JPH0516255U - ダイレクト・モールデイング用射出成型金型に於ける１チツプ多点ゲート構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 成型加工に発生するランナーを完璧に無くし
たダイレクト・モールディング用射出成型金型に於て、
ゲート・ホール開閉用バルブの下端部のチップに複数個
のバルブ用シャンクを設ける事に依り、１チップにて多
点ゲートの目的を達成し得る考案なり。 【構成】 ゲート・ホール開閉用バルブ７内に、温度セ
ンサーＴ，棒状ヒーターＨを内蔵し且つ、該開閉用バル
ブ７の下端部のチップＣに複数個のバルブ用シャンク７
´を設け、之を対設せるゲート・ホール６´に流体圧駆
動源８に依り、上昇Ｕ・下降Ｄせしめる様構成した１チ
ップ多点ゲート構造。 【効果】 合成樹脂成型業界にとっても、原材料・エネ
ルギー等の資源面からしても、生産性の向上，品質の向
上，資源の節約，…等其の効果は頗る甚大なるものあ
り。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、合成樹脂射出成型業界に於て、可成り以前から研究開発が進められ て来たにも不抱ず、今日、現在尚、成型製品の品質，金型内に於ける成型品分離 コンタクト部分の異常痕跡（オーバーフロー現象），等，…云うなれば開発者が 意図せんとする諸機能面にて満足度が達成し得ない、中途半端な段階に在る、ラ ンナーレス・モールディングに関し、設計上諸々の制約を受けるが故に、曾って は不可能とされて来た諸条件を一挙に解決へと導いた画期的なる，ダイレクト・ モールディング用射出成型金型に於ける１チップ多点ゲート構造に斯る。

【０００２】

【従来の技術】

扨て、従来より射出成型業界に於ては可成り以前よりランナーレス・モールデ ィングと称し射出成型を業として日常活動を営む業者は多々見かけられるものの 、何れの成型製品を見ても、ランナーレスと云う、工法からは縁遠い処の数多く の問題点を腹んでいるものであった。 即ち、ランナーレス・モールディングなるワーキング其のものの発想の原点が 、成型時に、成型製品部分のみを冷却固化し、これに至る迄の総べての経路は常 時、流動性有るメルトの状態を維持せしめつゝ、連続成型作業をば続行しなけれ ばならないと云う、絶対的条件が存在しているが故に、之が引いては幾多の手段 や工法等を複雑且つ、困難なものにせざるを得ない処迄、追い込んで了ったもの と云えよう。斯かる経過よりして、成型中のランナーをば完全に無くして了うと ころの成型工法はとなると、行き着くところは、ダイレクト・モールディング以 外には、適切なる工法は絶無と云えよう。 然し乍ら、ダイレクト・モールディングと簡単に云えるものの、それは固液二 相が零接点に於て共存すると云う、換言すれば、冷熱二律背反する成型条件に然 も其の接点エリアが零間隔でなければ之を達成する事が不可能と云う超人的な難 問が横たわっていると云えよう。 上述せる現状観点より、斯る問題を完璧にクリアーするは到底不可能であると 云う前提に立って、心ならずも、例えば金型内の成型製品の分離接点部に、前以 って０．３〜０．５mm程度の凹陷部を穿設し置き、該寸法内の異状痕跡（オーバ ーフロー現象と呼んでいるが）を、寸法的に吸収するが如き，其の場逃れの姑息 的な手段に依り，何んとか胡麻化しているのが従来からの技術と云い得る。 以上、詳述せる如きランナーレス・モールディングの現状技術をもってしては 、設計上なかんずく、設計寸法面に於ては当然の事乍ら、各種の制約や規制寸法 が存在する、…等、従来ランナーレス・モールディングに於ては、今尚、数多く の問題が山積している状況に在った。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

前項に於て、縷縷、詳述した如く、在来工法に基く、ランナーレス・モールデ ィングに在っては、数々の問題点が潜んでいたのであった。本考案は斯る点に鑑 み提案されたものにして、本考案の解決課題としては，凡そ次の点に在ると云え る。 即ち、ランナーレス・モールディングの基本線に立脚し、且つ、射出成型加工 のプロセスに於て、キャビテーにのみ溶融樹脂を充填せしめ、それに至る迄の湯 道内の樹脂は、キャビテー充填完了後、ネキスト射出サイクルに備えて流動性等 の成型諸条件が良好であり、ビフォアー射出サイクル同様、安定化した状態に置 く事が絶対不可欠なる条件であると云う体験的観点の許に、…「キャビテー充填 →樹脂冷却サイクル→樹脂硬化→成型製品ノックアウト」なるサイクル・プロセ ス中、成型機シリンダーの成型条件を完全に満足し得るベターポイントが絶対何 個所か複数存在するものであり、之のベターポイントをキャッチする事は、現状 エレクトロニクス計器を駆使すれば、容易に可能であると云う見解に立ち、本問 題に於ける基本的な解決を図らんとしたものである。そして更には、在来ランナ ーレス・モールディングの技術を以ってしては絶対不可能と看做されて来た処の 設計上の制約なかんずく設計寸法面に関しても、前述の基本的な構想をもとに、 例えば厚さが０．５mm以下の成型品や或いは亦、幅が２mm以下のリブ状彫込部に 対しては、射出口は絶対設けられない，…等に関し、思い切って１チップ材の先 端部加工を施す事に依って、一挙に問題解決へと導いたものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は、以上詳記せる見地より、在来ランナーレス・モールディングに於け る諸問題を根本的に解決せんとして、本来の意味での完璧なるランナーレス・モ ールディングが成立し、且つ、成型金型に於ては設計寸法上の制約は一切受けな い，…と云う目的を達成する為、凡そ次に掲げる４項目を挙げた。 即ち 成型プロセス中、オーバーフロー，糸引きが発生しない。 ネキストサイクルが、順調に然も連続してモールディング可能である。 成型製品ゲート口痕跡は、可及的トレースなること。 ゲート構成のエレメントであるチップは単一とし之を多点ゲート構造となす。 本考案は上記の４項目をクリアーすべく、次の順序にて手段を図った。即ち、 日常成型作業に於て「エゼクターピン温度とキャビテー温度とは殆んど近似して いるもので、樹脂温度より遙に低温であり、亦、完璧なるランナーレス・モール ディングに在っては即ち、ダイレクト・モールディングに在っては、射出終了直 後はバルブ先端温度と樹脂温度とは近似して居り且つ高温である」と云う現実よ り、離型時にバルブ先端の樹脂は、尚、流動性が残存しているであろう。換言す れば、エゼクターピン程、等温でなくても或る程度、許容され得る温度範囲が必 ずや存在するであろうと云う予測の許に、バルブ内部に該温度検知用の温度セン サー並びに棒状ヒーターを内蔵せしめ且つ、ゲート開閉用のバルブメカニズムと しては上昇・下降運動（Up-Down motion）に依り、チップ先端部分の複数本のシ ャンク部が、之に対向して穿設されたコンタクト・ゲートブッシュの夫々のゲー ト・ホールに嵌り込み、樹脂の流動を閉止せしめると云う基本的構造手段に基き 構成せるものである。 即ち、ゲート・ホール開閉用バルブ７に関し、下端部には適当数（之は２，３ ，４，…，ｎ個と必要に応じ適宜選択決定する。尚、実施例に於ては３個の場合 を示す）突出して形設せる複数個のシャンク７´，…を、キャビテー４の製品彫 込部５に臨んで固着されたコンタクト・ゲートブッシュ６のゲート・ホール６´ ，…に嵌り込み自在なる様対設せしめる一方、且つ、上端部を流体圧駆動源８（ 図の実施例ではエヤーシリンダーを示す）に螺着せしめて上昇Ｕ・下降Ｄ運動自 在なる如く装着せしゲート・ホール開閉用バルブ内に、温度センサーＴ及び棒状 ヒーターＨを内蔵せしめ、以って、成型機に設けられたコントロール装置よりの 信号に基き、上昇Ｕ運動、下降Ｄ運動を、適切なるインターバルを置いて、連続 して繰返す様構成したものである。

【０００５】

【作用】

本考案に斯るダイレクト・モールディング用射出成型金型に於ける１チップ多 点ゲート構造は、前述せる如き構造に依り成るものであるから、別紙図１〜図３ に明らかな如く、ゲート・ホール開閉用バルブ７内に深孔を穿設し且つ、下端部 のチップＣには適当数（２，３，…，ｎ個の任意の数、実施例では３個の場合を 示す）突出して形設せる複数個のバルブ用シャンク７´，…を、キャビテー４の 製品彫込部５に臨んで固着されたコンタクト・ブッシュ６のゲート・ホール６´ ，…に夫々嵌り込み自在なる様対設せしめる一方、上端部を流体駆動源８に螺着 せしめて上昇Ｕ・下降Ｄ運動自在なる如く装着せしめ、前記深孔穿設部分に温度 センサーＴ及び棒状ヒーターＨを内蔵せしめた事から、成型機に設けられたコン トロール装置（図は省略す）よりの信号に基づき、流体圧駆動源８が作動するに 従がって、ゲート・ホール開閉用バルブ７の上昇Ｕ時に在っては、キャビテー製 品彫込部５への溶融樹脂Ｍの射出充填を成さしめると共に、適切なるインターバ ル経過後、該、ゲート・ホール開閉用バルブ７を下降Ｄせしめ、コンタクト・ゲ ートブッシュ６のゲート・ホール６´，…をバルブ用シャンク７´，…にて閉止 せしめるに至り、以下、斯かる動作を連続して繰返すものである。 然も、斯る動作サイクル中、ゲート・ホール開閉用バルブ７の下端部のチップ Ｃ近傍の本体内部には温度センサーＴが内蔵され且つ棒状ヒーターＨも嵌挿され ている事から、常に的確なる温度をキャッチし得ると共に常に正しい情報が得ら れる所から、適切なるインターバル設定のもとに、該成型機シリンダー（図は省 略す）をベストコンディションにて稼働し得、為に、ダイレクト・モールディン グを完全に遂行するに至る。 尚、実施例中に於ける９はスプールブッシュ、１０はホローセット、１１はサ ポータースリーブ、ＣＬは熱膨張吸収用クリアランスを夫々表している。 本考案は斯くの如く構成したから、ゲート・ホール開閉用バルブ７の上昇Ｕ・ 下降Ｄ運動は、総べて当該成型機のシリンダー（図は省略す）に於ける成型条件 と、該ゲート・ホール開閉用バルブ７とがベスト・コンディションの下に運動し 得、然も該ゲート・ホール開閉用バルブ７下端部のチップＣには必要に応じた適 当数の突出せるバルブ用シャンク７´，…が、旋削加工に依り如何様にも加工し 得、亦、コンタクト・ブッシュ６のゲート・ホール６´，…は前記バルブ用シャ ンク７´，…に対設して穿孔加工すれば良い事から、之亦、実施面に関しては、 全く問題は存在しない。

【０００６】

【実施例】

本考案の実施例に関し、図１〜図３にて説明する。 先づ、本実施例に於ては、トッププレート１，マニホールド本体２並びにキャ ビテープレート３等を組合せて成る、ダイレクト・モールディング用射出成型金 型装置内に、ゲート・ホール開閉用バルブ７を装着せるものの場合を示したもの にして、図１は其の全体を表す一部省略の断面正面図、図２は図１に於ける要部 Ａの拡大図、図３は図２中のＢ−Ｂ矢視図を夫々表わしている。 即ち、ゲート・ホール開閉用バルブ７は、総べて当該成型機シリンダー（図は 省略）に於けるベスト成型条件に従がい、該成型機に設けられたコントロール装 置（図は省略）より信号に基き、例えばゲート・ホール開閉用バルブ７が上昇Ｕ すると、キャビテー４の製品彫込部５に臨んで固着されたコンタクト・ゲートブ ッシュ６のゲート・ホール６´，…よりバルブ用シャンク７´，…が抜けるので バルブは閉止状態より開放状態に至り、キャビテー製品彫込部５への溶融樹脂Ｍ の射出充填を成す。 然うして一定のインターバル後、再びコントロール装置よりの信号に依り、上 昇Ｕ位置に在った、ゲート・ホール開閉用バルブ７が下降Ｄ運動するので、前述 せるゲート・ホール６´，…をバルブ用シャンク７´，…にて完全に閉止せめる に至るものである。斯くして、成型作業に於ける１サイクル動作をば完了する事 と成り、以下之の動作を連続して繰返すに至るものである。

【０００７】

【考案の効果】

以上、詳述せる如く、本考案に依れば、凡そ次に挙げる実用的効果を奏すもの である。 ゲート・ホール開閉用バルブ内に温度センサーＴ、並びに棒状ヒーターＨを内 蔵せしめた構造となし且つ、該ゲート・ホール開閉用バルブ７本体其のものを、 上昇Ｕ・下降Ｄ（Up-Down motion）せしめる事に依り、最も必要とされる最適条 件を満足し得るシビアーな温度コントロール及びアップ・ダウン動作のグッド・ タイミングが的確にキャッチし得。 依って、完全なるランナーレス・モールディング即ち本当の意味での完全なる ランナーレス成型作業＝ダイレクト・モールディングを遂行し得。 ゲート・ホール開閉用バルブ７下端部のチップＣには、必要に応じたバルブ用 シャンク７´，…が自由に旋削加工し得る事から、従来から今日に至る迄解決し 得なかった設計寸法上の問題は絶無となった。 ランナーが完璧に無くなった事から、成型製品の品質が格段に向上。 安定した成型加工が可能となるので、樹脂の品質１００％発揮し得。 資源のロス，エネルギーのロスが著しく軽減される。 後仕上加工等が絶無となる。 従って〜項より日本国と云う国家的な立場からも或いは地球規模からして も、省資源，省エネルギー，…等其の実用的効果は頗る甚大なるもの有り。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に斯る一実施例を示すが、本図に在って
は、ダイレクト・モールディング用射出成型金型の全体
を表した一部省略の断面正面図を示す。

【図２】図１に於ける要部Ａの拡大図を示す。

【図３】図２に於けるＢ−Ｂ矢視図を表す。

【符号の説明】

１ トッププレート ２ マニホールド本体 ３ キャビテープレート ４ キャビテー ５ 製品彫込部 ６ コンタクト・ゲートブッシュ ６´ ゲート・ホール ７ ゲート・ホール開閉用バルブ ７´ バルブ用シャンク ８ 流体圧駆動源 ９ スプールブッシュ １０ ホローセット １１ サポータースリーブ Ａ 要部 Ｃ チップ ＣＬ 熱膨張吸収用クリアランス Ｈ 棒状ヒーター Ｔ 温度センサー Ｕ 上昇（図中の↑） Ｄ 下降（図中の↓）

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 トッププレート１，マニホールド本体２
   並びにキャビテープレート３等を組合せて成る、ダイレ
   クト・モールディング用射出成型金型装置内に於て、下
   端部には適当数突出して形設せる複数個のバルブ用シャ
   ンク７´，…を、キャビテー４の製品彫込部５に臨んで
   固着されたコンタクト・ゲートブッシュ６のゲート・ホ
   ール６´，…に夫々嵌り込み自在なる様対設せしめる一
   方、且つ、上端部を、流体圧駆動源８に螺着せしめて上
   昇Ｕ・下降Ｄ運動自在なる如く装着せしゲート・ホール
   開閉用バルブ内に、温度センサーＴ及び棒状ヒーターＨ
   を内蔵せしめ、以って、成型機に設けられたコントロー
   ル装置よりの信号に基き、前記せるゲート・ホール開閉
   用バルブ７の上昇時Ｕに在っては、キャビテー製品彫込
   部５への溶融樹脂Ｍの射出充填を成さしめると共に、適
   切なるインターバル経過後、該、ゲート・ホール開閉用
   バルブ７を下降Ｄせしめ、コンタクト・ゲートブッシュ
   ６のゲート・ホール６´，…をバルブ用シャンク７´，
   …にて閉止せしめる様構成した事を特徴とせる、ダイレ
   クト・モールディング用射出成型金型に於ける１チップ
   多点ゲート構造。