JPH0525390U - 宝飾時計用カバーガラス - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ルビー、サファイア、ダイヤ等の貴石を直接
カバーガラスにロー付け固定する。 【構成】 接合部材双方の接合面に密着性向上のための
Cr層、拡散防止のためのNi層、ヌレ性向上のためのAu層
の３層を成膜し、耐食性の良いAu主成分の低温ロー材を
用いて熱処理し接合する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本発明は、時計用装飾カバーガラス及び宝飾貴金属アクセサリー部品に関する ものである。

【０００２】

【従来の技術及び課題】

従来の時計用装飾カバーガラスは、ガラス裏面に金属からなる蒸着薄膜等を成 形し、金属膜の光の反射によりメタリックでミラー状の光輝効果を現出させるも のや、エポキシ系有機インクを用いたカラー印刷による装飾方法しか無く、より 高級感が求められる宝飾時計においては満足のいく装飾カバーガラスが得られず 、特に宝石をあしらった金時計ケース及びダイヤ入り文字板に匹敵する貴石付き カバーガラスの製造が求められていた。

【０００３】 しかしながら貴石とカバーガラスとの接合組合わせとしては、貴石を台座にカ シメて接着剤によりカバーガラスに固定することが実施されていたが、熱硬化型 または紫外線硬化型のいわゆる有機系接着材を用いるため、接合後の接着材の耐 熱性、耐薬品性、接合強度等に難点があり、高価な貴石を安心して固定するには 問題があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は、加飾する貴石及びカバーガラスの接合面にメタライズ処理を行い、 互いの接合部を低温ロー材により接合固定する宝飾時計用カバーガラスであり、 多面カットされた貴石の下面及びカバーガラス表面上に加工した貴石と同径の溝 内壁部にCr-Ni-Au層を成膜し、接合部材双方のメタライズ層を低温ロー材を介し て約300℃の低温で熱処理することにより固定する。

【０００５】

【実施例１】 図１(a)，(b)に本考案の接合組図の一例を示す。接合面にスパッタ法を用いて 密着性向上のためのCr層、拡散防止のためのNi層、ヌレ性向上のためのAu層の３ 層を各１μm成膜したダイヤモンド１及びサファイアガラス２を、接合部に0.1mm 厚の箔状金−スズ(Au80%-Sn20%)ロー材３を挟み合わせ、連続式ベルト炉を用い 還元雰囲気において280℃〜300℃で５分間熱処理を行い除冷した。その結果、サ ファイアガラス２の表面上に接合強度が２kg／mm²以上の強度を有する強固なダ イヤモンドの接合固定が得られ、さらに外観上においても石止め用台座の無い一 体型の装飾時計用カバーガラスが得られた。

【０００６】

【実施例２】 図２(a)，(b)に本考案の橋脚型カバーガラスの接合組図を示す。サファイアガ ラス４の下面外周接合部にCr-Ni-Au層のメタライズ膜５をパターニングした後、 下面側両端接合部にスクリーン印刷を用いてペースト状の金−スズ(Au80%-20%) ロー材７を付着させ、次に橋脚部材となる棒状ルビー６の一端面にも前記同様な メタライズ処理を行い、棒状ルビー６をサファイアガラス４両端接合部に位置決 めし、電気炉を用い酸化雰囲気において約320℃まで加熱し除冷した。接合した 部品は外観上の金属光沢に変色等が無く、橋脚部に高級感のあるルビーを配した 、サファイアと一体の橋脚型装飾時計用カバーガラスが得られた。

【０００７】

【実施例３】 図３(a)，(b)に本考案の積層状カバーガラスの接合組図を示す。両端面にCr-N i-Au層をメタライズした棒状サファイア８を数本組合わせ、挟間に実施例１で使 用した箔状金−スズ(Au80%-Sn20%)ロー材３を挿入し、その両端面を半月状サフ ァイア部材９で挟み込む様にして実施例１同様、還元雰囲気において280℃〜300 ℃で熱処理し除冷した。接合処理後、サファイア部材の上下面を整厚，研磨する ことにより、カバーガラス中央部にメタリックでミラー状の断面層を有する装飾 時計用カバーガラスが得られた。

【０００８】

【考案の効果】

本考案は、貴石及びカバーガラス双方の接合面の一部にメタライズ処理を行い 、ルビー、サファイア、ダイヤ等の貴石を直接カバーガラス上にロー付け固定す るものであり、従来実施されていた有機系接着剤を用いて貴石を固着していた時 計用カバーガラスの難点であった接合後の耐熱性、耐薬品性、接合強度において 、かかる問題点を全て解決することが可能となった。

【０００９】 このため、宝飾時計用では難しいとされていたカバーガラス表面上への貴石の 加飾が、信頼性、美観を損なうことなく行え、ダイヤ入り文字板等に匹敵する高 級感ある貴石を用いた宝飾時計用カバーガラス部品の製造が可能となり、異種貴 石同士の組合わせ、接合部品形状組合わせによる立体感、高級感あるデザインの 自由度が大きく広がった。

【図面の簡単な説明】

【図１】(a)本考案による貴石付カバーガラスの全体斜
視図。 (b)本考案による貴石接合部の拡大断面組図。

【図２】(a)本考案による橋脚形カバーガラスの全体斜
視図。 (b)本考案による橋脚接合部の拡大断面組図。

【図３】(a)本考案による積層状カバーガラスの全体斜
視図。 (b)本考案による積層状接合部の拡大断面組図。

【符号の説明】

１ ダイヤモンド ２ サファイアガラス ３ ロー材 ４ サファイアガラス ５ メタライズ膜 ６ 棒状ルビー ７ ロー材 ８ 棒状サファイア ９ 半月状サファイア部材

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 宝石により加飾された時計用カバーガラ
   スにおいて、宝石及びカバーガラス双方の接合面の一部
   にメタライズ処理を行い、ルビー、サファイア、ダイヤ
   等の貴石を直接カバーガラスにロー付け固定することを
   特徴とする宝飾時計用カバーガラス。
2. 【請求項２】 カバーガラスがサファイア単結晶からな
   る請求項１の宝飾時計用カバーガラス。