JPH05227887A - 耐熱油脂性菓子およびその製造方法 - Google Patents
耐熱油脂性菓子およびその製造方法Info
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Abstract
れた耐熱油脂性菓子およびその製造方法に関する。 【構成】 油脂性菓子生地にゼラチン溶液を適宣な量
添加・混合して乳化物とした後、これを冷却してゼラチ
ンをゲル化し、続いてこれを裁断成形し、次いで真空凍
結乾燥、非凍結真空乾燥及び/又は常圧熱風乾燥で品温
の上昇を90℃未満に保持しつつ乾燥し、比重0.85
以下とすることを特徴とする耐熱油脂性菓子の製造方
法。
Description
つ風味に優れた耐熱油脂性菓子およびその製造方法に関
するものである。
となる連続相が温度が体温付近で融解するココアバター
等の油脂結晶のため、つかむとべとついて手を汚し、気
温が上昇すると形崩れを生じてしまう。また、これを冷
やして固めても表面が白くなるファットブルームを生じ
てしまう等の欠点を有している。この欠点を解消する目
的で、これまで各種の耐熱油脂性菓子が提供されてき
た。
別すると、油脂の融点を高くし、融け難くする方法、
砂糖等の衣で油脂性菓子を包む方法、油脂性菓子の
構造に高温でも融けない糖類の骨格を形成する方法があ
る。の方法は、ココアバター等より融点の高い油脂を
配合することで最も簡便に実施できるものであるが、高
融点の油脂は食べた時の口溶けを著しく損ない、ワキシ
ー感の非常に強い風味の悪い油脂性菓子となる。
性菓子をセンターとして、糖液をコーティングしてつく
られる。この場合、確かに糖の衣は熱で融けないので手
が汚れることはないが、センターの油脂性菓子は体温以
上の温度では溶解してしまい、食べたとき油脂性菓子特
有の噛み応えがなくなってしまう。また、糖衣が甘すぎ
たり、ジャリジャリした食感となる欠点がある。
水分を添加又は吸収させ、この水分で油脂中に微粒子で
分散している砂糖や乳糖等を部分溶解すると同時に糖粒
子間の接合を促進して糖の骨格を形成するものである。
水分を吸収させる方法としては、吸湿性の高いアモルフ
ァス状の糖類(特公昭60−33462)、デンプン糖
やデンプン糖アルコール(特開昭61−224935)
が用いられる。一方、水分を直接添加・混合する場合
は、油脂性菓子生地の粘度が著しく上昇し、該生地の型
等への充填が困難になるため、水分を油中水型乳化物で
添加(特開平2−276537)したり、タンパク溶液
の泡で添加(特開昭64−85118 又はUS−50
04623)する等して粘度の上昇を緩和する方法が提
案されている。
の骨格が形成し、この骨格の中に油脂が保持されるの
で、気温が高くなって油脂結晶が融解しても油脂は流れ
出さず形状は保持され、糖類の骨格で該油脂性菓子は歯
応えのある食感も有する。しかも、糖類の骨格は唾液に
容易に溶解するため、食べた時の口溶けもさほど悪くは
ない。そして、油脂溶解後での冷却固化で発生するファ
ットブルームの劣化現象についても、予め2-オレオ-1,3
-ジベヘンの粉末結晶を種結晶として添加する(特開昭
63−240746)ことで38℃程度までファットブ
ルームの発生を防止できる。
熱性と口溶けの点ではの方法より、また、耐熱性と食
感ではの方法より優れているが、常温では油脂結晶と
糖類の2重骨格となっているため、噛み出しが著しく硬
くなり、しかも、糖類の部分融解・再結晶化による骨格
化で粗いザラザラした舌ざわりが生じてしまう欠点を有
する。
術の弱点を鑑み、本発明では60℃以上でも保形性があ
り、食べた時歯当たりがソフトでしかも口溶けに優れ、
さらに、60℃以上でもファットブルームが発生しない
性質を有する従来技術では製造不可能であった耐熱油脂
性菓子およびその製造方法を提供することを目的とす
る。
した油脂性菓子生地にゼラチン溶液を添加・混合し乳化
物とし、これを乾燥することで上記性状に類似した耐熱
油脂性菓子になることを見い出し、更に鋭意検討を重ね
本発明を完成した。以下、本発明の詳細を説明する。
油脂の原料組成に制限はなく、常温で流動性があるミル
クチョコレート、ブラックチョコレート、ホワイトチョ
コレート及び/又はファットクリームが用いられる。油
脂性菓子生地は次いで実施されるゼラチン溶液との混合
を容易にするため、予め40〜50℃で溶融しておく。
規格[JIS K 6503]での測定値でゼリー強度7
0ブルーム、粘度18ミリポイズ〜ゼリー強度350ブ
ルーム、粘度35ミリポイズに調整されている市販のゼ
ラチンで良い。そしてゼラチン溶液は、ゼラチン濃度が
3〜15重量%に、そして水分が35〜97重量%にな
る様調整する。ゼラチンを溶液を油脂性菓子生地に添加
・混合すると、ゼラチン溶液の水分が油脂性菓子生地中
の糖類を溶解し、油脂性菓子生地は乳化物となる。この
場合の乳化系の水分は、最終的には乾燥処理で蒸発され
るので、乾燥負荷の軽減からは少ない方が良いが、安定
した乳化物を得るためには乳化系での水分が11重量%
以上になる様調整されねばならない。
度に下げた時ゲル化し、乳化物に裁断・成形性を付与す
る。そして更に、乾燥処理でも油滴を保持し油の滲み出
しや分離のない性状とする作用を持つので、本発明での
耐熱油脂性菓子では欠くことの出来ない成分である。乳
化物のゼラチン濃度と上記特性は密接に関連し、ゼラチ
ン濃度が高い程、ゲル化での裁断・成形性と乾燥後の油
の滲み出し防止効果による耐熱性は大きくなるが、逆
に、本発明の耐熱油脂性菓子は硬くなり口溶けも遅くな
るので好ましくない。それ故、ゼラチン濃度は乾燥を終
えた耐熱油脂菓子中に1〜5重量%程度となる様、ゼラ
チン溶液のゼラチン濃度や添加量が調整される。
乳化を安定させる目的で、必要により、寒天、ペクチ
ン、卵白、大豆タンパク、アラビアガムやデンプン等の
水溶性糊料、砂糖や水飴等の糖類を、更に乳化物の流動
性を改善する目的で、HLBが14〜16程度のショ糖
脂肪酸エステル類の乳化剤を適宜に組み合わせ配合して
も良い。ところで、ゼラチン溶液の水分は、水そのもの
以外に含水物に由来させることができる。例えば牛乳、
練乳、生クリーム等の乳製品や果汁等を使用すると該原
料由来の風味を最終製品に付与することができる。該含
水物を用いる場合にはそれに直接ゼラチンを膨潤・溶解
させるか、または、予め調整したゼラチンの濃厚溶液と
該含水物を混合して調製する。
冷却すると、ゼラチンがゲル化しナイフ等での裁断・成
形が容易に可能となる。ナイフ等で適宜な大きさに裁断
・成形した該乳化物を―20℃以下で冷却固化し、次い
で、凍結真空乾燥機にて該乳化物の水分含量を2重量%
程度以下までに乾燥すると比重が0.85程度以下の多
孔質構造となり、60℃以上の高温でも全く形崩れせ
ず、食べた時歯当たりがソフトでしかも口溶けに優れ油
脂性菓子本来の風味と舌ざわりとなり、さらに、60℃
以上の高温でもファットブルームが全く発生しない優れ
た耐熱油脂性菓子になる。
の諸特性は、ゼラチンのネットワーク構造が油滴をほぼ
完全に包み込むことで発現するもの考えられる。何故な
らば、従来技術で説明した水分添加で糖類のネットワー
ク構造形成での耐熱油脂性菓子は、高温での形崩れはな
いものの、油脂の融解での油の滲み出し現象が37℃で
始まるからである。これは、糖類のネットワーク構造が
油脂を完全に包み込んでいないことを意味する。本発明
の耐熱油脂性菓子では60℃以上の高温でも全く油の滲
み出しは観察されず、従って、ファットブルームの発生
もない。
行なうことができる。この場合、真空乾燥時の乳化物の
品温を調整することで乳化物を適宜に軟化して真空膨化
させて比重を軽くし、歯当たりのソフト性と口溶けのは
やさを一層良くすることができる。この場合は、真空膨
化で均質な多孔質構造とするため、予め、該乳化物に均
一に空気・窒素ガスを分散し冷却ゲル化した乳化物を用
いると好適である。また、ガスを分散した乳化物は乾燥
速度が早くなる利点もある。
と、分散する気泡のサイズは細かく(直径0.2程度以
下)、しかも、気泡サイズをほとんど変化することなく
該乳化物の比重を0.75程度まで下げることができ
る。装置としては 例えばモンドミックス社製のMON
DOMIXのような連続式加圧型ガス分散装置を用いる
と連続的に加圧ガスの分散を実施することができる。当
然、該乳化物の気泡サイズが微細な程、真空乾燥で更に
膨化しても、最終乾燥品の多孔質はその分きめ細かくな
り、よりソフトな噛み心地となる。
燥が可能であるが、この場合は、該乳化物のゼラチンゲ
ルのゾル化による形崩れを防ぐため品温を30℃程度以
下で乾燥せねばならず、例えば30℃で相対湿度28%
の風を当てた乾燥でも約2.5〜3日程度の時間を要す
る。そこで、最初に真空乾燥を約20分間実施し乳化物
が30℃以上の温度でも形崩れしない水分(2.5〜
3.0重量%程度)に乾燥し、しかる後、90℃程度以
下の熱風で通風乾燥(約90分)すると効率的に乾燥で
きる。
温は90℃未満に設定することが肝要であり、90℃を
越えると焦げ臭等が発生し、最終製品の風味を著しく損
ない好ましくない。
常の油脂性菓子とほぼ同等の油脂を含有しているのにも
かかわらず、油脂の融点をはるかに越えた60℃以上の
高温に晒しても、該油脂性菓子では変形や軟化が全く見
られず、しかも、油の滲み出しによる手への付着汚れも
全く生じない極めて優れた耐熱性を有している。しか
も、本発明での耐熱油脂性菓子は、従来の耐熱油脂性菓
子での欠陥であった38℃以上の温度に晒された後油脂
の融点以下の温度で生じるファットブルームの発生も解
消されている。又、本発明での油脂性菓子の製造では乳
化物の乾燥による脱水処理を必須とするため、その組織
は本質的に多孔質な水溶性成分の固形分が連続相であ
り、好ましいソフトな歯ごたえのある食感を有し、しか
も、多孔質なため該水溶性固形相は唾液での口溶けが速
やかである。従って、本発明の耐熱油脂性菓子は食べる
と、すばやく油脂性菓子中の成分がとけて口中で混じり
合うため通常の油脂性菓子と同等の風味となる。
全粉乳20.00重量部、ココアバター18.50重量
部、レシチン0.50重量部、香料0.05重量部から
成るミルクチョコレートを公知の方法にて調製し、該チ
ョコレート82.6重量部を籠型混合羽根を有するミキ
サーに装填し、55℃に調温した。
3]での測定値でゼリー強度350ブルーム、粘度35
ミリポイズであるゼラチン2.6重量部とHLB値が1
4である蔗糖脂肪酸エステル1.0重量部を13.8重
量部の水で予め膨潤させ、55℃に調温したゼラチン溶
液を調製した。該ゼラチン溶液17.4重量部を上記チ
ョコレートに混合・撹拌し乳化物を得た。該乳化物を品
温55℃に保持しつつ連続式加圧ガス分散装置(MON
DOMIX)を用いて空気を均一に細かい気泡(直径が
0.2mm程度以下)として分散させ、該乳化物の比重
を0.9とした。これを圧延ロールにて冷却しつつ5m
m厚のシート状とし、更に品温25℃まで冷却した後4
0×40mm角に裁断・成形した。
5℃以下で減圧膨化乾燥(2時間)し、水分が1.0重
量%で比重が0.4である耐熱油脂性菓子を得た。該耐
熱油脂性菓子は70℃の温度に晒しても油滲みや型崩
れ、軟化等は全く見られず、更に20℃に冷却してもフ
ァットブルームは生じなかった。また、食感はソフトな
歯応えを有し、口溶けが早く、すぐ各成分がとけて一体
化して原料ミルクチョコレートと同等の風味を呈した。
5重量部、砂糖22.00重量部、乾燥卵白0.50重
量部、水飴(ブリックス75゜)25.00重量部で調
製したゼラチン溶液68.75重量部と実施例1のチョ
コレート50重量部を約55℃で混合撹拌し乳化物を得
た。これを以下実施例1と同様に冷却した後、40×4
0mm(厚さ5mm)に裁断・成形し、これを−25℃
に一夜放置し冷却固化した後、通常の真空凍結乾燥機に
て最終品温が40℃に調整しつつ12時間乾燥し、水分
0.5重量%で比重0.77の耐熱油脂性菓子を得た。
様、70℃の温度に晒しても油滲みや型崩れ、軟化等は
全く見られず、更に20℃に冷却してもファットブルー
ムは生じなかった。また、食感は実施例1の場合よりは
やや硬い歯応えを有していたが、口溶けは早く、すぐ各
成分がとけて一体化して原料ミルクチョコレートと同等
の風味を呈した。
化物を得、同様に40×40mm角(厚さ5mm)に裁
断・成形し、これを常圧下、70℃の熱風で5時間乾燥
させ、水分1.0重量%で比重が0.65である耐熱型
油脂性菓子を得た。この場合の耐熱油脂性菓子の耐熱性
や風味は実施例1の場合と同等であった。
化物を得、同様に40×40mm角(厚さ5mm)に裁
断・成形し、これをまず雰囲気圧5mmHg、品温70
℃以下で20分間減圧乾燥し、水分2.5重量%で比重
が0.4の乾燥膨化物を得た。更に該乾燥膨化物に常圧
下で85℃の熱風を115分間あて、水分1.0重量%
(比重0.4)の耐熱型油脂性菓子を得た。この場合の
耐熱油脂性菓子の耐熱性や風味は実施例1の場合と同等
であった。
ステル1.0重量部、水9.8重量部で調製したゼラチ
ン溶液13.4重量部と実施例1のチョコレート86.
6重量部を添加・混合したが、安定な乳化物は得られな
かった。
ステル1.0重量部、水13.8重量部で調製したゼラ
チン溶液15.6重量部と実施例1のチョコレート8
4.4重量部を添加・混合し水中油型乳化物を得た。以
下実施例1と同一の方法で加工し、水分1.5重量%で
比重が0.4の耐熱油脂性菓子を調製した。この場合、
上記加圧ガス分散装置での空気の分散が悪く水中油型乳
化物の比重は1.05であった。又、37℃で油滲みと
形状の崩れが生じてしまう耐熱性に乏しいものであっ
た。
エステル1.0重量部、水13.8重量部で調整したゼ
ラチン溶液24.8重量部と実施例1のチョコレート7
5.2重量部を添加混合し水中油型乳化物を得た。以下
実施例1と同一の方法で加工し、水分1.5重量%、比
重が0.4の耐熱油脂性菓子を調製した。この場合、得
られた耐熱油脂性菓子の油滲みや保形性での耐熱性は実
施例1〜3の場合と同様優れたものであったが、食べる
とややゼラチン臭があり、又唾液にとけたゼラチンが歯
にねばり付き、実施例1〜3のものに比べ風味と食感の
点が劣っていた。
%で比重が0.4の乾燥膨化物を、更に常圧下で90℃
の熱風にて90分間乾燥すると、水分1.0重量%(比
重が0.4)の耐熱油脂性菓子が得られたが、焦げ臭が
あり、風味が劣るものであった。
Claims (7)
- 【請求項1】 耐熱油脂性菓子生地とゼラチンを含有す
る耐熱油脂性菓子。 - 【請求項2】 油脂性菓子生地中のゼラチンの配合割合
が1〜5重量%である請求項1記載の耐熱油脂性菓子。 - 【請求項3】 融解した油脂性菓子生地にゼラチン溶液
を添加、混合して乳化物とした後、冷却し、裁断・成形
し、次いで品温90℃未満で乾燥することを特徴とする
比重0.85以下の耐熱油脂性菓子の製造方法。 - 【請求項4】 ゼラチン溶液の濃度が3〜15重量%で
ある請求項3記載の方法。 - 【請求項5】 ゼラチン溶液に必要により、寒天、ペク
チン、卵白、大豆タンパク、水溶性糊料、糖類および乳
化剤を適宜に組み合わせ配合し、水分を35〜97重量
%に調整する請求項3記載の方法。 - 【請求項6】 ゼラチン溶液を融解した油脂性菓子生地
に対し15〜60重量%添加・混合する請求項3記載の
方法。 - 【請求項7】 乳化物に、空気及び/又は窒素ガスを混
合・分散し比重を0.75〜1.00に調整し、冷却
し、裁断・成形した後、品温70℃以下で非凍結真空乾
燥することにより比重0.2〜0.7の耐熱油脂性菓子
を製造する請求項3記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4033217A JP2788375B2 (ja) | 1992-02-20 | 1992-02-20 | 耐熱油脂性菓子およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4033217A JP2788375B2 (ja) | 1992-02-20 | 1992-02-20 | 耐熱油脂性菓子およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05227887A true JPH05227887A (ja) | 1993-09-07 |
JP2788375B2 JP2788375B2 (ja) | 1998-08-20 |
Family
ID=12380285
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
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Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2788375B2 (ja) |
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1992
- 1992-02-20 JP JP4033217A patent/JP2788375B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JP2788375B2 (ja) | 1998-08-20 |
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