JPH05247652A - ダイヤモンド類被覆部材の製造方法 - Google Patents

ダイヤモンド類被覆部材の製造方法

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JPH05247652A
JPH05247652A JP19114292A JP19114292A JPH05247652A JP H05247652 A JPH05247652 A JP H05247652A JP 19114292 A JP19114292 A JP 19114292A JP 19114292 A JP19114292 A JP 19114292A JP H05247652 A JPH05247652 A JP H05247652A
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    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B41/00After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone
    • C04B41/45Coating or impregnating, e.g. injection in masonry, partial coating of green or fired ceramics, organic coating compositions for adhering together two concrete elements
    • C04B41/52Multiple coating or impregnating multiple coating or impregnating with the same composition or with compositions only differing in the concentration of the constituents, is classified as single coating or impregnation

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、基材とこれを被覆するダイ
ヤモンド類膜との密着性に優れる上に耐摩耗性も向上
し、耐久性に秀で、使用寿命が著しく改善されたダイヤ
モンド類被覆部材の製造方法を提供することにある。 【構成】 本発明は、基材表面に、要すればエッチング
処理の後、周期律表第IVA族、 第VA族および第VI
A族に属する金属ならびにSiから選択される少なくと
も一種の金属またはその炭化物、窒化物もしくは炭窒化
物を蒸着した後に、700〜1,500℃に加熱処理す
ることにより、基材表面に中間層を設け、次いで該中間
層の表面に気相法によりダイヤモンド薄層を形成するこ
とを特徴とするダイヤモンド被覆部材の製造方法であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はダイヤモンド類被覆部材
の製造方法に関し、さらに詳しく言うと、基材とこれを
被覆するダイヤモンド類膜との密着性に優れる上に耐摩
耗性も向上し、耐久性に秀で、使用寿命が著しく改善さ
れたダイヤモンド類被覆部材を容易に製造することので
きる方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来よ
り、高い表面硬度と耐摩耗性とを要求される切削工具、
研削工具および研磨工具等の工具類や機械部品等の耐摩
耗部材に、硬度や耐摩耗性などの点で著しく優れたダイ
ヤモンドが利用されている。たとえば、一般に、CVD
法やPVD法等の気相法によるダイヤモンド合成技術を
利用し、工具類や耐摩耗部材等の基材の表面にダイヤモ
ンド類を析出させてダイヤモンド類被膜を形成させる方
法が知られている。このようにダイヤモンド類被膜で基
材を被覆することにより、工具類や耐摩耗部材に高度の
表面硬度と耐摩耗性とを付与することができるのであ
る。
【0003】しかしながら、基材の表面とダイヤモンド
類被膜とは、一般に密着性が悪い。それゆえ、この密着
性を向上させるために様々な提案がなされている。例え
ば、特開昭60−208473号公報には、サーメット
製基体部材の少なくとも工具作用面に、W、Mo、およ
びNb、ならびにその合金のうちのいずれかからなる平
均層厚が0.05〜1.2μmの蒸着層を介して、人工
ダイヤモンド析出生成法により形成した平均層厚が1〜
10μmの人工ダイヤモンド被膜を被覆してなる人工ダ
イヤモンド被覆工具部材が開示されている。
【0004】しかしながら、蒸着層が基材およびダイヤ
モンド薄膜の双方に対して十分な密着性を有することが
要求されることになるが、そのいずれも十分ではなく、
また蒸着層自体に要求される強度も十分と言えないの
で、実用上十分な耐久性が得られないという問題があ
る。
【0005】特開昭61−106478号公報には、セ
ラミックス焼結体からなる基体の表面に周期律表4a、
5a、6a族金属の炭化物、窒化物、酸化物、ホウ化物
並びに酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、炭化ホウ
素、窒化ホウ素、酸化ケイ素及びこれらの相互固溶体の
中の少なくとも1種の単層もしくは2種以上の多重層で
なる第1内層と該第1内層の表面に窒化ケイ素、炭化ケ
イ素、窒炭化ケイ素の中の少なくとも1種の単層もしく
は2種以上の多重層でなる第2内層と該第2内層の表面
にダイヤモンド及び/またはダイヤモンド状カーボンで
なる外層とを被覆したことを特徴とするダイヤモンド被
覆部品が開示されている。
【0006】しかしながら、基体と第1内層との密着性
を得るために、基体に使用される材料が限定され、その
結果として、ダイヤモンド被覆部材の用途が限定されて
しまうという問題点がある。このほか、第1内層と第2
内層との間、および第2内層と外層のダイヤモンド層と
の密着性も十分とはいえない。
【0007】さらに、特開昭62−47480号公報に
おいては、周期律表4a、5a、6a族元素の炭化物、
窒化物、ホウ化物及びこれらの相互固溶体の中の少なく
とも1種の硬質層とFe、Ni、Co、Cr、Mo、W
の中の少なくとも1種の結合層からなる焼結合金の表面
から内部に向かって0.1μm〜10μmまでを前記結
合層の除去部分とし、該結合層の除去部分にダイヤモン
ド状カーボン及び/またはダイヤモンドを埋設させてな
る中間層を形成させた後、該中間層の表面にダイヤモン
ド状カーボン及び/またはダイヤモンドからなる外層を
被覆することを特徴とする高密着性ダイヤモンド被覆焼
結合金の製造方法が開示され、また、このように被覆し
た後、非酸化性ガス雰囲気中または真空中で熱処理を施
すことを特徴とする高密着性ダイヤモンド被覆焼結合金
の製造方法が開示されている。
【0008】しかしながら、この方法においては、基材
表面が脆くなるという欠点がある。この方法において
は、表面の微細なクラックを除去することにより精密加
工に適するようなダイヤモンド被覆部材を得ることはで
きても、基材とダイヤモンド膜との密着性を向上させる
という効果は殆ど奏することはできない。
【0009】従来の技術を総覧すると、一般に、以下の
ような問題点がある。 中間層は、基材・ダイヤモンドの両方との密着性が求
められるので、材料の選定が難しい。 中間層を用いる場合には、ダイヤモンド被覆部材全体
の機械的強度は、一般に、比較的弱い中間層の強度に支
配されてしまうので、中間層自体にも強度が要求され
る。
【0010】本発明の目的は、前記従来の問題点を解消
することにある。すなわち、本発明の目的は、基材とこ
れを被覆するダイヤモンド類膜との密着性に優れる上に
耐摩耗性も向上した、耐久性に秀で、使用寿命が著しく
改善されたダイヤモンド類被覆部材を容易に製造するこ
とのできる方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の請求項1に記載の発明は、周期律表第IVA族、 第V
A族および第VIA族に属する金属並びにSiから選択
される少なくとも一種の金属、周期律表第IVA族、 第
VA族および第VIA族に属する金属並びにSiの炭化
物、窒化物および炭窒化物から選択される少なくとも一
種の金属化合物からなる群から選択される少なくとも一
種からなる被覆層を基材表面に形成する工程と、被覆層
を有する基材を、700〜1,500℃で加熱処理する
工程と、加熱処理後に前記被覆層上に気相法によりダイ
ヤモンド薄膜を形成する工程とを有することを特徴とす
るダイヤモンド被覆部材の製造方法であり、請求項2に
記載の発明は、基材表面をエッチング処理する工程と、
周期律表第IVA族、 第VA族および第VIA族に属す
る金属並びにSiから選択される少なくとも一種の金
属、周期律表第IVA族、 第VA族および第VIA族に
属する金属並びにSiの炭化物、窒化物および炭窒化物
から選択される少なくとも一種の金属化合物からなる群
から選択される少なくとも一種からなる被覆層をエッチ
ング処理後の基材表面に形成する工程と、被覆層を有す
る基材を、700〜1,500℃で加熱処理する工程
と、加熱処理後に前記被覆層上に気相法によりダイヤモ
ンド薄膜を形成する工程とを有することを特徴とするダ
イヤモンド被覆部材の製造方法である。
【0012】以下に、本発明の方法について詳細に説明
する。 (1)基材をエッチング処理する工程(エッチング処理
工程) このエッチング処理工程は、基材の表面に存在するC
o、Ni等の活性金属を除去することを内容とする。こ
のエッチング処理工程は特になくても高密着性のダイヤ
モンド類層を有するダイヤモンド類被覆部材を製造する
ことができるのであるが、特にCo、Ni等の活性金属
を多く含む様々な基材の場合には、このエッチング処理
工程を採用することによって、ダイヤモンド類の分解を
生じることなく効率的にダイヤモンド類を析出させるこ
とができるので好都合である。同時に基材最表面の加工
変質層が除去され、基材と中間層との密着性が向上す
る。さらに、このダイヤモンド類被覆部材を加工工具と
して使用した場合に、加工時の高温度によってダイヤモ
ンド類層が剥離することのない極めて優れた密着性を有
するダイヤモンド類被覆部材を製造することができる。
【0013】このエッチング工程を採用するにせよ、あ
るいはこのエッチング工程を省略するにせよ、本発明で
使用される基材として、例えば超硬合金、サーメットお
よびセラミックスを挙げることができる。
【0014】前記超硬合金としては、特に制限はなく、
一般に知られている各種の種類および組成のものが使用
可能であり、たとえば、W、Mo、Cr、Co、Ni、
Fe、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Al、B、G
a、Siなどの一種または二種以上の金属からなる超硬
合金類、これらの金属一種または二種以上と、炭素、窒
素酸素および/またはホウ素等からなる各種の組成の超
硬合金類(具体的には、たとえば、WC、W−WC、W
C−C、W−WC−C等のW−C系、Co−C系、Co
−WC、Co−W−WC、Co−WC−C、Co−W−
WC−C等のCo−W−C系、TaCx 等のTa−C
系、TiC等のTi−C系、MoCx 、Mo−MoC
x 、MoCx −C系等のMo−C系、SiC等のSi−
C系、Fe−FeCx 系等のFe−C系、Al23
Fe系等のAl−Fe−O系、TiC−Ni系等のTi
−Ni−C系、TiC−Co系等のTi−Co−C系、
BN系、B4 C−Fe系等のFe−B−C系、TiN系
等のTi−N系、AlNx 系等のAl−N系、TaNx
系等のTa−N系、WC−TaC−Co−C系等のW−
Ta−Co−C系、WC−TiC−Co−C系等のW−
Ti−Co−C系、WC−TiC−TaC−Co−C系
等のW−Ti−Ta−Co−C系、W−Ti−C−N
系、W−Co−Ti−C−N系など)など多種多様の超
硬合金を挙げることができる。これらの中でも、特に好
ましい例として、たとえば、切削工具用などに好適なW
C系超硬合金(具体的には、たとえば、JIS B 4
053において使用分類記号P01、P10、P20、
P30、P40、P50等のPシリーズ、M10、M2
0、M30、M40等のMシリーズ、K01、K10、
K20、K30、K40等のKシリーズなどの切削工具
用等の超硬合金チップ、V1、V2、V3等のVシリー
ズなどの線引ダイス用、センタ用、切削工具用等の超硬
合金チップなどのWC−Co系等のW−Co−C系超硬
合金、WC−TiC−TaC−Co系等のW−Ti−T
a−Co−C系超硬合金、あるいはこれらのTaの一部
をNbに変えたもの等々)などを挙げることができる。
なお、これらには、上記以外の他の元素や添加成分を含
有しているものであってもよい。どのような材質および
形状の超硬合金を採用するかは、使用目的等に応じて適
宜に選択すればよい。
【0015】上記の中でも好ましい基材としては、周期
率表(IUPAC)の第IVA族、第VA族および第V
IA族に属する金属並びにSiから選択される一種また
は二種以上の金属を含有する炭化タングステン系超硬合
金を挙げることができる。
【0016】好ましい炭化タングステン系超硬合金の具
体例としては、WC、W−WC、WC−C、W−WC−
C等のW−C系、WC−Co、WC−Co−W、WC−
Co−C、WC−Co−W−C等のW−Co系、WC−
TaC−Co、WC−TaC−Co−C等のW−Ta−
Co系、WC−TiC−Co、WC−TiC−Co、W
C−TiCN−Co等のW−Ti−Co系、WC−Ta
C−Co、WC−TiC−TaC−Co−C等のW−T
i−Ta−Co−C系、WC−Nb−Co等の超硬合金
を挙げることができる。炭化タングステン系超硬合金
は、上記のように炭化タングステン、炭化タンタル、炭
化チタン等から得ることができる。本発明に用いられる
炭化タングステン系超硬合金としては、Ti、Co、T
a、Mo、Cr、Ni等の金属を含有しているものが好
ましい。
【0017】本発明において、基材として使用される炭
化タングステン系超硬合金の内、好ましい組成の具体例
としては、WC−TiC−Co、WC−TaC−Co及
びWC−Co、WC−Nbc−Coの超硬合金を挙げる
ことができる。WC−TiC−Coの組成を有する超硬
合金としては、炭化タングステン50〜95重量%、好
ましくは70〜94重量%と、炭化チタン1〜30重量
%、好ましくは2〜20重量%と、コバルト2〜20重
量%、好ましくは4〜10重量%とを有するものを挙げ
ることができる。
【0018】WC−TaC−Coの組成を有する超硬合
金としては、炭化タングステン80〜93重量%、好ま
しくは85〜92重量%と、炭化タンタル1〜20重量
%、好ましくは2〜10重量%と、コバルト3〜10重
量%、好ましくは4〜6重量%とを有するものを挙げる
ことができる。
【0019】WC−Coの組成を有する超硬合金として
は、炭化タングステン90〜98重量%、好ましくは9
4〜97重量%と、コバルト2〜10重量%、好ましく
は3〜6重量%とを有するものを挙げることができる。
【0020】上記炭化タングステンとしては、従来の工
具等に使用されるものなどを使用することができ、具体
的には、WC、WCx(但し、xは1以外の正の実数を
表わし、通常、このxは1より大きいかあるいは1より
小さい数である。)で表わされる定比化合物および不定
比化合物、あるいはこれらに酸素等の他の元素が結合、
置換または侵入したもの等を挙げることができる。これ
らの中でも、通常、WCが特に好適に使用される。な
お、これらは、一種単独で用いてもよく、二種以上を併
合してもよく、あるいは二種以上の混合物、固溶体との
組成物等として用いてもよい。
【0021】上記炭化チタンとしては、特に限定はな
く、通常の合金を製造するのに用いられるものを使用す
ることができる。具体的には、TiC、TiCy(但
し、yは1以外の正の実数を表わし、通常、このyは1
より大きいかあるいは1より小さい数である。)で表わ
される定比化合物および不定比化合物、あるいはこれら
に酸素等の他の元素が結合、置換または侵入したもの等
を挙げることができる。これらの中でも、通常、TiC
が特に好適に使用される。
【0022】上記炭化タンタルとしては、特に限定はな
く、通常の合金を製造するのに用いられるものを使用す
ることができる。具体的には、TaC、TaCz(但
し、zは1以外の正の実数を表わし、通常、このzは1
より大きいかあるいは1より小さい数である。)で表わ
される定比化合物および不定比化合物、あるいはこれら
に酸素等の他の元素が結合、置換または侵入したもの等
を挙げることができる。これらの中でも、通常、TaC
が特に好適に使用される。上記コバルトとしては、特に
制限がないが、単体金属を好適に使用することができ
る。
【0023】前記炭化タングステン、前記炭化チタン、
前記炭化タンタルおよび前記コバルトは、特に純粋であ
る必要はなく、本発明の目的を達成するのに支障のない
範囲であれば不純物を含有していてもよい。例えば、前
記炭化タングステンにおいては、微量の過剰炭素、過剰
金属、酸化物等の不純物等を含有していてもよい。
【0024】本発明に用いられるサーメットとしては、
例えば、Ti、W、Mo、Cr、Ta、Nb、V、Z
r、Hf等の炭化物および窒化物に、Co、Ni、C
r、Mo、Fe等の金属を燒結助材として含有している
サーメット材を挙げることができ、一般にサーメット材
として知られているものであれば、特に制限なく用いる
ことができる。
【0025】具体例としては、WC、Mo2 C、Cr3
2 、TaC、NbC、VC、TiC、ZrC、Hf
C、TaN、NbN、VN、TiN、ZrN、HfN、
Ta(C,O)、Ti(C,O)、Ti(N,O)、
(W,Ti)C、(W,Ta,Ti)C、(W,Ta,
Nb,Ti)C、Ti(C,N)、Ti(C,N,
O)、(Ti,Zr)C、(Ti,Zr)(C,N)等
に、燒結助材としてCoおよび/またはNiや、Coお
よび/またはNiの他にCr,Mo,Fe等を含有した
もの等を挙げることができる。
【0026】サーメットにつき上記とは別の表現をする
とすれば、次のような記述も可能である。すなわち、本
発明に使用することのできるサーメットとしては、Ti
CにWCやTaCやTiNを添加し、結合相としてNi
やMoを添加したものを言い、例えばTiC−TaC−
Ni、TiC−TaC−Mo、TiC−TaC−Ni−
Mo、TiC−TiN−Ni、TiC−TiN−Mo、
TiC−TiN−Ni−Mo、TiC−TiN−TaC
−WC−Ni、TiC−TiN−TaC−WC−Mo、
TiC−TiN−TaC−WC−Ni−Mo、TiN−
TaN−Ni、TiN−TaN−Mo、TiN−TaN
−Ni−Mo、TiC−TaN−Ni、TiC−TaN
−Mo、TiC−TaN−Ni−Mo、TiC−Ni、
TiC−Mo、TiC−Ni−Mo、TiC−Ni、T
iC−Mo、TiC−Ni−Mo、TiC−TaN−N
i、TiC−TaN−Mo、TiC−TaN−Ni−M
o等を挙げることができる。なお、これらはその他の元
素またはその炭化物を含有していても良い。
【0027】これらの中でも、炭化チタン、炭化タング
ステンおよび窒化チタン系のサーメットが好適に使用さ
れる。特に好ましいものとしては、TiC、TiN、T
iCN等にNi、CoあるいはMoを燒結助材として用
いたサーメット材を挙げることができる。なお、前記基
材においては、市販されているものをも使用することが
できる。また、市販されていないものを使用する場合に
おいては、前記成分を適宜の割合で配合した後に、燒結
等の方法によって基材を得ることができる。
【0028】なお、燒結に先立ち、前記成分とともに、
必要に応じて、パラフィン、ステアリン酸、しょうのう
等を主成分とする補助結合剤等を含有していてもよい。
前記焼結の方法としては、特に制限がなく、従来から公
知の焼結方法に従って行なうことができる。
【0029】前記燒結の方法においては、前記各成分を
粉末状、微粉末状、超微粒子状、ウイスカー状、あるい
は他の各種の形状のものとして使用することが可能であ
るが、平均粒径が、通常、0.05〜4μm、好ましく
は、1〜3μm程度の微粒子もしくは超微粒子状のもの
や、アスペクト比が20〜200程度のウイスカー状の
もの等を好適に使用することができる。
【0030】燒結温度しては、通常、1,200〜1,
600℃、好ましくは1,300〜1,600℃あるい
は1,300〜1,550℃あるいは1,350〜1,
550℃の範囲内にするのが適当である。燒結時間は、
通常、0.5時間以上、好ましくは、1〜2時間程度の
範囲内にするのが適当である。
【0031】ダイヤモンド類被覆部材を製造するのに使
用される基材の形状については、特に制限はない。前記
基材は、例えば、前記燒結に際して予め所望の形状にし
ておいてから燒結をすることができるし、あるいは、前
記燒結後、必要に応じて所望の形状に加工して、この発
明のダイヤモンド類被覆部材の基材として用いることが
できる。
【0032】このエッチング処理工程においては、前記
基材の表面にエッチング処理をする。上記基材の表面を
エッチング処理する方法としては、例えば、ウェットエ
ッチングやドライエッチングを挙げることができる。ウ
ェットエッチングとしては、酸によるエッチング処理や
電解エッチングなどを挙げることができる。
【0033】酸によるエッチング処理を行なう場合の酸
としては、特に限定はないが、例えば、硝酸、硫酸、塩
酸、フッ酸等を挙げることができる。また、上記酸を、
一種単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いても
よい。上記の酸の中でも、硝酸とフッ酸との混酸、フッ
化水素と硝酸とから得られる混酸が特に好ましい。
【0034】以下、酸によるエッチング処理の一例とし
て、硝酸とフッ酸との混酸もしくはフッ化水素と硝酸と
から得られる混酸を使用する場合について詳細に記載す
る。ただし、本発明における酸によるエッチング処理
は、これに限定されない。フッ化水素と硝酸とから得ら
れる混酸を調製するときのフッ化水素としては、フッ化
水素そのものを使用することができるし、フッ化水素の
水溶液であるフッ化水素酸の形態で使用することもでき
る。
【0035】上記混酸を使用する場合においては、フッ
化水素と硝酸とから得られる混酸中、フッ化水素が分解
していないと仮定した場合のそのフッ化水素の含有量
は、通常5〜50モル%、好ましくは10〜40モル%
である。また、この混液中における硝酸濃度としては、
通常5〜65モル%であり、好ましくは15〜60モル
%ある。上記の範囲内で混酸中にフッ化水素と硝酸とが
含有されていると、そのような混酸で処理した基材層上
に密着性良く被覆層を形成することができる。
【0036】上記した範囲内にフッ化水素が含有される
ようにするには、フッ化水素酸を使用するときには、1
0〜50%、好ましくは20〜46%のフッ化水素を含
有するフッ化水素酸が好ましい。また、硝酸としては、
濃度が30〜70%、特に30〜61%である硝酸が好
ましい。実際的見地からすると、フッ化水素と硝酸とか
ら得られる混酸としては、実質的にフッ化水素酸と硝酸
とからなる混合物が好ましく、必要に応じて他の無機
酸、例えば硫酸等を混合してなる混合物を使用すること
もできる。実質的にフッ化水素酸と硝酸とからなる混合
物を採用する場合、フッ化水素および硝酸が前述した含
有量になるようにフッ化水素酸および硝酸それぞれの濃
度を調製するのがよい。
【0037】本発明における酸によるエッチング処理と
しては、通常、前記酸中に基材を浸漬する手法、基材の
表面に前記酸をスプレイする手法等、各種の方法を採用
することができる。要するに、中間層を設けるべき基材
の所定表面を前記酸と接触させることができればよいの
である。
【0038】前記酸によるエッチング処理の温度として
は、特に限定はないが、例えば、上記混酸を使用する場
合には、通常20〜100℃が好ましく、特に50〜9
5℃が好ましい。処理温度が20℃より低い場合には、
エッチングに時間がかかるため、Co等が十分にエッチ
ングされないことがある。また、処理温度が100℃よ
り高い場合には、基材の表面のエッチングが激しく進行
するため制御性が悪くなる。
【0039】前記酸によるエッチング処理の時間として
は、十分にエッチングが施される限り特に限定はない
が、例えば、上記混酸を使用する場合には、通常0.5
秒〜300秒が好ましく、特に1秒〜120秒が好まし
い。処理時間が0.5秒より短い場合には、エッチング
処理が不十分になる場合がある。また、300秒より長
い場合には、エッチング処理が進み過ぎて基板の強度が
低下する場合がある。
【0040】一方、電解エッチングを行なう場合の電解
液としては、塩酸、硝酸、硫酸、フッ化水素酸などの無
機酸およびアルコールなどを挙げることができる。これ
らは単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いて
もよい。上記電解液の中でも、フッ化水素と硫酸とアル
コールとを有する溶液が本発明の方法には好適である。
【0041】フッ化水素と硫酸とアルコールとを含有す
る溶液を調製するときのフッ化水素としては、フッ化水
素そのものを使用することができるし、フッ化水素の水
溶液であるフッ化水素酸の形態で使用することもでき
る。実際的見地からすると、フッ化水素と硫酸とアルコ
ールとを含有する溶液としては、アルコールにフッ化水
素酸と硫酸とを混合してなる混合物が好ましく、必要に
応じて他の無機酸、例えば硝酸、塩酸等を混合すること
もできる。
【0042】以下、電解エッチングの一例として、電解
液をフッ化水素と硫酸とアルコールとを含有する溶液と
した場合について詳細に記載する。ただし、本発明にお
ける電解エッチングは、これに限定されない。上記フッ
化水素と硫酸とアルコールとを含有する溶液におけるフ
ッ化水素の濃度は、通常1〜3モル%であり、好ましく
は、1〜2モル%である。実質的にフッ化水素酸を用い
てフッ化水素と硫酸とアルコールとからなる溶液を調製
する場合、混合後のフッ化水素の濃度が上記濃度範囲に
なるようにフッ化水素酸を調製して用いるのがよい。上
記フッ化水素と硫酸とアルコールとからなる溶液におけ
る硫酸濃度としては、通常5〜10モル%であり、好ま
しくは6〜8モル%である。
【0043】前記アルコールとしては、この発明の目的
を阻害しない限りにおいては特に制限はないが、例え
ば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ル等を挙げることができる。その中でも、特にメタノー
ルが好ましい。この場合においては、前記フッ化水素と
硫酸とアルコールとからなる溶液中に、前記基材が正極
に、対向電極が負極になるように、対向電極を設けて前
記基材の表面の電解エッチングを行なう。
【0044】上記電極の材質としては、電解エッチング
中に基材の表面を阻害するような物質例えばガスを発生
するものでなければよく、特に制限はないが、例えば、
ステンレス等を挙げることができる。前記電解エッチン
グにおける電圧は、通常3〜10Vが好ましく、特に、
4〜10Vが好ましい。電圧が3Vよりも低い場合に
は、エッチングの速度が遅く非能率的である。また、電
圧が10Vより高い場合には、エッチングの速度が早く
なり過ぎて制御性が悪く、必要以上にエッチングするこ
とがある。
【0045】前記電解エッチングにおける電流は、単位
面積当たりの電流が0.01〜5A/cm2 であるのが
好ましく、特に、0.1〜1A/cm2 が好ましい。単
位面積当たりの電流が0.01A/cm2 より小さい場
合には、エッチングが十分に行われない。また、単位面
積当たりの電流が5A/cm2 より大きい場合には、エ
ッチングが進み過ぎて基板の強度の低下を招くことがあ
る。
【0046】前記電解エッチングにおける処理時間は、
前記基材の形状および前記電流の大きさ等により一概に
決定することはできないが、通常0.1〜60分である
のが好ましく、特に1〜30分であるのが好ましい。ド
ライエッチングとしては、例えば、プラズマによるエッ
チング処理を挙げることができる。
【0047】前記プラズマによるエッチング処理におい
ては、例えば、アルゴン、窒素ガス等の不活性ガス、四
フッ化炭素、水素ガス、酸素ガス、一酸化炭素ガス、二
酸化炭素ガス、メタノールガス、水蒸気、あるいはこれ
らの混合物等のプラズマを挙げることができる。そのな
かでも、特にアルゴン、水素ガスおよび酸素ガスが好ま
しい。
【0048】プラズマ化する方法としては、特に制限は
なく、一般的なダイヤモンドあるいはダイヤモンド膜の
気相合成法に利用されるプラズマ化法等の各種の方法に
よるプラズマ処理法が適用可能である。具体的には、例
えば、マイクロ波プラズマCVD法、高周波プラズマC
VD法、熱フィラメント法、ECR法等、あるいこれら
の組み合わせ法等を挙げることができる。これらの中で
も、特に、マイクロ波プラズマCVD法、高周波プラズ
マCVD法等が好ましい。また、後述するダイヤモンド
の気相合成に際して採用されるCVD法と同じCVD法
を採用すると、装置構成上便利である。
【0049】プラズマによりエッチング処理を行なう場
合の反応条件としては、従来通りの条件によって行うこ
とができる。例えば、処理圧力としては、10〜100
torrの範囲内が好ましい。圧力が前記の範囲より高
いと処理の制御性が悪く、また、低いと処理に時間がか
かる。中間層の表面の温度としては、500〜1,10
0℃の範囲内、好ましくは700〜900℃である。温
度が前記の範囲より高いと処理の制御性が悪く、再現性
が悪いし、また、低いと処理に時間がかかる。処理時間
は、1分〜200分、好ましくは60分である。
【0050】本発明において上記のようなエッチング処
理を行なうことにより、基材上にダイヤモンド膜を形成
する際に有害な結合相を作る原因になるコバルト等の金
属が除去され、しかも基材の表面に凹凸や細孔が生じ
る。その結果、基材と中間層との密着性が向上し、さら
に、後述する中間層がこの凹凸や細孔の形状に応じて形
成され、後述する気相法によるダイヤモンド膜の合成時
に、生成するダイヤモンド膜がこの中間層表面の凹凸や
細孔に入り込み、基材への密着性に優れたダイヤモンド
膜を合成することができるのである。
【0051】(2)被覆層を基材表面に形成する工程
(被覆層形成工程) この被覆層形成工程では、周期律表第IVA族、 第VA
族および第VIA族に属する金属並びにSiから選択さ
れる少なくとも一種の金属、周期律表第IVA族、 第V
A族および第VIA族に属する金属並びにSiの炭化
物、窒化物および炭窒化物から選択される少なくとも一
種の金属化合物からなる群から選択される少なくとも一
種からなる被覆層を、基材の表面に形成する。
【0052】これら被覆層を形成する物質の中でもさら
に好ましいのは、金属チタン、窒化チタン、炭化チタン
および炭窒化チタンであり、また金属タンタル、窒化タ
ンタル、炭化タンタルおよび炭窒化タンタルである。こ
れらはその一種で使用されても良いし、また二種以上の
各種の組成をもって使用されても良い。
【0053】前記窒化チタンとしては、たとえば、Ti
N、あるいは、TiNx 、TiN−Ti、Ti−N等に
よって表されるものなどを挙げることができる。前記炭
化チタンとしては、たとえば、TiC、あるいは、Ti
x 、TiC−C、TiC−Ti、TiC−Ti−C、
Ti−C等によって表されるものを挙げることができ
る。前記炭窒化チタンとしては、たとえば、TiCN、
TiC・TiN、TiCX ・TiNx 、TiC・TiN
−C、TiC・TiN−Ti、TiC・TiN−Ti−
C、Ti−N−C等によって表されるものを挙げること
ができる。
【0054】すなわち、前記チタン含有の被覆層として
は、通常Ti、TiN、TiCまたはTiCNで表され
るものが好ましいが、これらの二種以上からなるもので
あってもよく、さらには、これらの一種または二種以上
に、Ti、Cおよび/またはN成分が過剰に含有してい
るものであってもよい。また、このチタンを含有する被
覆層には、本発明の目的を阻害しない範囲で、Ti、C
およびN以外の他の元素もしくは成分を含有してもよ
い。
【0055】該被覆層を前記基材の面上に形成させる方
法としては、一般に用いられている方法、例えば一般に
用いられるイオンプレーティング法やスパッタ法等を採
用することができる。前記被覆層の膜厚としては、特に
制限はないが、通常、通常、100〜50,000Å、
好ましくは1,000〜30,000Åの範囲から、所
望の厚みの固溶体層が得られるように選択される。この
膜厚が100Å未満では中間層の効果が期待しがたく、
また50,000Åを超えると中間層自身の強度が低下
する。
【0056】(3)加熱処理する工程(加熱処理工程) このようにして基材の表面に形成された被覆層が、この
加熱処理工程において700〜1,500℃、好ましく
は1,200〜1,500℃に加熱処理される。この加
熱処理により、上記被覆層と基材との密着性が高まる。
【0057】基材に対する被覆層の密着性が向上する理
由は、この加熱処理により、前記被覆層を構成する金属
または化合物の一部が基材中に含浸、あるいは浸透する
からであると、推定される。したがって、この加熱処理
の温度は、本発明の方法においては極めて重要であり、
700℃未満の加熱温度では、加熱処理を行っても蒸着
金属または化合物の基材への含浸による化学結合が生じ
ず、十分な密着性が発現しない。一方、1,500℃を
越える高温においては、そのような高温で加熱処理する
と、基材の変形を招くと言う不都合を生じる。
【0058】加熱処理の雰囲気としては、アルゴン、ヘ
リウム、窒素ガス等の不活性ガスが好ましい。加熱処理
時の圧力としては、5torr〜3,000気圧の範囲
から適宜に選択される。これらの雰囲気ガスや圧力は、
上記被覆層の成分によって適宜に決定される。例えば、
金属種がチタンである場合には、加熱温度は1,200
〜1,450℃が好ましく、雰囲気としては真空中、ア
ルゴンガスまたはヘリウムガスが好ましく、圧力として
は5torr〜3,000気圧の範囲にするのが好まし
い。さらに、この加熱処理時の昇温速度は5〜20℃/
分程度にするのが好ましく、加熱処理温度での保持時間
は5〜600分間にするのが良い。
【0059】エッチングによって基材表面に微細な凹凸
や細孔が形成されている場合は、この基材表面に接合さ
れている被覆層もその凹凸や細孔の形状に応じた形状を
有するに至る。したがって、加熱処理後の被覆層の表面
に凹凸が形成され、この上に形成されるダイヤモンド薄
膜にアンカー効果が奏され、基材とダイヤモンドとの密
着性が向上する。また、ダイヤモンド薄膜と含浸せずに
残っている金属との間で化学結合(炭化物)が生じ、こ
れによっても密着性の向上が期待できる。なお、加熱処
理によっても基材表面に微細な凹凸や細孔が形成される
ので、エッチング処理を行なわない場合も、上記の場合
と類似の効果が期待できる。
【0060】さらに、この被覆層は、その後のダイヤモ
ンド合成時の基板の加熱時に、基材の内部からCo等の
活性金属が基材表面に析出してくるのを防止することが
でき、これによってもダイヤモンド薄膜の密着性の向上
が期待できる。このような加熱処理を行うことによって
形成された中間層は、更に必要に応じて、ダイヤモンド
砥粒などによる通常の傷付け処理が行われても良い。
【0061】(4)ダイヤモンド類層を形成する工程
(ダイヤモンド類層形成工程) 本願発明においては、上記のようにして熱処理された中
間層の表面に、ダイヤンモンド類の薄層を被覆する。こ
こでいうダイヤモンド類とは、ダイヤモンドの他に、ダ
イヤモンド状炭素を一部において含有するダイヤモンド
およびダイヤモンド状炭素を含む。ダイヤモンド類の薄
層の形成方法としては、従来から各種の方法が知られて
おり、特に限定はないが、本発明の方法においては、以
下に示すように、炭素源ガスを使用する気相合成法を好
適に採用することができる。
【0062】上記炭素源ガスとしては、例えば、メタ
ン、エタン、プロパン、ブタン等のパラフィン系炭化水
素;エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィン系
炭化水素;アセチレン、アリレン等のアセチレン系炭化
水素;ブタジエン、アレン等のジオレフィン系炭化水
素;シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、
シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;シクロブタジエ
ン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン等の芳
香族炭化水素;アセトン、ジエチルケトン、ベンゾフェ
ノン等のケトン類;メタノール、エタノール等のアルコ
ール類;このほかの含酸素炭化水素;トリメチルアミ
ン、トリエチルアミン等のアミン類;このほかの含窒素
炭化水素;炭酸ガス、一酸化炭素、過酸化炭素等を挙げ
ることができる。また前記各種の化合物を混合して使用
することもできる。
【0063】これらの中でも、好ましいのはメタン、エ
タン、プロパン等のパラフィン系炭化水素、エタノー
ル、メタノール等のアルコール類、アセトン、ベンゾフ
ェノン等のケトン類、トリメチルアミン、トリエチルア
ミン等のアミン類、炭酸ガス、一酸化炭素であり、特に
一酸化炭素が好ましい。
【0064】なお、これらは一種単独で用いても良く、
二種以上を混合ガス等として併用してもよい。また、こ
れらは水素等の活性ガスやヘリウム、アルゴン、ネオ
ン、キセノン、窒素等の不活性ガスと混合して用いても
良い。
【0065】前記ダイヤモンド類の薄層の形成には、公
知の方法、例えば、CVD法、PVD法、PCVD法、
あるいはこれらを組み合わせた方法等、各種のダイヤモ
ンド類薄層気相合成法を使用することができ、これらの
中でも、通常、EACVD法を含めた各種の熱フィラメ
ント法、熱プラズマ法を含めた各種の直流プラズマCV
D法、熱プラズマ法を含めたマイクロ波プラズマCVD
法等を好適に使用することができる。
【0066】ダイヤモンド類の薄層の形成条件として
は、特に制限はなく、前記の気相合成法に通常用いられ
る反応条件を適用することができる。例えば、反応圧力
としては、通常、10-6〜103 Torrが好ましく、
特に1〜800Torrの範囲内であるのが好ましい。
反応圧力が10-6Torrよりも低い場合には、ダイヤ
モンド類の薄層の形成速度が遅くなることがある。ま
た、103 Torrより高い場合には、103 Torr
の時に得られる効果に比べて、それ以上の効果がない。
【0067】前記基材の表面温度としては、前記原料ガ
スの活性化手段等により異なるので、一概に規定するこ
とはできないが、通常、300〜1,000℃、好まし
くは、450〜950℃の範囲内にするのがよい。この
温度が300℃よりも低い場合には、結晶性のダイヤモ
ンド類の薄層の形成が不十分になることがある。また、
温度が1,000℃を超える場合においては、形成され
たダイヤモンド類の薄層のエッチングおよびダイヤモン
ドのグラファイト化が生じ易くなる。
【0068】反応時間としては、特に限定はなく、ダイ
ヤモンド類の薄層が所望の厚みとなるように、ダイヤモ
ンド類の薄層の形成速度に応じて適宜に設定するのが好
ましい。前記基材の表面に形成させるダイヤモンド類の
薄層の厚みは、ダイヤモンド類被覆部材の使用目的等に
より異なるので一律に定めることはできないが、工具の
場合、通常は5μm以上、好ましくは、10〜50μm
以上が適当である。ダイヤモンド類の薄層が薄すぎる場
合には、基材の表面を十分に被覆することができないこ
とがある。このようにして、前記中間層の表面にダイヤ
モンド薄層が形成される際に、原料の炭素源ガスと中間
層の金属とが反応して、中間層の金属が炭化され、次い
でダイヤモンドが生成することになるので、中間層とダ
イヤモンド薄層との間の密着性が向上する。
【0069】以上のようにして、本発明の方法により、
ダイヤモンド類被覆部材を製造することができる。
【0070】
【実施例】以下に実施例を示して本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明を何等限定するものではない。
【0071】(実施例1)基材として、その原料組成
が、窒化ケイ素(Si34 )92容量%、窒化チタン
(TiN)5容量%、焼結助剤である酸化イットリウム
(Y23 )3容量%であるセラミック基材を用い、そ
の形状としてはSPGN120308のスロアウェイチ
ップ(以下、これを基材Aと称する。)を用いた。
【0072】この基材の表面に、シリコンを膜厚が1,
000Åになるように蒸着した後に、アルゴン雰囲気下
に、2,000気圧において、1,450℃に15分間
かけて加熱処理をした。この基材の金属蒸着面を、平均
粒径10μm程度のダイヤモンド砥粒で傷付け処理し
た。
【0073】次に、この加熱処理済みの基板を、ダイヤ
モンド合成反応管内の基板支持台に載せ、一酸化炭素ガ
スを15容量%含有する一酸化炭素ガスと水素ガスとの
混合ガスを反応管に流通させた。その後、周波数2.4
5GHzのマイクロ波を導入して、プラズマCVD法に
よるダイヤモンドの形成を行なった。
【0074】なお、反応管内の圧力は40torr、基
板の温度は900℃であり、5時間かけて反応を行なっ
た。その結果、膜厚12μmのダイヤモンド膜が基材の
表面上に形成された。得られたダイヤモンド類の薄層被
覆部材につき、インデンテーション法により、ダイヤモ
ンド膜と基板の表面との密着性を評価した。
【0075】なお、インデンテーション法による評価方
法とは、半球形またはピラミッド形に整形されたダイヤ
モンドの圧子を評価対象物である試料に押し当てて試料
の表面を変形させ、変形後における試料の状態を観察
し、試料の密着性を評価する方法である。
【0076】本願実施例においては試料がダイヤモンド
類の薄層被覆部材なので、基板にピラミッド形の圧子を
適当な荷重で押し込んで基板を変形させ、基板が元の状
態よりも盛り上がっている部分について観察する。この
部分においては、変形した基板がその表面に形成されて
いるダイヤモンド類の薄層を押しあげることになるの
で、ダイヤモンド類の薄層と基板との密着性が悪い場合
にはダイヤモンド類の薄層が基板から剥離する部分の面
積が大きくなるのである。したがって、剥離したダイヤ
モンド類薄層の面積の大小を測定することにより、基板
とその表面に形成されたダイヤモンド類の薄層との密着
性の良し悪しを評価することができる。
【0077】本願実施例においては、測定条件として
は、ビッカース圧子への荷重を30kg・fとし、保持
時間を30秒間にし、該圧子によるダイヤモンド類薄層
の剥離面積を求め、この測定値により、密着性の大小を
評価した。その結果を表1に示す。表1に示されるよう
に、剥離面積は0.05mm2 であり、ダイヤモンド膜
と基板の表面との密着性は大きかった。
【0078】(実施例2〜8)蒸着する金属種及び加熱
処理条件を表1中に示す通りに変更した外は、前記実施
例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
【0079】(実施例9)基材として、その組成が、窒
化ケイ素(Si34 )97容量%と焼結助剤である酸
化イットリウム(Y23 )3容量%であるセラミック
基材を用い、形状がSPGN120308のスローアウ
ェイチップ(以下において基材Bと称する。)であるも
のを用いた外は、前記実施例1と同様に実施した。結果
を表1に示す。
【0080】(実施例10〜15)蒸着する金属種及び
加熱処理条件を表1中に示す通りに変更した外は、前記
実施例9と同様に実施した。結果を表1に示す。
【0081】(実施例16〜23)基材として、その組
成が、炭化タングステン91.8重量%、炭化チタン
2.9重量%、コバルト4.9重量%である超硬合金を
用い、形状がSPGN120308のスローアウェイチ
ップ(以下において基材Cと称する。)であるものを用
いた外は、前記実施例1と同様に実施した。結果を表2
に示す。
【0082】(比較例1〜15)表1中に示した通りに
して得たものにつき、実施例と同様に密着性を評価し
た。結果を表1および表2に示す。
【0083】(実施例24〜37)基材として、それぞ
れ、表3に示すような切削工具用チップであるサイズ1
2.7mm角の超硬合金を使用し、その表面に表3に示
す方法でエッチングを施した。表3中のエッチング処理
については、「HF+NHO3 」と表示した方法では、
濃度46%のフッ酸と濃度61%の硝酸とを1:1の混
合した溶液に3秒間浸漬して行ない、「電解(HCl)
3 「電解(H2 So4 )」と表示した方法では、HC
l、H2 So4 いずれも10%濃度の水溶液1,000
mlとH2225mlとの混合液を電解液とし、電圧
を3V電解時間を5秒とした。また、「N2 プラズマ」
と表示した方法では、周波数2.45G出力400W、
処理時間1時間とした。その表3の方法で中間層を蒸着
し、表3に示す条件で熱処理した。表3の「被覆部材」
の項目のK10、P10、M10、K20は、JIS
B4053によるものであり、その詳細は以下の通りで
ある。
【0084】K10 WC−Co系(W:87重量
%、Co:6重量%、Ta:1重量%、C:6重量%) K20 WC−Co系(W:86重量%、Co:7重
量%、Nb:1重量%、C:6重量%) P10 WC−TiC−TaC−Co系(W:50重
量%、Ti:23重量%、Ta:17重量%、Co:9
重量%、C:11重量%) M10 WC−TiC−TaC−Co系(W:70重
量%、Ti:7重量%、Ta:7重量%、Co:8重量
%、C:8重量%)。
【0085】熱処理後に、反応時間を10時間とした他
は実施例1と同じ条件で基材表面にダイヤモンド類薄層
を形成させ、各ダイヤモンド類被覆部材を得た。膜厚は
25μmであった。次に、得られたダイヤモンド被覆部
材につき、実施例1と同じ条件でインデンテーション法
によって、ダイヤモンド類薄層と基材との密着性を評価
した。結果を表3に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
【発明の効果】本発明の方法によると、基材とダイヤモ
ンド類薄層との密着性を著しく改善することができ、切
削工具、超硬工具、耐摩耗性工具等に使用したとき、高
い性能と耐久性を発揮することのできる寿命の長いダイ
ヤモンド類被覆部材を提供することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周期律表第IVA族、 第VA族および第
    VIA族に属する金属並びにSiから選択される少なく
    とも一種の金属、周期律表第IVA族、 第VA族および
    第VIA族に属する金属並びにSiの炭化物、窒化物お
    よび炭窒化物から選択される少なくとも一種の金属化合
    物からなる群から選択される少なくとも一種からなる被
    覆層を基材表面に形成する工程と、被覆層を有する基材
    を、700〜1,500℃で加熱処理する工程と、加熱
    処理後に前記被覆層上に気相法によりダイヤモンド薄膜
    を形成する工程とを有することを特徴とするダイヤモン
    ド被覆部材の製造方法。
  2. 【請求項2】 基材表面をエッチング処理する工程と、
    周期律表第IVA族、第VA族および第VIA族に属す
    る金属並びにSiから選択される少なくとも一種の金
    属、周期律表第IVA族、 第VA族および第VIA族に
    属する金属並びにSiの炭化物、窒化物および炭窒化物
    から選択される少なくとも一種の金属化合物からなる群
    から選択される少なくとも一種からなる被覆層をエッチ
    ング処理後の基材表面に形成する工程と、被覆層を有す
    る基材を、700〜1,500℃で加熱処理する工程
    と、加熱処理後に前記被覆層上に気相法によりダイヤモ
    ンド薄膜を形成する工程とを有することを特徴とするダ
    イヤモンド被覆部材の製造方法。
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