JPH05271531A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH05271531A
JPH05271531A JP6824692A JP6824692A JPH05271531A JP H05271531 A JPH05271531 A JP H05271531A JP 6824692 A JP6824692 A JP 6824692A JP 6824692 A JP6824692 A JP 6824692A JP H05271531 A JPH05271531 A JP H05271531A
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JP
Japan
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group
ppe
hydroxyl group
polyphenylene sulfide
pps
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Application number
JP6824692A
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English (en)
Inventor
Tomohiko Tanaka
智彦 田中
Haruo Omura
治夫 大村
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Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 成分(A) ポリフェニレンスルフィドを、
分子中に(a)エチレン性不飽和結合と、(b)カルボ
キシル基、酸無水物基、水酸基およびエポキシ基からな
る群より選ばれる官能基を同時に有する有機化合物から
選ばれた変性剤でラジカル開始剤の存在下または非存在
下に変性して得られる変性ポリフェニレンスルフィド樹
脂 10〜90重量%。 成分(B) 一般式(I)で示されるアルコール性水酸
基含有ポリフェニレンエーテル樹脂 90〜10重量
%。 (式中、Q1 はハロゲン原子、アルキル基、芳香脂肪族
炭化水素、アミノアルキル基、ハロ炭化水素基、炭化水
素オキシ基又はハロ炭化水素オキシ基、Q2 は水素原
子、ハロゲン原子、アルキル基、ハロ炭化水素基又はハ
ロ炭化水素オキシ基、Xは、水素原子、アルキル基また
は水酸基、lは0〜8の数、mは10〜400の数、n
は1〜10の数。)からなる組成物。 【効果】 耐衝撃性、剛さに優れるエンジニアリングプ
ラスチックを与える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、官能基を有するポリフ
ェニレンスルフィド樹脂とアルコール性水酸基を有する
ポリフェニレンエーテル樹脂を含有する樹脂組成物に関
する。このものは機械的強度、耐熱剛性および外観が優
れたエンジニアリングプラスチック、例えば、コネクタ
ー、イグニッションマニフォールド、歯車、バンパー、
コイル封止材等を与えるのに有用な熱可塑性樹脂組成物
である。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下P
PSと略記する)は流動性、耐有機溶剤性、電気特性、
難燃性などが優れた高融点の耐熱性樹脂として知られて
いる。しかしながら成形材料として用いた場合、重合度
が低く、成形安定性が劣る欠点がある。また、ガラス転
移温度が約90℃とそれほど高くないため高温における
剛性の低下が大きい。そのためガラス繊維、炭素繊維、
タルク、シリカなどの無機充填剤との複合化による樹脂
の性能改良が実施されているが、この場合、得られる成
形品の外観が悪化したり、成形品にソリが生じ易いなど
の問題点がある。
【0003】一方、ポリフェニレンエーテル樹脂(以下
PPEと略記する)は優れた耐熱性、寸法安定性、非吸
湿性、電気特性などを有するエンジニアリングプラスチ
ックスとして認められているが、溶融流動性が悪く、成
形加工が困難であり、かつ耐油性、耐衝撃性が劣るとい
う欠点がある。そこで両者の長所を損なわずに欠点を相
補った成形材料を提供する目的で種々の組成物が提案さ
れている。
【0004】例えば、PPEにPPSをブレンドするこ
とにより、PPEの成形加工性を改良する技術が開示さ
れている(特公昭56−34032号)。しかしながら
成形加工性の改善はみられるものの、PPEとPPSと
は本来相溶性が悪いので、このような単純なブレンド系
では界面における親和性が乏しく、成形時に相分離(デ
ラミネーション)が生じ、機械的強度が優れた成形品は
得られない。
【0005】このため両者の相溶性を向上させうる技術
がいくつか提案されている。例えばPPSとPPEのブ
レンド物に、エポキシ樹脂を配合する方法(特開昭59
−164360号および同59−213758号)、エ
ポキシ基を有するスチレン系重合体を配合する方法(特
開平2−86652号および同213361号)等が開
示されている。また、PPEに官能基を導入して、変性
PPEとし、PPSとの混和性を改良することが提案さ
れている。特開昭64−36645号および特開平2−
36261号では、エチレン性不飽和結合と酸無水物を
分子内に併せ有する化合物、具体的には無水マレイン酸
とPPEを溶融混練して酸変性PPEが用いられてい
る。また、特開平1−259060号には、エチレン性
不飽和結合とエポキシ基や水酸基などの官能基を分子内
に同時に有する化合物、具体的にはヒドロキシエチルア
クリレート、グリシジルメタアクリレート等で溶融混練
して得られた変性PPSと変性PPEの組み合わせによ
って機械的強度が優れた組成物が得られることが開示さ
れている。
【0006】しかしこれらいずれの方法によっても、P
PSとPPEの混和性は十分とは言えない。また、押出
機での溶融混練変性は、ストランドを引き取ることが不
安定である問題があり、更に、未反応の変性剤残存や、
熱分解生成物など揮発性低分子化合物の溶存、不溶ゲル
の存在など最終組成物の性能に好ましくない副生成物の
除去の問題などがあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、PPSとP
PEを均質に混合させることができ、外観、機械的強度
が優れた成形品を与える熱可塑性樹脂組成物を提供する
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記の成分
(A)および成分(B)を下記割合で配合した樹脂組成
物を提供するものである。 成分(A) ポリフェニレンスルフィドを、分子中に
(a)エチレン性不飽和結合と、(b)カルボキシル
基、酸無水物基、水酸基およびエポキシ基からなる群よ
り選ばれる官能基を同時に有する有機化合物から選ばれ
た変性剤でラジカル開始剤の存在下または非存在下に変
性して得られる変性ポリフェニレンスルフィド樹脂
10〜90重量%。 成分(B) 一般式(I)で示されるアルコール性水酸
基含有ポリフェニレンエーテル樹脂 90〜10重量
%。
【0009】
【化2】
【0010】(式中、Q1 は各々ハロゲン原子、第一級
もしくは第二級アルキル基、芳香脂肪族炭化水素、アミ
ノアルキル基、ハロ炭化水素基、炭化水素オキシ基又は
ハロ炭化水素オキシ基を表し、Q2 は各々水素原子、ハ
ロゲン原子、第一級もしくは第二級アルキル基、ハロ炭
化水素基又はハロ炭化水素オキシ基を表す。Xは、水素
原子、炭素数1〜8のアルキル基または水酸基を表す。
lは0〜8の数、mは10〜400の数、nは1〜10
の数である。)
【0011】
【作用】(A)成分の官能基と(B)成分の水酸基との
反応により、或いは、両成分の骨格、または官能基が同
一もしくは類似しているので相溶性に優れたポリマーア
ロイを与える。(A)変性ポリフェニレンスルフィド樹脂 (A)成分の変性ポリフェニレンスルフィドは、PPS
を、分子中に(a)エチレン性不飽和結合と、(b)カ
ルボキシル基、酸無水物基、水酸基およびエポキシ基か
ら選ばれる官能基を同時に有する有機化合物から選ばれ
た変性剤でラジカル開始剤の存在下又は非存在下に変性
して得られる変性ポリフェニレンエーテル樹脂である。
【0012】前記官能基を有する変性剤で変性されるの
に用いられるPPSは、一般式(II)
【0013】
【化3】
【0014】で示される繰り返し単位を主構成要素とし
て含有する結晶性樹脂である。本発明では、上記の繰り
返し単位を主構成要素とするもの、すなわち上記繰り返
し単位からなるホモポリマー、又は、これを主構成単位
(80モル%以上、より好ましくは90モル%以上)と
し、下記のような繰り返し単位を20モル%以下の割合
で有するコポリマーを使用することができる。
【0015】
【化4】
【0016】
【化5】
【0017】
【化6】
【0018】
【化7】
【0019】
【化8】
【0020】
【化9】
【0021】
【化10】
【0022】(式中、Rはアルキル基、フェニル基、ア
ルコキシ基、好ましくは低級アルキル基である。) この変性前のPPSは、実質的に線状構造で、結晶性樹
脂であるものが、成形体の物性などの観点から好まし
い。この物性を実質的に低下させない範囲において、例
えば重合時に有効量の架橋剤(例えばトリハロベンゼ
ン)を用いて得た重合架橋物、あるいはポリマーを酸素
の存在下等で加熱処理して架橋させた熱架橋物も使用可
能である。
【0023】このPPSは、300℃での溶融粘度が1
00〜100,000ポイズ、好ましくは、500〜5
0,000ポイズ、さらに好ましくは500〜50,0
00ポイズの範囲のものが好ましい。溶融粘度が100
ポイズ未満では、流動性が高すぎて成形が困難であって
好ましくない。また、溶融粘度が100,000ポイズ
超過でも逆に流動性が低すぎて、成形が困難である。
【0024】このPPSは、任意の方法により製造する
ことができるが、例えば、特公昭45−3368号で開
示されたような比較的分子量の小さい重合体の製造法、
特公昭52−12240号で開示されたような線状の比
較的高分子量の重合体の製造法又は低分子量重合体を酸
素存在下で加熱して架橋体を得る方法に従って、あるい
はこれらに必要な改変を加えて、製造することができ
る。
【0025】また、PPSは、繊維状フィラーを使う場
合など、必要に応じて熱水等で処理することもできる。
次に、PPSの変性剤は、分子中に(a)エチレン性不
飽和結合と、(b)カルボキシル基、酸無水物基、水酸
基およびエポキシ基からなる群から選ばれる官能基を同
時に有する有機化合物であり、具体的には、マレイン
酸、フマル酸、クロロマレイン酸、シトラコン酸、イタ
コン酸等で例示されるα,β−不飽和ジカルボン酸;ア
クリル酸、ブテン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、メタク
リル酸、ペンテン酸、アンゲリカ酸等で例示される不飽
和モノカルボン酸;これらのα,β−不飽和ジカルボン
酸および不飽和モノカルボン酸の無水物;上記α,β−
不飽和ジカルボン酸1モルとエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、トリメチレングリコール、ブタン−
1、4−ジオール、テトラメチレングリコール、ペンタ
エチレングリコール等の脂肪酸ジオールおよびヒドロキ
ノン、レゾルシン、カテコール、m−キシリレンジオー
ル、p−キシリレンジオール、4,4′−ジヒドロキシ
ビフェニル、4,4′−ジヒドロキシビフェニルエーテ
ル、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノ
ールF等の芳香族ジオール2モルから誘導される構造を
有するジヒドロキシ−α,β−不飽和ジカルボン酸ジエ
ステル;α,β−不飽和ジカルボン酸1モルと脂肪族ジ
オールまたは芳香族ジヒドロキシ化合物の1モルから誘
導される構造を有するヒドロキシ−α,β−不飽和ジカ
ルボン酸エステル類;α,β−不飽和ジカルボン酸とグ
リセロール、ペンタエリスリトール等の脂肪族多価アル
コールまたはピロガロール等の芳香族多価フェノールよ
り誘導される構造を有するヒドロキシエステル類;前述
の不飽和モノカルボン酸1モルと前述の脂肪酸ジオール
または芳香族ジヒドロキシ化合物1モルから誘導される
構造を有するヒドロキシ不飽和モノカルボン酸エステル
類;不飽和モノカルボン酸と前述の脂肪族多価アルコー
ルまたは芳香族多価フェノールより誘導される構造を有
するヒドロキシポリ不飽和モノカルボン酸エステル類;
前述のα,β−不飽和ジカルボン酸または不飽和モノカ
ルボン酸とエピクロルヒドリンとの反応生成物であって
グリシジルマレート、グリシジルアクリレート、グリシ
ジルメタクリレート等で例示される不飽和エポキシ化合
物等;分子内にそれぞれ少なくとも一個以上のアクリル
アミド基とグリシジル基をもつ化合物、例えばN−{4
−(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチル
フェニルメチル}アクリルアミド等を挙げることができ
る。
【0026】これらの中で好ましいものは、マレイン
酸、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、α,
β−不飽和ジカルボン酸と脂肪族ジオールまたは芳香族
ジヒドロキシ化合物から誘導される前述のエステル類、
のほか不飽和カルボン酸と前述の脂肪族ジオールまたは
芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導される前述のエステ
ル類、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタク
リレートおよびN−{4−(2,3−エポキシプロポキ
シ)−3,5−ジメチルフェニルメチル}アクリルアミ
ドをであり、さらに好ましいものは、無水マレイン酸、
不飽和モノカルボン酸と脂肪族ジオールまたは芳香族ジ
オールまたは芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導される
構造を有するヒドロキシ不飽和モノカルボン酸エステ
ル、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリ
レートおよびN−{4−(2,3−エポキシプロポキ
シ)−3,5−ジメチルフェニルメチル}アクリルアミ
ドである。
【0027】(A)成分の変性PPSの調製は、次のよ
うな方法によって行うことができるが、特にこれによっ
て限定されるものではない。例えば、変性PPSは、前
記PPS100重量部と変性剤0.01〜20重量部、
好ましくは1〜10重量部とをロールミル、バンバリー
ミキサー、押出機等を用いて150℃〜350℃の温度
で溶融混練し、反応させることによって調製(特公平1
−22305号)しても、また、N−メチルピロリド
ン、α−クロロナフタレン等で例示される溶媒中でPP
Sと変性剤とを加熱、反応させることによって調製して
もよい。(A)成分の変性PPSの一部を未変性のPP
Sにおきかえて使用してもよい。
【0028】(B)アルコール性水酸基含有ポリフェニ
レンエーテル樹脂 (B)成分のアルコール性水酸基含有PPEは、PPE
の末端フェノール性水酸基に官能化剤によりアルコール
性水酸基を付加した末端ヒドロキシアルキル化PPEで
あって、例えば、PPEと官能化剤とを、PPEを溶解
できる有機溶媒の存在下、又は非存在下で、塩基性触媒
を用いて50〜200℃の温度で反応させることにより
得ることができる。
【0029】(i)PPE 原料のPPEは、一般式(X)
【0030】
【化11】
【0031】(式中、Q1 は各々ハロゲン原子、第一級
もしくは第二級アルキル基、フェニル、アミノアルキル
基炭化水素オキシ基又はハロ炭化水素オキシ基を表し、
2は各々水素原子、ハロゲン原子、第一級もしくは第
二級アルキル基又はハロ炭化水素オキシ基を表す、mは
10以上の数を表す)で示される構造を有する単独重合
体又は共重合体である。Q1 およびQ2 の第一級アルキ
ル基の好適な例は、メチル、エチル、n−プロピル、n
−ブチル、n−アミル、イソアミル、2−メチルブチ
ル、2,3−ジメチルブチル、2−、3−もしくは4−
メチルペンチル又はヘプチルである。第二級アルキル基
の例はイソプロピル、sec−ブチル又は1−エチルプ
ロピルである。多くの場合、Q1 はアルキル基又はフェ
ニル基、特に炭素数1〜4のアルキル基であり、Q2
水素原子である。
【0032】具体的には、ポリ(2,6−ジメチル−
1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチ
ル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ
プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−
メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、
ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレ
ン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,
4−フェニレン)エーテル、2,6−ジメチルフェノー
ル/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,
6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリエチルフェ
ノール共重合体、2,6−ジエチルフェノール/2,
3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−ジプ
ロピルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール
共重合体、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ン)エーテルにスチレンをグラフト重合したグラフト共
重合体、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−ト
リメチルフェノール共重合体にスチレンをグラフト重合
したグラフト共重合体等が挙げられる。
【0033】好適なPPEの単独重合体としては、ポリ
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)で
ある。好適な共重合体としては、2,6−ジメチル−
1,4−フェニレンエーテルと2,3,6−トリメチル
−1,4−フェニレンエーテルとのランダム共重合体で
ある。PPEの分子量は通常クロロホルム中、30℃の
固有粘度が0.2〜0.8dl/g程度のものである。
【0034】PPEは、通常前記のモノマーの酸化カッ
プリングにより製造される。PPEの酸化カップリング
重合に関しては、数多くの触媒系が知られている。触媒
の選択に関しては、数多くの触媒系が知られている。触
媒の選択に関しては特に制限はなく、公知の触媒のいず
れも用いることができる。例えば、銅、マンガン、コバ
ルト等の重金属化合物の少なくとも一種を通常は種々の
他の物質との組み合わせで含むもの等である。
【0035】(ii)末端ヒドロキシアルキル化 アルコール性水酸基含有ポリフェニレンエーテル樹脂
は、例えば、以下の(A)〜(E)に示す方法により製
造することができる。 (A)式(XI)で示されるPPE
【0036】
【化12】
【0037】(式中、Q1 ,Q2 ,mは式(X)と同じ
である。)に、式(XII)
【0038】
【化13】
【0039】で示されるグリシドールを反応させ、式
(XIII)
【0040】
【化14】
【0041】(式中、Q1 ,Q2 およびmは前記式(X
I)と同じ。nは1〜10の数を表す。)で示されるア
ルコール性水酸基含有PPEを製造する方法(特開平3
−250025号)。 (B)PPEに、式(XIV)
【0042】
【化15】
【0043】(式中、Zはハロゲン原子を表す。)で示
されるエピハロヒドリン、例えばエピクロルヒドリンを
反応させ、次に得られた末端グリシジル変性PPEを加
水分解し、一般式(XV)
【0044】
【化16】 (式中、Q1 ,Q2 およびmは前記と同じ。)で示され
るアルコール性水酸基含有PPEを製造する方法(特開
平3−250025号)。 (C)PPEに、一般式(XVI)
【0045】
【化17】
【0046】(式中、R1 は炭素数1〜10のアルキレ
ン基を表す。Zはハロゲン原子を表す。)で示されるハ
ロゲン化アルキルアルコール、例えば、2−クロルエタ
ノールまたは3−クロル−1−プロパノール等を反応さ
せ、一般式(XVII)
【0047】
【化18】
【0048】(式中、Q1 ,Q2 ,mおよびR1 は式
(XI)、(XVI)と同じ。)で示されるアルコール性水酸
基含有PEEを製造する方法(特願平2−92998
号)。 (D)PPEに、一般式(XVIII)
【0049】
【化19】
【0050】(式中、R2 は水素原子または炭素数1〜
8のアルキル基を表す。)で示されるアルキレンカーボ
ネート、例えばエチレンカーボネートまたはプロピレン
カーボネート等を反応させ、一般式(XIX)
【0051】
【化20】
【0052】(式中、Q1 ,Q2 ,mおよびR2 は式
(XI)、(XVIII)と同じ。)で示されるアルコール性水
酸基含有PPEを製造する方法(特開平3−25002
7号)。 (E)PPEに、一般式(XX)
【0053】
【化21】
【0054】(式中、R3 は水素原子または炭素数1〜
8のアルキル基を表す。)で示されるアルキレンオキシ
ド、例えばエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド
等を反応させ、一般式(XXI)
【0055】
【化22】
【0056】(式中、Q1 ,Q2 ,mおよびR3 は式
(XI)、(XX)と同じ。)で示されるアルコール性水酸
基PPEを製造する方法(特開昭63−128021
号)。なお、ここで使用する有機溶媒は、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;クロロホルム、
四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;クロルベンゼン、
ジクロルベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素;N−
メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミ
ダゾリジノン等の複素環式化合物等である。
【0057】また、塩基性触媒としては、ナトリウムメ
トキシド、ナトリウムエトキシド等のアルコラート;水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸
化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属
炭酸塩等が挙げられる。これらの反応に用いるPPEと
官能化剤の反応量比は、PPEの末端フェノール性水酸
基1モルに対して、官能化剤1〜50モルであり、塩基
性触媒の使用量は、PPE100重量部に対し、0.5
〜50重量部である。
【0058】以上の(A)〜(E)に示す方法により得
られるアルコール性水酸基含有PPEの中でも、反応活
性および反応性の異なるアルコール性水酸基を2個以上
有する式(XIII)で示されるもの、または式(XV)で示
されるものが好ましく、特に、式(XIII)で示されるも
のが好ましい。本発明において、成分(B)のアルコー
ル性水酸基含有PPEの一部(80重量%以下)をポリ
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)な
どの未変性のポリフェニレンエーテルにおきかえてもよ
い。
【0059】付加的成分 本発明による樹脂組成物には、他の付加的成分を添加す
ることができる。例えば、PPSに周知の酸化防止剤、
耐候性改良剤、造核剤、難燃剤等の添加剤を;PPEに
周知の酸化防止剤、耐候性改良剤、可塑剤、流動性改良
剤等を付加成分として使用できる。また有機、無機充填
剤、補強剤、特にガラス繊維、マイカ、タルク、ワラス
トナイト、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、シリカ
等の添加は剛性、耐熱性、寸法精度等の向上に有効であ
る。実用のために各種着色剤およびそれらの分散剤など
も周知のものが使用できる。
【0060】さらに、耐衝撃強度向上剤の添加、特にス
チレン−ブタジエン共重合体ゴムおよびその水素化物、
エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピ
レン−ジエン共重合体ゴム、さらにそれらのα,β−不
飽和カルボン酸無水物変性体およびグリシジルエステル
もしくは不飽和グリシジルエーテルとの変性体並びに不
飽和エポキシ化合物とエチレンからなる共重合体または
不飽和エポキシ化合物、エチレンおよびエチレン系不飽
和化合物からなる共重合体等の添加は組成物の衝撃強度
向上に有効である。上記の耐衝撃性向上剤は、単独で用
いても良いし、2種またはそれ以上併用しても良い。耐
衝撃強度向上剤の配合量は、目安とする物性値により異
なるが、例えば組成物の剛性と衝撃強度のバランスの改
良の場合は、組成物の樹脂成分中5ないし30重量%で
ある。
【0061】構成成分の組成比 本発明の熱可塑性樹脂組成物における成分(A)と成分
(B)の配合割合は、(A)成分の変性PPSが10〜
90重量%、好ましくは20〜80重量%、より好まし
くは30〜70重量%であり、変性PPEは、90〜1
0重量%、好ましくは70〜30重量%、より好ましく
は70〜50重量%である。PPSが10重量%未満で
は耐有機溶剤性が劣り好ましくなく、90重量%超過で
は耐熱剛性が十分でなく好ましくない。
【0062】混合組成物の製法および成形法 本発明の熱可塑性樹脂組成物を得るための溶融混練の方
法としては、熱可塑性樹脂について一般に実用されてい
る混練方法が適用できる。例えば、粉状または粒状の各
成分を、必要であれば、付加的成分の項に記載の添加物
等と共に、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V
型ブレンダー等により均一に混合した後、一軸または多
軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサー等で混練す
る事ができる。成分の混合順序は、特に限定されない。
【0063】本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形加工法
は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂につい
て一般に用いられる成形法、すなわち、射出成形、中空
成形、押出成形、熱成形、プレス成形等の成形法が適用
できる。
【0064】
【実施例】以下、本発明を実施例によって、詳しく説明
する。使用した各成分は次のとおりである。 PPS:トープレン社製PPS(商品名:トープレンT
−7)を用いた。
【0065】変性PPS−1:PPS(トープレンT−
7)3kgに、無水マレイン酸30gを添加し、よく混合
した後、二軸押出機で290〜320℃の温度で溶融混
練し、ダイよりストランド状に押し出し、ペレット化し
た。
【0066】変性PPS−2:PPS(トープレンT−
7)3kgに、グリシジルメタクリレート30gを添加
し、よく混合した後、二軸押出機で290〜320℃の
温度で溶融混練し、ダイよりストランド状に押し出し、
ペレット化した。
【0067】変性PPS−3:PPS(トープレンT−
7)3kgに、N−{4−(2,3−エポキシプロキシ)
−3,5−ジメチルフェニルメチル}アクリルアミド
(鐘淵化学工業(株)製、商品名カネカAXE)30g
を添加し、よく混合した後、二軸押出機で290〜32
0℃の温度で溶融混練し、ダイよりストランド状に押し
出し、ペレット化した。
【0068】PPE:日本ポリエーテル(株)社製ポリ
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)
(30℃におけるクロロホルム中で測定した固有粘度
0.3dl/g)を用いた。 アルコール性水酸基含有PPE−1:次の方法で製造し
た。
【0069】固有粘度0.3dl/gのPPE 500g
に、キシレン 21リットルを加え、窒素雰囲気下、8
0℃で撹拌して完全溶解させた。この溶液に触媒のナト
リウムエトキシド 15gおよびメタノール 100ml
を加えた後、グリシドール100gを30分かけて滴下
した。更に、80℃で2時間撹拌を続けた。反応混合物
をメタノール 10リットル中に注ぎ、生成物のアルコ
ール性水酸基含有PPE−1を沈澱させた。生成物を濾
別して、メタノールで2回洗浄後、80℃で減圧加熱乾
燥した。
【0070】このアルコール性水酸基含有PPE−1
は、その赤外線吸収スペクトルの3,380cm-1付近に
アルコール性水酸基に由来する吸収を示した。また、末
端基のフェノール性水酸基の定量を実施したところ、9
0%が反応していることが判明した。なお、PPEの末
端フェノール性水酸基の反応率は、ジャーナル・オブ・
アプライド・ポリマー・サイエンス:アプライド・ポリ
マー・シンポジウム(Journal of Applied Polymer Sci
ence:Applied Polymer Symposium) 、34巻、(198
7年)、103〜117頁に記載の方法に準じて、反応
前後の末端フェノール性水酸基を定量して計算した。 アルコール性水酸基含有PPE−2:次の方法で製造し
た。
【0071】固有粘度0.3dl/gのPPE 350g
に、エピクロルヒドリン 5リットルを加え、窒素雰囲
気下、100℃で撹拌して溶解させた。この溶液中にナ
トリウムエトキシド 70gおよびメタノール 300
mlを20分間で加えた。さらに100℃で4時間撹拌を
続けた。反応混合物を室温まで冷却後、メタノール10
リットル加え、生成物の変性PPEを沈澱させた。この
生成物を濾過後、メタノール10リットルで洗浄、さら
に純水10リットルで2回洗浄し、再びメタノール10
リットルで洗浄した。その後、80℃で減圧加熱乾燥
し、グリシジル化PPE 351gを得た。
【0072】末端基を定量したところ、原料のPPEの
末端フェノール性水酸基の99%が反応していることが
判明した。得られたグリシジル化PPE 100gに純
水1リットル、濃硫酸 5gを加えて5時間加熱還流さ
せた。反応混合物をメタノール10リットル中に注ぎ、
生成したアルコール性水酸基含有PPEを沈澱させた。
次に、生成物をクロロホルム2リットルに再び溶解さ
せ、メタノール10リットルを注ぐことにより、再沈精
製した。生成物を80℃で減圧加熱乾燥し、アルコール
性水酸基含有PPE−2を100g得た。 溶融ヒドロキシアルキル化PPE(比較用):固有粘度
0.3dl/gのPPE 3kgに、2−ヒドロキシエチル
メタクリレート90gを添加し、よく混合した後、二軸
押出機で240〜280℃の温度で溶融混練し、ダイよ
りストランド状に押し出し、ペレット化した。
【0073】(実施例1)変性PPS−1 50重量部
と末端ヒドロキシアルキル化PPE−1 50重量部を
ドライブレンドした後、東洋精機(株)製ラボプラスト
ミルを用い、温度310℃、ローター回転数180rpm
で5分間混練した。混練終了後、粉砕機で粉砕して粒状
とした。粒状の試料を東洋精機(株)製圧縮成形機を用
いて、温度310℃の条件で、厚さ2mmのシートを成形
した。このシートを熱風乾燥器内で、120℃、4時間
加熱し、ポリフェニレンスルフィド系樹脂の結晶化を充
分に行った。このシートより物性評価用の試験片を切削
加工した。
【0074】なお、混練、成形に際して、変性PPS−
1はあらかじめ100℃、24時間真空乾燥したものを
用いた。また、物性評価用試験片は2日間、デシケータ
内に保存した後評価した。剛性は、JIS−K−710
6に準じて23℃において曲げこわさ試験を実施した。
耐衝撃強度はJIS−K−7110に準じて2mm厚試片
を3枚重ねにして、アイゾット衝撃試験機にて測定し
た。分散形態は、シートの一部を切り取り、日立製作所
(株)製走査形電子顕微鏡S−2400を用い、倍率1
000倍および5000倍で観察した。観察した形態写
真から日本アビオニクス(株)製SPICCAII型画像
解析装置を用いて数平均分散粒径Dnを次式により求め
た。
【0075】Dn=Σnidi/Σni 外観は良好なものを○、これより悪いが実用上問題ない
ものを△、疎面で実用上問題があるものを×とした。こ
れらの結果を表1に示した。
【0076】(実施例2〜14、比較例1〜6)表1、
表2または表3に示す配合でドライブレンドし、実施例
1と同様に実施した。これらの結果を表1、表2または
表3に示した。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】
【0080】
【発明の効果】本発明は、(a)エチレン性不飽和結合
と(b)エポキシ基や酸無水物基などの官能基を同時に
有する化合物で変性したPPS(A)と、アルコール性
水酸基含有PPEを組み合わせることによりPPSとP
PEの相溶性を極めて良好にすることができ、成形品の
外観と衝撃強度を顕著に改善せしめた。
【0081】
【効果】(A)成分の−COOH、エポキシ基と、
(B)成分のアルコール性水酸基が反応し、或いは、
(A)成分と(B)成分は同じ芳香族環を有し、−OH
基を有するので両者の相溶性は良好であり、剛さ、衝撃
性に優れるエンジニアリングプラスチックを与える。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の成分(A)および成分(B)が下
    記割合にて配合されてなる熱可塑性樹脂組成物。 成分(A) ポリフェニレンスルフィドを、分子中に
    (a)エチレン性不飽和結合と、(b)カルボキシル
    基、酸無水物基、水酸基およびエポキシ基からなる群よ
    り選ばれる官能基を同時に有する有機化合物から選ばれ
    た変性剤でラジカル開始剤の存在下または非存在下に変
    性して得られる変性ポリフェニレンスルフィド樹脂
    10〜90重量%。 成分(B) 一般式(I)で示されるアルコール性水酸
    基含有ポリフェニレンエーテル樹脂 90〜10重量
    %。 【化1】 (式中、Q1 は各々ハロゲン原子、第一級もしくは第二
    級アルキル基、芳香脂肪族炭化水素、アミノアルキル
    基、ハロ炭化水素基、炭化水素オキシ基又はハロ炭化水
    素オキシ基を表し、Q2 は各々水素原子、ハロゲン原
    子、第一級もしくは第二級アルキル基、ハロ炭化水素基
    又はハロ炭化水素オキシ基を表す。Xは、水素原子、炭
    素数1〜8のアルキル基または水酸基を表す。lは0〜
    8の数、mは10〜400の数、nは1〜10の数であ
    る。)
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