JP3429912B2 - 制振装置 - Google Patents

制振装置

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JP3429912B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は制振装置に係り、特
に小さな付加質量でより大きな制振効果が得られるよう
に制振動作する構成された制振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えばビル等の構造物においては、地震
あるいは風圧等による振動を制振するための制振装置が
設けられている。この種の制振装置では、主にビルの質
量に応じた所定の重量を有する付加質量を、ビルの振動
状態に応じて変位させることによりビルの振動を制振す
るようになっている。
【0003】そして、制振装置には、構造物の振動によ
り付加質量が揺動して振動を制振するパッシブ動吸振器
と、構造物の振動に応じて付加質量を移動させて振動を
制振するアクティブ動吸振器とがある。さらに、パッシ
ブ動吸振器とアクティブ動吸振器とを組み合わせた制振
装置(「ハイブリッド動吸振器」と呼ばれている)の開
発も進められている。
【0004】パッシブ動吸振器の場合、積層ゴムにより
支持された付加質量の固有振動数が構造物の固有振動数
と一致するように付加質量の重量や積層ゴムのばね定数
が設定されている。ところが、制振装置を設置した後、
数年経過すると構造物自体の固有振動数が変化してしま
い、付加質量の制振動作が同調しなくなる。その場合、
付加質量の重量を変更させようとすると大掛かりな作業
となり、積層ゴムのばね定数を変更するには付加質量を
ジャッキにより持ち上げる必要があり、大変な労力を要
することになる。
【0005】また、アクティブ動吸振器の場合、構造物
の大きさによっては付加質量の重量が10トン程度にな
るため、付加質量を駆動するのにかなりの駆動力が必要
となり、構造物が大型になるほど消費電力が増大してい
た。これらに対し、ハイブリッド動吸振器は、パッシブ
動吸振器と同じようにメイン付加質量(第1の付加質
量)が積層ゴムのばね定数に応じた固有周期で揺動して
制振しており、さらにメイン付加質量に設けられたアク
ティブ動吸振器が付加質量の動きを増長するようにサブ
付加質量(第2の付加質量)を動作させるため、コンパ
クトな構成でより大きな制振効果が得られるものであ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようなハイブリッド動吸振器を有する制振装置は、上記
パッシブ動吸振器の場合と同様に動吸振器を新規に設置
する場合や経年変化等により構造物の固有振動数が大幅
に変化したときは、パッシブ動吸振器のメイン付加質量
の質量を変更することによりメイン付加質量の固有振動
数を調整する必要がある。そのため、各構造物毎に専用
の付加質量を制作しなければならないばかりか、構造物
の設置スペースによってメイン付加質量の大きさが制限
される場合には付加質量を大きくすることができずメイ
ン付加質量の重量を調整することが難しくなる。
【0007】また、構造物の固有振動数が複数あるのに
対し、ハイブリッド動吸振器は上記パッシブ動吸振器と
同様に特定の振動数しか制振することができないため、
構造物が付加質量の固有振動数以外の振動数で振動した
場合には、制振効果が得られないといった問題がある。
さらに、ハイブリッド動吸振器においては、付加質量の
固有振動数を変更した場合、システム全体の動特性から
操作量(制御量)を演算しているアクティブ動吸振器が
最適な制振制御を行うことができなくなる。
【0008】そこで、本発明は上記問題を解決した制振
装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
請求項1の発明は、第1の付加質量と、該第1の付加質
量を水平方向に変位可能に支持するように弾性変形可能
な積層ゴムと、からなるパッシブ動吸振器と、該第1の
付加質量に設けられ水平方向に移動可能に支持された第
2の付加質量と、前記構造物の振動を検出する振動検出
手段と、該振動検出手段により検出された検出値に応じ
て前記第2の付加質量を移動させるアクチュエータと、
からなるアクティブ動吸振器と、を有する制振装置にお
いて、前記積層ゴムの一部の動きを規制する規制部材
と、該規制部材による前記積層ゴムの規制範囲を調整す
る規制範囲調整機構と、を備えたことを特徴とするもの
である。
【0010】従って、請求項1によれば、ハイブリッド
動吸振器において、規制部材により積層ゴムの一部の動
きを規制し、規制範囲調整機構により規制部材による規
制範囲を調整することにより、積層ゴムのばね定数を調
整して付加質量の固有振動数を変更することができる。
さらに、制振装置を構造物に設置した後に付加質量の固
有振動数が構造物の固有振動数と一致するように容易に
調整することができる。
【0011】また、請求項2の発明は、前記請求項1記
載の制振装置において、前記規制範囲調整機構が、前記
規制部材を駆動する駆動部と、前記第1の付加質量の固
有振動数が前記構造物の固有振動数と一致するように該
駆動部を制御する制御手段と、からなることを特徴とす
るものである。
【0012】従って、請求項2によれば、規制範囲調整
機構が第1の付加質量の固有振動数が構造物の固有振動
数と一致するように駆動部を制御する構成とすることに
より、駆動部を駆動制御して規制部材による規制範囲が
適正値になるように自動的に調整することができ、構造
物の振動に応じたばね定数で効果的に制振することがで
きる。
【0013】また、請求項3の発明は、前記請求項1記
載の制振装置において、前記積層ゴムのばね定数に応じ
て前記アクチュエータの第2の付加質量が前記第1の付
加質量を加振するように前記アクチュエータの制御量を
補正する制御量補正手段と、を備えたことを特徴とする
ものである。
【0014】従って、請求項3によれば、積層ゴムのば
ね定数に応じてアクチュエータの第2の付加質量が第1
の付加質量を加振するようにアクチュエータの制御量を
補正することにより、第1の付加質量の固有振動数が構
造物の固有振動数と一致した状態で積層ゴムのばね定数
に応じて第1の付加質量を加振するため、アクティブ動
吸振器がパッシブ動吸振器の制振動作を補助して制振効
果を増大させることができ、これにより第1の付加質量
をコンパクトにできると共により小さな第1の付加質量
でより大きな制振効果を得ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】図1乃至図4に本発明になる制振
装置の第1実施例を示す。尚、図1は第1実施例の制振
装置1がビル2の屋上に設置された状態を示す斜視図、
図2はパッシブ動吸振器5の内部構成を示す縦断面図、
図3はメイン付加質量13の横断面図、図4はメイン付
加質量13の縦断面図である。
【0016】制振装置1は、大略、構造物としてのビル
2の屋上に設置されたハイブリッド動吸振器3が制御装
置11からの制御信号により制振動作してビル2の水平
方向の振動を制振する構成となっている。このハイブリ
ッド動吸振器3は、パッシブ動吸振器5の上部にアクテ
ィブ動吸振器6を設けた構成であり、パッシブ動吸振器
5による制振動作がアクティブ動吸振器6により増長さ
れて大きな振動を効果的に制振することができるもので
ある。
【0017】アクティブ動吸振器6は、大略、メイン付
加質量13の上部に設けられたサブ付加質量(第2の付
加質量)9と、パッシブ動吸振器5のばね定数に応じて
サブ付加質量9をビル2の振動方向に往復動させてメイ
ン付加質量13を加振させるように制御されるACサー
ボモータ(アクチュエータ)10とからなる。また、ビ
ル2が振動したときに振動の腹となる場所となるビル2
の奇数階及び屋上、及びメイン付加質量7には、地震あ
るいは風圧による振動状態を変位、速度、あるいは加速
度により検出する振動状態検出センサ(以下単に「セン
サ」という)12(121 〜125 )が設置されてい
る。
【0018】パッシブ動吸振器5は、大略、構造物の質
量に応じた大きさのメイン付加質量(第1の付加質量)
13と、このメイン付加質量13を揺動可能に支持する
4個の積層ゴム14(141 〜144 )とよりなり、ビ
ル2が振動するとその振動数でメイン付加質量13が揺
動してビル2を制振する構成である。
【0019】図2に示すように、パッシブ動吸振器5
は、上記メイン付加質量13、積層ゴム14の他に積層
ゴム8の一部の動きを規制して積層ゴム8のばね定数を
変更させる規制部材15(151 〜154 )と、規制部
材15の上下方向に位置を変更して積層ゴム14に対す
る規制範囲を調整する規制範囲調整機構16(161
164 )と、よりなる。
【0020】尚、各規制部材15(151 〜154 )及
び規制範囲調整機構16(161 〜164 )は、各積層
ゴム14(141 〜144 )毎に設けられており、夫々
同一構成であるので、その一つについて説明することに
する。メイン付加質量13は、鉄製の錘17と補助錘1
8とよりなる。錘17は内部に規制部材15が昇降自在
に挿入される収納部19が設けられている。この収納部
19は、下方からみると図3に示すように環状に形成さ
れた環状溝19aと、環状溝19aの内側でX,Y方向
に延在して十字状に直交するガイド溝19b,19cと
よりなる。
【0021】従って、付加質量13の下面13aには、
環状溝19a,ガイド溝19b,19cが開口している
ので、下面13aの環状溝19a,ガイド溝19b,1
9cを除く扇形の当接部19dが積層ゴム14の上面に
載置される。この規制範囲調整機構16は、規制部材1
5のねじ孔15eに螺合するおねじ20と、おねじ20
を回転駆動させて規制部材15を積層ゴム14の積層方
向に駆動するステッピングモータ(駆動部)21とより
なる。また、おねじ20は、メイン付加質量13に設け
られた中央孔22に挿通されてガイド溝19bと19c
とが交差する中央部19e内に延在しているが、規制部
材15のねじ孔15eにのみ螺合している。
【0022】ステッピングモータ21は、規制部材15
による規制範囲が適正値になるようにセンサ12からの
検出信号に基づいて制御装置11により駆動制御され
る。そのため、制振装置1のパッシブ動吸振器5では、
ビル2が振動したときの加速度の変化から求まる振動の
周期に応じて各ステッピングモータ21を駆動制御する
ことにより、規制部材15が昇降して積層ゴム14のば
ね定数を自動的に調整することができる。
【0023】図5は積層ゴム14を拡大して示す斜視図
である。積層ゴム14は、円盤状に形成された複数のゴ
ム板24(241 〜24n )と、円盤状に形成された複
数の金属板25(251 〜25n-1 )とが交互に積層さ
れてなる。積層ゴム14は、相当な重量を有する付加質
量13を揺動自在に支持するため、粘弾性を有するゴム
板24(241 〜24n )だけでは支えきれず、ゴム板
24間に鉄製の金属板25が介在することにより強度が
確保されている。
【0024】また、積層ゴム14は、金属板25の方が
ゴム板24よりも大径となっており、さらにゴム板24
及び金属板25の外周にはゴム製の被膜26(図5中、
一点鎖線で示す)が被覆されており、ゴム板24及び金
属板25が密着した状態のまま一体的に結合されてい
る。従って、積層ゴム14は、A方向の振動が入力され
ると、あたかも1個の弾性体の如く弾性変形することが
できる。
【0025】図6は規制部材15の斜視図である。規制
部材15は、円筒状の規制部15aと、規制部15aの
上端に固着された十字状に交差したステー15b,15
cと、よりなる。規制部材15の規制部15aは、積層
ゴム14の外径よりも大径とされ、後述するように積層
ゴム14の上方から嵌合して外周を覆うことにより積層
ゴム14の一部の動き、即ち制振時の揺動動作を規制す
ることにより積層ゴム14のばね定数を変更する。
【0026】規制部材15の規制部15aは上記収納部
19の環状溝19aに昇降自在に挿入されるとともに、
ステー15b,15cは収納部19のガイド溝19b,
19cに嵌合して回転防止機構を形成する。従って、規
制部材15は、ステー15b,15cが収納部19のガ
イド溝19b,19cに嵌合して上下方向への移動をガ
イドされるとともに、回転方向の動作が制限される。
【0027】また、ステー15bと15cとの交差部1
5dには、ねじ孔15eが設けられている。このねじ孔
15eには、前述したステッピングモータ21に駆動さ
れるおねじ20が螺合するため、おねじ20が駆動され
ると、規制部材15は、上記収納部19の環状溝19
a,ガイド溝19b,19cに沿って昇降する。これに
より、積層ゴム14の動きを規制する規制部材15の規
制範囲が変更される。上記構成になるパッシブ動吸振器
5の設置工事が終了すると、積層ゴム14のばね定数の
調整作業を行う。このように、積層ゴム14のばね定数
を調整することができるので、パッシブ動吸振器5は固
有振動数の異なる構造物に適用することができ、各構造
物毎に製作するのではなく、予め工場で量産することも
可能になる。
【0028】即ち、パッシブ動吸振器5がビル2の屋上
に設置された後、ビル2に所定の振動を入力する加振器
(図示せず)を使用してビル2を加振することにより振
動テストを行う。そして、ビル2の振動に伴ってメイン
付加質量13がA方向に揺動するとともに、積層ゴム1
4が弾性変形して1次振動する。
【0029】メイン付加質量13は積層ゴム14の減衰
動作により、徐々に振幅が小さくなり、やがて停止位置
に戻る。このようにパッシブ動吸振器5が制振動作する
ことによりビル2の振動による振幅が抑制される。そし
て、ビル2が加振を停止させてからパッシブ動吸振器5
が制振動作が停止するまでの制振時間Taを計測する。
この制振時間Taが予め決められた規定時間Tb(例え
ば建物の総質量の5%の付加質量を設けた制振装置で3
0階の建物の屋上が1cm変位している場合、この1cmの
変位が制振されて0cmになるまでの時間20〜30秒間
(無制振時の約1/3以下))内に入っているときは
(Ta≦Tb)、パッシブ動吸振器5の固有振動数がビ
ル2の固有振動数と一致しているものと判断する。しか
し、制振時間Taが規定時間Tbより長いときは(Ta
>Tb)、パッシブ動吸振器5の固有振動数がビル2の
固有振動数と一致していないものと判断する。
【0030】図7に規制部材15による規制範囲を調整
した後の状態を示す。パッシブ動吸振器5の固有振動数
がビル2の固有振動数と一致していない場合、ステッピ
ングモータ21を駆動させて、図7に示すように規制部
材15を上記収納部19の環状溝19a,ガイド溝19
b,19cに沿って下方に移動させる。これにより、積
層ゴム14の上部に規制部材15の規制部15aが嵌合
して積層ゴム14のばね定数が変更される。
【0031】図8はパッシブ動吸振器5をモデル化した
模式図である。メイン付加質量13の質量をMとし、n
層の積層ゴム14の各層の金属板25の質量をmr
し、ゴム板24のばね定数をKr1〜Krnとしてモデル化
する。そして、一つの積層ゴム14において、各層の金
属板25の質量mr をゼロとして考えると、一の積層ゴ
ム141 のばね定数KrAは、 1/KrA=1/Kr1+1/Kr2+ … +1/Krn … (1) により求まる。また、他の積層ゴム142 〜144 のば
ね定数KrB〜KrDも上式(1)と同様に求まる。そし
て、4個の積層ゴム141 〜144 が並列にメイン付加
質量13に接続された本実施例の構成のばね定数K
r は、次式により求まる。
【0032】 Kr =KrA+KrB+KrC+KrD … (2) また、メイン付加質量13の固有振動数fは次式(3)
により求まる。 f=1/2π×√(K/M) … (3) 従って、パッシブ動吸振器5の固有振動数が構造物のA
方向(水平方向)の固有振動数と一致するように、メイ
ン付加質量13の質量と積層ゴム14全体のばね定数K
r とを設定することにより、構造物の1次振動を抑制す
ることができる。
【0033】ここで、複数のゴム板24(241 〜24
n )と複数の金属板25(251 〜25n-1 )とが交互
に積層された積層ゴム14のうち上部に設けられたゴム
板241 〜245 及び金属板251 〜255 が規制部材
15の規制部15aに嵌合した状態にばね定数が調整さ
れたものとする。
【0034】その場合、ゴム板241 〜245 及び金属
板251 〜255 が積層ゴム14から除去したものと考
えられるため、積層ゴム14はゴム板246 〜24n
び金属板256 〜25n-1 を積層したものと同様な固有
振動数を有することになる。従って、調整前のパッシブ
動吸振器5では、積層ゴム141 の全体のばね定数KrA
が前述した(1)式より、 KrA=1/(1/Kr1+1/Kr2+ … +1/Krn) … (4) のようになるが、調整後は積層ゴム141 の全体のばね
定数KrAが次式のようになる。
【0035】 KrA=1/(1/Kr6+1/Kr7+ … +1/Krn) … (5) このように、規制部材15による規制範囲が調整された
後、前述した振動テストを行い調整後の制振時間Taを
計測する。そして、制振時間Taが規定時間Tbにほぼ
等しくなるまで、上記調整作業を繰り返す。また、他の
積層ゴム142〜144 のばね定数KrB〜KrDも上記積
層ゴム141 の全体のばね定数KrAと同一となるように
調整される。
【0036】従って、本実施例では、ステッピングモー
タ21によりおねじ20を回動させるだけで、容易にパ
ッシブ動吸振器5の固有振動数をビル2の固有振動数と
一致するように調整することができるので、パッシブ動
吸振器5のメイン付加質量13を各ビル専用に製作する
必要がない。そのため、パッシブ動吸振器5の生産性が
向上し、量産効果により製造コストを安価にできるとと
もに、予め製作しておくことも可能になり、注文があっ
てから設置するまでの納期を短縮することができる。
【0037】図9,図10は制振装置1の制御系のブロ
ック図である。アクティブ動吸振器6にはサブ付加質量
9の変位、速度及び加速度を検出するセンサ27が設け
られている。そして、前述した各センサ12(121
125)及びセンサ27からの各検出信号は、増幅器2
1 〜285 ,29により増幅される。
【0038】制御装置11は、上記増幅器281 〜28
5 ,29と、センサ12により検出されたアナログ信号
をデジタル信号に変換するA/D変換器30と、A/D
変換器30から出力されたビル2の振動状態検出信号に
基づいて演算を行う演算装置31と、各種データ及び制
御プログラムを記憶する記憶装置32と、演算装置31
から出力されたデジタル信号をアナログ信号に変換する
D/A変換器33と、演算装置31から出力された制御
信号に応じて上記パッシブ動吸振器5のステッピングモ
ータ21(211 〜214 )を駆動制御するパッシブ動
吸振器用ドライブ回路34と、演算装置31から出力さ
れた制御信号に応じて上記アクティブ動吸振器6のAC
サーボモータ10を駆動制御するアクティブ動吸振器用
ドライブ回路35とを有する。
【0039】各増幅器281 〜285 ,29により増幅
された信号は、A/D変換器30でデジタル信号に変換
されて演算装置31に出力される。演算装置31は、A
/D変換器30から入力されたデジタル信号に基づいて
上記パッシブ動吸振器5のステッピングモータ21(2
1 〜214 )及びアクティブ動吸振器6のACサーボ
モータ10への制御量を演算する。
【0040】さらに、演算装置31の演算結果は、D/
A変換器32によりアナログ信号に変換されてパッシブ
動吸振器用ドライブ回路34及びアクティブ動吸振器用
ドライブ回路35に供給され、各ドライブ回路34,3
5は演算装置31で演算された制御量に応じた駆動信号
としてのトルク指令電流をパッシブ動吸振器5のステッ
ピングモータ21(211 〜214 )及びアクティブ動
吸振器6のACサーボモータ10に出力する。
【0041】図11は上記センサ12から出力されたア
ナログ信号の加速度信号の波形を示し、図12は記憶装
置32に記憶された規制部材移動量テーブル36を示
す。この規制部材移動量テーブル36には、積層ゴム1
4の各ばね定数(剛性)に対応する規制部材15の移動
量が登録されている。従って、演算装置31は、後述す
るようにビル2の加速度の変化から求まる振動の周期に
応じた積層ゴム14のばね定数を求め、その値に応じた
規制部材15の移動量を規制部材移動量テーブル36か
ら得る。
【0042】ここで、上記演算装置31が実行するメイ
ン処理につき図13のメインフローチャートを参照して
説明する。演算装置31は、ステップS1(以下「ステ
ップ」を省略する)において、ステッピングモータ21
(211 〜214 )を駆動させて規制部材15(151
〜154 )を上方に移動させる。そして、図2に示すよ
うに、15(151 〜15 4 )が錘17内に形成された
収納部19の環状溝19a,ガイド溝19b,19cに
当接する原点位置に至るまでステッピングモータ21
(211 〜214 )を駆動させる。
【0043】次のS2では、各規制部材15の現在位置
データDold にゼロを代入して記憶装置32に格納す
る。続いて、S3に進み、A/D変換器30を介してビ
ル2の振動状態を検出するセンサ12からの検出信号
(状態量x)を読み込んでビル2の振動状態を観測す
る。そして、センサ12により検出されたビル2の振動
状態から図11に示すように振動の周期Ts を求める
(S4)。
【0044】その後、S5に進み、積層ゴム14のばね
定数を求める。即ち、付加質量13の固有振動数は、ビ
ル2の固有振動数と一致すれば良いので、上記S4で求
めたビル2の振動の周期Ts に基づいてパッシブ動吸振
器5全体のばね定数Krを次式より算出する。
【0045】 Kr=(2π/Ts 2 ×M … (6) (但し、Mは付加質量13の質量にアクティブ動吸振器
6の総質量を加えた質量である。) 次のS6では、記憶装置32に記憶された規制部材移動
量テーブル36を参照して上記S5で算出した積層ゴム
14全体のばね定数Krに対応した各規制部材15の原
点位置からの移動量を求め、各規制部材15の目標位置
データDnew に代入し、記憶装置32に格納する。
【0046】そして、S7では、記憶装置32に格納さ
れた各規制部材15の目標位置データDnew と現在位置
データDold との差を求め、各規制部材15の現在位置
から目標位置までの移動量を算出する。次のS8では、
各規制部材15がS7で求めた移動量を動作するのに必
要な各ステッピングモータ21の目標回転量を算出す
る。
【0047】続いて、S9では、上記S8で求めた各ス
テッピングモータ21の目標回転量をパッシブ動吸振器
用ドライバ回路34に出力する。これにより、図7に示
すように、各規制部材15に螺合するおねじ20が目標
回転量だけ駆動され、各規制部材15が原点位置から目
標位置へ下降する。
【0048】そして、S10では、記憶装置32に格納
された目標位置データDnew の値を現在位置データD
old に代入する。続いて、S11では、後述するLQ制
御によりアクティブ動吸振器6の状態フィードバックゲ
インベクトルFを求める。次のS12では、この状態フ
ィードバックゲインベクトルFとS3で入力された状態
量xに基づいて、ACサーボモータ10の操作量uを算
出し、アクティブ動吸振器用ドライバ回路35に出力す
る。
【0049】その後、再びS3に戻り、S3〜S12の
処理を繰り返す。従って、ビル2の固有振動数が変動し
た場合、その変動量に応じて上記ステッピングモータ2
1を駆動させて規制部材15を昇降移動させるため、規
制部材15により覆われた積層ゴム14の一部の制振動
作を規制することができる。その結果、積層ゴム14の
ばね定数が変化し、付加質量13の固有振動数がビル2
の固有振動数と一致し、ビル2の振動をより効果的に制
振することができる。
【0050】このように、制振装置1のアクティブ動吸
振器5では、上記センサ12からの検出信号に基づいて
ステッピングモータ21を駆動制御して規制部材15に
よる規制範囲が適正値になるように自動的に調整するこ
とができ、ビル2の振動に応じたばね定数で効果的に制
振することができる。
【0051】従って、ビル2の振動に応じた固有振動数
が得られるように規制部材15の移動位置を自動的に調
整でき、また人の出入りや温度変化等によりビル2の固
有振動数が複雑に変化する場合でもその都度振動に応じ
た適正なばね定数が得られるように規制部材15を移動
させることができ、より広い範囲の周期の振動を制振す
ることができる。
【0052】尚、本実施例では、4個の積層ゴム141
〜144 により付加質量13を支持する構成を一例とし
て挙げたが、これに限らず、1個又は2個以上の積層ゴ
ム14を組み合わせた構成としても良いのは言うまでも
ない。また、前述した図12に示す規制部材移動量テー
ブル36の代わりに図14に示すような規制部材移動量
テーブル37に基づいて各規制部材15毎の移動量を個
別に算出するようにしても良い。その場合、例えば低剛
性の積層ゴムと高剛性の積層ゴムとが組み合わされた構
成では、高剛性の積層ゴムをすべて規制部材で覆うこと
により低剛性の積層ゴムだけで制振動作を行うように切
り換えることができる。これにより、極低剛性の制振装
置としても機能できるので、制振可能な周期をより広く
カバーすることができる。
【0053】次に上記のように構成されたパッシブ動吸
振器5の上部に設けられたアクティブ動吸振器6の構成
について説明する。図15はアクティブ動吸振器6の正
面図、図16はアクティブ動吸振器6の縦断面図であ
る。
【0054】アクティブ動吸振器6は、ビル2の屋上に
設置されたパッシブ動吸振器5のメイン付加質量13の
上部にサブ付加質量9がA方向に摺動する構成であり、
サブ付加質量9はメイン付加質量13に比べて十分に小
さい質量を有するように制作されている。サブ付加質量
9は基台41上のリニアベアリング42により摺動自在
に支持されている。
【0055】また、基台41上にはACサーボモータ1
0及び、電磁ブレーキ44が設けられており、ACサー
ボモータ10の回転軸43はカップリング45を介して
軸受46,47に軸承されたボールねじ48に結合され
ている。ボールねじ48はサブ付加質量9に螺合して貫
通している。従って、サブ付加質量9はボールねじ48
の回転により基台41の凹部41a内を移動する。
【0056】風圧又は地震発生によりビル2が振動する
と、制御装置11は振動の大きさに応じた制御量を演算
してパッシブ動吸振器5のメイン付加質量13を加振す
るようにアクティブ動吸振器6のACサーボモータ10
へ駆動信号を出力する。すなわち、ACサーボモータ1
0は駆動信号の供給によりボールねじ48を回転させ、
サブ付加質量9をA方向(振動方向)に移動させる。こ
のとき、発生するサブ付加質量9の慣性力の反作用によ
りメイン付加質量13が加振される。
【0057】そのため、メイン付加質量13がビル2の
容積に比べて小さいものを使用してもアクティブ動吸振
器6の加振動作によりパッシブ動吸振器5の制振動作が
増幅され、ビル2の振動を効果的に制振することができ
る。従って、制振装置1の全体構成及びメイン付加質量
13を大幅に小型化することが可能になり、設置スペー
スが制限されるような狭い場所にも制振装置1を設置す
ることができる。
【0058】尚、電磁ブレーキ44は制振モード時オフ
状態であり、電源をオフにされた停止モード時にボール
ねじ48を回転不可状態に制動する。尚、演算装置31
は、後述するようなLQ制御演算や時間補正演算を行う
ため、記憶装置32には経時的に変化するビル2の総重
量を現在の時間に対応させて設定する総重量設定プログ
ラムと、現在の総重量に基づいてフィードバックゲイン
を演算するフィードバックゲイン演算プログラムと、セ
ンサ12(121 〜125 )からの検出信号に基づいて
アクティブ動吸振器6の制御量を演算する制御量演算プ
ログラムと、が入力されている。
【0059】また、記憶装置32には、時間−人数テー
ブル(図示せず)が格納されている。この時間−人数テ
ーブルには、例えば1時間毎の人数変動データの1年分
が予め登録されている。即ち、時間−人数テーブルは、
1年間(365日)の人数変動データが各日付け毎に分
類され、さらに1日の1時間毎にビル2に収容される人
数が登録されている。
【0060】次に、図10に示すビル2及び制振装置1
の構成をモデル化すると図17のように表せる。ここ
で、上記構成とされたアクティブ動吸振器6の制御につ
いて説明する。ビル2は質量ms1〜msN-1と、ばね要素
s1〜KsN-1と、減衰要素Cs1〜CsN -1とより構成され
る数学モデルに置き換えられる。また、パッシブ動吸振
器5はメイン付加質量13が質量msNに置き換えられ、
積層ゴム14がばね要素KsN及び減衰要素CsNに置き換
えられる。
【0061】また、アクティブ動吸振器6についても同
様にサブ付加質量9をma ,モータ33の制御力をuの
数学モデルに置き換える。さらに、ビル2の各階の変位
をy s1〜ysN-1,メイン付加質量13の変位をysN,サ
ブ付加質量9の変位をya ,地面の変位をZとする。ビ
ル2の各階の変位ys1〜ysN-1と地面の変位Zとの差を
とった相対変位を夫々xs1〜xsN-1,メイン付加質量1
3の変位ysNと地面の変位Zとの差をとった相対変位を
sNとする。
【0062】ここで、図17の数学モデルに対して状態
方程式をたてると次式のようになる。
【0063】
【数1】
【0064】但し、上記(7)式のX,A,Bは以下の
ようにベクトルを表し、uは後述する制御量を表すベク
トルである。
【0065】
【数2】
【0066】
【数3】
【0067】この系に次式のような状態フィードバック
が施されるならば、制御量uは、 u=−FX …(14) と表される。そして、次の閉ループ系の状態方程式が得
られる。
【0068】
【数4】
【0069】ここに、Fは状態フィードバックゲインベ
クトル、uは制御量である。このFは最適レギュレータ
理論を用いて次の手順で決定される。まず、次式のよう
な二次形式評価関数Jを定義する。
【0070】
【数5】
【0071】最適レギュレータ理論では、この二次形式
評価関数Jを最小にする状態フィードバックゲインベク
トルFを決定する。ここに、Q,Rは重み行列と呼ばれ
正定行列であり、Qを大きくすると応答性が向上し、R
を大きくすると制御量を小さくすることができる。
【0072】上記状態フィードバックゲインベクトルF
を求めるには、次のリカッチ方程式 PA+AT P−PBR-1T P+Q=0 …(17) の正定な解Pを求めれば、状態フィードバックゲインベ
クトルFを次のように定めることによって評価関数Jを
最小にすることができる。
【0073】 F=R-1T P …(18) このときは、閉ループ系の漸次安定が保証されており、
安定化が図れる。演算装置31は、以上のような制御理
論により算出された状態フィードバックゲインベクトル
Fと、各センサ12からのビル2の変位検出信号Xに基
づいて、制御量uを求める。
【0074】図18に演算装置31が実行するACサー
ボモータ10の操作量uを算出するためのサブルーチン
のフローチャートを示す。演算装置31は、S21にお
いて、制振装置1のシステムに異常がないかどうかをチ
ェックする。このS21で異常がないときは、S22に
進みビル2の振動による各階及びメイン付加質量13の
相対変位などの状態量を前述したセンサ12(121
125 )からの検出信号が入力される。
【0075】そして、S23では入力された状態量と前
述した制御理論により算出した状態フィードバックゲイ
ンベクトルFによりアクティブ動吸振器6の制御量uを
算出する。続いてS24に進み、算出された制御量uを
アクティブ動吸振器6に出力する。これにより、アクテ
ィブ動吸振器6のACサーボモータ10はサブ付加質量
9を移動させて制振動作を行う。
【0076】尚、S21において、システムの異常発生
を示す異常信号が入力されたときは、S25に進み制御
量uを0としてS24でu=0をアクティブ動吸振器6
に出力する。その場合、アクティブ動吸振器6は制振動
作をせず、停止する。また、演算装置31は、予め設定
された所定時間間隔(例えば5msごと)で上記S21〜
S25の処理を実行し、制御量uを出力する。
【0077】従って、演算装置31はビル2及びメイン
付加質量13の振動の大きさに応じたセンサ12(12
1 〜125 )からの出力に基づいて制御量uを演算する
ことができるため、アクティブ動吸振器6は、例えば風
圧による振動、地震発生時の振動、地震発生後の残留振
動などのビル2の振動状態の大きさに応じた制振動作を
正確に行うことができ、ビル2の振動を短時間で収束さ
せることができる。
【0078】次に、図19のフローチャートを参照して
演算装置31が経時的に変化するビル2の総重量に基づ
いてフィードバックゲインを演算する補正処理について
説明する。演算装置31は、S31において、タイマか
ら現在の時刻を読み出す。
【0079】次にS32に進み、記憶装置32に格納さ
れた時間−人数テーブルから上記S21で読み出した現
在の時刻に対応した人数nh を読み出す。次のS33で
は、現在の時刻に対応した人数nh と人間の平均体重
(例えば大人の平均体重を60kgとする)との積より、
ビル2内に収容された人数nh の総質量mh を算出す
る。そして、人数nh の人間がビル2の各階に平均して
分散しているものと仮定して前述した構造物の数学モデ
ル(図17参照)に対応させ、総質量mh から数学モデ
ル各階の人間の質量mh1〜mhN-1を算出し、Ms マトリ
クスを次のように求める。
【0080】
【数6】
【0081】そして、S34に進み、上記Ms マトリク
スから前述した(9)式のAマトリクスを求め、さらに
前述した(17)式のリカッチ方程式の正定な解Pを求
めた後、状態フィードバックゲインベクトルFを前述し
た(19)式のように定めることによって評価関数Jを
最小にする状態フィードバックゲインベクトルFを求め
る。
【0082】従って、演算装置31は、このように状態
フィードバックゲインベクトルFをビル2内に収容され
ている人数に応じた値に補正し、この状態フィードバッ
クゲインベクトルFと上記センサ12から出力された検
出信号に基づいて制御量uを算出する。そのため、ビル
2に収容されている人数が変動してもその時刻の人数に
応じてアクティブ動吸振器6を駆動させることができ
る。
【0083】そのため、例えばビル2内の劇場や映画館
が満員のときにはビル2の総質量が増加するため、その
分サブ付加質量9の加速度、変位量を増大させてメイン
付加質量13を加振してビル2の振動を十分に制振する
ことができる。さらに、ビル2内の劇場や映画館の上演
が終わって客が帰った後はビル2の総質量が減少するた
め、その分付加質量6の加速度、変位量を減少させてビ
ル2を加振させてしまうことを防止できる。
【0084】次のS35では、1時間経過したかどうか
チェックしており、1時間待機すると、フィードバック
ゲインの補正処理が終了して再びS31に戻る。従っ
て、上記フィードバックゲインの補正処理は1時間毎の
人数が記録された時間−人数テーブルに合わせて実行さ
れる。
【0085】このようにビル2の質量変化を予測してフ
ィードバックゲインの補正処理を行うことにより、アク
ティブ動吸振器6はパッシブ動吸振器5のばね定数に応
じた加速度、変位量でサブ付加質量9を移動させること
ができ、その結果メイン付加質量13をビル2の振動状
態に応じて加振することができる。また、上記実施例の
ように、記憶装置32に時間毎の人数を登録する代わり
にビル2の出入り口に入場者数と退場者数とを計数する
ための検出器及びカウンタを総重量設定手段として設
け、このカウンタにより計数されたカウント値によりビ
ル2内の人数を把握し、これに基づいてビル2の重量を
検出するようにしても良い。
【0086】図20に本発明の第2実施例のパッシブ動
吸振器51を示す。パッシブ動吸振器51は、付加質量
52と、積層ゴム53と、規制部材としての規制ロッド
54と、規制ロッド54を移動させる規制範囲調整機構
55とよりなる。
【0087】規制範囲調整機構55は、規制ロッド54
を昇降させるステッピングモータ56を有し、上記第1
実施例の場合と同様に付加質量52の固有振動数がビル
2の固有振動数と同一になるようにばね定数を制御す
る。尚、ステッピングモータ56は、付加質量52の上
部に設けられた凹部52dに取り付けられている。
【0088】規制ロッド54は、付加質量52の中央孔
52a内に昇降自在に挿入されている。また、規制ロッ
ド54の先端部54aは、円錐状に形成されており、積
層ゴム53の中央部に穿設された貫通孔53a(図20
中、破線で示す)内に挿入されている。
【0089】規制ロッド54は、付加質量52の上面側
から下方に延在するステッピングモータ56に駆動され
るおねじ57が螺合するとともに、中央孔52aの内壁
に上下方向に形成された溝52b,52cに係合するピ
ン54b,54cを有する。従って、規制ロッド54
は、溝52b,52cに係合するピン54b,54cに
より回動を制限されているため、ステッピングモータ5
6がおねじ57を回転駆動すると、昇降移動して積層ゴ
ム53の貫通孔53aに対する挿入長さが調整される。
【0090】積層ゴム53は規制ロッド54が嵌合して
いる部分のゴム板53b及び金属板53cの揺動が規制
され、ばね定数が変更される。このようにパッシブ動吸
振器51は、上記ステッピングモータ56の駆動により
積層ゴム53の貫通孔53aに規制ロッド54を挿入
し、その挿入長さにより固有振動数を変更する構成であ
るので、上記第1実施例の構成よりも簡略化されてお
り、容易に製作することができ、製造コストもより一層
安価にしうる。
【0091】図21に本発明の第3実施例のパッシブ動
吸振器61を示す。パッシブ動吸振器61は、付加質量
62と、積層ゴム63と、第1の規制部材64と、第2
の規制部材65と、第1の規制部材64を移動させる第
1の規制範囲調整機構66と、第2の規制部材65を移
動させる第2の規制範囲調整機構67とよりなる。付加
質量62は、下面側に、X方向に延在する第1のガイド
溝62aと、第1のガイド溝62aと直交するY方向に
延在する第2のガイド溝62bとを有する。
【0092】第1の規制部材64は、X方向に延在する
横架部64aと、横架部64aの両端より下方に延在す
る一対の腕部64b,64cとよりなる。この第1の規
制部材64は、X方向に延在する第1のガイド溝62a
内に昇降自在に嵌合しており、一対の腕部64b,64
cの先端部分が積層ゴム63の外周をX方向より挟持す
るように係合する。
【0093】第2の規制部材65は、Y方向に延在する
横架部65aと、横架部65aの両端より下方に延在す
る一対の腕部65b,65c(但し、図21において、
腕部65cは隠れて見えない)とよりなる。この第1の
規制部材65は、Y方向に延在する第2のガイド溝62
b内に昇降自在に嵌合しており、一対の腕部65b,6
5cの先端部分が積層ゴム63の外周をY方向より挟持
するように係合する。
【0094】付加質量62の上面に設けられた凹部62
cには、第1のガイド溝62a,第2のガイド溝62b
に貫通する貫通孔62d,62eが穿設されている。第
1の規制範囲調整機構66を構成するステッピングモー
タ68は、凹部62cに取り付けられ、ステッピングモ
ータ68により回転駆動されるおねじ68aは、貫通孔
62dに挿通され、第1の規制部材64に螺合する。
【0095】また、第2の規制範囲調整機構67を構成
するステッピングモータ69は、凹部62fに取り付け
られ、ステッピングモータ69により回転駆動されるお
ねじ69aは、貫通孔62eに挿通され、第2の規制部
材65に螺合する。従って、ステッピングモータ68
は、おねじ68aを回転駆動することにより第1の規制
部材64を昇降させることができる。また、ステッピン
グモータ69は、おねじ69aを回転駆動することによ
り第2の規制部材65を昇降させることができる。
【0096】このように、ステッピングモータ68,6
9を個別に駆動制御することができるので、第1の規制
部材64と第2の規制部材65とを個別に昇降させるこ
とができ、X方向とY方向との規制範囲を夫々独立に調
整することができる。よって、積層ゴム63は、第1の
規制部材64,第2の規制部材65の昇降位置に応じた
X方向のバネ定数とY方向のバネ定数とが異なるように
設定することが可能となる。従って、パッシブ動吸振器
61は、X方向とY方向との固有振動数が異なる構造物
を制振する場合に好適である。
【0097】尚、上記各実施例では、ビル2の制振を行
う制振装置を一例として挙げたが、これに限らず上記ハ
イブリッド動吸振器3を時間によって重量が大きく変動
するビル以外の構造物(例えば橋梁、鉄塔、高架建築
物、スタジアム等)にも適用できるのは勿論である。
【0098】
【発明の効果】上述の如く、請求項1によれば、ハイブ
リッド動吸振器において、規制部材により積層ゴムの一
部の動きを規制し、規制範囲調整機構により規制部材に
よる規制範囲を調整するため、積層ゴムのばね定数を調
整して付加質量の固有振動数を変更することができる。
従って、制振装置を構造物に設置した後に付加質量の固
有振動数が構造物の固有振動数と一致するように容易に
調整することができる。これにより装置を構造物に設置
した後に積層ゴムのばね定数を調整して付加質量の固有
振動数を構造物の固有振動数と一致させることができ
る。しかも、1個の積層ゴムで制振しうる固有振動数の
範囲が拡大されるため、各設置場所毎の固有振動数を有
する装置を個別に制作する必要がなく、同一構成のもの
を固有振動数の異なる複数の構造物に設置した後、各構
造物の固有振動数と一致するように付加質量の固有振動
数を調整するようできる。従って、各構造物毎に専用の
付加質量を製作する必要がないので、予め工場で量産す
ることが可能になり、生産性を高めることができるとと
もに製造コストを安価にできる。
【0099】また、請求項2によれば、規制範囲調整機
構が第1の付加質量の固有振動数が構造物の固有振動数
と一致するように駆動部を制御するため、駆動部を駆動
制御して規制部材による規制範囲が適正値になるように
自動的に調整することができ、構造物の振動に応じたば
ね定数で効果的に制振することができる。
【0100】また、請求項3によれば、積層ゴムのばね
定数に応じてアクチュエータの第2の付加質量が第1の
付加質量を加振するようにアクチュエータの制御量を補
正するため、第1の付加質量の固有振動数が構造物の固
有振動数と一致した状態で積層ゴムのばね定数に応じて
第1の付加質量を加振するため、アクティブ動吸振器が
パッシブ動吸振器の制振動作を補助して制振効果を増大
させることができ、これにより第1の付加質量をコンパ
クトにできると共により小さな第1の付加質量でより大
きな制振効果を得ることができる。その結果、装置の小
型化及び軽量化が図れるので、比較的狭い場所にも設置
することが可能になると共に、構造物の強度的な負担を
軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる制振装置の第1実施例の制振装置
がビルの屋上に設置された状態を示す斜視図である。
【図2】パッシブ動吸振器の内部構成を示す縦断面図で
ある。
【図3】図2中III-III 線に沿うメイン付加質量の横断
面図である。
【図4】図3中IV−IV線に沿うメイン付加質量の縦断面
図である。
【図5】積層ゴムの斜視図である。
【図6】規制部材の斜視図である。
【図7】規制範囲調整機構の動作を説明するための縦断
面図である。
【図8】パッシブ動吸振器をモデル化した模式図であ
る。
【図9】制御装置のブロック図である。
【図10】制御装置及びハイブリッド動吸振器の概略構
成を示すブロック図である。
【図11】センサの出力波形図である。
【図12】記憶装置に格納された規制移動テーブルの概
念図である。
【図13】演算装置が実行するメイン処理を説明するた
めのフローチャートである。
【図14】記憶装置に格納された規制移動テーブルの変
形例の概念図である。
【図15】アクティブ動吸振器の正面図である。
【図16】アクティブ動吸振器の縦断面図である。
【図17】ビル、パッシブ動吸振器、アクティブ動吸振
器をモデル化した模式図である。
【図18】アクティブ動吸振器の制御処理を説明するた
めのフローチャートである。
【図19】人の出入りにより生ずるビルの重量変化に応
じてアクティブ動吸振器の制御処理を説明するためのフ
ローチャートである。
【図20】パッシブ動吸振器の第2実施例の構成を示す
斜視図である。
【図21】パッシブ動吸振器の第3実施例の構成を示す
斜視図である。
【符号の説明】
1 制振装置 2 ビル 3 ハイブリッド動吸振器 5,51,61 パッシブ動吸振器 6 アクティブ動吸振器 9 サブ付加質量 10 ACサーボモータ 11 制御装置 12(121 〜125 ) 振動状態検出センサ 13 メイン付加質量 14(141 〜144 ),53,63 積層ゴム 15 規制部材 16 規制範囲調整機構 20 おねじ 21,56,68,69 ステッピングモータ 31 演算装置 32 記憶装置 34 パッシブ動吸振器用ドライブ回路 35 アクティブ動吸振器用ドライブ回路 36,37 規制部材移動量テーブル 54 規制ロッド 64 第1の規制部材 65 第2の規制部材
フロントページの続き (72)発明者 小林 隆英 神奈川県川崎市川崎区富士見1丁目6番 3号 トキコ株式会社内 (72)発明者 福井 宏治 神奈川県川崎市川崎区富士見1丁目6番 3号 トキコ株式会社内 (72)発明者 願海 龍也 神奈川県川崎市川崎区富士見1丁目6番 3号 トキコ株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−58012(JP,A) 特開 平4−69428(JP,A) 特開 平7−127306(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04H 9/02 341 F16F 15/00 - 15/36

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の付加質量と、該第1の付加質量を
    水平方向に変位可能に支持するように弾性変形可能な積
    層ゴムと、からなるパッシブ動吸振器と、 該第1の付加質量に設けられ水平方向に移動可能に支持
    された第2の付加質量と、前記構造物の振動を検出する
    振動検出手段と、該振動検出手段により検出された検出
    値に応じて前記第1の付加質量を加振するように前記第
    2の付加質量を移動させるアクチュエータと、からなる
    アクティブ動吸振器と、 を有する制振装置において、 前記積層ゴムの一部の動きを規制する規制部材と、 該規制部材による前記積層ゴムの規制範囲を調整する規
    制範囲調整機構と、 を備えたことを特徴とする制振装置。
  2. 【請求項2】 前記請求項1記載の制振装置において、 前記規制範囲調整機構は、 前記規制部材を駆動する駆動部と、 前記第1の付加質量の固有振動数が前記構造物の固有振
    動数と一致するように該駆動部を制御する制御手段と、 からなることを特徴とする請求項1の制振装置。
  3. 【請求項3】 前記請求項1記載の制振装置において、 前記積層ゴムのばね定数に応じて前記アクチュエータの
    第2の付加質量が前記第1の付加質量を加振するように
    前記アクチュエータの制御量を補正する制御量補正手段
    と、 を備えたことを特徴とする請求項1の制振装置。
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