JPH05282938A - 金属内包フラーレン類の製造方法 - Google Patents

金属内包フラーレン類の製造方法

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JPH05282938A
JPH05282938A JP4075973A JP7597392A JPH05282938A JP H05282938 A JPH05282938 A JP H05282938A JP 4075973 A JP4075973 A JP 4075973A JP 7597392 A JP7597392 A JP 7597392A JP H05282938 A JPH05282938 A JP H05282938A
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fullerenes
graphite
various
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JP4075973A
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Hisanori Shinohara
久典 篠原
Nobuo Shimo
紳郎 下
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 各種のフラーレン類の炭素閉殻構造の内部に
各種の金属(周期表IIIA族の金属)を包含した化合
物である各種の金属内包フラーレン類を生産性よく製造
することができ、量産化が著しく容易である金属内包フ
ラーレン類の製造方法を提供する。 【構成】 周期表IIIA族金属含有化合物とグラファ
イト及び炭素質バインダーの混合物を、10-4〜10-7
Torrの圧力下、1100〜1500℃の温度におい
て、1時間以上焼成した素材からなる正極と、グラファ
イトからなる負極を用いて、アーク放電することにより
生成した煤から抽出する金属内包フラーレン類の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属内包フラーレン類
の製造方法に関し、より詳しく言うと、フラーレン類の
炭素閉殻構造の内部に周期表IIIA族金属が包含され
ている化合物である金属内包フラーレン類を、フラーレ
ン類と共に、生産性よくかつ効率よく得ることができ、
工業的レベルの大量生産法として極めて有利な金属内包
フラーレン類の製造方法に関する。
【0002】なお、本発明の方法によって得られた金属
内包フラーレン類は、それ自体で、あるいは通常のフラ
ーレン類との混合物として、更には、他の物質との組成
物等として、例えば、導電材料、超電導材料、磁気材料
等として、電気・電子材料分野をはじめてとする種々の
分野への用途が期待される。
【0003】
【従来の技術】最近、炭素数60、70、84等の炭素
数が大きい閉殻(球殻)状のカーボンクラスター構造を
有するという新しいタイプの巨大分子状炭素物質が合成
され、注目されている。この特殊な構造を有するカーボ
ンクラスターは、フラーレンとも称され、その分子骨格
を構成する炭素数(n)によって、フラーレンC60、同
70、同C84など(一般に、フラーレンCn )と呼ばれ
たり、単に、C60、C70、C84等(一般に、Cn )など
と呼ばれている。これらのフラーレン類は、新しい炭素
材料であり、また特殊な分子構造を有することからも特
異な物性を示すことが期待されるので、その性質及び用
途開発についての研究が盛んに進められている。
【0004】これらC60等のフラーレン類の製造法とし
ては、グラファイトのレーザー蒸発法(クロトら,Na
ture,318巻,162頁,1985年)及び抵抗
加熱法(クレッチマーら,Nature,347巻,3
54頁,1990年)又はアーク放電法(ハウフラ−
ら、J.Phys.chem.94巻、8634頁、1
990年)が知られている。ここで、レーザー蒸発法は
生産性が著しく悪く、量産化には不適当であることか
ら、上記のアーク放電法や抵抗加熱法が開発され、通常
のフラーレン類については比較的量産化が可能なったこ
とは注目に値する。なお、グラファイトのアーク放電法
や抵抗加熱法によって生成するのは、C60、C70等の種
々の炭素数のフラーレン類を含む煤状物質であるので、
フラーレン類をこの煤状物質から分離(濃縮)精製する
技術も重要である。この分離・精製法としては、上記の
アーク放電法や抵抗加熱法で得た煤状物質から、フラー
レン類を比較的溶解するベンゼン、トルエン等の芳香族
炭化水素等の有機溶媒により抽出分離する方法が知られ
ており、こうして分離したフラーレン類は、必要に応じ
て更に、中性アルミナカラム等を用いてクロマト分離に
よって精製され、C60やC70等として単離することがで
きることも知られている。
【0005】このように、通常のフラーレン類について
は、量産化が可能となり、その用途開発等の研究が著し
く加速された。
【0006】ところで、これらC60等のフラーレン類
は、各種の分野への利用が期待されている。例えば、フ
ラーレン類は、球状の巨大分子であることなど分子レベ
ルでの潤滑剤としての用途が見込まれており、また、均
一な炭素数の不飽和性の巨大炭素分子であることなどか
ら、黒鉛等に代わる高特性の導電材料としての期待も大
きい。また、フラーレン類は、芳香族性のC=C結合を
有する不飽和分子であることから、その水素化物、ハロ
ゲン化物、金属化物等の各種の化合物や錯体を形成する
ことが知られており、一方、比較的大きな分子内空間を
有する球殻構造を有するので、その分子内空間に各種の
金属や他の原子あるいは原子団を包含した内包型分子を
形成することができることも知られている。更には、金
属等をドーピングすることによって導電性を向上させた
り、超電導性を発現させるなど、その電子的特性等の性
質を種々変化させることができるも知られている。
【0007】このように、フラーレン類は、その誘導体
を含めて考えると、その利用分野は著しく拡大し、実際
後述のように、超電導材料、磁気材料など、電気・電子
材料分野をはじめ広範囲の利用分野への展開が期待され
ている。
【0008】したがって、フラーレン類の誘導体の製造
法の開発及びその誘導体の性質や用途についての研究は
極めて重要であり、最近では、この方面の研究が盛んに
行われている。
【0009】例えば、最近、フラーレンC60にアルカリ
金属をドープすると超電導性を示すことが見出され、ル
ビジウム、セシウム等のアルカリ金属の添加によって次
々に高温超電導体が得られことも示され、多方面からの
注目を集めている(ヘパードら;Nature,350
巻,600頁,1991年) 。しかしながら、これらド
ープしたフラーレン化合物は、大気中では安定性が悪い
という欠点がある。
【0010】一方、フラーレン類に金属を内包した化合
物として、Laを内包したものが知られている。このL
a内包フラーレン類の製造法としては、レーザー蒸発法
が知られている(チャイら,J.Phys.Che
m.,95巻,7564頁,1991年)。しかしなが
ら、この従来技術では、レーザー蒸発法を用いているの
で、前記したように生産性が著しく悪く、量産化には不
適当であるという重大な問題点がある。つまり、このレ
ーザー蒸発法では、主目的のLa内包フラーレン類の生
成速度が著しく遅く、また、これと共に生成するフラー
レン類自体の生成速度も著しく遅く、それらの収率及び
選択性は共に著しく低い。その上、レーザー蒸発法とい
う手法自体の性質からも大量生産方式への展開が極めて
困難なのである。
【0011】そこで、前記したように通常のフラーレン
類の製造と同様に、こうした金属内包フラーレン類もア
ーク放電や抵抗加熱法で製造することができれば、生産
性が大いに向上することが期待できる。しかしながら、
従来、このLa内包フラーレン類に限らず更に一般の金
属内包フラーレン類をアーク放電や抵抗加熱法で製造す
ることは困難と考えられてきたし、実際、アーク放電や
抵抗加熱法によって、量産性よく金属内包フラーレン類
を製造する技術は知られていなかった。
【0012】ところで、金属内包フラーレン類は、金属
がフラーレン類の炭素閉殻構造の内部に包含されている
ので、空気中でも比較的高い安定性が期待できるし、ま
た、金属化合物であるので、その金属の種類や内包金属
の数等によってフラーレン類自体には見られない種々の
特異な物性も期待でき、例えば、導電材料、超伝導性材
料、磁気材料等の電気・電子材料分野をはじめとする各
種の分野への利用が期待できる。
【0013】そこで、各種の金属内包フラーレン類を生
産性よく得ることができて、大量生産が容易な金属内包
フラーレン類の製造方法の開発が強く望まれていた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の事情
を鑑みてなされたものである。
【0015】本発明の目的は、各種のフラーレン類の炭
素閉殻構造の内部に各種の金属(周期表IIIA族の金
属)を包含した化合物である各種の金属内包フラーレン
類を生産性よく製造することができ、量産化が著しく容
易であるなどの利点を有する実用上著しく有用な金属内
包フラーレン類の製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成すべく、各種の金属内包フラーレン類をグラファ
イト及び金属成分を原料として用い、従来困難とされて
いたアーク放電法によって生産性よく得る技術について
鋭意研究を重ねた。その結果、特定の族(周期表III
A族)に属する各種の金属の化合物とグラファイト粉末
とを適当なバインダー成分(例えば、ピッチ、グラファ
イトセメント等)と混合してなる組成物を特定の範囲の
圧力及び温度で、特定の時間以上の焼成してなる素材を
正極材料として用い、一方、グラファイトからなる電極
材料を負極として用い、該正極と負極とでアーク放電を
行うことによって、各種の周期表IIIA族金属内包フ
ラーレン類をフラーレン類と共に含有する煤状物質とし
て効率よく得ることができ、得られた煤状物質から芳香
族炭化水素や二硫化炭素等の適当な溶媒で抽出すること
によって、目的とする金属内包フラーレン類をフラーレ
ン類との混合物として生産性よく得ることができること
を見出した。また、得られた金属内包フラーレン類とフ
ラーレン類の混合物を、従来の方法によって精製するこ
とによって、各種の金属内包フラーレン類を濃縮するこ
とができることも確認した。
【0017】本発明者らは、主として上記の知見に基づ
いて本発明を完成するに至った。
【0018】すなわち、本発明は、周期表IIIA族金
属含有化合物とグラファイト及び炭素質バインダーの混
合物を、10-4〜10-7Torrの圧力下、1100〜
1500℃の温度において、1時間以上焼成した素材か
らなる正極と、グラファイトからなる負極を用いて、ア
ーク放電することにより生成した煤から抽出することを
特徴とする金属内包フラーレン類の製造方法に関するも
のである。
【0019】本発明の方法においては、前記正極として
用いる前記素材すなわち正極材料は、少なくとも、周期
表IIIA族金属含有化合物とグラファイトと炭素質バ
インダーとの混合物を上記特定の条件で焼成することに
よって作成する。
【0020】前記周期表IIIA族の金属としては、周
期表IIIA族に属する金属であればどのようなもので
もよく、具体的には、Sc、Y、La、Sm等の各種の
ランタノイド及びアクチノイドを挙げることができる。
これらの中でも、特に好ましい金属として、例えば、L
a、Y、Sm、Sc等を挙げることができる。前記周期
表IIIA族金属含有化合物として、これらの金属の酸
化物、窒化物、ホウ化物、ハロゲン化物、炭化物、水酸
化物、水素化物、硝酸塩、シアン化物、炭酸塩等の無機
系化合物や錯体類、あるいは、カルボニル錯体、アレー
ン錯体、アリル錯体、アルキル錯体、アセチルアセトナ
ト錯体、カルボン酸塩、アルコキシド等の有機金属化合
物若しくは有機系化合物など各種の化合物が使用可能で
あり、これらは、1種単独で用いてもよいし、場合に応
じて、2種以上の化合物を混合物あるいは複合化合物等
として併用してもよい。その際、2種以上の金属を含有
する化合物又は混合物等として利用することもできる。
【0021】該酸化物の具体例としては、例えば、La
23 、Y23 、Sm23 、Sc23等を例示す
ることができる。
【0022】該ホウ化物の具体例としては、例えば、L
aB6 、YB6等を例示することができる。
【0023】該ハロゲン化物の具体例としては、例え
ば、LaCl3 、LaBr3・7H2O、YCl3 、Sm
Cl3 、ScCl3 等を例示することができる。
【0024】該アセチルアセトナ−ト錯体としては、例
えばLa(AcAc)3、Y(AcAc)3[AcAcは
アセチルアセテ−ト基を示す]等を例示することができ
る。
【0025】他の化合物についても、公知の各種の化合
物を適宜選定して使用することができる。
【0026】これらの中でも、特に、好ましい化合物の
例として例えば、Y23 、La23、Sm23、Sc
23などを例示することができる。
【0027】前記正極材料の原料として用いるグラファ
イトは、各種の製法で得られたものが使用可能である。
このグラファイトは、通常、粉末状で用いるのが好まし
いが、混合時に混練等によって粉砕し微粒子化する方式
も好適に採用することができる。いずれにしても、混合
後、十分に微粒子化されていれば、それだけ、均一に混
合され、前記周期表IIIA族金属含有化合物との接触
性が向上するので好ましい。また、予め、例えば、10
μm以下の微粒子としたものを混合に供する方式も好適
に採用される。
【0028】前記炭素質バインダーとしては、バインダ
ーとしての作用を有し、かつ、焼成によって炭素又は炭
素質に分解されるものであれば各種のものが使用可能で
あるが、通常は、ピッチ、グラファイトセメント等が好
適に使用される。この他、例えば、液状若しくはグリー
ス状の炭化水素系樹脂なども適宜使用可能である。
【0029】これらの中でも、特に、ピッチが好まし
い。このピッチは、石油系、石炭系等の種々の系統のも
のが使用可能である。
【0030】なお、これらの炭素質バインダーは、1種
単独で使用してもよく、2種以上を混合物や組成物等と
して併用することもできる。
【0031】前記周期表IIIA族金属含有化合物は、
前記グラファイト及び炭素質バインダーと混合する際
に、粉末状、溶液、分散溶液(スラリー状)など各種の
形態で用いることができる。溶液状で用いる場合、例え
ば、グラファイト粉末に予め含浸させるなどしてグラフ
ァイト微粒子に担持させる混合方式等も好適に採用する
ことができる。もちろん、微粒子状等の粉末状のものを
混合に供してもよいし、混合時に混練等によって微粒子
化してもよい。いずれにしても、グラファイトとの接触
性を高めるべく、均一に混合することが好ましい。
【0032】前記周期表IIIA族金属含有化合物とグ
ラファイトと炭素質バインダーとの混合割合としては、
特に制限はないが、通常、該周期表IIIA族金属含有
化合物100重量部当たり、該グラファイトが5〜50
0重量部(より好ましくは、50〜200重量部)、か
つ、該炭素質バインダーが10〜500重量部(より好
ましくは、50〜200重量部)となる割合の混合物と
するのが適当である。
【0033】以上のようにして、少なくとも周期表II
IA族金属含有化合物とグラファイトと炭素質バインダ
ーを混合し、該混合物を得る。この混合の方式(順序、
手法等)としては、特に制限はなく、前記したような方
式も含め各種の方式が採用可能である。例えば、湿式混
練法、乾式混練法、これらの組合せなどを適宜採用する
ことができる。いずれにしても、この混合は、均一に行
うことが好ましい。
【0034】こうして得られた混合物は、前記所定の条
件で焼成し正極材料として使用するのであるが、この焼
成に供する前に、通常、該混合物を例えばプレスするな
どしてロッド等の所望の形状に成形するのが普通であ
る。また、前記所定の条件での焼成に先駆けて仮焼成を
行ってもよく、通常は仮焼成を行うことが好ましい。な
お、この仮焼成は、通常、800〜1100℃の温度及
び10-2〜10-4Torrの圧力で、1時間以上行うの
が好適である。
【0035】前記混合物は、このように仮焼成を行うこ
とが好ましいが、いずれにしても、前記所定の条件すな
わち10-4〜10-7Torrの圧力下、1100〜15
00℃の温度において、1時間以上焼成(本焼成)する
ことが重要である。この焼成(本焼成)における、系の
圧力が10-2Torrより高いと、分解ガスの除去が不
十分となったり、ガスの存在によって緻密な焼成素材が
得られないことがあり、また、残留空気等によって炭素
成分や金属成分が酸化されるなどの支障を生じる。一
方、この圧力が、10-7Torr未満では、通常の減圧
手段ではこのような低圧を達成することは困難であるの
で、特殊な減圧装置を必要とすることになりコストが高
くなり、また場合によっては、圧力が低すぎて金属成分
の蒸発等の問題が生じやすい。この焼成(本焼成)の温
度が、1100℃未満であると、十分な焼成が達成でき
ず、炭素質バインダーの炭素若しくは炭素質への分解が
不十分となったり、バインダーとしての効果も不十分と
なることがあるし、また金属成分とグラファイト等の炭
素質との反応等の相互作用が不十分となるなどして、結
果として、好ましいアーク放電による反応が起こりにく
くなり、所望の金属内包フラーレン類の生成率が不十分
となる。一方、この焼成温度が1500℃を超えると、
反応器の損傷が生じたり、エネルギーコストが高くなる
し、また、焼成温度が高すぎて、金属成分や炭素質成分
等の分解蒸発といった問題も生じやすい。更に、該焼成
(本焼成)の焼成時間が1時間未満では、焼成が不十分
となり、前記同様に好ましいアーク放電による反応が起
こりにくくなり、所望の金属内包フラーレン類の生成率
が不十分となる。
【0036】以上のようにして、焼成(本焼成)して得
た焼成素材は、アーク放電を行う正極若しくはその材料
として用いる。
【0037】本発明の方法において、前記アーク放電を
行う前記負極の材料としては、グラファイト又はこれを
主成分とするものを用いる。通常は、グラファイトその
ものすなわち100%のグラファイトを用いればよいの
であるが、必ずしも、これに限定されるものではなく、
該グラファイトには本発明の目的を阻害しない範囲で他
の成分を含有させることもできる。
【0038】本発明の方法においては、前記焼成(本焼
成)して得た素材からなる正極材料を正極とし、一方、
前記グラファイトからなる負極材料を負極として用
い、これらの両極間に電圧を印加して、アーク放電を行
い、その際のスパークによって煤を生成させる。なお、
このアーク放電法自体は、通常の方法によって行うこと
ができる。
【0039】このようにして得られた煤中には、所望の
周期表IIIA族金属内包フラーレン類及び通常のフラ
ーレン類(金属を含有していないフラーレン類)が含有
されている。なお、該金属内包フラーレン類は、通常、
例えば、YC82、YC84、YC90等の1個の金属を内包
した各種の炭素数のフラーレン類や例えば、Y282
284、Y290等の2個の金属を内包した各種の炭
素数のフラーレン類などの混合状態で含有されている。
また、該フラーレン類は、例えば、C60、C70、C84
の各種の炭素数のフラーレン類の混合状態で含有されて
いる。
【0040】本発明の方法においては、上記アーク放電
によって得た煤を抽出処理に供し、該煤から少なくとも
所望の金属内包フラーレン類を抽出分離する。この抽出
には、少なくとも所望の金属内包フラーレン類を溶解す
る溶媒が用いられる。該抽出用溶媒としては、例えば、
ベンゼンやトルエン、キシレン等のアルキルベンゼン
類、アルキルナフタレン類などの芳香族炭化水素、ある
いは、これらのハロゲン化物(クロロベンゼン、クロロ
ナフタレン等のハロゲン化ベンゼン類やハロゲン化ナフ
タレン類など)といった芳香族化合物、また、二硫化炭
素、ピリジン、キノリン、ピコリンなどを挙げることが
できる。なお、これらの抽出用溶媒(化合物)は、1種
単独で使用してもよく、2種以上を混合溶媒等として併
用してもよい。なお、これらの各種の溶媒の中でも、特
に好ましい溶媒の例として、例えば、二硫化炭素若しく
はこれを主成分とする混合溶媒などを例示することがで
きる。
【0041】なお、前記抽出の方式自体は、特に制限は
なく、通常の方式(例えば、ソックスレー抽出法等の溶
媒還流方式等)によって好適に行うことができる。抽出
後、抽出液を固形分(不溶分)から除去するが、この除
去法としても、特に制限はなく、公知の方法(例えば、
濾過、遠心分離等)などの各種の方法によって行うこと
ができる。通常は、濾過法によって好適に達成すること
ができる。こうして分離除去された固形分(不溶分)を
前記溶媒によって洗浄し、付着分を回収する方法も好適
に採用される。
【0042】以上のようにして、所望の金属内包フラー
レン類を効率よく抽出分離回収することができる。この
ようにして抽出分離された抽出液中には、所望の金属内
包フラーレン類が溶解されているが、通常は、この他に
通常のフラーレン類(金属を含有していないフラーレン
類)も溶解している。また、該金属内包フラーレン類
は、通常、例えば、YC82、YC84、YC90等の1個の
金属を内包した各種の炭素数のフラーレン類や例えば、
282、Y284、Y290等の2個の金属を内包し
た各種の炭素数のフラーレン類などの混合状態で含有さ
れている。また、該フラーレン類は、例えば、C60、C
70、C84等の各種の炭素数のフラーレン類の混合状態で
含有されている。但し、溶媒の選択や抽出条件の選定等
によって、通常のフラーレン類に対する所望の金属内包
フラーレン類の割合を前記煤中における割合よりも高め
ることも可能である。
【0043】こうして得られた抽出分離回収液は、その
まま各種の用途に利用することができるが、必要に応じ
て、溶媒を除去することによって所望の金属内包フラー
レン類を含有する粉末として利用することもできる。得
られた粉末を、更に、必要に応じて、乾燥して利用して
もよい。
【0044】また、金属内包フラーレン類を更に精製し
て、その濃度を高めて利用してもよい。すなわち、本発
明の方法によって製造した周期表IIIA族金属内包フ
ラーレン類は、フラーレン類との混合物として利用して
もよいし、混合金属内包フラーレン類として利用しても
よいし、単独の金属内包フラーレン類として利用しても
よいし、あるいは、溶液の状態で利用してもよいし、種
々の形態の製品として取得及び利用することができる。
【0045】このように本発明の方法で製造された金属
内包フラーレン類若しくはこれを含有する製品は、その
まま、あるいは例えばドーピングするなど種々の物理化
学的な変換を施して誘導体として、各種の状態で種々の
分野に利用することができ、特に、例えば、導電材料、
超電導性、磁気材料等として電気・電子材料分野におけ
る好適な利用が期待できる。
【0046】
【実施例】以下、本発明の実施例及びその比較例を示
し、これらによって本発明を更に具体的に説明するが、
本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0047】実施例1 酸化イットリウム(Y23 )5.8g、グラファイト
粉末(粒径10mμ)2.9g及ピッチ5.2gよりな
る混合物をプレスし、8mmφのロッドを作成した。こ
のロッドを10-3Torrの真空下、1000℃で5時
間焼成し、更に真空度を10-5Torrまで上げ、12
00℃で5時間焼成した。こうして作製した材料を正極
として用い、一方、負極としてグラファイト(純度10
0%)のロッド(13mmφ)を用い、アーク放電を行
った。この時、50Torrのヘリウムをバッファーガ
スとして系内に添加し、200〜250Aの直流電流で
放電させた。このアーク放電によって生成した煤を回収
し、ソックスレー抽出器を用い、二硫化炭素で抽出し
た。
【0048】得られた抽出液中の生成物について、図1
に示す電子スピン共鳴スペクトル分析の結果、そのパタ
−ンより金属内包フラレ−ンが生成していることが判明
した。また、レ−ザー脱離リフレクトロン飛行時間型質
量分析計(YAGレーザー3倍波:355nm)を用い
て分析したところ、図2に示すマススペクトル及びその
低マスナンバー領域の拡大スペクトル図である図3を得
た。この図2及び図3が示すように、上記生成物とし
て、金属が入っいない通常のフラーレン類の他に、C82
にYが1個入ったYC82及び2個入ったY282の金属
内包フラーレン類が主成分であり、その他、C84
90、C92及びC94のそれぞれに2個のYが入った金属
内包フラーレン類も生成しており、更に、C96〜C140
程度までの偶数炭素の各フラーレン類にYが2個入った
金属内包フラーレン類も生成していることが分かった。
【0049】比較例1 正極として通常のグラファイト(純度100%)を用い
た以外は、実施例1と全く同様にしてアーク放電及び二
硫化炭素による抽出を行い、生成物の分析を行った。こ
の生成物のマススペクトルを図3に示す。この図4が示
すように、この場合には従来通り、C60、C70、C84
の通常のフラーレン類は得られたが、当然のことなが
ら、Yの入ったフラーレン類すなわち金属内包フラーレ
ン類は得られていない。
【0050】
【発明の効果】本発明の方法では、負極としては、従来
常用されるグラファイトからなる材料を用いているが、
正極材料として、特定の族(周期表IIIA族)に属す
る各種の金属の化合物とグラファイト粉末とを適当なバ
インダー成分(例えば、ピッチ、グラファイトセメント
等)と混合してなる組成物を特定の範囲の圧力及び温度
で、特定の時間以上の焼成してなる素材という特定の材
料を用いて、アーク放電を行っているので、従来困難と
されていたアーク放電法によって、Y等の各種の周期表
IIIA族金属を内包したフラーレン類すなわち金属内
包フラーレン類を、金属を含有しないフラーレン類すな
わち通常のフラーレン類と共に、煤状物質として生産性
よく容易に得ることができ、また、該金属内包フラーレ
ン類含有煤状物質を一般に工業的に有利な溶媒抽出法を
用いて処理して所望の金属内包フラーレン類をフラーレ
ン類と共に分離しているので、該金属内包フラーレン類
を通常のフラーレン類と共に効率よく得ることができ
る。また、この本発明の方法は、上記のようにアーク放
電法と溶媒抽出を基本としているので、工業的レベルの
量産化を容易に達成できると言う利点を有している。
【0051】すなわち、本発明によると、所定の金属化
合物とグラファイト等の安価な原料を用いて、各種の周
期表IIIA族金属内包フラーレン類を生産性よく製造
することができ、量産化が著しく容易であるなどの利点
を有する実用上著しく有用な金属内包フラーレン類の製
造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の例である上記実施例で得た生成
物の電子スピン共鳴スペクトル分析結果を示すスペクト
ルチャ−トである。
【図2】本発明の方法の1例である上記実施例1で得た
生成物の質量分析結果の1例を示すマススペクトルチャ
ートである。
【図3】本発明の方法の1例である上記実施例1で得た
生成物の質量分析結果の1例を示すマススペクトルチャ
ートであり、この図は、図1のマススペクトルチャート
の低マスナンバー領域の拡大図である。
【図4】従来のアーク放電法による方法に従った上記比
較例1で得た生成物の質量分析結果を示すマススペクト
ルチャートである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周期表IIIA族金属含有化合物とグラ
    ファイト及び炭素質バインダーの混合物を、10-4〜1
    -7Torrの圧力下、1100〜1500℃の温度に
    おいて、1時間以上焼成した素材からなる正極と、グラ
    ファイトからなる負極を用いて、アーク放電することに
    より生成した煤から抽出することを特徴とする金属内包
    フラーレン類の製造方法。
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