JPH0520840Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は地下に埋設され、車両の格納室を複数
層備えた駐車装置に関する。

従来技術 駐車装置には、上下のスプロケツト間に掛けた
エンドレスチエーンにケージを等間隔で吊下げ、
スプロケツトの回転によつてケージを循環回転さ
せてケージに駐車させた車両を順次空中に格納す
るいわゆるメリーゴーランド方式に代表されるも
ののほかにリフトを回転できるようにしてその回
りにドーナツ形の駐車室を幾層にも設け、リフト
に乗せた車両を目的の階層まで運んだのち向きを
変え、水平方向の移送装置により径方向に移送し
てリフトを中心に放射状に格納する方式のものな
ど種々の方式があるが、前者のメリーゴーランド
方式のものは、車両を格納し或いは格納した車両
を出すのに装置全体を循環駆動せねばならず、し
かも装置が大型化する程慣性による影響も大とな
つて始動時にことに大きな動力を要するようにな
り、また慣性が大きくなればなる程制御が困難と
なり、循環速度を遅くしないと所定位置で正確に
衝撃を与えることなく停止させることが困難とな
る。また後者の放射状に格納するタイプのもの
は、水平搬送装置が各駐車スペース毎に必要であ
るうえリフトも必要で、リフトには更に車両等の
向きを変えるターンテーブルが必要となるため構
造がきわめて複雑となるほか水平搬送装置を設置
するスペースも必要となり、床の有効利用面積が
その分少なくなる。

上記の問題を解消するため本出願人は先に特開
昭63−151769号により次のような駐車装置を提案
した。この装置は第３〜６図に示されるように、
内部がフロア２により複数階に仕切られた円形の
構築物１と、各フロア２上に水平に配置されて回
転可能に支持され、駆動装置によつて回転駆動さ
れるドーナツ板状のテーブル３と、テーブル上に
放射状に配置されるパレツト６と、床に配置され
るターンテーブル７と、パレツト６を着脱可能に
掴持して昇降させる昇降機構と、駆動装置と昇降
機構を制御する制御装置とよりなり、各フロア２
とテーブル３にはパレツト６が通過可能な矩形状
の通孔４（第４図）と、溝巾が通孔４と同一巾の
溝５（第５図）とが径方向にそれぞれ形成してあ
り、また昇降機構は、通孔上の最上階に設置され
る巻上げ装置１１と、該装置１１からワイヤーロ
ープ１２によつて吊下げられる門形のケージ１３
と、ケージ１３の四隅に取付けられ、パレツト６
に係脱可能に係止する掴持機構からなつている。

本装置による車両の格納は次のようにして行わ
れる。

先ず各階層のテーブル３を回転させ、格納させ
ようとするパレツトをフロア２の通孔４上に、他
のテーブル３の溝５を通孔４に一致させる。次に
巻上げ装置１１の巻戻しによりケージ１３を降下
させ、通孔４を塞ぐテーブル上のパレツト６を掴
持する。掴持後該パレツトを若干持上げてテーブ
ル３を回転させ、該テーブルの溝５を通孔４に一
致させる。つゞいて巻上げ装置１１を巻戻し、パ
レツトを掴んだケージ１３をターンテーブル７上
に下ろす。その後進入路より車両１８をパレツト
上に乗り入れさせる。パレツト上に乗り入れ、乗
員を降ろしたのちには上記と逆の手順を経て目的
の階層に運び、テーブルを廻して目的の箇所に置
く、その後テーブルを再び廻して元の位置に戻
す。

本装置によれば、各階層の格納室がそれぞれ個
所に単独で回転しうるようになつており、個々の
格納室は重量が小さいため慣性による影響を少な
くすることができ、したがつて起動時の動力を小
さくすることができ、また制御が容易となつて回
転速度を上げることができ、格納を迅速に行うこ
とができる。

また車両等を放射状に格納する従来のタイプの
ものが、格納スペース毎に水平搬送装置を必要と
し、しかもリフトに水平搬送装置とターンテーブ
ルとを要していたのと比べ、これに対応する機構
として格納室を回転させる機構だけでよいから構
造がきわめて簡単となる。

考案が解決しようとする問題点 本出願人の提案に係る上記駐車装置も同様であ
るが、従来の多層駐車装置は全て地上に設置され
るようになつているため建築物の高さの規制のあ
る場所では設置することができないことがある。

また近年のことに都心部での地価の高騰により
地下を利用し、土地の有効利用を図ることが求め
られるようになつてきた。

本出願人はかゝる点に鑑み、駐車装置を地下に
埋設することを考えたが、駐車装置はその構造上
耐圧構造となつていないため従来の駐車装置を単
に地下に埋設することはできない。駐車装置を土
圧に耐え得る耐圧構造にすることができれば、そ
の上に構築される建築物の基礎としても利用する
ことができるが、耐圧構造にするために隔壁間に
梁を渡すことは、駐車装置本来の機能が損われる
か若しくは駐車装置の機能を果さなくなる。外壁
を土圧に耐え得る竪固な構造にするにはコストが
増大し好ましくない。

この点本出願人が先に提案した上記駐車装置で
は、駐車装置の機能を損うことなく梁を掛け渡す
ことが可能であり、また軸心部に不必要な空スペ
ースがあることからここに支柱を設け、これより
外壁まで梁を放射状に渡すことも可能である。

本考案は、この駐車装置の特性を利用してなさ
れたもので、その目的とするところは、耐圧構造
を有して地下に埋設され、基礎としても利用する
ことができる駐車装置を提供することにある。

問題点の解決手段 本考案はそのため、格納室を縦方向に複数層有
し、各格納室はそれぞれ単独で軸心を中心に回転
駆動されるようになつているとともに車両が昇降
する通路を径方向に備えており、また各格納室の
通路を通して車両を昇降させる昇降機構が設けら
れ、車両の格納時には各格納室の通路を縦方向に
一致させたのち該通路を通して車両を昇降機構に
よつて目的の階層まで運んだのち該階層の格納室
を回転させ、目的の場所に下ろして放射状に格納
する駐車装置において、車両を乗り入れることが
できる基準面より下方に設けられ、格納室には外
壁を内側から補強する梁が軸心より放射状に、車
両の格納の支障とならない位置に設けられるよう
にしたものである。

ここで基準面とは、地面であつてもよいし、地
下でもまた階上であつてもよい。

梁は軸心部を通つて壁面間に掛け渡されるよう
にして設けてもよいが、好ましくは軸心部に支柱
を立設し、該支柱と壁面とを放射状に連結して設
けられる。梁はまた車両の回転の支障とならない
高さに設けてあればよいが、好ましくは各格納室
の床下に設け、床材を支持するように構成され
る。

作 用 外壁を内側から径方向に支持する梁は、通路を
除き、かつ車両の格納の支障とならない位置に設
けられるため車両の出し入れに支障を生じること
なく、また駐車装置を土圧に耐え得る耐圧構造に
し、その上に構築される建築物の基礎ともするこ
とができる。

実施例 外壁２１（既知の工法により土留め壁並びに止
水壁を兼ねて形成される）が八角形をなす構築物
２２は内部がフロア２３によつて仕切られ、複数
階の格納室を形成しており、中央部には支柱２４
がフロア２３を貫通して立設されている。フロア
２３は最下層を除き、車両が出入する通路２５を
備えており、その上に回転可能に支承されるドー
ナツ板状のテーブル２６にも通路２５と同一巾の
切欠き溝２０が形成してある。

フロア２３にはまたその下に支柱２４と外壁２
１を連結する梁２７が放射状に設けてあり、梁２
７はフロアを支持するとともに外壁を土圧に耐え
得る耐圧構造とする機能を果している。

図中２８は上記構築物の上に構築される建物
で、一階の床は、上記と同様フロア２３とテーブ
ル２６を備え、進入路より車両が出入りできるよ
うになつている。そして通路２５の上の二階には
機械室２９が設けてあり、機械室２９には図示し
ていないが、巻上げ装置が設けられ、テーブル上
の図示省略したパレツト（車両がこの上に載置さ
れる）を係脱可能に掴持するケージ３０が巻上げ
装置からワイヤーロープ３１により吊下げられる
ようになつている。

本装置は以上のように構成され、車両の出し入
れは、前述した特開昭63−151769号のものと同様
にして行われる。すなわち車両を出すときには、
先ず出庫される車両３２が格納されるフロア以上
の各階層のテーブルを回転させて車両を通路２５
上に置くとともにそれ以上の階層の各テーブルの
切欠き溝２０をそれぞれ通路２５と一致させる。
次に巻上げ装置の巻戻しによりケージ３０を下ろ
し、上記車両が載せられるパレツトを掴持したの
ち一階まで吊上げる。ついで一階のテーブル２６
を回転させ、空きスペース上に下ろす。その後直
ちに乗員が乗込み、そのまゝ出庫させるか或いは
出口が別に設けられている場合には、テーブル２
６を回転させて車両を出口に向け、そこで乗員が
乗込んで出車させる。

車両を格納するときには、上記と逆の手順を経
て行われる。

なお、一階のテーブル上には、車両を駐車させ
てもよいが、車両を出し入れするために少くとも
一か所は空きスペースとしておく必要がある。

上記実施例では機械室は一階の上に設けられて
いるが、最下層の地下に設けてもよい。この場
合、巻上げ装置に連結されるワイヤーロープがテ
ーブルの内側或いは外側を通つて一階天井まで導
かれ、天井に設けたガイドシーブより吊下げられ
るように構成される。

考案の効果 本考案の駐車装置は以上のように構成され、次
のような効果を奏する。

請求項１の駐車装置においては、軸心部に空ス
ペースがある駐車装置を利用することにより外壁
を内側から径方向に支持する梁を設けることが可
能となり、駐車装置を土圧に耐え得る耐圧構造に
し、その上に構築される構築物の基礎ともするこ
とができる。

請求項２の駐車装置においては、軸心部に支柱
を設けることにより駐車装置をより竪固にするこ
とができる。

請求項３の梁によれば、格納室の床材を支持す
る機能を果すこともできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る地下に埋設された駐車装
置の概略図、第２図は第１図のＡ−Ａ線断面図、
第３図は本出願人が先に提案した駐車装置の概略
図、第４図はフロアの平面図、第５図はテーブル
の平面図、第６図はターンテーブルの平面図であ
る。 ２０……切欠き溝、２１……外壁、２３……フ
ロア、２４……支柱、２５……通路、２６……テ
ーブル、２７……梁、２９……機械室、３０……
ケージ、３１……ワイヤーロープ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 格納室を縦方向に複数層有し、各格納室はそ
   れぞれ単独で軸心を中心に回転駆動することが
   できるようになつているとともに車両が昇降す
   る通路を有しており、また各格納室の通路を通
   して車両を昇降させる昇降機構が設けられ、車
   両の格納時には格納室を回転させて上下の格納
   室の通路を縦方向に一致させたのち、該通路を
   通して車両を昇降機構によつて目的の階層まで
   運んだのち該階層の格納室を回転させ、目的の
   場所に下ろして放射状に格納する駐車装置にお
   いて、車両を乗り入れることができる基準面よ
   り下方に設けられ、格納室には外壁を内側から
   補強する梁が前記軸心より放射状に車両の格納
   の支障とならない位置に設けられる駐車装置。 (2) 軸心部には支柱が立設され、支柱と外壁とを
   連結する梁が放射状に設けられる請求項１記載
   の駐車装置。 (3) 梁は各格納室の床材を支持する請求項１又は
   ２記載の駐車装置。