JPH05163555A - 耐食性および溶接性の優れたラインパイプ - Google Patents

耐食性および溶接性の優れたラインパイプ

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JPH05163555A
JPH05163555A JP32725591A JP32725591A JPH05163555A JP H05163555 A JPH05163555 A JP H05163555A JP 32725591 A JP32725591 A JP 32725591A JP 32725591 A JP32725591 A JP 32725591A JP H05163555 A JPH05163555 A JP H05163555A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 石油・天然ガスの輸送に使われるラインパイ
プとして、湿潤炭酸ガスや微量の湿潤硫化水素を含む環
境中で優れた耐食性を有し、かつラインパイプの敷設現
地における円周溶接部などの溶接性等に優れた鋼管の提
供。 【構成】 輸送流体に直接接するラインパイプ内面側
を、重量%で、Cr:7.5〜16%を含有し、Cを
0.03%以下、Nを0.02%以下に低減し、残部不
可避不純物及びFeからなる高Cr鋼、あるいはさらに
Ni等を含むかP,Sを低減した高Cr鋼とし、輸送流
体に直接接しない基材をC:0.02〜0.25%、S
i:0.01〜1.0%、Mn:0.05〜2.0%、
Al:0.005〜0.1%を含み、不純物としてPを
0.015%以下、Sを0.005%以下に低減し、残
部不可避不純物からなる鋼、あるいはさらにNb等を含
む鋼とし、全肉厚に対する高Cr鋼部分の厚さの割合を
25%以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶接性および耐食性の優
れたラインパイプに係り、さらに詳しくは例えば石油・
天然ガスの輸送に使われるラインパイプとして、湿潤炭
酸ガスや微量の湿潤硫化水素を含む環境中で優れた耐食
性を有し、かつラインパイプの敷設現地における円周溶
接部などの溶接性等に優れた鋼管に関する。
【0002】
【従来の技術】近年生産される石油・天然ガスは湿潤な
炭酸ガスや硫化水素を含有するものが増加している。こ
うした環境中で炭素鋼や低合金鋼が著しく腐食すること
は周知の事実である。従って、かかる腐食性の石油・天
然ガスの輸送に際してはラインパイプの防食対策とし
て、腐食抑制剤の添加が従来から一般的であった。
【0003】しかし、腐食抑制剤は海洋ラインパイプで
は腐食抑制剤の添加・回収処理に要する費用が膨大なも
のとなり、また海洋汚染の問題もあって使用が困難にな
りつつある。従って、腐食抑制剤を添加する必要がない
耐食材料に対するニーズが最近大きくなっている。
【0004】炭酸ガスを多く含有する石油・天然ガス用
の耐食材料としては、ステンレス鋼の適用がまず検討さ
れ、例えばL.J.クライン,コロージョン(Corr
osion)′84,ペーパーナンバー211にあるよ
うに、高強度で比較的コストの安い鋼としてAISI4
20鋼に代表されるような0.2%程度のCと12〜1
3%程度のCrを含有するマルテンサイト系ステンレス
鋼が広く使用されている。しかし、これらの鋼には強度
を得るために比較的多量の炭素が添加されている。
【0005】ラインパイプでは現地での敷設に際してパ
イプとパイプは溶接で接続されるのが常であるが、こう
した比較的多量の炭素を含有するマルテンサイト系ステ
ンレス鋼を通常の溶接方法で溶接すると、溶接熱影響部
の硬さが著しく上昇するとともに衝撃靭性が劣化する。
また、輸送流体中に硫化水素が含有されている場合に
は、溶接熱影響部の硬さ上昇は硫化物応力割れの危険性
を高め、ラインパイプの安全性低下をもたらす。
【0006】溶接後に例えば600℃以上に加熱する溶
接後熱処理を施せば溶接熱影響部の硬さを低下させ、靭
性もある程度改善することは可能ではあるが、ラインパ
イプ敷設現場でかかる熱処理を実施することは、温度管
理や品質保証上実質的に困難であるとともに膨大な費用
を要する。このため通常の溶接方法で溶接しても溶接熱
影響部の硬さ上昇が少なく、かつ溶接熱影響部も含めた
低温衝撃靭性に優れたラインパイプが求められている。
【0007】これに対して、マルテンサイト系ステンレ
ス鋼の炭素含有量を低減すれば、溶接熱影響部の硬さ上
昇を低減できるが、溶接熱影響部のミクロ組織が粗大な
フェライトとなるために衝撃靭性が著しく低下する。こ
れに対して本発明者らは既に特願平3−28960号な
どで溶接性に優れたラインパイプ用鋼を提案している
が、溶接部の硬さ抑制は必ずしも充分ではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこうした現状
に鑑みて、耐食性および溶接性に優れたラインパイプを
提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の目的
を達成すべく種々検討した結果、少なくとも腐食性の輸
送流体に接する面を耐食性に優れた低炭素の高Cr鋼と
し、内層を強度および靭性に優れた低合金鋼とすれば上
記の目的を達成できることを見出した。
【0010】即ち、少なくとも輸送流体に直接接するラ
インパイプ内面には溶接熱影響による硬さ上昇を低減す
るために極力炭素量を低減した高Cr鋼を配置し、輸送
流体に接しない基材を強度および靭性に優れる低合金鋼
とすれば、耐食性と溶接性の両方に優れたラインパイプ
が得られることを見出した。
【0011】さらに本発明者らは検討を進め、上記のよ
うな特性を与える高Cr鋼の基本組成として、Crを
7.5〜16%含有し、Cを0.03%以下、Nを0.
02%以下にそれぞれに低減することが耐食性の改善と
溶接熱影響部の硬さの低下などに非常に効果があること
が分かった。
【0012】さらにかかる高Cr鋼にNi,Cu,Mo
またはWのいずれか1種または2種以上を添加すると湿
潤炭酸ガス環境の耐食性をさらに改善できること、Pを
0.02%以下、Sを0.005%以下に低減すれば耐
食性の改善に効果があることなどを見出した。
【0013】一方、本発明者は強度および靭性を受け持
つ基材についても検討を進め、C:0.02〜0.25
%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.05〜2.
0%を含有し、Pを0.015%以下、Sを0.005
%以下に低減した鋼が適すること、かかる鋼にNb:
0.01〜0.15%、V:0.01〜0.1%、T
i:0.005〜0.1%、Mo:0.05〜0.7%
の1種あるいは2種以上を含有させると強度および靭性
を一段と向上できることを見出した。
【0014】さらに本発明者の検討によれば、必ずしも
溶接熱影響部の靭性が良くない高Cr鋼であっても、高
Cr鋼の厚さが全肉厚に占める割合が25%以下であれ
ば、基材として溶接熱影響部の靭性に優れる鋼を用いる
ことでラインパイプ全体としては良好な溶接熱影響部の
靭性を確保できることを見出した。
【0015】本発明は主に上記の知見に基づいてなされ
たものであり、第1発明の要旨とするところは、少なく
とも輸送流体に直接接するラインパイプ内面側を、重量
%で、Cr:7.5〜16%、Si:0.01〜1.0
%、Mn:0.01〜3.0%を含有し、C:0.03
%以下、Nを0.02%以下に低減し、残部不可避不純
物およびFeからなる高Cr鋼とし、輸送流体に直接接
しない基材をC:0.02〜0.25%、Si:0.0
1〜1.0%、Mn:0.05〜2.0%を含有し、不
純物としてPを0.02%以下、Sを0.005%以下
に低減し、残部不可避不純物からなる鋼とし、全肉厚に
対する高Cr鋼部分の厚さの割合を25%以下としたこ
とを特徴とする耐食性および溶接性の優れたラインパイ
プにある。
【0016】第2発明の要旨とするところは、第1発明
が対象とするラインパイプの高Cr鋼がさらに付加成分
として、Ni:4%以下、Cu:4.5%以下、Mo:
2.5%以下、W:5%以下のいずれか1種あるいは2
種以上を含有させた鋼を使用する耐食性および溶接性の
優れたラインパイプにある。
【0017】第3発明の要旨とするところは、第1発明
および第2発明が対象とするラインパイプの高Cr鋼の
中の不純物として、Pを0.02%以下、Sを0.00
5%以下に低減した鋼を使用する耐食性および溶接性の
優れたラインパイプにある。第4発明の要旨とするとこ
ろは、第1発明,第2発明および第3発明が対象とする
ラインパイプの輸送流体に直接接しない基材の鋼がさら
に付加成分として、Nb:0.01〜0.15%、V:
0.01〜0.1%、Ti:0.005〜0.1%、M
o:0.05〜0.7%のいずれか1種あるいは2種以
上を含有する耐食性および溶接性の優れたラインパイプ
にある。
【0018】
【作用】まず本発明においては、ラインパイプの少なく
とも輸送流体に直接接する内面側を高Cr鋼とするもの
であるが、これは勿論腐食性の内部流体に対する耐食性
を付与するためである。従って内面は必ず高Cr鋼でな
ければならない。これに対して外面側は腐食性の流体が
流れる訳ではないので、必ずしも高Cr鋼とする必要は
ないが、外面の耐食性確保の目的、あるいは製造プロセ
ス上の理由から外面側も高Cr鋼としても何ら問題はな
く、かつ外面側も高Cr鋼からなるラインパイプも本発
明の対象とするものである。要は内面あるいは内外面を
耐食性の優れた高Cr鋼とし、輸送流体に直接接しない
部分に溶接性に優れた鋼を配置することが重要である。
【0019】次に本発明で高Cr鋼の成分を限定した理
由を述べる。 Cr:Crは湿潤炭酸ガス環境における耐食性を付与す
るために必要な元素であって、含有量が7.5%未満で
は耐食性が充分ではなく、一方16%を超えて添加する
とその効果が飽和するばかりか溶接後の靭性低下が一段
と顕著であるから、上限含有量は16%とすべきであ
る。
【0020】Si:Siは脱酸のために有用な元素であ
って脱酸のために0.01%以上が必要であるが、1.
0%を超えると高Cr鋼の靭性が著しく低下するので上
限含有量は1.0%とする。
【0021】Mn:Mnは脱酸および高Cr鋼の靭性の
ために0.01%以上の添加が必要であるが、3.0%
を超えて添加してももはやその効果は飽和するのに加え
て、溶製時におけるMn蒸気の発生等、製造上の困難が
発生するので上限含有量は3.0%とする。
【0022】C:Cは溶接熱影響部における高Cr鋼の
硬さを著しく上昇させるとともに耐食性を低下させる元
素であり、溶接熱影響部における硬さを低く抑え、かつ
耐食性を確保するためにはCの上限含有量を0.03%
としなければならない。
【0023】N:NもCと同様に溶接熱影響部における
高Cr鋼の硬さを著しく上昇させる元素であり、溶接熱
影響部における硬さを低く抑えるためにはNの上限含有
量を0.02%としなければならない。
【0024】以上が本発明が対象とするラインパイプの
少なくとも内面側に使用される高Cr鋼の基本的成分で
あるが、本発明においては必要に応じてさらに以下の元
素を添加あるいは低減して特性をさらに一段と向上させ
たものも対象としている。
【0025】Ni:Niは高Cr鋼の耐食性をさらに改
善するのに効果があるが、4%を超えて添加してもその
効果は飽和するばかりか、いたずらにコストを上昇さ
せ、かつ溶接熱影響部の硬さを不要に上昇させるだけで
あるので上限含有量は4%とする。
【0026】Cu:CuもNiと同様に高Cr鋼の耐食
性をさらに改善するのに効果があるが、4.5%を超え
て添加してもその効果は飽和するばかりか、溶接熱影響
部の硬さを不要に上昇させるだけであるので上限含有量
は4.5%とする。
【0027】Mo:Moも高Cr鋼の耐食性、特に耐孔
食性をさらに改善するのに効果があるが、2.5%を超
えて添加してもその効果は飽和するばかりか、いたずら
にコストを上昇させ、かつ溶接熱影響部の靭性を過度に
低下させるだけであるので上限含有量は2.5%とす
る。
【0028】W:WはMoと同様に高Cr鋼の耐食性、
特に耐孔食性をさらに改善するのに効果があるが、5%
を超えて添加してもその効果は飽和するばかりか、いた
ずらにコストを上昇させ、かつ溶接熱影響部の靭性を過
度に低下させるので上限含有量は5%とする。
【0029】P:Pは多量に存在すると高Cr鋼の耐食
性を阻害するので、一段と優れた耐食性が必要な場合に
はPを0.02%以下とすると効果がある。
【0030】S:Sは多量に存在すると高Cr鋼の耐食
性、特に耐孔食性を阻害するので、一段と優れた耐食性
が要求される場合にはSを0.005%以下とすると効
果が大きい。
【0031】このほか高Cr鋼の成分として脱酸剤とし
てのAlの添加は本発明の主旨には反しない。また、必
要に応じて高Cr鋼中にCa,B,希土類元素を添加す
ることも可能であり、これらも勿論本発明の主旨には反
しない。
【0032】次に本発明で、基材となる鋼の成分を限定
した理由を述べる。 C:Cは基材がラインパイプとしての強度を確保するた
めに必要な元素であって、含有量が0.02%未満では
充分な強度が得られず、一方、0.25%を超えると溶
接熱影響部の衝撃靭性が低下するために上限含有量は
0.25%とする。
【0033】Si:Siは脱酸および強度向上のために
0.01%以上を添加する必要があるが、1.0%を超
えると延性が低下するので添加範囲は0.01〜1.0
%とする。
【0034】Mn:Mnも強化のために0.05%以上
を添加する必要があるが、2.0%を超えるともはやそ
の効果は飽和するので上限含有量は2.0%とする。
【0035】P:Pは溶接性および湿潤硫化水素環境で
の耐硫化物応力割れ性を損なうので0.015%以下に
制限すべきである。
【0036】S:Sも溶接性および湿潤硫化水素環境で
の耐硫化物応力割れ性を損なうので0.005%以下に
制限すべきである。
【0037】Al:Alは脱酸元素として必要な元素で
あって0.005%以上の添加が必要であるが、0.1
0%を超えると粗大な介在物を生成して衝撃靭性を低下
させるので、0.005〜0.10%の範囲とすべきで
ある。
【0038】以上が本発明が対象とするラインパイプの
基材として輸送流体に直接接しない位置に使用される鋼
の基本的成分であるが、本発明においては必要に応じて
さらに以下の元素を添加して特性をさらに一段と向上さ
せたものも対象としている。Nb:Nbは組織の微細
化、従って衝撃靭性の向上に有用な元素であって、充分
な効果を得るためには0.01%以上の添加が必要であ
る。一方、0.15%を超えて添加してもその効果は飽
和するのに対していたずらにコストを増加させるだけで
あるから上限含有量は0.15%とする。
【0039】V:Vも組織の微細化効果があり、かつ強
度向上にも有効であって、充分な効果を得るためには
0.01%以上の添加が必要である。一方、0.1%を
超えて添加してもその効果は飽和するのに対していたず
らにコストを増加させるだけであるから上限含有量は
0.1%とする。
【0040】Ti:Tiも組織の微細化、従って衝撃靭
性の向上に有用な元素であって、充分な効果を得るため
には0.005%以上の添加が必要である。一方、0.
1%を超えて添加してもその効果は飽和するのに対して
いたずらにコストを増加させるだけであるから上限含有
量は0.1%とする。
【0041】Mo:Moは基材の強度向上に有用な元素
であって、充分な効果を得るためには0.05%以上の
添加が必要である。一方、0.7%を超えて添加しても
その効果は飽和するのに対していたずらにコストを増加
させるだけであるから上限含有量は0.7%とする。
【0042】その他、Cr,Ni,Cu,B,Nの添加
は本発明の必須構成要件ではないが、これらの元素の添
加は強度上昇に有効であることから選択的に添加するこ
とは本発明の主旨に反するものではない。また、脱酸を
目的としたZrの添加や非金属介在物の形態制御を目的
としたCaあるいは希土類元素の添加も本発明の主旨に
何ら反するものではない。
【0043】本発明においては全肉厚に占める高Cr鋼
部分の厚さの割合は25%以下に限定するものである
が、その理由は、全肉厚に占める高Cr鋼部分の厚さの
割合が25%を超えると基材に如何に靭性の優れた鋼を
使用したとしてもラインパイプの溶接熱影響部における
靭性を確保することが困難になるためであり、溶接熱影
響部の靭性に優れた基材の割合を75%以上確保しなけ
ればならないためである。
【0044】本発明においては少なくとも輸送流体に直
接接する内面側が高Cr鋼であり、輸送流体に直接接し
ない基材が上記の成分を満足する鋼であり、全肉厚に占
める高Cr鋼部分の厚さの割合が25%以下であればそ
の製造方法は特に限定しない。
【0045】例えば溶融した高Cr鋼と普通鋼とを同時
に鋳造して外表面が高Cr鋼、内部が普通鋼からなる複
層スラブを製造し、これを熱間圧延して鋼板とした後に
通常のUOE鋼管あるいは電縫鋼管として溶接鋼管とす
る方法を用いることができる。あるいは溶融した高Cr
鋼と普通鋼とを同時に鋳造して外面側が普通鋼、内部が
高Cr鋼からなる複合ブルームを製造し、これを熱間圧
延あるいは熱間押し出しして継ぎ目無し鋼管とする方法
などを用いても勿論良い。
【0046】
【実施例】表1に示す成分の複合スラブあるいは複合ブ
ルームを溶製し、表中に示す如く肉厚10〜20mmの鋼
管とした。各鋼管における全肉厚に対する高Cr鋼部分
の厚さの割合は表1に併せて示した通りである。
【0047】次にこれらの鋼管を手溶接によって円周溶
接してラインパイプの現地溶接部に相当する継ぎ手を作
成した。溶接入熱は17kJ/cmであった。母材および該
円周溶接部の溶接熱影響部からJIS4号衝撃試験片
(フルサイズ)を採取して衝撃試験を行なった。また、
溶接熱影響部の最高硬さを荷重100gのマイクロビッ
カース測定で求めた。
【0048】母材の高Cr鋼部分から試験片を採取し
て、試験温度120℃のオートクレーブ中で炭酸ガス4
0気圧の条件で3%NaCl水溶液中に30日間浸漬し
て湿潤炭酸ガス環境における腐食試験を行ない、試験前
後の重量変化から腐食速度を算出した。腐食速度の単位
はmm/yで表わしたが、一般にある環境におけるある材
料の腐食速度が0.1mm/y以下の場合、その材料はそ
の環境で充分耐食的であり、使用可能であると考えられ
る。
【0049】試験結果を表1に併せて示した。表1の衝
撃試験結果において○は破面遷移温度が−40℃以下、
○は破面遷移温度が−40℃を超え−20℃以下、×は
破面遷移温度が−20℃を超え0℃以下、××は破面遷
移温度が0℃超であったことをそれぞれ表わしており、
溶接熱影響部最高硬さにおいて○○は最高硬さが250
未満、○は最高硬さが250超280未満、×は最高硬
さが280超400未満、××は最高硬さが400以上
であったことをそれぞれ表わしており、腐食試験結果に
おいて○○は腐食速度が0.05mm/y未満、○は腐食
速度が0.05mm/y以上0.1mm/y未満、×は腐食
速度が0.1mm/y以上0.5mm/y未満、××は腐食
速度が0.5mm/y以上であったことをそれぞれ表わし
ている。
【0050】なお、表1において比較鋼のNo.9はAI
SI420鋼であり、No.10は9Cr−1Mo鋼であ
って、いずれも従来から湿潤炭酸ガス環境で使用されて
いる従来鋼である。No.9および10はいずれも比較の
ために単管を試験材とした。
【表1】
【表2】 表1から明らかなように、本発明に従うラインパイプで
あるNo.1〜8は母材および溶接熱影響部の衝撃靭性が
格段に優れ、溶接熱影響部の硬さが充分低く、湿潤炭酸
ガス環境において120℃というラインパイプとしては
非常な高温であっても実用的に使用可能な腐食速度であ
る0.1mm/yよりも腐食速度が小さく、優れた耐食性
と溶接性を有していることが分かる。
【0051】これに対して比較例であるNo.9およびN
o.10は溶接部で溶接割れを生じている上に最高硬さ
は非常に硬い。また、比較例No.11〜13では本発明
の要件を満足していないために溶接熱影響部の硬さある
いは衝撃靭性に劣っている。
【0052】
【発明の効果】本発明は湿潤炭酸ガス環境における優れ
た耐食性と優れた溶接性を有するラインパイプを提供す
ることを可能としたものであり、産業の発展に貢献する
ところ極めて大である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/18 F16L 9/02 7123−3J

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも輸送流体に直接接するライン
    パイプ内面側を、重量%で、 Cr:7.5〜16%、 Si:0.01〜1.0%、 Mn:0.01〜3.0%、 を含有し、 Cを0.03%以下、 Nを0.02%以下、 に低減し、残部不可避不純物およびFeからなる高Cr
    鋼とし、輸送流体に直接接しない基材を C :0.02〜0.25%、 Si:0.01〜1.0%、 Mn:0.05〜2.0%、 Al:0.005〜0.1%、 を含有し、不純物として Pを0.015%以下、 Sを0.005%以下、 に低減し、残部不可避不純物からなる鋼とし、全肉厚に
    対する高Cr鋼部分の厚さの割合を25%以下としたこ
    とを特徴とする耐食性および溶接性の優れたラインパイ
    プ。
  2. 【請求項2】 高Cr鋼が、さらに付加成分として、 Ni:4%以下、 Cu:4.5%以下、 Mo:2.5%以下、 W :5%以下、 のいずれか1種あるいは2種以上を含有することを特徴
    とする請求項1に記載の耐食性および溶接性の優れたラ
    インパイプ。
  3. 【請求項3】 高Cr鋼中の不純物として、 Pを0.02%以下、 Sを0.005%以下、 に低減したことを特徴とする請求項1または2に記載の
    耐食性および溶接性の優れたラインパイプ。
  4. 【請求項4】 輸送流体に直接接しない基材の鋼がさら
    に付加成分として Nb:0.01〜0.15%、 V :0.01〜0.1%、 Ti:0.005〜0.1%、 Mo:0.05〜0.7%、 のいずれか1種あるいは2種以上を含有することを特徴
    とする請求項1,2または3に記載の耐食性および溶接
    性の優れたラインパイプ。
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Citations (7)

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