JPH05214016A - 新規重合体、その製造方法およびその用途 - Google Patents

新規重合体、その製造方法およびその用途

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JPH05214016A
JPH05214016A JP4805392A JP4805392A JPH05214016A JP H05214016 A JPH05214016 A JP H05214016A JP 4805392 A JP4805392 A JP 4805392A JP 4805392 A JP4805392 A JP 4805392A JP H05214016 A JPH05214016 A JP H05214016A
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JP
Japan
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structural unit
novel polymer
carboxylic acid
hydrogen
represented
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Application number
JP4805392A
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English (en)
Inventor
Hideyuki Tawara
秀行 田原
Hiroshi Ito
宏 伊藤
Keiji Koto
敬二 小藤
Masahito Takagi
雅人 高木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の分散剤用途等に採用されている重合体
では達成できない優れた物性を備えた新規重合体、その
好ましい製造方法および優れた用途を提供する。 【構成】 特定のα−グリコール構造単位と特定のカル
ボン酸系構造単位と特定のラクトン構造単位とを合計8
0重量%以上含み、前記ラクトン構造単位を5重量%以
上含み、重量平均分子量が1,000〜1,000,0
00の範囲内である新規重合体である。その製造方法
は、共役ジエン系単量体とカルボン酸系単量体とを必須
成分として含む単量体組成物を共重合させる工程と、得
られた共重合体もしくはその中和物を酸化剤を用いて酸
化する工程と、この酸化工程と同時もしくはその後でラ
クトン環を形成させる工程とを含む。この発明にかかる
洗剤用ビルダー、顔料分散剤、セメント分散剤および過
酸化水素安定化剤は上記新規重合体からなるか、これを
必須成分として含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、側鎖にα−グリコー
ル単位とカルボキシル基および/またはその塩とラクト
ン単位とを有するか、あるいは、実質的にラクトン単位
のみからなる新規重合体、その製造方法、および用途に
関する。さらに詳細には、この発明の新規重合体は、種
々の無機顔料やセメントの分散剤、キレート剤、洗剤用
ビルダー、漂白安定化助剤、製紙用助剤、繊維糊剤、接
着剤、成形材料、フィルムなどの用途に優れた性能を発
揮することができる。
【0002】
【従来の技術】水酸基とカルボキシル基とラクトン基を
併せ持つ重合体としては、従来、酢酸ビニルとアクリル
酸エステルのケン化物の部分ラクトン化物が知られてい
る。これは、変性ポリビニルアルコール(変性ポバー
ル)として、紙加工、繊維糊剤、合板用接着剤などへの
応用が試みられている。
【0003】α−ヒドロキシアクリル酸から誘導される
ポリヒドロキシアクリル酸の部分ラクトン化物について
は、洗剤用ビルダー、漂白安定化剤、分散剤、錯化剤な
どの用途が提案されている。その他に、ポリアクリル酸
ソーダが、各種の分散剤、洗剤用ビルダー、キレート剤
として広く用いられている。また、ポリビニルアルコー
ルが、繊維加工、紙加工、接着、成形の各分野に広く使
われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来の重合体は、分散性、キレート能力、粘度安定性、
耐水性、耐熱性などの諸物性において、いまだ満足すべ
きものではない。これらには、さらに、工業的見地から
も、製造工程が煩雑であったり、製造コストがかかる等
の解決すべき問題が多い。
【0005】他方、使用後の環境への負荷を考慮する
と、自然界で容易に分解(生分解、化学分解、物理分
解)されることが、これらに要求される、より重要な物
性となっている。そこで、この発明は、前記従来のこの
種の重合体では達成できない優れた物性を備えた新規重
合体を提供するとともに、この新規重合体を得る上で、
前記工程上の欠点を有せず、かつ、前記変性ポバール製
造時のごときエステルの離脱性反応等を伴わない、工業
的に優れた、上記新規重合体の製造方法と、その好適な
用途とを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、発明者らは鋭意研究を行った。その結果、構造中に
カルボキシル基とともにα−グリコール単位とラクトン
単位を有するようにすれば、上記課題を解決する重合体
が得られることを見出し、さらに検討を進めて、この発
明を完成した。
【0007】したがって、この発明にかかる新規重合体
は、下記一般式化9で表されるα−グリコール構造単位
(A)と、下記一般式化10で表されるカルボン酸系構
造単位(B)と、下記一般式化11で表されるラクトン
構造単位(C)とを含むとともに、これらの単位
(A)、(B)および(C)の合計量が重合体の全量に
対して80重量%以上であり、単位(C)が重合体の全
量に対して5重量%以上であり、重量平均分子量が1,
000〜1,000,000の範囲内である新規重合
体。
【0008】
【化9】
【0009】
【化10】
【0010】(式化9および10中、R1 は水素、メチ
ル基または塩素を表し、R2 は−COOM2 、水素また
はメチル基を表し、R3 は水素またはメチル基を表し、
1 およびM2 は水素、一価金属、二価金属、三価金
属、アンモニウム基または有機アミン基を表す。)
【0011】
【化11】
【0012】(式化11中、R4 は−COOM3 、水素
またはメチル基を表し、R5 は水素またはメチル基を表
し、R6 およびR7 は水素、メチル基または塩素を表
す。ただし、R6 およびR7 のうちの少なくとも一方は
水素である。また、M3 は水素、一価金属、二価金属、
三価金属、アンモニウム基または有機アミン基を表し、
mは0または1である。)この発明にかかる新規重合体
の製造方法は、下記一般式化12で表される共役ジエン
系単量体(a)と下記一般式化13で表されるカルボン
酸系単量体(b)とを必須成分として含む単量体組成物
を共重合させる工程と、得られた共重合体もしくはその
中和物の前記共役ジエン系単量体(a)に由来する二重
結合部分を酸化剤を用いて酸化しα−グリコール構造単
位(A)とする工程と、この酸化工程と同時もしくはそ
の後で前記酸化により得られたα−グリコール構造単位
(A)と前記カルボン酸系単量体(b)に由来するカル
ボン酸系構造単位(B)との間でラクトン環を形成させ
る工程とを含み、このような諸工程を経て前記の新規重
合体を得るようにするものである。
【0013】
【化12】
【0014】
【化13】
【0015】(式化12および13中、R1 、R2 、R
3 、M1 およびM2 は前記式化9および10中のものと
同じである。)この発明の新規重合体では、上に述べた
ように、α−グリコール構造単位(A)、カルボン酸系
構造単位(B)およびラクトン構造単位(C)の合計量
が重合体の全量に対して80重量%以上であり、ラクト
ン構造単位(C)が重合体の全量に対して5重量%以上
であるとともに、重量平均分子量が1000〜10,0
00,000の範囲内であることが必要である。上記必
要とする範囲をはずれると、得られる重合体の分散能や
キレート能等の性能が低くなるからである。ラクトン構
造単位(C)に由来する性能、たとえば、耐水性等をよ
り高くするためには、前記一般式化11中のmが0であ
るラクトン構造単位(C)が重合体の全量に対して80
重量%以上であることが好ましく、mが0である単位
(C)が重合体の全量に対して実質的に100重量%で
あることがより好ましい。ここで、単位(C)が重合体
の全量に対して実質的に100重量%であるとは、具体
的に述べれば、単位(C)が重合体の全量に対して95
重量%以上であることを意味する。
【0016】この発明の新規重合体中、カルボン酸系構
造単位(B)とα−グリコール構造単位(A)とのモル
比は、特に限定されるわけではないが、カルボン酸系構
造単位(B)がマレイン酸に由来するものであるとき
は、75:25〜40:60であることが好ましい。こ
の新規重合体を得るには、公知の方法で共役ジエン系単
量体(a)とカルボン酸系単量体(b)を共重合させ、
その後、酸化剤を用いて酸化し、この酸化と同時もしく
はその後で、α−グリコール構造単位(A)とカルボン
酸系構造単位(B)との間でラクトン環を形成させるよ
うにすれば良い。これが、この発明にかかる新規重合体
の製造方法である。
【0017】共役ジエン系単量体(a)の例としては、
ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられ
る。また、カルボン酸系単量体(b)の例としては、ア
クリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン
酸、マレイン酸、フマル酸等のジカルボン酸、あるい
は、それらの塩等が挙げられる。これら共役ジエン系単
量体(a)およびカルボン酸系単量体(b)は、それぞ
れにおいて、1種のみ用いてもよいし2種以上を併用し
てもよい。
【0018】この発明にかかる新規重合体の製造方法に
おいても、得られる新規重合体内でのα−グリコール構
造単位(A)とカルボン酸系構造単位(B)とラクトン
構造単位(C)との合計量が重合体の全量に対して80
重量%以上になることが好ましい。したがって、このよ
うなことが達成できる範囲内であれば、すなわち、例え
ば、重合体生成用単量体組成物の全量に対して20重量
%未満の範囲内であれば、これら単量体(a)および
(b)に対し、これと共重合可能な他の単量体を、重合
体生成用単量体組成物(原料成分)の構成成分の一部と
して加えることも可能である。このような共重合可能な
他の単量体の例としては、炭素数1〜20個の脂肪族ア
ルコール、炭素数2〜4個のグリコール、このグリコー
ルの付加モル数2〜100のポリアルキレングリコー
ル、または、これらグリコールやポリアルキレングリコ
ールと炭素数1〜5個の脂肪族アルコールから導かれる
アルコキシ(ポリ)アルキレングリコールと、(メタ)
アクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン
酸とのモノエステルまたはジエステル;酢酸ビニル、酢
酸プロペニル等の酢酸アルケニルエステル、スチレン、
p−メチルスチレン、スチレンスルホン酸等の芳香族ビ
ニル;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホ
ン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、ビニル
スルホン酸、アリルスルホン酸等の不飽和スルホン酸、
および、これらの塩;(メタ)アクリルアミド、N−メ
チル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メ
タ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルピペリ
ジン、N−(メタ)アクリロイルモルフォリン等の(メ
タ)アクリルアミド類;塩化ビニル等を挙げることがで
き、これらの1種または2種以上を用いることができ
る。
【0019】前述のように、この発明にかかる新規重合
体は、α−グリコール構造単位(A)とカルボン酸系構
造単位(B)とラクトン構造単位(C)との合計量が重
合体の全量に対して80重量%以上であることが必要で
ある。この発明にかかる新規重合体の製造方法では、共
役ジエン系単量体(a)に由来する二重結合部分が酸化
されてα−グリコール構造単位(A)が生成されるが、
このとき酸化されなかった二重結合部分(酸化未反応部
分)は、新規重合体のα−グリコール構造単位(A)と
カルボン酸系構造単位(B)とラクトン構造単位(C)
との合計量を算出するときは、これらの単位(A)、
(B)および(C)以外の部分として、上記他の単量体
に由来する部分がある場合にはこれと合わせて、計算さ
れることになる。
【0020】この発明にかかる新規重合体の製造方法で
は、上記の重合体生成用単量体組成物(原料成分)を重
合開始剤を用いて共重合させればよい。重合は、イオン
重合、ラジカル重合の種類を問わないが、ラジカル開始
剤の存在下に共重合を行うことが好ましい。共重合は、
塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の一般的な
重合方法により行うことができる。
【0021】溶媒中での重合は、回分式でも連続式でも
行うことができ、その際に使用される溶媒としては、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサンなどの炭
化水素類;クロロフォルム、四塩化炭素などのハロゲン
化炭化水素類;アセトン、シクロヘキサノン、メチルエ
チルケトンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸イソプロ
ピルなどのエステル類;ジブチルエーテル、テトラヒド
ロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;メチルアルコ
ール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の
低級アルコール;ジメチルスルホキシド;ジメチルホル
ムアルデヒド;ガンマブチロラクトン;水が挙げられ
る。
【0022】ラジカル重合を行う際に用いるラジカル開
始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ジラウロイル
等の過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、2・2’
−アゾビス(2・4−ジメチルバレロニトリル)、1・
1’−アゾビスシクロヘキサン−1−カルボニトリル等
のアゾ化物;クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒ
ドロペルオキシド等のヒドロペルオキシド;過硫酸カリ
ウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸物がその代表例で
ある。
【0023】重合体の分子量の調節は、開始剤の使用量
の調節や、溶媒もしくは連鎖移動剤添加系で溶液重合を
行うことにより達成される。開始剤の量を増加すれば分
子量は低下する。このようにして得られた共重合体をそ
のまま、あるいは必要により水を加えて、酸化剤によっ
て酸化すると、共重合体内の共役ジエン系単量体(a)
に由来する二重結合部分が酸化されてα−グリコール構
造単位(A)が生成する。そして、この酸化と同時もし
くはその後にα−グリコール構造単位(A)とカルボン
酸系構造単位(B)との間でラクトン環を形成させるこ
とにより、新規重合体が得られる。この場合において、
さらに必要により、上記酸化工程と同時、酸化工程の前
および/または後で共重合体を塩基性物質で中和するこ
とにより、カルボン酸基を塩にすることがある。
【0024】二重結合のα−グリコール化は、酸化剤に
よる直接グリコール化の機構と、いったんエポキシドを
生成させ、このエポキシドを加水分解してα−グリコー
ルを生成させる機構の2つの機構がある。酸化剤として
は、公知のものを使用し、公知の方法で酸化できるが、
特に過マンガン酸塩、有機過酸化物が好ましい。なお、
酸化剤として過マンガン酸塩を用いる場合、二重結合の
グリコール化とともにケトールやジケトンが生成した
り、ジエンが開裂したりするのを防止するために、系中
のpHを7〜13に維持することが好ましく、pH12
〜13に維持することがより好ましい。
【0025】有機過酸化物を用いる場合は、有機過酸化
物を直接加える方法と、系中に過酸化水素と有機酸を合
わせて加えて、この組み合わせにより、有機過酸化物と
して作用させる方法がある。このように、酸化剤は、単
独種をそのまま用いてもよいし、2種以上の物質の組み
合わせで用いてもよいのである。過酸化水素と有機酸を
組み合わせて酸化剤として用いる場合、有機酸として
は、ギ酸、酢酸、安息香酸、フタル酸、ポリアクリル酸
等が挙げられる。これら有機酸とともに、必要により酸
触媒を用いることができる。酸触媒としては、エポキシ
化技術で普通使われるような強鉱酸または強有機酸を挙
げることができる。好ましい鉱酸は硫酸および燐酸であ
る。好ましい有機酸はトリクロル酢酸の如きトリハロゲ
ン酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、また
は硫酸陽イオン交換樹脂である。
【0026】酸化反応は、0〜100°Cの温度で行う
ことができる。反応速度や、好ましくない副反応の抑制
等を考慮すると、好ましい反応温度は20〜90°Cで
ある。高分子中のラクトン環の形成は、カルボキシル基
と水酸基が隣接して存在する場合、特に5員環のラクト
ンを形成しうる場合は、非常に容易である。そのため、
上記の方法により得られた新規重合体中には、5員環の
ラクトンが形成されているので、そのままでも各種用途
に用いられる。ただし、系のpHが高い場合は、ラクトン
は形成しにくい。したがって、酸化後の系のpHが高い
場合には、酸性物質を加えて系のpHを下げることによ
り、重合体中にラクトン環を形成させることが必要にな
ることがある。この場合に用いられる酸性物質として
は、特に限定されるわけではないが、塩酸、硫酸、硝酸
等が挙げられる。
【0027】得られた新規重合体の構造を確認する手段
としては、酸価、水酸基価、赤外吸収スペクトル、核磁
気共鳴スペクトル、ゲル浸透クロマトグラフィー(GP
C)等が用いられる。以下では、この発明にかかる新規
重合体の用途を説明する。この発明の新規重合体は、重
合体中に初めから存在するカルボキシル基と水酸基、あ
るいは、使用中にラクトンの開環によって生成するカル
ボキシル基と水酸基による優れた分散能力により、高濃
度の顔料水分散液の調整を可能とし、また、優れた粘度
安定性を持たせることができる。そのため、この発明の
新規重合体は、顔料分散剤としても有用である。この新
規重合体からなる分散剤は、高濃度においても低粘度で
あり、安定性に優れた分散液を調整し得る。そのため、
塗被紙用顔料の分散のために用いる分散剤として特に好
ましく使用することができるとともに、繊維加工、建材
加工、塗料、窯業等の分野においても幅広く応用できる
ものである。この発明にかかる分散剤が用いられる塗被
用顔料としては、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、
酸化チタン、硫酸バリウム、サチンホワイト、水酸化マ
グネシウム等が挙げられる。塗被液は、これらの顔料の
水分散液に、顔料バインダーとしてカゼイン、澱粉、ス
チレン/ブタジエン系ラテックス等の単独もしくは混合
物を添加して作製される。
【0028】この発明の新規重合体は、セメント分散剤
として有用である。このセメント分散剤は、セメントモ
ルタルやコンクリート等のセメント組成物に対して大き
な硬化遅延性をもたらすことなく、高い流動性を発揮
し、かつ、セメント水溶液中でのラクトン環の経時的あ
るいは持続的な開環により、優れたスランプロス防止性
能を発揮するため、モルタル工事やコンクリート工事の
作業性に著しい改善をもたらす。したがって、このセメ
ント分散剤は、例えば、レディミクストコンクートをは
じめとするコンクリートの流動化剤として有効に使用で
きる。特に、プラント同時添加型の高性能AE減水剤と
して高減水率配合のレディミクストコンクリートの製造
を容易に実現できる。さらに、コンクリート二次製品製
造用高性能減水剤としても、有効に使用できるものであ
る。このセメント分散剤は、ポルトランドセメント、ア
ルミナセメント、各種混合セメント等の水硬性セメント
や、石膏等のセメント以外の水硬材料等の分散に用いる
ことができる。このセメント分散剤の使用方法として
は、例えば、練り混ぜ水に溶解したのちセメント組成物
調整時に練り混ぜ水と同時に添加する方法、あるいは既
に練り上がったセメント組成物に添加する方法等があ
る。
【0029】この発明の新規重合体は、過酸化水素安定
化剤として有用である。すなわち、過酸化水素で繊維、
パルプ等を漂白する場合に用いる過酸化水素の安定化剤
として特に有用である。この発明の新規重合体によれ
ば、従来のケイ酸ソーダによる漂白効果よりも優れた漂
白効果を得ることができる。そのため、ケイ酸ソーダを
使用したときに悩まされるケイ酸塩障害の問題から解放
される。この発明によれば、漂白後の繊維の強度低下
が、少なく、金属除去能力、金属イオン封鎖力にも優
れ、風合もよい被漂白物が得られる。このように、この
発明の新規重合体は、既知の過酸化水素漂白剤によって
は得られない優れた漂白作用を発揮する。
【0030】この発明にかかる新規重合体は、洗剤用ビ
ルダーとして有用である。この発明の新規重合体を用い
た洗剤用ビルダーは、重合体中に初めから存在するカル
ボキシル基と水酸基、あるいは、洗浄用ビルダーとして
使用中にラクトンの開環によって生成するカルボキシル
基と水酸基によるキレート効果により洗浄力の向上作用
に優れ、かつα−グリコール単位による生分解性も良好
であり、湖沼の富栄養化といった環境汚染の心配がない
ため、縮合リン酸塩、ゼオライト、クエン酸塩等の従来
ビルダーに支障なく代替することができる。しかも、ゼ
オライトに比較してビルダー性能が大幅に優れているの
で、界面活性剤と配合して洗剤組成物とする際、界面活
性剤の配合量を少なくすることができる。
【0031】上に述べたような意味で、この発明の新規
重合体は、構造中に有するラクトン環を閉じたままで使
用する態様もあるのである。
【0032】
【作用】この発明の新規重合体中のラクトン構造は、ア
ルカリ性物質存在下で、必要により加熱することによ
り、カルボキシル基と水酸基(α−グリコール)とに開
環する。この開環反応により生じたカルボキシル基と水
酸基、あるいは、重合体中に初めから含まれるカルボキ
シル基と水酸基(α−グリコール)が、優れた分散性と
キレート能力を大幅に向上させるとともに、α−グリコ
ール単位が分解性を発揮するようになっている。また、
親水性のカルボキシル基および水酸基と、疎水性のラク
トン基とを共存させることが可能であるため、界面活性
能が発現される。また、上記のようなラクトンの開環反
応は徐々に進行させることができ、カルボキシル基と水
酸基を経時的、徐放的または持続的に生じさせることが
可能であるので、この発明の新規重合体は、前記の分散
性、キレート能力、分解性および界面活性能を経時的、
徐放的または持続的に必要とする用途、たとえば、顔料
分散剤、セメント分散剤、漂白安定剤等の用途には好適
となる。
【0033】この発明にかかる新規重合体の製造方法
は、共役ジエン系単量体(a)とカルボン酸系単量体
(b)とを必須成分として含む単量体組成物を共重合さ
せる工程と、得られた共重合体もしくはその中和物を酸
化剤を用いて酸化する工程と、この酸化工程と同時もし
くはその後でラクトン環を形成させる工程とによって、
上記の新規重合体を得るようにしており、工程が単純で
あり、脱離反応等の工業的に不利な反応を伴わない。
【0034】この発明にかかる新規重合体の各用途は、
この新規重合体の上記優れた物性をもとに作用するた
め、優れた性能を発揮する。
【0035】
【実施例】以下に、この発明の実施例を比較例と併せて
説明するが、この発明は、下記実施例に限定されない。
なお、下記例中、「部」は、特にことわらない限り、
「重量部」を表す。 −実施例1− 攪拌装置、温度計、圧力計および2本のガス導入管を備
えたスチール製オートクレーブに無水マレイン酸15
7.6g、アゾビスイソブチロニトリル14.4g、お
よびシクロヘキサノン482.6gをとり、オートクレ
ーブ内を攪拌しながら、窒素で5kg/cm2の加圧と脱圧を
数回くりかえし、十分空気と置換し、70℃まで加熱し
た。次いでブタジエン96.6g、シクロヘキサノン9
6.6gからなる混合溶液を120分かけて添加し、添
加完了後、引き続き70℃で60分間保持し、重合反応
を完了した。得られたポリマー溶液を大過剰のジエチル
エーテル中に再沈澱させ沈澱物をロ過後、60℃で減圧
乾燥し、ブタジエン−マレイン酸コポリマー(1)を得
た。
【0036】次に、攪拌装置、温度計、ガス導入管を備
えたガラス製反応容器にブタジエン−マレイン酸コポリ
マー(1)15.8g、48%水酸化ナトリウム17.
0g、水281.5gをとり、容器内を攪拌しながら、
窒素置換し、窒素雰囲気中で、氷浴につけて、1℃に冷
却した。次に、1規定の過マンガン酸カリウム500g
を、系内温度を1〜2℃に保ちながら6時間かけて添加
した。添加終了後、内容物を遠心分離し、上澄みを0.
45μmのメンブランフィルターでロ過後、1昼夜間、
セロファンチューブで流水透析して共重合体を得た。
【0037】この共重合体の固形分あたりのカルボン酸
濃度は9.6mmol/g、水酸基濃度は9.4mmo
l/gであった。プロトン核磁気共鳴スペクトルによる
測定では、二重結合は検出されなかった。ゲル浸透クロ
マトグラフィー(以下、「GPC」と略す)による分子
量分布の測定では、重量平均分子量3700であった。
【0038】次に、この共重合体の水溶液に塩酸を加え
て、pH2.0にすると、ポリマーが析出した。析出し
たポリマーを乾燥することにより、共重合体(1)を得
た。この共重合体(1)中のカルポン酸濃度および水酸
基濃度を測定したところ、カルポン酸濃度は4.8mm
ol/g、水酸基濃度は4.6mmol/gであった。
また、この共重合体(1)の赤外吸収スペクトルは、1
771cm-1付近に吸収があった。この結果は、共重合
体(1)が五員環のラクトン基を有することを示す。
【0039】−実施例2− 実施例1と同様のガラス製反応容器に、実施例1で得た
ブタジエン−マレイン酸コポリマー(1)を18.7
g、ギ酸24.5gおよび水31.3gをとり、容器内
を攪拌しながら窒素置換した。次に室温で30%過酸化
水素水15.3gを10分間添加した。添加終了後、攪
拌を続け、内温が70℃以上にならないよう、冷却し、
6時間攪拌した。
【0040】内容物をロ過し、粉砕して60℃で減圧乾
燥することにより、共重合体(2)を得た。得られた共
重合体(2)中のカルボン酸濃度は2.2mmol/
g、水酸基濃度は2.2mmol/gであった。プロト
ン核磁気共鳴スペクトルによる測定では、二重結合はほ
とんど検出されなかった。赤外吸収スペクトルは177
1cm-1付近に五員環ラクトンの吸収がみられた。
【0041】この共重合体(2)6.5gに48%水酸
化ナトリウム10.7g、水76.2gを加え、攪拌し
て97℃で260分保持することにより、共重合体
(2)の加水分解物を得た。この加水分解物の固形分あ
たりのカルボン酸濃度は、9.6mmol/gであっ
た。また、この加水分解物の重量平均分子量をGPCに
よる分子量分布測定により求めたところ、28000で
あった。
【0042】−実施例3− 実施例1において、アソビスイソブチロニトリルの使用
量を1.9gとした他は実施例1と同様の方法により、
ブタジエン−マレイン酸コポリマー(3)を得た。次に
実施例1と同様のガラス製反応容器にブタジエン−マレ
イン酸コポリマー(3)を18.7g、ギ酸24.5
g、水31.3gをとり、容器内を攪拌しながら窒素置
換した。
【0043】次に室温で30%過酸化水素水15.3g
を10分間添加した。添加終了後、攪拌を続け、内温が
70℃以上にならないよう冷却し、6時間攪拌した。内
容物をロ過し、粉砕して60℃で減圧乾燥することによ
り、共重合体(3)を得た。得られた共重合体(3)の
カルボン酸濃度は3.3mmol/g、水酸基濃度は
3.2mmol/gであった。プロトン核磁気共鳴スペ
クトルによる測定では、二重結合はほとんど検出されな
かった。赤外吸収スペクトルは1771cm-1付近に五
員環ラクトンの吸収が見られた。
【0044】この共重合体(3)6.5gに48%水酸
化ナトリウム10.7g、水76.2gを加え、攪拌し
て97℃で260分保持することにより、共重合体
(3)の加水分解物を得た。この加水分解物の固形分あ
たりのカルボン酸濃度は9.6mmol/gであった。
また、この加水分解物の重量平均分子量をGPCによる
分子量分布測定により求めたところ、140000であ
った。
【0045】−実施例4− 実施例1と同様のオートクレーブに無水マレイン酸10
7.8g、アゾビスイソブチロニトリル13.2g、お
よびジオキサン348.0gをとり、容器内を攪拌しな
がら窒素で5kg/cm2の加圧と脱圧を数回くりかえし、十
分空気を置換し、80℃まで加熱した。次いで、ブタジ
エン59.5g、ジオキサン59.5gからなる混合溶
液とアクリル酸158.4gとジオキサン67.9gか
らなる混合溶液を80分かけて添加し、添加完了後、引
き続き80℃で60分保持し、重合反応を完了した。得
られたポリマー溶液を大過剰のジエチルエーテル中に再
沈澱させ沈澱物をロ過後、60℃で減圧乾燥し、ブタジ
エン−マレイン酸コポリマー(4)を得た。
【0046】実施例1と同様のガラス製反応容器にブタ
ジエン−マレイン酸コポリマー(4)を18.7g、ギ
酸12.3g、水31.3gをとり、容器内を攪拌しな
がら窒素置換した。次に室温で30%過酸化水素水7.
7gを10分かけて添加した。添加終了後、攪拌を続
け、内温が70℃以上にならないよう、冷却し、6時間
攪拌した。内容物をロ過し、粉砕して60℃で減圧乾燥
することにより、共重合体(4)を得た。この共重合体
(4)のカルボン酸濃度は5.3mmol/g、水酸基
濃度は0.9mmol/gであった。共重合体(4)の
プロトン核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、二重
結合はほとんど検出されなかった。また、その赤外吸収
スペクトルには、1771cm-1付近に五員環ラクトン
の吸収がみられた。
【0047】共重合体(4)6.5gに48%水酸化ナ
トリウム16.1g、水76.2gを加え、攪拌して9
7℃で260分保持することにより、共重合体(4)の
加水分解物を得た。この加水分解物の固形分あたりのカ
ルボン酸濃度は10.9mmol/gであった。また、
この加水分解物の重量平均分子量は、GPCを用いた分
子量分布の測定によると、21000であった。
【0048】−実施例5− セメントとして普通ポルトランドセメント(住友セメン
ト(株)製)、細骨材として淀川産川砂(比重2.5
1、粗粒率〔F.M.〕2.78)、粗骨材として高槻
産砕石(比重2.68、粗粒率〔F.M.〕6.73)
およびセメント分散剤として実施例1で得られた共重合
体(1)を用い、単位セメント量320kg/m3 、単位水
量173kg/m3 (水/セメント比54.2%)、単位細
骨材量934kg/m3 、単位粗骨材量876kg/m3 (細骨
材率52%)および共重合体(1)を添加量0.30重
量%(固形分比対セメント)の配合で、練り混ぜ量が3
0リットルになるように、それぞれの材料を計量し、可
傾式ミキサーに全材料を投入した。直ちに回転数35rp
m で3分間練り混ぜを行い、目標スランプ18cm、目標
空気量4.5%(目標空気量に達しない場合は、微量の
空気連行剤(山宗化学(株)製「ヴィンソル」を使用し
た。)の流動化コンクリートを調製した。得られた練り
上がり直後の流動化コンクリートをサンプリングし、そ
のスランプおよび空気量を測定した。
【0049】練り上がり後、可傾式ミキサーの回転数を
3rpm に下げて、引き続き練り混ぜを行い、60分後の
スランプおよび空気量を測定して、それらの経時変化を
見た。また、得られた流動化コンクリートの圧縮強度お
よび凝結時間も測定した。これらの測定結果を下記表1
に示した。
【0050】なお、スランプ、空気量、圧縮強度および
凝結時間の測定方法や圧縮強度供試体の採取方法は、す
べて日本工業規格(JIS A6204)に準拠して行
った。 −実施例6〜8− 実施例5において、セメント分散剤として実施例1で得
られた共重合体(1)の代わりに実施例2〜4で得られ
た共重合体(2)〜(4)を下記表1に示す添加量で使
用する他は実施例5と同様の操作を繰り返して、流動化
コンクリートを調製した。得られた流動化コンクリート
のスランプ、空気量、圧縮強度および凝結時間を実施例
5と同様にして測定した。その結果を下記表1に示し
た。
【0051】−比較例1− 実施例5において、セメント分散剤として共重合体
(1)の代わりに市販のナフタレンスルホン酸ナトリウ
ム塩ホルマリン縮合物を添加量0.35重量%(対セメ
ント)で使用する他は実施例5と同様の操作を繰り返し
て、比較用流動化コンクリートを調製した。この比較用
流動化コンクリートのスランプ、空気量、圧縮強度およ
び凝結時間を実施例5と同様にして測定した。その結果
を下記表1に示した。
【0052】−比較例2− 実施例5において、セメント分散剤として共重合体
(1)の代わりに市販のリグニンスルホン酸ナトリウム
塩を添加量0.35重量%(対セメント)で使用する他
は実施例5と同様の操作を繰り返して、比較用流動化コ
ンクリートを調製した。この比較用流動化コンクリート
のスランプ、空気量、圧縮強度および凝結時間を実施例
5と同様にして測定した。その結果を下記表1に示し
た。
【0053】
【表1】
【0054】表1にみるように、実施例5〜8の流動化
コンクリートは、比較例1〜2の比較用流動化コンクリ
ートに比べて、ほとんど硬化遅延性を示すことなく、優
れたスランプロス防止性能を発揮することが確認され
た。 −実施例9− 35%H2 2 (30g/リットル)、NaOH(7g
/リットル)、MgSO4 ・7H2 0(0.1g/リッ
トル)、FeCl2 ・4H2 0(0.021g/リット
ル)および実施例1で得られた共重合体(1)(5g
(固形分)/リットル)からなる組成の水溶液を調製し
た。この水溶液を温度60℃で30分間加熱した後、過
酸化水素の残存量をKMnO4 滴定法により測定し、そ
の残存量を加熱前の過酸化水素量と比較することによ
り、過酸化水素残存率を求めた。その結果を下記表2に
示した。
【0055】−実施例10〜12− 実施例9において、共重合体(1)の代わりに実施例2
〜4で得られた共重合体(2)〜(4)を用いた以外は
実施例9と同様にして、過酸化水素残存率を求めた。そ
の結果を下記表2に示した。 −比較例3− 実施例9において、共重合体(1)の代わりにポリアク
リル酸ソーダ(重量平均分子量4000)を用いた以外
は実施例9と同様にして、過酸化水素残存率を求めた。
その結果を下記表2に示した。
【0056】−比較例4− 実施例9において、共重合体(1)を全く用いないよう
にした以外は実施例9と同様にして、過酸化水素残存率
を求めた。その結果を下記表2に示した。
【0057】
【表2】
【0058】表2にみるように、実施例1〜4で得られ
た共重合体(1)〜(4)は、過酸化水素の安定化効果
に優れていることが確認された。 −実施例13〜16− 実施例1〜4で得られた共重合体(1)〜(4)を洗剤
用ビルダーとして用い、下記の配合で洗剤組成物を得
た。
【0059】 ・アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム…25部 ・ビルダー …20部 ・ケイ酸ナトリウム … 5部 ・無水炭酸ナトリウム … 3部 ・カルボキシメチルセルロース … 0.5部 ・無水硫酸ナトリウム …40部 ・水 …残部 ・洗剤組成物の合計 …100部 −比較例5− 実施例13〜16において、ビルダーとして共重合体
(1)〜(4)の代わりに実施例1で得られたブタジエ
ン−マレイン酸コポリマー(1)をナトリウム塩にした
ものを用いた以外は実施例13〜16と同様にして、洗
剤組成物を得た。
【0060】−比較例6− 実施例13〜16において、ビルダーとして共重合体
(1)〜(4)の代わりにポリアクリル酸ソーダ(重量
平均分子量4000)を用いた以外は実施例13〜16
と同様にして、洗剤組成物を得た。上記実施例13〜1
6および比較例5〜6の各洗剤組成物の洗浄力を下記方
法により調べた。その結果を下記表3に示した。
【0061】洗剤組成物を、0.2重量%の濃度になる
ように3°DHの硬度の水道水に溶解して洗浄液を調製
し、洗浄装置(株式会社上島製作所製のターグ−オー−
ツーメーター(Terg-O-Tometer))を用いて洗浄液(温度
25℃)に綿人工汚染布を漬けて(浴比:30倍)、1
00rpm で10分間洗浄を行った。この後、同じ装置を
用いて3°DH水道水(25℃)で5分間すすぎを行っ
てから、風乾させた。洗浄後の布の汚れ落ちの様子を比
較例6のポリアクリル酸ソーダを標記ビルダーとして、
下記の基準で目視により判定した。
【0062】◎…優れている。 ○…ほとんど同じ。 △…わずかに劣る。 ×…かなり劣る。 また、実施例13〜16および比較例5〜6で用いた各
試料ビルダーの生分解性を下記方法により調べた。その
結果を下記表3に示した。
【0063】試料ビルダー1g、硫酸アンモニウム1
g、燐酸一カリウム0.5g、燐酸二カリウム0.5
g、硫酸マグネシウム0.2g、塩化ナトリウム0.1
g、酵母エキス0.1g、塩化カルシウム2mg、硫酸第
1鉄2mg、硫酸マンガン2mg、硫酸亜鉛7mgおよび蒸留
水1000mlからなる組成を有する培養液に活性汚泥を
加えて30℃で30日間振とう培養し、ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィーにかけて培養前と培養後のピ
ークの形状変化(ピーク面積の減少率)により下記の基
準で評価した。
【0064】◎…ピーク面積の減少が50%以上であっ
た。 ○…ピーク面積の減少が10%以上、50%未満であっ
た。 △…ピーク面積の減少が10%未満であった。 ×…ほとんど変化が見られなかった。
【0065】
【表3】
【0066】表3にみるように、実施例1〜4で得られ
た共重合体(1)〜(4)からなる洗剤用ビルダーは、
比較例5〜6の洗剤用ビルダーに比べて、洗剤組成物の
状態に関わらず、その洗浄力を高くすることができると
ともに、微生物等の生物により分解可能であり、河川、
湖、沼等に排出された時に富栄養化を起こさないため、
安全なビルダーとして有用であることが確認された。
【0067】−実施例17〜20− 以下に示す方法により、前記共重合体(1)〜(4)を
顔料分散剤として用いて塗被紙用塗料を作り、その粘度
の安定性を測定した。まず、分散剤と水で重質炭酸カル
シウムのスラリーを作り、これにクレーを配合した後、
20%変性澱粉を加え、次いで、50%SBRラテック
スを加えて混練することにより、固形分濃度60重量%
の水性塗料を調製した。ただし、各成分の固形分換算重
量比は、クレー/重質炭酸カルシウム/分散剤/澱粉/
SBRラテックス=60/40/0.2/10/10で
あった。このようにして得られた塗料の、調製直後およ
び調製から一日後の粘度を測定した。その結果を下記表
4に示した。
【0068】−比較例7− 実施例17〜20において、顔料分散剤として共重合体
(1)〜(4)の代わりに実施例1で得られたブタジエ
ン−マレイン酸コポリマー(1)をナトリウム塩にした
ものを用いた以外は実施例17〜20と同様にして、塗
料を調製し、その粘度の安定性を測定した。その結果を
下記表4に示した。
【0069】−比較例8− 実施例17〜20において、顔料分散剤としてとして共
重合体(1)〜(4)の代わりにポリアクリル酸ソーダ
(重量平均分子量4000)を用いた以外は実施例17
〜20と同様にして、塗料を調製し、その粘度の安定性
を測定した。その結果を下記表4に示した。
【0070】
【表4】
【0071】表4にみるように、実施例1〜4で得られ
た共重合体(1)〜(4)からなる顔料分散剤は、比較
例7〜8の分散剤に比べて、固形分濃度の高い塗料の低
粘度化効果を有するとともに、塗料の粘度安定化効果に
も優れていることが確認された。
【0072】
【発明の効果】この発明にかかる新規重合体は、その構
造中に含まれるラクトン構造を、アルカリ性物質存在下
で必要により加熱して開環させることにより、カルボキ
シル基と水酸基(α−グリコール)を生じさせることが
できる。これらのカルボキシル基と水酸基、あるいは、
重合体中に初めから含まれるカルボキシル基と水酸基の
作用により、優れた分散性とキレート能力を発揮する。
また、α−グリコールの有する優れた分解性により、自
然界で容易に分解(生分解、化学分解、物理分解)され
るようになる。また、親水性のカルボキシル基および水
酸基と、疎水性のラクトン基とを共存させることが可能
であるため、界面活性能が発現される。さらに、上記の
ようなラクトンの開環反応は徐々に進行させることがで
き、カルボキシル基と水酸基を経時的、徐放的または持
続的に生じさせることが可能であるので、前記の分散
性、キレート能力、分解性および界面活性能を経時的、
徐放的または持続的に発揮することができる。
【0073】この発明にかかる新規重合体の製造方法
は、共役ジエン系単量体(a)とカルボン酸系単量体
(b)とを必須成分として含む単量体組成物を共重合さ
せる工程と、得られた共重合体もしくはその中和物を酸
化剤を用いて酸化する工程と、この酸化工程と同時もし
くはその後でラクトン環を形成させる工程とによって、
上記の新規重合体を得るようにしており、工程が単純で
あり、好ましくない副次反応が起きないため、後処理が
簡単となり、上記新規重合体を安価に得させることがで
きる。
【0074】この発明にかかる新規重合体の各用途は、
この新規重合体の上記優れた物性をもとに作用するた
め、優れた性能を発揮する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高木 雅人 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒中央研究所内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式化1で表されるα−グリコー
    ル構造単位(A)と、下記一般式化2で表されるカルボ
    ン酸系構造単位(B)と、下記一般式化3で表されるラ
    クトン構造単位(C)とを含むとともに、これらの単位
    (A)、(B)および(C)の合計量が重合体の全量に
    対して80重量%以上であり、単位(C)が重合体の全
    量に対して5重量%以上であり、重量平均分子量が1,
    000〜1,000,000の範囲内である新規重合
    体。 【化1】 【化2】 (式化1および2中、R1 は水素、メチル基または塩素
    を表し、R2 は−COOM2 、水素またはメチル基を表
    し、R3 は水素またはメチル基を表し、M1 およびM2
    は水素、一価金属、二価金属、三価金属、アンモニウム
    基または有機アミン基を表す。) 【化3】 (式化3中、R4 は−COOM3 、水素またはメチル基
    を表し、R5 は水素またはメチル基を表し、R6 および
    7 は水素、メチル基または塩素を表す。ただし、R6
    およびR7 のうちの少なくとも一方は水素である。ま
    た、M3 は水素、一価金属、二価金属、三価金属、アン
    モニウム基または有機アミン基を表し、mは0または1
    である。)
  2. 【請求項2】 カルボン酸系構造単位(B)が、(メ
    タ)アクリル酸、マレイン酸およびフマル酸からなる群
    の中から選ばれた少なくとも1種のカルボン酸系単量体
    に由来するものである請求項1記載の新規重合体。
  3. 【請求項3】 カルボン酸系構造単位(B)がマレイン
    酸に由来するものであり、このカルボン酸系構造単位
    (B)とα−グリコール構造単位(A)とのモル比が7
    5:25〜40:60である請求項2記載の新規重合
    体。
  4. 【請求項4】 一般式化3中のmが0であるラクトン構
    造単位(C)が重合体の全量に対して80重量%以上で
    ある請求項1から3までのいずれかに記載の新規重合
    体。
  5. 【請求項5】 一般式化3中のmが0であるラクトン構
    造単位(C)が重合体の全量に対して実質的に100重
    量%である請求項4記載の新規重合体。
  6. 【請求項6】 下記一般式化4で表される共役ジエン系
    単量体(a)と下記一般式化5で表されるカルボン酸系
    単量体(b)とを必須成分として含む単量体組成物を共
    重合させる工程と、得られた共重合体もしくはその中和
    物の前記共役ジエン系単量体(a)に由来する二重結合
    部分を酸化剤を用いて酸化し下記一般式化6で表される
    α−グリコール構造単位(A)とする工程と、この酸化
    工程と同時もしくはその後で前記酸化により得られたα
    −グリコール構造単位(A)と前記カルボン酸系単量体
    (b)に由来し下記一般式化7で表されるカルボン酸系
    構造単位(B)との間でラクトン環を形成させる工程と
    を含み、該α−グリコール構造単位(A)と、該カルボ
    ン酸系構造単位(B)と、下記一般式化8で表されるラ
    クトン構造単位(C)とを含むとともに、重量平均分子
    量が1,000〜1,000,000の範囲内である新
    規重合体を得るようにする新規重合体の製造方法。 【化4】 【化5】 【化6】 【化7】 (式化4〜7中、R1 は水素、メチル基または塩素を表
    し、R2 は−COOM2、水素またはメチル基を表し、
    3 は水素またはメチル基を表し、M1 およびM2 は水
    素、一価金属、二価金属、三価金属、アンモニウム基ま
    たは有機アミン基を表す。) 【化8】 (式化8中、R4 は−COOM3 、水素またはメチル基
    を表し、R5 は水素またはメチル基を表し、R6 および
    7 は水素、メチル基または塩素を表す。ただし、R6
    およびR7 のうちの少なくとも一方は水素である。ま
    た、M3 は水素、一価金属、二価金属、三価金属、アン
    モニウム基または有機アミン基を表し、mは0または1
    である。)
  7. 【請求項7】 酸化剤が過マンガン酸塩である請求項6
    記載の新規重合体の製造方法。
  8. 【請求項8】 酸化剤が有機過酸である請求項6記載の
    新規重合体の製造方法。
  9. 【請求項9】 酸化剤が有機酸と過酸化水素との組合わ
    せからなるものである請求項6記載の新規重合体の製造
    方法。
  10. 【請求項10】 請求項1から5までのいずれかに記載
    の新規重合体からなる顔料分散剤。
  11. 【請求項11】 請求項1から5までのいずれかに記載
    の新規重合体からなるセメント分散剤。
  12. 【請求項12】 請求項1から5までのいずれかに記載
    の新規重合体からなる過酸化水素安定化剤。
  13. 【請求項13】 請求項1から5までのいずれかに記載
    の新規重合体からなる洗剤用ビルダー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US5523380A (en) * 1994-07-13 1996-06-04 Nippon Shokubai Co., Ltd. Polymers having hydroxyl and carboxyl groups, and production process thereof
JPH1150001A (ja) * 1997-07-31 1999-02-23 Nippon Shokubai Co Ltd 塗料組成物および塗膜並びに塗装品

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