JPH10151303A - オイルフィルター - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】ガスケットの歪度を均一化させかつオイル漏れ
を防止してシール性を向上させ得ると共に、製品の歩留
まりを向上させ得る、オイルフィルターを提供する。 【解決手段】一端が開口した筒状のケース内にフィルタ
ーエレメントを収納し、開口部をオイル入口及びオイル
出口を有するフィルター取付プレートで閉塞したオイル
フィルターにおいて、ケースの開口端にガスケット保持
プレートの外周端を固定し、ガスケット保持プレートの
内周端を開口端とガスケット保持プレートの固定部より
ケースの軸方向外側に突出させてストッパ部とすると共
に、ストッパ部と固定部間に変形可能なガスケットをそ
の先端がストッパ部より軸方向外側に突出する如く設
け、機関本体の固定部への直接的な接触を回避する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車のエ
ンジン等の内燃機関に取り付けられて使用されるオイル
フィルターに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、内燃機関用のオイルフィルター
は、例えば実公平５−３６４８１号公報に開示されてい
る。このオイルフィルターは、図５及び図６に示すよう
に、フィルターエレメント５３が収納されたケース５２
の開口５２ａ部に、オイル入口５４とオイル出口５５を
有するフィルター取付プレート５６が設けられ、このフ
ィルター取付プレート５６の外周部にガスケット保持プ
レート５７が設けられている。

【０００３】そして、ガスケット保持プレート５７に
は、変形可能なガスケット５８が軸方向外側（図５及び
図６の下方）に突出する状態で保持されると共に、ガス
ケット保持プレート５７の外周端５７ａがケース５２の
開口端５２ｂに巻締めされて巻締め固定部５９が形成さ
れている。

【０００４】この巻締め固定部５９は、その下面がガス
ケット保持プレート５７の内周端５７ｂ下縁に対して、
ケース５２の軸方向外側に所定寸法ｔ５突出することに
より、下面に内燃機関の機関本体６１の取付面６１ａが
当接するストッパ部６０が形成され、また、ガスケット
５８の先端である下端は、ストッパ部６０に対して所定
寸法ｔ６下方に突出している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このオ
イルフィルターにあっては、機関本体６１への取り付け
時のストッパ部６０が、ケース５２の開口端５２ｂとガ
スケット保持プレート５７の外周端５７ａとの巻締め固
定部５９の下面で形成されるため、巻締め加工精度が一
般的に劣ることから、ストッパ部６０とガスケット５８
の下端との寸法ｔ６を高精度に設定することが困難で、
ガスケット５８の歪度（変形度合い）が個々の製品によ
ってバラツキ易い。

【０００６】また、巻締め固定部５９の下面であるスト
ッパ部６０に機関本体６１が金属同士で直接接触する構
造であるため、内燃機関の振動が巻締め固定部５９に直
接的に加わり、この振動の長期に亘る加わりによって、
巻締め固定部５９の折曲部に亀裂が生じオイル漏れが発
生する虞があるという問題点があった。

【０００７】また、上記寸法ｔ６が、ケース５２とガス
ケット保持プレート５７の二部品の巻締め加工後に決定
されるため、この寸法ｔ６が公差を外れた場合には、修
正に係わるコスト等を勘案して、製品全体を不良品とし
て破棄しているのが実状であり、特に、巻締め加工によ
る寸法精度が劣ることから、この種の寸法公差外れによ
る不良率が高くなって、製品の歩留まりが低下するとい
う問題点があった。

【０００８】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、ガスケットの歪度を均一化させかつオイル漏れ
等を防止してそのシール性を向上させ得ると共に、製品
の歩留まりを向上させ得る、オイルフィルターを提供す
ることにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成すべ
く、本発明のうち請求項１記載の発明は、一端が開口し
た筒状のケース内にフィルターエレメントを収納し、開
口部をオイル入口及びオイル出口を有するフィルター取
付プレートで閉塞したオイルフィルターにおいて、ケー
スの開口端にガスケット保持プレートの外周端を固定
し、この固定部よりガスケット保持プレートの内周端を
ケースの軸方向外側に突出させてストッパ部を形成する
と共に、ストッパ部と固定部間に変形可能なガスケット
をその先端がストッパ部より軸方向外側に突出する如く
設けたことを特徴とする。

【００１０】このように形成することにより、オイルフ
ィルターの機関本体への取り付け時のストッパ部は、外
周端がケースの開口端に固定されたガスケット保持プレ
ートの内周端で形成される。このストッパ部は、ケース
への固定前にガスケット保持プレートを予め加工するこ
とによって形成されるため、その寸法を高精度に設定し
得る。

【００１１】ガスケットは、このガスケット保持プレー
トに保持されるため、ストッパ部とガスケットの先端と
の寸法が高精度に設定されて、ガスケットの歪度が均一
化すると共に、ガスケット保持プレートとケースの固定
部に内燃機関の振動が直接作用することがなくなり、該
部分の亀裂等によるオイル漏れが防止され、ガスケット
によるシール性が向上する。

【００１２】また、請求項２記載の発明は、ガスケット
保持プレートの外周端とケースの開口端が巻締め固定さ
れると共に、ストッパ部が、ガスケット保持プレートの
内周端をケースの軸方向外側に屈曲させることによって
形成されていることを特徴とする。

【００１３】このように形成することにより、ストッパ
部はガスケット保持プレートの内周端を単に外側に屈曲
させるだけで良く、その加工が容易になってストッパ部
の寸法精度を一層向上させ得ると共に、巻締め固定部の
加工に高精度が要求されず、製品の組立加工等が容易に
なる。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の一例
を図面に基づいて詳細に説明する。図１〜図３は、本発
明に係わるオイルフィルターを示し、図１がその全体構
成を示す半断面図、図２が図１のＡ部の拡大図、図３が
内燃機関への取付状態の要部断面図である。

【００１５】図１〜図３において、オイルフィルター１
は、一端に開口２ａを有する有底略円筒形状のケース２
を有し、このケース２内には、フィルターエレメント３
が収納されている。このフィルターエレメント３は、多
数の通気孔３ｂが穿設された中央筒３ａを有し、この中
央筒３ａの外面は、交互に反対方向に折り曲げて形成さ
れた濾紙３ｃで覆われると共に、その上側の端板３ｄに
は、バルブスプリング４で支持されたリリーフバルブ５
が設けられている。

【００１６】また、中央筒３ａの下側の端板３ｅは下方
に筒状に突出し、この突出部分に外側からゴム等の弾性
体からなる環状体６が、フィルター取付プレート７の中
央部上面に密封状態で嵌着されている。この環状体６に
は、ダイヤフラム形状に形成されオイルの逆流を阻止す
る逆止弁６ａが一体的に設けられ、この逆止弁６ａによ
って、フィルター取付プレート７のオイル入口８が通常
閉塞されている。

【００１７】上記フィルター取付プレート７は、ケース
２の開口２ａを閉塞する如く配置され、このフィルター
取付プレート７には、上記オイル入口８とオイル出口９
が設けられている。オイル入口８は例えば円周方向に等
間隔で複数個設けられ、オイル出口９の内面には取付用
の雌ネジ９ａが形成されている。

【００１８】また、フィルター取付プレート７の外周部
７ａの下面には、ガスケット保持プレート１０が、例え
ば溶接及び接着剤により密封状態で固着されている。こ
のガスケット保持プレート１０は、その外周端１０ａが
ケース２の開口端２ｂと巻締めされて巻締め固定部１１
が形成されると共に、内周端１０ｂが下方に向けて半円
弧状に屈曲され、その下端に後述する機関本体１６の取
り付け時の位置決めとなるストッパ部１２が形成されて
いる。

【００１９】ガスケット保持プレート１０のストッパ部
１２と、巻締め固定部１１の内面１１ａ（図２参照）で
形成される円環状の空間１３内には、例えばアクリロニ
トリルブタジエンゴム等の材質からなり、弾性変形可能
で全体形状が略リング形状のガスケット１４が嵌着され
ている。このガスケット１４は、幅広な装着部１４ａと
断面半円形の円弧部１４ｂとで一体成型されている。

【００２０】そして、図２に示すように、ガスケット保
持プレート１０のストッパ部１２の下端は、巻締め固定
部１１の下面よりケース２の軸方向外側（図２の下方）
に所定寸法ｔ１突出し、このストッパ部１２に対してガ
スケット１４の円弧部１４ｂの下端が軸方向外側に所定
寸法ｔ２突出している。なお、例えばケース２の外径が
８０ｍｍ程度のオイルフィルター１の場合、ｔ１＝０．
５〜０．８ｍｍに、ｔ２＝１．０〜１．２ｍｍに設定さ
れる。

【００２１】次に、このオイルフィルター１の内燃機関
への取付状態を図３に基づいて説明する。オイルフィル
ター１は、そのフィルター取付プレート７のオイル出口
９の雌ネジ９ａを、内燃機関の機関本体１６に設けられ
た、オイル出口１７の外周面の雄ネジ１７ａに螺合させ
ることにより取り付けられる。

【００２２】そして、この取り付けは、雌ネジ９ａを雄
ネジ１７ａに孔合わせし、オイルフィルター１のケース
２を回転させることにより、フィルター取付プレート７
がオイル出口１７部にねじ込まれ、機関本体１６の外周
部の取付面１６ａが、ガスケット１４の円弧部１４ｂを
上方に押圧して変形させ、取付面１６ａがガスケット保
持プレート１０のストッパ部１２に当接した位置で停止
する。

【００２３】これにより、オイルフィルター１が機関本
体１６に締付固定され、ガスケット１４の円弧部１４ｂ
が、図３に示す如く歪んで変形して、その下面が機関本
体１６の取付面１６ａに比較的広い面積で密着し、この
ガスケット１４によってオイル入口８部分とケース２の
外部とがシールされる。なお、このシール状態におい
て、機関本体１６の取付面１６ａと巻締め固定部１１下
面間には、上記寸法ｔ１に相当する間隙１５が形成さ
れ、巻締め固定部１１下面と機関本体１６の取付面１６
ａとの直接接触が防止されている。

【００２４】このように、上記実施例のオイルフィルタ
ー１にあっては、機関本体１６への取り付け時のストッ
パ部１２を、ガスケット保持プレート１０の内周端１０
ｂを下方に屈曲させることにより形成しているため、予
めガスケット保持プレート１０を屈曲加工した後に、ケ
ース２の開口端２ｂに巻締め固定すれば良く、ストッパ
部１２の寸法ｔ１、ｔ２を高精度に設定することがで
き、所定の締付力によるその結果、所定の締付力による
ガスケット１４の歪度のバラツキ発生を防止す

【００２５】また、機関本体１６の取付面１６ａが間隙
１５により巻締め固定部１１に直接接触することがなく
なるため、内燃機関の振動による巻締め固定部１１の亀
裂発生がなくなり、オンイル漏れ等の発生を防止するこ
とができる。これらのことから、ガスケット５８部分に
おけるシール性を向上させることが可能になる。

【００２６】また、ストッパ部１２の加工を容易に行う
ことができるため、上記寸法ｔ１、ｔ２の公差外れによ
る製品不良率を低下させることができると共に、不良品
の修正も例えばストッパ部１２の位置調整によって容易
に行うことができ、製品の歩留まりを向上させることが
可能になる。

【００２７】さらに、巻締め固定部１１がストッパ機能
を有さないため、高精度な寸法精度が要求されず、巻締
め加工作業を容易に行うことができて、オイルフィルタ
ー１の組立加工性を向上させることも可能になる。

【００２８】図４は、ガスケット保持プレート１０とガ
スケット１４の他の実施例を示す要部断面図である。こ
の実施例のガスケット保持プレート１０は、その内周端
１０ｂを下方に鋭角（例えば略７０度）に屈曲して、そ
の下端にストッパ部１２を形成し、ガスケット１４は、
その下端に円弧部１４ｂを有する略三角形状に形成す
る。そして、ストッパ部１２が巻締め固定部１１の下面
に対して所定寸法ｔ３下方に突出し、ガスケット１４の
下端がストッパ部１２に対して所定寸法ｔ４下方に突出
する如く設定されている。

【００２９】この実施例においても、機関本体１６の取
付面１６ａ（図３参照）がストッパ部１２に当接するま
で、ガスケット１４の下部が歪んで弾性変形し、上記実
施例と同様の作用効果を得ることができると共に、スト
ッパ部１２が略垂直に近い角度に屈曲されているため、
機関本体１６の取付面１６ａによる押圧力をストッパ部
１２で確実に受け止めることができ、ストッパ部１２自
体の変形が防止されるという作用効果も得られる。

【００３０】なお、本発明におけるガスケット保持プレ
ート１０及びガスケット１４の形状は、上記各実施例に
限定されるものでもなく、ガスケット保持プレート１０
の内周端１０ｂのストッパ部１２が、巻締め固定部１１
より下方に所定寸法突出し、かつガスケット１４の下端
がストッパ部１２より下方に所定寸法突出する全ての形
状を包含するものである。

【００３１】また、上記実施例においては、ケース２の
開口端２ｂとガスケット保持プレート１０の外周端１０
ａが巻締め固定される構造について説明したが、他の適
宜の固定構造のオイルフィルター１に適用することも勿
論可能である。さらに、上記実施例における、ケース２
の形状、フィルターエレメント３の構成、フィルター取
付プレート７の形状等も一例であって、本発明の要旨を
逸脱しない範囲において、種々変更可能であることは言
うまでもない。

【００３２】

【発明の効果】以上詳述したように、請求項１ないし請
求項２記載の発明によれば、ガスケット保持プレートの
内周端に内燃機関のストッパ部を形成することにより、
ストッパ部の寸法を高精度に設定することができて、ガ
スケットの歪度のバラツキ発生が抑えられると共に、ケ
ースとガスケット保持プレートの固定部からのオイル漏
れが防止される等、ガスケットによるシール性を向上さ
せることができる。また、寸法不良による製品不良率を
低下させ得て、製品の歩留まりを向上させることができ
る等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係わるオイルフィルターの全体構成を
示す半断面図

【図２】同図１のＡ部の拡大図

【図３】同内燃機関への取付状態の要部断面図

【図４】本発明に係わるオイルフィルターの他の実施例
を示す要部断面図

【図５】従来のオイルフィルターの要部断面図

【図６】同その取付状態の要部断面図

【符号の説明】

１・・・・・オイルフィルター ２・・・・・ケース ２ａ・・・・開口 ２ｂ・・・・開口端 ３・・・・・フィルターエレメント ３ａ・・・・中央筒 ３ｂ・・・・通気孔 ４・・・・・バルブスプリング ６・・・・・環状体 ６ａ・・・・逆止弁 ７・・・・・フィルター取付プレート ８・・・・・オイル入口 ９・・・・・オイル出口 １０・・・・ガスケット保持プレート １０ａ・・・外周端 １０ｂ・・・内周端 １１・・・・巻締め固定部 １２・・・・ストッパ部 １４・・・・ガスケット １６・・・・機関本体 １６ａ・・・取付面 １７・・・・オイル出口

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】一端が開口した筒状のケース内にフィルタ
   ーエレメントを収納し、前記開口部をオイル入口及びオ
   イル出口を有するフィルター取付プレートで閉塞したオ
   イルフィルターにおいて、 前記ケースの開口端にガスケット保持プレートの外周端
   を固定し、該固定部よりガスケット保持プレートの内周
   端をケースの軸方向外側に突出させてストッパ部を形成
   すると共に、該ストッパ部と前記固定部間に変形可能な
   ガスケットをその先端がストッパ部より軸方向外側に突
   出する如く設けたことを特徴とするオイルフィルター。
2. 【請求項２】前記ガスケット保持プレートの外周端とケ
   ースの開口端が巻締め固定されると共に、前記ストッパ
   部が、前記ガスケット保持プレートの内周端をケースの
   軸方向外側に屈曲させることによって形成されているこ
   とを特徴とする、請求項１記載のオイルフィルター。