JPH05230104A - 水溶性低分子量キトサンの製造方法 - Google Patents

水溶性低分子量キトサンの製造方法

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JPH05230104A
JPH05230104A JP3516592A JP3516592A JPH05230104A JP H05230104 A JPH05230104 A JP H05230104A JP 3516592 A JP3516592 A JP 3516592A JP 3516592 A JP3516592 A JP 3516592A JP H05230104 A JPH05230104 A JP H05230104A
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acetic acid
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JP3516592A
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Tadanobu Tsushimo
忠達 津下
Tsutomu Oda
務 織田
Akira Akiyama
彰 秋山
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HITOMI SANGYO KK
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HITOMI SANGYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 水溶性で比較的分子量の低い(平均分子量と
して8000〜 15000) キトサンを容易かつ廉価に製造する
方法を提供する。 【構成】 水溶性低分子量キトサンを、酢酸 100重量
部、濃硫酸 1.5〜 2.5重量部および過酸化水素水溶液 4
00〜 600重量部を含む混合液中において平均分子量が5
万〜 300万である原料キトサンを40〜65℃の温度範囲に
おいて反応させる方法であって、該混合液中の酢酸含有
量が CH3COOHとして10〜20重量%であり、硫酸の含有量
が H2SO4として0.25〜0.35重量%であり、かつ過酸化水
素の含有量はH2O2として25〜35重量%であり、該混合液
中の CH3COOH、H2SO4 およびH2O2の含有量がそれらの合
計量として40〜50重量%であり、該キトサンの構造単位
1モルに対する過酸化水素水溶液の割合がH2O2として20
〜30モルであり、そして 100重量部のキトサンに対する
酢酸の割合が CH3COOHとして 220〜 320重量部である方
法によって製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水溶性低分子量キトサ
ンの製造方法に関し、更に詳しくは、酢酸、濃硫酸およ
び過酸化水素水溶液を含む混合液中において原料キトサ
ンを反応させて水溶性低分子量キトサンを製造する方法
に関する。このようにして得られる水溶性低分子量キト
サンは農業の分野において植物の成長促進剤、土壌改良
剤および成長調整剤などとして有用であり、更に飲食
品、化粧品、試薬、医薬などの分野においても水溶性キ
トサンとして広く利用し得るものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、節足動物の殻、軟体動物
の外殻などの主要構成成分であるキチン質は、通常キチ
ン(β−ポリ−N−アセチル−Dグルコサミン)および
そのN−脱アセチル化合物であるキトサン(β−ポリ−
Dグルコサミン)の混合物を総称する。かかるキチン質
は、生体内では糖タンパク質として存在しており、アル
カリでタンパク質を取出し、工業的には前記したN−脱
アセチル化によってキトサンの純度を高め、農業・飲食
品・医薬その他の工業製品の各分野の原料として利用さ
れている。
【0003】一般に、前記キチン質より得られるキトサ
ンは比較的分子量が高く、前記の分野において利用する
場合、たとえば、溶媒に対する溶解性に劣るなどの種々
の制約がある。そのために高分子量のキトサンを低分子
化する(但し、オリゴ糖を製造することは含まない、以
下同じ)には、種々の方法が提案されている。
【0004】その代表的な方法としては、キトサンをpH
6〜12の条件下で過酸化水素水溶液中で処理する方法
(特公昭56-33401号公報参照、以下、公知方法(1) とい
う)、キトサンを過硼酸ナトリウム水溶液中で加熱処理
する方法(特開昭61-40303号公報参照、以下、公知方法
(2) という)、キトサンを二酸化塩素を含む溶液で処理
する方法(特開平1-11101号公報参照、以下、公知方法
(3) という)、キトサンを酸に溶解し、この溶液にアル
カリを添加し、キトサンを懸濁させ、この懸濁液を過酸
化水素で処理する方法(特開平1−185301号公報参照、
以下、公知方法 (4)という)、酢酸の存在下でキトサン
を過酸化水素と反応させる方法(特開平2-11601号公報
参照、以下、公知方法(5) という)が知られている。更
に、水溶性であり、しかも比較的に分子量の低いキトサ
ンを得る方法として、キトサンを塩素ガスと接触させる
方法(特開昭60−186504号公報参照、以下、公知方法
(6) という)、キトサンをアスコルビン酸で処理する方
法(特開昭63-63701号公報参照、以下、公知方法(7) と
いう)、キトサンを亜塩素ナトリウムと過酸化水素とを
含有する水溶液中で処理する方法(特開昭63−120701号
公報参照、以下、公知方法(8) という)、キトサンを特
定濃度の過酸化水素水溶液中で処理する方法(特開平2
-22301号公報参照、以下、公知方法(9) という)および
キトサンを酢酸に溶解したのち、過酢酸で処理する方法
(特開平2-41301号参照、以下、公知方法(10)とい
う)が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、公知方
法 (1)〜(5) で得られる低分子量化キトサンは水に不溶
性であり、農業分野における使用、とりわけ、植物成長
促進剤や成長調整剤としての使用、飲食品の分野におけ
る使用、更には医薬品の分野における使用において水に
不溶性のために問題がある。一方、公知方法(6) で得ら
れる低分子量化キトサンは、比較的低分子量であり、し
かも水溶性のキトサンが得られるが、操作上、危険性が
高い塩素ガスを使用するという問題がある。更に、公知
方法(7) では、その実施例から明らかなごとく、得られ
るキトサンは水溶性ではあるが、平均分子量が12万〜14
万と、比較的分子量が高い。また、公知方法(8) では、
むしろキトサンのオリゴマー(平均分子量 600〜1500)
しか得られていない。公知方法(9) では得られるキトサ
ンの平均分子量が比較的小さく、平均分子量が5000〜80
00のものが得られたとしても水 100mlに対する溶解度が
せいぜい15gであり、満足すべきものではない。更に公
知方法(10)では、水溶性で、かつ低分子量化されたキ
トサンが得られている。しかしながら、キトサンを溶解
するための酢酸および過酢酸中に含まれる酢酸の総和が
原料キトサンに対して非常に大きいことは明らかであ
り、事実、特開平2-41301号公報の特許請求の範囲第2
項の記載からそれらの酢酸の総和が原料キトサン1に対
して重量比で15〜18である。そのためにその実施例から
も明らかなように、これらの酢酸を中和するために多量
の水酸化ナトリウムが必要となる。しかも、得られる低
分子量のキトサン、酢酸ナトリウムなどの反応生成物が
すべて水溶性のために、得られるキトサンを分離するこ
とは容易ではない。かりに、以下の実施例のように、エ
チルアルコールを使用してキトサンを析出させたとして
も非常に多量のエチルアルコールが必要である。これら
のことから、従来の方法は、後処理工程(中和、キトサ
ンの析出など)を含めた製造コスト及び安全衛生などの
点から工業的に使用するには未だ問題がある。
【0006】従って、本発明は前記した従来技術の問題
点(欠点)を排除し、水溶性であり、比較的分子量が低
い(平均分子量として 8,000〜15,000) キトサンを容易
に、かつ安価に得る方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に従えば、酢酸 1
00重量部、濃硫酸 1.5〜 2.5重量部および過酸化水素水
溶液 400〜 600重量部を含む混合液中において平均分子
量が5万〜 300万である原料キトサンを40〜65℃の温度
範囲において反応させて水溶性低分子量キトサンを製造
する方法であって、該混合液中の酢酸の含有量が CH3CO
OHとして10〜20重量%であり、硫酸の含有量が H2SO4
して0.25〜0.35重量%であり、かつ過酸化水素の含有量
がH2O2として25〜35重量%であり、該混合液中の CH3CO
OH、H2SO 4 およびH2O2の含有量がそれらの合計量として
40〜50重量%であり、該キトサンの構造単位1モルに対
する過酸化水素水溶液の割合がH2O2として20〜30モルで
あり、そして 100重量部のキトサンに対する酢酸の割合
が CH3COOHとして 220〜 320重量部である水溶性低分子
量キトサンの製造方法によって前記問題を解決すること
ができる。
【0008】以下、本発明を具体的に説明する。A) 原料キトサン 本発明において使用される原料キトサンは、節足動物の
殻、軟体動物の外殻などの主要構成成分であるキチン質
を、たとえば、水酸化ナトリウムを使って実質的に脱ア
セチル化(脱アセチル化度 90%以上、好ましくは、92
%以上)させることによって得られるものが使われる。
また、ある程度低分子量化されたものも好んで用いるこ
とができる。かかる原料キトサンの平均分子量は通常5
万〜 300万であり、下記混合液に対する溶解性の点から
原料キトサンの平均分子量は低い方が好ましく、5万〜
250万のものが望ましい。平均分子量が5万未満の原料
キトサンを用いる場合には、前記キチン質またはそれよ
り得られるキトサンをあらかじめ低分子量化するための
追加工程が更に必要となるため、製造コストの点で好ま
しくない。
【0009】B) 混合液 本発明において使用される前記混合液の一成分である酢
酸は、後記の混合液中の CH3COOHの割合の点から、一般
には、工業的に製造され、多方面において利用されてい
る、氷酢酸 (濃度80重量%以上、通常85〜92重量%) が
好ましい。
【0010】また、過酸化水素水溶液も同様に、工業的
に製造されていること、安全性および混合液中のH2O2
割合などの点から、濃度がH2O2として32〜36重量%のも
のを使用するのが好ましい。
【0011】更に、濃硫酸も同様の理由で、濃度が H2S
O4として94〜98重量%のものを使用するのが好ましい。
【0012】本発明において原料キトサンを反応させる
混合液は、酢酸 100重量部に対する濃硫酸の割合は 1.5
〜 2.5重量部であり、 1.6〜 2.4重量部が好ましい。酢
酸 100重量部に対する濃硫酸の割合が 1.5重量部未満で
は、反応速度が遅く、工業上とりわけ生産性の点で問題
がある。一方、2.5 重量部を超えると、急激な反応が起
こり、得られるキトサンが均一にならない。そのうえ、
反応をコントロールするうえにおいても問題がある。更
に、酢酸 100重量部に対する過酸化水素水溶液の割合は
400〜 600重量部であり、とくに 420〜 580重量部が好
ましい。酢酸 100重量部に対する過酸化水素水溶液の割
合が 400重量部未満では、濃硫酸の場合と同様に反応速
度が遅く、反応に長時間を必要とし、一方、600 重量部
を超えると、急激な反応が起こり、いずれの場合も工業
的に製造する際に問題がある。
【0013】本発明に従えば、前記酢酸、濃硫酸および
過酸化水素水溶液を前記割合で、均一に混合することに
よって本発明の混合液を製造することができる。混合液
中の酢酸の含有量は、CH3COOH として10〜20重量%であ
り、とりわけ12〜20重量%が好ましい。混合液中の酢酸
の含有量が10重量%未満では、原料キトサンを該混合液
に混合する際に混合性の点において問題があり、従って
均一に反応することが難しい。一方、20重量%を超える
と、反応後、中和する際に多量のアルカリ(たとえば、
水酸化ナトリウム)を必要とし、中和後、生成するアル
カリと酢酸の塩(たとえば、酢酸ナトリウム)を除去す
る際に問題である。また、混合液中の含有量は H2SO4
して0.25〜0.35重量%であり、とりわけ0.26〜0.34重量
%が好ましい。さらに、混合液中の過酸化水素の含有量
は、H2O2として25〜33重量%であり、25〜32重量%が好
適である。
【0014】混合液中の硫酸および過酸化水素の含有量
がそれぞれ前記下限値未満では、反応速度が遅く、反応
に長時間を必要とし、一方、上限値を超えると、急激な
反応が起こり、いずれの場合も工業上問題がある。な
お、混合液中の CH3COOH、H2SO4 およびH2O2の含有量の
総和は、使用する酢酸、濃硫酸および過酸化水素水溶液
ならびに反応速度などの点から40〜50重量%であり、と
りわけ42〜50重量%が望ましい。
【0015】C) 反 応 本発明に従えば、前記した組成の混合液中において前記
原料キトサンを40〜65℃(特に、好ましくは42〜63℃)
の温度範囲において反応せしめることによって、原料キ
トサンの分子量を所望通り低下させることができ、しか
も水溶性のキトサンを得ることができる。反応温度が40
℃未満では反応が遅く、一方、65℃を超えると、急激な
反応が起こり、いずれの場合も工業上問題がある。本発
明方法において、原料キトサンの構造単位1モルに対す
る過酸化水素水溶液の割合は、H2O2として20〜30モルで
あり、特に、22〜30モルが好ましい。原料キトサンの構
造単位1モルに対する過酸化水素水溶液の割合が20モル
未満では、反応速度が遅く、反応に長時間を必要とす
る。一方、30モルを超えると、急激な反応が起こり、反
応をコントロールすることが難しく、いずれの場合も工
業上問題がある。
【0016】本発明方法において、原料キトサン 100重
量部に対する酢酸の割合は CH3COOHとして 220〜320 重
量部であり、とりわけ 240〜 320重量部が望ましい。原
料キトサン 100重量部に対する酢酸の割合が CH3COOHと
して 220重量部未満では、原料キトサンを反応させるた
めに混合液に添加する際に混合性の点で問題がある。一
方、酢酸の割合が 320重量部を超えると、後記の中和を
実施するために多量のアルカリ水溶液(たとえば、水酸
化ナトリウム水溶液)を必要とし、コスト的に問題があ
り、更に、中和によって生成するアルカリと酢酸の塩
(たとえば、酢酸ナトリウム)を、得られるキトサンか
ら除去する点で問題がある。本発明方法における反応時
間は均一な反応および工業上の生産性の点から、通常2
〜8時間であり、とくに3〜8時間が望ましい。
【0017】D) 後処理 以上のような反応によって得られる水溶性低分子量キト
サンを含有する反応液中には多量の酢酸が残存する。こ
の状態でそのまま使用することもできるが、通常はアル
カリ水溶液(たとえば、水酸化ナトリウム)を用いて中
和し、中和によって生成するアルカリの酢酸塩(たとえ
ば、酢酸ナトリウム)を除去し、そして得られる生成キ
トサンを乾燥するなどの後処理を実施することによって
平均分子量が低く、しかも水溶性のキトサンを得ること
ができる。
【0018】上記後処理工程で生成するアルカリの酢酸
塩を除去するには、一般に工業的に実施されている方法
を適用すればよく、その代表的な方法としては、限外濾
過法、中空糸を用いる方法、電気透析法、逆浸透法など
があげられる。
【0019】本発明に従って製造される水溶性低分子量
キトサンを農業の分野において、例えば土壌改良剤、植
物成長促進剤として利用する場合、更には液状の飲食品
に添加したり、排水などの汚泥に添加したりする場合、
前記したようにして中和およびアルカリの酢酸塩を除去
し、キトサンの水溶液またはこの水溶液を濃縮して使用
することができる。この水溶液中には少量の水に溶解し
ないキトサンが浮遊することがあるが、この場合には、
中和後、濾過などによって不溶性のキトサンを除去する
ことが望ましい。かかる操作の後、前記のごとくにして
アルカリの酢酸塩を除去したキトサンを含む水溶液を、
たとえばスプレードライ方式やフリーズドライ方式など
の方法によって水を蒸発除去させ、キトサンを粉末にし
て利用することができる。
【0020】以上にようにして得られるキトサンは、分
子量が比較的低く、その平均分子量は 8,000〜20,000で
あり、水に対する溶解度は、水 100ccに対して20g以上
であり、しかも、ほぼ中性(5%水溶液で pH 7.0〜
8.0) である。
【0021】このようにして得られたキトサンは、前記
のごとき分野に限らず、多方面にわたって利用すること
ができる。
【0022】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に詳しく説
明するが、本発明の範囲を以下の実施例に限定するもの
でないことはいうまでもない。なお、本発明におけるキ
トサンの平均分子量は、実施例および比較例も含めて、
シュタウジンガーの粘度式に従って重合度を算出し、キ
トサンの単位量を乗じて分子量とした。また、アミノ基
の含有量は、トルイジンブルーを指示薬とし、既知濃度
のポリビニル硫酸カリウムでコロイド滴定によって求め
た。
【0023】実施例1 濃度89.5重量%の酢酸水溶液 13.25L(CH3COOHとして 1
2.64kg) 、濃度34.5重量%の過酸化水素水溶液65.0L
(H2O2として 25.41kg) および濃度96重量%の濃硫酸0.
15L(H2SO4として0.26kg) を反応槽(容量 約 250L)
中に仕込み、温度28〜30℃において30分間均一になるよ
うに充分攪拌した。得られた混合液中の酢酸の含有量は
CH3COOHとして 14.36重量%であり、硫酸の含有量はH2
SO4 として0.30重量%であり、また過酸化水素の含有量
は、H2O2として 28.86重量%であった。また CH3COOH、
H2SO4 およびH2O2の含有量の合計は 43.52重量%であっ
た。なお、上記混合液を製造するために使用した酢酸 1
00重量部に対して濃硫酸は1.95重量部であり、過酸化水
素水溶液は 521.6重量部であった。
【0024】上で得られた混合液に原料キトサン (平均
分子量 約10万、脱アセチル化度93%) 5.0kg を添加し
(キトサンの構造単位1モルに対する過酸化水素の割合
はH2O2として 26.02モルであり、100 重量部のキトサン
に対する酢酸の割合は CH3COOHとして 277.8重量部であ
る) 、48〜53℃の温度範囲で5時間充分攪拌しながら反
応を行なった。得られた反応液を30℃まで冷却した後、
9.8 重量%の水酸化ナトリウム水溶液を液温が40℃を超
えないように冷却および攪拌しながら前記混合液を生成
するために使用した酢酸(CH3COOHとして)と同じグラム
当量を添加して中和し、次いで、遠心濾過した。この中
和液に溶解しないゲル量は 0.2kgであった。次に、限外
濾過および電気透析を行ない、中和などによって生成し
た酢酸ナトリウムなどの低分子量のナトリウムイオンが
ほぼ認められないことを確認した。その後、スプレード
ライヤーで乾燥し、微粉末 (平均粒径約2μm) 4.0kgを
得た。得られたキトサンの平均分子量は10,800であり、
アミノ基の含有量は8.18%であった。
【0025】実施例2 実施例1において使用した原料キトサンの代わりに、平
均分子量が約 195万のキトサン(脱アセチル化度 92
%)を用いた他は実施例1と同様に反応を行なった。キ
トサンの構造単位1モルに対する過酸化水素の割合はH2
O2として26.3モルであり、100 重量部の原料キトサンに
対する酢酸の割合は CH3COOHとして 274.8重量部であ
る。反応終了後、実施例1と同様に後処理(即ち、中
和、遠心濾過、限外濾過、電気透析および乾燥の操作、
以下、単に後処理という)を行なった。その結果、3.9k
g の微粉末が得られた。得られたキトサンの平均分子量
は11,500であり、アミノ基含有量は、8.15%であった。
【0026】実施例3〜5及び比較例1〜2 実施例3〜5においては、反応に際し、反応温度および
反応時間を表1に示すように変えた他は、実施例1と同
様に反応を行なった。各反応の終了後、実施例1と同様
に後処理を行なった。得られたキトサンの収率および平
均分子量を表1に示す。
【0027】 表 1 ────────────────────────────────── 実施例又は 反 応 得られたキトサン 比較例 温度範囲℃ 時 間 収率% 平均分子量 実施例3 40〜45 4 65.8 17,800 実施例4 55〜66 2 75.8 11,300 実施例5 60〜63 2 79.5 10,500 比較例1 66〜70 − − − 比較例2 35〜38 6 − − ──────────────────────────────────
【0028】なお、比較例1においては、急激な反応が
起こり、反応をコントロールすることができなかった。
また、比較例2においては、6時間経過後も反応はあま
り進行せず、反応を中止した。
【0029】実施例6〜10及び比較例3〜4 実施例1において使用した酢酸、濃硫酸および過酸化水
素水溶液(H2O2・aq)を用いて混合液を作成した。100
重量部の酢酸に対する濃硫酸および過酸化水素水溶液の
割合ならびに混合液中の CH3COOH、H2SO4 およびH2O2
総和を表2に示す。得られた各混合液に実施例1におい
て使用した原料キトサンを添加し、実施例1と同条件で
反応を実施した。キトサンの構造単位1モルに対する過
酸化水素(H2O2)の割合および原料キトサンに対する酢
酸の割合を表3に示す。各反応終了後、実施例1と同様
に後処理を行なった。得られたキトサンの収率および平
均分子量を表3に示す。また、実施例1〜10ならびに比
較例3及び4において得られたキトサンの水 (20℃) 10
0cc に対する溶解性試験を実施したところ、すべて25g
のキトサンが溶解した。
【0030】 表 2 ────────────────────────────────── 実施例又は ※1 ※2 ※3 比較例 濃硫酸 H2O2・aq CH3COOH H2SO4 H2O2 実施例6 2.15 575.8 13.17 0.30 29.24 42.71 実施例7 2.10 554.1 13.64 0.00 29.05 42.99 実施例8 2.06 552.7 15.27 0.29 28.53 44.09 実施例9 1.95 481.0 15.29 0.32 28.46 44.07 実施例10 1.95 561.6 13.49 0.28 29.19 42.96 比較例3 0.00 521.6 14.37 0.00 28.88 43.25 比較例4 2.60 521.6 14.30 0.40 28.76 43.46 ────────────────────────────────── ※1:100 重量部の酢酸に対する割合(重量部) ※2:混合液中の含有量(重量%) ※3:※2においての CH3COOH、H2SO4 及びH2O2の総和
(重量%)
【0031】 表 3 ────────────────────────────────── 実施例又は ※1 ※2 得られたキトサン 比較例 収率% 平均分子量 実施例6 26.02 246.2 75.1 13,200 実施例7 26.02 256. 77.4 12,200 実施例8 26.02 287.3 71.9 15,300 実施例9 24.02 277.8 73.0 16,000 実施例10 28.02 277.8 24.8 10,100 比較例3 26.02 277.8 24.8 25,700 比較例4 26.02 277.8 36.2 6,400 ────────────────────────────────── ※1:原料キトサンの構造単位1モルに対するH2O2の割
合(モル) ※2:原料キトサンに対する酢酸の割合(重量比)
【0032】
【発明の効果】本発明によって得られるキトサンは、そ
の平均分子量が10,000〜15,000のために、農業、飲食
品、化粧品および医薬などの分野において広く利用する
ことができ、かつ、水に対する溶解性において極めて優
れており、しかも酢酸の使用量が少ないために経済性の
点において良好であり、後処理操作も容易である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酢酸 100重量部、濃硫酸 1.5〜 2.5重量
    部および過酸化水素水溶液 400〜 600重量部を含む混合
    液中において平均分子量が5万〜 300万である原料キト
    サンを40〜65℃の温度範囲において反応させて水溶性低
    分子量キトサンを製造する方法であって、該混合液中の
    酢酸含有量が CH3COOHとして10〜20重量%であり、硫酸
    の含有量が H2SO4として0.25〜0.35重量%であり、かつ
    過酸化水素の含有量はH2O2として25〜35重量%であり、
    該混合液中の CH3COOH、H2SO4およびH2O2の含有量がそ
    れらの合計量として40〜50重量%であり、該キトサンの
    構造単位1モルに対する過酸化水素水溶液の割合がH2O2
    として20〜30モルであり、そして 100重量部のキトサン
    に対する酢酸の割合が CH3COOHとして 220〜 320重量部
    であることを特徴とする水溶性低分子量キトサンの製造
    方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1108311C (zh) * 2000-04-17 2003-05-14 武汉大学 一种制备低聚水溶性壳聚糖的方法
CN103044574A (zh) * 2013-01-11 2013-04-17 河北工业大学 微波-h2o2联合降解法制备分子量可控的窄分布壳聚糖工艺
KR101362286B1 (ko) * 2013-01-16 2014-02-12 주식회사 우리나노 수불용성 키토산 / 폴리비닐알코올 하이브리드 나노섬유의 제조방법
KR20190061828A (ko) 2017-11-27 2019-06-05 이보균 조사료용 키토산의 제조방법

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