JPH05162777A - 防菌容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 容器に容れた飲料水などの液中での雑菌の繁
殖を防止するため、省エネルギー的で容易かつ安全で経
済的な防菌容器を提供する。 【構成】 容器の内側に酸化チタン膜を被覆したもの
で、防菌効果を上げるために予め内側に導電性の皮膜を
施した容器に酸化チタン膜を被覆したり、あるいはその
上にさらに白金膜を被覆する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、水中の雑菌の繁殖を防
止する容器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】飲料水などを瓶などの容器にいれて保存
する場合、室温で長期間放置して置くと雑菌が繁殖し、
腐敗して飲めなくなってしまう。これを防ぐためには、
防腐剤を添加したり、煮沸などして消毒した後、密封し
たりすることが行なわれている（平凡社、大百科事典、
１１巻、ｐ．４７３、９巻、ｐ．５１４) 。しかし、前
者の方法は毒性や安全性の点で問題があり、後者の方法
は経済性などの点で問題がある。また、冷蔵庫に保管す
れば長期間保存できるが、大量の飲料水などを保存する
場合には、経済性などの点で問題がある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の点に鑑
み、省エネルギー的で容易かつ安全に雑菌の繁殖を防止
できる経済的な防菌容器の提供を目的とするものであ
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この目的は本発明によれ
ば、容器の内側に酸化チタン膜を被覆することによって
達成される。このとき、防菌効果を上げるために予め内
側に導電性の皮膜を施した容器に酸化チタン膜を被覆し
てもよいし、あるいはその上にさらに白金膜を被覆して
もよい。本発明による防菌容器に飲料水などを容れて置
けば、太陽光や電灯などの光を受けて、酸化チタン膜に
電子や正孔が生成して酸化還元を行うため、その作用に
より雑菌の繁殖を防止でき、室温で長期間の保存が可能
である。

【０００５】本発明に用いられる容器の材質は、必要な
強度を持っていればコンクリート、ガラス、プラスチッ
ク、セラミックス、金属など、何でもよい。また、本発
明に用いられる容器の材質は透明であっても不透明であ
ってもよいが、透明の方が光が外側から基板を透過して
入射できるため、好都合である。特に、石英ガラスやバ
イコールガラス、パイレックスガラスなど、紫外線を通
すものが好ましい。

【０００６】本発明に用いられる導電性の皮膜として
は、銅やアルミニウムなどの皮膜が挙げられるが、酸化
錫やＩＴＯ（インジウム・錫酸化物）、酸化亜鉛などの
光をよく通す透明導電膜が好ましい。

【０００７】本発明に用いられる防菌容器の形状は、角
柱状、円柱状、球状、円錐状、瓢箪型、ラグビーボール
型など、どのような形であってもよい。また、基板が閉
じた形であっても、蓋があってもなくてもよく、円管状
や角管状であってもよい。

【０００８】本発明による用いられる防菌容器は、四塩
化チタンとアルコールとの反応によって得られるチタン
のアルコキシドなどからチタニアゾルを作り、ディップ
コーティング法やスピンコーティング法、塗布法、スプ
レー熱分解法などによって容器の内側にコートした後、
焼成して製作してもよいし、超微粒子の酸化チタンの懸
濁液をディップコーティング法やスピンコーティング
法、塗布法、スプレー法などによって容器の内側にコー
トした後、焼成して製作してもよい。その時の焼成温度
は５００℃程度が最も好ましい。また、チタン板をガス
炎などで加熱・酸化して作った酸化チタン板や、ディッ
プコーティング法やスプレー熱分解法、スピンコーティ
ング法、塗布法などによってチタニアゾルをコートした
後、焼成して作った酸化チタン膜を被覆した基板を組み
立て、接着して制作してもよい。

【０００９】本発明に用いられる容器に導電膜を被覆す
る方法としては、電解鍍金法やＣＶＤ法、ＰＶＤ法、ス
パッタリング法などが挙げられる。また、本発明に用い
られる酸化チタン膜を被覆した容器に白金膜を被覆する
方法としては、光電着法やＣＶＤ法、ＰＶＤ法、スパッ
タリング法などが挙げられる。

【００１０】こうして得られた防菌容器に飲料水などを
容れて置けば、太陽光や、電灯などの光を受けて、酸化
チタン膜に電子や正孔が生成して酸化還元を行うため、
その作用により雑菌の繁殖を防止でき、室温で長期間の
保存が可能である。

【００１１】

【実施例】本発明の実施例の内で特に代表的なものを以
下に示す。

【００１２】実施例１ パイレックスガラス製の透明な瓶の内側にゾル−ゲル法
で酸化チタン膜を被覆した後、５００℃で一時間加熱し
て防菌容器を製作した。そして、その中に天然の清水を
容れ、室温で明るいところに１か月間放置しておいた。
その結果、酸化チタン膜を被覆していない、ただのパイ
レックスガラス製の瓶に容れておいた場合には水が白く
濁ってきて雑菌が繁殖していたが、防菌容器に容れた場
合には水は透明のままで雑菌もほとんど検出されなかっ
た。

【００１３】実施例２ 無色透明の石英ガラス製の容器の内側にゾル−ゲル法で
酸化チタン膜を被覆したものを２ｇ／１の塩化白金酸カ
リウムのエタノール水溶液に入れ、マグネチックスター
ラーで攪拌しながら、１００Ｗの水銀ランプの光を４時
間照射し、光電着法で酸化チタン膜の表面に白金をコー
トした。これに天然の清水を容れ、明るいところに１か
月間放置しておいた。その結果、水は透明のままで雑菌
もほとんど検出されなかった。

【００１４】実施例３ ＩＴＯの透明導電膜を施したバイコールガラス製の容器
にゾル−ゲル法で酸化チタン膜を被覆した後、４５０℃
で１時間半加熱して防菌容器を製作した。そして、その
中に天然の清水を容れ、室温で明るいところに１か月間
放置しておいた。その結果、酸化チタン膜を被覆してい
ないただのバイコールガラス製の瓶に容れておいた場合
には水が白く濁ってきて雑菌が繁殖していたが、防菌容
器に容れた場合には水は透明のままで雑菌もほとんど検
出されなかった。

【００１５】実施例４ ＩＴＯの透明導電膜を施した硬質ガラス製の容器にゾル
−ゲル法で酸化チタン膜を被覆した後、その表面に白金
をコートし、防菌容器を製作した。そして、その中に天
然の清水を容れ、室温で明るいところに１か月間放置し
ておいた。その結果、酸化チタン膜を被覆していないた
だの硬質ガラス製の瓶に容れておいた場合には水が白く
濁ってきて雑菌が繁殖していたが、防菌容器に容れた場
合には水は透明のままで雑菌もほとんど検出されなかっ
た。

【００１６】

【発明の効果】本発明は以上説明したように、省エネル
ギー的で容易かつ安全に雑菌の繁殖を防止できる経済的
な防菌容器の提供を目的とするものである。本発明によ
る防菌容器は内側に酸化チタン膜を被覆したもので、防
菌効果を上げるために予め内側に導電性の皮膜を施した
容器に酸化チタン膜を被覆したり、あるいはその上にさ
らに白金膜を被覆したものもある。本容器に飲料水など
を容れて明るい所に置いておくだけで、容器が太陽光や
電灯などの光を受け、酸化チタン膜に電子や正孔が生成
して酸化還元を行うため、その作用により雑菌の繁殖を
防止できる。酸化チタンは、塗料や化粧品、歯磨き粉な
どにも使われている無毒で安全で耐久性のある物質であ
るため、飲料水などを室温で安全かつ経済的に長期間保
存できる。しかも、酸化チタン膜は光の干渉により、赤
や青、紫、緑など、美しい色を出すので、本発明による
防菌容器は飲料水の容器としてだけでなく、装飾用ある
いはオブジェとしても好適である。さらに、本発明によ
る防菌容器は金魚鉢や花瓶などにも用いることができ、
酸化チタン膜の酸化還元作用により水が活性化され、魚
や花を長生きさせることができる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 垰田 博史 名古屋市名東区平和が丘１丁目70番地猪子 石住宅４棟301号 (72)発明者 堀内 達郎 名古屋市北区八代町２丁目109番地八代寮 101 (72)発明者 鈴木 高広 名古屋市瑞穂区北原町３丁目11番地三旺マ ンション瑞穂北原102 (72)発明者 尾崎 利彦 愛知県西尾市熊味町南十五夜91 (72)発明者 加藤 薫一 愛知県小牧市大字岩崎400番地 株式会社 加藤機械製作所内 (72)発明者 横井 浩明 愛知県岩倉市八剱町野畑56番地 株式会社 アイワ内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 容器の内側に酸化チタン膜を被覆したこ
   とを特徴とする防菌容器。
2. 【請求項２】 容器の内側に導電性の皮膜を施し、さら
   にその上に酸化チタン膜を被覆したことを特徴とする防
   菌容器。
3. 【請求項３】 容器の内側に酸化チタン膜を被覆し、そ
   の上にさらに白金膜を被覆したことを特徴とする防菌容
   器。
4. 【請求項４】 容器の内側に導電性の皮膜を施し、その
   上に酸化チタン膜を被覆し、その上にさらに白金膜を被
   覆したことを特徴とする防菌容器。