JPH05199065A - 表面弾性波素子 - Google Patents

表面弾性波素子

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JPH05199065A
JPH05199065A JP23457092A JP23457092A JPH05199065A JP H05199065 A JPH05199065 A JP H05199065A JP 23457092 A JP23457092 A JP 23457092A JP 23457092 A JP23457092 A JP 23457092A JP H05199065 A JPH05199065 A JP H05199065A
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acoustic wave
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Hideaki Nakahata
英章 中幡
Akihiro Yagou
昭広 八郷
Kenjiro Higaki
賢次郎 桧垣
Shinichi Shikada
真一 鹿田
Naoharu Fujimori
直治 藤森
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    • H03ELECTRONIC CIRCUITRY
    • H03HIMPEDANCE NETWORKS, e.g. RESONANT CIRCUITS; RESONATORS
    • H03H9/00Networks comprising electromechanical or electro-acoustic devices; Electromechanical resonators
    • H03H9/02Details
    • H03H9/02535Details of surface acoustic wave devices
    • H03H9/02543Characteristics of substrate, e.g. cutting angles
    • H03H9/02582Characteristics of substrate, e.g. cutting angles of diamond substrates

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 特性が安定に維持され、かつ高い電気機械結
合係数および伝搬速度を有する表面弾性波素子を提供す
る。 【構成】 基板1上にはダイヤモンドまたはダイヤモン
ド状炭素膜からなる第1の層2が形成される。第1の層
2上にはくし型電極3および圧電体層4が形成される。
圧電体層4はダイヤモンドまたはダイヤモンド状炭素か
らなる第2の層5で覆われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、たとえば高周波フィ
ルタなどに用いることができる表面弾性波素子に関し、
特に、ダイヤモンドまたはダイヤモンド状炭素膜と圧電
体とを組合せた表面弾性波素子に関する。
【0002】
【従来の技術】表面弾性波素子は、弾性体表面を伝搬す
る表面波を利用した電気−機械変換素子であり、たとえ
ば、図28に示すような一般的構造を有する。表面弾性
波素子30において、表面波の励振には圧電体34によ
る圧電現象が利用される。圧電体34に設けられた一方
のくし型電極33に電気信号を印加すると、圧電体34
に歪みが生じ、これが表面弾性波となって圧電体34を
伝搬し、もう一方のくし型電極33′で電気信号として
取出される。この素子の周波数特性は、図に示すよう
に、くし型電極における電極の周期をλ0 、表面弾性波
の速度をvとすれば、f0 =v/λ0 で定められる周波
数f0 を中心とした帯域通過特性を有する。
【0003】表面弾性波素子は、部品点数が少なく、小
型にすることができ、しかも表面波の伝搬経路上におい
て信号の出入が容易である。この素子は、フィルタ、遅
延線、発振器、共振器、コンボルバーおよび相関器等に
応用することができる。特に、表面弾性波フィルタは、
早くからテレビの中間周波数フィルタとして実用化さ
れ、さらにVTRならびに、自動車電話および携帯電話
など各種の通信機器用フィルタに応用されてきている。
【0004】従来の一般的な表面弾性波素子として、L
iNbO3 およびLiTaO3 等の圧電体単結晶上に、
くし型電極を形成した構造からなる素子がある。また、
ZnO等の圧電体薄膜をガラス等の基板上にスパッタ等
の技術を用いて形成したものも用いられている。
【0005】しかしながら、上述した従来の素子構造を
用いて、高周波域(GHz帯)で使用する素子を製造す
ることは困難である。圧電体単結晶上にくし型電極を形
成しただけの素子では、表面波の速度vが小さいため、
1GHz以上の高い中心周波数f0 を得ることは困難で
ある。また、周波数f0 を増加させるためガラス上に形
成されたZnO等の圧電体膜は、通常、配向性のある多
結晶質であり、散乱による損失が多く、100MHz以
上の高周波帯域で使用するには適していない。
【0006】上述した式からも示唆されるように、表面
弾性波素子の周波数特性がより高い中心周波数を有する
ためには、くし型電極の周期λ。すなわち電極の間隔を
小さくするか、表面弾性波の速度vを大きくする必要が
ある。
【0007】くし型電極の電極間距離を小さくして中心
周波数を高くすることは、リソグラフィー等を用いる微
細加工技術により制限される。このため、表面波の速度
を増加させる技術が検討されてきた。
【0008】特公昭54−38874号公報は、弾性波
の伝搬速度が圧電体中におけるよりも大きなサファイア
層を基板と圧電体膜の間に設けた素子を開示している。
また、イマイらによる特開昭64−62911号公報お
よびナカハタらによる特開平3−198412号公報
は、表面弾性波の速度vを大きくするため、ダイヤモン
ド層上に圧電体膜を積層させた素子を開示している。図
29(a)〜(d)は、これらの公報に開示された素子
の例を示している。
【0009】図29(a)に示す素子では、ダイヤモン
ド層42上に圧電体層44が形成され、これらの層の間
にくし型電極43が設けられる。図29(b)に示す素
子は、図29(a)に示す素子の圧電体層上に短絡用電
極46が設けられたものである。図29(c)に示す素
子では、ダイヤモンド層42上に圧電体層44が形成さ
れ、圧電体層44上にくし型電極43が設けられてい
る。図29(d)に示す素子は、図29(c)に示す素
子において圧電体層とダイヤモンド層との間に短絡用電
極46が設けられたものである。
【0010】特開平3−198412号公報では、図2
9(a)〜(d)に示す素子について、高い伝搬速度お
よび高い電気機械結合係数を得るため、ZnOからなる
圧電体層の厚み、および励振モードが検討されている。
【0011】さらに、ナカハタらによる特開平1−10
3310号公報は、速度vを大きくするため、ダイヤモ
ンド状炭素膜上に圧電体層を堆積させた表面弾性波素子
を開示している。この公報に開示される素子は、図29
(a)〜(d)に示す素子において、ダイヤモンド層の
代わりにダイヤモンド状炭素膜を用いている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上述したとおり、表面
弾性波フィルタは、各種の通信機器用フィルタに応用さ
れてきており、特に携帯電話などの高周波フィルタとし
て検討されている。周知のとおり、携帯電話は、さまざ
まな環境で用いられるため、この電話に組込まれた素子
は、湿気および不純物などの影響を受けるおそれがあ
る。したがって、携帯電話に用いられる表面弾性波素子
は、使用環境において安定した特性を保持することが要
求される。
【0013】また、上述したように、表面弾性波素子に
関して移動通信等の分野に用いられるフィルタは、周波
数の割当に応じて1.5〜3GHzのより高い周波数で
使用できることが望まれている。このようなフィルタを
実現するには、高い効率で電気機械的変換を行なうこと
ができ、かつ高い伝搬速度vを有する素子構造が要求さ
れる。
【0014】この発明の目的は、環境に対して安定した
性能を維持できる表面弾性波素子を提供することにあ
る。
【0015】この発明のさらなる目的は、1GHz以上
の高周波数域で使用できる実用的な表面弾性波素子を提
供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】この発明に従う表面弾性
波素子は、ダイヤモンドおよびダイヤモンド状炭素膜の
少なくともいずれかから本質的になる第1の層と、第1
の層上に形成される圧電体層と、圧電体層上に形成さ
れ、ダイヤモンドおよびダイヤモンド状炭素膜の少なく
ともいずれかから本質的になる第2の層と、圧電体層と
組合されて電気信号と表面弾性波との間の電気−機械変
換を行なうための電極とを有する。
【0017】この発明において、圧電体層は、第1の層
と第2の層の間に挟まれている。このようなサンドイッ
チ構造は、圧電体および電極からなる素子中枢部を保護
し、かつ高い電気機械的結合をもたらす。
【0018】第1の層または第2の層を形成するダイヤ
モンド状炭素膜は、i−カーボンとも呼ばれる。ダイヤ
モンド状炭素膜は、ダイヤモンドの気相合成に関する研
究の過程で見出されたものであり、多くの研究者により
その材質が詳しく調べられ、明らかにされてきた。ダイ
ヤモンド状炭素膜を1つの物質として定義することにつ
いての定説はないが、この膜は、ダイヤモンド、グラフ
ァイト、アモルファスカーボンなどとは顕著に異なるも
ので、次に示すような性質を有している。
【0019】(1) 炭素と水素からなる組成物で、水
素のほうが少ない。 (2) 結晶状態はアモルファスである。
【0020】(3) 少なくとも一般の金属に比べては
るかに硬い。 (4) 電気的には絶縁体である。
【0021】(5) 光を透過する。 また、ダイヤモンドは〜10,000(Hv)の硬度を
有する一方、ダイヤモンド状炭素膜は、たとえば、1,
000〜5,000(Hv)の硬度を有する。
【0022】ダイヤモンド状炭素膜は、ダイヤモンドの
合成と同様にプラズマCVD、イオンビーム蒸着法およ
びスパッタリング等の気相プロセスに従って製造するこ
とができる。
【0023】この発明において、第1の層および第2の
層は、ダイヤモンドまたはダイヤモンド状炭素膜からな
ることが好ましいが、少量の不純物を含んでもよい。伝
搬速度および電気機械的変換の効率を高める点からいえ
ば、第1の層および/または第2の層は、ダイヤモンド
からなることが好ましい。
【0024】一方、ダイヤモンドは気相合成のため70
0℃以上の温度が必要であるのに対し、ダイヤモンド状
炭素膜は室温でも気相合成できる。このため、ダイヤモ
ンド状炭素膜は、膜がその上に形成されるべき基材の選
択の幅を大きく広げる。また、ダイヤモンド状炭素膜に
ついて、大面積の膜を容易に得ることができ、しかも高
い精度で膜厚を制御できるため、高い精度で中心周波数
をコントロールしたい場合、第2の層としてダイヤモン
ド状炭素膜を圧電体層上に形成することが好ましい。さ
らに、ダイヤモンド状炭素膜は、ダイヤモンドに比べて
より平滑な表面を有する。
【0025】この発明において、第1の層は、基板上に
形成されていてもよい。ダイヤモンドから本質的になる
第1の層を形成するための基板は、特に限定されない
が、たとえば、Si、Mo、W、GaAs、またはLi
NbO3 など、半導体材料、無機材料または金属材料か
ら構成することができる。一方、ダイヤモンド状炭素膜
から本質的になる第1の層を形成するため、ダイヤモン
ドよりも広い範囲の基板を適用することができる。この
ような基板は、たとえば、合成樹脂等の有機化合物から
なる基板を含む。
【0026】基板上に形成するダイヤモンド層は、単結
晶であってもよいし、多結晶であってもよい。気相合成
によるダイヤモンド層は、通常、多結晶構造を有する。
【0027】また、第1の層は、単結晶のダイヤモンド
から本質的になる基板で構成されてもよい。単結晶ダイ
ヤモンドの基板は、伝搬速度および電気機械結合を高め
るため好ましく用いられる。このような基板として、天
然のダイヤモンドまたは超高圧合成法により製造された
合成ダイヤモンドを用いることができる。
【0028】ダイヤモンド層を基板上に形成させる方法
として、たとえば、熱CVD、プラズマCVD、マイク
ロ波CVD、光CVDおよびレーザCVD等のCVD、
スパッタリング、ならびにイオンビーム蒸着を挙げるこ
とができる。ダイヤモンド状炭素膜も、ダイヤモンドと
同様の方法を用いて基板上に形成させることができる。
【0029】原料ガスを分解励起してダイヤモンドを気
相成長させる方法についてより具体的に挙げると、たと
えば、1)熱電子放射材を1500K以上の温度に加熱
して原料ガスを活性化する方法、2)直流波、交流波ま
たはマイクロ波電界による放電を利用する方法、3)イ
オン衝撃を利用する方法、4)レーザなどの光を照射す
る方法、5)原料ガスを燃焼させる方法、がある。
【0030】ダイヤモンドおよびダイヤモンド状炭素膜
を気相合成するため使用する原料物質には、炭素含有化
合物が一般的に用いられる。この炭素含有化合物は、好
ましくは水素ガスと組合せて用いられる。また、必要に
応じて、酸素含有化合物および/または不活性ガスが原
料ガス中に添加される。
【0031】炭素含有化合物としては、たとえば、メタ
ン、エタン、プロパンおよびブタン等のパラフィン系炭
化水素、エチレン、プロピレンおよびブチレン等のオレ
フィン系炭化水素、アセチレンおよびアリレン等のアセ
チレン系炭化水素、ブタジエン等のジオレフィン系炭化
水素、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン
およびシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、シクロブタ
ジエン、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびナフタレ
ン等の芳香族炭化水素、アセトン、ジエチルケトンおよ
びベンゾフェノン等のケトン類、メタノールおよびエタ
ノール等のアルコール類、トリメチルアミンおよびトリ
エチルアミンなどのアミン類、炭酸ガスならびに一酸化
炭素などを挙げることができる。これらは、1種を単独
で用いることもできるし、2種以上を併用することもで
きる。また、炭素含有化合物は、グラファイト、石炭、
コークスなどの炭素原子のみからなる物質であってもよ
い。
【0032】原料ガスに添加される酸素含有化合物とし
ては、酸素、水、一酸化炭素、二酸化炭素、または過酸
化水素が容易に入手できるゆえ好ましい。
【0033】原料ガスに添加できる不活性ガスとして
は、たとえば、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプト
ン、キセノン、またはラドンを用いることができる。
【0034】この発明において、圧電体は、ZnO、A
lN、Pb(Zr,Ti)O3 、(Pb,La)(Z
r,Ti)O3 、LiTaO3 、LiNbO3 、SiO
2 、Ta2 5 、Nb2 5 、BeO、Li2
4 7 、KNbO3 、ZnS、ZnSeまたはCdSな
どを主成分とすることができる。圧電体層は、単結晶お
よび多結晶のいずれであってもよいが、素子をより高周
波域で使用するためには、表面波の散乱が少ない単結晶
がより好ましい。ZnO、AlNおよびPb(Zr,T
i)O3 等の圧電体層は、CVDまたはスパッタ等によ
って形成することができる。
【0035】この発明において、電気−機械変換、すな
わち電気信号と表面弾性波との間の変換を行なうための
電極は、典型的には、くし型電極またはインターデジタ
ル・トランデューサ(IDT)と呼ばれる電極である。
くし型電極は、たとえば、図30および図31に示すよ
うな形状を有している。図30に示すくし型電極は、幅
dの電極片が3dの隙間をもって一体に形成されたもの
が、1対向い合っているものである。1つおきに同極の
電極があり、隣接するものは異極である。これは最も標
準的なくし型電極であり、このようなくし型電極により
励振される表面弾性波の波長λ0 は4dである。図31
に示されるくし型電極は、幅dの電極片が間隔dをおい
て2つずつ並び、これが5dの間隔をもって繰返すよう
に形成されている。くし型電極は、1対の電極片が向き
合った構造を有している。図31に示すくし型電極にお
いて励振される表面弾性波の波長λ0 は8d/3であ
る。
【0036】くし型電極は、フォトリソグラフィーを用
いて1.2μm程度の電極間隔を有するものまで製作す
ることができる。電極を形成する材料としては、抵抗率
の小さな金属が好ましく、Au、AgおよびAlなどの
低温で蒸着が可能な金属、ならびにTi、WおよびMo
などの高融点金属を用いることができる。電極作製の容
易さからは、AlおよびTiが好ましく、ダイヤモンド
との密着性からはWおよびMoが好ましい。くし型電極
は、単一の金属材料から形成されてもよいし、Tiの上
にAlを形成するように、2種類以上の金属層を組合せ
て形成してもよい。
【0037】くし型電極の作製において、まず、上述し
た材料からなる金属膜が所定の場所に形成される。次
に、レジスト膜を金属膜上に形成した後、ガラス等の透
明平板上にくし型電極のパターンを形成させたマスクを
レジスト膜の上方に設け、水銀ランプなどを用いてレジ
スト膜を露光する。その後、現像によりレジストパター
ンが得られる。レジストパターンの形成には、上述した
方法のほかに、電子ビームによりレジスト膜を直接露光
する方法等を用いることもできる。
【0038】レジストパターンの形成の後、エッチング
により金属膜が所定の形状に加工される。Alなどの低
融点金属からなる膜をエッチングするには、たとえば、
水酸化ナトリウム溶液などのアルカリ性溶液または硝酸
などの酸性溶液が用いられる一方、高融点金属をエッチ
ングする場合、フッ酸と硝酸の混合溶液が用いられる。
また、BCl3 などのガスを用いる反応性イオンエッチ
ングを金属膜の加工のため用いることもできる。
【0039】一方、この発明において、電極は、導電性
を有するダイヤモンドから形成することができる。導電
性を有するダイヤモンドは、B、Al、PまたはSなど
の不純物を供給しながらダイヤモンドを気相成長させる
方法、絶縁性のダイヤモンドにこれらの不純物をイオン
注入によりドーピングする方法、絶縁性のダイヤモンド
に電子線を照射して格子欠陥を導入する方法または絶縁
性のダイヤモンドを水素化する方法等により形成するこ
とができる。
【0040】この発明において、くし型電極は、第1の
層と圧電体層の間、または圧電体層と第2の層の間に形
成することができる。加えて、くし型電極は、短絡用電
極とともに形成することができる。くし型電極が第1の
層と圧電体層の間に設けられる場合、短絡用電極は、圧
電体層と第2の層の間および/または第2の層の上に設
けることができる。くし型電極が圧電体層と第2の層の
間に形成される場合、短絡用電極は、第1の層と圧電体
層の間および/または第2の層の上に設けることができ
る。
【0041】圧電体膜を基板上に形成した表面弾性波素
子において、基板材料の音速が圧電体の音速よりも大き
いときには、伝搬速度vの異なる複数の表面弾性波が励
起される。この場合、励振モードは、vの小さいほうか
ら0次モード、1次モード、2次モード、3次モード、
…というように規定される。この発明において、くし型
電極が第1の層と圧電体層の間に設けられる表面弾性波
素子は、0次モードの励振構造を有する素子として適用
できる。しかしながら、第2の層の厚みが圧電体層の厚
みよりも十分薄い場合、くし型電極が第1の層と圧電体
層の間に形成される表面弾性波素子は、1次モードの励
振構造を有する素子として適用できる。
【0042】一方、くし型電極が圧電体層と第2の層の
間に形成される表面弾性波素子は、1次モードの励振構
造を有する素子として適用できる。
【0043】また、この発明に従って、0次モードにお
いて伝搬速度が約7,000m/s以上であり、かつ
0.3%以上の電気機械結合係数を有する表面弾性波素
子を提供することができる。電気機械結合係数は、電気
的エネルギが機械的エネルギに変換される際の変換効率
を表す指標である。さらに、この発明に従って、1次モ
ードにおける伝搬速度が約9,000m/s以上であ
り、かつ0.3%以上の電気機械結合係数を有する表面
弾性波素子を提供することができる。
【0044】
【発明の作用効果】以上説明してきたとおり、この発明
に従う表面弾性波素子では、圧電体層の上にダイヤモン
ド状炭素膜またはダイヤモンドからなる第2の層が形成
されている。この第2の層は、電気的に絶縁体であり、
しかも高い硬度を有している。したがって、第2の層
は、外部環境から、圧電体層およびくし型電極からなる
素子中枢部を保護するパッシベーション膜としての役割
を果たす。第2の層は、外部環境からの湿気および不純
物などの影響を極力小さくすることができるため、素子
の特性は、長期にわたって安定に維持される。
【0045】さらに、以下の実施例で示すとおり、本発
明者らは、圧電体層およびくし型電極が第1の層と第2
の層の間に挟まれたサンドイッチ構造を有する素子にお
いて、圧電体層および第2の層の厚みを適当な値に設定
することで、第2の層のない場合に比べて電気機械結合
係数および伝搬速度v、特に電気機械結合係数を大きく
できることを見出した。すなわち、この発明に従えば、
第2の層をまったく有していない従来の表面弾性波素子
よりも高い効率で電気機械的変換を行なうことができ、
しかも高い中心周波数を有する表面弾性波素子を提供す
ることができる。このように、第2の層は、パッシベー
ション膜としての役割を果たすだけでなく、表面弾性波
素子について電気−機械変換の性能を向上させる。
【0046】
【実施例】実施例1 10×10×1mmのSi基板を準備し、これをプラズ
マCVD装置内に設置した。反応室内を排気するととも
に、反応室内にH2 :CH2 =200:1の混合ガスを
導入した。反応室内の圧力:約40Torr、基板温
度:850℃、マイクロ波パワー:400Wの条件下
で、プラズマCVDを行ない、基板上に厚さ25μmの
ダイヤモンド薄膜を成長させた。
【0047】次いで、大気中に450℃で10分間放置
してダイヤモンド薄膜の抵抗値を高めた。次に、ダイヤ
モンド薄膜の表面を研摩した後、厚さ500ÅのAl層
を抵抗加熱法により蒸着した。次いで、フォトリソグラ
フィー法を用いてAl層から2μmの電極間隔を有する
くし型電極を形成した。
【0048】次に、スパッタ出力150W、基板温度3
80℃の条件下、ZnO多結晶体をAr:O2 =1:1
の混合ガスでスパッタするマグネトロンスパッタリング
により、厚み0.93μmのZnO膜を堆積させた。
【0049】次に、プラズマCVDにより、ZnO膜の
上にダイヤモンド状炭素膜層を形成した。ダイヤモンド
状炭素膜層の形成に際しては、プラズマCVD装置の反
応室内にメタンガスを約5sccmで導入し、反応室内
の圧力を約0.002Torrに維持した。基板温度を
25℃に設定して、電力密度2W/cm2 で放電を行な
いプラズマ状態を形成した。約0.5時間で、厚さ40
0Åのダイヤモンド状炭素膜層を形成した。
【0050】図1は、以上の構成で形成された表面弾性
波素子を示す断面図である。図1を参照して、Si基板
1上にはダイヤモンド薄膜2が形成されている。ダイヤ
モンド薄膜2の上にはくし型電極3が形成され、その上
にZnO薄膜4が形成されている。ZnO薄膜4の上に
ダイヤモンド状炭素膜層5が形成されている。
【0051】なお、比較として、図2に示すようなダイ
ヤモンド状炭素膜層の形成されていない表面弾性波素子
を作製した。図2を参照して、Si基板11の上には、
ダイヤモンド薄膜12が形成され、ダイヤモンド薄膜1
2の上にくし型電極13およびZnO薄膜14が形成さ
れている。この比較の表面弾性波素子は、ダイヤモンド
状炭素膜層を形成しないこと以外、上記の実施例と同様
にして作製した。
【0052】以上のようにして得た表面弾性波素子のそ
れぞれの表面に5%希塩酸を滴下し、5分後に表面を洗
浄した後、フィルタ特性評価した。その結果、図1に示
すこの発明の表面弾性波素子では特性に変化はなかった
が、図2に示す比較の表面弾性波素子ではZnO薄膜が
エッチングされ、フィルタ特性を示さなくなっていた。
このように、圧電体層上に形成されたダイヤモンド状炭
素膜層は、外部環境から表面弾性波素子を保護する。
【0053】実施例2 図3に示す構造を有する表面弾性波素子を作製した。図
3を参照して、Si基板21a上にはダイヤモンド薄膜
22aが形成されており、ダイヤモンド薄膜22aの上
にZnO薄膜24aが形成されている。ZnO薄膜24
aの上にくし型電極23aが形成され、その上にダイヤ
モンド層25aが形成されている。
【0054】このような構造を有する素子の製作におい
て、ダイヤモンド膜22aおよびダイヤモンド層25a
は、実施例1と同様の条件を用いるプラズマCVDによ
り形成された。ダイヤモンド膜22aの厚みは約25μ
mである一方、ダイヤモンド層25aは、素子の特性の
変化を調べるため種々の厚みとされた。また、圧電体層
としてのZnO薄膜およびくし型電極は、実施例1と同
様にして形成した。
【0055】以下、図3に示す表面弾性波素子の構造を
A構造として示す。また、ダイヤモンド層25aの厚み
を変えた場合の特性変化を後に示す。
【0056】実施例3 図4に示す構造を有する素子を作製した。図4を参照し
て、Si基板21b上には、ダイヤモンド膜22bが形
成されている。ダイヤモンド膜22bの上に短絡用電極
26bが形成され、さらにその上にZnO薄膜24bが
形成されている。ZnO薄膜24b上にはくし型電極2
3bが形成され、その上にはダイヤモンド層25bが堆
積されている。
【0057】図4に示す素子の製造にあたり、ダイヤモ
ンド薄膜22bおよびダイヤモンド層25bは実施例1
の合成条件と同様の条件を用いてプラズマCVDにより
形成された。また、ZnO薄膜24bおよびくし型電極
23bも実施例1と同様の条件で形成された。一方、短
絡用電極26bは、ダイヤモンド薄膜22bの研摩され
た表面上に、厚さ500ÅのAl層を抵抗加熱法により
蒸着した後、フォトリソグラフィーを用いて形成され
た。図4に示す素子において、短絡用電極26bは、素
子の励起効率を向上させるため、くし型電極23bが形
成される領域を覆うように形成される。
【0058】以下、図4に示す構造をB構造とする。ま
た、ダイヤモンド層25bの厚みを変えたときの特性変
化を後に示す。
【0059】実施例4 図5に示す構造の素子を作製した。図5を参照して、S
i基板21c上にダイヤモンド薄膜22cが形成され、
その上にZnO薄膜24cが形成されている。ZnO薄
膜24cの上にくし型電極23cが形成され、そのうえ
にダイヤモンド層25cが形成されている。ダイヤモン
ド層25cは、くし型電極23cおよびZnO薄膜24
cを覆う。ダイヤモンド層25c上には短絡用電極26
cが形成されている。
【0060】図5に示す素子の製造にあたり、それぞれ
の層および電極は実施例1〜実施例3と同様の条件を用
いて形成された。以下、図5に示す構造をC構造として
表す。また、ダイヤモンド層25cの厚みを変化させた
ときの特性変化を後に示す。
【0061】実施例5 図6に示す構造の表面弾性波素子を作製した。図6を参
照して、Si基板21d上には、ダイヤモンド薄膜22
dが形成されている。ダイヤモンド薄膜22d上には短
絡用電極26dが形成され、その上にZnO薄膜24d
が堆積されている。ZnO薄膜24d上にはくし型電極
23dが形成され、その上にダイヤモンド層25dが堆
積されている。ダイヤモンド層25d上には、くし型電
極23dの形成される領域を覆うように短絡用電極26
d′がさらに設けられている。このような構造の素子
も、実施例1〜実施例3と同様の条件を用いて形成する
ことができた。以下、図6に示す素子の構造をD構造と
する。また、ダイヤモンド層25dの厚さを変化させた
ときの素子特性の変化を後に示す。
【0062】実施例6 図7に示す構造の素子を作製した。図7に示す素子は、
Si基板21e上にダイヤモンド薄膜22e、ZnO薄
膜24eおよびダイヤモンド層25eが順次堆積された
構造において、くし型電極23eがダイヤモンド薄膜2
2eとZnO薄膜24eに挟まれた構造を有している。
このような構造において、それぞれの層および電極は実
施例1と同様の条件を用いて作製することができた。以
下、この構造をE構造として示す。また、ダイヤモンド
層25eの厚さを変化させたときの素子特性の変化を後
に示す。
【0063】実施例7 図8に示す素子を作製した。Si基板21f上にはダイ
ヤモンド薄膜22fが形成され、その上にくし型電極2
3fが形成される。ダイヤモンド薄膜22fおよびくし
型電極23fを覆うようにZnO薄膜24fが形成さ
れ、その上に短絡用電極26fおよびダイヤモンド層2
5fが形成される。この素子は、実施例1〜実施例3と
同様の条件を用いて作製することができた。以下、図8
に示す構造をF構造とする。また、ダイヤモンド層25
fを種々の厚みにした場合の素子特性の変化を後に示
す。
【0064】実施例8 図9に示す表面弾性波素子を作製した。図9に示す素子
は、Si基板21g、ダイヤモンド薄膜22g、くし型
電極23g、ZnO薄膜24g、ダイヤモンド層25g
および短絡用電極26gを有し、図7に示す構造の素子
においてダイヤモンド層上に短絡用電極を設けたもので
ある。この素子も、実施例1〜実施例3と同様の条件を
用いて作製することができた。以下、図9に示す構造を
G構造とする。また、ダイヤモンド層25gの厚みを変
えた場合の素子特性の変化を後に示す。
【0065】実施例9 図10に示す表面弾性波を作製した。図10を参照し
て、Si基板21h上にはダイヤモンド薄膜22hが形
成され、その上にくし型電極23hが設けられる。ダイ
ヤモンド薄膜22hおよびくし型電極23hを覆うよう
にZnO薄膜24hが形成され、その上に短絡用電極2
6hおよびダイヤモンド層25hが形成される。ダイヤ
モンド層25h上には短絡用電極26h′がさらに形成
される。このような構造を有する素子も、実施例1〜実
施例3と同様の条件を用いて形成することができた。以
下、図10に示す構造をH構造とする。また、ダイヤモ
ンド層25hを種々の厚みに変えた場合の素子特性の変
化を後に示す。
【0066】以下にA構造〜H構造において、ZnO薄
膜を所定の厚みとし、最上層に設けられるダイヤモンド
層の厚みを変化させたときの電気機械結合係数の変化を
グラフとして示す。ダイヤモンド層の厚みと電気機械結
合係数の関係を示すにあたり、次に示すパラメータを規
定する。
【0067】 λ=くし型電極の周期(表面弾性波の波長) c=2π/λ H1 =ZnO薄膜の厚さ H2 =ダイヤモンド層の厚さ K2 =電気機械結合係数 B構造の素子においてcH1 を0.30としたときのc
2 とK2 の関係を図11に示す。ここでcH1 および
cH2 を用いたのは、くし型電極の電極間隔すなわち電
極の周期が変わってもK2 とcH2 の関係が変わらない
ことを示したいからである。
【0068】図11に示すように、B構造において、c
1 =0.30、cH2 ≧0.5のとき、0次モードの
2 を0.3%以上にすることができる。また、図に示
すように、cH2 が0.5以上であれば、ダイヤモンド
層を形成しない場合(cH2 =0)よりもK2 を大きく
することができる。
【0069】D構造を有する素子において、cH1
0.30の場合のK2 とcH2 の関係を図12に示す。
図に示すように、D構造において、cH1 =0.30、
cH2 ≧0.5のとき、0次モードのK2 を0.3%以
上にすることができる。また、図に示すように、cH2
を0.3より大きくすれば、0次モードにおいてK2
ダイヤモンド層を用いない場合(cH2 =0)よりも大
きくすることができる。
【0070】E構造を有する素子において、cH1
0.30としたときのK2 とcH2 を関係を図13に示
す。図に示すとおり、cH1 =0.30、cH2 ≧0.
5のとき、0次モードのK2 を0.3%以上にすること
ができる。また、図13は、圧電体層上にダイヤモンド
層を形成することで、電気機械結合係数を増加させるこ
とができることを示している。
【0071】F構造を有する素子において、cH1
0.30の場合のK2 とcH2 の関係を図14に示す。
図に示すように、CH2 を0.35以上とすることで、
0次モードのK2 を0.3%以上にすることができる。
また、cH2 を0.35より大きくすることで、ダイヤ
モンド層を設けない場合よりもK2 を大きくすることが
できる。
【0072】G構造を有する素子において、cH1
0.30としたときのK2 とcH2 の関係を図15に示
す。図から明らかなように、cH1 =0.30、cH2
≧0.45において0次モードのK2 を0.3%以上に
することができる。また、cH 2 を0.45より大きく
すれば、ダイヤモンド層を設けない場合よりも電気機械
結合係数を大きくすることができる。
【0073】図16は、H構造を有する素子において、
cH1 が0.30の場合のK2 とcH2 の関係を示すグ
ラフである。このグラフから明らかなように、cH2
0.35以上とすることで0次モードのK2 を0.3%
以上にすることができる。また、cH2 を0.4より大
きくすれば、ダイヤモンド層を設けない場合よりもK 2
を大きくすることができる。
【0074】また、以上に示したB、D、E、F、Gお
よびH構造を有する素子におけるK 2 とcH2 の関係に
関して、cH1 が0.25〜0.35の範囲にある場
合、上述したと同等の傾向が認められた。
【0075】なお、以上に示したB、D、E、F、Gお
よびH構造を有する素子において、Si基板上に設けら
れるダイヤモンド薄膜の厚みは約25μmであった。下
層に設けられるダイヤモンド薄膜の厚み(H)は、増加
するほど伝搬速度vを大きくしていくが、cHが4.0
を越えると伝搬速度はさほど増加しないようになる。し
たがって、下層のダイヤモンド薄膜の厚さは、cH=
4.0となる程度で十分である。
【0076】以上に示した、B、D、E、F、Gおよび
H構造において、cH1 が0.30の場合の伝搬速度v
とcH2 の関係は図17に示すとおりである。この図よ
り、0次モードおよび1次モードとも高い伝搬速度を有
していることが分かる。0次モードにおいては、ダイヤ
モンド層の厚みが増すにつれて伝搬速度が若干減少して
いく傾向が認められるが、cH2 =0.8で約9,00
0m/sと十分大きな伝搬速度が得られることが分か
る。
【0077】構造Aにおいて、cH1 を0.70に設定
したときのK2 とcH2 の関係を図18に示す。図に示
すように、cH2 が0.1以上である構造Aは、1次モ
ードにおいて0.3%以上のK2 を有している。この図
は、1次モードにおいて、構造Aがダイヤモンド層を有
していない従来の表面弾性波素子よりも高い電気機械結
合を有することを示している。
【0078】cH1 が0.70である構造Bにおいて、
2 とcH2 の関係を図19に示す。このケースでは、
ダイヤモンド層を形成することで特に1次モードのK2
を大きくすることができる。図に示すとおり、cH1
0.70である構造Bの1次モードは、cH2 0.1付
近でK2 の最大値を有する。このケースでは、1次モー
ドにおいて4〜4.7%のK2 が得られることから、c
2 の範囲は0.07〜0.30が好ましい。さらに、
cH2 を0.07〜1.03の範囲に収めることで0次
モードのK2 を0.3%以下とすることができ、不要波
を小さく抑えてスプリアス特性を向上させることができ
る。
【0079】また、cH2 を0.25以上とすることで
0次モードのK2 を1〜2.7%とダイヤモンド層を設
けない場合よりも大きくすることができる。
【0080】cH1 が0.70である構造Cにおいて、
2 とcH2 の関係を図20に示す。図に示すように、
cH1 =0.70、cH2 ≧0.3とすることで、1次
モードのK2 を0.3%以上にすることができる。ま
た、図20は、ダイヤモンド層を設けることにより、1
次モードのK2 をダイヤモンド層を設けない場合よりも
大きくできることを示している。
【0081】図21は、cH1 が0.70である構造D
について、K2 とcH2 の関係を示している。構造Dに
おいて、cH1 =0.70のとき、cH2 を0.05以
上にすることで1次モードのK2 を0.3%〜2.5%
にすることができる。また、cH2 を0.2以上にする
ことで、0次モードのK2 を0.3%〜2.2%とする
ことができる。1次モードのみを励起させたい場合は、
0次モードのK2 が小さい0.05〜0.3の範囲のc
2 を設定すればよい。
【0082】図22は、構造EにおいてcH1 が0.7
0のときのK2 とcH2 の関係を示している。図に示す
ように、cH2 を0.02〜1.00の範囲とすること
で、1次モードのK2 を1.5〜1.7%とする大きく
することができる一方、0次モードのK2 を0.3%以
下と小さくすることができる。このような範囲にcH 2
を設定すれば、表面弾性波素子のスプリアス特性を改善
することができる。また、cH2 を0.15以上にする
ことで0次モードのK2 を0.5%以上にすることがで
きる。
【0083】図23は、構造FにおいてcH1 が0.7
0のときのK2 とcH2 との関係を示している。図に示
すとおり、0.05〜0.2の範囲にcH2 を設定する
ことで、1次モードのK2 を4〜5.7%と大きくする
ことができる一方、0次モードのK2 を小さく抑えるこ
とができる。この範囲にcH2 を設定することで、高い
電気機械結合係数を有し、かつ優れたスプリアス特性を
有する素子を提供することができる。一方、0次モード
に関しては、cH2 を0.2以上とすることでダイヤモ
ンド層を設けない場合よりもK2 を大きくすることがで
きる。
【0084】構造GにおいてcH1 が0.70のときの
2 とcH2 の関係を図24に示す。この場合、cH2
を0.05〜0.13の範囲に設定することで、1次モ
ードのK2 を大きくし、かつ0次モードのK2 を小さく
抑えることができる。また、0次モードに関しては、c
2 を0.2以上にすることでK2 をダイヤモンド層を
用いない場合よりも大きくすることができる。
【0085】図25は、構造Hにおいて、cH1 =0.
70のときのK2 とcH2 の関係を示している。この場
合、cH2 を0.05〜0.2の範囲に設定すること
で、1次モードにおいて優れたスプリアス特性を有する
素子を提供することができる。また、0次モードについ
ては、cH2 を0.2以上とすることでK2 をダイヤモ
ンド層を用いない従来の素子よりも大きくすることがで
きる。
【0086】図18〜図25において示したA〜H構造
の素子においては、cH1 が0.65〜0.75の範囲
にある場合、図18〜図25に示したと同等の効果が認
められた。
【0087】なお、cH1 が0.65〜0.75の範囲
にあるA〜H構造の素子でも、下層に設けられるダイヤ
モンド薄膜の厚み(H)は、増加するほど伝搬速度vを
大きくしていく。しかしながら、上述したとおり、cH
が4.0を越えると、伝搬速度の増加はさほど顕著でな
くなるため、ダイヤモンド薄膜の厚さ(H)は、cH=
4.0となる程度でよい。A構造〜H構造において、c
1 が0.70の場合の伝搬速度vとcH2 の関係を図
26に示す。この場合、ダイヤモンド層を設けること
で、1次モードの伝搬速度をダイヤモンド層を設けない
場合より大きくすることができる。1次モードの場合、
ダイヤモンド層の厚みを増加させることで伝搬速度をよ
り大きくしていくことができ、cH2 =0.8では約1
0,000m/sの伝搬速度を得ることができる。
【0088】一方、0次モードでは、ダイヤモンド層の
厚みが増加するに従って伝搬速度が若干減少していく傾
向にあるが、cH2 =0.8でも7,000m/sと十
分大きな伝搬速度を得ることができる。
【0089】実施例2〜実施例9では、圧電体層が2つ
のダイヤモンド層の間にはさまれた構造を有する素子を
示したが、ダイヤモンド状炭素膜層/圧電体層/ダイヤ
モンド状炭素膜層、ダイヤモンド状炭素膜層/圧電体層
/ダイヤモンド層およびダイヤモンド層/圧電体層/ダ
イヤモンド状炭素膜層(右側が上層を示す)のいずれの
構造を有する素子においても、電気機械結合係数および
伝搬速度に関して、上記実施例と同様の効果が得られ
る。
【0090】また、上記実施例では、基板上にダイヤモ
ンド薄膜を形成した例を示したが、図27(a)および
(b)に示すように、ダイヤモンド基板上に圧電体層を
形成させた素子も、上記実施例と同様の効果を奏する。
図27(a)に示す素子では、ダイヤモンド基板52上
に、ZnO薄膜54が形成されている。ZnO薄膜54
の上にくし型電極53が形成され、その上にダイヤモン
ドまたはダイヤモンド状炭素膜からなる層55が形成さ
れる。図27(b)に示す素子では、ダイヤモンド基板
52′上にくし型電極53′が形成される。ダイヤモン
ド基板52′およびくし型電極53′を覆うようにZn
O薄膜54′が形成され、その上にダイヤモンドまたは
ダイヤモンド状炭素膜からなる層55′が形成される。
【0091】以上の実施例で示したとおり、この発明に
よれば、従来の表面弾性波素子よりも高い効率で電気機
械変換を行なうことができ、しかも極高周波域において
使用することができる表面弾性波素子を提供することが
できる。この発明に従う表面弾性波素子は、特に、自動
車電話および携帯電話などの通信機器に用いられる高周
波フィルタとして適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において作製されたこの発明の表面弾
性波素子を示す断面図である。
【図2】比較例として作製された従来の表面弾性波素子
を示す断面図である。
【図3】実施例2として作製されたこの発明に従う表面
弾性波素子を示す断面図である。
【図4】実施例3として作製されたこの発明に従う表面
弾性波素子を示す断面図である。
【図5】実施例4として作製されたこの発明に従う表面
弾性波素子を示す断面図である。
【図6】実施例5として作製されたこの発明に従う表面
弾性波素子を示す断面図である。
【図7】実施例6として作製されたこの発明に従う表面
弾性波素子を示す断面図である。
【図8】実施例7として作製されたこの発明に従う表面
弾性波素子を示す断面図である。
【図9】実施例8として作製されたこの発明に従う表面
弾性波素子を示す断面図である。
【図10】実施例9として作製されたこの発明に従う表
面弾性波素子を示す断面図である。
【図11】実施例3の表面弾性波素子において、ダイヤ
モンドからなる第2の層の厚みと電気機械結合係数との
関係を示す図である。
【図12】実施例5の表面弾性波素子において、ダイヤ
モンドからなる第2の層の厚みと電気機械結合係数との
関係を示す図である。
【図13】実施例6の表面弾性波素子において、ダイヤ
モンドからなる第2の層の厚みと電気機械結合係数との
関係を示す図である。
【図14】実施例7の表面弾性波素子において、ダイヤ
モンドからなる第2の層の厚みと電気機械結合係数との
関係を示す図である。
【図15】実施例8の表面弾性波素子において、ダイヤ
モンドからなる第2の層の厚みと電気機械結合係数との
関係を示す図である。
【図16】実施例9の表面弾性波素子において、ダイヤ
モンドからなる第2の層の厚みと電気機械結合係数との
関係を示す図である。
【図17】実施例3、実施例5、実施例6、実施例7、
実施例8および実施例9の表面弾性波素子において、ダ
イヤモンドからなる第2の層の厚みと表面弾性波の伝搬
速度との関係を示す図である。
【図18】実施例2の表面弾性波素子において、ダイヤ
モンドからなる第2の層の厚みと電気機械結合係数との
関係を示す図である。
【図19】図11で示したのと異なる厚みの圧電体層を
有する実施例3の表面弾性波素子において、ダイヤモン
ドからなる第2の層の厚みと電気機械結合係数との関係
を示す図である。
【図20】実施例4の表面弾性波素子において、ダイヤ
モンドからなる第2の層の厚みと電気機械結合係数との
関係を示す図である、。
【図21】図12で示したのと異なる厚みの圧電体層を
有する実施例5の表面弾性波素子において、ダイヤモン
ドからなる第2の層の厚みと電気機械結合係数との関係
を示す図である。
【図22】図13で示したのと異なる厚みの圧電体層を
有する実施例6の表面弾性波素子において、ダイヤモン
ドからなる第2の層の厚みと電気機械結合係数との関係
を示す図である。
【図23】図14で示したのと異なる厚みの圧電体層を
有する実施例7の表面弾性波素子において、ダイヤモン
ドからなる第2の層の厚みと電気機械結合係数との関係
を示す図である、。
【図24】図15で示したのと異なる厚みの圧電体層を
有する実施例8の表面弾性波素子において、ダイヤモン
ドからなる第2の層の厚みと電気機械結合係数との関係
を示す図である。
【図25】図16で示したのと異なる厚みの圧電体層を
有する実施例9の表面弾性波素子において、ダイヤモン
ドからなる第2の層の厚みと電気機械結合係数との関係
を示す図である。
【図26】圧電体層の厚みについて図17で示すのとは
異なる態様を用い、実施例2〜実施例9の構造を有する
表面弾性波素子について、ダイヤモンドからなる第2の
層の厚みと表面弾性波の伝搬速度との関係を示す図であ
る。
【図27】本発明に従って、ダイヤモンド基板を用いた
表面弾性波素子の例を示す図である。
【図28】表面弾性波素子の一般的な構造を模式的に示
す斜視図である。
【図29】従来の表面弾性波素子を示す断面図である。
【図30】くし型電極の形状についてその一例を示す平
面図である。
【図31】くし型電極の形状についてもう1つの例を示
す平面図である。
【符号の説明】
1、11、21a〜h Si基板 2、12、22a〜h ダイヤモンド薄膜 3、13、23a〜h くし型電極 4、14、24a〜h ZnO薄膜 5 ダイヤモンド状炭素膜層 25a〜h ダイヤモンド層 26b、26c、26d、26d′、26f、26g、
26h、26h′ 短絡用電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鹿田 真一 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 藤森 直治 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダイヤモンドおよびダイヤモンド状炭素
    膜の少なくともいずれかから本質的になる第1の層と、 前記第1の層上に形成される圧電体層と、 前記圧電体層上に形成され、ダイヤモンドおよびダイヤ
    モンド状炭素膜の少なくともいずれかから本質的になる
    第2の層と、 前記圧電体層と組合されて電気−機械変換を行なうため
    の電極とを備える、表面弾性波素子。
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