JPH05231038A - 制振装置 - Google Patents

制振装置

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JPH05231038A
JPH05231038A JP3355692A JP3355692A JPH05231038A JP H05231038 A JPH05231038 A JP H05231038A JP 3355692 A JP3355692 A JP 3355692A JP 3355692 A JP3355692 A JP 3355692A JP H05231038 A JPH05231038 A JP H05231038A
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JP
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vibration
earthquake
damping
building
mode
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JP3355692A
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English (en)
Inventor
Tetsuo Suzuki
哲夫 鈴木
Mitsuru Kageyama
満 蔭山
Yoshiko Matsuoka
佳子 松岡
Katsuhiko Yoshizaki
勝彦 吉崎
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Obayashi Corp
Tokico Ltd
Original Assignee
Obayashi Corp
Tokico Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は風圧及び地震に応じた振動に適応し
た制振制御を行う制振装置を提供することを目的とす
る。 【構成】 制御装置4は地震計22により地震が検出さ
れないときは風圧制振モードを設定し、風圧によるビル
2のゆるやかな振動に応じた制御量を動吸振器3のAC
サーボモータに出力する。又、地震計22が地震発生に
より縦方向のP波を検出したとき、地震制振モードを設
定し、地震によるビル2の急激な振動に応じた制御量を
動吸振器3のACサーボモータ8に出力する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は制振装置に係り、特に、
付加質量を変位させて構造物の振動を制振する構成とし
た制振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えばビル等の構造物においては地震あ
るいは風圧等による振動を制振するための制振装置が設
けられている。この種の制振装置では、主にビルの質量
に応じた所定の重量を有する付加質量を、ビルの振動状
態に応じて変位させる動吸振器を動作させてビルで発生
した振動を制振するようになっている。
【0003】従来の制振装置としては、例えば付加質量
をリニアベアリング等により摺動自在に支持するととも
に、付加質量に螺合するボールネジ等の伝達機構をモー
タ等により駆動し、付加質量が水平方向に往復動される
よう構成された動吸振器を有する装置が考えられてい
る。
【0004】そして、動吸振器はビルの変位及び速度に
応じた制御量を演算する制御装置からの駆動信号により
モータを駆動制御され、付加質量を移動させる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、従来は地震
発生後横方向の地震波(S波)の伝播によりビルが振動
してから、ビルの変位及び速度に応じて付加質量を移動
させるため、制振制御が遅く、地震に対する応答性が悪
いといった課題がある。
【0006】しかも、従来は制振制御系のゲインが一定
であるので、例えばビルに風圧が作用するゆっくりとし
た揺れのときも、地震発生時の急激な振動のときも同一
のゲインで動吸振器が制御されることになる。そのた
め、例えば風圧による比較的小さな振動のときは付加質
量が移動しないため充分な制振効果が得られず、又地震
発生時のような大きな振動が急激に入力されたときは付
加質量が大きな駆動力により急激に移動するため、付加
質量がストローク端のリミットスイッチに当接してオン
に切換えてしまい、動吸振器は電源オフ状態となり、制
振不可能となってしまうといった課題がある。又、地震
発生時、付加質量がリミットスイッチをオンとした後、
ストッパに衝突して、ビルに衝突による衝撃が伝わり不
快感を与えてしまうといった課題もある。そこで、本発
明は上記課題を解決した制振装置を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記請求項1の発明は、
構造物の変位を検出するセンサ及び地震波を検出する地
震計からの検出信号に基づいて駆動信号を生成し、該駆
動信号によりアクチュエータを駆動して付加質量を移動
させ、該構造物の振動を制振する制振装置において、前
記地震計により地震波が検出されなかったとき風圧によ
る振動を制振するように前記アクチュエータを駆動する
風圧制振モードを設定し、前記地震計により縦方向の地
震波(P波)が検出されたとき、前記構造物の地震によ
る振動を制振するように前記アクチュエータを駆動する
地震制振モードを設定する制振モード設定手段を備えて
なることを特徴とする。
【0008】又、請求項2の発明は、前記制振モード設
定手段が、前記地震制振モード時に地震が止んだとき、
前記地震制振モードを所定時間継続した後風圧制振モー
ドを設定することを特徴とする。
【0009】
【作用】上記請求項1によれば、通常は風圧制御モード
が設定され、地震計により縦方向の地震波が検出された
とき地震制御モードが設定されるので、風圧による振動
も良好に制振できるとともに地震による構造物の横方向
の振動が発生する前に地震制御モードとなり地震による
大きな振動も良好に制振できる。さらに、請求項2によ
り地震停止後も所定時間地震制御モードが継続されるた
め、余震あるいは段続的な地震にも即座に対応して良好
な制振効果が得られる。
【0010】
【実施例】図1乃至図4に本発明になる制振装置の一実
施例を示す。
【0011】各図中、制振装置1は、大略、構造物とし
てのビル2の屋上に設置された動吸振器3が制御装置4
からの制御信号により制振動作してビル2の水平方向の
振動を制振する。
【0012】動吸振器3は図2,図3に示す如くビル2
の屋上に設置された基台5上に付加質量6がX方向に摺
動する構成であり、付加質量6はビル2の総質量に対し
約0.5%程度の質量を有し、例えば5〜10t程度の
重量を有する。そのため、付加質量6は基台5上のリニ
アベアリング7により摺動自在を支持されている。
【0013】又、基台5上にはアクチュエータとしての
ACサーボモータ(以下モータと言う)8、電磁ブレー
キ9が設けられており、モータ8の出力軸8aはカップ
リング10を介して軸受11,12に軸承されたボール
ねじ13に結合されている。ボールねじ13は付加質量
6に螺合して貫通している。従って、付加質量6はボー
ルねじ13の回転により基台5の凹部5a内を移動す
る。
【0014】風圧又は地震発生によりビル2が振動する
と、制御装置4は後述するように振動の大きさに応じた
制御量を演算して動吸振器3のモータ8へ駆動信号を出
力する。モータ8は駆動信号の供給によりボールねじ1
3を回転させ、付加質量6をX方向(振動方向)に移動
させる。このとき、発生する付加質量6の慣性力の反作
用によりビル2の振動が制振される。
【0015】尚、電磁ブレーキ9は制振モード時オフ状
態であり、電源をオフにされた停止モード時にボールね
じ13を回転不可状態に制動する。
【0016】ビル2の例えば1階,5階,10階,15
階の複数階には、ビル2の振動による変位及び速度を検
出するセンサ15a〜15dが設置されている。
【0017】又、15階建てのビル2の屋上には風速
(V)を計測する風速計16が設置され、動吸振器3に
は付加質量6の変位、速度及び加速度を検出するセンサ
18が設けられている。センサ15a〜15d及びセン
サ18からの各検出信号はサーボアンプ19a〜19e
により増幅されて減算回路20に入力される。減算回路
20では1階の変位及び速度を基準として各階の実質的
な変位及び速度を算出する。つまり、減算回路20は5
階,10階,15階の各センサ15b〜15dにより検
出された変位及び速度から1階のセンサ15aにより検
出された変位及び速度を減算して1階の振動をゼロとし
たときの各階の振動の大きさを算出する。又、風速計1
6からの検出信号はアンプ21で増幅されて制御装置4
に入力される。
【0018】22は地震計で、地面を伝播する縦方向の
地震波(P波)及び横方向の地震波(S波)を検出する
ように地面に埋没されている。尚、地震発生時地震計2
2からの検出信号はアンプ23で増幅されて制御回路4
に入力される。
【0019】制御装置4は、入力部としてのA/D変換
器24、動吸振器3への制御量を演算するCPU25、
出力部としてのD/A変換器26、I/Oインタフェー
ス回路27を有する。A/D変換器24はスイッチ28
を介して減算回路20と接続されており、減算回路20
から出力されたビル2及び付加質量6の変位、速度のア
ナログ信号をデジタル信号に変換してCPU25に出力
する。又、A/D変換器24には風速計16及び地震計
22からの検出信号も入力されており、これらの検出信
号をデジタル信号に変換してCPU25に出力する。
【0020】CPU25は後述するようにA/D変換器
24及びI/Oインタフェース回路27からの各信号に
基づいて動吸振器3の制御量を演算し、D/A変換器2
6へ出力する。又、D/A変換器26から出力された制
御量のデジタル信号はサーボドライバ29に入力され、
サーボドライバ29はCPU25で演算された制御量に
応じた駆動信号としてのトルク指令電流を動吸振器3の
モータ8に出力する。30はメモリで、後述する制振制
御の各プログラムが格納され、且つ制振制御に必要な各
演算の初期値及び地震フラグ、異常フラグ等を記憶す
る。
【0021】例えばメモリ30には、図4に示す如くC
PU25が実行する制振モード設定プログラム30A、
ゲイン判定プログラム30B、ゲイン切換プログラム3
0C、付加質量停止制御プログラム30Dが記憶されて
いる。ここで、各制御プログラムの概要について説明す
る。
【0022】まず、本発明の要部を形成する制振モード
設定プログラム30Aは、通常は風圧制振モードの制振
制御を行い、地震発生により縦方向の地震波(P波)が
検出されると、横方向の地震波(S波)が伝播する前に
地震制振モードに切換えて最適制御を行う。そして、地
震が終了しても所定時間地震制振モードを継続してから
風圧制振モードに戻すことにより段続的な地震にも対応
できるよう制御を行う。
【0023】又、ゲイン判定プログラム30Bは、動吸
振器3のゲインが適切であるか否かを自己診断する機能
を有し、例えば制振動作時のビル2の一次モードの固有
周期に基づく2周期分の振動状態の最大値をチェックし
て振動が減衰せず加振されたとき、ゲイン異常と判定
し、動吸振器3を停止させる。
【0024】又、ゲイン切換プログラム30Cでは、ビ
ル2の変位又は風圧、地震の大きさに応じて制振制御の
ゲインを切換える。尚、本実施例では後述するLQ(Li
nearQuadratic) 制御により動吸振器3を制振動作させ
ており、ゲインはLQ制御の演算過程で算出される。
【0025】又、付加質量停止制御プログラム30D
は、例えばビル2に過大変位が生じたとき動吸振器3の
付加質量6が基台5のストッパに衝突しないように付加
質量6の移動可能な動作範囲内で付加質量6がゆるやか
に停止するようにモータ8の制御を行う。
【0026】31は電源で、制御回路4及びサーボドラ
イバ29に接続されており、電源31とサーボドライバ
29との間には緊急停止用のスイッチ32が配設されて
いる。このスイッチ32は通常接点を有し、例えば過大
な地震が発生したときI/Oインタフェース回路27か
らの停止信号により励磁されて開成する。
【0027】33はハイパスフィルタで、センサ15a
からの検出信号がサーボアンプ19aを介して入力され
ると1次固有振数以上の周波数成分のみをI/Oインタ
フェース回路27に出力する。CPU25はハイパスフ
ィルタ33からの信号が過大な場合I/Oインタフェー
ス回路27からスイッチ32に停止信号を出力させる。
これによりスイッチ32が開成して動吸振器3への電流
供給が停止し、動吸振器3は停止モードとなる。そのた
め、過大な振動を制振するために付加質量6が急激に駆
動されてストッパ(基台5の凹部5aの側壁)に衝突す
ることが防止される。
【0028】34は表示器で、動吸振器3の制御系ある
いは各センサ15a〜15d,18、風速計16、地震
計22等に異常があると、その異常内容等を表示して監
視員に知らせる。
【0029】35は警報器で、異常発生時(アラーム)
を発する。
【0030】次に、上記制振装置1が制振動作する際に
制御装置4のCPU25が実行する処理について、図5
乃至図7を参照して説明する。
【0031】又、CPU25は例えば5msec毎に図5乃
至図7の処理を繰り返し実行している。
【0032】尚、制御装置4では予め演算処理を行う際
の初期設定が行なわれる。設定される初期値としては、
例えば、ビル2の最上階の最大変位(x4max) 、地震終
了後地震制振モード時間をカウントするタイマの時間
(数分間)te、地表変位1mの白色雑音(ホワイトノ
イズ)による応答シミュレーションによる無制振時の最
大変位の絶対値(xe unit) 、風速1m/sec 時の無制
振時の最大変位の絶対値(xw unit)、ビル2の振動の
2周期分の時間t、付加質量6がストッパに衝突せずに
移動できるストローク限界位置、地震の縦方向の地震波
(P波)の下限値εp、地震の横方向の地震波(S波)
の下限値εs等があり、夫々メモリ30に記憶される。
【0033】図5において、制御装置4のCPU25は
ステップS1(以下ステップを省略する)で制振システ
ムの異常チェックを行う。例えば動吸振器3の制御系又
はセンサ15a〜15d,18、地震計22、風速計1
6等に異常がないかどうかをチェックし、S2で異常な
しの場合はS3に移り地震計22からの地震波(P波、
S波)の検出信号を読み込む。
【0034】しかし、S2において、異常ありの場合は
図7に示すS4に移り、制御量uをゼロにするとともに
表示器34に異常発生を表示して、S36で制御量u=
0をD/A変換器26に出力してモータ8を停止させ動
吸振器3による制振動作を止める。そして、異常個所が
修理されて異常なしの状態に復帰するまでS1,S2,
S4,S36が繰り返される。
【0035】S5では地震フラグ=0であるかどうかを
チェックする。地震フラグは通常地震のないとき(地震
発生前)“0”に設定され、地震発生と判断されたとき
“1”に設定される。
【0036】従って、地震フラグ=0のときはS6に至
り、縦方向の地震波(P波)の振幅Apが下限値εpよ
り大きいかどうかをチェックする(制振モード設定手
段)。地震が発生すると、まず伝播速度の速い縦方向の
地震波(P波)がビル2に伝播し、やや遅れて横方向の
地震波(S波)が伝播する。ビル2のような構造物は縦
方向の振動には充分な強度を有するが、横方向の振動の
場合、共振現象があるので動吸振器3により制振する必
要がある。
【0037】ビル2が横方向に振動する主な原因として
は、風圧の増大、地震による横揺れがある。風圧に
よるビル2の振動は振幅が同じでも低い周波数でゆっく
り振動する。これに対し、地震によるビル2の振動は急
激且つ複雑であるが風圧の場合に比べて高い周波数で激
しく揺れることが多い。
【0038】そのため、CPU25は、通常は図6に示
す風圧による振動に適した風圧制振モードの処理を実行
し、地震発生時は図5に示すS6以下及び図7に示す地
震による振動に適した地震制振モードの処理を実行す
る。
【0039】ここでは、先に通常実行される風圧制振モ
ードの処理について説明し、その後地震制振モードの処
理について説明することにする。
【0040】I「風圧制振モード」 上記ステップS6において、P波の振幅Apが下限値ε
pより小さいときは、図6に示すS7に移り地震フラグ
を“0”に設定するとともに表示器34に「風圧制振モ
ード」を表示する。
【0041】続いてS8では、ゲイン異常検出のための
ピークホールド用のタイマtを1インクリメントして、
S9でビル2の一次モードの固有周期に基づく2周期分
の時間Tが経過したかどうかをチェックする。尚、2周
期分の時間Tは予めメモリ30に入力されており、T=
2(2π/ω1 )×Fの式により決まる。但し、ω1
ビル2の一次モードの固有振動数(0.5rad/S)、Fは
制御のサンプリング周波数(200Hz)である。
【0042】S9において、まだ2周期分の時間Tが経
過していないときは、後述するS10〜S12の処理を
実行せずに、S13に移りビル2の複数階に設置された
各センサ15a〜15d及び付加質量6のセンサ18に
より検出された変位及び速度、加速度《X》(以下、状
態変位ベクトルを《X》で表わす)を読み込む。従っ
て、タイマtの時間が2周期分の時間Tになるまでビル
2及び付加質量6の変位及び速度、加速度《X》が読み
込まれてメモリ30に記憶される。
【0043】しかし、S9において、時間Tが経過した
ときは、S10に移り最上階の変位のリミット値X4 lm
t を風速1m/s 時の無制振時の最大変位の絶対値(Xw
unit)に最大風速wpを乗算した値に更新する(S1
0)。続いて、S11でメモリ30に記憶された2周期
の変位のうちビル2の最上階の最大変位|X4 max |と
S10のリミット値X4 lmt とを比較する。
【0044】S11において、最大変位X4 max の値が
リミット値X4 lmt より小さい場合にはビル2の振動が
動吸振器3の制振動作により減衰しているため、異常な
しと判定し、S12でメモリ30に記憶された最大変位
4 max 、タイマt、最大風速wpの各値をゼロリセッ
トする。そして、S13で各センサ15a〜15dによ
り検出されたビル2及び付加質量6の変位及び速度、加
速度《X》を読み込む。
【0045】しかし、S11において、最大変位X4 ma
x がリミット値X4 lmt より大きい場合には動吸振器3
が制振動作しているにも拘らずビル2が加振されて振動
が大きくなっているため、制御ゲイン《F》(以下、制
御ゲインベクトルを《F》で表わす)が異常であると判
定し、S14で異常フラグ=1を設定して警報を発す
る。そして、前述したS4に移り、制御量uをゼロにす
るとともに表示器34に「制御ゲイン異常」を表示し、
さらにS36で制御量u=0を出力して動吸振器3を停
止させる。
【0046】図6に戻って、S15では最上階の変位X
4 の絶対値|X4 |がメモリ30に記憶された前回の最
大変位X4 max より大きいかをチェックする。今回の変
位X 4 の絶対値|X4 |の方が大きい場合にはS16に
移り最大変位X4 max を今回の変位X4 の絶対値|X4
|に更新してメモリ30に記憶してS17に移る。又、
今回の変位X4 の絶対値|X4 |の方が小さい場合に
は、更新せずにS17に移り風速計16により検出され
た風速wを読み込む。
【0047】次のS18では今回検出された風速wの絶
対値|w|がメモリ30に記憶されている最大風速wp
より大きいかどうかをチェックしており、今回の風速w
の絶対値|w|の方が大きい場合にはS19に移り最大
風速wpを今回の値に更新してS20に至る。
【0048】又、今回の風速の方が小さい場合には、更
新せずに、S20に移り動吸振器3への制御量uを演算
する。
【0049】S20では後述するLQ制御による風圧制
振モードの制御ゲイン《F》が求められ、次式(1)
【0050】
【数1】
【0051】により制御量uが算出される。そして、風
圧制振モードにより算出された制御量uはS36で出力
される。
【0052】従って、通常地震のないときはS7〜S2
0の処理が実行され、風等の比較的小さな外力による変
位に対応したゲイン、即ちビル2が振動しない場合のゲ
イン《Fw》を用いて動吸振器3を制御するため、風圧
によるゆっくりとした変位を制振するのに最適な速度で
付加質量6を移動させて良好に制振できる。
【0053】II「地震制振モード」 図5に示すS6において、地震発生により地震が伝播さ
れ、地震計22により検出された縦方向の地震波(P
波)が下限値εp以上になると、地震制振モードが設定
される。即ち、S6において、P波が振幅Ap>εpで
あるときは、S21に移り地震フラグを“1”にして地
震制振モードとなる。
【0054】次のS22からS30の処理は前述した風
圧制振モードのS8からS16と同様ゲイン異常判定を
行っており、ビル2の最上階の一次モードの固有周期に
基づく2周期分の変位をチェックしてその間の最大値X
4 max が地震によるリミット値X4 lmt より小さくなっ
ていれば、正常な制振制御が行なわれ、逆に今回の最大
変位X4 max がリミット値X4 lmt より大きくなったと
きはゲイン異常と判定する。
【0055】S31では、地震計22により検出された
横方向の地震波(S波)の振幅が下限値εsより小さい
かどうかをチェックする。従って、S31において震源
地からの地震(S波)が地震計22により検出されS波
の振幅Asが下限値εsより大きいときは、S32に移
り地震制振モード用タイマteをゼロリセットして、S
33〜S36でビル2の変位の大きさに応じた制御量u
を算出して付加質量6を移動させる。
【0056】しかし、S31において、縦方向の地震波
(P波)が検出されたか、まだ横方向の地震波(S波)
が検出されていないときは、S37に移りタイマteを
インクリメントしてS38でタイマteのカウント時間
が予めメモリ30に設定された待機時間Te(数分間程
度)に達したかどうかを見る。そして、まだ待機時間T
eに達していないとき(te<Te)は、S33の処理
に移る。従って、S6で縦方向の地震波(P波)が検出
されて横方向の地震波(S波)が検出されるまでの間は
地震制振モードの待機状態が維持される。
【0057】地震波は前述したようにP波が先に伝播さ
れ、若干遅れてS波が伝播される。そして、上記のよう
に地震制振モードで待機しているときに、下限値εsよ
りも大きい地震波(S波)が検出されると、前述の如く
S32でタイマteをゼロリセットする。
【0058】続いて、S波の振幅Asが前記メモリ30
に記憶された最大振幅epより大きいかどうかをチェッ
クする(S33)。今回の振幅Asの方が大きい場合に
は、S34で最大振幅epを今回の振幅に更新してメモ
リ30に記憶させ、S35に至る。
【0059】又、今回のS波の振幅の方が小さい場合に
は、更新せずにS35に移り動吸振器3への制御量uを
演算する。
【0060】S35では、後述するLQ制御による地震
制振モードの制御ゲイン《F》が求められ、次式(2)
【0061】
【数2】
【0062】により制御量uが算出される。そして、地
震制振モードにより算出された制御量uはS36で出力
される。又、次回の処理のときにはS21で地震フラグ
=1が設定されているので、S5から直接S22の処理
に移り、S6,S21を省略する。
【0063】従って、地震波(S波)が伝播したときは
S21〜S40の処理が実行され、地震による急激な変
位に対応したゲイン、即ちビル2が高周波数で振動した
場合のゲイン《Fe》を用いて動吸振器3を制御するた
め、横方向の地震による急激な振動を制振するのに最適
な速度で付加質量6を移動させて良好に制振できる。従
って、地震発生時急激な変位が検出されても付加質量6
が基台5のストッパに衝突するまで駆動されず、従来の
ようにリミットスイッチをオンにして停止状態となり制
振できなくなったり、あるいはストッパへの衝撃がビル
2に伝わってしまうといった不都合が生じないようにな
っている。
【0064】又、上記地震波(S波)が止まり下限値ε
p以下になったときは、すぐに風圧制振モードに切換わ
らず、S31からS37に移りタイマteをインクリメ
ントして待機時間Teを経過するまで(S38)地震制
振モードが継続される。従って、一旦地震が止まっても
余震あるいは再び地震波が伝播されるような段続的な地
震の場合でも地震停止後所定時間Teの間地震制振モー
ドが維持されているので、余震あるいは2回目,3回目
…の地震による急激な入力変化に対してもビル2を良好
に制振することができる。
【0065】そして、S38において、予め設定された
待機時間Teが経過しても地震が発生しないときは、S
39に移り地震フラグを“0”にしてS40で最大振幅
epをゼロリセットする。そして、前述したS35,S
36の処理を実行する。また、S40-1でタイマteを
クリアする。
【0066】そのため、次回の処理ではS6でP波の振
幅が下限値εpより小さい場合、再び風圧制振モードに
戻る。
【0067】このように、地震制振モード中に地震が止
でもすぐに風圧制振モードに切換えず地震制振モードが
時間Teの間継続されるため、段続的な地震があっても
地震による急激な変位に応じたゲイン《Fe》で動吸振
器3を制御することができる。
【0068】ここで、上記S20,S35における制御
量uを演算する際の演算方法について説明する。
【0069】まず、風圧制御モードのゲイン《Fw》と
地震制振モードのゲイン《Fe》の決定について説明す
る。ゲイン《Fw》,《Fe》を求めるに際して、図8
に示すようなN階建てのビル2と動吸振器3との力学モ
デルを考える。尚、図8中mは質量、Kはばね要素、C
は減衰要素である。そして、図8の力学モデルに関する
最適レギュレータを設計し、これを制振装置1に適用す
る。
【0070】即ち、LQ(Linear Quadratic) 制御と呼
ばれる方法で評価関数Jを求め、評価関数Jが最小にな
るように制御系のゲインFw,Feを決定する。
【0071】力学モデルは1階からN階までの質量msi
の質点と、剛性ksi のばね減衰定数csi の減衰要素で構
成する。また、動吸振器3は付加質量maと制御量uで表
わす。
【0072】又、各階の絶対変位をysi、動吸振器3の
変位をya とする。ここで、地面階ysoと各階の相対変
位xsiは、 xsi=ysi−yso …(3) と表わされ、最上階(mSN)と動吸振器3の付加質量6
(ma)との相対変位xaは、 xa=ya−ySN …(4) と表わされる。
【0073】状態変位ベクトル《X》を
【0074】
【数3】
【0075】とすると、(但し、
【0076】
【数4】
【0077】は夫々付加質量6の変位、速度、加速度
で、XS1〜XsNはビル2の変位、
【0078】
【数5】
【0079】はビル2の速度である。)この系の状態方
程式は、
【0080】
【数6】
【0081】と表され、
【0082】
【数7】
【0083】但し、Iは単位行列、Oはゼロ行列であ
る。
【0084】
【数8】
【0085】質量マトリクスM、剛性マトリクスK、減
衰マトリクスCは、
【0086】
【数9】
【0087】と表わすことができる。ここで、ビル2の
変位を抑えることを目的として、次のような評価関数J
を設定する。
【0088】
【数10】
【0089】但し、《X》は各質点の状態量(《X》T
《X》は面積に比例)、Qはフィードバック量に対する
重み、Rは動吸振器uに関する制約である。よって、R
が小のとき付加質量6の加速度が大となり、Rが大のと
き付加質量6の加速度が小となる。
【0090】ここで、
【0091】
【数11】
【0092】である。
【0093】よって、ゲイン《Fw》及び《Fe》は、 《F》=R-1T P …(14) で表わされ、Pはリカッチ(Riccati)方程式(15)の
解として求められる。
【0094】 AT P+PA+Q−PBR-1T P=0 …(15) 尚、重みQ,Rにおいて、ゲイン《Fw》,《Fe》に
対応する動吸振器3の変位係数qa、付加質量6の加速
度の係数Rをそれぞれ風圧用のqw,rw、地震用のq
e,reとすると、風圧よりも地震による外力が数倍大
きいので、 qw≪qe,rw≪re と設定し上記の手順でゲインFを求める。
【0095】このようにして得られたゲインFに基づい
て制御量uが算出され、動吸振器3のモータ8に出力さ
れる。よって、付加質量6は風圧制振モード時はゲイン
《Fw》による制御量uにより制御されて制振方向に移
動し、地震制振モード時はゲイン《Fe》による制御量
uにより制振動作するように駆動される。
【0096】尚、上記実施例では、ビル2の制振を行う
制振装置を一例として挙げたが、これに限らず上記動吸
振器3をビル以外の構造物(例えば橋梁、鉄塔、高架建
築物、スタジアム等)にも適用できるのは勿論である。
【0097】
【発明の効果】上述の如く、請求項1の発明によれば、
通常地震のないときは風圧制振モードが設定されるた
め、風圧による小さな外力によるゆるやかな振動の場
合、風圧に応じたゲインで動吸振器を制御でき、付加質
量を風圧による変位を制振するようにゆっくりと移動さ
せて風圧による振動を良好に制振できる。しかも、縦方
向の地震の地震波(P波)が検出された時点で地震制振
モードに切換わり、やや遅れて横方向の地震波(S波)
が伝播したときには地震による急激な振動に対応したゲ
インで動吸振器の付加質量を駆動制御するため、地震に
よる構造物の振動を良好に制振できる。
【0098】従って、地震時の急激な変位が検出された
とき付加質量がストッパに衝突するまで駆動せずに済
み、従来のようにリミットスイッチをオンにして停止状
態となって制振できなくなったり、あるいはストッパへ
の衝撃が構造物に伝わってしまうといった不都合を解消
できる。
【0099】又、請求項2の発明によれば、地震が止ん
だ後も所定時間地震制振モードが継続されるため、余震
がある場合あるいは地震波が断続的に伝播するような場
合でも地震による急激な振動に対応して良好な制振効果
が得られる等の特長を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる制振装置の概略構成図である。
【図2】動吸振器の正面図である。
【図3】動吸振器の縦断面図である。
【図4】メモリに記憶された項目を示す図である。
【図5】制振装置のCPUが実行する処理を説明するた
めのフローチャートである。
【図6】図5の処理に続いて実行される風圧制振モード
の処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】図5の処理に続いて実行される地震制振モード
の処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】ビル及び動吸振器の振動モデルを示す図であ
る。
【符号の説明】
1 制振装置 2 ビル 3 動吸振器 4 制御装置 6 付加質量 8 ACサーボモータ 15a〜15d,18 センサ 16 風速計 22 地震計 25 CPU 33 ハイパスフィルタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 蔭山 満 東京都清瀬市下清戸4丁目640番地 株式 会社大林組技術研究所内 (72)発明者 松岡 佳子 神奈川県川崎市川崎区富士見1丁目6番3 号 トキコ株式会社内 (72)発明者 吉崎 勝彦 神奈川県川崎市川崎区富士見1丁目6番3 号 トキコ株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造物の変位を検出するセンサ及び地震
    波を検出する地震計からの検出信号に基づいて駆動信号
    を生成し、該駆動信号によりアクチュエータを駆動して
    付加質量を移動させ、該構造物の振動を制振する制振装
    置において、 前記地震計により地震波が検出されなかったとき風圧に
    よる振動を制振するように前記アクチュエータを駆動す
    る風圧制振モードを設定し、 前記地震計により縦方向の地震波(P波)が検出された
    とき、前記構造物の地震による振動を制振するように前
    記アクチュエータを駆動する地震制振モードを設定する
    制振モード設定手段を備えてなることを特徴とする制振
    装置。
  2. 【請求項2】 前記制振モード設定手段は、前記地震制
    振モード時に地震が止んだとき、前記地震制振モードを
    所定時間継続した後風圧制振モードを設定することを特
    徴とする請求項1の制振装置。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5592791A (en) * 1995-05-24 1997-01-14 Radix Sytems, Inc. Active controller for the attenuation of mechanical vibrations
WO1999009433A1 (en) * 1997-08-19 1999-02-25 Sami Guindi Method and apparatus for detecting impending earthquakes
US7005993B2 (en) 2002-08-30 2006-02-28 Seismic Warning Systems, Inc. Sensor apparatus and method for detecting earthquake generated P-waves and generating a responsive control signal
JP2018066436A (ja) * 2016-10-19 2018-04-26 株式会社免制震ディバイス 積層ゴム免震装置
JP2018071565A (ja) * 2016-10-25 2018-05-10 株式会社免制震ディバイス バネ付き粘性マスダンパー
JP2018091437A (ja) * 2016-12-06 2018-06-14 株式会社免制震ディバイス 積層ゴム免震装置またはバネ付き粘性マスダンパー

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