JPH05279780A - 曲げ加工性に優れた中強度アルミニウム合金およびその製造方法 - Google Patents
曲げ加工性に優れた中強度アルミニウム合金およびその製造方法Info
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- JPH05279780A JPH05279780A JP10538592A JP10538592A JPH05279780A JP H05279780 A JPH05279780 A JP H05279780A JP 10538592 A JP10538592 A JP 10538592A JP 10538592 A JP10538592 A JP 10538592A JP H05279780 A JPH05279780 A JP H05279780A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 自動車のシートベルト等に用いられる中強度
アルミニウム合金の強度と曲げ加工時のスプリングバッ
ク量の安定性及び成形加工性を改善した。 【構成】 wt% としてＳｉ0.3 〜0.7%、Ｍｇ0.4 〜0.8
%、Ｃｕ0.01〜0.3%、Ｚｒ0.05% 未満、Ｍｎ0.05% 未
満、Ｃｒ0.05〜0.25% 、残部Ａｌと不可避的不純物とか
らなり、マトリックス中に微細分散析出するＭｇ2 Ｓｉ
が0.8 〜1.5%で、かつＭｇ2 Ｓｉ析出物の数密度が50〜
300 個/ μｍ3 であるＡｌ合金、および前記の合金鋳塊
を、500 〜580 ℃の温度で2 〜24時間の均質化処理を施
した後、400 〜520 ℃の温度で押出し、次いで140 〜21
0 ℃で2 〜36時間の時効処理を施すことを特徴とする。
アルミニウム合金の強度と曲げ加工時のスプリングバッ
ク量の安定性及び成形加工性を改善した。 【構成】 wt% としてＳｉ0.3 〜0.7%、Ｍｇ0.4 〜0.8
%、Ｃｕ0.01〜0.3%、Ｚｒ0.05% 未満、Ｍｎ0.05% 未
満、Ｃｒ0.05〜0.25% 、残部Ａｌと不可避的不純物とか
らなり、マトリックス中に微細分散析出するＭｇ2 Ｓｉ
が0.8 〜1.5%で、かつＭｇ2 Ｓｉ析出物の数密度が50〜
300 個/ μｍ3 であるＡｌ合金、および前記の合金鋳塊
を、500 〜580 ℃の温度で2 〜24時間の均質化処理を施
した後、400 〜520 ℃の温度で押出し、次いで140 〜21
0 ℃で2 〜36時間の時効処理を施すことを特徴とする。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車のシートベルト
等に用いられる中強度の機械的性質を有し、曲げ加工時
のスプリングバック量のバラツキがなく、かつ押出し等
の熱間加工性に優れたアルミニウム合金およびその製造
方法に関するものである。
等に用いられる中強度の機械的性質を有し、曲げ加工時
のスプリングバック量のバラツキがなく、かつ押出し等
の熱間加工性に優れたアルミニウム合金およびその製造
方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】最近自動車の車種拡大に伴い、シートベ
ルトにアルミニウム合金を用いることが提案され開発が
進められている。このシートベルトに要求される特性と
しては、優れた中強度の機械的性質を有し、曲げ加工時
のスプリングバック量の大きなバラツキのない成形加工
性と、耐食性の優れていることが求められている。現在
シートベルト材に適したアルミニウム合金として、Ａｌ
−Ｍｇ−Ｓｉ系合金のＪＩＳ６０６１（Ａｌ−0.6wt%
Ｓｉ−0.27wt% Ｃｕ−1.0wt% Ｍｇ−0.2wt% Ｃｒ）
またはＪＩＳ６０６３（Ａｌ−0.4wt% Ｍｇ−0.47wt%
Ｓｉ）が用いられている。しかし前記のアルミニウム
合金は、例えば曲げ加工時のスプリングバック量のバラ
ツキが大きいため問題となっている。すなわち、前記の
アルミニウム合金の製造方法として、通常は押出加工に
より製造されるが、所要強度を得るために押出加工の直
後に水冷（焼入れ）を施すとスプリングバック量のバラ
ツキが大きくなり、スプリングバック量のバラツキを抑
えると所要強度が得られない難点があった。
ルトにアルミニウム合金を用いることが提案され開発が
進められている。このシートベルトに要求される特性と
しては、優れた中強度の機械的性質を有し、曲げ加工時
のスプリングバック量の大きなバラツキのない成形加工
性と、耐食性の優れていることが求められている。現在
シートベルト材に適したアルミニウム合金として、Ａｌ
−Ｍｇ−Ｓｉ系合金のＪＩＳ６０６１（Ａｌ−0.6wt%
Ｓｉ−0.27wt% Ｃｕ−1.0wt% Ｍｇ−0.2wt% Ｃｒ）
またはＪＩＳ６０６３（Ａｌ−0.4wt% Ｍｇ−0.47wt%
Ｓｉ）が用いられている。しかし前記のアルミニウム
合金は、例えば曲げ加工時のスプリングバック量のバラ
ツキが大きいため問題となっている。すなわち、前記の
アルミニウム合金の製造方法として、通常は押出加工に
より製造されるが、所要強度を得るために押出加工の直
後に水冷（焼入れ）を施すとスプリングバック量のバラ
ツキが大きくなり、スプリングバック量のバラツキを抑
えると所要強度が得られない難点があった。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記の問題に
ついて検討の結果なされたもので、スプリングバック量
のバラツキがなく、所要の中強度の機械的性質を有し、
かつ成形加工性の良好なアルミニウム合金及びその製造
方法を開発したものである。
ついて検討の結果なされたもので、スプリングバック量
のバラツキがなく、所要の中強度の機械的性質を有し、
かつ成形加工性の良好なアルミニウム合金及びその製造
方法を開発したものである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】本発明は、Ｓｉ0.3 〜0.
7wt%、Ｍｇ0.4 〜0.8wt%、Ｃｕ0.01〜0.3wt%、Ｚｒ0.05
wt% 未満、Ｍｎ0.05wt% 未満、Ｃｒ0.05〜0.25wt% を含
有し、残部Ａｌと不可避的不純物とからなり、マトリッ
クス中に微細分散析出するＭｇ2 Ｓｉが0.8 〜1.5wt%
で、かつＭｇ2 Ｓｉ析出物の数密度が50〜300 個/ μｍ
3 であることを特徴とする曲げ加工性に優れた中強度ア
ルミニウム合金を請求項１とし、Ｓｉ0.3 〜0.7wt%、Ｍ
ｇ0.4 〜0.8wt%、Ｃｕ0.01〜0.3wt%、Ｚｒ0.05wt% 未
満、Ｍｎ0.05wt% 未満、Ｃｒ0.05〜0.25wt% を含有し、
残部Ａｌと不可避的不純物とからなるＡｌ合金鋳塊を、
500 〜580 ℃の温度で2 〜24時間の均質化処理を施した
後、400 〜520 ℃の温度で押出し、次いで140 〜210 ℃
で2 〜36時間の時効処理を施して、マトリックス中に微
細分散析出するＭｇ2 Ｓｉが0.8 〜1.5wt%で、かつＭｇ
2 Ｓｉ析出物の数密度が50〜300 個/ μｍ3 であること
を特徴とする曲げ加工性に優れた中強度アルミニウム合
金の製造方法を請求項２とするものである。すなわち本
発明は、前記の組成範囲のＡｌ合金を、前記のような製
造条件下で製造することにより、Ｍｇ2 Ｓｉの金属間化
合物を析出させ、この析出物の存在量を前記の特定の範
囲にマトリックス中に微細に分散析出させることによっ
て、スプリングバック量を安定にし、所要の強度を保持
させると共に成形加工性の良好なＡｌ合金を得たもので
ある。
7wt%、Ｍｇ0.4 〜0.8wt%、Ｃｕ0.01〜0.3wt%、Ｚｒ0.05
wt% 未満、Ｍｎ0.05wt% 未満、Ｃｒ0.05〜0.25wt% を含
有し、残部Ａｌと不可避的不純物とからなり、マトリッ
クス中に微細分散析出するＭｇ2 Ｓｉが0.8 〜1.5wt%
で、かつＭｇ2 Ｓｉ析出物の数密度が50〜300 個/ μｍ
3 であることを特徴とする曲げ加工性に優れた中強度ア
ルミニウム合金を請求項１とし、Ｓｉ0.3 〜0.7wt%、Ｍ
ｇ0.4 〜0.8wt%、Ｃｕ0.01〜0.3wt%、Ｚｒ0.05wt% 未
満、Ｍｎ0.05wt% 未満、Ｃｒ0.05〜0.25wt% を含有し、
残部Ａｌと不可避的不純物とからなるＡｌ合金鋳塊を、
500 〜580 ℃の温度で2 〜24時間の均質化処理を施した
後、400 〜520 ℃の温度で押出し、次いで140 〜210 ℃
で2 〜36時間の時効処理を施して、マトリックス中に微
細分散析出するＭｇ2 Ｓｉが0.8 〜1.5wt%で、かつＭｇ
2 Ｓｉ析出物の数密度が50〜300 個/ μｍ3 であること
を特徴とする曲げ加工性に優れた中強度アルミニウム合
金の製造方法を請求項２とするものである。すなわち本
発明は、前記の組成範囲のＡｌ合金を、前記のような製
造条件下で製造することにより、Ｍｇ2 Ｓｉの金属間化
合物を析出させ、この析出物の存在量を前記の特定の範
囲にマトリックス中に微細に分散析出させることによっ
て、スプリングバック量を安定にし、所要の強度を保持
させると共に成形加工性の良好なＡｌ合金を得たもので
ある。
【０００５】
【作用】次に本発明の合金組成を前記のように限定した
理由について述べる。Ｍｇは、得られる合金材の強度を
向上させる効果を有する。Ｍｇの含有量が0.4wt%未満で
は、時効処理によりＳｉと結びついた金属間化合物Ｍｇ
2 Ｓｉの均一微細な析出が起こるものの存在量が不十分
で、所定の強度が得られない。また0.8wt%を越えると熱
間加工性が低下して例えば押出加工性が劣り生産性を損
うことになる。したがって0.4 〜0.8wt%が好ましい。Ｓ
ｉはＭｇと同様に合金の強度を向上させる効果を有す
る。しかし0.3wt%未満ではＭｇ2 Ｓｉ生成量との関係か
ら、例えば押出加工後のＴ６処理による強度向上に有効
な過剰Ｓｉ量が十分でなく、また0.7wt%を越えると押出
加工性及び成形性が低下して生産性を損なう。したがっ
て0.3 〜0.7wt%が好ましい。Ｃｕは時効硬化により機械
的性質を向上させる成分であるが、その量が0.01wt% 未
満では効果が少なく、逆に0.3wt%を越えると材料の耐食
性を損なう。したがって0.01〜0.3wt%が適当である。Ｍ
ｎ、Ｚｒ及びＣｒは、それぞれの成分が共存状態でＡｌ
マトリックス中に微細分散し、Ａｌマトリックス全体を
微細再結晶化すると共に、Ｓｉの粒界析出を防止して靱
性を向上させ、さらにこの微細再結晶組織によって、曲
げ加工を施した後の押出材の表面にオレンジピール状の
肌荒が発生することを防止する作用がある。しかしＭｎ
及びＺｒ量が0.05wt% 以上では粗大化合物の生成、焼入
れ感受性の増大、強度及び押出加工性の劣化を招く。ま
たＣｒ量が0.05wt% 未満では前記したＭｎ、Ｚｒと同様
の効果が少なく、0.25wt% を越えると焼入れ感受性の増
大、強度及び押出加工性が低下する。なお、不可避的不
純物としてはＦｅ，Ｚｎ，Ｔｉ，Ｂ等があるが、普通の
Ａｌ地金中に含まれるＦｅ0.7wt%以下, Ｚｎ0.25wt以下
は本発明に影響はない。また、Ｔｉ0.15wt% 以下, Ｂ0.
05wt% 以下も本発明に影響はない。
理由について述べる。Ｍｇは、得られる合金材の強度を
向上させる効果を有する。Ｍｇの含有量が0.4wt%未満で
は、時効処理によりＳｉと結びついた金属間化合物Ｍｇ
2 Ｓｉの均一微細な析出が起こるものの存在量が不十分
で、所定の強度が得られない。また0.8wt%を越えると熱
間加工性が低下して例えば押出加工性が劣り生産性を損
うことになる。したがって0.4 〜0.8wt%が好ましい。Ｓ
ｉはＭｇと同様に合金の強度を向上させる効果を有す
る。しかし0.3wt%未満ではＭｇ2 Ｓｉ生成量との関係か
ら、例えば押出加工後のＴ６処理による強度向上に有効
な過剰Ｓｉ量が十分でなく、また0.7wt%を越えると押出
加工性及び成形性が低下して生産性を損なう。したがっ
て0.3 〜0.7wt%が好ましい。Ｃｕは時効硬化により機械
的性質を向上させる成分であるが、その量が0.01wt% 未
満では効果が少なく、逆に0.3wt%を越えると材料の耐食
性を損なう。したがって0.01〜0.3wt%が適当である。Ｍ
ｎ、Ｚｒ及びＣｒは、それぞれの成分が共存状態でＡｌ
マトリックス中に微細分散し、Ａｌマトリックス全体を
微細再結晶化すると共に、Ｓｉの粒界析出を防止して靱
性を向上させ、さらにこの微細再結晶組織によって、曲
げ加工を施した後の押出材の表面にオレンジピール状の
肌荒が発生することを防止する作用がある。しかしＭｎ
及びＺｒ量が0.05wt% 以上では粗大化合物の生成、焼入
れ感受性の増大、強度及び押出加工性の劣化を招く。ま
たＣｒ量が0.05wt% 未満では前記したＭｎ、Ｚｒと同様
の効果が少なく、0.25wt% を越えると焼入れ感受性の増
大、強度及び押出加工性が低下する。なお、不可避的不
純物としてはＦｅ，Ｚｎ，Ｔｉ，Ｂ等があるが、普通の
Ａｌ地金中に含まれるＦｅ0.7wt%以下, Ｚｎ0.25wt以下
は本発明に影響はない。また、Ｔｉ0.15wt% 以下, Ｂ0.
05wt% 以下も本発明に影響はない。
【０００６】次に、本発明に係るアルミニウム合金の製
造方法について説明する。均質化処理はマトリックスの
溶質濃度を下げ、Ｍｇ2 Ｓｉ等の析出粒子を均一に分散
させるもので、高温で均一化し、低温で析出処理を行う
のが望ましい。均質化処理条件が580 ℃を越えると、Ｆ
ｅやＭｎの析出が大きくなり押出性、焼入れ感受性を敏
感にして性能を劣化させる。また500 ℃未満や、長時間
保持でも析出物の粗大化からの押出性の劣化を伴う。し
たがって均質化処理は500 〜580 ℃、2 〜24時間の条件
範囲内で行うのが適当である。次いで行う熱間加工は、
通常は押出しにより行うが、圧延やスエージングでもよ
く、その温度は400 〜520 ℃が好ましい。400 ℃未満で
は加工性が低く、520℃を越えると割れなどの障害がで
る。時効処理は、時効初期に生じるクラスターを均一分
散させ、これをＧＰゾーンあるいは中間層へと成長させ
強度を向上するもので、好ましくは２段時効で１段目は
140 〜160 ℃でＭｇ2 Ｓｉを微細均一に析出させ、２段
目を200 ℃程度の高温時効で粗大ＧＰゾーン中間層へと
成長させることが望ましい。しかし２段時効は長時間保
持と工程の複雑化により生産性を低下させるので、その
場合は１段時効とし140 〜210 ℃で2 〜36時間処理が可
能である。時効温度が210 ℃を越えるとＭｇ2 Ｓｉの成
長による粗大化と微細析出が不十分であり、140 ℃未満
ではＭｇ2 Ｓｉの析出が不十分となる。また時効時間が
2時間より短いと性能のバラツキを生じ、36時間より長
いと生産性が低下する。従って時効処理は１段時効、２
段時効に拘わらず140 〜210 ℃、2 〜36時間の範囲で適
宜選択して行うことが好ましい。
造方法について説明する。均質化処理はマトリックスの
溶質濃度を下げ、Ｍｇ2 Ｓｉ等の析出粒子を均一に分散
させるもので、高温で均一化し、低温で析出処理を行う
のが望ましい。均質化処理条件が580 ℃を越えると、Ｆ
ｅやＭｎの析出が大きくなり押出性、焼入れ感受性を敏
感にして性能を劣化させる。また500 ℃未満や、長時間
保持でも析出物の粗大化からの押出性の劣化を伴う。し
たがって均質化処理は500 〜580 ℃、2 〜24時間の条件
範囲内で行うのが適当である。次いで行う熱間加工は、
通常は押出しにより行うが、圧延やスエージングでもよ
く、その温度は400 〜520 ℃が好ましい。400 ℃未満で
は加工性が低く、520℃を越えると割れなどの障害がで
る。時効処理は、時効初期に生じるクラスターを均一分
散させ、これをＧＰゾーンあるいは中間層へと成長させ
強度を向上するもので、好ましくは２段時効で１段目は
140 〜160 ℃でＭｇ2 Ｓｉを微細均一に析出させ、２段
目を200 ℃程度の高温時効で粗大ＧＰゾーン中間層へと
成長させることが望ましい。しかし２段時効は長時間保
持と工程の複雑化により生産性を低下させるので、その
場合は１段時効とし140 〜210 ℃で2 〜36時間処理が可
能である。時効温度が210 ℃を越えるとＭｇ2 Ｓｉの成
長による粗大化と微細析出が不十分であり、140 ℃未満
ではＭｇ2 Ｓｉの析出が不十分となる。また時効時間が
2時間より短いと性能のバラツキを生じ、36時間より長
いと生産性が低下する。従って時効処理は１段時効、２
段時効に拘わらず140 〜210 ℃、2 〜36時間の範囲で適
宜選択して行うことが好ましい。
【０００７】
【実施例】以下に本発明の一実施例について説明する。
表１に示す各種組成のＡｌ合金を半連続鋳造により345m
m φの押出用鋳塊に鋳造した後、同表に示す種々の温度
と時間により均質化処理を施した。次に420 ℃に再加熱
して、押出機によりシートベルト用形材（平均肉厚2 〜
5mm ）に10m/min の押出速度で押出した。続いてこれら
の押出材について、同表に示すような温度と時間により
時効処理を施した。以上の工程で製造した形材につい
て、引張強さ、耐力、伸び等の機械的性質を、Ｍｇ2 Ｓ
ｉ析出物はＴＥＭ観察により形状と分散形態を観察し、
数密度を算出した。押出性はラム速度から押出速度を算
出し、曲げ性はシートベルト用の曲げ加工性に供されて
いるものと同様に行い、スプリングバック量が規格内で
あるかどうか見極め、さらに肌荒れや割れの発生につい
ても調べ総合評価として、◎印非常に良、○印良、△印
稍不良、×印不良で示した。これらの試験結果を表２に
示す。
表１に示す各種組成のＡｌ合金を半連続鋳造により345m
m φの押出用鋳塊に鋳造した後、同表に示す種々の温度
と時間により均質化処理を施した。次に420 ℃に再加熱
して、押出機によりシートベルト用形材（平均肉厚2 〜
5mm ）に10m/min の押出速度で押出した。続いてこれら
の押出材について、同表に示すような温度と時間により
時効処理を施した。以上の工程で製造した形材につい
て、引張強さ、耐力、伸び等の機械的性質を、Ｍｇ2 Ｓ
ｉ析出物はＴＥＭ観察により形状と分散形態を観察し、
数密度を算出した。押出性はラム速度から押出速度を算
出し、曲げ性はシートベルト用の曲げ加工性に供されて
いるものと同様に行い、スプリングバック量が規格内で
あるかどうか見極め、さらに肌荒れや割れの発生につい
ても調べ総合評価として、◎印非常に良、○印良、△印
稍不良、×印不良で示した。これらの試験結果を表２に
示す。
【０００８】
【表１】
【０００９】
【表２】
【００１０】表１及び２から明らかなように、本発明の
合金組成のNo.1〜4 は、機械的性質が従来合金のJIS606
1 相当のNo.11 と、JIS6063 相当のNo.12 と同程度であ
るが、粒内のＭｇ2 Ｓｉ析出物が針状で微細分散してお
り、Ｍｇ2 Ｓｉの数密度も大きく、押出性や曲げ加工
性、及びスプリングバック量等の総合評価が優れてい
る。一方、比較例のNo.5はＭｇが少ないため、No.7はＳ
ｉが少ないため、いずれもＭｇ2 Ｓｉの析出が不十分
で、押出性、曲げ加工性、総合評価が劣る。No.6はＣｕ
が少ないため、機械的性質、曲げ加工性及び総合評価が
劣る。No.8はＺｒ及びＣｒが多いため、機械的性質、曲
げ加工性、総合評価が劣る。またNo.9は均質化温度が低
く、時効処理温度が高いため粗大Ｍｇ2 Ｓｉとなり、押
出性、曲げ加工性、総合評価が劣る。No.10 は時効処理
温度が低いため析出が不十分で押出性、曲げ加工性、総
合評価のいずれかが劣る。さらに従来のNo.11 及び12
は、均質化処理、時効処理を本発明方法の範囲で行った
ものであるが、析出状態が本発明のようにならず、押出
性、曲げ加工性、総合評価が悪い。
合金組成のNo.1〜4 は、機械的性質が従来合金のJIS606
1 相当のNo.11 と、JIS6063 相当のNo.12 と同程度であ
るが、粒内のＭｇ2 Ｓｉ析出物が針状で微細分散してお
り、Ｍｇ2 Ｓｉの数密度も大きく、押出性や曲げ加工
性、及びスプリングバック量等の総合評価が優れてい
る。一方、比較例のNo.5はＭｇが少ないため、No.7はＳ
ｉが少ないため、いずれもＭｇ2 Ｓｉの析出が不十分
で、押出性、曲げ加工性、総合評価が劣る。No.6はＣｕ
が少ないため、機械的性質、曲げ加工性及び総合評価が
劣る。No.8はＺｒ及びＣｒが多いため、機械的性質、曲
げ加工性、総合評価が劣る。またNo.9は均質化温度が低
く、時効処理温度が高いため粗大Ｍｇ2 Ｓｉとなり、押
出性、曲げ加工性、総合評価が劣る。No.10 は時効処理
温度が低いため析出が不十分で押出性、曲げ加工性、総
合評価のいずれかが劣る。さらに従来のNo.11 及び12
は、均質化処理、時効処理を本発明方法の範囲で行った
ものであるが、析出状態が本発明のようにならず、押出
性、曲げ加工性、総合評価が悪い。
【００１１】
【発明の効果】以上に説明したように本発明によれば、
強度が安定し、成形加工性に優れ、かつスプリングバッ
ク量の安定したアルミニウム合金を得ることが出来、工
業上顕著な効果を奏するものである。
強度が安定し、成形加工性に優れ、かつスプリングバッ
ク量の安定したアルミニウム合金を得ることが出来、工
業上顕著な効果を奏するものである。
Claims (2)
- 【請求項１】 Ｓｉ0.3 〜0.7wt%、Ｍｇ0.4 〜0.8wt%、
Ｃｕ0.01〜0.3wt%、Ｚｒ0.05wt% 未満、Ｍｎ0.05wt% 未
満、Ｃｒ0.05〜0.25wt% を含有し、残部Ａｌと不可避的
不純物とからなり、マトリックス中に微細分散析出する
Ｍｇ2 Ｓｉが0.8 〜1.5wt%で、かつＭｇ2 Ｓｉ析出物の
数密度が50〜300 個/ μｍ3 であることを特徴とする曲
げ加工性に優れた中強度アルミニウム合金。 - 【請求項２】 Ｓｉ0.3 〜0.7wt%、Ｍｇ0.4 〜0.8wt%、
Ｃｕ0.01〜0.3wt%、Ｚｒ0.05wt% 未満、Ｍｎ0.05wt% 未
満、Ｃｒ0.05〜0.25wt% を含有し、残部Ａｌと不可避的
不純物とからなるＡｌ合金鋳塊を、500 〜580 ℃の温度
で2 〜24時間の均質化処理を施した後、400 〜520 ℃の
温度で押出し、次いで140 〜210 ℃で2 〜36時間の時効
処理を施して、マトリックス中に微細分散析出するＭｇ
2 Ｓｉが0.8 〜1.5wt%で、かつＭｇ2 Ｓｉ析出物の数密
度が50〜300 個/ μｍ3 であることを特徴とする曲げ加
工性に優れた中強度アルミニウム合金の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10538592A JPH05279780A (ja) | 1992-03-31 | 1992-03-31 | 曲げ加工性に優れた中強度アルミニウム合金およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10538592A JPH05279780A (ja) | 1992-03-31 | 1992-03-31 | 曲げ加工性に優れた中強度アルミニウム合金およびその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05279780A true JPH05279780A (ja) | 1993-10-26 |
Family
ID=14406202
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP10538592A Pending JPH05279780A (ja) | 1992-03-31 | 1992-03-31 | 曲げ加工性に優れた中強度アルミニウム合金およびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH05279780A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP0714993A1 (de) * | 1994-11-29 | 1996-06-05 | Alusuisse-Lonza Services AG | Tiefziehbare und schweissbare Aluminiumlegierung vom Typ ALMgSi |
| WO1997011203A1 (en) * | 1995-09-19 | 1997-03-27 | Alcan International Limited | Precipitation-hardened aluminum alloys for automotive structural applications |
| AU746249B2 (en) * | 1998-03-20 | 2002-04-18 | Alcan International Limited | Extrudable aluminum alloys |
-
1992
- 1992-03-31 JP JP10538592A patent/JPH05279780A/ja active Pending
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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