JPH053998Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、原子炉用燃料集合体の支持格子に関
するものである。

［従来の技術］ 原子炉に装荷される燃料集合体は、多数の短い
円柱状のペレツトを密封した多数の長い燃料棒
を、一定の間隔をおいて互いに平行になるように
配置して形成されている。この場合、燃料棒をこ
のような位置関係に保持する手段として、支持格
子が用いられている。

この支持格子は、第８図に示すように、内スト
ラツプ組立体１と、この内ストラツプ組立体１の
四周に取り付けられた外ストラツプ２とからなる
ものである。

内ストラツプ組立体１は、第８図ないし第１０
図において符号３で示される内ストラツプで構成
されている。この内ストラツプ３は耐熱合金製の
薄板を長方形状に打ち抜いたもので、その長手方
向と直角な方向に、一定間隔毎に、第９図に示す
ようなスリツト（嵌合溝）４が多数設けられてい
るとともに、長手方向の両端には、第１０図に示
すように、サイドタブ５が突出して形成されてい
る。そして、縦部材を構成する内ストラツプ３の
スリツト４と、横部材を構成する内ストラツプ３
のスリツト４とを突き合わせ、これら内ストラツ
プ３を互いに直交する位置関係に保持しつつ、互
いのスリツト４を嵌合することにより縦横に組み
込んで格子状に内ストラツプ組立体１が構成され
ている。

一方、外ストラツプ２は、内ストラツプ３と同
じく耐熱合金製の薄板を長方形状に打ち抜いたも
ので、前記内ストラツプ組立体１の四周に対向し
て配置されたとき、内ストラツプ３のサイドタブ
５に対向する位置に第１０図に示すような多数の
スロツト（嵌合溝）６が形成されている。そし
て、内ストラツプ組立体１の四周に、内ストラツ
プ３のサイドタブ５にスロツト６を嵌合すること
により外ストラツプ２が取り付けられている。こ
の場合、サイドタブ５はろう付けしろをかせぐた
め、スロツト６より外方に突出している。それか
ら、内ストラツプ３の各サイドタブ５が第１１図
に示すように折り曲げられて支持格子の仮組立が
行われる。

次に、内ストラツプ３の各交点、および外スト
ラツプ２のスロツト６が内ストラツプ３のサイド
タブ５にはめ込まれた部分にろう材を塗布し、こ
れらの部分が第９図および第１０図に示すように
ろう付けされる。７は溶着固化したろう材であ
る。この後、サイドタブ５を研削除去し、この部
分を仕上げ加工し、さらに時効処理して最終的な
支持格子とされる。

このように構成された支持格子の各格子間に燃
料棒を挿入し、燃料棒の長手方向の数箇所にこの
支持格子を設置すれば、多数の燃料棒を一定間隔
をおいて平行に支持した燃料集合体を構成するこ
とができる。

［考案が解決しようとする問題点］ ところが、従来のこのような支持格子におい
て、内ストラツプ３のスリツト４および外ストラ
ツプ２のスロツト６は、単に打ち抜いて形成され
たものなので、各ストラツプのろう材７の付着面
積は、第９図および第１０図に示すように各スト
ラツプの断面積と、その回りの若干のろう材の溶
出部分だけしかない。各ストラツプの板厚は0.3
mm程度と非常に薄いものなので、これだけではろ
う付強度が不足がちとなつていた。

また、サイドタブ５が多数形成されているの
で、研削作業を要する箇所が多く、この研削作業
に時間がかかるとともに、研削によりろう材７が
一部除去される場合があつて、外ストラツプ２の
ろう付強度が低下する問題があつた。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は、上記問題点を解決するためになされ
たものであつて、幅方向に間隔的に多数の嵌合溝
が形成された長方形状の板体を多数用いて、一方
の板体の嵌合溝に他方の板体を嵌合して各板体を
互いに直交するように縦横に組み込んで格子状と
し、各嵌合部をろう付けして形成された原子炉用
燃料集合体の支持格子において、板体の嵌合溝の
縁部を同板体の板面に対して略直角に折り曲げた
ことを特徴としている。

［実施例］ 以下、第１図ないし第７図を参照して本考案の
一実施例を説明する。

第１図において、符号１０で示されるものは、
燃料集合体の支持格子製造過程におけるストラツ
プ組立体である、このストラツプ組立体１０は、
縦横に組まれた内ストラツプ１１からなる内スト
ラツプ組立体１２と、この内ストラツプ組立体１
２の四周に取り付けられた外ストラツプ１３とか
らなつている。

第２図は内ストラツプ１１である。この内スト
ラツプ１１は耐熱合金製の薄板から長方形状に打
ち抜かれたもので、その幅方向には、内ストラツ
プ３が嵌合する嵌合溝であるスリツト１４が一定
間隔毎に設けられている。このスリツト１４は、
第４図および第５図に示すように、細い切り込み
を入れ、この切り込みの長手方向の縁を一方向に
略直角に折り曲げて設けられたもので、これによ
り折り曲げ部１５が形成されている。このスリツ
ト１４の幅は内ストラツプ１１の板厚より若干大
きくなるようにされている。また、この内ストラ
ツプ１１の長手方向の両端部には、第２図に示す
ように、外ストラツプ１３の板厚部分の長さを有
するサイドタブ１６がそれぞれ２個突出して形成
されている。

このような内ストラツプ１１により、縦部材を
構成する内ストラツプ１１のスリツト１４と、横
部材を構成する内ストラツプ１１のスリツト１４
とを突き合わせ、これら内ストラツプ１１を互い
に直交する位置関係に保持しつつ、互いのスリツ
ト１４を嵌合することにより縦横に組み込んで内
ストラツプ組立体１２が格子状に形成されてる。
このとき、内ストラツプ１１に形成された折り曲
げ部１５は、縦および横部材それぞれにおいて、
同一方向に向くように組み込まれている。

第３図は外ストラツプ１３を示す図である。外
ストラツプ１３は、内ストラツプ１１と同じく耐
熱合金製の薄板から所定形状に打ち抜かれたもの
で、内ストラツプ組立体１２の四周に対向して配
置されたときに、内ストラツプ１１のサイドタブ
５に対向する部分に、このサイドタブ５が嵌合す
る嵌合溝としてスロツト１７が多数設けられてい
る。このスロツト１７は、第７図に示すように、
細い切り込みを入れ、この切り込みの長手方向の
縁を一方向に直角に折り曲げて設けられたもの
で、これにより折り曲げ部１８が形成されてい
る。このスロツト１７の幅は、内ストラツプ１１
の幅より若干大きく形成されている。

そして、このような構成の外ストラツプ１３
が、そのスロツト１７と内ストラツプ１１のサイ
ドタブ１６に嵌め込んだ状態で内ストラツプ組立
体１２の四周に取り付けられている。この状態に
おいて、内ストラツプ１１のサイドタブ１６は、
外ストラツプ１３の外面から外方に突出しないよ
うになつている。

上記のように支持格子の仮組立が構成された
後、各内ストラツプ１１の交点、および内ストラ
ツプ１１と外ストラツプ１３との交点にろう材が
塗布され、これらろう材が塗布された部分が真空
ろう付され、支持格子が製造される。

ここにおいて、各内ストラツプ１１の交点のろ
う付状態および内ストラツプ１１と外ストラツプ
１３とのろう付状態は第５図および第７図に示さ
れるようになつている。これら図において、１９
は溶着固化したろう材である。

すなわち、第５図において、仮に１１を横部材
を構成する内ストラツプ、１１ａを縦部材を構成
する内ストラツプとすると、ろう材１９は、折り
曲げ部１５の内側のエツジＡおよび折り曲げ部１
５の外側の始点から、縦部材の内ストラツプ１１
ａへ広がつて溶出固化している。このため、両内
ストラツプ１１，１１ａ共に、ろう材の付着面積
は、内ストラツプ１１の断面積より相当大きくな
つている。また、これにともなつて両内ストラツ
プ１１，１１ａ間のろう材の付着量は多くなつて
いる。これらにより、両内ストラツプ１１，１１
ａ同士のろう付強度は大きいものとなつている。

一方、内ストラツプ１１と外ストラツプ１３と
の交点のろう付状態は第７図に示されるようにな
つている。すなわち、ろう材１９は、内部側にお
いては折り曲げ部１８の内側のエツジＣから内ス
トラツプ１１側へ広がつているとともに、外面側
は、内ストラツプ１１のサイドタブ１６の端面を
平面状に被い、内ストラツプ１１をはさんで一体
化して溶着固化している。

ここにおいても上記の内ストラツプ１１同士の
ろう付状態と同様に、ろう付面積およびろう材の
量が多いので、そのろう付強度は大きいものとな
つている。

このように本実施例の支持格子によれば、内ス
トラツプ３のスリツト１４および外ストラツプ２
のスロツト１７の縁部が折り曲げられ、この部分
で各スリツトがろう付されているので、ろう付強
度は大きいものとなつており、したがつて支持格
子そのもものの強度も大幅に向上する。

また、このようにろう付強度が上がるので、従
来のように、内ストラツプのサイドタブを外スト
ラツプのスロツトの外方に突出させてろう付しろ
をかせぎ、ろう付した後この突出部分を研削する
という作業を省略できることとなる。

なお、本実施例では、内ストラツプ１１のスリ
ツト１４を形成する際、スリツト１４の両縁の折
り曲げ部１５は、同一方向に向いているが、一方
を反対側に折り曲げ、縦部材と横部材の両内スト
ラツプ１１を組み込んで、その支点を上からみた
際、折り曲げ部１５が十字状になるように配置す
ることにより、さらに支持格子の強度を向上させ
ることができる。

［考案の効果］ 以上説明したように、本考案の支持格子によれ
ば、各板体の嵌合溝の縁部が、同板体の板面に対
して略直角に折り曲げられた構成であるので、互
いにろう付される各板体のろう材の付着面積は、
従来と比べて相当大きくなつている。また、これ
にともなつて各板体間のろう材の付着量が多くな
つている。これらにより、各板体同士のろう付強
度は大きいものとなつており、したがつて支持格
子そのものの強度も大幅に向上するという効果を
奏する。また、このようにろう付強度が上がるの
で、従来のように、ろう付しろをかせぐため嵌合
溝から板体を突出させ、ろう付後のこの突出部分
を研削するという作業が省略できるという利点も
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第７図は本考案の一実施例を示す
ものであつて、第１図はその一部省略平面図、第
２図は内ストラツプの正面図、第３図は外ストラ
ツプの正面図、第４図は内ストラツプの要部拡大
正面図、第５図は第４図の−線に沿う断面
図、第６図は外ストラツプの要部正面図、第７図
は第６図の−線に沿う拡大断面図である。ま
た、第８図は従来の支持格子の斜視図、第９図お
よび第１０図はその要部拡大断面図、第１１図は
内ストラツプの平面図である。 １１……内ストラツプ（板体）、１３……外ス
トラツプ（板体）、１４……スリツト（嵌合溝）、
１７……スロツト（嵌合溝）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 幅方向に間隔的に多数の嵌合溝が形成された長
   方形状の板体を多数用い、一方の板体の嵌合溝に
   他方の板体を嵌合して各板体を互いに直交するよ
   うに縦横に組み込んで格子状とし、各嵌合部をろ
   う付けして形成された原子炉用燃料集合体の支持
   格子において、前記各板体の嵌合溝の縁部が、同
   板体の板面に対して略直角に折り曲げられている
   ことを特徴とする原子炉用燃料集合体の支持格
   子。