JPH05320676A - プラスチック用摺動樹脂組成物 - Google Patents

プラスチック用摺動樹脂組成物

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JPH05320676A
JPH05320676A JP14878792A JP14878792A JPH05320676A JP H05320676 A JPH05320676 A JP H05320676A JP 14878792 A JP14878792 A JP 14878792A JP 14878792 A JP14878792 A JP 14878792A JP H05320676 A JPH05320676 A JP H05320676A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐摩耗性および耐熱性等に優れたプラスチッ
ク用摺動樹脂組成物を提供する。 【構成】 下記一般式化1で表されるモノマー単位を含
む重合体または共重合体からなるサーモトロピック液晶
ポリマー100重量部にモース硬度2〜4の無機粉粒体
20〜130重量部を混合する。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた摺動性を有する
摺動用樹脂組成物に関するものである。特に高温雰囲気
下の過酷な条件において、相手材がフィルムその他の成
形品からなるプラスチック部材等である場合に用いられ
る摺動用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、機械の軽量化、製品コストの低減
などのためプラスチック製品が機械部品として数多く用
いられるようになり、摺動性を要求される部品にもプラ
スチック製品が多く利用されている。従来、摺動性のよ
い樹脂組成物として、ポリアミド、ポリアセタール、ポ
リフェニレンスルフィド、 ポリテトラフルオロエチレ
ン等の樹脂に、 固体潤滑剤、潤滑油等の摺動特性を改
良するための添加剤を加えたものが利用されてきた。こ
れらは比較的低温の雰囲気下においては特に問題なく使
用されるが、高温になるに従い摩耗し易くなり、また摩
擦熱も加わり焼き付いたり、溶融を起こしたりして使用
できなくなる。
【0003】このため耐摩耗性、耐熱性を向上させる目
的で、ガラス繊維、炭素繊維、各種ウィスカー等の繊維
状物を添加することも提案されているが、これらは硬度
が大きくかつ形状によっては摺動時に相手材を傷つけ易
いため、相手材を摩耗させると同時にそれ自体も摩耗し
易くなるという問題点がある。特に最近では、摺動部材
の相手材としても耐熱性・強度・寸法安定性の優れたい
わゆるスーパーエンプラ(スーパーエンジニアリングプ
ラスチック)と呼ばれるプラスチック部材が金属部材の
替わりに用いられている。これらはセラミックス、金属
等の従来の摺動部材と比べて比較的軟質であり、このよ
うなスーパーエンプラからなるプラスチックフィルムを
はじめとする各種プラスチック成形品の場合には、上記
の傾向が強く現れる。
【0004】例えば、特開平4−4295号公報および
特開平4−4296号公報等で提案されているガラス状
炭素は、硬すぎるためにスーパーエンプラが相手材の場
合には同スーパーエンプラを摩耗させるため好ましくな
い。また、上記公報においては、相手材として鋼または
ステンレス鋼などの硬質金属のみを開示している。また
逆に、硬度の低い充填材を充填した樹脂組成物に対し
て、相手材としてプラスチック材を用いた場合には、樹
脂組成物が激しく摩耗するため、摺動部材として用いる
ことができない。このように、比較的軟質なものを相手
材として選ぶ場合、特に充填材の選定は注意深く行なわ
なければならない。
【0005】一方、OA機器などでしばしば見られるよ
うに、機械のコンパクト化による部品の高密度化、ある
いは機械の処理能力の向上により、機械内部の温度が著
しく上昇する場合があり、このような高温下では、ポリ
アミド、ポリアセタール等のいわゆる汎用エンプラを主
成分とする摺動材料では耐熱性が不十分となり、変形な
どを起こして使用に耐えなかった。また、線膨張係数の
大きいプラスチックでは、たとえ高温下での変形は抑制
することができても、膨張のため寸法に変化が生じて、
精密部品で要求される精度を満足できないことがあっ
た。すなわち、高温下で使用される摺動部品に要求され
る特性は、従来のそれとは異なり摩擦係数などよりもむ
しろ耐熱性、寸法安定性等の物性であるため、今までの
摺動部材とは全く異なる観点から材料を選択しなければ
ならない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術の有している課題を解決することにあり、特に
耐摩耗性、耐熱性等に優れたプラスチック用摺動樹脂組
成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】プラスチック部材を相手
材とする本発明の摺動用樹脂組成物は、下記一般式化2
で表されるモノマー単位を含む重合体または共重合体で
あるサーモトロピック液晶ポリマー100重量部および
モース硬度2〜4の無機粉粒体20〜130重量部から
なるものである。
【化2】
【0008】以下に本発明の詳細を述べる。まず本発明
における前記一般式化2で表されるモノマー単位を含む
重合体または共重合体であるサーモトロピック液晶ポリ
マーは、溶融時に光学的異方性を示し、かつ熱可塑性を
有するポリマーである。溶融時に光学的異方性を示すポ
リマーは、溶融状態でポリマー分子鎖が規則的な平行配
列をとる性質を示す。光学的異方性溶融相の性質は、直
交偏光子を利用した通常の偏光検査法により確認するこ
とができる。上記液晶ポリマーとしては、例えば、液晶
性ポリエステル、液晶性ポリカーボネート、液晶性ポリ
エステルイミド等、具体的には、(全)芳香族ポリエス
テル、ポリエステルアミド、ポリアミドイミド、ポリエ
ステルカーボネート、ポリアゾメチン等が挙げられる。
サーモトロピック液晶ポリマーは、一般に細長く、偏平
な分子構造からなり、分子の長鎖に沿って剛性が高く、
同軸または平行のいずれかの関係にある複数の連鎖伸長
結合を有している。本発明において用いるサーモトロピ
ック液晶ポリマーには、一つの高分子鎖の一部が異方性
溶融相を形成するポリマーのセグメントで構成され、残
りの部分が異方性溶融相を形成しないポリマーのセグメ
ントから構成されるポリマーも含まれる。また、複数の
サーモトロピック液晶ポリマーを複合したものも含まれ
る。
【0009】サーモトロピック液晶ポリマーを構成する
モノマーの代表例としては(A)芳香族ジカルボン酸の
少なくとも1種、(B)芳香族ヒドロキシカルボン酸系
化合物の少なくとも1種、(C)芳香族ジオール系化合
物の少なくとも1種、(D)(D1)芳香族ジチオー
ル、(D2)芳香族チオフェノール、(D3)芳香族チオ
ールカルボン酸化合物の少なくとも1種、(E)芳香族
ヒドロキシアミン、 芳香族ジアミン系化合物の少なく
とも1種等の芳香族化合物が挙げられる。これらは単独
で用いられる場合もあるが、 多くは(A)と(C);
(A)と(D); (A)、(B)と(C); (A)、
(B)と(E); あるいは(A)、(B)、(C)と
(E)等のように組合せて構成される。
【0010】上記(A)芳香族ジカルボン酸系化合物と
しては、テレフタル酸、4,4'−ジフェニルジカルボン
酸、4,4'−トリフェニルジカルボン酸、 2,6−ナフ
タレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン
酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、 ジフェニルエー
テル−4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−
4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシブタン−4,4'−
ジカルボン酸、 ジフェニルエタン−4,4'−ジカルボ
ン酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテル−3,3'−ジ
カルボン酸、ジフェノキシエタン−3,3'−ジカルボン
酸、ジフェニルエタン−3,3'−ジカルボン酸、 1,6
−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、
またはクロロテレフタル酸、 ジクロロテレフタル酸、
ブロモテレフタル酸、メチルテレフタル酸、ジメチルテ
レフタル酸、エチルテレフタル酸、メトキシテレフタル
酸、エトキシテレフタル酸等で代表される上記芳香族ジ
カルボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換
体が挙げられる。
【0011】(B)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合
物としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ
安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒド
ロキシ−1−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン
酸、または3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,
5−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジメ
チル−4−ヒドロキシ安息香酸、 3−メトキシ−4−
ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロ
キシ安息香酸、6−ヒドロキシ−5−メチル−2−ナフ
トエ酸、6−ヒドロキシ−5−メトキシ−2−ナフトエ
酸、2−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−クロロ
−4−ヒドロキシ安息香酸、 2,3−ジクロロ−4−ヒ
ドロキシ安息香酸、3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ
安息香酸、2,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香
酸、 3−ブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒド
キシ−5−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−
7−クロロ−2−ナフトエ酸、 6−ヒドロキシ−5,7
−ジクロロ−2−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカル
ボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が
挙げられる。
【0012】(C)芳香族ジオールとしては、4,4'−
ジヒドロキシジフェニル、3,3'−ジヒドロキシジフェ
ニル、 4,4'−ジヒドロキシトリフェニル、 ハイドロ
キノン、レゾルシン、2,6−ナフタレンジオール、
4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4−
ヒドロキシフェノキシ)エタン、3,3'−ジヒドロキシ
ジフェニルエーテル、1,6−ナフタレンジオール、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)メタン等の芳香族ジオール、
またはクロロハイドロキノン、メチルハイドロキノン、
tert−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノ
ン、メトキシハイドロキノン、フェノキシハイドロキノ
ン、4−クロロレゾルシン、4−メチルレゾルシン等の
芳香族ジオールのアルキル、アルコキシまたはハロゲン
置換体が挙げられる。
【0013】(D1)芳香族ジチオールとしては、ベン
ゼン−1,4−ジチオール、ベンゼン−1,3−ジチオー
ル、2,6−ナフタレン−ジチオール、 2,7−ナフタ
レン−ジチオール等が挙げられる。 (D2)芳香族チオフェノールとしては、 4−メルカプ
トフエノール、3−メルカプトフェノール、6−メルカ
プトフェノール等が挙げられる。 (D3)芳香族チオールカルボン酸としては、 4−メル
カプト安息香酸、3−メルカプト安息香酸、6−メルカ
プト−2−ナフトエ酸、7−メルカプト−2−ナフトエ
酸等が挙げられる。
【0014】(E)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジ
アミン系化合物としては、4−アミノフェノール、N−
メチル−4−アミノフェノール、 1,4−フェニレンジ
アミン、N−メチル−1,4−フェニレンジアミン、N,
N'−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミ
ノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノール、2
−クロロ−4−アミノフェノール、4−アミノ−1−ナ
フトール、4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニル、
4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニルエーテル、4
−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニルメタン、4−ア
ミノ−4'−ヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'
−ジアミノフェニルスルフィド(チオジアニリン)、
4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、2,5−ジアミ
ノトルエン、4,4'−エチレンジアニリン、4,4'−ジ
アミノジフェノキシエタン、 4,4'−ジアミノジフェ
ニルメタン(メチレンジアニリン)、4,4'−ジアミノ
ジフェニルエーテル(オキシジアニリン)等が挙げられ
る。
【0015】本発明で用いるサーモトロピック液晶ポリ
マーは、上記モノマーから溶融アシドリシス法やスラリ
ー重合法等の多様なエステル形成法などにより製造する
ことができる。これらのモノマーから得られるサーモト
ロピック液晶ポリマーのうち、一般式化3で表わされる
モノマー単位を必須成分として含む重合体または共重合
体である芳香族ポリエステルが好ましい。
【0016】
【化3】
【0017】本発明の特に好ましい全芳香族ポリエステ
ルは、p−ヒドロキシ安息香酸、フタル酸およびビフェ
ノールの3種の化合物からそれぞれ誘導される繰返し単
位を有する化4で表わされるポリエステル、またはp−
ヒドロキシ安息香酸およびヒドロキシナフトエ酸の2種
の化合物からそれぞれ誘導される繰返し単位を有する化
5で表わされるポリエステルである。
【0018】
【化4】
【化5】
【0019】本発明に用いられる無機粉粒体としては、
鉱物等の硬さ試験に用いられるモース硬度が2〜4の範
囲のものであることが必要である。モース硬度2〜4の
無機物として具体的には、亜鉛、金、銀、アルミニウ
ム、銅、黄銅、アンチモン、 リン青銅等の金属、 カオ
リナイト、岩塩、シルビン、雲母(シロ雲母、キン雲
母)、シンシャ、 パイロルーサイト、 ポリバサイト、
ブルーサイト、ホウ砂、カーナライト、氷晶石、コハ
ク、方鉛鉱、シャコツ鉱、ベニアエン鉱、方解石、大理
石、コウ石膏、 セレスタイト、 ハリニッケル鉱、オウ
ドウ鉱、セン亜鉛鉱、クジャク石、ドロマイト、キフッ
石、リョウクド石、ホタル石、ジリュウテッ鉱、ジャモ
ン岩等の天然物、クレー、セリサイト、水酸化アルミニ
ウム、二硫化モリブデン、酸化亜鉛、硫酸カルシウム、
炭酸カルシウム、チタン酸カリウム等が挙げられる。こ
れらのなかで硫酸カルシウム、 炭酸カルシウムが好ま
しく用いられる。 モース硬度2〜4の範囲に入らない
ものを用いたとき、例えばモース硬度1のタルクを用い
た場合には、たとえ相手材に軟質なものを選んでも樹脂
組成物が摩耗する。 また逆にモース硬度4.5のウォラ
ストナイト(メタケイ酸カルシウム)を用いた場合に
は、相手材であるプラスチックを摩耗させるなどの問題
がある。
【0020】本発明に用いられるモース硬度2〜4の無
機物の形状は、粉粒体であることが必要である。本発明
において粉粒体とは、繊維状、板状、短冊状等とは異な
り、特定の方向への広がりを有しない粉体を意味し、長
径/短径の比(以下アスペクト比という)がほぼ4以下
で、好ましくは1〜3であるような粉体である。その平
均粒径は0.01μm〜1mm、好ましくは0.1〜100
μm、更に好ましくは1〜50μm である。モース硬度
2〜4の無機物であっても、例えば繊維状、偏平状等の
形状であって粉粒体でなく、アスペクト比が4を超える
ものを用いると、摺動の際の摺動部材の動きが偏心のあ
る回転や、往復振動、その他複雑な動きを伴うときには
本発明の効果が十分得られないので好ましくない。
【0021】本発明に用いられるモース硬度2〜4の無
機粉粒体の添加量は、サーモトロピック液晶ポリマー1
00重量部に対して20〜130重量部の範囲であるこ
とが必要である。上記添加量が、サーモトロピック液晶
ポリマー100重量部に対して20重量部未満のときは
耐摩耗性が十分でなく、また130重量部を超える場合
も耐摩耗性の大きな向上は認められず、かえって得られ
る樹脂組成物の機械強度を低下させるために好ましくな
い。
【0022】本発明の効果を損なわない範囲ならば、上
記モース硬度2〜4の無機粉粒体以外の充填剤も添加す
ることができる。これらの充填剤としては、上記モース
硬度2〜4の無機粉粒体以外の無機充填材のほか、有機
充填材、安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、改質剤等
が挙げられる。
【0023】これらのうち特に無機充填材が重要であ
り、 摩耗特性のほか加工性、 機械強度、耐熱性等の改
良のためにしばしば用いられる。このような上記モース
硬度2〜4の無機粉粒体以外の無機充填材としては、モ
ース硬度が上記範囲を外れる無機粉粒体または粉粒体形
状を有しない繊維状もしくは板状の無機充填材が用いら
れ、具体的にはガラス繊維(モース硬度:6.5)、炭素繊
維、アラミド繊維等の繊維状物、酸化亜鉛、チタン酸カ
リウム等の各種ウィスカー、そのほか黒鉛(モース硬
度:1〜2)、ガラス状炭素、タルク(モース硬度:
1)、ケイ酸カルシウム(モース硬度:4.5)、シリカ
(モース硬度:7)、アルミナ(モース硬度:9)、フ
ッ化黒鉛等が挙げられる。
【0024】また有機充填材としては、各種の熱可塑性
樹脂および熱硬化性樹脂が挙げられる。特にフッ素樹脂
は摩擦係数の低下など摩耗特性の改良に効果があり、添
加する場合にはサーモトロピック液晶ポリマー100重
量部当り5〜50重量部が好ましい。このようなフッ素
樹脂としては、テトラフルオロエチレンのホモ重合体
(以下、「PTFE」と略す)などが例示される。
【0025】サーモトロピック液晶ポリマーおよびモー
ス硬度2〜4の無機粉粒体、更にこれ以外の充填剤を混
合する方法は、特に制限されることはなく、種々の公知
の混合手段を適用することができる。例えば、それぞれ
別に押出機に供給して溶融混合してもよいし、あらかじ
めヘンシェルミキサー、タンブラー等の混合機で予備混
合した後に押出機に供給してもよい。このようにして得
られた本発明の組成物は、射出、圧縮、押出等の方法に
よって成形されるが、 圧縮成形の場合には、 それぞれ
を粉状のままドライブレンドし、成形してもよい。
【0026】本発明の摺動用樹脂組成物の摺動面におけ
る相手材のプラスチックとしては、特に制限がなく、公
知の熱可塑性および熱硬化性のプラスチックが用いられ
る。これらのプラスチックの例としては、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアセター
ル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸エ
ステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネー
ト、ポリフェニレンオキシド等が例示される。これらの
中でも、耐熱性の比較的高いフェノール樹脂;熱可塑性
のポリアミドイミドおよびポリエーテルイミド等や、非
熱可塑性である芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン
酸との縮合重合反応により得られる全芳香族ポリイミド
などのポリイミド;例えばp−ジクロロベンゼンと硫化
ナトリウムとを反応させることにより製造されるポリフ
ェニレンスルフィド;ポリスルホン;ポリエーテルスル
ホン;フッ素樹脂;全芳香族ポリエステルなどのサーモ
トロピック液晶ポリマー等を相手材に用いるときは、本
発明の組成物の特徴の一つである耐熱性が相乗的に発揮
されるので好ましい。更に、これらの中ではポリイミ
ド、特に全芳香族ポリイミドが好ましく用いられる。相
手材としての摺動部材は、射出成形など公知の成形法に
より得られる任意の各種形状のものを用いることががで
きる。しかしながらフィルム形状、例えばポリイミドフ
ィルムなどの場合に、特に本発明の効果が大きい。これ
ら相手材としてのプラスチックとしては、前記の各種充
填剤を適宜配合したものも使用することができる。
【0027】本発明の組成物は、優れた摺動性および耐
摩耗性を有するため、(1) 電気用品、事務機器および
動力機器等の軸、 軸受け、ギア、カム、ベアリング
等、(2) ビデオテープおよびカセットテープのガイド
ロール、(3) プリンターおよび複写機のヒーターホル
ダー、分離爪等、(4) メカニカルシールの端面材、 ス
クロールコンプレッサーのチップシール、バルブ等の弁
座、Vリング、ロッドパッキン、ピストンリングおよび
ライダーリング等のシール部材、(5) 圧縮機の回転
軸、回転スリーブ、ピストン、インペラー、ベーン、
ローターおよびローラー等に使用することができる。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
する。まず、実施例および比較例に使用した原材料を一
括して以下に示す。 (1)サーモトロピック液晶ポリマー (A)テレフタル酸、イソフタル酸、4−ヒドロキシ安
息香酸および4,4'−ジヒドロキシジフェニルの四元コ
ポリエステルであるサーモトロピック液晶ポリマーの粉
状物。DSCによる融点350℃。 (B)テレフタル酸、4−ヒドロキシ安息香酸および
4,4'−ジヒドロキシジフェニルの三元コポリエステル
であるサーモトロピック液晶ポリマーの粉状物。DSC
による融点420℃。 (2)硫酸カルシウム(商品名:CAS−20、 U.
S.Gypsum 社製) モース硬度:2〜3 粒状粉体(平均粒径:1.5〜3.0μm、 アスペクト
比:1〜3) (3)炭酸カルシウム(商品名:KS−500、 同和
カルファイン社製) モース硬度:3〜4 粒状粉体(平均粒径:5μm、 アスペクト比:1〜2) (4)ウォラストナイト(商品名:NYAD G、 米国
NYCO社製) モース硬度:4.5 繊維状(アスペクト比:10) (5)ガラスファイバー(商品名:ミルドガラスファイ
バー MFA、 旭ファイバーグラス(株)製) モース硬度:6.5 繊維状(径10〜15μm、長さ30〜100μm) (6)タルク(商品名:ミストロン 850FC、 日本
ミストロン(株)製) モース硬度:1 板状粉体(平均粒径:45μm、 アスペクト比:1〜
3) (7)フッ素樹脂(PTFE;商品名:KT−400
M、 (株)喜多村製)
【0029】<実施例1>上記の諸材料を表1に示す割
合で配合し、ヘンシェルミキサーにより混合した後、二
軸押出機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)を用いて
溶融混練し(シリンダー温度420℃、スクリュー回転
数200rpm)、ペレット状に造粒した。次にこのペレッ
トから射出成形機(ネスタールSG 25型、 住友重機
械工業(株)製)を用いて、シリンダー温度400℃、射
出圧力1,000kgf/cm2、金型温度150℃の条件で、
外径25.6mm、内径20mm の円筒を成形した。得られ
た円筒を鈴木式摩擦摩耗試験機を用い、圧力2kgf/c
m2、速度20m/分の条件で、相手材に全芳香族ポリイミ
ドフィルムを用いて摺動させ、円筒およびポリイミドフ
ィルムの摩耗量と摩擦係数とを測定した。一方、前述の
射出成形機を用いて同じ条件で曲げ試験片を成形し、得
られた試験片を用い、ASTM D 790により曲げ強
度を、ASTM D 648により荷重18.5kgf/cm2
の条件で熱変形温度を測定した。結果を表1に示す。
【0030】<実施例2、3>前記の諸材料を表1に示
す割合で配合し、ヘンシェルミキサーにより混合した
後、二軸押出機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)を
用いて溶融混練し(シリンダー温度350℃、スクリュ
ー回転数200rpm)、ペレット状に造粒した。次にこの
ペレットから射出成形機(ネスタールSG 25型、 住
友重機械工業(株)製)を用いて、シリンダー温度350
℃、射出圧力1,000kgf/cm2、金型温度80℃の条件
で、実施例1と同様の円筒を成形し、摩耗特性を測定し
た。更に前述の射出成形機を用いて同じ条件で曲げ試験
片を成形し、得られた試験片を用い、曲げ強度および熱
変形温度を測定した。結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】<比較例1>前記諸材料を表2に示す割合
で配合し、実施例1と同様にペレットを造粒し、円筒お
よび曲げ試験片を成形して評価を行った。結果を表2に
示す。
【0033】<比較例2〜5>前記諸材料を表2に示す
割合で配合し、実施例2と同様にペレットを造粒し、円
筒および曲げ試験片を成形して評価を行った。結果を表
2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】表1および表2の結果からわかるように、
実施例1〜3においてはサーモトロピック液晶ポリマー
とモース硬度2〜4の無機粉粒体の割合がすべて望まし
い範囲にあるため、摩耗特性、機械強度はいずれも優れ
ている。これに対し比較例1〜3では、充填材のモース
硬度が2〜4の範囲を外れているため、自己摩耗量ある
いは相手材摩耗量が多い結果を示している。比較例4で
は、サーモトロピック液晶ポリマーに対して無機粉粒体
の量が多すぎるため、曲げ強度および熱変形温度が低
い。比較例5では、無機粉粒体の量が少なすぎるため、
耐摩耗性が十分でない。
【0036】
【発明の効果】本発明の組成物は、次のような特徴を有
するために、高温下で使用される摺動部位に用いる金属
用摺動材料として最適である。 (1)従来のプラスチックの中でも特に融点の高いポリ
マーを用いているため、摺動時の摩擦熱に起因する融
解、焼き付き等を起こすことが少ない。 (2)成分の一つがモース硬度2〜4の無機粉粒体であ
り比較的軟らかいため、摺動の相手部材としてプラスチ
ックフィルムなどのプラスチック部材を用いてもこれら
を傷つけることが少ない。 (3)サーモトロピック液晶ポリマーを用いているため
に、高融点ではあるが溶融時の流動性がよいので、組成
物の射出成形が容易である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 103:06 A 9159−4H F 9159−4H G 9159−4H E 9159−4H 107:38) C10N 10:04 10:14 20:00 Z 8217−4H 20:06 B 8217−4H Z 8217−4H 30:06 30:08 40:02 50:08

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式化1で表されるモノマー単位
    を含む重合体または共重合体であるサーモトロピック液
    晶ポリマー100重量部およびモース硬度2〜4の無機
    粉粒体20〜130重量部からなるプラスチック用摺動
    樹脂組成物。 【化1】
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH0953003A (ja) * 1995-06-09 1997-02-25 Sumitomo Chem Co Ltd 液晶ポリエステル樹脂組成物
JPH09289849A (ja) * 1996-04-26 1997-11-11 Toray Ind Inc 釣糸ガイド
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CN111417681A (zh) * 2017-12-05 2020-07-14 提克纳有限责任公司 用于摄像模组的芳族聚合物组合物

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