JPH05286671A - 油圧エレベータの制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 下降開始時におけるスタートショックがな
く、しかも下降指令に対する反応速度が早い油圧エレベ
ータの制御装置を提供する。 【構成】 乗りかご１を上下動せしめる油圧ジャッキ２
と、この油圧ジャッキ２に圧油を流通せしめる油圧ポン
プ８と、この油圧ポンプ８に圧油を送受する油タンク１
０と、前記油圧ポンプ８から前記油圧ジャッキ２への配
管途中に設けられた逆止弁１２と、前記油圧ポンプ８に
連結され油圧ポンプ８を駆動する誘導電動機１３とから
構成され、前記誘導電動機１３の電源Ｒ，Ｓ，Ｔの周波
数を制御してその回転速度を変化させ、前記油圧ポンプ
８による圧油の流量を変化させることによって前記油圧
ジャッキ２の作動速度を制御する油圧エレベータの制御
装置において、前記油圧ポンプ８から前記逆止弁１２へ
の配管途中に、前記逆止弁１２の開作動前に前記油圧タ
ンク１０から圧油を送る補助ポンプ２２が接続されてな
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、油圧エレベータの制
御装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】図２は従来の油圧エレベータの制御装置
の構成図を示している。

【０００３】同図において、１はエレベータの乗りか
ご、２はシリンダ３と該シリンダ３に挿入されたプラン
ジャ４とからなる油圧ジャッキ、５はプランジャ４の上
部に取り付けられたシーブ、６はシーブ５に巻き掛けら
れたロープであり、このロープ６は一端が前記乗りかご
１に、他端が基礎７にそれぞれ取り付けられている。

【０００４】８は油タンク１０と連結されるとともに、
前記油圧ジャッキ２のシリンダ３と圧油送受管９で連結
され、このシリンダ３内に圧油を充満せしめる可逆回転
自在な油圧ポンプである。前記圧油送受管９の配管途中
には、常時逆止弁として機能し、電磁コイル１１が付勢
されることにより切り換えられて逆方向も導通させる電
磁切換弁１２が設けられている。

【０００５】１３はこの油圧ポンプ８に直結し、これを
駆動する油圧ポンプ用三相誘導電動機、１４はこの三相
誘導電動機１３に取り付けられ、その回転数を検出して
検出値を速度制御装置１５に伝達する速度検出器であ
る。

【０００６】また、図中、Ｒ，Ｓ，Ｔはそれぞれ三相交
流電源、１６はこれらの電源から三相交流を直流に変換
する整流回路、１７はこの直流を平滑するコンデンサ、
１８は直流をパルス幅制御して可変電圧，可変周波数の
三相交流に変換するインバータ、１９はこのインバータ
１８を通して得られる直流を前記誘導電動機１３の回生
時に前記三相交流電源Ｒ，Ｓ，Ｔに返還する回生用イン
バータである。

【０００７】さらに、２０ａ，２０ｂは移動中の前記乗
りかご１を減速させるための減速指令スイッチ、２１
ａ，２１ｂは乗りかご１を停止させるための停止指令ス
イッチであり、これらのスイッチから発せられる信号
は、前記速度検出器１４からの信号と同様に前記速度制
御装置１５に入力され、この速度制御装置１５はこれら
の信号を受けて制御信号１５ａを出力し、前記インバー
タ１８を制御する。

【０００８】次に運転時の動作について説明する。

【０００９】上昇運転時には、運転指令によって前記電
動機１３が回転する。このとき、速度制御装置１５及び
インバータ１８によって周波数が制御され、電動機１３
の回転速度が制御される。これにより油圧ポンプ８の回
転数、従って油圧ポンプ８の吐出量が制御され、吐出さ
れた圧油が前記電磁切換弁１２を開いて油圧ジャッキ２
のシリンダ３内に流れ込み、プランジャ４が押し上げら
れて乗りかご１が所定速度パターンに従い上昇する。

【００１０】一方、下降運転時には、運転指令によって
前記電磁切換弁１２の電磁コイル１１が励磁され、電磁
切換弁１２の回路が開かれる。このため、乗りかご１の
自重によって油圧ジャッキ２のシリンダ３から圧油が押
し出される。押し出された圧油は油圧ポンプ８を回転さ
せて電動機１３の発電制動を利用して乗りかごの下降速
度を制御するとともに動力を回生する。このときも速度
制御装置１５及びインバータ１８によって電動機１３は
所要の回転速度に制御される。

【００１１】ところで、前記従来構成によれば、乗りか
ご１が停止中にはシリンダ３内に充満した圧油に乗りか
ご１の自重分の圧力がかかっているため、シリンダ３内
の油圧と、前記油圧ポンプ８から前記電磁切換弁１２へ
延びる圧油送受管９ａ内の油圧との間に圧力差が生じて
いる。このため、下降運転指令により前記電磁切換弁１
２の電磁コイル１１が励磁され電磁切換弁１２が開く
と、前記シリンダ３内の油圧と前記圧油送受管９ａ内の
油圧とが均衡するまでの間、前記乗りかご１が一旦急激
に下降する現象が生ずる。

【００１２】また、乗りかご１が停止中に、油圧ポンプ
８の内部で油漏れが生じたり、また、油温の低下による
油の収縮等が起こった場合には、前記電磁切換弁１２と
前記油圧ポンプ８とを連結する前記圧油送受管９ａ内に
空間が生ずるため、下降運転開始時に乗りかご１がさら
に急激に下降することとなる。

【００１３】そこで、従来は、運転スタート時に、一旦
油圧ポンプ８を乗りかご１上昇方向に回転させて、前記
電磁切換弁１２と油圧ポンプ８とを連結する前記圧油送
受管９ａの内圧を上げ、又はこの圧油送受管９ａ内に前
記油漏れや圧力低下相当分の油量を補い、その後、前記
電磁切換弁１２を開くように制御して前記乗りかご１の
急激な下降現象を回避することとしていた。

【００１４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、前記従来方法
は、油圧ポンプ８を一旦乗りかご１上昇方向に回転させ
て油量を補った後、油圧ポンプ８を停止させ、それから
乗りかご１下降方向に回転させるので、下降指令に対す
る反応速度が遅いほか、制御が複雑にならざるを得ない
という問題があった。

【００１５】また、油圧ポンプ８を停止させるタイミン
グが遅れると乗りかご１が上昇して乗客に不安感を与
え、一方、油圧ポンプ８を停止させるタイミングが早い
と、乗りかご１の下降現象が生ずるため下降スタート時
に振動が発生する等の不都合があった。

【００１６】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、請求項１に係る発明は、乗りかごを上下動せしめる
油圧ジャッキと、この油圧ジャッキに圧油を流通せしめ
る油圧ポンプと、この油圧ポンプに圧油を送受する油タ
ンクと、前記油圧ポンプから前記油圧ジャッキへの配管
途中に設けられた逆止弁と、前記油圧ポンプに連結され
油圧ポンプを駆動する誘導電動機とから構成され、前記
誘導電動機の電源の周波数を制御してその回転速度を変
化させ、前記油圧ポンプによる圧油の流量を変化させる
ことによって前記油圧ジャッキの作動速度を制御する油
圧エレベータの制御装置において、前記油圧ポンプから
前記逆止弁への配管途中に、前記逆止弁の開作動前に前
記油圧タンクからの圧油を送る補助ポンプが接続されて
なるものである。

【００１７】請求項２に係る発明は、前記構成に加え
て、さらに前記補助ポンプが前記油圧ポンプより吐出量
の小さいポンプよりなる構成としたものである。

【００１８】

【作用】請求項１及び２に係る発明に共通の作用は以下
の通りである。

【００１９】補助ポンプは前記逆止弁の開作動前に作動
して、前記油圧ポンプと前記逆止弁とを連結する配管内
に圧油を送り込む。これにより前記油圧ポンプと前記逆
止弁とを連結する配管内に圧油が供給されて配管内圧が
上昇する。その後、補助ポンプが停止されるとともに前
記逆止弁が開き前記油圧ジャッキ側から前記油圧タンク
方向に圧油が移動して乗りかごが下降しはじめる。

【００２０】従って、乗りかごを下降させるために前記
逆止弁が開いても、乗りかごが急降下することはない。

【００２１】また、従来のように油圧ポンプを反転させ
るものでないため、下降指令に対する反応速度が早い。

【００２２】さらに請求項２に係る発明では、前記補助
ポンプの吐出量が前記油圧ポンプより小さいため、前記
補助ポンプを停止させるタイミングが若干遅れても直ち
に前記油圧ジャッキが作動することはなく、乗りかごが
上昇する危険がない。

【００２３】

【実施例】以下、この発明の一実施例を図面に基づいて
説明する。

【００２４】図１にはこの発明の一実施例に係る油圧エ
レベータの制御装置の構成図が示されている。

【００２５】この図において、前記図２に示す従来構成
と同一部分または相当部分については前記と同様の符号
を用いて示し、重複した説明を省略する。

【００２６】図１において、符号２２は、前記油圧ポン
プ８と前記電磁切換弁１２とを連結する圧油送受管９ａ
内に前記油圧タンク１０から圧油を送り込むポンプであ
る。このポンプ２２は、前記油圧ジャッキ２に圧油を送
り込んで乗りかご１を上下動せしめるメインポンプとし
ての前記油圧ポンプ８より吐出量が小さい補助ポンプで
ある。

【００２７】前記補助ポンプ８の圧油圧送下流側には、
圧送された圧油が補助ポンプ８方向に逆戻りすることを
阻止する補助ポンプ逆止弁２３が設けられている。

【００２８】また、前記補助ポンプ２２には、これを駆
動する補助ポンプ用三相誘導電動機２４が接続されてお
り、この補助ポンプ用三相誘導電動機２４は常開接点を
介して前記速度制御装置１５に接続されている。

【００２９】前記構成よりなるこの実施例の制御装置の
作動について説明する。エレベータ利用者が、目的とす
る下方の階への降下運転を指示すると、まず、前記補助
ポンプ用三相誘導電動機２４が作動して補助ポンプ２２
を駆動する。これにより、前記油圧タンク１０内の圧油
が前記メインポンプ８と前記電磁切換弁１２とを連結す
る圧油送受管９ａ内に圧送され、この圧油送受管９ａ内
の油圧が上昇する。

【００３０】前記圧油送受管９ａ内の油圧が十分上昇し
た後に、前記補助ポンプ２２の作動が停止されるととも
に前記電磁切換弁１２の電磁コイル１１が励磁され、電
磁切換弁１２の回路が開かれて前記油圧ジャッキ２側か
ら前記メインポンプ８側へ圧油が流れる。以後の作動は
前記従来の場合と同様である。

【００３１】前記の如く、この実施例の制御装置によれ
ば、前記電磁切換弁１２が開いて前記油圧ジャッキ２側
から前記メインポンプ８側へ圧油が流れこむ前に、別に
設けた吐出量の小さい補助ポンプ２２によって、前記メ
インポンプ８と前記電磁切換弁１２とを連結する圧油送
受管９ａ内に圧油が送り込まれ、この圧油送受管９ａの
内圧が上昇せしめられる。従って、乗りかご１が下降運
転を開始する前に、この圧油送受管９ａ内の油圧は前記
油圧ジャッキ２のシリンダ３内の油圧と均等かまたは近
似した大きさとなるため、乗りかご１の下降のために前
記電磁切換弁１２が開いても乗りかご１が急激に下降す
ることがなく、乗りかご１の振動も防止される。

【００３２】なお、前記補助ポンプ２２は前記メインポ
ンプ８より吐出量が小さく構成されているため、前記補
助ポンプ２２の作動により直ちに前記電磁切換弁１２が
開かれ前記油圧ジャッキ２が作動することはない。

【００３３】また、前記構成のこの発明によれば、長時
間乗りかご１を停止させていた場合の乗りかご１の位置
修正が安全かつ確実になされる利点がある。

【００３４】すなわち、乗りかご１を長時間停止させて
いると、前記電磁切換弁１２及びメインポンプ８のパッ
キン部分等での油漏れにより乗りかご１が停止位置から
沈下することがある。このような場合に前記補助ポンプ
２２を駆動させれば、前記補助ポンプ２２は前記メイン
ポンプ８より吐出量が小さく構成されているため、前記
乗りかご１が極めて少しずつ上昇することとなり、乗り
かご１の位置修正が安全・確実に行える。

【００３５】さらに、前記電磁切換弁１２と前記メイン
ポンプ８との間で油を循環させて油温が所定値以上にな
るように前記メインポンプ８と前記補助ポンプ２２を駆
動し、これらのポンプの相互制御をすることとすれば、
油温の低下が防止されるため、前記電磁切換弁１２の応
答速度が遅れたり、メインポンプ８の漏れ分が増加する
等の問題を未然に排除することが可能となる。

【００３６】

【発明の効果】請求項１及び２に係る発明によれば、下
降スタート時のスタートショックを緩和することができ
るため、乗り心地がよく、安全性の高いエレベータを提
供できる利点がある。

【００３７】請求項２に係る発明では、さらに、補助ポ
ンプが作動しても直ちに油圧ジャッキが作動することは
ないので使用上安全である等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例を示す構成図である。

【図２】従来技術を示す構成図である。

【符号の説明】

１ 乗りかご ２ 油圧ジャッキ ８ 油圧ポンプ（メインポンプ） １０ 油タンク １２ 逆止弁（電磁切換弁） １３ 誘導電動機 ２２ 補助ポンプ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 乗りかごを上下動せしめる油圧ジャッキ
   と、この油圧ジャッキに圧油を流通せしめる油圧ポンプ
   と、この油圧ポンプに圧油を送受する油タンクと、前記
   油圧ポンプから前記油圧ジャッキへの配管途中に設けら
   れた逆止弁と、前記油圧ポンプに連結され油圧ポンプを
   駆動する誘導電動機とから構成され、前記誘導電動機の
   電源の周波数を制御してその回転速度を変化させ、前記
   油圧ポンプによる圧油の流量を変化させることによって
   前記油圧ジャッキの作動速度を制御する油圧エレベータ
   の制御装置において、前記油圧ポンプから前記逆止弁へ
   の配管途中に、前記逆止弁の開作動前に前記油圧タンク
   から圧油を送る補助ポンプが接続されてなることを特徴
   とする油圧エレベータの制御装置。
2. 【請求項２】 前記補助ポンプが前記油圧ポンプより吐
   出量の小さいポンプよりなる前記請求項１記載の油圧エ
   レベータの制御装置。