JPH052833U - ワイヤ放電加工機のワイヤ電極切断装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 配線抵抗及び経年変化等による給電子の接触
抵抗の変化があっても確実にワイヤ電極を切断可能とす
る。 【構成】 ワイヤ電極切断用電流制御回路に加熱電流回
路と溶断電流回路を設けて、まず加熱電流によってワイ
ヤ電極を加熱し、その後溶断電流によりワイヤ電極を確
実に溶断させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ワイヤ電極を溶断する際に、ワイヤ電極に電流を流し、ワイヤ電極 を溶断するワイヤ放電加工装置のワイヤ電極切断装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

図４は従来のワイヤ放電加工装置のワイヤ電極切断部分の一例を示す模式図で ある。 図において、１はワイヤ電極で、モータ12に駆動されるワイヤ送りローラ11に より矢印方向に送り出される。13はワイヤ電極１の切断部で、ワイヤ電極１に近 接して配置された上部給電子14と下部給電子15及び切断電流を制御する切断回路 16を備えている。17はワイヤ電極１の切断ローラで、モータ18に連結されており 、このモータ18のトルクは制御回路19によって制御される。20はワイヤ電極１の 押えローラで空気圧シリンダ21に連結されており、空気圧源22又は23から空気圧 を導入することにより矢印（ａ）又は（ｂ）方向に移動する。なお、24は切断ロ ーラ17の下方に設けられたガイドノズルで、ワイヤ電極１を挿入する給電ダイス 25が設けられている。 図５は切断回路16の実施例の回路図である。31，32，33 はリレーのメイク接点、34，35，36はそれぞれ抵抗値の異なる抵抗器で、メイク 接点31と抵抗器34，メイク接点32と抵抗器35、メイク接点33と抵抗器36とはそれ ぞれ直列に接続されて第１〜第３の直列回路を形成し、これら直列回路は並列に 接続されて並列回路30が構成されている。そして、この並列回路30と直流電源37 とは、上部給電子14と下部給電子15との間に直列に接続されて切断回路16を構成 している。

【０００３】 次に動作について説明する。 被加工物を加工したのちワイヤ電極１を切断するには、先ず空気圧源22から空 気圧シリンダ21内に空気圧を導入してピストンを前進させ、これに連結された押 えローラ20を矢印（ａ）方向に移動させる。これによりワイヤ電極１は上部給電 子14と下部給電子15に接触すると供に、押えローラ20と切断ローラ17の間に挟持 される。 一方、ワイヤ電極１の太さ及び種類を認知した切断回路16は、これに対応した 抵抗値の抵抗器（例えば34）を選択し、この抵抗器34に接続されたメイク接点31 を閉成する。これにより、直流電源37、抵抗器34メイク接点31、上部給電子14、 ワイヤ電極１及び下部給電子15からなる閉回路が形成され、直流電源37から両給 電子14、15間のワイヤ電極１に最適電流が流れる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

従来のワイヤ放電加工装置は以上の様に構成されているので、ワイヤ電極を切 断する際、切断回路内の各抵抗及び配線抵抗のバラツキ等により、各機種毎調整 が必要。又、経年変化により給電子の接触抵抗値が変化し、ワイヤ電極が切断で きなくなる課題があった。

【０００５】 この考案は、上記のような課題を解決するためになされたもので、切断回路部 に溶断電流回路を設けることにより、確実にワイヤを溶断させることができるワ イヤ放電加工機のワイヤ電極切断装置を得ることを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

この考案に係わるワイヤ放電加工装置は、上記の問題点を解決し目的を達成す べくなされたものでワイヤ電極を切断するためにこのワイヤ電極に張力を与えワ イヤ電極の加熱のためそのワイヤ電極に電流を供給する手段と、上記ワイヤ電極 の太さ及び種類に対応して上記張力及び切断電流の最適値を上記張力付加手段及 び電流供給手段に指令する制御手段とを備えたものである。

【０００７】

【作用】

この考案において、張力付加手段及び電流供給手段が制御手段からの指令によ ってワイヤ電極の太さ及び種類に対応して上記ワイヤ電極に最適な張力を与える とともに最適な加熱を行って上記ワイヤ電極を溶断する。

【０００８】

【実施例】

実施例１． 図１はこの考案の実施例を模式的に示した構成図である。 図において、８はワイヤ電極１切断時に必要な切断電流供給手段でその他の部 分は従来技術として説明した図４と同じなので、説明を省略する。図２（ａ）は 、本考案の要旨を構成する切断電流供給手段８の一実施例を示す回路図で、61は リレーのメイク接点、62は抵抗器である。 図２（ｂ）は、切断電流供給手段８の動作説明タイミング図である。図３は、 ワイヤ電極１張力を制御する制御回路19の実施例の回路図である。リレーのメイ ク接点41，42，43と、抵抗値の異なる抵抗器44，45，46とがそれぞれ直列に接続 された第１〜第３の直列回路を並列に接続して並列回路40を構成し、この並列回 路40と直流電源47とをモータ18の入力端子に直列に接続したものである。

【０００９】 本考案は上記の様に構成されており、次にその動作について説明する。被加工 物を加工した後、ワイヤ電極１を切断するには、先ず空気圧源22から空気圧シリ ンダ22内に空気圧を導入してピストンを前進させ、これに連結された押えローラ 20を矢印（ａ）方向に移動させる。これによりワイヤ電極１は上部給電子14と下 部給電子15に接触すると供に、押えローラ20と切断ローラ17の間に挟持される。 一方、ワイヤ電極１の太さ及び種類を認知した切断電流供給手段８は、これに 対応した抵抗値の抵抗器（例えば34）を選択し、この抵抗器34に接続されたメイ ク接点31を閉成する。これにより、電源37、抵抗器34から成る回路が形成され、 上下の給電子14、15間のワイヤ電極１は、電流Ｉ1が流れることにより加熱され る。その後数秒〜十数秒後にワイヤ電極 １が溶断するに十分な電流を重畳する べく、メイク接点41が閉成されワイヤ電極１は溶断される。

【００１０】 又、上記と同様にワイヤ電極１の太さ及び種類を認知した制御回路19において ワイヤ電極１の太さ及び種類に対応した抵抗器（例えば44）が選択され、この抵 抗器44を含む回路を経て電源44からモータ18に電流を流し、モータ18のトルクを 制御して送りプーリ11と切断ローラ17間のワイヤ電極１の張力を調節する。 このようにして、ワイヤ電極１を加熱後十分大きな溶断電流を重畳し、また張 力の最適値を、ワイヤ電極１の太さ及び種類に応じて選べは、ワイヤ電極１は溶 断ミスを発生せず、またある程度の太さを持った状態で切断されるのでこしが強 く、したがって給電ダイス25に容易に挿入することができる。

【００１１】

【考案の効果】

以上の説明から明らかなように、本考案によれば、ワイヤ電極の溶断のため、 このワイヤ電極に電流を流す手段として溶断電流を重畳させる様にしたので、抵 のバラツキ、配線抵抗のバラツキ等による各機種毎調整が不要となり、経年変化 及び上下給電子の接触抵抗値の変化に影響なく溶断時に十分な電流を流すことが 出来、ワイヤ電極の溶断ミスをなくすことが可能、またある程度の太さを持たせ て溶断するので、ワイヤ電極のこしが強くワイヤ電極を隙間の少ない給電ダイス にも容易に挿入することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を模式的に示した構成図であ
る。

【図２】本考案の要部を構成する切断電流供給手段を示
し、図２（ａ）は回路例を示す図、図２（ｂ）は要部を
構成する切断電流供給手段の動作タイミング図である。

【図３】ワイヤ電極切断用張力の制御回路例を示す図で
ある。

【図４】従来の実施例を模式的に示した構成図である。

【図５】従来のワイヤ電極切断電流回路の一実施例を示
す図である。

【符号の説明】

１ ワイヤ電極 ８ 切断電流供給手段 11 ワイヤ電極送りプーリ 13 切断部 14 上部給電子 15 下部給電子 17 切断ローラ 18 モータ 20 押えローラ 21 空気圧シリンダ 25 給電ダイス 50 ＮＣ装置 61 リレーメイク接点 62 抵抗器

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項１】 被加工物にワイヤ電極を微少間隙を隔て
   対向させ、放電エネルギーにより上記被加工物を切断加
   工するワイヤ放電加工機において、上記ワイヤ電極に張
   力を与える張力付加手段と、上記ワイヤ電極に電流を供
   給する電流供給手段を備え、上記ワイヤ電極に流れる電
   流を加熱電流回路と溶断電流回路より供給することを特
   徴とするワイヤ放電加工機のワイヤ電極切断装置。