面部と該曲面部に連
続し可動軸の軸線に略垂直な内方向に向いた垂直
面部とによつて形成される環状溝を設けたことを
特徴とする。

（作用） 而して本考案の密封装置によれば、リツプ先端
部より密封流体側に向けて可動軸の軸線に垂直な
外方向にテーパ状を成すテーパ面部と該テーパ面
部に連続し可動軸の軸線に垂直な内方向に凹な曲
面部と該曲面部に連続し可動軸の軸線に略垂直な
内方向に向いた垂直面部とによつて形成される環
状溝を、密封流体側のリツプしゆう動面に設けた
ので、低潤滑状態の場合にテーパ面部に添つて流
れた密封流体が、曲面部にて向きを変えられ、垂
直面部にて軸線に略垂直な内方向に流され、環状
溝内で密封流体の対流が起こり、流れた密封流体
は再びリツプ先端部へ向けて戻される。

このため、リツプしゆう動部には指定量の油が
保持され、潤滑不足によつてシールリツプにクラ
ツクが発生し、それによつて油漏れが発生するこ
とはない。

（実施例） 以下に本考案の密封装置を図示の実施例に基づ
いて説明する。

第１図に本考案の密封装置１の全体を示す。密
封装置１は、シールリツプ２を有する。シールリ
ツプ２は、外周側に環状溝３を有し、環状溝３に
ばね４が嵌装され、ばね４は、シールリツプ２を
可動軸５に対して押しつける押し付け力を高めシ
ールリツプ２を維持する作用をする。このような
シールリツプ２が可動軸５の表面に圧接され油の
漏洩が防止される。６ａは、密封装置１のシール
リツプ２の外周に焼付等によつて一体的に取付け
られる金属環である。またシールリツプ２は、可
動軸５と接触しながら油の漏れを防ぐ作用をする
リツプしゆう動部６を備える。リツプしゆう動部
６は、密封流体側リツプしゆう動面７と可動軸５
にしゆう接するリツプ先端部１０と大気側しゆう
動面８を備えている。密封流体該のリツプしゆう
動面７には、環状溝９が設けられ、断面において
環状溝９は、リツプ先端部１０より密封流体側に
向けて可動軸５の軸線に垂直な外方向にテーパ状
を成すテーパ面部９ａとそのテーパ面部９ａに連
続し可動軸５の軸線に垂直な内方向に凹な曲面部
９ｂとその曲面部９ｂに連続し可動軸５の軸線に
略垂直な内方向に向いた垂直面部９ｃとを備え
る。曲面部９ｂの端部は、ほぼ垂直方向を向いて
おり、可動軸５の軸線とほぼ直交している。

このように構成される密封装置１は、次のよう
に作動する。すなわち、可動軸５が回転すると、
リツプしゆう動部６の油はリツプしゆう動面７の
テーパ面部９ａに沿つて密封流体側に流れる。リ
ツプしゆう動面７の密封流体側に流れた油は、溝
の曲面部９ｂに到達する。曲面部９ｂの内面は、
前述のように外方向から内方向へと方向を変換し
て垂直面部９ｃが可動軸５の軸線とほぼ直行して
いる。そのため、曲面部９ｂに到達した油は、曲
面部９ｂの内面に沿つて、外周方向から内周方向
へ方向を変換する。そして、最後にリツプしゆう
動部６近傍の移動軸５上を流れ、対流となり、流
れた密封流体は再びリツプ先端部１０へ向けて戻
される。

このため、リツプしゆう動部６のリツプ先端部
１０には、常に指定量の油が供給され、潤滑不足
を防止し得、シールリツプの過大摩耗が生じるこ
とがなく、従つてクラツク等による油漏れが生じ
ないためシール性が向上する。

（考案の効果） 本考案によれば、リツプ先端部より密封流体側
に向けて可動軸の軸線に垂直な外方向にテーパ状
を成すテーパ面部と該テーパ面部に連続し可動軸
の軸線に垂直な内方向に凹な曲面部と該曲面部に
連続し可動軸の軸線に略垂直な内方向に向いた垂
直面部とによつて形成される環状溝を、密封流体
側のリツプしゆう動面に設けたので、低潤滑状態
の場合にテーパ面部に添つて流れた密封流体が、
曲面部にて向きを変えられ、垂直面部にて軸線に
略垂直な内方向に流され、環状溝内で密封流体の
対流が起こり、流れた密封流体は再びリツプ先端
部へ向けて戻される。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の密封装置の縦断面図、第２
図は、本考案の密封装置の要部の部分縦断面図、
第３図は、従来技術による密封装置の縦断面図、
第４図は、従来技術の密封装置の部分縦断面図で
ある。 符号の説明、１……密封装置、２……シールリ
ツプ、３……環状溝、４……ばね、５……可動
軸、６……リツプしゆう動部、６ａ……金属環、
７……密封流体側のリツプしゆう動面、８……大
気側リツプしゆう動面、９……環状溝、９ａ……
平面部、９ｂ……曲面部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 可動軸に接して流体を密封するシールリツプ
   の、密封流体側のリツプしゆう動面に、リツプ先
   端部より密封流体側に向けて可動軸の軸線に垂直
   な外方向にテーパ状を成すテーパ面部と該テーパ
   面部に連続し可動軸の軸線に垂直な内方向に凹な
   曲面部と該曲面部に連続し可動軸の軸線に略垂直
   な内方向に向いた垂直面部とによつて形成される
   環状溝を設けたことを特徴とする密封装置。