JPH0790182A - 保存安定性に優れた絹フィブロイン及びその製造法 - Google Patents

保存安定性に優れた絹フィブロイン及びその製造法

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JPH0790182A
JPH0790182A JP25939793A JP25939793A JPH0790182A JP H0790182 A JPH0790182 A JP H0790182A JP 25939793 A JP25939793 A JP 25939793A JP 25939793 A JP25939793 A JP 25939793A JP H0790182 A JPH0790182 A JP H0790182A
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solution
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Kiyoshi Otoi
清 音居
Osami Yamamoto
修身 山本
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KANEBO SILK EREGANSU KK
Kanebo Ltd
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KANEBO SILK EREGANSU KK
Kanebo Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高品質で水溶液の透明性に優れ、しかも保存
安定性の良好な絹フィブロイン水溶液と水溶性絹フィブ
ロイン粉末を提供すること、及びそれを工業的有利に製
造する方法を提供する。 【構成】 本発明の絹フィブロイン水溶液又は水溶性絹
フィブロイン粉末は尿素及び/又はチオ尿素を含有する
ことを特徴とする。またその製法としては、水系媒体に
溶解して得た絹フィブロイン水溶液に尿素及び/又はチ
オ尿素を混合し、さらに必要に応じてこれをフリーズド
ライ又はスプレードライすることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高品質でしかも保存安
定性に優れた絹フィブロイン水溶液又はそれの乾燥品で
ある水溶性絹フィブロイン粉末及びその製造法に係り、
特に産業資材用途に好適な絹フィブロイン水溶液又は水
溶性絹フィブロイン粉末及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】絹フィブロイン(シルク蛋白)は、その
適度な吸湿性や保湿性、皮膚や毛髪に対する優れた親和
性や保護作用等の特性を有しているために、従来から絹
フィブロイン水溶液や絹フィブロイン粉末が化粧料基剤
等の用途に使用されてきた。又、最近これを産業資材や
医療基剤等の用途に応用する研究が進められている。
【0003】一般に、絹フィブロイン水溶液は特公昭5
7−4723号公報に提案されているように、銅−エチ
レンジアミン水溶液、水酸化銅−アンモニア水溶液、水
酸化銅−アルカリ−グリセリン水溶液、臭化リチウム水
溶液、カルシウム或いはマグネシウム又は亜鉛の塩酸塩
或いは硝酸塩又はチオシアン酸塩の水溶液、チオシアン
酸ナトリウム水溶液よりなる群から選ばれた少なくとも
一種の溶媒に精練絹原料を溶解後透析する方法で製造す
る。又、特公昭59−31520号公報には、かくして
得られた0.5〜20重量%の絹フィブロイン水溶液を
酵素或いは酸又はアルカリにより加水分解することを特
徴とする絹フィブロインペプチドの製造法が提案されて
いる。
【0004】これらの方法の場合、強酸や強アルカリ水
溶液を溶媒とするのと異なり溶媒が穏やかなものである
ため、絹フィブロインの有用な蛋白質構造を損傷するこ
とが無く、又透析を 膜表面積(cm2 ) /プライミング容量(cm3 )≧10 を満足する多層膜構造物又は中空糸束構造物を使用して
いるため、透明で均一な高品質の絹フィブロイン水溶液
を安定して製造することができる。
【0005】ところで、これ等の絹フィブロイン水溶液
の長期保存の品質安定性はやや不充分であって、種々の
問題点や使用上の制約がある。例えば1ケ月間以内の保
存で濃褐色に変色したり、濁りが生じたり、著しい場合
はゲル状物が大量に沈澱する。
【0006】この対策として、本発明者等はこれまで該
水溶液にキレート化剤(特開昭63−92671号公
報)、多価アルコール(特開平2−113066号公
報)、有機アミド化合物(特開平2−240165号公
報)、水溶性異種蛋白質(特開平2−281079号公
報)を混合する方法を提案して来た。
【0007】一方、絹フィブロインや絹フィブロインペ
プチド粉末として、特公昭40−24920号公報、特
公昭26−4947号公報並びに特公昭58−3844
9号公報には、絹糸をそのまま或いは化学的処理で脆化
させたものを粉砕した繊維状の絹フィブロインパウダ
ー、絹フィブロインを適当な濃厚中性塩等に溶解透析し
得られたコロイド溶液を粉霧乾燥して製造したゲル状絹
フィブロインを粉砕した粒状の絹フィブロインパウダ
ー、並びに絹フィブロインを適当な無機中性塩或いはア
ルカリ性水溶液に溶解後透析し或いはしないで得られた
コロイド溶液から、凝固性塩の添加、空気吹込み、等電
点凝固、超音波処理或いは高ずり変形速度での攪拌等で
絹フィブロインを凝固析出せしめ、脱水、乾燥後粉砕し
た微粉末状絹フィブロインが開示されている。
【0008】以上の絹フィブロイン粉末は本質的に水不
溶性であるが、一方水溶性絹フィブロイン粉末として
は、絹糸を適当な無機中性塩或いはアルカリ性溶媒に溶
解することによって得られたコロイド溶液を加水分解後
スプレードライする方法(特開昭56−40695号公
報)、絹フィブロインの平均重合度が3〜600のコロ
イド溶液をフリーズドライする方法(特開昭61−18
0800号公報)、平均重合度が650以上の絹フィブ
ロイン水溶液をフリーズドライする薄片状シルクパウダ
ーの製造法(特願平5−147080号)が提案されて
いる。
【0009】さて、前述の絹フィブロイン水溶液の安定
化剤として混合する物質の内、キレート化剤は絹フィブ
ロインの平均重合度が600以上の場合効果がないし、
水溶性異種蛋白質はそれ自体の水溶液がおおむね半透明
であるため混合した場合、絹フィブロイン水溶液の透明
度を落とす。又、有機アミドは化粧料基剤としては使用
できないし、使用を誤るとむしろ該水溶液を不安定化す
る。多価アルコールも本質的には絹フィブロイン水溶液
のゲル化剤であるため使用には慎重を要する。
【0010】以上のことは、絹フィブロインや絹フィブ
ロインペプチドの粉末の場合も同様であって、これを水
に溶かしただけの水溶液の保存安定性は良く無く、特に
平均重合度650以上の場合、再溶解性そのものが低下
し完全溶解に長時間必要となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、絹フィ
ブロインの製品性状や品質の改良について鋭意研究した
結果、本発明を完成したものである。本発明の目的は、
高品質で水溶液の透明性に優れ、しかも保存安定性の良
好な絹フィブロイン水溶液と水溶性絹フィブロイン粉末
を提供するにある。他の目的は、斯かる絹フィブロイン
水溶液と水溶性絹フィブロイン粉末を工業的に有利に製
造する方法を提供するにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は尿素及び/又は
チオ尿素を含有することを特徴とする絹フィブロイン水
溶液又は水溶性絹フィブロイン粉末に係わるものであ
り、本発明方法は水系媒体に溶解して得られた絹フィブ
ロイン水溶液に尿素及び/又はチオ尿素を混合し、さら
には必要に応じてこれをフリーズドライ又はスプレード
ライすることを特徴とする。
【0013】本発明の絹フィブロイン水溶液及び水溶性
絹フィブロイン粉末に対する尿素及び/又はチオ尿素の
添加効果は顕著であって、絹フィブロイン水溶液にあっ
ては、液の透明性を格段に改善し、該液を白濁やゲル状
物の発生することなく数ヶ月以上保存することができ
る。尿素及び/又はチオ尿素の保存安定剤として特に優
れた点は水溶液の透明性を改善し、混合濃度を高くして
も絹フィブロインがゲル化することが無く、特に尿素は
化粧品基剤として使用に制限が無く、容易に使用できる
ことにある。一方、水溶性絹フィブロイン粉末への添加
効果も良好で、特に平均重合度650以上の絹フィブロ
イン粉末の再溶解性の改善は顕著なものがある。もちろ
ん該粉末を溶解して得た水溶液の保存安定性、透明性改
善効果も優れている。
【0014】本発明は平均量体数2以上の絹フィブロイ
ン水溶液に有効であって、特に平均量体数600を上廻
る場合に顕著な効果がある(参考資料、特開昭63−9
2671号公報)。
【0015】本発明に使用する絹フィブロイン原料はま
ゆ、生糸、まゆ屑、生糸屑、ビス、揚り綿、絹布屑、ブ
ーレット等を常法に従い必要に応じて活性剤の存在下、
温水中で又は酵素の存在下温水中でセンシンを除去し乾
燥したものを使用する。
【0016】本発明に適用する絹フィブロインの溶媒
は、銅−エチレンジアミン水溶液、水酸化銅−アンモニ
ア水溶液(シュワイサー試薬)、水酸化銅−アルカリ−
グリセリン水溶液(ローエ試薬)、臭化リチウム水溶
液、カルシウム或いはマグネシウム又は亜鉛の塩酸塩或
いは硝酸塩又はチオシアン酸塩の水溶液、チオシアン酸
ナトリウム水溶液が挙げられるが、コスト及び使用上の
点からカルシウム又はマグネシウムの塩酸塩又は硝酸塩
が好ましい。又、これ等の水溶液の濃度は使用する溶媒
の種類、温度等により異なるが、金属塩等の濃度は通常
10から80%(重量)、好ましくは20〜40%(重
量)である。80%(重量)以上でも溶解するが、生成
する絹フィブロイン水溶液に実質的な差異が無く経済性
の点で問題である。
【0017】精練後の絹原料を前記水溶液よりなる溶媒
に添加し、温度60〜95℃、好ましくは70〜85℃
でニーダの如き装置内で均一に溶解するが、液比は通常
2〜50、好ましくは3〜30である。
【0018】得られた絹フィブロイン溶解液から高純度
の絹フィブロイン水溶液を得るためには、引き続いて透
析する。透析はセロファン膜に代表される透析膜や中空
繊維を使用した透析器を用い、前記の塩類等をほぼ完全
に除去する。この場合目的とする絹フィブロインの分子
量分布を極力狭くするためと、α構造の絹フィブロイン
の割合を50重量%以上に調製するためには、透析量と
透析膜面積を特定する必要がある。即ち下記式を満足す
る多層膜構造物又は中空糸集束構造物を使用して脱塩を
行う。 膜表面積(cm2 ) /プライミング容量(cm3 )≧10 (ここで、プライミング容量とは透析チューブ又は膜間
の内容積を示す)
【0019】上記数値が10未満の場合、膜分離が迅速
に行われないため透析器中での滞留時間が長くなり、得
られるフィブロイン水溶液は、既に腐敗が始まっている
事が多い。その場合、フィブロイン蛋白は腐敗による変
性で水不溶(β構造)化し、これを再び冷水易溶性化す
ることは困難である。特に本発明を円滑に且つ経済的に
行うために、上記数値は30以上が好ましく、50以上
が特に好ましい。該条件を満足させる為には、例えば中
空糸集束構造物の場合中空糸の直径4mm以下にする必
要がある。
【0020】本発明方法に於いて得られた透析液は、残
留塩濃度が0.003〜0.06%(重量)と極めて少
なく、特に中空糸の径が0.2mm程度になると、 膜表面積(cm2 ) /プライミング容量(cm3 )≒200 となり透析器中での滞留時間数10分で、これを達成す
ることができ、これより極めて高品質の絹フィブロイン
水溶液を得ることができる。
【0021】本発明に於いて絹フィブロイン水溶液の蛋
白質濃度は本質的なものではないが、通常1〜30%
(重量)、好ましくは2〜20%(重量)で、必要に応
じて濃縮される。1%(重量)以下では後工程で濃縮の
必要があり不経済であるし、30%(重量)以上では粘
性が高くなって反応や操作に無理がある。
【0022】絹フィブロインの平均分子量が数百〜数千
のものを得ようとする場合、これを酵素或いは酸又はア
ルカリを用いて加水分解を行う。
【0023】本発明に適用される加水分解酵素としては
通常の蛋白質分解酵素、例えば放線菌から得られるプロ
ナーゼ、パパイヤから得られるプロラーゼ等の数種のプ
ロテイアーゼ混合物と考えられる酵素群、プロメリン等
が挙げられ、これらを単独或いは2種以上混合して使用
することができる。使用する酵素の量は酵素の種類、純
度、反応条件、或いは目的とする絹フィブロインの平均
重合度等により異なるが、通常絹フィブロインに対して
0.01〜10.0%(重量)、好ましくは0.02〜
5.0%(重量)である。この場合の加水分解の条件は
使用する酵素の種類、濃度等により異なるが通常pHは
5〜9、好ましくは6〜8.5、温度は20〜70℃、
好ましくは30〜45℃で0.1〜72時間、好ましく
は0.5〜12時間行う。
【0024】加水分解に用いる酸としては塩酸、硫酸等
の無機酸又はくえん酸、酒石酸、マロン酸、こはく酸及
びマレイン酸等の有機酸が挙げられる。またアルカリと
しては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチ
ウム、アンモニア水等の無機アルカリ、メチルアミン等
の有機アルカリが使用し得られるが、反応性、経済性、
安定性の面から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが
好ましい。
【0025】酸又はアルカリによる加水分解の条件は使
用する酸又はアルカリの種類、目的とするペプチドの平
均重合度及び重合度分布により異なるが、通常0.03
〜3.0N、好ましくは0.3N以下の濃度で温度は2
0〜110℃、好ましくは30〜100℃で、0.5〜
48時間、好ましくは1〜24時間反応を行い、その後
アルカリ又は酸を加えて中和する。
【0026】本発明に於いて、絹フィブロイン水溶液に
長期間の保存安定性を付与するためには、透析上がりの
液又は加水分解上がりの液に尿素又はチオ尿素又は混合
物を添加し、さらに必要に応じて防カビ・防腐剤さらに
はキレート化剤を添加する。
【0027】尿素又はチオ尿素の添加量は水溶液中の絹
フィブロイン純分に対して1〜200%(重量)が好ま
しく、10〜100%がより好ましい。1%以下では添
加効果がほとんど認められないし、一方200%を越え
て添加しても200%以下と効果は変わらず経済的でな
い。
【0028】防カビ・防腐剤及びキレート化剤の添加は
絹フィブロイン水溶液をさらに安定に保存する為に好ま
しく、その添加量は防カビ・防腐剤が0.01〜1.0
%(重量)、キレート化剤が0.01〜1.0%(重
量)である。防カビ・防腐剤は特に限定されるものでは
無いが、安息香酸、ソルビン酸、デヒドロ酢酸、プロピ
オン酸、及びこれ等の塩、P−オキシ安息香酸エステル
等である。又、キレート化剤は、通常のキレート化剤が
絹フィブロインの用途で問題がなければすべて適用でき
るが、経済性の点でEDTA又はトリポリ燐酸ソーダ或
いはヘキサメタ燐酸ソーダが望ましい。EDTAはpH
との関係で2Na塩又は3Na塩がより望ましい。
【0029】本発明に於いて、尿素又はチオ尿素を含有
することを特徴とする水溶性絹フィブロイン粉末を得よ
うとする場合、前記の尿素又はチオ尿素を含有する絹フ
ィブロイン水溶液をフリーズドライ又はスプレードライ
する。
【0030】フリーズドライは通常の凍結乾燥機により
実施し得るが、水溶液中の絹フィブロイン濃度が2%
(重量)未満の場合、得られた乾燥物の収量が仕掛水溶
液量に比して極端に少なく実用的でない。
【0031】フリーズドライの処理は例えば、まず、絹
フィブロイン水溶液を浅いバット状の容器に深さ5〜1
0mmになるように注入し、全体を一旦−20〜−40
℃に急冷して凍結させる。これを凍結乾燥機のチヤンバ
ー中の棚に複数段挿入し、初期は0.5torr程度、
終了時には0.05torr程度の減圧下乾燥する。減
圧乾燥中は棚に埋め込んだヒーターで気化熱を補給し、
凍結物の温度を適当な範囲(共晶点)に調節する。
【0032】スプレードライの処理は例えば、高速回転
するノズルを用いる方法、或いは高速気流による方法等
が挙げられる。そして、絹フィブロイン水溶液は、通常
40〜150℃、好ましくは70〜120℃の零囲気中
短時間にて乾燥粉末化せしめる。目的とする性能を有す
る絹フィブロイン粉末を得るためにスプレードライ条件
を適宜選ぶことができる。
【0033】フリーズドライ又はスプレードライにて得
られた乾燥物は、これを粉砕機で所望の大きさに粉砕す
る。粉砕物はキラキラと輝く絹光沢のやわらかい粉末
で、嵩比重が粉体の大きさにもよるが0.05〜0.5
g/cm3 の非常に軽い粉体である。
【0034】
【実施例】以下、実施例で本発明を具体的に説明する。
尚、実施例中の透視度はJISK−0102(工業排水
試験法)で測定した。
【0035】実施例1 絹フィブロイン原料として生糸屑を用いて、これの10
0部をマルセル石けん30部、水3000部の溶液で9
5〜98℃において3時間攪拌精練し、残膠を0.1%
以下にまで減少させ、水洗後80℃で熱風乾燥した。一
方、塩化カルシウム(CaCl2 ・2H2 O)100部
に水100部を混合して38重量%塩化カルシウム水溶
液200部を調製して110℃に加熱した。これに精練
ずみの生糸屑40部をニーダを用いて5分間で攪拌しな
がら投入後、さらに30分間攪拌し完全に溶解させた。
【0036】次に、内径200μ、膜厚20μ、長さ5
00mmの再生セルロース系中空糸を2000本束ね、
これの両端を中空穴を閉塞することなく集束固定(シー
ル)したホローファイバー型の透析装置を用いて、前記
溶解液を0.2 l/時間の割合で流入させて脱イオン水
を用いて透析し、絹フィブロイン水溶液を得た。該フィ
ブロイン水溶液のフィブロイン濃度は10.0%(重
量)、平均重合度は1200、残留塩化カルシウムは
0.001%(重量)であった。
【0037】得られた絹フィブロイン水溶液を2分し、
その一方に溶液濃度で尿素1.0%(重量)、EDTA
・2Na塩0.2%(重量)、安息香酸ナトリウム0.
3%(重量)を混合し、もう一方には他は同じで尿素の
みを混合しなかった。その結果を該水溶液の透視度で表
1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】表1から明らかな様に尿素添加が絹フィブ
ロイン水溶液の透明度改善に顕著に効果があり、又保存
安定性の改善にも優れた効果があることが判る。
【0040】実施例2 尿素をチオ尿素に交換したのみで、他は実施例1に準じ
て実施した。その結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】表2から明らかな様に、絹フィブロイン水
溶液に対するチオ尿素の透明度改善効果及び保存安定化
効果が顕著なものであることが判る。
【0043】実施例3 実施例1に準じ、尿素の添加濃度と透明度改善効果及び
保存安定効果を試験した。その効果を表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】表3から明らかなように、尿素の添加量
1.0〜200%の範囲で添加量が大きくなる程透視度
改善効果、保存安定効果は大きくなる。ただし200%
を越えて添加しても効果は変わらず経済的でない。
【0046】実施例4 実施例1に準じて絹フィブロイン水溶液を製造した。絹
フィブロインの濃度は10.0%(重量)、平均重合度
は1000であった。これに尿素を溶液濃度で2.0%
(重量)、EDTA・2Na塩0.2%(重量)、安息
香酸ナトリウム0.3%(重量)を混合した。得られた
絹フィブロイン水溶液を−30℃に急速に冷却して凍結
せしめた。これを乾燥初期は0.5torr、終了時点
では0.05torr程度の通常の凍結乾燥法で乾燥
し、これをヘンシェルミキサーで粉砕し、積層雲母板状
の絹フィブロイン粉末を得た。該粉末は絹フィブロイン
純分に対して尿素が20%である。
【0047】次に得られた絹フィブロイン粉末125部
を875部の冷水に再溶解した。再溶解は極めて容易で
10分以内に完全溶解した。再溶解で得た水溶液の透視
度は22度であった。又、これを1ケ月間放置した時の
透視度は20度であった。
【0048】一方、比較例として尿素を添加しない以外
は実施例4に準じて絹フィブロイン水溶液を調整し、同
じく凍結乾燥した。得られた絹フィブロイン粉末105
部を895部の冷水に再溶解した。この場合24時間攪
拌しても完全な再溶解は困難で約10%の絹フィブロイ
ン粉末が未溶解のまま残った。又、再溶解で得た水溶液
の透視度は8度であった。又、これを1ケ月間放置した
ものは完全にゲル化していた。
【0049】以上のように絹フィブロイン粉末に対する
尿素の添加効果は該粉末の再溶解性改善、再溶解液の透
視度改善、保存安定性改善の効果に顕著である。
【0050】
【発明の効果】以上の如く、本発明の方法により得られ
た絹フィブロイン水溶液及び水溶性絹フィブロイン粉末
は、その添加された尿素の効果で長時間液の濁り或いは
ゲル状物の発生を抑えた状態で保存できる。又、特に水
溶性絹フィブロイン粉末は尿素を添加することで再溶解
性を顕著に改善できる。本発明で得られた絹フィブロイ
ン水溶液及び水溶性絹フィブロイン粉末はフィルム形成
剤、基礎化粧品,メイクアップ化粧品,浴用剤等の化粧
品基剤、繊維処理剤、医薬品基剤として有用である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 尿素及び/又はチオ尿素を含有すること
    を特徴とする絹フィブロイン水溶液又は水溶性絹フィブ
    ロイン粉末。
  2. 【請求項2】 水系媒体に溶解して得られた絹フィブロ
    イン水溶液に尿素及び/又はチオ尿素を混合し、さらに
    は必要に応じてこれをフリーズドライ又はスプレードラ
    イすることを特徴とする絹フィブロイン水溶液又は水溶
    性絹フィブロイン粉末の製造法。
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