JPH05171940A - 気化器付ｏｈｖエンジンの吸気装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 吸気ポート内の吸気ガイド板だけの、開閉制
御装置不要の簡単な構造で、低速軽負荷時の燃焼性能を
向上させながら、高速高負荷時の出力を高く保持する。 【構成】 吸気ポート３の入口側ポート部３ａに吸気ガ
イド板５を挿入する。この吸気ガイド板５は、ポート軸
心Ｐに対して傾斜させて、その板始端部５ａをポート軸
心Ｐと横一側のポート周面部分３ｄとの中間部に位置さ
せるのに対し、その板終端部５ｂをポート軸心Ｐの近傍
部に位置させる。 前記入口側ポート部３ａ内で、吸気
ガイド板５の横一側に入口の狭い先拡がり形吸気路６を
形成するとともに、その横他側に入口の広い先窄まり形
吸気路７を形成して構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、気化器付ＯＨＶエンジ
ンの吸気装置に関する。

【０００２】

【前提構造】本発明の気化器付ＯＨＶエンジンの吸気装
置は、例えば図１又は図２に示すように、次の前提構造
を有するものを前提とする。すなわち、気化器付ＯＨＶ
エンジン１のシリンダヘッド２にエルボ状の吸気ポート
３を開ける。この吸気ポート３は入口側ポート部３ａを
湾曲状中間ポート部３ｂを介して出口側ポート部３ｃに
連通させて成る。そして、この出口側ポート部３ｃ及び
中間ポート部３ｂに吸気弁４の弁軸４ａを貫通させて構
成する。

【０００３】

【従来の技術】上記前提構造において、吸気ポート３の
入口側ポート部３ａの部分は、従来技術では、単に断面
円形の空洞に形成しただけのもの、又は、デフレクタを
搖動制御可能に設けて吸気の流速と渦流を制御するよう
に構成されたもの（実開昭５１−４１００４号公報）が
ある。この吸気の流速と渦流を制御するものは、例えば
図２に示すように構成されている。すなわち、吸気ポー
ト３の入口側ポート部３ａの入口の一側壁に近接させ
て、デフレクタ２０の基端部を搖動軸２２を中心に搖動
可能に支持する。このデフレクタ２０は、エンジンの運
転状態に応じて開閉腕２１により開弁側Ｒと閉弁側Ｔと
に搖動開閉制御される。エンジンが高負荷乃至全負荷運
転時には、吸気ポート３の通気抵抗を減らして混合気の
充填効率を高めるために、デフレクタ２０を開弁側Ｒに
位置させて、吸気ポート３に入って来る混合気を、入口
側ポート部３ａから中間ポート部３ｂを介して出口側ポ
ート部３ｃに向かって真っすぐに進ませる。エンジンが
軽負荷乃至無負荷運転時には、吸気の流速を速めるとと
もに渦流を強くして、混合状態を良くし、燃焼性能を向
上させるために、デフレクタ２０を閉弁側Ｔに位置させ
て、吸気ポート３に入って来る混合気を、入口側ポート
部３ａを通過する時にデフレクタ２０で次第に片寄せて
行き、中間ポート部３ｂを介して出口側ポート部３ｃに
接線状に流れ込ませて旋回させる。尚、符号８はシリン
ダ、符号１５は排気ポート、符号１６は排気弁、符号２
３は点火栓を示す。

【０００４】

【先提案技術】上記従来技術を改良するものとして、本
発明者は本発明に先立ち次のものを考えた。 ○提案例１（図３参照） 図２に示すように、入口側ポート部３ａの入口の一側壁
から、シリンダヘッド２と一体のデフレクタ２０を、吸
気弁４の弁軸４ａに向かって次第に入口側ポート部３ａ
内に突出させる。 ○提案例２（図４参照） 図３に示すように、中間ポート部３ｂの一側壁から、シ
リンダヘッド２と一体のデフレクタ２０を、吸気弁４の
弁軸４ａに向かって中間ポート部３ｂ内に突出させる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術では次
の問題がある。 （イ）入口側ポート部３ａを単に空洞に形成しただけの
ものでは、軽負荷乃至無負荷運転時に燃焼性能が悪化す
る。 すなわち、吸気量が少なくなるにつれて、吸気の流速が
過度に低下して、混合気中の燃料粒子が落下・分離し易
くなる。 そのうえ、渦流が発生しにくく、混合性能も悪くなるか
らである。 （ロ）エンジンの運転状態に応じてデフレクタ２０を開
閉制御するもの（図２）では、そのための自動制御装置
が必要であり、構造が複雑で高価になる。 上記提案例１（図３）・２（図４）では、上記問題
（イ）軽負荷時の燃焼性能の悪化、及び（ロ）構造の複
雑化、を解消できる。しかし、次の問題が生じる。 （ハ）デフレクタ２０が突出する分だけ吸気ポート３の
断面積が狭くなり、通気抵抗が増えるために、高負荷乃
至全負荷運転時の混合気の充填効率が悪く、出力が低下
する。 本発明は、（イ）混合気に渦流を発生させて燃焼性能を
向上させる事、（ロ）複雑高価な自動制御機構を不要と
する事、及び（ハ）高負荷時の出力低下を軽減する事、
を課題とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記前提構造
において、上記課題を達成するために、例えば図１に示
すように、次の改良構造を追加したものである。 ○発明１（図１（Ａ・Ｂ・Ｃ）参照） 吸気ポート３の入口側ポート部３ａに吸気ガイド板５を
挿入する。この吸気ガイド板５はポート軸心Ｐに対して
傾斜させて、その板始端部５ａをポート軸心Ｐと横一側
のポート周面部分３ｄとの中間部に位置させるのに対
し、その板終端部５ｂをポート軸心Ｐの近傍部に位置さ
せる。そして、前記入口側ポート部３ａ内で、吸気ガイ
ド板５の横一側に入口の狭い先拡がり形吸気路６を形成
するとともに、その横他側に入口の広い先窄まり形吸気
路７を形成する。 ○発明２（図１（Ａ）参照） 前記第１発明において、シリンダ８の軸心方向から見
て、吸気ガイド板５の板終端部５ｂは、出口側ポート部
３ｃの周面Ｓより内側に突入させて吸気弁４の弁軸４ａ
に接近させて位置させる。 ○発明３（図１（Ｂ）参照） 前記第１発明において、吸気ガイド板５の少なくとも板
終端部５ｂは、吸気弁４の弁軸心Ｑに対して傾斜させ
て、この板終端部５ｂのシリンダ８側の板下縁部５ｃを
板上縁部５ｄよりも前記横他側へ偏位させる。

【０００７】

【作用】本発明１は次のように作用する。（図１（Ａ・
Ｂ・Ｃ）参照） まず、混合気の大部分は、入口の広い先窄まり形吸気路
７内を流れる時に、片寄せられながら加速され、中間ポ
ート部３ｂから出口側ポート部３ｃ内に接線状に流れ込
んで勢い良く旋回し始め、燃焼室１９内に強いスワール
を発生させる。混合気の残部は、出口の狭い先拡がり形
吸気路６内を流れて減速され、中間ポート部３ｂで上記
先窄まり形吸気路７で加速された強い混合気流に衝突し
て巻き込まれ、いたるところで微小渦流を多量に発生さ
せる。これにより、混合気の混合性能が高まり、燃焼性
能が高い。次に、大部分の混合気は、先窄まり形吸気路
７内で加速されるため、燃料粒子が落下・分離しにく
い。しかも、この大部分の混合気中の燃料粒子のうち、
吸気ガイド板５に付着したものは、その加速混合気流で
勢い良く押し流されて、板終端部５ｂからその加速混合
気流にスムーズに吸い込まれて混合する。この板終端部
５ｂから引き離されようとする燃料滴は、その加速混合
気流側の低い靜圧とその反対側の減速混合気流側の高い
靜圧との差圧で、その加速混合気流側に押し寄せられ
て、この加速混合気流に微細に引き千切られては次々に
混合されて行く。これにより、混合気の混合性能がさら
に高まり、燃焼性能も一層高められる。さらに、吸気ガ
イド板５の背面には先拡がり形吸気路６が形成されてい
て、ここからも混合気が供給されるから、吸気ガイド板
５を設けて混合性能を高める機能を有する割りには、こ
の先拡がり形吸気路６からの供給分だけ通気抵抗が小さ
くなり、混合気の最大流量の低下を低減できる。

【０００８】

【発明の効果】本発明は、上記のように構成され作用す
ることから、次の効果を奏する。 （イ）軽負荷乃至無負荷運転時の混合気流量が少ない場
合でも、混合気の大部分は、先窄まり形吸気路７で片寄
せられながら加速される事により、燃焼室１９内に強い
スワールを発生させる。 しかも、混合気の残部は、先拡がり形吸気路６で減速さ
れて上記の加速混合気流に衝突しては巻き込まれて行く
事により、その加速混合気流中に微小渦流を多量に発生
させる。これにより、混合気の混合性能が高まり、燃焼
性能が高まり、排気ガス中のＨＣ・ＣＯなどの有害成分
の発生量を低減できるうえ、燃費を低減する事もできる。 （ロ）大部分の混合気は、加速されるので燃料粒子が落
下・分離しにくくなる。しかも、この大部分の混合気中
から吸気ガイド板５に付着した燃料滴は、板終端部５ｂ
から細かく引き千切られてはその混合気流中に次々に混
合されて行く。これにより、混合気の混合性能がさらに
高まり、燃焼性能も一層高められる。 （ハ）吸気ガイド板５の背面には先拡がり形吸気路６が
形成されていて、ここからも混合気が供給されるから、
吸気ガイド板５を設けて混合性能を高める機能を有する
割りには、この先拡がり形吸気路６からの供給分だけ通
気抵抗が小さくなり、混合気の最大流量の低下を低減で
きる。このため、エンジンの最大出力を高く保持する事
ができる。 （ニ）上記効果（イ）（ロ）及び（ハ）を奏するための
手段として、吸気ガイド板５を追加するだけで済み、こ
れを制御操作する自動制御装置は不要であるから、構造
が簡単で安価に実施できる。

【０００９】本発明２は、上記効果（イ）〜（ニ）に加
えて、次の効果（ホ）をも奏する。 （ホ）吸気ガイド板５の板終端部５ｂが、出口側ポート
部３ｃの周面Ｓより内側に深く突入している。 これにより、先拡がり形吸気路６を長くして、混合気の
加速性能を高める。 そのうえ、吸気弁４の開閉に伴う吸気脈圧の大きい変動
を受けて、板終端部５ｂから付着燃料滴が加速混合気流
に巻き込まれ易くなる。これにより、混合気の混合性能
をさらに高める事ができる。本発明３は、上記効果
（イ）〜（ホ）に加えて、次の効果（ヘ）をも奏する。 （ヘ）吸気ガイド板５の板終端部５ｂが傾斜して、先窄
まり形吸気路７側が高く先拡がり形吸気路６側が低くな
っている。 このため、混合気は、先窄まり形吸気路７内を加速され
ながら通過する時に斜め上側に片寄せられた後、湾曲状
中間ポート部３ｂ内を旋回する時に斜め下向きになり、
さらに板終端部５ｂの背面に回り込んで斜め下向きに案
内される。これにより、中間ポート部３ｂ内を通過する
旋回流は、その上流側のものと下流側のものとが干渉し
て減衰する事がなく、スムーズに勢い良く螺進するの
で、燃焼室１９内でのスワールが一層強くなり、混合気
の混合性能が一層高まる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面で説明する。図
１（Ａ）は気化器付ＯＨＶエンジンの吸気装置の上面
図、図１（Ｂ）は図１（Ａ）のＸ−Ｘ線矢視正面図、図
１（Ｃ）はシリンダヘッドの要部縦断面図である。 ○第１発明（図１（Ａ・Ｂ・Ｃ）参照） 図において、エンジン１は、クランクケース１０の上方
にシリンダブロック１１を一体に形成するとともに、こ
のシリンダブロック１１の上面にシリンダヘッド２及び
ヘッドカバー１２を順に載置固定して、エンジン本体を
形成している。上記シリンダブロック１１内には、シリン
ダ８の中を摺動するピストン１３と、コネクチングロッ
ド１４その他がある。又、上記シリンダヘッド２内に
は、吸気ポート３と排気ポート１５とが形成され、吸気
弁４、排気弁１６が配設されている。そして、気化器１
７を吸気管１８を介してエルボ状の吸気ポート３に接続
し、この吸気ポート３の入口側ポート部３ａ・湾曲状中
間ポート部３ｂ及び出口側ポート部３ｃを順に介して、
燃焼室１９に連通させてある。前記吸気ポート３の入口
側ポート部３ａに、吸気ガイド板５を挿入してある。こ
の吸気ガイド板５は、例えばガイド板支持部９に板始端
部５ａの上下端面を溶接して固定してある。そして、こ
のガイド板支持部９を、シリンダヘッド２と吸気管１８
との固定部のガスケット１８ａ・１８ｂの間に挟み込ん
で固定してある。さらに、上記吸気ガイド板５はポート
軸心Ｐに対して傾斜させて、その板始端部５ａをポート
軸心Ｐと横一側のポート周面部分３ｄとの中間部に位置
させるのに対し、その板終端部５ｂをポート軸心Ｐの近
傍部に位置させてある。そして、前記入口側ポート部３
ａ内で、吸気ガイド板５の横一側に入口の狭い先拡がり
形吸気路６を形成するとともに、その横他側に入口の広
い先窄まり形吸気路７を形成してある。

【００１１】○第２発明（図１（Ａ）参照） 前記第１発明において、シリンダ８の軸心方向から見
て、吸気ガイド板５の板始端部５ａは、出口側ポート部
３ｃの周面より内側に突入させて吸気弁４の弁軸４ａに
接近させて位置させてある。

【００１２】○第３発明（図１（Ｂ）参照） 前記第１次発明において、吸気ガイド板５の少なくとも
板終端部５ｂは、吸気弁４の弁軸心Ｑに対して傾斜させ
て、この板終端部５ｂのシリンダ８側の板下縁部５ｃを
板上縁部５ｄよりも前記横他側へ偏位させてある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施例を示し、図１（Ａ）は気化器付Ｏ
ＨＶエンジンの吸気装置の上面図、図１（Ｂ）は図１
（Ａ）のＸ−Ｘ線矢視正面図，図１（Ｃ）はシリンダヘ
ッドの要部縦断面図である。

【図２】従来例を示し、図２（Ａ）は図１（Ａ）に、図
２（Ｂ）は図１（Ｃ）にそれぞれ相当する図である。

【図３】先提案例１を示し、図３（Ａ）は図１（Ａ）に
相当する図、図３（Ｂ）は図３（Ａ）のＹ−Ｙ線矢視断
面図である。

【図４】先提案例２を示し、図３に相当する図である。

【符号の説明】

１…気化器付ＯＨＶエンジン、２…シリンダヘッド、３
…吸気ポート、３ａ…入口側ポート部、３ｂ…中間ポー
ト部、３ｃ…出口側ポート部、３ｄ…ポート周面部分、
４…吸気弁、４ａ…弁軸、５…吸気ガイド板、５ａ…板
始端部、５ｂ…板終端部、５ｃ…板下縁部、５ｄ…板上
縁部、６…先拡がり形吸気路、７…先窄まり形吸気路、
８…シリンダ、Ｐ…ポート軸心、Ｑ…弁軸心、Ｓ…周
面。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 気化器付ＯＨＶエンジン(１)のシリンダ
   ヘッド(２)にエルボ状の吸気ポート(３)を開け、この吸
   気ポート(３)は入口側ポート部(３ａ)を湾曲状中間ポー
   ト部(３ｂ)を介して出口側ポート部(３ｃ)に連通させて
   成り、 この出口側ポート部(３ｃ)及び中間ポート部(３ｂ)に吸
   気弁(４)の弁軸(４ａ)を貫通させて構成した気化器付Ｏ
   ＨＶエンジンの吸気装置において、 前記吸気ポート(３)の入口側ポート部(３ａ)に吸気ガイ
   ド板(５)を挿入し、この吸気ガイド板(５)はポート軸心
   (Ｐ)に対して傾斜させて、その板始端部(５ａ)をポート
   軸心(Ｐ)と横一側のポート周面部分(３ｄ)との中間部に
   位置させるのに対し、その板終端部(５ｂ)をポート軸心
   (Ｐ)の近傍部に位置させ、 前記入口側ポート部(３ａ)内で、吸気ガイド板(５)の横
   一側に入口の狭い先拡がり形吸気路(６)を形成するとと
   もに、その横他側に入口の広い先窄まり形吸気路(７)を
   形成して構成したことを特徴とする気化器付ＯＨＶエン
   ジンの吸気装置。
2. 【請求項２】 前記気化器付ＯＨＶエンジン(１)のシリ
   ンダ(８)の軸心方向から見て、前記吸気ガイド板(５)の
   板終端部(５ｂ)は、出口側ポート部(３ｃ)の周面(Ｓ)よ
   り内側に突入させて吸気弁(４)の弁軸(４ａ)に接近させ
   て位置させたことを特徴とする請求項１に記載の気化器
   付ＯＨＶエンジンの吸気装置。
3. 【請求項３】 前記吸気ガイド板(５)の少なくとも板終
   端部(５ｂ)は、吸気弁(４)の弁軸心(Ｑ)に対して傾斜さ
   せて、この板終端部(５ｂ)のシリンダ(８)側の板下縁部
   (５ｃ)を板上縁部(５ｄ)よりも前記横他側へ偏位させた
   ことを特徴とする請求項２に記載の気化器付ＯＨＶエン
   ジンの吸気装置。