JPH05244899A - 水溶性ヘム鉄の製造方法 - Google Patents

水溶性ヘム鉄の製造方法

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JPH05244899A
JPH05244899A JP3197138A JP19713891A JPH05244899A JP H05244899 A JPH05244899 A JP H05244899A JP 3197138 A JP3197138 A JP 3197138A JP 19713891 A JP19713891 A JP 19713891A JP H05244899 A JPH05244899 A JP H05244899A
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JP
Japan
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soluble
heme iron
iron
water
hemoferrum
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JP3197138A
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English (en)
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Kashio Okada
甲子男 岡田
Masahiro Numata
正寛 沼田
Hiroyuki Yamada
浩之 山田
Toyoro Nakamura
豊郎 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ito Ham KK
Itoham Foods Inc
Ariake Japan Co Ltd
Original Assignee
Ito Ham KK
Itoham Foods Inc
Ariake Japan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 水溶性のヘム鉄を得ること。 【構成】 溶血したヘモグロビンをpH10以上、又は3以
下に維持しながら、70℃以上の温度で少なくとも10分間
以上保持し、その後使用するプロテアーゼの至適pH及び
温度で酵素分解した後、酵素を失活させ、分解液のpHを
5〜6に調整することにより得られる等電点沈澱物をヘ
ム鉄として回収し、更に、回収したヘム鉄をそのまま、
又は希釈してpHを中和するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水溶性ヘム鉄の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】ヘム鉄、即ち、ヘモグロビン(Hb)中
のヘム部を多量に含む「ヘム鉄」は、鉄補給素材とし
て、体内での消化吸収が良いので有用とされている。近
年、栄養事情は良くなったが逆に微量元素のアンバラン
スが指摘されている。特に、有経女子の鉄分の不足者
は、実に40〜50%になるとの報告もあり、鉄分を補う食
品又は素材の開発が急務と言える。血液中のHbは、鉄
を多量に含み、無機質の鉄と区別され、有機鉄と呼ばれ
ている。有機鉄は無機鉄と比較し、消化・吸収に勝れ、
又、他の物質(例えばカフェイン等)による吸収の阻害
がなく、鉄の補給に好適と考えられている。
【0003】Hbのヘム部を濃縮したヘム鉄は、有機鉄
を多量に含んでおり鉄補給の補助食品として開発され、
多くの食品へ使用されつつある。しかし、殆んどのヘム
鉄は水に溶解せず、従って使用食品への応用にも限度が
ある。液状、又はペースト状の食品への添加時食感の悪
さや不均一に添加される虞れがある。又、飲食品等の液
体への添加は、不溶物であるために殆んど不可能に近
い。勝れた鉄補給食品の素材であるヘム鉄が水に溶けな
いことにより、多くの食品への使用が制限されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記したヘム鉄を水に
溶解させるに当たって考えられることは、ヘム鉄は鉄を
含んでいるといっても、7割〜8割以上は蛋白であり、
この蛋白を可溶化させることができれば、ヘム鉄も可溶
化してくるのではないかと考えられる。更にはヘム鉄
は、殆んどが蛋白であるため、糖と結合させることによ
り可溶化してくることがあるが、この場合ヘム鉄含量の
低下、即ち、鉄含量の低下につながる虞れがあり、最適
な方法とは言えず、鉄含量を低下させることなく水に可
溶化することが望ましい。一般にヘム鉄は、Hbを酵素
分解し、等電点沈澱して得られたものを脱臭処理して乾
燥したものである。Hbを酵素分解し、Hbの蛋白であ
るグロビンを可溶化させるが等電点で不溶の沈澱物はヘ
ム部を大量に含んでおり、酵素によりヘム部周囲の蛋白
は十分に分解されていない。
【0005】ヘム鉄にとっては、このことは逆に都合が
良くヘムと蛋白の一部が結合した状態の方が体内での消
化吸収には都合が良い。得られた沈澱物を色々とpHを変
えると、また蛋白の性質が残っており、高いpH及び低い
pHでは可溶化するが、中性から酸性域では沈澱を生じ不
溶である。更に種々の酵素にて沈澱物を分解するも中性
での加熱で凝固物を発生し可溶化させることはできなか
った。血液やHbよりも得られるヘム鉄は食用として供
される時、加熱殺菌されなければならない。他に殺菌方
法もあるが、加熱殺菌は確実で実用的であり、この時加
熱で凝固しないことが応用上必要である。本発明は上記
事情に鑑みてなされたものであり、水溶性ヘム鉄の製造
方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】水に可溶なヘム鉄の製造
方法としては、限外濾過膜を用いた方法がある。しか
し、当該方法は操作が煩雑で、工業的規模での生産には
不向きであるばかりではなく、得られるヘム鉄は非常に
高価なものとなる。ヘム鉄の可溶化が安価な方法で可能
であれば、用途も広がり、栄養改善の一助ともなること
から、その解決を試みた結果、中性において水に透明な
溶解可能なヘム鉄を得ることができた。Hbが可溶化で
きれば、Hbより分解して得られるヘム鉄も可溶化する
ものと考えられる。Hbの可溶化は高アルカリ側又は、
酸性側での解離状態での可熱変性後、更にアルカリ又
は、酸性プロテアーゼで酵素分解し、その後溶液を中性
に戻すことにより、水に可溶なHb溶液が得られること
を見出した。Hbの分子は4本のヘム鉄を含むマクロペ
プチドの鎖より構成される会合体である。このペプチド
鎖(Subunit )は、条件によって1/2に、あるいは1
/4に解離することが知られている。
【0007】Hbは、pH10以上で1/2に、pH3以下で
1/2に、更に、低酸性下では1/4に解離し、又、変
性剤である尿素,グアジニンや界面活性剤によっても解
離する。Hbは、加熱すると凝固する性質があるが、H
bのSubunit が解離状態で加熱すれば凝固せず、部分的
に変性させることができる。この状態で加熱したHbは
酵素分解後も高い溶解性を示す。ただし、酵素分解はヘ
ム鉄除去後のグロビンの分解物の平均アミノ酸鎖長が3
〜6の範囲で行なうのが適切である。グロビン分解物の
平均アミノ酸鎖長がこれよりも短い分解条件では分解が
過度となり、ヘム部の重合が生じて不溶化する。又、長
い場合は分解不足の状態となり、したがってヘム部も高
分子化傾向を示し、これを加熱時に沈澱を生じる虞れが
ある。分解後のヘム鉄の回収はpH5〜6での等電点沈澱
により行なう。pHがこれよりも低いとヘム部が酸変性し
て不溶となり、併せて、ヘム鉄に結合するグロビン部の
不溶化も助長する。又、pHが高いとヘム鉄の回収率は極
端に低下する。
【0008】以上のように、本発明はHbの酸又はアル
カリ域での加熱変性,酵素分解及び等電点沈澱における
条件を特定することで、水に可溶なヘム鉄を安価に製造
する方法を提供するものである。この場合、酵素分解及
び等電点沈澱後に酸又はアルカリ域での加熱変性を行な
っても、得られるヘム鉄の性状に変わりは認められな
い。勿論、酸又はアルカリ域での加熱変性と酵素分解だ
けを行ない、グロビンの一部を除去しない分解物を、加
熱沈澱を生じない可溶化ヘモグロビンとして回収するこ
とも本発明から容易に想像されることである。本発明に
より得られるヘム鉄の分子量は10,000前後で、従来の等
電点沈澱したヘム鉄の分子量7,000 前後とは異なる。図
1はヘム鉄の溶解性を示す特性図であり、横軸にpHを、
縦軸に溶解率を示したものである。図に示されるように
通常、食品に利用されるpH域で高い溶解性を示し、それ
は未分解のヘモグロビンの溶解性に類似する。しかも、
レトルト殺菌にても加熱沈澱を生じず、食品素材として
優れた機能を有するものであった。
【0009】以下に実施例を示す。実施例1 Hb100 kgを水300 kgで希釈し、4N−NaOHでpH10
とする。加温,攪拌しながら50℃でpH12.0に合わせ、更
に加熱し90℃で30分保持した。冷却後pH10.0になるよ
う、4N−HClを加え、アルカリプロテアーゼである
アルカラーゼ0.6L(ノボ・ノルディスク・ジャパン
(株) )を2kg加えて6時間分解した。分解が進むにつ
れpHの低下が起こるが4N−NaOHを添加しpH10.0に
保った。分解終了後、pHをHClで5.0 とし、30分保持
し酵素を失活させた。更にpHを5.5 とし、沈澱物を遠心
機で回収した。回転数8,000rpm20分の処理で45kgのヘム
鉄を得た。回収したヘム鉄に同量の水を加え、4N−N
aOHを加え、pH7.0 とした時、これは水に可溶であっ
た。更に濃縮したBx30%とした。これをスプレーにて
乾燥した(条件 回転数10,000 rpm inlet temp.180
℃,outlet temp.80℃)。水溶性ヘム鉄の粉末7.1 kgを
得、これは水に可溶であった。Fe含量は1.0 %,蛋白
81%であった。
【0010】実施例2 Hb100 kgに水300 kg加え希釈,溶解した。4N−Na
OHでpH8.5 とし55℃でアルカラーゼ0.6 L(ノボ・ノ
ルディスク・ジャパン (株) )を1.4 kg添加し、6時間
分解した。分解が進むにつれ、pHが低下するNaOHを
添加し、pHを8.5 に保った。4N−HClを加えてpH5.
0 とし、30分保持し、酵素を失活させ、pH5.5 として沈
澱物を遠心機で8,000rpm20分の条件で52kg回収した。こ
れに同量の水を加え、NaOHを加え、50℃pH12とし、
加熱し、90℃30分保持した。その後冷却し、HClを加
えpH10.0とし、アルカラーゼ0.6 Lを400 g加え、4時
間分解した。分解終了後pHを7.0 とし、85℃30分加熱し
失活した。この時ヘム鉄は凝固することなく透明であっ
た。更に濃縮しBx30%とし、スプレー乾燥した(条件
回転数10,000rpm inlet temp. 180 ℃,outlet temp.
80 ℃)。6.2 kgのヘム鉄粉末を得た。これは水に可溶
で褐色の透明な溶液であった。Fe含量1.0%,蛋白87
%であった。
【0011】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば溶
血したヘモグロビンをpH10以上、又は3以下に維持しな
がら、70℃以上の温度で加熱し、酵素分解した後酵素を
失活させ、分解液のpHを5〜6に調整して等電点沈澱物
をヘム鉄として回収し、pHを中性にすれば、水に可溶な
ヘム鉄を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヘム鉄の溶解特性を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 浩之 茨城県北相馬郡守谷町久保ケ丘1−2 伊 藤ハム株式会社中央研究所内 (72)発明者 中村 豊郎 茨城県北相馬郡守谷町久保ケ丘1−2 伊 藤ハム株式会社中央研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶血したヘモグロビンをpH10以上、又は
    3以下に調整しながら、70℃以上の温度にて少なくとも
    10分間以上保持し、その後使用するプロテアーゼの至適
    pH及び温度で酵素分解し、酵素を失活させ、分解液のpH
    を5〜6に調整することにより得られる等電点沈澱物を
    ヘム鉄として回収し、更に、回収したヘム鉄をそのま
    ま、又は希釈してpHを中性にすることを特徴とする水溶
    性ヘム鉄の製造方法。
  2. 【請求項2】 先ず、酵素分解,酵素失活及び等電点沈
    澱を行い、然る後、得られた沈澱物を、pH10以上、又は
    3以下に維持しながら、70℃以上の温度で少なくとも10
    分間以上保持し、その後、使用するプロテアーゼの至適
    pH及び温度で酵素分解し、酵素失活後、pHを中性にする
    ことを特徴とする水溶性ヘム鉄の製造方法。
  3. 【請求項3】 酵素分解がヘム鉄除去後のグロビン分解
    物として、平均アミノ酸鎖長3〜6の範囲で行なうこと
    を特徴とする請求項1又は2記載の水溶性ヘム鉄の製造
    方法。
JP3197138A 1991-07-11 1991-07-11 水溶性ヘム鉄の製造方法 Pending JPH05244899A (ja)

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Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6424137A (en) * 1987-07-21 1989-01-26 Nissan Motor Air-fuel ratio control device for internal combustion engine
JPH01273560A (ja) * 1988-04-23 1989-11-01 Ichimaru Pharcos Co Ltd ヘム鉄飲料

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS6424137A (en) * 1987-07-21 1989-01-26 Nissan Motor Air-fuel ratio control device for internal combustion engine
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