JPH05267031A - 磁心材料 - Google Patents

磁心材料

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JPH05267031A
JPH05267031A JP4059235A JP5923592A JPH05267031A JP H05267031 A JPH05267031 A JP H05267031A JP 4059235 A JP4059235 A JP 4059235A JP 5923592 A JP5923592 A JP 5923592A JP H05267031 A JPH05267031 A JP H05267031A
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JP
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magnetic
core material
magnetic core
alloy
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JP4059235A
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English (en)
Inventor
Takeshi Masumoto
健 増本
Shigehiro Onuma
繁弘 大沼
Kiwamu Shirakawa
究 白川
Masateru Nose
正照 野瀬
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Hitachi Metals Ltd
Original Assignee
Sumitomo Special Metals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い電気抵抗を有すると同時に保磁力が小さ
く、かつ透磁率の高い優れた軟磁気特性を有し、その
上、耐摩耗性が特に大きい磁心材料を提供すること。 【構成】 Zrを5〜15%、B,Be, Al, Si, Geおよび S
n の何れか1種または2種以上を4〜15%(但し、B<
7%)、Cr, Mo, W,V,NbおよびTa何れか1種または
2種以上を5〜16%であって、Zr以外の上記各元素の合
計含有量を20%以下とし、残部実質的にCoよりなる非晶
質合金の電気抵抗が 120〜145 μΩcmである磁心材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁心材料に関し、特に
電気抵抗が高く、かつ磁歪が小さく透磁率の高いコバル
ト基非晶質合金からなる磁心材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、弱電用小型磁心、例えば捲鉄心、
磁気ヘッド等の材料としては、Mo パーマロイ( JIS−
PC級パーマロイ) が主として用いられているが、これら
の合金はその特性を得るためには極めて厳しい条件下で
の熱処理が必要であり、特に捲鉄心として使用する際の
鉄損をできるだけ少なくするために 100〜50μmという
薄帯にしなければならず、そのための圧延および熱処理
の工程が複雑である。又、磁気ヘッドとして長時間使用
すると磁気テープによる摩耗のために録音特性が著しく
劣化する点に問題があり、そのために現在では磁気ヘッ
ド用磁性合金としては前述のパーマロイ系合金のほかに
フェライト,アルパームあるいはセンダストのような高
硬度の材料も用いられている。これらのうちフェライト
は高周波において優れた電磁気特性を示し、かつ摩耗お
よび変形は小さいが、一方飽和磁化が低く記録歪みを生
じやすい上に摺動ノイズが多く信号対雑音比(S/N)
を大きくすることができないことが本質的欠陥となって
いる。またアルパームやセンダストは磁気特性の点では
優れているが、これらの材料は展延性及び機械加工性に
乏しいという欠点を有している。以上述べたように、従
来用いられている磁心用材料は種々の欠点があり、十分
満足しうる材料は得られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これに対し、最近、非
晶質金属材料が着目されてきた。この材料は、高い磁気
特性を有すると共に、製法上からみて本質的に薄帯状で
得られるために、交流磁心材料として注目されているも
のである。すなわち、Fe, Co, Niとその他にP,C,
B,Siなどの非晶質化元素を約20原子%含む成分組成の
非晶質合金は、上記の各種結晶質高透磁率金属材料に比
べ、保磁力が小さく、透磁率が大きい等優れた磁気特性
が得られることが知られている。
【0004】しかしながら、これらの非晶質材料は、磁
気特性改善のために一般に結晶化温度以下の温度で熱処
理を施す必要があるが、前記熱処理によれば脆性は逆に
大きくなり、機械的性質、特に耐摩耗性は硬度が高い割
には低いという欠点がある。さらに、例えばFe40−Ni40
−P14−B6 非晶質合金に見られるように磁性の熱的安
定性が悪いという欠点もある。しかも、P,C,B,Si
等の半金属元素を約20原子%も多量に含む非晶質合金
は、硬度が 800〜1100Hv と高いために所望の形状に打
ち抜くためのダイスの寿命が極めて短いことが問題とな
っている。
【0005】本発明は、従来実用されている結晶質の磁
心用高透磁率金属材料が有する前記諸欠点がなく、しか
も既知の非晶質合金が有する前記欠点をも同時に解消
し、電気抵抗が高くかつ低磁歪, 高透磁率であって、か
かる磁気特性の熱的安定性に優れていることに加え、打
ち抜きあるいは切断等の機械加工性が良く、熱処理によ
る脆化が少ないという特長を備えた非晶質合金からなる
磁心材料を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的によく適
合する磁心材料として、本発明は、(1) 原子比率で、
Zrを5〜15%、B,Be, Al, Si, Geおよび Sn の中から
選ばれる何れか1種または2種以上を4〜15%(但し、
B<7%)、Cr,Mo, W,V,NbおよびTaの中から選ば
れる何れか1種または2種以上を5〜16%であって、Zr
以外の上記各元素の合計含有量を20%以下とし、残部実
質的にCoよりなる非晶質合金であって、電気抵抗が 120
〜145 μΩcmである磁心材料(第1発明材料)、(2)
原子比率で、Zrを5〜15%、B,Be, Al, Si, Geおよび
Sn の中から選ばれる何れか1種または2種以上を4〜
15%(但し、B<7%)、Cr, Mo, W,V,NbおよびTa
の中から選ばれる何れか1種または2種以上を5〜16%
であって、Zr以外の上記各元素の合計含有量を20%以下
とし、そして電気磁気特性改善成分として、Fe, Ni, M
n, Cu, Ru, RhおよびPdの中から選ばれる何れか1種を
それぞれ10%以下、または2種以上を合計で20%以下、
残部実質的にCoよりなる非晶質合金であって、電気抵抗
が 120〜145 μΩcmである磁心材料(第2発明材料)、
を提案する。
【0007】
【作用】通常、固体の金属,合金は結晶構造を有する
が、適当な組成をもつ合金を液体状態から急速に冷却す
るか、あるいは蒸着法、スパッタ法、メッキ法等の種々
の技術を用いることにより、液体に類似した周期的原子
配列を持たない非結晶構造の固体が得られる。このよう
な金属は、非晶質金属あるいは非晶質合金と呼ばれる
(以下非晶質金属あるいは非晶質合金の両方を、「非晶
質合金」と言う)この非晶質合金は、前述のように種々
の技術を適当に用いても得られることがよく知られてお
り(例えば特開昭49−91014号),中でも気相から超急冷
するスパッタ法によれば液体急冷法により得られる非晶
質合金の組成範囲よりも広い組成範囲で非晶質合金が得
られることが知られている。
【0008】液体急冷法の例としては、第1図(a) に示
す如く高速回転する1つの円板の外周面上または第1図
(b) に示す如く高速に互いに逆回転する2つのロールの
間に、液体金属を連続的に噴出させ、回転円板または双
ロールの表面上で104 〜106℃/秒程度の冷却速度で急
冷凝固させる方法がある。
【0009】この非晶質合金を組成的に見ると、遷移金
属元素と半金属元素とを組み合わせた合金系(半金属量
は約10〜30原子%) と、原子半径が異なる2種又は3種
以上の遷移金属元素を組み合わせた合金系との2種の合
金系が知られている。後者の合金系の一例としては、遷
移金属元素である鉄族元素とジルコニウムからなる非晶
質合金が知られており、本発明者らは、上記鉄族元素と
ジルコニウムを含む各種非晶質合金の中に強磁性を有す
る合金があることを新規に知見し、特願昭54−43838 号
(特公昭60−30734 号;特許第1314339 号) として、先
に特許出願した。
【0010】本発明者らは、上記鉄族元素とジルコニウ
ムを含む非晶質合金のうち特にCoを主成分とする非晶
質合金につき、主として磁心材料として用いるために、
さらに詳細な研究を行なった結果、所定成分組成を有す
る合金を液相、気相から超急冷して得た非晶質合金より
なる磁心材料、又はこれに所定の熱処理を磁場中あるい
は応力下で施して得られる磁心材料は、電気抵抗が高
く、それと共に保磁力および磁歪が小さくかつ透磁率が
高く、熱的ならびに経時的に安定した磁気特性を具え耐
摩耗性に富み、さらに半金属元素を多量に含む従来の非
晶質合金に比べ脆化し難く、かつ打ち抜き,研磨あるい
は切断等の機械加工性が良好であるということを、新規
に知見して本発明に想到した。
【0011】本発明の磁心材料は、前記特長の他に、機
械加工によっても磁気特性がほとんど変化しないという
特長をも有する。すなわち、透磁率、保磁力、残留磁束
密度などは合金に張力を加えても殆んど一定で変わら
ず、外部応力に対して不感である。いわゆる、本発明の
磁心材料は、切断,打ち抜きあるいは研磨等の機械加工
によって磁気特性が殆んど劣化しないので、合金を所定
の寸法,形状に打ち抜き,研磨あるいは切断して得られ
る薄片を使用する際に非常に有利である。さらに本発明
磁心材料は、電気抵抗が 120〜145 μΩcmと高く、しか
も20〜40μm程度の薄帯状にも製造できるので、高周波
特性の良い磁心材料として非常に好適である。
【0012】次に本発明の磁心材料を実験データに基い
て説明する。この実験において用いた磁心材料は、幅約
2mm、厚さ約20μmの薄帯試料である。該試料は、本発
明材料の成分組成を有する合金溶湯を、第1図(a) に示
す如く高速回転する1つの円板の外周面上に連続的に噴
出させて、回転円板の表面上で105〜106℃/秒程度の冷
却速度で急冷凝固させて得た。さらに、前記超急冷して
なる磁心材料を約350 〜500 ℃の温度範囲でかつこの材
料の結晶化温度未満の温度において焼鈍した後、室温ま
で冷却し磁気特性を測定した。
【0013】第1表に本発明の非晶質合金からなる磁心
材料、既知の金属−半金属系非晶質合金の一部、ならび
に従来一般に用いられている各種結晶質高透磁率金属材
料について、それらの成分組成および磁気特性を示し
た。第1表においてNo. 1〜5は本発明に係る磁心材
料、No. 10,11は既知のFe−Ni−P−B系およびCo−Fe
−Si−B系非晶質合金、No. 12,13はそれぞれ市販の高
硬度パーマロイおよびフェライトである。
【0014】
【表1】
【0015】第1表から判るように、本発明磁心材料
(No. 1〜No. 5)は、市販の高透磁率金属材料に比べ
て優れた磁気特性を有している。例えば、本発明材料と
比較例No. 12の高硬度パーマロイとを比べると、保磁力
が同等以上である。また、最大透磁率が高く、かつ飽和
磁束密度が同レベル以上の合金と言える。そして、この
本発明材料は、硬度が前記No. 12の高硬度パーマロイに
比べると約1.7〜2倍も高く、またフェライトと比較し
てもほぼ同等以上であることが判る。
【0016】以上説明した本発明材料は、第1表から判
るように、磁歪と透磁率とに優れるのみならず、さらに
高い電気抵抗をも有するものであり、そのために磁心材
料として必要な鉄損値の低い優れた磁気特性を有するも
のである。特に、電気抵抗については、Co−Zr系(メタ
ル−メタル系)であるにも拘わらず、第1表中に比較例
として示したメタル−メタロイド系のものと遜色のない
程高い値を示すものであり、それ故に、本発明材料は、
従来のメタル−メタル系非晶質合金では着目されていな
かった、いわゆる磁心材料として好適であることが判
る。
【0017】本発明の Co76Mo10B5Zr9系非晶質磁心材料
の薄帯試料を、トロイダル状に巻き、それぞれ150 〜49
0℃間の範囲で各20分間焼なました際の1KHz における
実効透磁率は、第2図に示すように変化する。この第2
図から判るように、熱処理を施さない急冷材の実効透磁
率は5000程度であるが、この材料を非酸化性雰囲気ある
いは真空中において結晶化温度以下の温度範囲内で焼な
ましを施すことにより、磁気特性が大きく改善され、例
えば450 〜500 ℃で焼なました試料の実効透磁率は30,0
00〜40,000程度にまで上昇することが判る。
【0018】また、第3図に示すように、Moパーマロイ
の実効透磁率は周波数10 KHzを超えると急激に低下する
が、本発明材料に類似する合金、例えば Co76 8 6
Zr10非晶質合金の実効透磁率は、周波数 20KHz 付近ま
では変化せず、可聴周波数範囲内で優秀な性質を有する
ことが判った。一方、アルパームに比べても、広い周波
数範囲ではるかに高い実効透磁率を有することが判る。
このことから本発明磁心材料は、磁気ヘッドあるいは家
電用小型トランス等に適した材料であることが判る。
【0019】以下に、本発明磁心材料の成分組成限定の
理由、特に磁心材料として好ましい、高い電気抵抗を有
する一方で、その特性を害することなく、低磁歪, 高透
磁率といった優れた電磁気特性をも併せて実現するため
の材料設計の方法について詳しく説明する。
【0020】特許請求の範囲第1項記載の磁心材料(第
1発明材料)は、非晶質形成能を有するZrの他、同効の
B,Be, Al, Si, Geおよび Sn 各元素からなる合金であ
り、この材料はZrの含有量を低く抑えることができる。
すなわち、Zrは、5%以上で高い透磁率が得られる。一
方、15%よりも多いと磁束密度が著しく低下するので、
Zrは5〜15%の範囲内にする必要があり、6〜12%の範
囲内においてより良好な磁気特性が得られる。
【0021】次に、B,Be, Al, Si, GeおよびSnは、い
ずれも非晶質の形成能を有する元素である。特に、Bを
単独で使う場合、それを7%以上含有すると磁束密度の
低下をきたすだけでなく、磁気特性の熱的ならびに経時
的安定性を劣化させ、あるいは脆化温度の低下を招くの
で7%未満とする。他の元素については、それを15%よ
り多くすると磁束密度の著しい低下をきたし、材料が脆
化する。望ましくは10%未満が好適である。
【0022】また、これらのB,Be, Al, Si, Geおよび
Snは、V, VI族元素と同じくキューリー温度を下げ、熱
処理を容易にしたり、あるいは磁歪の低減効果をも有す
る元素であるが、これらの元素の合計量は、4%より少
ないとその効果が小さい。したがって、これらの元素の
合計量は4〜15%の範囲内にする必要があり、5〜13%
の範囲内がより好適であり、さらに5〜10%の範囲内が
最適である。
【0023】次に、本発明磁心材料中に含有させること
が必要なCr, Mo, W, V, NbおよびTaのV族あるいはVI族
元素は、この磁心材料の場合を含めて一般に非晶質化を
助勢し、キューリー温度を下げる効果があるために、熱
処理を容易にし、さらに磁歪の低減効果を有する元素で
ある。しかしながら、これらの元素は、5%未満だとそ
の効果が小さいため5%以上含有させることが必要であ
り、一方、16%よりも多いと却って飽和磁束密度が著し
く低下する。従って、本発明磁心材料にあってこれらの
元素は、5〜16%の範囲内とする必要がある。
【0024】なお、本発明磁心材料においては、上述し
たB,Be, Al, Si, GeおよびSnの中から選ばれる何れか
少なくとも1群の元素と、上記Cr, Mo, W, V, Nbおよび
Taの中より選ばれる何れか少なくとも1種の元素との合
計量は、20%を超えると材料が脆化したり磁束密度が著
しく低下したりするので、合計で20%以下にする必要が
ある。望ましくは15%以下が好適である。
【0025】次に、特許請求の範囲第2項記載の磁心材
料 ( 第2発明材料) においては、上記の成分に加えて
いずれも電磁気特性改善のために、下記元素(イ) 〜(ニ)
を含有させる。 (イ) Fe:10%以下 (ロ) Ni:10%以下 (ハ) Mn, Cuの中から選ばれる何れか1種または2種:10
%以下 (ニ) Ru, RhおよびPdの中から選ばれる何れか1種または
2種以上:10%以下
【0026】(イ)のFeは、磁束密度を上昇させる効果を
有するが磁歪も同時に上げるので10%以下にする。より
好ましくは5%以下が良い。 (ロ)のNiは、磁歪を低減させるが同時に結晶化温度及び
磁束密度をも低下させてしまうので10%以下にする。 (ハ)のMnは、抵抗率を高め、保磁力を減少させる効果が
あり、また、Cuは、透磁率や保磁力を害することなく耐
摩耗性を向上させる元素である。これらの元素は、とも
に10%より多くすると飽和磁束密度が低下し、合金が脆
化するので10%以下にする。 (ニ) 群に属するRu, Rh, Pdの何れか少なくとも1種を10
%より多くすると透磁率は高くなるが、磁束密度が低下
するので10%以下にする。
【0027】なお、本発明の第2発明磁心材料において
は、前記(イ),(ロ),(ハ),(ニ) の中から1種または2種以上
選択された元素については、それらの合計量を20%より
多くすると、磁束密度または透磁率が著しく低下するの
で20%以下にする必要がある。望ましくは15%以下、さ
らに高い磁束密度を得るためには10%以下が好適であ
る。
【0028】以上に説明した本発明磁心材料は、Coの
他、非晶質化のためのZrとともに適量の半金属とV族お
よび/またはVI族元素を含むので、透磁率が高く磁歪が
ほぼ零である合金を極めて容易に製造することができ
る。また、本発明者らの研究によると、上記各成分組成
範囲内においては 120〜145 μΩcmの高い電気抵抗を有
する磁心材料が得られることを確認した。以上説明した
とおりの第1, 2各発明についての構成の関連を第2表
に示す。
【0029】
【表2】
【0030】本発明にかかる磁心材料は、前述の種々の
技術を用いて得た非晶質合金素材を、その合金素材の結
晶化温度未満の温度で焼鈍した後、急冷あるいは徐冷す
ることによって得ることができる。この場合、焼鈍雰囲
気は非酸化性あるいは真空中で行うことは有利である。
ただし、若干の酸素によって非晶質合金の表面が酸化さ
れても磁気特性をそこなうことがない場合には、むしろ
それによって形成される酸化被膜が絶縁被膜としての効
果を有する。
【0031】本発明の非晶質磁心材料を 150℃〜結晶化
温度未満の範囲内で焼鈍した後、急冷あるいは徐冷する
と加工歪が除去され、磁気特性を向上させることができ
る。また、本発明の磁心材料を磁場あるいは応力の少な
くとも1つの作用下において、結晶化温度以下の温度で
焼鈍した後、急冷あるいは徐冷すると、より優れた磁気
特性を有する合金を得ることができる。なお、前記磁場
中焼なましによる磁気特性改善方法として本発明者の一
人が発明し、特開昭51−73923 号公報により開示された
方法を用いることができる。
【0032】
【実施例】実施例1 本発明に係る Co78Mo94Zr9系非晶質磁心材料と、比較
例としてFe40Ni40P14B6 非晶質合金を 360℃及び 400℃
で各30分間熱処理を施した後、曲げ試験を行なった結果
を第3表に示す。なお、実施例1〜4において用いた磁
心材料は幅約2mm,厚さ約20μmの薄帯試料である。
一般に、非晶質合金の脆化の評価方法として、2枚の平
行板の間隔Lを測定し、試片が破壊した際のL値を求
め、次式により破壊ひずみ (ここでtは試片の厚さを示す) を求めるという手段が
採用されているが、第3表の結果もこの方法によった。
なお、第3表中εf >1は試料を完全に密着する迄曲げ
ても破壊しないこと、また、 εf =1は密着曲げによ
って破壊することを表わす。
【0033】
【表3】
【0034】第3表から明らかなように、所定の磁気特
性を得るための熱処理によっても本発明磁心材料はほと
んど脆化しないことが判る。
【0035】実施例2 本発明の Co78Mo9B4Zr8 系非晶質磁心材料を 480℃×30
分間無磁界中焼なましを施して、保磁力16 mOe、実効透
磁率( 1KHz )17,000を得たが、その後に 100℃で10,0
00分間時効させたところ、保磁力、実効透磁率共に全く
変化はなかった。
【0036】実施例3 本発明のCo80Mo8B4Zr8非晶質磁心材料と、比較例として
Co70.3Fe4.7Si15 B10非晶質合金の2種の材料について
行った切断試験の結果を第4表に示す。試験方法は、厚
さ約20μm、幅約2mmの試片をシェアー(剪断機)によ
り切断をくり返し、刃の摩耗によって上下の刃が試片を
かみ込み、切断が不可能な状態に至るまでの切断回数を
調べたものである。なお使用した刃のビッカース硬度は
650 である。
【0037】
【0038】第4表に明らかなように、本発明磁心材料
は、Co−Fe−Si−B系非晶質合金に比べシェアーの刃の
寿命が4倍以上であり、本発明磁心材料の機械加工性は
従来から知られている非晶質合金のそれに比べて優れて
いることがわかる。
【0039】実施例4 第5表に示す組成からなる本発明磁心材料について、幅
約10mm,厚さ約30μmの薄帯を長手方向に200 Oeの磁界
を印加しながら、各材料の結晶化温度より50℃低い温度
で20分間加熱し冷却した後、薄帯を巻いてトロイダル状
試料となし、磁気特性を調べた。何れの材料も8000G以
上の高い飽和磁束密度と低い保磁力及び高い最大透磁率
が得られ、巻磁心として有用であることが判った。
【0040】
【表5】
【0041】実施例5 本発明に係るCo78Ni3Mo7B4Zr8 系非晶質磁心材料の薄帯
(幅約15mm,厚さ約30μm) からフォトエッチング法に
より磁気ヘッドコアの形状に抜き、比較例として市販の
Co−Fe−Si−B及びパーマロイ製の同一形状コアと共に
カセットテープ用磁気ヘッドコアに一緒に組み込んで23
℃,相対湿度50%及び40℃,相対湿度75%の2種類の環
境下でそれぞれカセットデッキを用いてγ−酸化鉄テー
プによる耐摩耗試験を行った。その結果を第4図に示
す。本発明磁心材料は、パーマロイ、Co−Fe−Si−B非
晶質合金のいずれの合金よりも耐摩耗性に優れ、特に高
温多湿の環境で他の合金が非常に摩耗され易くなるのに
対して特に優れた耐摩耗性を示すことがわかる。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように本発明磁心材料は、
高い電気抵抗を有すると同時に、保磁力が小さくかつ透
磁率の高い優れた軟磁気特性を有し、その上、耐摩耗性
が特に大きく、さらに磁心材料としての適用に当たって
好適な形態である薄帯状又は薄膜状試料を容易に製造す
ることができる。しかも、従来知られている半金属元素
を多量に含む非晶質合金に比べ、切断,打ち抜き,研磨
等の機械加工がはるかに容易であるという大きな特長を
兼ね備えているので、磁気ヘッド、高周波トランス等の
磁心材料として極めて好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は、本発明磁心材料を溶融状態から超急
冷するのに用いられる装置の2つの例を示す略線図、
【図2】第2図は、本発明磁心材料と類似の組成の
Co76Mo10B5 Zr9非晶質合金を無磁場中で、それぞれ150
〜490 ℃の間で20分間焼なました際の実効透磁率(1KH
z )の変化を示す図、
【図3】第3図は、Co76W8 B6 Zr10非晶質磁心材料の周
波数と実効透磁率の関係を示す図、
【図4】第4図は、各種磁気ヘッドコア材の耐摩耗性の
比較を示す図である。
【符号の説明】
1…溶融合金 2…急冷凝固された合金 3…冷却回転円板 4…ロール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野瀬 正照 兵庫県伊丹市昆陽泉町4丁目1番地の5

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原子比率で、Zrを5〜15%、B,Be, A
    l, Si, Geおよび Snの中から選ばれる何れか1種または
    2種以上を4〜15%(但し、B<7%)、Cr, Mo, W,
    V,NbおよびTaの中から選ばれる何れか1種または2種
    以上を5〜16%であって、Zr以外の上記各元素の合計含
    有量を20%以下とし、残部実質的にCoよりなる非晶質合
    金であって、電気抵抗が 120〜145 μΩcmである磁心材
    料。
  2. 【請求項2】 原子比率で、Zrを5〜15%、B,Be, A
    l, Si, Geおよび Snの中から選ばれる何れか1種または
    2種以上を4〜15%(但し、B<7%)、Cr,Mo, W,
    V,NbおよびTaの中から選ばれる何れか1種または2種
    以上を5〜16%であって、Zr以外の上記各元素の合計含
    有量を20%以下とし、そして電気磁気特性改善成分とし
    て、Fe, Ni, Mn, Cu, Ru, RhおよびPdの中から選ばれる
    何れか1種をそれぞれ10%以下、または2種以上を合計
    で20%以下、残部実質的にCoよりなる非晶質合金であっ
    て、電気抵抗が 120〜145 μΩcmである磁心材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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