JPH0519322Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） この考案は、熱処理炉に関し、特に被処理物か
ら熱を回収して当該熱処理炉の熱効率を向上させ
ることができるようにした熱処理炉に関するもの
である。

（従来の技術） 従来、バーナー等の加熱装置を備えた熱処理炉
の熱効率を向上させるための省エネルギー対策と
しては、燃料と燃焼用空気との混合割合の制御
による炉内温度の最適化、排気ガスが含有する
熱の回収、炉壁の断熱性の向上等の対策が施さ
れていた。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、上記した〜の省エネルギー
対策では、熱処理炉からの無駄な放熱の防止であ
るため、熱処理炉が高効率になるほど総熱量に対
する被処理物の吸収熱量が高くなり、熱処理炉の
熱効率の向上には限界があるという問題点があつ
た。

また、被処理物は、例えば焼なまし等の場合に
は熱処理炉内または熱処理炉外で徐々に冷却して
おり、吸収熱量を多くさせた被処理物が冷却のた
めその熱量を無駄に捨てているという問題点があ
つた。

そこで本考案は、上述した従来の問題点に着目
してなされたもので、被処理物が吸収した熱量の
回収によつて熱処理炉の熱効率の向上を図る熱処
理炉を提供することを目的としている。

［考案の構成］ （問題点を解決するための手段） 上記の目的を達成するための本考案の構成は、
加熱装置を設けた燃焼室と、前記燃焼室にフアン
を介して連通する被処理物の加熱室と、前記加熱
室に連続する被処理物の熱の回収室と、前記回収
室と燃焼室を連通させる回収用流路と、前記加熱
室と回収室および回収用流路との間を開閉する仕
切板と、前記加熱室から燃焼室への流路を開閉し
且つ前記仕切板の開放に伴つて閉塞されるととも
に同仕切板の閉塞に伴つて開放されるダンパーを
備えた構成としており、上記構成を問題点を解決
するための手段としている。

（実施例） 以下、この考案を図面に基づいて説明する。

第１図〜第３図は、この考案の一実施例を示す
図であり、第１図は被処理物からの熱の回収状態
を示す図、第２図および第３図は被処理物の加熱
状態を示す図である。

すなわち、図中の符号１は熱処理炉である。こ
の熱処理炉１は、加熱装置であるバーナー１１を
設けた燃焼室１２と、前記燃焼室１２にフアン１
４を介して連通し且つ内部に加熱されるアルミニ
ウム押出形材等の被処理物を格納する加熱室２
と、前記加熱室２に連続し且つ加熱された被処理
物からその含有熱を回収する回収室３と、前記回
収室３と燃焼室１２を連通させる回収用流路１３
を備えている。前記燃焼室１２と加熱室２は上下
の位置関係にあり、前記回収用流路１３と回収室
３も上下の位置関係にある。前記加熱室２と回収
用流路１３および回収室３との間には、当該熱処
理炉１の使用状態によつて前記加熱室２と回収用
流路１３および回収室３とを連通または遮断する
仕切板である上下方向に開閉可能な仕切扉４と、
加熱室２から燃焼室１２への流路を開閉し且つ仕
切扉４の開閉操作に伴つてその逆に開閉操作され
る可動式のダンパー１０が設けてある。そして、
前記熱処理炉１は、当該熱処理炉１内に被処理物
を搬入する側（第１図中左側）に上下方向に開閉
可能な入口扉５と、フアン１４からの風を加熱室
２に導く風向案内板１５を設け、当該熱処理炉１
外に被処理物を搬出する側（第１図中右側）に上
下方向に開閉可能な出口扉６を設けており、被処
理物の搬入・搬出はラツク７ａに載せ、このラツ
ク７ａを数個まとめて台車７ｂに載せて、前記加
熱室２および回収室３の底部に設けた搬送ローラ
８上を滑らせて出入する。

次に、被処理物からそお含有熱を回収するに
は、まず、第２図および第３図に示す加熱状態に
ある熱処理炉１を、第１図に示すように出口扉６
を下降させ且つ仕切扉４を上昇させて加熱室２と
回収室３とを連通し、ダンパー１０を左方向に倒
すことによつて、加熱室２の上部に設けた燃焼室
１２と、回収室１３の上部に設けた回収用流路１
３とを連通させて、被処理物を加熱室２から回収
室３へ移し、加熱室２に新たに熱処理を行う被処
理物を搬入する。次いで、熱処理炉１の上部に設
けたフアン１４により発生させた風を、入口扉５
の内側に設けた風向案内板１５によつて第１図に
示す矢印方向に導き、熱処理炉１内を循環させ
る。このとき、バーナー１１は点火しておらず、
フアン１４により発生した風は、加熱によつて吸
収された被処理物の含有熱を奪い、熱処理を行う
前の被処理物に前記含有熱を吸収させる。

つまり、冷却によつて捨てられていた被処理物
およびラツク７ａ，、台車７ｂの含有熱を、熱処
理を行う前の被処理物およびラツク７ａ、台車７
ｂの予熱に利用して回収している。

また、予熱された被処理物は規定の熱処理温度
に達しておらず、不足した熱量を補給させる必要
がある。この不足した熱量を補給させるには、第
２図および第３図に示すように、まず、ダンパー
１０を右方向に起して加熱室２と燃焼室１２とを
連通させ、仕切扉４を下降させて燃焼室１２およ
び加熱室２と回収用流路１３および回収室３とを
遮断する。次いで、バーナー１１を点火し、第３
図に示すように燃焼室１２でバーナー１１と排気
管１６を伝う熱とで加熱された空気を、フアン１
４によつて第２図に示す矢印方向に循環させて前
記予熱された被処理物を加熱し、被処理物に吸収
された熱量を前記燃焼室１２で補給し、順次被処
理物を加熱して熱処理を行う。このとき、含有熱
を回収された被処理物は、冷却されて出口扉６よ
り次工程へ送られる。。このことによつて加熱室
２の被処理物は、予熱されているため、バーナー
１１による僅かな加熱によつて熱処理を行うこと
ができる。

したがつて、この熱処理炉１は、上記の工程を
繰返し行うため、少ない熱量で熱処理を行うこと
ができるので、結果として熱処理炉１の熱効率を
向上させることができる。

なお、この熱処理炉１は加熱した被処理物から
その含有熱を当該熱処理炉１内を循環する風で回
収するため、例えばアルミ等のような熱伝導性の
高い金属で、しかも熱処理温度が高く且つ表面積
の大きな被処理物ほど熱効率を向上させることが
できる。

［考案の効果］ 以上説明してきたようにこの考案の熱処理炉に
よれば、被処理物の冷却によつて無駄に捨てられ
ていた熱を回収して、燃焼室の予熱および加熱室
内に被処理物の予熱をすることができるうえに、
熱処理の際には燃焼室と加熱室の間で熱を良好に
循環させることができ、従来の熱処理炉に比べて
熱効率を飛躍的に向上させることができるという
優れた効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例による熱処理炉に
おける熱の回収状態を示す断面説明図、第２図は
熱処理炉の加熱状態を示す断面説明図、第３図は
第２図の縦断説明図である。 １……熱処理炉、２……加熱室、３……回収
室、４……仕切扉（仕切板）、１０……ダンパー、
１１……バーナー（加熱装置）、１２……燃焼室、
１３……回収用流路、１４……フアン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 加熱装置を設けた燃焼室と、前記燃焼室にフア
   ンを介して連通する被処理物の加熱室と、前記加
   熱室に連続する被処理物の熱の回収室と、前記回
   収室と燃焼室を連通させる回収用流路と、前記加
   熱室と回収室および回収用流路との間を開閉する
   仕切板と、前記加熱室から燃焼室への流路を開閉
   し且つ前記仕切板の開放に伴つて閉塞されるとと
   もに同仕切板の閉塞に伴つて開放されるダンパー
   を備えたことを特徴とする熱処理炉。