JPH05195127A - ボイラ伝熱管用高耐食合金 - Google Patents

ボイラ伝熱管用高耐食合金

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JPH05195127A
JPH05195127A JP905292A JP905292A JPH05195127A JP H05195127 A JPH05195127 A JP H05195127A JP 905292 A JP905292 A JP 905292A JP 905292 A JP905292 A JP 905292A JP H05195127 A JPH05195127 A JP H05195127A
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JP
Japan
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alloy
corrosion
boiler
resistant alloy
corrosion resistant
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JP905292A
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Nobuo Otsuka
伸夫 大塚
Takeo Kudo
赳夫 工藤
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】耐全面腐食性および耐応力腐食割れ性ととも
に、特に耐粒界腐食性に優れ、高温強度の高いボイラ伝
熱管用高耐食合金の提供。 【構成】(1) 重量%で、C:0.05%以下、Si:2%以
下、Mn: 2.5%以下、Cr:25〜35%、Ni:25〜55%およ
び下記式を満足するMoを含有し、更にNb、Ti、Zrおよ
びVのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で
0.1〜3.0 %含有し、残部がFeおよび不可避不純物から
なる化学組成。 0.3(%)≦ Mo(%)≦ 5.8(%) −{Ni(%)/10}・・・・・ (2) 合金成分として更にCu、CoおよびWのうちの1種以
上を、それぞれ、または2種以上の合計で 0.1〜5.0 重
量%含有する上記 (1)の化学組成。 (3) 合金成分として更に、 0.1〜0.3 重量%のNを含有
する上記 (1)または(2)のいずれかの化学組成。 (4) 合金成分として更に、 0.5重量%以下のAlを含有す
る上記 (1)、(2) または(3) のいずれかの化学組成。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、塩化物を含む腐食性
燃焼スラグが付着するような高温環境で使用されるボイ
ラの伝熱管(ボイラチューブ)用の高耐食性合金に関す
る。詳しくは、都市ごみ、産業廃棄物、下水処理汚泥等
(以下、「ごみ」と総称する) を焼却する施設におい
て、エネルギー回収を目的として設置される廃熱ボイ
ラ、製紙工場において黒液を燃焼してソーダを回収する
とともに廃熱を利用して発電を行うためのボイラ等の過
熱器管、再熱器管、蒸発器管および水壁管等のボイラ伝
熱管用として、特に高温高圧下で利用されるオーステナ
イト組織の高Cr高Ni合金に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、未利用のエネルギーを積極的に利
用する観点から、都市ごみの有するエネルギーの有効利
用が注目され、既に都市ごみを焼却したときに発生する
廃熱を利用して、地域暖房や焼却施設内の電力を賄うた
めの発電が一部の施設で行われている。また、製紙業界
においては、パルプ製造工程で発生する黒液を燃焼させ
てソーダを回収し、併せて廃熱で発電を行う目的のボイ
ラ(ソーダ回収ボイラという)が利用されるようになっ
てきた。
【0003】上記の廃熱回収システムで廃熱を電気エネ
ルギーに変えて最大限に利用するには、発電効率を上げ
なければならない。そのためには廃熱ボイラーの蒸気条
件を高温高圧化する必要がある。しかし、蒸気の高温化
はボイラ管の管壁温度の高温化をもたらし、管の腐食を
激化させる。また、蒸気の高圧化のためにはボイラ管材
料が高温強度にも優れるものでなければならない。例え
ば、従来のごみ焼却廃熱回収ボイラでは、最も温度の高
い過熱器管の管壁温度でも 200〜350 ℃であったが、今
後はごみ焼却廃熱回収ボイラでもソーダ回収ボイラでも
管壁温度が500℃を超えるような操業条件が採用される
ことが予想される。
【0004】都市ごみの中には多量のプラスチック分が
混入しているから、その燃焼ガスには塩化水素が含まれ
ている。また、燃焼残滓(スラグ)には塩化物が含有さ
れている。従って、ごみ焼却廃熱回収ボイラ用伝熱管で
は、塩化水素ガスによる腐食と、塩化物を含むスラグの
付着による金属材料の腐食損傷が問題となる。この事情
はソーダ回収ボイラでも同じである。
【0005】前記のような背景から、伝熱管材料として
特に塩化物を含む苛酷な腐食環境に耐える優れた耐食性
と高い高温強度を兼備した材料が強く要求されるに到っ
ている。
【0006】超高温高圧化プラントの高温部位、例えば
過熱器管等に使用される材料としては、高温強度に優れ
るオーステナイト組織を有する高耐食性の材料が望まし
い。
【0007】オーステナイト組織を有する都市ごみ焼却
廃熱ボイラ管用材料は、外国、特に米国において種々の
ものが知られている。例えば、Corrsion, March 9-13,1
987 Paper No.402には、約42%のNiを含む 825合金 (AS
TM B163,B423に記載されているN08825合金) および約66
%のNiを含む 625合金 (ASTM B444 に記載されているN0
6625合金) を都市ごみ焼却廃熱ボイラ管用材料として適
用した事例が報告されており、Niを多量に含むこれらの
高合金鋼は、米国のごみ焼却炉の腐食環境で腐食減肉が
少なく、耐食性に優れていると述べられている。
【0008】しかし、本発明者らが我が国のごみ焼却廃
熱ボイラおよびソーダ回収ボイラの腐食環境のように、
塩化物を含むスラグが付着する条件で試験した結果で
は、前記825 合金等の従来のオーステナイト系合金に
は、全面腐食や応力腐食割れとともに結晶粒界が選択的
に腐食される粒界腐食が発生する場合がある。
【0009】本発明者らは、先に、NiとMoの含有量を調
整して応力割れ感受性を低くした合金(特願平3−1885
67号) 、さらにAl添加により全面腐食に対する抵抗性を
高めた合金 (特願平3−161357号) およびMnの多量積極
添加により耐全面腐食性を高めた合金 (特願平3−3103
84号) を開発して特許出願した。しかしながら、前記の
粒界腐食を完全に防止するという点では、これらの発明
の合金も未だ不十分である。ボイラ管は高温高圧下で使
用される構造材料であるから、粒界腐食は状況によって
は管のクラックの起点となり、管の破壊につながるおそ
れがある。従って、特に高温高圧用のボイラ管の材料と
しては粒界腐食に対する感受性はできるだけ低いことが
望ましい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、前記
の先願発明の合金と同様に高温で優れた強度を示すオー
ステナイト組織を有し、しかも塩化物を含む燃焼スラグ
が付着するような過酷な腐食環境において耐全面腐食
性、耐応力腐食割れ性に優れ、さらに粒界腐食に対して
は前記先願発明の合金に優る十分な抵抗性を有するボイ
ラ伝熱管用材料を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】従来、オーステナイト系
合金の粒界腐食は、合金の結晶粒界に析出するCr炭化
物が塩化物を含むスラグと反応する、析出したCr炭化
物の周辺に生じるCr欠乏層が選択的に腐食される、とい
う二つの原因によるとされていた。ところが、本発明者
らが行った塩化物を含む腐食性燃焼スラグが付着する条
件下での試験では、結晶粒界に実質上Cr炭化物が析出し
ていない合金でも粒界腐食が発生した。
【0012】その原因を追求したところ、結晶粒界に偏
析した不純物元素が塩化物を含む燃焼スラグに選択的に
溶出することでも粒界が腐食することを突きとめた。そ
して、後述するように、Cr、Ni、Moをはじめとする合金
元素の含有量を適正に選んだ上で、Cを0.05%以下と
し、更に合金の結晶粒を小さくすることによって上記の
ような環境下でも粒界腐食の発生をほぼ完全に抑えるこ
とが可能であることを確認した。細粒化すれば結晶粒界
の表面積が増大し、単位面積当たりの不純物の結晶粒界
偏析量が減少して、前記の燃焼スラグへの偏析不純物の
溶出が少なくなり粒界腐食が抑制されるものと考えられ
る。
【0013】上記の知見を基礎とする本発明は、下記の
化学組成をもち、結晶粒度がASTM番号で7より細粒であ
るボイラ伝熱管用高耐食合金を要旨とする。
【0014】(1) 重量%で、C:0.05%以下、Si:2%
以下、Mn: 2.5%以下、Cr:25〜35%、Ni:25〜55%お
よび下記式を満足するMoを含有し、更にNb、Ti、Zrお
よびVのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で
0.1〜3.0 %含有し、残部がFeおよび不可避不純物から
なる化学組成。
【0015】 0.3(%)≦ Mo(%)≦ 5.8(%) −{Ni(%)/10}・・・・・ (2) 合金成分として更にCu、CoおよびWのうちの1種以
上を、それぞれ、または2種以上の合計で 0.1〜5.0 重
量%含有する上記 (1)の化学組成。
【0016】(3) 合金成分として更に、 0.1〜0.3 重量
%のNを含有する上記 (1)または(2)のいずれかの化学
組成。
【0017】(4) 合金成分として更に、 0.5重量%以下
のAlを含有する上記 (1)、(2) または(3) のいずれかの
化学組成。
【0018】
【作用】本発明の合金は、上記各合金成分の適切な組合
せの総合的な効果として、塩化物を含む燃焼スラグが付
着するような高温腐食環境で用いられる材料、例えば、
ごみ焼却ボイラやソーダ回収ボイラの伝熱管の材料にふ
さわしい優れた性質をもつに到るのであるが、各合金成
分の作用効果とその含有量の限定理由を個々に述べれば
次のとおりである。以下、合金成分の含有量についての
%は全て重量%を意味する。
【0019】C:Cは合金中のCrと結合し、結晶粒界に
塊状のCr炭化物として析出すると管の表面に付着した塩
化物を含む燃焼スラグと反応したり、結晶粒界近傍にCr
欠乏層を形成して合金の耐粒界腐食性を劣化させる。従
って、Cの含有量はできるだけ低くするのが望ましい。
0.05%は許容上限値である。
【0020】Si:Siは、通常、合金の脱酸剤として添加
され、また、一般に耐酸化性を高めるためにも有効な元
素である。しかもオーステナイト組織の合金ではSiの添
加は全面腐食を抑制する効果もある。しかしながら、Si
含有量が過多になると溶接した継手部の高温割れ感受性
が高くなるから、これを避けるためにその含有量を2%
以下とした。
【0021】Mn:Mnはオーステナイト形成元素であると
共に、脱酸剤としても利用できる。しかし、その含有量
が 2.5%を超えると耐酸化性および熱間加工性が共に劣
化するから、その含有量を 2.5%以下とした。
【0022】Cr:Crは高温強度および高温での耐酸化性
の改善に優れた効果を示す。しかし、その含有量が25%
未満では前記のような腐食環境下での高温腐食に対する
抵抗性が十分でない。一方、35%を超えて含有させて
も、耐食性向上の効果は増大せず、いたずらに材料価格
を上げるだけになるからその上限を35%とした。
【0023】Ni:Niはオーステナイト形成元素であり、
高温強度の確保や主として溶融塩化物系の腐食性燃焼ス
ラグによる全面腐食を抑制する重要な成分である。しか
し、Niは高価な元素であるから、材料コストと上記の効
果とのバランスを考慮して上限を55%とした。一方、Ni
含有量が25%より低くなると耐高温腐食性が急激に劣化
することから下限を25%とした。
【0024】Mo:Moは結晶粒界を強化し、粒界腐食に対
する抵抗性を高めるのに有効な成分である。Moは塩素イ
オンを含む水溶液中での耐食性、特に耐応力腐食割れ性
を改善する成分とされており、耐海水腐食材料でもある
前記の 825合金が3%のMoを含有するのもこの理由に基
づいている。ところが、前記のように我が国の都市ごみ
焼却ボイラの腐食環境のように、高濃度の溶融塩化物が
含まれる燃焼スラグが付着する環境では、従来の知見に
反してMoを多量に添加すると応力腐食割れ感受性が高く
なる。しかしながら、本発明者らの研究結果によれば、
Moの応力腐食割れ感受性に対する影響は合金鋼中のNi含
有量に強く依存しており、Moの含有量をNi含有量に応じ
て適切に調整すれば、応力腐食割れ感受性を低くするこ
とが可能である。一方、前記のようにMoは粒界腐食を抑
制する作用をもつ元素であり、その効果を得るには 0.3
%以上の含有量が必要である。上記のような、Moの作用
効果を勘案して定めたのが前記の式、 即ち、 0.3(%)≦ Mo(%)≦ 5.8(%) −{Ni(%)/10}・・・・・ である。Mo(%) が 5.8(%) −{Ni(%)/10 }以下であ
れば合金の応力腐食割れ感受性が高められることはな
い。
【0025】Nb、Ti、ZrおよびV:Nb、Ti、ZrおよびV
(これらを便宜的に第1群元素という)はいずれも炭化
物を形成しやすいので、合金鋼中のCを固定してCr炭化
物の析出を抑制し、高温強度の向上および粒界腐食に対
する抵抗性を高めるのに役立つ。オーステナイト組織の
合金の場合には、結晶粒界に析出するCr炭化物が管表面
に付着する腐食性の溶融塩化合物と反応して粒界腐食を
発生させる一因となるが、C、PおよびSiを低く抑えた
上でこれらの元素を添加すれば耐粒界腐食性は一段と向
上する。これらの元素の含有量が1種または2種以上の
合計で 0.1%未満の場合は添加の効果が現れず、3%を
超えて含有させても効果が飽和し、コストのみが上昇す
る。
【0026】本発明合金は、上記の成分の外に、次の元
素を必要に応じて含有することができる。
【0027】Cu、CoおよびW:Cu、CoおよびW(これら
を便宜的に第2群元素という)は、固溶強化により合金
の高温強度を向上させる作用があり、必要に応じて1種
または2種以上を添加することができる。1種または2
種以上の合計含有量が 0.1%未満の場合は添加の効果が
顕著でない。一方、5%を超える範囲ではコスト上昇に
見合う効果の増大は殆どない。
【0028】N(窒素):Nはオーステナイト組織の安
定化に寄与する。また、高温強度を高める作用も有する
ので、必要に応じて 0.1%以上含有させることができ
る。しかし、本発明合金の組成範囲では、通常の溶製法
で 0.3%を超える含有量にすることは困難である。
【0029】Al:Alは合金の脱酸をすみやかに進め、合
金の熱間加工性を向上させる目的で添加することができ
る。しかし、Alが過剰に残ってその含有量が 0.5%を超
えると高温で長時間使用した場合に金属間化合物Ni3Al
が析出しクリープ延性を劣化させるから、その含有量は
0.5%以下にとどめるのが望ましい。本発明の合金は、
例えば、電気炉で溶製し、VODまたはAODで精錬し
た後ビレットとし、このビレットを1100〜1200℃に加熱
して熱間押出法で製管して素管を得、この素管を加工度
20%前後で冷間抽伸して所定寸法の管とする。熱処理
は、細粒組織を得るために、従来一般に行われる1050〜
1200℃で加熱して急冷する溶体化処理に代えて、これよ
り低温域の 950以上で1050℃未満の温度に加熱した後に
急冷する溶体化処理を施す。
【0030】上記の製造方法に代えて、ビレットの加熱
温度を1200℃を超えて1300℃までの高温とし、炭化物を
完全に固溶させた後、熱間押出法で製管して素管を得、
この素管を30%前後の高加工度で加工して所定寸法の管
とし、その後の熱処理は1050〜1250℃での加熱の後に急
冷する溶体化処理としてもよい。この方法でも炭化物を
微細に析出させて細粒組織とすることができる。
【0031】熱処理の後、デスケールして最終的に製品
伝熱管とする。なお、他の材料製の管と本発明合金製の
管とを組み合わせて二重管(クラッド管)として利用す
ることもできる。
【0032】
【実施例】表1(1) 〜(5) に化学組成を示す符号 1〜40
の合金を真空溶解炉で17kgずつ溶製し、インゴットに鋳
造した後、1100℃の温度に加熱し、熱間鍛造および熱間
圧延して15mm厚のビレットにした。次いで、1100℃の温
度で軟化焼鈍した後、冷間圧延して10.5mm厚の板にし
た。その後、符号1〜9の合金については、それぞれ95
0 ℃、975 ℃および1200℃の各温度30分間加熱して水冷
する溶体化処理を施して結晶粒度を変化させた。表1の
符号の、およびはそれぞれ1200℃、975℃および
950℃で加熱し水冷した溶体化処理材である。符号10〜3
5の合金はすべて溶体化温度を 975℃に統一して熱処理
した。これらの熱処理後の結晶粒度を表1に併記した。
【0033】上記溶体化処理後のそれぞれの板の中央部
から2mm厚×10mm幅×10mm長さの腐食試験片と、図1に
示す寸法形状の応力割れ試験片を切り出し、後述の塩化
物を含む燃焼スラグ付着を模擬した高温腐食試験を行っ
た。併せて、表1(5) の符号36〜40に示す組成の合金の
前記と同じ寸法の試験片を市販ボイラ管の肉厚中央部か
ら切り出し、同じ試験に供した。なお、表1(5) 中の符
号36はASTMのB163に記載のあるNO8825合金、符号37はSU
S304、符号38は SUS316L、符号39はSUS 310S、符号40は
ASTMのB622に記載されているN08320鋼に、それぞれ相当
するものである。
【0034】高温腐食試験は、下記およびの2条件
で行った。
【0035】 ごみ焼却ボイラの腐食性環境を模擬し
た試験 モル%で、10%NaCl−10%KCl −15%FeCl2 −15%PbCl
2 −18.75 %Na2SO4−18.75 %K2SO4 −12.5%Fe2O3
合成灰を前記試験片の両面に30mg/cm2の割合で塗付し、
これを0.15%HCl −300ppmSO2 − 7.5%O2− 7.5%CO2
−20%H2O − bal.N2 のガス気流中において 550℃の温
度で20時間加熱。
【0036】ソーダ回収ボイラの腐食性環境を模擬し
た試験 モル%で20%NaCl−22.5%Na2SO4−22.5%K2SO4 −20%
Na2CO3−15%Fe2O3 の合成灰を前記試験片の両面に30mg
/cm2の割合で塗付し、これを0.25%SO2 − 1%O2−15%
CO2 −bal.N2のガス気流中において 600℃の温度で20時
間加熱。
【0037】耐食性は、試験後の試験片を脱スケールし
て重量測定を行い、試験前後の重量変化から腐食減量を
求めて評価した。
【0038】耐粒界腐食性は、脱スケールした腐食試験
片の表面部分を 100倍または 500倍の光学顕微鏡で断面
をミクロ観察して評価した。ごみ焼却ボイラの腐食環境
で問題になる応力腐食割れに対する感受性の試験は、図
2に示すように治具1で前記応力腐食割れ試験片2にそ
れぞれの合金の 0.2%耐力相当の応力を負荷し、この状
態で試験片2の表面に前記の高温腐食試験で用いたの
と同じ合成灰を塗布した後、同じガス気流中で 400℃の
温度に20時間保持する試験である。試験温度を 400℃と
したのはオーステナイト組織の合金の応力腐食割れ感受
性は 400℃付近で最も高くなるという本発明者の知見が
あったからである。応力腐食割れの有無は、半円ノッチ
部の断面ミクロ観察で調べた。
【0039】
【表1(1)】
【0040】
【表1(2)】
【0041】
【表1(3)】
【0042】
【表1(4)】
【0043】
【表1(5)】
【0044】表2 (1)〜(3) に、ごみ焼却ボイラの腐食
環境を模擬した前記の腐食試験結果を示す。符号1〜
9の合金ではそれぞれおよびが結晶粒の小さい本発
明合金である。また、符号10〜35の合金も全て本発明合
金である。
【0045】符号1〜9の〜の粒界最大浸食深さを
見ればわかるように、同じ化学組成の合金でも結晶粒度
によって粒界腐食の程度は大きく異なる。結晶粒の大き
さがASTM番号で7より大きい本発明の細粒合金の最大粒
界浸食深さは、いずれも 5μm 以下となっており、比較
合金 (符号36〜40) のそれに較べて著しく浅い。
【0046】本発明合金は、耐全面腐食性においても比
較合金のいずれにも勝り、応力腐食割れ感受性も低い。
【0047】以上の結果から、本発明合金はごみ焼却ボ
イラ用伝熱管の材料として極めて優れたものであると言
える。
【0048】表3 (1)〜(3) は前記のソーダ回収ボイ
ラの腐食環境を模擬した試験の結果である。この試験で
も、前述のの条件による試験と同様に、ASTM番号が7
より大きい細粒の本発明合金の耐粒界腐食性は著しく優
れ、最大粒界浸食深さは、いずれも 400倍の光学顕微鏡
では観測可能なぎりぎりのレベルである 2.5μm 以下と
なっている。また、耐全面腐食性でも比較合金をはるか
に凌ぐ。
【0049】
【表2(1)】
【0050】
【表2(2)】
【0051】
【表2(3)】
【0052】
【表3(1)】
【0053】
【表3(2)】
【0054】
【表3(3)】
【0055】
【発明の効果】実施例の試験結果からも明らかなよう
に、本発明合金はごみ焼却ボイラおよびソーダ回収ボイ
ラの伝熱管が曝されるきわめて特殊で苛酷な腐食環境中
でも優れた耐全面腐食性と耐応力腐食割れを有し、しか
も粒界腐食に対しても強い抵抗性を示す合金である。こ
の合金はオーステナイト組織であるため、高温強度は勿
論のこと、加工性および溶接性にも優れている。また、
Ni含有量は55%まででよいから、既存のNi基合金に比較
して安価でもある。
【0056】本発明合金からなる管を上記のボイラの高
温部位、例えば過熱器管等に使用することによって、廃
熱を充分に利用する高温高圧のボイラとすることが可能
となり、エネルギー回収効率を高め、従来以上に効率よ
く電力エネルギーとして取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】高温腐食試験で腐食減量の測定に用いた腐食試
験片の形状を示す平面図および側面図である。
【図2】応力腐食割れ試験で使用した治具と試験片の取
付け方法を示す側面図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C:0.05%以下、Si:2%以
    下、Mn: 2.5%以下、Cr:25〜35%、Ni:25〜55%およ
    び下記式を満足するMoを含有し、更にNb、Ti、Zrおよ
    びVのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で
    0.1〜3.0 %含有し、残部がFeおよび不可避不純物から
    なり、結晶粒度がASTM番号で7より細粒であるボイラ伝
    熱管用高耐食合金。 0.3(%)≦ Mo(%)≦ 5.8(%) −{Ni(%)/10}・・・・・
  2. 【請求項2】合金成分として更にCu、CoおよびWのうち
    から選ばれた1種または2種以上を合計で 0.1〜5.0 重
    量%含有する請求項1のボイラ伝熱管用高耐食合金。
  3. 【請求項3】合金成分として更にN: 0.1〜0.3 重量%
    を含有する請求項1または2のボイラ伝熱管用高耐食合
    金。
  4. 【請求項4】合金成分として更に 0.5重量%以下のAlを
    含有する請求項1、2または3のボイラ伝熱管用高耐食
    合金。
JP905292A 1991-03-13 1992-01-22 ボイラ伝熱管用高耐食合金 Pending JPH05195127A (ja)

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