JPH0522563B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は射出成形機、ダイカストマシン等にお
いて、バリの発生を防ぐと同時に金型のパーテイ
ング面の損傷を防ぐ金型保護装置に関するもので
ある。

（従来の技術） 第４図は従来の射出成形機とその制御回路の概
要を示している。図において１は型締めシリン
ダ、２は同シリンダ１内の型締めラム、３に型締
めシリンダ１と固定型盤５を連結するタイバー、
４は前記タイバー３により前後進可能に支持され
るとともに、前記型締めラム２に連結された可動
型盤である。６は可動型盤４に取付けられた可動
側金型、１０７は固定型盤５に取付けられた固定
側金型、２０は成形品キヤビテイである。

また原料樹脂は、図示しないホツパからシリン
ダ１３内のスクリユ１４の図面右側部に供給さ
れ、図示しないヒータによる加熱と、油圧モータ
１８で駆動されるスクリユ１４の回転により溶融
可塑化され、スクリユ１４の前方へ送られて溶融
樹脂１２として貯えられる。また１５は射出シリ
ンダ、１６は射出シリンダ１５内の射出ラムで軸
受箱１７に連結されている。なお、１３０はコン
トローラ、３１，３２は圧力センサ、３３，３４
は油圧流入源、３５，３７はリリーフ弁、３６は
切換弁、３８はサーボ弁である。

しかるにこのような従来の装置では、金型にパ
ーテイング面変位検出装置が組込まれていないの
で、射出時オーバシヨツトして金型のパーテイン
グ面が開き、パーテイング面にバリが出てもそれ
を検出することができず、出たバリを型締め力で
締め付けてしまい、パーテイング面をへたらせる
という不具合があつた。また一旦パーテイング面
がへたると、へたつた分がパーテイング面の隙間
となり、その隙間へ溶融樹脂が流れ出てバリとな
る。即ち、所謂バリぐせがついてしまうことにな
る。そのためバリは射出成形で最も嫌われている
成形不良の１つでなる。

（発明が解決しようとする問題点） 上記のように従来のこの種装置には、金型のパ
ーテイング面を保護するための対策が何ら講じら
れていないため、バリが発生して金型を損傷する
という問題点を有しており、本発明はこの点を解
決してバリを極力発生させず、たとえバリが発生
してもそのために金型が損傷しないような対策を
講じたものである。

（問題点を解決するための手段） このため本発明は、射出成形機の金型の一方に
設けられ、他方の金型パーテイング面の変位を検
出するパーテイング面変位検出装置と、同検出装
置の検出信号を入力し、それが射出時に設定値以
上となつたことを検知したとき、射出を中止又は
同時に型締め力を落す制御信号を発するコントロ
ーラを備えることをその構成として、これを問題
点解決のための手段とするものである。

（作用） 射出時金型に組込んだパーテイング面変位検出
装置によつて常にパーテング面間の隙間の量を検
出してコントローラにその信号を発信し、その量
が所定の設定値に達すると、前記コントローラに
よつて射出を中止するか、あるいは同時に金型の
締付けをゆるめる指令が発せられる。前記隙間が
所定の設定値を超えるとバリの発生が多くなるも
のであるから、上記のような制御を行なうことに
よりバリ発生を極めて少なくすることが可能とな
り、万一バリが発生したときは同時に金型の締付
け力を減少させるため、バリによる金型の損傷を
防止し得る。

（実施例） 以下本発明の実施例を図面について説明する
と、第１図乃至第２図は本発明の実施例を示し、
第１図は射出成形機とその制御回路の概要を、第
２図は本発明の主要部であるパーテイング面変位
検出装置が組込まれた部分の拡大断面図を夫々示
す。

第１図において金型７、後述するパーテイング
面変位検出装置８、同じく後述するリード線２１
ａ及びコントローラ３０の各部分以外は、前記第
４図に示した従来装置と同一であるので、この同
一部分についてはその説明を省略する。

次に本発明の主要部である第１図においてＡで
示す部分について詳細に説明すると、Ａで示す部
分の詳細は第２図に示してあり、６Ｐは可動側金
型のパーテイング面、７Ｐは固定側金型のパーテ
イング面、２１は変位センサで、取付けスリーブ
２２に嵌め込まれている。取付けスリーブ２２は
その外周が大径部と小径部に肩部２２ａを介して
分けられ、一端小径部側を固定側金型７に固定さ
れ、その他端大径部側には取付けスリーブ２２の
抜け防止のためにゴムパツド２３が貼付けられて
おり、図のように金型が閉じた状態では、ゴムパ
ツド２３が少し圧縮されるような寸法関係となつ
ている。

２４は止めねじで、変位センサ２１が取付けス
リーブ２２から抜けないようにするためのもので
ある。２１ａは変位センサ２１のリード線で、金
型の外部へ導かれ、第１図に示したコントローラ
３０へ繋がつている。取付けスリーブ２２は、例
えば固定側金型７に圧入されており、取付けスリ
ーブ２２の肩部２２ａが金型７にしつかりと密着
している。しかし使用中にこの肩部２２ａの密着
がゆるむと、ギヤツプ測定の誤差となるので、こ
れを防止するため金型が閉鎖される時、常に取付
けスリーブ２２はゴムパツド２３で前記肩部２２
ａ側に押圧されるようになつている。

次に前記実施例について作用を説明すると、第
１図において、切換弁３６は油圧流入源３３から
の圧力油を型締めシリンダ１の型閉め側（図の左
側）又は型開け側（図の右側）へ切換えて供給す
る。即ち、ソレノイドａを励磁させると、油圧流
入源３３からの圧力油は型締めシリンダ１の左側
へ流れ、型締めラム２、従つてそれに連結してい
る可動型盤４及び可動側金型６を右方へ動かし型
閉め動作を行なう。逆にソレノイドｂを励磁させ
ると油圧流入源３３からの圧力油は型締めシリン
ダ１の右側へ流れ、型締めラム２、可動型盤４、
可動側金型６を左方へ動かし、型開け動作を行な
う。またソレノイドａ、ｂいずれも励磁されない
中立位置では、型締め側、型開け側双方の油とも
タンクへ開放されている。

前述のようにソレノイドａを励磁させて型閉め
動作を行なうと、金型が閉じた後、型締め圧はリ
リーフ弁３５の設定圧まで上昇して保持される。
また射出動作は型締め圧が十分上昇してから行な
われる。

次に射出動作を説明すると、油圧流入源３４か
らサーボ弁３８を経て圧力油を射出シリンダ１５
の図示の側へ送ることにより、射出ラム１６、軸
受箱１７を介してスクリユ１４を図の左側へ前進
させ、同スクリユ１４の先端の溶融樹脂１２を成
形品キヤビテイ２０へ射出する。なお、リリーフ
弁３７は油圧が上り過ぎた時、リリーフさせる安
全弁である。

またパーテイング面変位検出装置８は、第２図
における隙間δを検出するものである。即ち、第
２図において、変位センサ２１は隙間δに比例し
た出力（電圧又は電流）を、リード線２１ａを通
して発生させる。さて第１図において、パーテイ
ング面変位検出装置８より検出された変位（第２
図の隙間δ）はコントローラ３０へ送られ、コン
トローラ３０では第３図に示すようなパーテイン
グ面変位を監視しながら所定の制御を行なう。

第３図において、δ_sは各金型６，７が閉じた直
後で、型締め力が作用しない状態のパーテング面
変位である。また型締め昇圧区間ａでは、パーテ
イング面受圧力増加に伴う金型の圧縮変形のた
め、第２図の隙間δで表わされるパーテイング面
変位は減少し、最小値δ_Aに達する。なお、Ｐ点で
折れ曲つているのは、型締め圧が十分上昇したＰ
点で型締め保持に間に合うだけの油量に油圧流入
源３３の油量を減すからである。

続いて射出充填区間ｆにおいて、成形品キヤビ
テイ２０の樹脂圧力が金型を開く向きに作用する
ため、前記圧縮変形が減少し、従つてパーテイン
グ面変位が増え始め、バリが発生しない場合には
曲線イのように、射出保圧区間ｈへ切り替わる点
Ｃで最大変位δ_Cになる。前記区間ｈでは、キヤビ
テイ２０内樹脂の冷却につれて樹脂圧力が下つて
来るため、前記圧縮変形が再び増加し、従つてパ
ーテイング面変位（隙間δ）は再び減少する。

第３図の曲線イのように、射出時のパーテイン
グ面変位が初期変位δ_Cより小さい場合は、パーテ
イング面が開いていないから、バリは発生しな
い。しかるに曲線ロのように射出時のパーテイン
グ面変位が初期変位δ_Cを越える場合は、パーテイ
ング面が開き、キヤビテイ２０内の溶融樹脂がパ
ーテイング面に流れ出てバリとなる虞れがある。
そのため本実施例では、予じめ僅かに型開きした
時のパーテイング面変位δ_Lを設定しておき、曲線
ロのＱ点のように射出時のパーテイング面変位が
δ_Lに達したら、射出及び型締めを中止する。射出
動作の中止は、第１図に示すサーボ弁３８を中立
の位置に戻すか、又は逆位置（図の右側の切換位
置）に励磁して射出圧を抜くことにより行なう。
他方型締め動作の中止は、第１図に示す切換弁３
６を中立の位置に戻して型締め圧を抜くことによ
り行なう。なお、パーテイング面の隙間の大きさ
とバリとの関係は、隙間へ流れ出ようとする溶融
樹脂の粘度により異なるので、上述のパーテイン
グ面限界変位δ_Lは、樹脂の種類、樹脂温度などに
より個々に設定を変える必要がある。安全を考慮
するとパーテイング面限界位置δ_Lを初期変位δ_S
（隙間Ｏ）に等しくしておけばよい。

（発明の効果） 以上詳細に説明した如く本発明は構成されてい
るので、射出時にパーテイング面の変位量が設定
値S_Lに達したら、即ちパーテイング面がδ_L−δ_Sだ
け開いたら射出を中止するので、それ以上のパー
テイング面の開き、及びパーテイング面への溶融
樹脂流出を防ぐことができ、従つてバリの発生を
防止できる。また同時に型締めも中止して型締め
圧を落すので、万一バリが発生していても、バリ
をパーテイング面間で締付けることがなく、従来
のバリ締付けによるパーテイング面のへたりを防
止できる。

以上のように本発明によると、従来射出成形で
最も嫌われていたバリの防止、並に万一バリが発
生した場合でも、金型のパーテイング面損傷の防
止を達成できる。なお上述のようにパーテイング
面が開いたら、射出と型締めの両方共中止するの
が最良であるが、何れか一方のみ中止しても初期
の目的は達成できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示す射出成形機の側
断面とその制御回路の概要図、第２図は第１図の
Ａ部拡大図、第３図は射出時の時間経過とパーテ
イング面の変位との関係を示す線図、第４図は従
来の射出成形気の側断面とその制御回路の概要図
である。 図の主要部分の説明、６，７……金型、８……
パーテイング面変位検出装置、２１……変位セン
サ、２１ａ……リード線、２２……スリーブ、３
０……コントローラ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 射出成形機の金型の一方に設けられ、他方の
   金型のパーテイング面の変位を検出するパーテイ
   ング面変位検出装置と、同検出装置の検出信号を
   入力し、それが射出時に設定値以上となつたこと
   を検出したとき、射出を中止又は同時に型締め力
   を落す制御信号を発するコントローラとを備えて
   なることを特徴とする射出成形機の金型保護装
   置。