JP2643709C - - Google Patents

Info

Publication number
JP2643709C
JP2643709C JP2643709C JP 2643709 C JP2643709 C JP 2643709C JP 2643709 C JP2643709 C JP 2643709C
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alloy
boiler
corrosion
less
incineration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
Other languages
English (en)
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Publication date

Links

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 この発明は、塩化物を含む腐食性燃焼スラグが付着するような高温環境で使用
されるボイラの伝熱管(ボイラチューブ)用の高耐食性合金に関する。詳しくは
、都市ごみ、産業廃棄物、下水処理汚泥等(以下、「ごみ」と総称する)を焼却
する施設において、エネルギー回収を目的として設置される廃熱ボイラ、製紙工
場において黒液を燃焼してソーダを回収するとともに廃熱を利用して発電を行う
ためのボイラ(ソーダ回収ボイラという)等の過熱器管、再熱器管、蒸発器管お
よび水壁管等のボイラ伝熱管用として、特に高温高圧下で利用されるオーステナ
イト組織の高Cr高Ni合金に関する。 【0002】 【従来の技術】 近年、未利用のエネルギーを積極的に利用する観点から、都市ごみの有するエ
ネルギーの有効利用が注目され、既に都市ごみを焼却したときに発生する廃熱を
利用して、地域暖房や焼却施設内の電力を賄うための発電が一部の施設で行われ
ている。また、製紙業界においては、パルプ製造工程で発生する黒液を燃焼させ
てソーダを回収し、併せて廃熱で発電を行う目的のボイラ(ソーダ回収ボイラと
いう)が利用されるようになってきた。 【0003】 上記の廃熱回収システムで廃熱を電気エネルギーに変えて最大限に利用するに
は、発電効率を上げなければならない。そのためには廃熱ボイラーの蒸気条件を
高温高圧化する必要がある。しかし、蒸気の高温化はボイラ管の管壁温度の高温
化をもたらし、管の腐食を激化させる。また、蒸気の高圧化のためにはボイラ管
材料が高温強度にも優れるものでなければならない。例えば、従来のごみ焼却廃
熱回収ボイラでは最も温度の高い過熱器管の管壁温度でも 200〜350 ℃であった
が、今後はごみ焼却廃熱回収ボイラでもソーダ回収ボイラでも、管壁温度が500
℃を超えるような操業条件が採用されることが予想される。 【0004】 都市ごみの中には多量のプラスチック分が混入しているから、その燃焼ガスに
は塩化水素が含まれている。また、燃焼残滓(スラグ)には塩化物が含有されて いる。従って、ごみ焼却廃熱回収ボイラ用伝熱管では、塩化水素ガスによる腐食
と、塩化物を含むスラグの付着による金属材料の腐食損傷が問題となる。この事
情はソーダ回収ボイラでも同じである。 【0005】 前記のような背景から、伝熱管材料として特に塩化物を含む苛酷な腐食環境に
耐える優れた耐食性と高い高温強度を兼備した材料が強く要求されるに到ってい
る。 【0006】 超高温高圧化プラントの高温部位、例えば過熱器管等に使用される材料として
は、高温強度に優れるオーステナイト組織を有する高耐食性の材料が望ましい。 【0007】 オーステナイト組織を有する都市ごみ焼却廃熱ボイラ管用材料は、外国、特に米
国において種々のものが知られている。例えば、Corrsion,March 9-13,1987 Pa
per No.402には、約42%のNiを含む 825合金(ASTM B163,B423に記載されている
NO8825合金)および約66%のNiを含む 625合金(ASTM B444 に記載されているNO
6625合金)を都市ごみ焼却廃熱ボイラ管用材料として適用した事例が報告されて
おり、Niを多量に含むこれらの高合金鋼は、米国のごみ焼却炉の腐食環境で腐食
減肉が少なく、耐食性に優れていると述べられている。 【0008】 しかし、本発明者らが我が国のごみ焼却廃熱ボイラおよびソーダ回収ボイラの
腐食環境のように、塩化物を含むスラグが付着する条件で試験した結果では、前
記825 合金等の従来のオーステナイト系合金には、全面腐食や応力腐食割れとと
もに結晶粒界が選択的に腐食される粒界腐食が発生する場合がある。 【0009】 本発明者らは、先に、NiとMoの含有量を調整して応力割れ感受性を低くした合
金(特願平3−188567号)、さらにAl添加により全面腐食に対する抵抗性を高め
た合金(特願平3−161357号)およびMnの多量積極添加により耐全面腐食性を高
めた合金(特願平3−310384号)を開発して特許出願した。しかしながら、前記
の粒界腐食を完全に防止するという点では、これらの発明の合金も未だ不十分で ある。ボイラ管は高温高圧下で使用される構造材料であるから、粒界腐食は状況
によっては管のクラックの起点となり、管の破壊につながるおそれがある。従っ
て、特に高温高圧用のボイラ管の材料としては粒界腐食に対する感受性はできる
だけ低いことが望ましい。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】 本発明の課題は、前記の先願発明の合金と同様に高温で優れた強度を示すオー
ステナイト組織を有し、しかも塩化物を含む燃焼スラグが付着するような過酷な
腐食環境において耐全面腐食性、耐応力腐食割れ性に優れ、さらに粒界腐食に対
しては前記先願発明の合金に優る十分な抵抗性を有するボイラ伝熱管用材料を提
供することにある。 【0011】 【課題を解決するための手段】 従来、オーステナイト系合金の粒界腐食は、合金の結晶粒界に析出するCr炭
化物が塩化物を含むスラグと反応する、析出したCr炭化物の周辺に生じるCr欠
乏層が選択的に腐食される、という二つの原因によるとされていた。ところが、
本発明者らが行った塩化物を含む腐食性燃焼スラグが付着する条件における試験
では、結晶粒界に実質上Cr炭化物が析出していない合金でも粒界腐食が発生した
。その原因を追求したところ、結晶粒界に偏析した不純物元素、特にPおよびSi
が塩化物を含む燃焼スラグに選択的に溶出することでも粒界が腐食することを突
きとめた。そして、後述するように、Cr、Ni、Moをはじめとする合金元素の含有
量を適正に選んだ上で、Cを0.05%以下とし、PとSiをそれぞれ 0.015%以下、
0.3 %以下とすることによって、上記のような環境下でも粒界腐食の発生をほぼ
完全に抑えることが可能であることを確認した。 【0012】 本発明は、下記の化学組成をもつごみ焼却用ボイラまたはソーダ回収用ボイラ
伝熱管用高耐食合金を要旨とする。 【0013】 (1) 重量%で、C:0.05%以下、Si: 0.3%以下、Mn: 7.5%以下、Cr:25〜35 %、Ni:25〜55%および下記式を満足するMoを含有し、残部がFeおよび不可避
不純物からなり、不純物中のPが 0.015%以下である化学組成。 【0014】 0.3(%)≦Mo(%)≦5.8(%)−{Ni(%)/10}・・・・・ (2) 上記(1)の組成に更に下記の第1群、第2群および第3群の1以上の群から
選んだ1種以上の合金成分を含む化学組成。 【0015】 第1群:それぞれ、又は2種以上の合計で 0.1〜3.0 重量%のNb、Ti、Zrお よびV。 【0016】 第2群:それぞれ、又は2種以上の合計で 0.1〜5.0 重量%のCu、Coおよび W。 【0017】 第3群:それぞれ、又は2種以上の合計で0.01〜0.1 重量%の希土類元素。 【0018】 (3) 合金成分として更に、0.1〜0.3 重量%のNを含有する上記(1)または(2)の
いずれかの化学組成。 【0019】 (4) 合金成分として更に、0.5重量%以下のAlを含有する上記(1)、(2)または(3)
のいずれかの化学組成。 【0020】 【作用】 本発明の合金は、上記各合金成分の適切な組合せの総合的な効果として、塩化
物を含む燃焼スラグが付着するような高温腐食環境で用いられる材料、例えば、
ごみ焼却ボイラやソーダ回収ボイラの伝熱管の材料にふさわしい優れた性質をも
つに到るのであるが、各合金成分の作用効果とその含有量の限定理由を個々に述
べれば次のとおりである。以下、合金成分の含有量についての%は全て重量%を
意味する。 【0021】 C: Cは合金中のCrと結合し、結晶粒界に塊状のCr炭化物として析出すると管の表
面に付着した塩化物を含む燃焼スラグと反応したり、結晶粒界近傍にCr欠乏層を
形成して合金の耐粒界腐食性を劣化させる。従って、Cの含有量はできるだけ低
くするのが望ましい。0.05%は許容上限値である。 【0022】 Si: Siは、通常、合金の脱酸剤として添加され、また、一般に耐酸化性を高めるた
めにも有効な元素である。オーステナイト組織の合金ではSiの多量添加は全面腐
食を抑制する効果もある。しかしながら、Siは結晶粒界に偏析して塩化物を含む
燃焼スラグと反応し、粒界腐食を招く原因にもなる。このようにSiは耐食性に対
して相反する二つの作用効果を有するが、本発明では耐全面腐食性は他の元素(C
r、Ni等)で補い、粒界腐食の防止を狙ってSiの含有量を低く抑えた。Si含有量が
0.3%以下であれば粒界腐食は実際上問題にならない程度に抑えられる。 【0023】 Mn: Mnはオーステナイト形成元素であると共に、脱酸剤としても利用できる。特に
500 ℃を超える高温域において塩化物を含む燃焼スラグが管の表面に付着するよ
うな腐食環境において、耐全面腐食性を高めるためにはMnを添加することが有効
である。しかし、Mnの含有量が 7.5%を超えると耐酸化性および熱間加工性が共
に劣化するから、その含有量を 7.5%以下とした。 【0024】 Cr: Crは高温強度および高温での耐酸化性の改善に優れた効果を示す。しかし、Si
を 0.3%以下に抑えた本発明合金においては、Crの含有量が25%未満では前記の
ような腐食環境下での高温腐食に対する抵抗性が十分でない。一方、35%を超え
て含有させても、耐食性向上の効果は増大せず、いたずらに材料価格を上げるだ
けになるからその上限を35%とした。 【0025】 Ni: Niはオーステナイト形成元素であり、高温強度の確保や主として溶融塩化物系
の腐食性燃焼スラグによる全面腐食を抑制する重要な成分である。しかし、Niは
高価な元素であるから、材料コストと上記の効果とのバランスを考慮して上限を
55%とした。一方、Ni含有量が25%より低くなると耐高温腐食性が急激に劣化す
ることから下限を25%とした。 【0026】 Mo: Moは結晶粒界を強化し、粒界腐食に対する抵抗性を高めるのに有効な成分であ
る。Moは塩素イオンを含む水溶液中での耐食性、特に耐応力腐食割れ性を改善す
る成分とされており、耐海水腐食材料でもある前記の 825合金が3%のMoを含有
するのもこの理由に基づいている。ところが、前記のように我が国の都市ごみ焼
却ボイラの腐食環境のように、高濃度の溶融塩化物が含まれる燃焼スラグが付着
する環境では、従来の知見に反してMoを多量に添加すると応力腐食割れ感受性が
高くなる。しかしながら、本発明者らの研究結果によれば、Moの応力腐食割れ感
受性に対する影響は合金鋼中のNi含有量に強く依存しており、Moの含有量をNi含
有量に応じて適切に調整すれば、応力腐食割れ感受性を低くすることが可能であ
る。一方、前記のようにMoは粒界腐食を抑制する作用をもつ元素であり、その効
果を得るには0.3%以上の含有量が必要である。 上記のような、Moの作用効果を勘案して定めたのが前記の式、 即ち、 0.3(%)≦ Mo(%)≦ 5.8(%)−{Ni(%)/10} ・・・・・ である。Mo(%)が 5.8(%)−{Ni(%)/10}以下であれば合金の応力腐食割れ感受性
が高められることはない。 【0027】 本発明合金は、上記の成分の外にさらに次の元素を必要に応じて添加すること
ができる。 【0028】 Nb、Ti、ZrおよびV(第1群元素): Nb、Ti、ZrおよびVはいずれも炭化物を形成しやすいので、合金鋼中のCを固 定してCr炭化物の析出を抑制し、高温強度の向上および粒界腐食に対する抵抗性
を高めるのに役立つ。オーステナイト組織の合金の場合には、結晶粒界に析出す
るCr炭化物が管表面に付着する腐食性の溶融塩化合物と反応して粒界腐食を発生
させる一因となるが、C、PおよびSiを低く抑えた上でこれらの元素を添加すれ
ば、耐粒界腐食性は一段と向上する。これらの元素の含有量が1種または2種以
上の合計で 0.1%未満の場合は添加の効果が現れず、3%を超えて含有させても
効果が飽和し、コストのみが上昇する。 【0029】 Cu、CoおよびW(第2群元素): これらの元素は、固溶強化により合金の高温強度を向上させる作用がある。第
1群元素と同じく必要に応じて1種または2種以上を添加することができるが、
1種または2種以上の合計含有量が 0.1%未満の場合は添加の効果が顕著でない
。一方、5%を超える範囲ではコスト上昇に見合う効果の増大は殆どない。 【0030】 希土類元素(第3群元素): Y、La、Ce等の希土類元素は、合金表面に生成する保護性の酸化物被膜(Cr2O3
)の密着性を向上させる作用をもつ。このような効果を期待する場合に、1種ま
たは2種以上を合計で0.01%以上含有させればよい。ただし、0.1 %を超えると
合金の熱間加工性を劣化させる。 【0031】 N(窒素): Nはオーステナイト組織の安定化に寄与する。また、高温強度を高める作用も
有するので、必要に応じて 0.1%以上含有させることができる。しかし、本発明
合金の組成範囲では、通常の溶製法で 0.3%を超える含有量にすることは困難で
ある。 【0032】 Al: Alは合金の脱酸をすみやかに進め、合金の熱間加工性を向上させる目的で添加
することができる。しかし、Alが過剰に残ってその含有量が 0.5%を超えると高 温で長時間使用した場合に金属間化合物Ni3Al が析出しクリープ延性を劣化させ
るから、その含有量は 0.5%以下にとどめるのが望ましい。 本発明の合金は、例えば、電気炉で溶製し、VODまたはAODで精錬した後
ビレットとし、このビレットを素材として熱間押出法で製管して素管を得、この
素管を冷間抽伸して所定寸法の管とする。熱処理は、1000〜1200℃に加熱した後
に急冷する溶体化処理が望ましい。その後、デスケールして最終的に製品伝熱管
とする。なお、他の材料製の管と本発明合金製の管とを組み合わせて二重管(ク
ラッド管)として利用することもできる。 【0033】 【実施例】 表1(1)〜(9)に化学組成を示す符号 1〜107 の合金を真空溶解炉で17kgずつ溶
製し、インゴットに鋳造した後、1100℃の温度に加熱し、熱間鍛造および熱間圧
延して15mm厚のビレットにした。次いで、1100℃の温度で軟化焼鈍した後、冷間
圧延して10.5mm厚の板にした。その後、1100℃の温度に加熱して水冷する溶体化
処理を施した。 【0034】 溶体化処理後のそれぞれの板の中央部から2mm厚×10mm幅×10mm長さの腐食試
験片と、図1に示す寸法形状の応力割れ試験片を切り出し、後述の塩化物を含む
燃焼スラグ付着を模擬した高温腐食試験を行った。 併せて、表1(9)の符号 108〜112 に示す組成の合金の前記と同じ寸法の試験片
を市販ボイラ管の肉厚中央部から切り出し、同じ試験に供した。なお、表1(9)
中の符号 108はASTMのB163に記載のあるNO8825合金、符号 109はSUS304、符号 1
10 はSUS 316L、符号111 はSUS 310S、符号112 はASTMのB622に記載されているN
O8320鋼に、それぞれ相当するものである。 【0035】 高温腐食試験は、下記およびの2条件で行った。 【0036】 ごみ焼却ボイラの腐食性環境を模擬した試験 モル%で、10%NaCl−10%KCl −15%FeCl2−15%PbCl2−18.75 %Na2SO4 −18.75 %K2SO4−12.5%Fe2O3の合成灰を前記試験片の両面に30mg/cm2の割合で
塗付し、これを0.15%HCl −300ppmSO2−7.5%O2−7.5%CO2−20%H2O− bal.N2
のガス気流中において 550℃の温度で20時間加熱。 【0037】 ソーダ回収ボイラの腐食性環境を模擬した試験 モル%で20%NaCl−22.5%Na2SO4−22.5%K2SO4−20%Na2CO3−15%Fe2O3の合
成灰を前記試験片の両面に30mg/cm2の割合で塗付し、これを0.25%SO2− 1%O2
−15%CO2−bal.N2のガス気流中において 600℃の温度で20時間加熱。 【0038】 耐食性は、試験後の試験片を脱スケールして重量測定を行い、試験前後の重量
変化から腐食減量を求めて評価した。 【0039】 耐粒界腐食性は、脱スケール後の腐食試験片の表面部分を 100倍または 500倍
の光学顕微鏡で断面をミクロ観察して評価した。 ごみ焼却ボイラの腐食環境で問題になる応力腐食割れに対する感受性の試験は
、図2に示すように治具1で前記応力腐食割れ試験片2にそれぞれの合金の 0.2
%耐力相当の応力を負荷し、この状態で試験片2の表面に前記の高温腐食試験
で用いたのと同じ合成灰を塗布した後、同じガス気流中で400℃の温度に20時間
保持する試験である。試験温度を 400℃としたのはオーステナイト組織の合金の
応力腐食割れ感受性は 400℃付近で最も高くなるという本発明者の知見があった
からである。応力腐食割れの有無は、半円ノッチ部の断面ミクロ観察で調べた。 【0040】 【表1(1)】 【0041】 【表1(2)】 【0042】 【表1(3)】 【0043】 【表1(4)】 【0044】 【表1(5)】 【0045】 【表1(6)】 【0046】 【表1(7)】 【0047】 【表1(8)】 【0048】 【表1(9)】 【0049】 表2(1)〜(7)に、ごみ焼却ボイラの腐食環境を模擬した前記の腐食試験結果
を示す。符号1〜4、9〜12および17〜20の合金はPの含有量を変化させたもの
、符号5〜8、13〜16および21〜24はSiを変化させたものである。表2(1)〜(7)
の結果に明らかなように、の腐食環境における粒界腐食の最大深さは合金中の
PとSiの含有量に大きく影響される。Pが0.015 %以下で、かつSiが0.3 %以下
の合金の最大粒界浸食深さは 5μm以下となっており、比較合金の約1/4 である
。 【0050】 符号31〜48、61〜75、80〜83、86、87、89、91、93、95、97、99、101 、103
および105〜107 の合金は、第1群の合金元素を適正量含有量するものである。 【0051】 これらの合金の耐粒界腐食性は一層改善されており、粒界腐食は 400倍の光学顕
微鏡でも全く観測できないレベルになっている。 【0052】 本発明合金は、耐全面腐食性においても既存の比較合金のいずれにも勝り、応
力腐食割れ感受性も低い。 【0053】 以上の結果から、本発明合金はごみ焼却ボイラ用伝熱管の材料として極めて優
れたものであると言える。 【0054】 表3(1)〜(7)は前記のソーダ回収ボイラの腐食環境を模擬した試験の結果で
ある。この試験でも、前述のの条件による試験と同様に、合金中のPおよびSi
の含有量が粒界腐食の最大深さに大きく影響しており、Pが 0.015%以下でSiが
0.3%以下である本発明合金は、いずれも最大粒界浸食深さが 2.5μm以下とな
っている。また、全面腐食の点でも既存の比較合金に勝っている。 【0055】 【表2(1)】 【0056】 【表2(2)】 【0057】 【表2(3)】 【0058】 【表2(4)】 【0059】 【表2(5)】 【0060】 【表2(6)】 【0061】 【表2(7)】 【0062】 【表3(1)】 【0063】 【表3(2)】 【0064】 【表3(3)】 【0065】 【表3(4)】 【0066】 【表3(5)】 【0067】 【表3(6)】 【0068】 【表3(7)】 【0069】 【発明の効果】 実施例の試験結果からも明らかなように、本発明合金はごみ焼却ボイラおよび
ソーダ回収ボイラの伝熱管が曝されるきわめて特殊で苛酷な腐食環境中でも優れ
た耐全面腐食性と耐応力腐食割れを有し、しかも粒界腐食に対しても強い抵抗性
を示す合金である。この合金はオーステナイト組織であるため、高温強度は勿論
のこと、加工性および溶接性にも優れている。また、Ni含有量は55%まででよい から、既存のNi基合金に比較して安価でもある。 【0070】 本発明合金からなる管を上記のボイラの高温部位、例えば過熱器管等に使用す
ることによって、廃熱を充分に利用する高温高圧のボイラとすることが可能とな
り、エネルギー回収効率を高め、従来以上に効率よく電力エネルギーとして取り
出すことができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】 高温腐食試験で腐食減量の測定に用いた腐食試験片の形状を示す平面図および
側面図である。 【図2】 応力腐食割れ試験で使用した治具と試験片の取付け方法を示す側面図である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 重量%で、C:0.05%以下、Si: 0.3%以下、Mn: 7.5%以下、Cr:25〜35%
    、Ni:25〜55%および下記式を満足するMoを含有し、残部がFeおよび不可避不
    純物からなり、不純物中のPが 0.015%以下であるごみ焼却用ボイラまたはソー
    ダ回収用ボイラ伝熱管用高耐食合金。 0.3(%)≦Mo(%)≦5.8(%)−{Ni(%)/10}・・・・・ 【請求項2】 合金成分として更にNb、Ti、ZrおよびVのうちから選ばれた1種または2種以
    上を合計で 0.1〜3.0 重量%含有する請求項1のごみ焼却用ボイラまたはソーダ
    回収用ボイラ伝熱管用高耐食合金。 【請求項3】 合金成分として更にCu、CoおよびWのうちから選ばれた1種または2種以上を
    合計で 0.1〜5.0 重量%含有する請求項1または2のごみ焼却用ボイラまたはソ
    ーダ回収用ボイラ伝熱管用高耐食合金。 【請求項4】 合金成分として更に希土類元素の1種または2種以上を合計で0.01〜0.1 重量
    %含有する請求項1、2または3のごみ焼却用ボイラまたはソーダ回収用ボイラ
    伝熱管用高耐食合金。 【請求項5】 合金成分として更にN: 0.1〜0.3 重量%を含有する請求項1、2、3または
    4のごみ焼却用ボイラまたはソーダ回収用ボイラ伝熱管用高耐食合金。 【請求項6】 合金成分として更に 0.5重量%以下のAlを含有する請求項1、2、3、4また
    は5のごみ焼却用ボイラまたはソーダ回収用ボイラ伝熱管用高耐食合金。

Family

ID=

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0834580B1 (en) Alloy having high corrosion resistance in environment of high corrosiveness, steel pipe of the same alloy and method of manufacturing the same steel pipe
JP3104622B2 (ja) 耐食性と加工性に優れたニッケル基合金
JP4656251B1 (ja) Ni基合金材
US5378427A (en) Corrosion-resistant alloy heat transfer tubes for heat-recovery boilers
CN102171373A (zh) Ni基耐热合金
JP3584636B2 (ja) 熱間加工性に優れた耐硫酸・塩酸露点腐食鋼
GB1565419A (en) Stainless steel welded articles
US4942922A (en) Welded corrosion-resistant ferritic stainless steel tubing having high resistance to hydrogen embrittlement and a cathodically protected heat exchanger containing the same
JP2002069591A (ja) 高耐食ステンレス鋼
WO1999009231A1 (fr) Acier inoxydable austenitique presentant une excellente resistance a la corrosion par l'acide sulfurique et une excellente aptitude au faconnage
JP3864437B2 (ja) 高Moニッケル基合金および合金管
JP2643709B2 (ja) ボイラ伝熱管用高耐食合金
EP1026273B1 (en) Martensite stainless steel of high corrosion resistance
JP2817456B2 (ja) ごみ焼却廃熱ボイラ管用高合金鋼
JPH06179952A (ja) ソーダ回収ボイラ伝熱管用オーステナイトステンレス鋼
JPH05195127A (ja) ボイラ伝熱管用高耐食合金
JPH0570895A (ja) ごみ焼却廃熱ボイラ伝熱管用高耐食合金鋼
JP2643709C (ja)
JP4290260B2 (ja) 廃棄物焼却プラントボイラ伝熱管用高耐食性オーステナイト系ステンレス鋼
JPS6363610B2 (ja)
JPH05148587A (ja) ごみ焼却ボイラ伝熱管用高耐食合金
JPS6363609B2 (ja)
JPH08120392A (ja) 高効率廃棄物発電ボイラ過熱器管用オーステナイト系耐食合金
JP2001152293A (ja) 高Crフェライト系耐熱鋼
JPH02213449A (ja) ごみ焼却廃熱ボイラ管用高耐食鋼