JPH0532772U

JPH0532772U - ２サイクル内燃機関の点火時期制御装置

Info

Publication number: JPH0532772U
Application number: JP8212391U
Authority: JP
Inventors: 道幸藤本
Original assignee: 日本電子機器株式会社
Priority date: 1991-10-09
Filing date: 1991-10-09
Publication date: 1993-04-30

Abstract

(57)【要約】【目的】２サイクル内燃機関において、各気筒毎に要
求される点火時期に則した最適な点火時期制御を行うこ
とを目的とする。【構成】機関回転速度Ｎを読み込み（Ｓ１）、スロッ
トル弁開度αを読み込む（Ｓ２）。点火すべき気筒を判
別し（Ｓ３）、予め機関回転速度Ｎとスロットル弁開度
αとをパラメータとして複数の分割される運転状態毎に
点火時期ＡＤＶを記憶させたマップであって、各気筒毎
に要求される点火時期ＡＤＶを設定するように各気筒夫
々に対応して備えたマップのうち判別された気筒に対応
するマップから、現在の機関回転速度Ｎとスロットル弁
開度αに基づき対応する運転状態の点火時期ＡＤＶを検
索して求め（Ｓ４，Ｓ５）、点火処理を行う（Ｓ６）。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、２サイクル内燃機関の点火時期制御装置に関し、特に、各気筒毎に要求される点火時期に則した最適な点火時期制御を行う技術に関する。

【０００２】

【従来の技術】

内燃機関の点火装置として、例えば電子制御式のものでは、一般的に機関回転速度や機関負荷（燃料噴射量）等に基づいて機関運転領域を細分した領域毎に運転状態に応じた基本点火時期をマイクロコンピュータのメモリに記憶しておき、機関運転条件に応じて前記メモリから検索した基本点火時期に基づいて点火時期を制御するようにしている（特開昭６０−１８４９６７号公報等参照）。

【０００３】ところで、２サイクル内燃機関においては、各気筒毎に設けられるエクスパンションチャンバーの形状が性能に大きく左右するが、かかるエクスパンションチャンバーは実車への搭載上の制約から各気筒全てにおいて同一形状にはならない。このようにエクスパンションチャンバーが各気筒全てにおいて同一形状にならない結果、エクスパンションチャンバーの形状の差によって充填効率に差が生じる。

【０００４】この結果、各気筒毎に要求される点火時期は必然的に異なるものとなる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、従来においては、各気筒全てにおいて同一の点火時期が設定されるため、機関の燃焼ゾーンが狭くなり、デトネーションや焼付等の不具合が発生する場合があった。そこで、本考案は以上のような従来の問題点に鑑み、各気筒毎に要求される点火時期に則した最適な点火時期制御を行うことを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

このため、本考案の２サイクル内燃機関の点火時期制御装置は、図１に示すように、機関運転状態に基づいて点火時期を設定する点火時期設定手段を、各気筒毎に要求される点火時期を設定するように各気筒夫々に対応して備え、点火すべき気筒を判別する気筒判別手段と、該気筒判別手段により判別された気筒に対応する前記点火時期設定手段によって設定された点火時期に基づいて点火装置に点火信号を出力する点火信号出力手段とを備えた構成とする。

【０００７】

【作用】

かかる構成において、気筒判別手段により点火すべき気筒を判別し、この気筒に対応する点火時期を点火時期設定手段により設定し、設定された点火時期に基づいて点火装置に点火信号を出力する。そして、各気筒毎に設けられるエクスパンションチャンバーの形状の差によって充填効率に差が生じている場合であっても、各気筒毎に要求される点火時期に制御することができるため、機関の燃焼ゾーンが拡がり、デトネーションや焼付等の不具合の発生を防止することができる。

【０００８】

【実施例】

以下、添付された図面を参照して本考案を詳述する。図２において、例えば、２気筒の２サイクル内燃機関１の壁面には、吸気孔４，掃気孔５，排気孔６が設けられており、圧縮行程でピストン７の下部に生じた低圧により、クランク室２内に吸気孔４から混合気を吸入し、仕事行程の終わりでピストン７が排気孔６を通り越すと、シリンダ３内の燃焼ガスが前記排気孔６を介して排出され、更に、ピストン７が下がると、掃気孔５とクランク室２とが連通して、クランク室で圧縮された混合気がシリンダ３内に流入して排気を掃気する。

【０００９】前記吸気孔４に連通する吸気通路８には、電磁式の燃料噴射弁９が設けられており、この燃料噴射弁９から噴射供給される燃料によって混合気が形成されて吸気孔４からクランク室２内に流入するようにしてある。前記燃料噴射弁９は、マイクロコンピュータ内蔵のコントロールユニット１０から送られる開弁駆動信号によって開弁し、所定圧力に調整された燃料を噴射供給するものであり、前記燃料噴射弁９の開弁時間によって燃料供給量が制御できるようになっている。

【００１０】コントロールユニット１０には、クランク軸に取り付けられたクランク角センサから出力される気筒判別信号１１と、クランク角信号１２に基づく機関回転信号とが入力される。又、コントロールユニット１０には、燃料噴射弁９上流に取り付けたスロットルセンサから出力されるスロットル弁１４の開度α信号、機関１の冷却水温度Ｔｗを検出する水温センサ１３からの水温信号、大気圧センサ１６からの大気圧信号、吸気温センサ１７から吸気温信号等が入力されるようになっており、これらセンサから出力される検出信号に基づいて燃料噴射量を決定し、これに対応する開弁駆動信号を燃料噴射弁９に出力する。尚、前記コントロールユニット１０に対してはイグニッションスイッチ１５を介してバッテリ１７電圧が印加されるようになっている。

【００１１】一方、機関１の各気筒には点火栓１４が設けられている。これら点火栓１４には点火コイル１８にて発生する高電圧が順次印加され、これにより火花点火して混合気を着火燃焼させる。点火コイル１８はそれに付設されたパワートランジスタを介して高電圧の発生時期を制御される。そして、点火時期の制御は、パワートランジスタのＯＮ・ＯＦＦ時期を、点火信号出力手段を兼ねるコントロールユニット１０からの点火信号でＣＤｉユニット１９を介して制御することにより行う。

【００１２】上記点火栓１４，点火コイル１８，パワートランジスタによって点火装置が構成される。次に、コントロールユニット１０による点火時期制御を図３のフローチャートに従って説明する。尚、本実施例において、コントロールユニット１０は図のフローチャートに示すように、点火時期設定手段、点火信号出力手段を兼ねるものである。

【００１３】ステップ（図ではＳと略称する。以下、同様）１では、機関回転速度Ｎを読み込み、次のステップ２ではスロットル弁開度αを読み込む。そして、ステップ３では、点火栓を点火すべき気筒を判別し、＃１気筒が判別されると、ステップ４に進み、＃２気筒が判別されると、ステップ５に進む。ステップ４，５では、夫々予め機関回転速度Ｎとスロットル弁開度αとをパラメータとして複数の分割される運転状態毎に点火時期ＡＤＶ（上死点前何度の位置であるかを示す進角値）を記憶させたマップであって、各気筒毎に要求される点火時期ＡＤＶを設定するように各気筒夫々に対応して備えたマップのうち判別された気筒に対応するマップから、現在の機関回転速度Ｎとスロットル弁開度α に基づき対応する運転状態の点火時期ＡＤＶを検索して求める。このようにして点火時期ＡＤＶが設定されると、ステップ６に進んで点火処理を行う。

【００１４】具体的には、クランク角センサからの気筒判別信号を計測基準としてパワートランジスタのＯＮ時期（点火時期ＡＤＶと必要通電時間とから逆算されるクランク角位置）を計測して、所定時期にパワートランジスタをＯＮさせて点火コイル１８への通電を開始すると共に、前記気筒判別信号を計測基準として前記点火時期ＡＤＶ（パワートランジスタのＯＦＦ時期）を計測し、点火時期ＡＤＶとなった時点でパワートランジスタをＯＦＦすることにより点火コイル１８への通電を遮断して高電圧を発生させ、この高電圧を点火栓１４に印加することで点火栓による火花点火を行わせる。

【００１５】以上の構成によれば、予め機関回転速度Ｎとスロットル弁開度αとをパラメータとして複数の分割される運転状態毎に点火時期ＡＤＶを記憶させ、各気筒毎に要求される点火時期ＡＤＶを設定するように各気筒夫々に対応して備えたマップのうち判別された気筒に対応するマップから、現在の機関回転速度Ｎとスロットル弁開度αに基づき対応する運転状態の点火時期ＡＤＶを検索して求めるようにしたから、各気筒毎に設けられるエクスパンションチャンバーの形状の差によって充填効率に差が生じている場合であっても、各気筒毎に要求される点火時期に制御することができ、機関の燃焼ゾーンが拡がり、デトネーションや焼付等の不具合の発生を防止することができる。

【００１６】以上のように、特定の実施例を参照して本考案を説明したが、本考案はこれに限定されるものではなく、当該技術分野における熟練者等により、本考案に添付された実用新案登録請求の範囲から逸脱することなく、種々の変更及び修正が可能であるとの点に留意すべきである。

【００１７】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案の２サイクル内燃機関の点火時期制御装置によれば、各気筒毎に要求される点火時期に制御することができ、機関の燃焼ゾーンの拡大を図れ、デトネーションや焼付等の不具合の発生を防止することができる実用的効果大なるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る２サイクル内燃機関の点火時期
制御装置の構成を示すブロック図

【図２】同上装置の一実施例のシステム概要図

【図３】同上実施例における点火時期制御を示すフロ
ーチャート

【符号の説明】

１２サイクル内燃機関１０コントロールユニット１４点火栓１８点火コイル

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】２サイクル内燃機関において、機関運転状
態に基づいて点火時期を設定する点火時期設定手段を、
各気筒毎に要求される点火時期を設定するように各気筒
夫々に対応して備え、点火すべき気筒を判別する気筒判
別手段と、該気筒判別手段により判別された気筒に対応
する前記点火時期設定手段によって設定された点火時期
に基づいて点火装置に点火信号を出力する点火信号出力
手段とを備えたことを特徴とする２サイクル内燃機関の
点火時期制御装置。