JPH05176716A - 低カロリー増量剤 - Google Patents

低カロリー増量剤

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JPH05176716A
JPH05176716A JP3332429A JP33242991A JPH05176716A JP H05176716 A JPH05176716 A JP H05176716A JP 3332429 A JP3332429 A JP 3332429A JP 33242991 A JP33242991 A JP 33242991A JP H05176716 A JPH05176716 A JP H05176716A
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JP
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glucose
calorie
solution
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molecular weight
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JP3332429A
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English (en)
Inventor
Kazuhiro Okuma
一裕 大隈
Takao Hanno
敬夫 半野
Kazuyuki Inada
和之 稲田
Isao Matsuda
功 松田
Yasuo Katsuta
康夫 勝田
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Matsutani Chemical Industries Co Ltd
Original Assignee
Matsutani Chemical Industries Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】低カロリー増量剤を開発すること。 【構成】馬鈴薯澱粉に塩酸を添加して加熱して先ず焙焼
デキストリンとなし、これを次いでα−アミラーゼとグ
ルコアミラーゼで加水分解することにより得られ、且つ
特定の関係式を満足すること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は馬鈴薯澱粉を加酸熱処理
後にα−アミラーゼ及びグルコアミラーゼで加水分解し
て得られる低カロリー増量剤に関する。
【0002】
【従来の技術】焙焼デキストリンは数%の水を含む澱粉
を酸の存在下または、非存在下に加熱して得られるもの
である。その加熱条件は酸を添加しないで焙焼して得ら
れるブリティシュ・ガムでは、135〜218℃で10
〜20時間加熱処理するものである。白色デキストリン
は、酸を添加して79〜121℃で3〜8時間加熱処理
して得られるものである。また黄色デキストリンは同様
に酸を添加して150〜220℃で6〜18時間加熱し
て得られるものである。
【0003】その構造としては澱粉の構成成分であるグ
ルコースが、1→4、1→6グリコシド結合したものを
主体として、微量の1→3、1→2グリコシド結合も存
在していることが知られている。
【0004】これらのグリコシド結合の構成比率はJ.D.
Geerdes et al, J.Am.Chem.soc.,Vol.79,P.4209(1957)
とG.M.Christensen et al,J.Am.Chem.Soc.,Vol.79,P.44
92(1957)と、下記の文献に記載されているのみである
が、市販のコーンスターチの塩酸添加焙焼デキストリン
において、メチル化分析により1→4グリコシド結合区
分(2,3,6-Tri-O-Methyl-D-glucose)は57.3%以上
であり、1→6グリコシド結合区分(2,3,4-Tri-O-Meth
yl-D-glucose)は2.6%であり、1→3グリコシド結
合区分(2,4,6-Tri-O-Methyl-D-glucose)は1.2%以
下であり、1→4及び1→6の両結合を有する区分(2,
3-Di-O-Methyl-D-glucose)は6.3%であり、これら
以外のグリコシド結合を有する区分は約20%である。
【0005】またR.L.Whistler & E.F.Paschall,Starch
Chemistry & Technology,Vol.1,p430(1965)にコーンス
ターチの構成成分であるアミロペクチンと、アミロース
を分画して取り出してから、両成分をそれぞれ加酸熱処
理して得たアミロペクチン熱処理物と、アミロース熱処
理物についての結合型の分析値が引用して記載されてい
る。この数値は澱粉を糊化してから2成分を分離して熱
処理したものの数値であり、熱処理時の粉末の形態が天
然の澱粉とは異なっているために直接の比較はできない
が、通常のコーンスターチの両成分の構成比が約8:2
であるところから、この数値をコーンスターチに換算す
ると、1→4グリコシド結合区分(2,3,6-Tri-O-Methl-
D-glucose)は67%、1→3グリコシド結合区分(2,
4,6-Tri-O-Methyl-D-glucose)は2.7%、1→4及び
1→6の両グリコシド結合を有する区分(2,3-Di-O-Met
hyl-D-glucose)は7.8%に相当する。
【0006】しかし馬鈴薯澱粉び焙焼デキストリンにつ
いては、グリコシド結合が記載された文献は全くない。
【0007】焙焼デキストリンの製造法の従来技術とし
てはTomasik,P. & Wiejak,S.,Advance in Carbohydrate
Chemistry,Vol.47,279-343,(1990)に焙焼デキストリン
の最新の総説が記載されている。
【0008】しかし市販のいずれの焙焼デキストリンを
分析してもカロリー値は3.3キロカロリー/g以上で
あり、これ以上の含量を得るために加熱条件を変更する
と、2.6キロカロリー/g程度まで減少することはで
きるが、着色物質が増加して刺激臭も発生するために精
製することが必要になり、またその精製が甚だしく困難
なために実用には供し得ない。従って本発明が目的とす
るグルコース以外の区分が2キロカロリー/g以下の低
カロリーのものを得ることは不可能である。
【0009】焙焼デキストリンの酵素加水分解について
は、B.Brimhall,Ind,Eng.Chem.,36,72(1944年)に酸を
添加しないで焙焼した所謂ブリティッシュ・ガムを、α
−アミラーゼで加水分解した場合に、分解限界がマルト
ースとして3.5%、即ちDEに換算すると約7.4で
あることが記載されているのみであり、グルコアミラー
ゼによる加水分解の記載はない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】近年日本においては、
経済環境の成熟に伴う食品の加工技術や流通技術の向上
により加工食品、調理済食品、ファーストフードなどの
利用が拡大している。それに伴い食物を摂取する情報も
多様化し、栄養素充足型の食生活から食習慣に起因する
栄養障害や成人病予防を目的とする健康志向型の食品へ
と消費者ニーズが変化しつつある。その中でも特に低カ
ロリー食品へのニーズは、中高年者や若い女性の間で強
く、低カロリー甘味料や高甘味剤用の増量剤(バルキン
グ剤)の開発がなされている。この中で低カロリー甘味
料として各種の難消化性のオリゴ糖や糖アルコールなど
が挙げられるが、甘味質や甘味度、オリゴ糖含量、発生
する下痢など多くの問題を含んでいる。
【0011】また、アスパルテームなどの高甘味料の増
量剤としては、ポリデキストロースが挙げられるに過ぎ
ないが、このポリデキストロースも摂取量に制限がある
ことや、酸性下での苦みと吸湿性などの問題も指摘され
ている。この様な状況の中、食品としての物性を充足
し、しかも安全な甘味剤などに用いることができる低カ
ロリー増量剤の出現が切望されている。
【0012】一方、澱粉を例にとれば、澱粉や澱粉の加
工品であるα−澱粉、焙焼デキストリン、誘導体、ぶど
う糖、粉あめやマルトデキストリンなどが、食品素材と
して各種の加工食品に大量に使用されている。しかし、
これら澱粉加工品の大部分はカロリー値が3.9キロカ
ロリー/g以上であり、低カロリーの食品用の素材とし
ては、澱粉系のなかではわずかに焙焼デキストリンが知
られているのみである。
【0013】従って本発明が解決しようとする課題は、
カロリー値が約3.1キロカロリー/g以下、好ましく
はグルコース以外の成分のカロリー値が2キロカロリー
/g以下で、着色物質や、刺激臭が少ない新規な低カロ
リー増量剤を得ることである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来から
焙焼デキストリンの製造法や、加水分解法、焙焼デキス
トリンを原料とする難消化デキストリンの製造法などの
研究を続けてきた。その成果に基づき「難消化デキスト
リンの製造法」などを出願し、続いてこの焙焼デキスト
リンについてその生理作用を研究し、整腸作用、高コレ
ステロール血症の改善作用、インシュリンの節約、高血
圧降下作用、低カロリー性などの食物繊維と同様の効果
を有することを発見して食品組成物として出願してき
た。
【0015】さらにこの焙焼デキストリンの構造とカロ
リー値との相関関係について、研究の結果、焙焼デキス
トリンのカロリー値は、焙焼デキストリン中のグリコシ
ド結合の内、1→4グリコシド結合の量との間に比例的
な関係があることを見いだし、更に詳細な研究を行うに
至った。
【0016】多種多様の焙焼デキストリンについて研究
の結果、カロリー値は1→4グリコシド結合等のグリコ
シド結合の量や平均分子量と密接な関係があり、統計的
な数値解析により相関度が高い関係式が得られた。しか
し従来技術によって得られる市販の焙焼デキストリンで
は、カロリー値が3.3〜3.9キロカロリー/gと極
めて高く、高温長時間の反応を行うことによりカロリー
低下を図っても、着色物質や刺激臭が発生して、実用化
することは到底不可能である。
【0017】そこで更にカロリー値を低下させる研究を
継続した結果、 1)焙焼デキストリンをα−アミラーゼおよびグルコア
ミラーゼで加水分解した場合に生成したグルコースなど
の単糖類(グルコースが主成分であるので、本発明では
以後グルコースと記載する)の大部分は、イオン交換樹
脂クロマトグラフィ−で分離除去できること、
【0018】2)高カロリーのグルコースの1/2以上
を分離除去して得た低カロリー区分は2キロカロリー/
g以下であること、
【0019】3)さらにグルコースの大部分を分離除去
した場合の低カロリー区分は3.11キロカロリー/g
以下であること、
【0020】4)即ち焙焼デキストリンの構成成分の内
で、低カロリーの区分はα−アミラーゼや、グルコアミ
ラーゼで殆ど加水分解されないこと、などの新知見を得
て本発明を完成するに至った。
【0021】従ってこの課題は本発明の原料である焙焼
デキストリンの具備すべき構造上の条件を決定すること
と、焙焼デキストリンをα−アミラーゼおよびグルコア
ミラーゼで加水分解後イオン交換樹脂クロマトグラフィ
ー法によって高カロリーの区分を分離除去することによ
り、低カロリー増量剤を得ることで解決される。
【0022】
【発明の構成並びに作用】本明細書に於いては、試料
(特に本発明で使用するデキストリン)の各分析データ
ーは固形分換算した値である。本発明の低カロリー増量
剤の原料として使用される澱粉はコーンスターチであ
り、触媒として酸を添加することが必須であり、酸とし
ても各種のものがあるが、食品用であることからして塩
酸を使用するのが特に好ましい。このようにして得られ
る製品としては、そのカロリー値は食品用増量剤として
の必要性から低いほど好ましいが、約3.1キロカロリ
ー/g以下、より好ましくはグルコース以外の区分のカ
ロリーが2キロカロリー/g以下のものに限定される。
【0023】尚、焙焼デキストリンの中で従来から食品
用や医薬用に多用されている白色デキストリンでは、カ
ロリー値が3.9キロカロリー/g程度であるため低カ
ロリーの増量剤としての目的に使用することができな
い。またカロリー値が約3キロカロリー/g以下になる
と、刺激性の味が発現するので使用できない。
【0024】本発明の原料である焙焼デキストリンは、
塩酸の添加量は1%前後の濃度の水溶液を澱粉に対して
数%程度(3〜10%)である。加熱処理の前に酸水溶
液を添加するので、澱粉と酸を均一に混合するために、
ミキサー中で攪拌、熟成させてから従来の加酸焙焼デキ
ストリン(白色デキストリン、黄色デキストリン)の加
熱条件とは異なり、150〜200℃で10分〜120
分、好ましくは15分〜60分の加熱処理をして得るも
のである。反応時の温度は高い方が目的生成物中のカロ
リー値が低下するが、180℃付近から着色物質が増加
するので、より好ましくは150℃〜180℃である。
【0025】加熱装置を選択することによって高温短時
間の反応を行うことも可能であるので、均一な反応を行
うことができる装置を用いれば効率的に加熱処理するこ
とができる。また、粉末状態での反応であるから大規模
生産の場合は、加熱条件を変更する必要もあるので、加
熱処理後の製品の品質を検討した上で、適宜加熱条件を
変更することが望ましい。
【0026】次いで焙焼デキストリンを水に溶解して2
0〜45%の濃度にして、α−アミラーゼに続いてグル
コアミラーゼで加水分解する。α−アミラーゼとしては
市販品が使用できるが、ターマミル(Novo社製、Bacill
us licheniformisが産生する耐熱性α−アミラーゼ)が
最も好ましい。
【0027】焙焼デキストリンの溶液は焙焼時に添加し
た酸のために酸性になっているので、使用するアミラー
ゼの至適pHに調整する必要がある。一般のアルカリが
いずれも使用可能であるが、水酸化ナトリウムが溶液で
市販されていることから最も効果的に使用できる。pH
は5.5〜6.5が好ましく、この範囲より低い場合は
反応速度が低下し、高い場合は着色が顕著になる。pH
調整後にα−アミラーゼを添加するが、添加量は通常は
0.05〜0.2%程度である。
【0028】反応温度はマルトデキストリンの製造のよ
うに特に高温度である必要はなく、むしろ高温では着色
が促進されるので、80〜90℃が好ましい。反応時間
は通常1時間程度で十分である。
【0029】次にグルコアミラーゼで加水分解するが、
このグルコアミラーゼは市販品の何れもが効果的に使用
できる。また、一般のグルコアミラーゼには若干のα−
アミラーゼが混在しているのが通常であり、このためグ
ルコアミラーゼの単独使用でもα−アミラーゼとグルコ
アミラーゼの併用作用を発揮できるが、この混在量が少
ない場合には本発明の効果に比して若干低下する場合が
あり、最も好ましいのはα−アミラーゼとグルコアミラ
ーゼの併用である。グルコアミラーゼ作用時のpHは
4.0〜6.0が好ましい。グルコアミラーゼの添加量
も同様に0.05〜0.2%程度である。反応温度は5
5〜60℃程度であり、分解時間は通常24〜48時間
程度である。
【0030】尚アミラーゼの添加量は両アミラーゼとも
に前記の範囲に限定されるものではなく、アミラーゼの
力価に応じて同等の量を添加すればよい。また添加量を
増減することによって反応時間を自由に調整することも
できる。またα−アミラーゼで加水分解した後に加水分
解液を115〜135℃で加圧蒸煮処理をした後に再度
α−アミラーゼを作用させてから、グルコアミラーゼを
作用させることによって、精製時の濾過速度を高めるこ
ともできる。
【0031】グルコアミラーゼを作用させた後に、pH
を3.5前後に低下させ、次に液温を80℃前後まで上
昇し、以後は通常の活性炭脱色、瀘過、イオン交換樹脂
による脱塩、脱色を行う。次に50%程度の濃度まで濃
縮してから、連続イオン交換樹脂クロマトグラフィーに
よって、生成したグルコースを分離除去する。この場合
に市販の強酸性陽イオン交換樹脂が広く使用できる。
【0032】その好ましい具体例としては、アンバーラ
イトIR−116、同IR−118、同IR120−
B、同XT−1022E、同XT−471F(以上商品
名、オルガノ社製)、ダイヤイオン2K−1B、同SK
K−102、同SK−104、同SK−106、同SK
−110、同SK−112、同SK−116、同FR−
01(以上商品名、三菱化成社製)、XFS−4328
1.00、同43280.00、同43279.00、
同43278.00(以上商品名、ダウケミカル日本社
製)を例示することができる。
【0033】そしてこれらの樹脂は通常使用前にアルカ
リ金属型又はアルカリ土類金属型として用いることが好
ましい。低カロリー区分とグルコース区分の分離を良く
するために、使用樹脂に応じてカラム通液時の流速を調
整することが好ましいが、流速はSV=0.1〜0.
6、好ましくはSV=0.2〜0.4である。この流速
範囲外では作業性や分離が悪くなる傾向がある。通液の
時の温度は20〜70℃、好ましくは50〜70℃であ
る。これより温度が低いと分離が悪くなり、液の粘度が
上がって樹脂に障害を与えることがある。また、これよ
り高温になると液が褐変したり、その他の品質が悪くな
ることがある。
【0034】この分離処理によってグルコースの含量を
0.5%程度まで低下することができるが、分離の条件
を変更することによってグルコースの含量は任意に調整
できる。従ってグルコースを甘味源などに利用したい場
合は、グルコースの含量を高めた製品を得ることも可能
である。例えばグルコアミラーゼ処理後のグルコース含
量が50%の場合に、その1/2の25%を分離するこ
とによって全体のグルコース含量が約33%の製品を得
ることができる。次に本発明の特徴をより明瞭にするた
めに実験データについて詳記する。
【0035】
【実験例】
1.カロリー値の測定方法 測定方法は下記の「水溶性の低カロリー糖質を使用した
厚生省告示による特定保健用食品の生理的燃焼熱の測
定」によって測定した。
【0036】1−1.試薬その他 (1)ソモギ銅試薬 酒石酸カリウム・ナトリウム90g、リン酸三ナトリウ
ム(Na3PO4・12H2O)225gを蒸留水700
mlに溶解し、これに硫酸銅(CuSO4・5H 2O)3
0g、ヨウ素酸カリウム(KIO3)3.5gを順次加
え溶解し、これを蒸留水で全量1000mlとする。
【0037】(2)ローリー試薬 A液:1%硫酸銅(CuSO4・5H2O)と2.2%酒
石酸カリウム・ナトリウムを1:1に混合した物。 B液:フェノール試薬1に対して蒸留水0.8の割合で
混合した物。
【0038】(3)糖アルコール測定キット F−キット:ベーリンガーマンハイム山之内製薬(株)
製F−キットD−ソルビトール/キシリトール
【0039】(4)ジャスターゼ溶液 2%ジャスターゼ(日本薬局方)溶液
【0040】(5)ヒドロキシルアミンピリジン溶液 ヒドロキシルアミン100mgをピリジン10mlに溶
解したもの。
【0041】(6)ガスクロマトグラフィーの条件 FIDガスクロマトグラフ、5%SE30・クロモソル
ブW、内径3〜4mm、長さ2mのガラスカラムあるい
はステンレスカラム、カラム温度185℃、キャリアー
ガス80ml/min。
【0042】1−2.総水溶性還元糖の測定 (1)試験溶液の調製 試料が少糖類のみを含む場合は、水又は80%エタノー
ルを用いて、また澱粉などの多糖類を含む場合は80%
エタノールで、少糖類を完全に抽出する。抽出液を減圧
下(60℃以下)で濃縮し、残渣を少量の50mMマレ
イン酸−Na緩衝液(pH6.0)に完全に溶かし、グ
ルコース約500mg%となるように調製する。
【0043】(2)操作 試験溶液1に対して、1N−塩酸2の割合で加え100
℃、20時間沸騰湯浴中で加熱する。冷却後1N−水酸
化ナトリウムで中和し(ブロムチモールブルー試験
紙)、得られた溶液について還元糖をソモギ法で、5、
6炭糖アルコールをガスクロマトグラフィーまたはF−
キットにより測定する。得られた糖質の和を総水溶性糖
類量(A)とする。
【0044】(3)ソモギ法 試験溶液7.5ml(還元糖として1〜10mg)にソ
モギ液2.5mlを加えて100℃、10分間加熱、冷
却後2.5%ヨウ化カリウム(KI)溶液2ml、2N
−硫酸3mlを加えてよく混合する。これを1/40N
−チオ硫酸ナトリウム(Na2SO3・5H2O)で滴定
する。標準糖類としてグルコースを用いる。得られた滴
定値から試験溶液の糖量を得る。
【0045】(4)糖アルコールの測定 ソルビトール、キシリトール量は、総水溶性糖量測定の
ために加水分解した試験溶液を適当に希釈し、F−キッ
トを用いて測定する。
【0046】ソルビトール、キシリトール以外の5、6
炭糖アルコールが含まれている場合は、ガスクロマトグ
ラフィー法により行う。総水溶性糖量測定のために加水
分解した試験溶液を減圧下、60℃以下で濃縮し、最終
濃度が80%以上となるようにエタノールを加え沸騰湯
浴中で30分間加熱抽出する。得られた抽出液を減圧
下、60℃以下で濃縮する。これに80%エタノールを
加えて一定量とする。この溶液5mlをとり、減圧下で
完全に溶媒を除去する。残留物をピリジン1mlに溶解
し、ヒドロキシルアミンピリジン溶液1mlを加え、5
分間放置後、溶媒を減圧下で除去する。残留物にベンゼ
ン1mlを加え、さらに減圧下で水分を完全に除去した
のち、ピリジン2mlを加えて残留物を溶解する。溶解
後ヘキサメチルジシラン0.2ml及びトリメチルシラ
ン0.1mlを加え、よくふり混ぜたのち、室温で15
分以上放置後ピリジンで一定量にし、ガスクロマトグラ
フィー法により絶対検量線法にて定量する。
【0047】1−3.不溶性澱粉の測定 (1)澱粉を含んだ試料については、乾物として2.5
〜3.0mgに相当する試料を用いて総水溶性糖類の抽
出と同じ方法により得た80%エタノール抽出残渣を2
00mlの水に分散し、これを沸騰湯浴中に浸し絶えず
かき混ぜながら15分間加熱する。ついで55℃に冷却
しジャスターゼ溶液10mlを加え55℃、1時間放置
する。次に数分間沸騰させたのち、再び55℃に冷却
し、ジャスターゼ溶液10mlを加え、よくかき混ぜ1
時間放置する。この時反応液中の残留物がヨウ素澱粉反
応陽性を示す時はジャスターゼ溶液をもう一度加え、消
化を行う。ヨウ素澱粉反応が陰性となったジャスターゼ
処理溶液に蒸留水を加えて250mlとし、ろ紙でろ過
する。ろ液に2.5%となるように塩酸を加え、沸騰湯
浴中で2.5時間加熱する。冷却後10%水酸化ナトリ
ウム溶液で中和し、ろ液を適当に希釈してソモギ法によ
りグルコースを測定し、得られたグルコース量に0.9
を乗じて澱粉量とする。(A’)
【0048】1−4.小腸における消化吸収糖の測定 (1)酵素消化糖類の測定 1)市販ラット小腸アセトン粉末溶液の調製 Sigma社製ラット小腸アセトン粉末に生理食塩水
(0.9%NaCl)を加えて懸濁液(100mg/m
l)とし、超音波処理(60秒、3回)後、遠心分離
(3000rpm、30分)し、上清を酵素液とする。
この酵素液の蛋白質量はローリー法により測定する。力
価がスクロース水解能で約0.1mg/mg蛋白質/時
間以上となるよう調製する。
【0049】2)ラット小腸アセトン粉末による消化試験 試料として総水溶性糖類量の測定のため調製した80%
エタノール、あるいは水の抽出液を濃縮後、50mMマ
レイン酸−Na緩衝液(pH6.0)で希釈し、糖濃度
を1〜4%になるように調製する。この溶液1.0ml
と酵素溶液1.0mlを混合し、37℃1時間反応させ
る。反応後沸騰湯浴中で10分間加熱失活させ、遠心分
離後(3000rpm、30分)上清について、ソモギ
法で還元糖量を、F−キットあるいはガスクロマトグラ
フィーで糖アルコール量をそれぞれ測定し、この和を酵
素消化吸収性糖量とする。この時、試料にはじめから単
糖として存在した還元糖並びに糖アルコールも含めて測
定する。分解率は消化吸収性糖量を総水溶性糖量で除し
たものとする。対照試験として総水溶性糖量と同量のス
クロースあるいはマルトースについて同様の操作をす
る。対照試験でスクロースを用いた時の分解率は20%
以上とする。ここで得られたスクロースあるいはマルト
ースに対する分解率と被検糖で得られた分解率の比を小
腸消化吸収率とし、これに総水溶性還元糖量を乗じたも
のを総消化吸収性還元糖量(B)とし、総糖アルコール
を乗じて得た値を総消化吸収性糖アルコール量(C)と
する。
【0050】対照糖としてスクロースあるいはマルトー
スのいずれを用いるかの選択は以下の方法により行う。
ラット小腸アセトン粉末による消化試験と同じ条件で被
検糖の1/2量のマルトースを基質として消化試験を行
い、消化されて生成したグルコースが被検糖の消化試験
で生成した糖、糖アルコールの和の10倍以下の場合に
は対照糖としてマルトースを用いる。10倍より大きい
場合はスクロースを用いる。
【0051】3)蛋白質の定量 試料0.1ml(蛋白質として20〜100μg含有)
に1N−水酸化ナトリウム0.3mlを加え、15分以
上放置する。これにA液3.0mlを加え10分間室温
で放置する。次にB液0.3mlを加え、30分後75
0nmの吸光度を測定する。標準蛋白質として牛血清ア
ルブミンを用いる。
【0052】5.生理的燃焼熱の算出式 生理的燃焼熱は、消化・吸収並びに発酵・吸収による有
効エネルギー量の和となる。従って生理的燃焼熱は、次
の式で求めることができる。 生理的燃焼熱(kcal/g)=(澱粉A’)×4+
(総消化吸収性還元糖量(B))×4+(総消化吸収性
糖アルコール量(C))×2.8+((総水溶性糖類
A)−(総消化吸収性還元糖量(B)+総消化吸収性糖
アルコール量(C))×0.5×1.9
【0053】2.グリコシド結合形式の定量方法 測定方法は下記の「箱守のメチル化法」(S.Hakomori,
J.Biochem.,55,205(1964))でメチル化し、加水分解後
にガスクロマトグラフィにより各グリコシド結合形式の
組成の定量を行った。
【0054】1)メチル化 脱水した試料(100〜200μg)をネジ付試験管
(15ψ×100mm)に入れ、0.3mlのDMSO
を加えて溶解する。これにNaHを20mg加え、直ち
に0.1mlのヨウ化メチルを加える。タッチミキサー
で6分間攪拌後氷水中で冷却して水2mlを加える。2
mlのクロロホルムを加えて十分に振とうする。上層
(水層)をピペットで採り捨てる。2mlの水を加えて
同様に洗浄する。この操作を6回繰り返す。パスツール
ピペットの底に綿を敷いて、無水硫酸ナトリウムを4〜
5cmの層になるように詰めて、溶液を通過させて脱水
してからクロロホルムで洗う。次にロータリー・エバポ
レーターで濃縮・乾固する。
【0055】2)加水分解 メチル化物に0.5mlのトリフルオロ酢酸を加えて1
00℃で4時間加水分解し、ロータリー・エバポレータ
ーで60℃で濃縮・乾固する。
【0056】3)還元 加水分解物を0.5mlの水で溶解し、10mgのナト
リウム・ボロ・ハイドライドを加えて室温で2時間放置
する。酢酸を数滴、発泡が止まるまで加えて反応を停止
する。次に室温で乾燥してから、生成したホウ酸を除く
ために、1mlのメタノールを加え室温で乾燥する。こ
の操作を6回繰り返す。
【0057】4)アセチル化 還元物に0.5mlの無水酢酸を加えて、100℃で4
時間加熱してアセチル化して、1mlのトルエンを加え
てロータリー・エバポレーターで濃縮・乾固する。
【0058】5)脱塩 アセチル化物を1mlのクロロホルムに溶解し、1ml
の水を加えて振とう後に水層を捨てる。この操作を5回
繰り返し、最後にクロロホルムをロータリー・エバポレ
ーターで蒸発させる。
【0059】6)溶解 脱塩物を0.5mlのクロロホルムに溶解してガスクロ
マトグラフで分析する。
【0060】 7)ガスクロマトグラフィーの条件 カラム DB-1 fused silica capillary column 60mX0.255mmID,1.0μm film カラム温度 50℃で1分、280℃まで10℃/分で昇温、保持 試料気化室温度 300℃ 検出温度 300℃ 流速 2.5ml/分、ヘリウム 検出器ユニット 水素炎イオン化検出器
【0061】3.グルコースの定量方法 1gの試料を100mlのメスフラスコに精秤し、蒸留
水で溶解してメスアップする。この溶液についてピラノ
ースオキシダーゼ(共和メデック社製:デターミナーG
L−Eを使用)法により定量する。
【0062】4.平均分子量の測定法 グルコースの定量に用いた溶液を混床式イオン交換樹脂
のカラムにSV1.0で通液して脱塩し、溶出液をロー
タリーエバポレーターを用いて5%濃度まで濃縮して試
料液とする。この試料20μlを下記の条件で液体クロ
マトグラフィーを行い測定する。
【0063】 カラム Shodex Ionpak S-802・S-804・S-805・S-806 溶離液 1 ml/min. 水 カラム圧力 40 Kg/cm2 カラム温度 60 ℃ 検出器 RI データ処理装置 日立D-2000型GPCデータ処理装置 標準試料 グルコース、マルトース
【0064】測定結果から下式を用いて平均分子量を求
めた。
【0065】Hi・・・ピーク高さ Mi・・・分子量または伸長鎖長 QF・・・Qファクター(高分子の単位鎖長当りの分子
量)
【0066】
【実験例1】市販の馬鈴薯澱粉15Kgに1%塩酸溶液
1125mlを噴霧し、さらにミキサーで均一に混合
後、アルミパットにいれ、乾燥機で120℃で1時間予
備乾燥し、次いで165℃で180分加熱処理した。こ
の加熱処理の途中で15分、30分、60分、120
分、180分経過時に各2Kgの試料を採取して計5点
の試料を得た。 この試料についてグルコース、各種の
グリコシド結合の含量とカロリー値、及びグルコース以
外の区分の平均分子量を分析した結果、非還元性末端の
グルコース残基、1→4結合を有するグルコース残基、
1→6結合を有するグルコース残基、1→3結合を有す
るグルコース残基および、同一グルコース残基内に1→
4結合と1→6結合を有するグルコース残基、1→3結
合と1→4結合を有するグルコース残基および、1→2
結合と1→4結合を有するグルコース残基と、その他の
結合を有するグルコース残基が検出された。なおこの定
量法ではグルコースが非還元性末端のグルコース残基と
して定量されるので、この数値からグルコースの数値を
差し引いて非還元末端のグルコース残基とした。これら
の数値を表1に示す。
【0067】尚この定量法は複雑な方法であり、通常の
誤差は±5%程度であり、最低でも±2%はやむを得な
いものと考えられる。
【0068】
【表1】
【0069】表1においてカロリー値は加熱時間に比例
的に減少しており、各種のグリコシド結合を有するグル
コース残基の量は、1→6グリコシド結合、同一グルコ
ース残基中に1→4および1→6と、1→2および1→
4の2つのグリコシド結合を有するものが加熱時間に比
例的に増加している。また1→4結合のみが加熱時間に
反比例して減少している。また平均分子量は加熱により
15分では減少したものが、30分後では再び増加し以
後は加熱時間に比例的に減少している。これらの加熱時
間と各種のグリコシド結合および平均分子量の変化は、
本実験により初めて得られた新知見である。
【0070】
【実験例2】次に実験例1の6種類の試料の各1Kgに
対して、2Lの水を加えて溶解し、20%水酸化ナトリ
ウムでpH6.0に調整し、α−アミラーゼ(ターマミ
ル60L、ノボ社製)を0.2重量%添加して85℃で
1時間加水分解した。次にその液を温度55℃に冷却し
てからpH5.5に調整し、グルコアミラーゼ(大和化
成(株)製)を0.2重量%添加して36時間加水分解
した。ここでpH3.5に調整してグルコアミラーゼの
作用を停止した。この液を活性炭による脱色濾過、イオ
ン交換樹脂による脱塩などの精製を行った。この試料液
について平均分子量を除いて実験例1と同様の分析を行
った。この分析値を表2に示す。
【0071】
【表2】
【0072】表2における最大の特徴は、 1)1→4グリコシド結合区分が顕著に減少している
が、尚約10〜20%は分解されていないことである。
このことは、グルコアミラーゼにより殆ど完全に分解さ
れる筈の1→4グリコシド結合の内、分解されないもの
が10〜20%も存在していることであり、
【0073】2)1→4グリコシド結合と1→6グリコ
シド結合以外の区分については顕著な分解が起きていな
いことと、
【0074】3)理由は不明であるが、1→3グリコシ
ド結合が増加していることである。 これらの結果は本実験によって初めて得られた新知見で
ある。さらに15分間加熱の試料について、グルコース
の1/2を除去したとすれば下式によりカロリー値は
3.11キロカロリー/gに相当する。
【0075】
【0076】
【実験例3】次に実験例2の6種類の試料液をそれぞれ
濃縮して50%溶液約1.5Lを得た。この溶液1Lを
アルカリ金属型にした強酸性陽イオン交換樹脂であるX
FS−43279.00(ダウケミカル日本社製)10
Lを充填したカラムに、液温60℃、SV=0.25で
通液し、次いで水を通水して低カロリー区分を採取(グ
ルコース区分を分離除去)した。この試料液について実
験例1と同様の分析を行った結果と、平均分子量の分析
値などを表3に示す。但し表3では、数値をグルコース
以外の成分に対する%で表現した。尚グルコース以外の
成分のカロリー値は測定したカロリー値から、グルコー
ス含量(%)に4(グルコース1gのカロリー値)を乗
じて100で除した数値を減じた数値である。また理論
収率は100から表2のグルコース量を減じた数値であ
る。
【0077】
【表3】
【0078】表3において、カロリー値はいずれも大差
はないが、理論収率は低カロリー成分の生成率に相当す
るものであり、平均分子量に比例的に減少していること
が明らかになった。このことはイオン交換樹脂によるグ
ルコース区分を分離処理する前の、加水分解物中の低カ
ロリー成分の含有率が高いことを示すものである。
(尚、グルコースを含めた全体のカロリー値は表のカロ
リー値に、100からグルコース含量(%)に4を乗じ
て100で除した数値を加えることで容易に求められ
る。)そこでこの重要な平均分子量と各グリコシド結合
形式の関係を、変数間の相関を求めることができる回帰
分析によって解析して相関式と相関係数を得た。回帰分
析は5種類の試料の、各グリコシド結合を有するグルコ
ース残基の量を説明変数とし、平均分子量を目的変数と
して分析した。得られた8種類の関係式と相関係数を表
4に示す。
【0079】Y=A0+An・Xn 但しY ・・・グルコース以外の成分の平均分子量 X1・・・非還元性末端のグルコース残基の量(%) X2・・・1→4グリコシド結合を有するグルコース残基
の量(%) X3・・・1→6グリコシド結合を有するグルコース残基
の量(%) X4・・・1→3グリコシド結合を有するグルコース残基
の量(%) X5・・・1→4と1→6グリコシド結合を有するグルコ
ース残基の量(%)
【0080】X6・・・1→3と1→4グリコシド結合を
有するグルコース残基の量(%) X7・・・1→2と1→4グリコシド結合を有するグルコ
ース残基の量(%) X8・・・上記以外のグリコシド結合を有するグルコース
残基の量(%)
【0081】
【表4】
【0082】この結果、平均分子量は8種類のグリコシ
ド結合の内でX5(1→4グリコシド結合と1→グルコシ
ド結合の両結合を有するグルコース残基の量)との相関
が最も高い(表4のNo.5の相関係数が0.945)関係
式が得られた。この関係式(以後は式1と記載する)か
ら1→4グリコシド結合と1→6グリコシド結合の両結
合を有するグルコース残基の量が多いほど、平均分子量
が大となること、即ち低カロリー区分の含有率が高いと
の新知見を得たのである。
【0083】
【実験例4】市販の馬鈴薯澱粉300Kgに対して3%
塩酸を5.8L添加し、実験例1と同様の処理をしてか
ら、180℃で30分間加熱処理をしたほかは実験例1
と同様に処理し、続いて実験例2と実験例3と同様に処
理して試料液を得た。これを実験例3と同様に分析を行
った。
【0084】
【実験例5】市販の馬鈴薯澱粉300Kgに対して2%
塩酸を9L添加し、実験例1と同様の処理をしてから、
150℃で60分間加熱処理を行い、実験例4と同様に
処理して試料液を得た。これを実験例3と同様に分析を
行った。実験例4と実験例5の分析結果と、平均分子量
については式1による計算値との対比を併せて表5に示
す。
【0085】
【表5】
【0086】計算値の実測値からの変動幅は実験例4で
−17.4%、実験例5では+8.9%であった。
【0087】
【比較例1】市販のコーンスターチ300Kgに対して
1%塩酸を22.5L添加し、実験例1と同様の処理を
してから、165℃で1時間加熱処理を行い、実験例4
と同様に処理して、試料液を得た。これを実験例4と同
様に分析を行い、式1により平均分子量の計算値を求め
た。
【0088】
【比較例2】市販の甘藷澱粉300Kgに対して1%塩
酸を22.5L添加し、実験例1と同様の処理をしてか
ら、165℃で1時間加熱処理を行い、実験例4と同様
に処理して、試料液を得た。これを実験例4と同様に分
析を行い、式1により平均分子量の計算値を求めた。比
較例1と比較例2の結果を表6に示す。
【0089】
【表6】
【0090】表6においては、平均分子量の計算値の実
測値からの変動幅は、比較例1では−36.5%であり
比較例2では−36.2%といずれの試料についても極
端に大きく、式1による1→4グリコシド結合と1→6
グリコシド結合の両結合を有するグルコース残基の含量
と平均分子量の間に相関性が認められないことが明かで
あり、これは同一条件で加熱処理を行っても原料澱粉の
種類が異なると、生成物の構造が大きく異なっているこ
とを示している。
【0091】
【実験例6】実験例1、4、5で得られた焙焼デキスト
リンの試料合計8点について、着色の程度をケット光電
白度計で青フィルターを用いて、酸化マグネシウムの白
度を100%として、試料の白度を測定した。この結果
を表7に示す。
【0092】
【表7】
【0093】白度は加熱時間及び加熱温度に反比例的に
減少していることを示している。
【0094】
【実験データの解析結果の要約】前記の実験データの解
析結果を要約すると、本発明による焙焼デキストリンを
α−アミラーゼおよび、グルコアミラーゼにより分解し
て得た生成物は、従来公知の焙焼デキストリンとは次の
点で大きく異なっている。即ち、グルコース以外の成分
については、
【0095】1)カロリー値が最小1.75キロカロリ
ー/gであり、
【0096】2)平均分子量が従来の焙焼デキストリン
の1450以上に対して約500〜1000であり、
【0097】3)1→4グリコシド結合を有するグルコ
ース残基の含量が公知の焙焼デキストリンの約53%以
上に対して約30〜35%であり、
【0098】4)1→6グリコシド結合を有するグルコ
ース残基の含量が公知の焙焼デキストリンの約6%以下
に対して約10%〜11%であり、
【0099】5)1→3グリコシド結合を有するグルコ
ース残基の含量が公知の焙焼デキストリンの約2%以下
に対して、約6〜14%であり、
【0100】6)さらに式1に表されるように、1→4
グリコシド結合と1→6グリコシド結合の両結合を有す
るグルコース残基の含量と、グルコース以外の成分の平
均分子量が密接な相関関係を有している。このことはと
りもなおさず、1→4グリコシド結合と1→6グリコシ
ド結合の両結合を有するグルコース残基の含量と、低カ
ロリー区分の生成率とが密接な相関関係を有しているこ
とを示すものである。
【0101】7)またグルコースの1/2以上を除去し
た場合のカロリー値は3.11キロカロリー/g以下で
ある。
【0102】8)馬鈴薯澱粉以外の澱粉として、コーン
スターチと甘藷澱粉を、馬鈴薯澱粉と同条件で処理し、
得られた生成物の1→4グルコシド結合と1→6グリコ
シド結合の両結合を有するグルコース残基の含量を、式
1に代入して計算して得た平均分子量は、実測値とは約
36%の大きな差異があり、この関係式は馬鈴薯澱粉の
みに特定して適用される関係式であることが明らかであ
る。
【0103】以上の実験結果から本発明の生成物は、従
来の焙焼デキストリンに比較すると、カロリー値が低い
ことと共に、その構造が大きく異なった新規な物質であ
ることが明かとなった。
【0104】また実験データから加熱時間に反比例的に
白度が低下していることが明らかになったが、白度が低
下することは加熱処理によって着色物質が増加したこと
を示している。多量の着色物質が生成すると、分離処理
前の精製が困難になり、そのため分離処理用のイオン交
換樹脂の効率が低下するので、白度として30%以上で
あることが必要であり、より好ましくは40%以上であ
る。従って加熱条件は表7から明らかなように、加熱温
度が150℃の場合には60分以下、165℃の場合は
約45分以下、180℃の場合は30分以下が好まし
い。
【0105】さらに反応の進行は添加する酸の量を増減
することで、調整することが可能であるが、酸の量を極
端に増加することは、装置の腐食や摩耗を招くので、原
料澱粉に対して3000ppm以下、より好ましくは1
000ppm前後が至適条件である。
【0106】
【実施例】次に本発明の実施例を記す。
【0107】
【実施例1】市販の馬鈴薯澱粉2500Kgをリボン式
ミキサーに入れ、ミキサーを回転しながら1%塩酸溶液
188Lを加圧空気を用いてスプレーし、続いて解砕機
を通して均一化した後、さらにリボン・ミキサー中で8
時間熟成した。この混合物をフラッシュ・ドライヤーで
水分約4%に予備乾燥した後、ロータリー・キルン式焙
焼機に連続投入し、165℃で40分間焙焼して焙焼デ
キストリンを得た。この焙焼デキストリン2000Kg
に4000Lの水を加えて溶解し、20%水酸化ナトリ
ウム水溶液でpH6.0に調整し、α−アミラーゼ(タ
ーマミル60L、ノボ社製)を0.1重量%を添加して
90℃で1時間加水分解した。次にその液を125℃で
10分間加圧蒸煮してから大気圧中に排出し、温度57
℃に冷却して、pH5.5に調整し、グルコアミラーゼ
(大和化成(株)製)を0.1重量%添加して40時間加
水分解した。ここでpH3.6に調整してグルコアミラ
ーゼの作用を停止した。この分解液を活性炭による脱色
瀘過、イオン交換樹脂による脱塩を行った後に濃縮して
50%溶液を得た。この溶液20Lをナトリウム型にし
た強酸性陽イオン交換樹脂であるXFS−43279.
00(ダウケミカル日本社製)10Lを充填した連続ク
ロマトグラフ装置のカラムに60℃、SV=0.25で
通液し、次いで水を通水してグルコース区分を分離除去
して低カロリー区分を得た。この液を濃縮して濃度70
%の液状低カロリー増量剤約7Kgを得た。
【0108】
【実施例2】市販の馬鈴薯澱粉2500Kgをリボン式
ミキサーに入れ、ミキサーを回転しながら2%塩酸溶液
125Lを加圧空気を用いてスプレーし、続いて解砕機
を通して均一化した後、さらにリボン・ミキサー中で1
0時間熟成した。この混合物をフラッシュ・ドライヤー
で水分約3%に予備乾燥した後、ロータリー・キルン式
焙焼機に連続投入し、150℃で55分間焙焼して焙焼
デキストリンを得た。
【0109】この焙焼デキストリン2000Kgに30
00Lの水を加えて溶解し、20%水酸化ナトリウム水
溶液でpH6.0に調整し、α−アミラーゼ(ターマミ
ル60L、ノボ社製)を0.2重量%を添加して85℃
で40分間加水分解した。続いて130℃で10分間加
圧蒸煮し、大気圧中に排出してから86℃に冷却し、同
α−アミラーゼを0.05%添加して20分間加水分解
した。この液を温度55℃に冷却して、pH5.5に調
整し、グルコアミラーゼ(大和化成(株)製)を0.2重
量%添加して36時間加水分解した。ここでpH3.5
に調整してグルコアミラーゼの作用を停止した。分解液
を実施例1と同様に精製し、次に強酸性イオン交換樹脂
としてカリウム型にしたアンバーライトIR−118
(オルガノ社製)を使用した以外は、実施例1と同様に
処理して低カロリー区分を得た。これを濃度50%に濃
縮してからスプレードライして低カロリー増量剤約4.
5Kgを得た。
【0110】
【実施例3】市販の馬鈴薯澱粉2500Kgをリボン式
ミキサーに入れ、ミキサーを回転しながら3%塩酸溶液
100Lを加圧空気を用いてスプレーし、続いて解砕機
を通して均一化した後、さらにリボン・ミキサー中で1
0時間熟成した。この混合物をフラッシュ・ドライヤー
で水分約3%に予備乾燥した後、ロータリー・キルン式
焙焼機に連続投入し、180℃で25分間焙焼して焙焼
デキストリンを得た。
【0111】この焙焼デキストリン2000Kgに50
00Lの水を加えて溶解し、20%水酸化ナトリウムで
pH5.8に調整し、α−アミラーゼ(ターマミル60
L、ノボ社製)を0.15重量%を添加して86℃で1
時間加水分解した。次にこの液を温度55℃に冷却し
て、pH5.6に調整し、グルコアミラーゼ(大和化成
(株)製)を0.1重量%添加して36時間加水分解し
た。次にpH3.5に調整してグルコアミラーゼの作用
を停止した。以後は実施例2と同様に処理して低カロリ
ー増量剤約4Kgを得た。
【0112】
【実施例4】市販の馬鈴薯澱粉2500Kgをリボン式
ミキサーに入れ、ミキサーを回転しながら0.5%塩酸
溶液376Lを加圧空気を用いてスプレーし、続いて解
砕機を通して均一化した後、さらにリボン・ミキサー中
で8時間熟成した。この混合物をフラッシュ・ドライヤ
ーで水分約4%に予備乾燥した後、ロータリー・キルン
式焙焼機に連続投入し、165℃で15分間焙焼して焙
焼デキストリンを得た。 この焙焼デキストリン200
0Kgに4000Lの水を加えて溶解し、20%水酸化
ナトリウムでpH6.0に調整し、α−アミラーゼ(タ
ーマミル60L、ノボ社製)を0.1重量%を添加して
82℃で1時間加水分解した。次にその液を125℃で
10分間加圧蒸煮してから大気圧中に排出し、温度57
℃に冷却して、pH5.5に調整し、グルコアミラーゼ
(大和化成(株)製)を0.1重量%添加して36時間加
水分解した。ここでpH3.6に調整してグルコアミラ
ーゼの作用を停止した。この分解液を実施例1と同様に
精製した後に濃縮して52%溶液を得た。この溶液20
Lをナトリウム型にした強酸性陽イオン交換樹脂である
ダイヤイオンSKK−116(三菱化成社製)10Lを
充填した連続クロマトグラフ装置のカラムに60℃、S
V=0.3で通液し、次いで水を通水して生成したグル
コースの52%を分離除去して低カロリー区分を得た。
この液を濃縮して濃度70%の液状低カロリー増量剤約
8Kgを得た。
【0113】実施例1〜実施例4について、分離処理前
のグルコース量と分離処理後に得られた低カロリー増量
剤について、同様にグルコース量、グルコースの除去
率、「箱守のメチル化法」による各種のグリコシド結合
の含量、全体のカロリー値、グルコース以外の成分のカ
ロリー値、グルコース以外の成分の平均分子量の実測値
と式1による計算値、計算値の実測値からの変動幅およ
び焙焼デキストリンの白度を一括して表8に示す。
【0114】
【表8】
【0115】計算値の実測値からの変動幅は+9.3%
から−16.9%の間であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 勝田 康夫 兵庫県川西市久代4−3−7 松谷化学独 身寮内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)グルコース以外の成分のカロリー値
    が2キロカロリー/g以下であり、 (B)グルコース以外の成分中の1→4グリコシド結合
    を有するグルコース残基の量が30〜35%であり、 (C)グルコース以外の成分の平均分子量が510〜9
    65であり、 (D)且つ次式で計算して求められる平均分子量の計算
    値Yの、実測値からの変動範囲が20%以下であり、 【数1】 但しY・・・グルコース以外の成分の平均分子量 X・・・「箱守のメチル化法」によって定量した1→4
    グリコシド結合と1→6グリコシド結合の両結合を有す
    るグルコース残基の量(グルコース以外の成分中の%) (E)馬鈴薯澱粉に塩酸を添加して加熱処理して得た焙
    焼デキストリンを、α−アミラーゼとグルコアミラーゼ
    で加水分解した後、生成したグルコースの1/2以上を
    分離除去することにより得られたものであることを特徴
    とする、 低カロリー増量剤。
  2. 【請求項2】グルコースの含量が35%以下であり、全
    体のカロリー値が3.11キロカロリー/g以下である
    ことを特徴とする、請求項1に記載する低カロリー増量
    剤。
JP3332429A 1991-10-30 1991-11-20 低カロリー増量剤 Pending JPH05176716A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006274100A (ja) * 2005-03-30 2006-10-12 Sanwa Denpun Kogyo Kk 水溶性澱粉粉末およびその製造方法

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JP2006274100A (ja) * 2005-03-30 2006-10-12 Sanwa Denpun Kogyo Kk 水溶性澱粉粉末およびその製造方法

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