JPH05157484A - 熱交換器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 工数の増加や高コストとなることなく、最外
側伝熱フィンの伝熱性能を複数の伝熱フィンに近づけ
る。 【構成】 タンク２と、このタンク２の座板７に上端部
が差し込まれるチューブ３と隣設するチューブ３間に接
合された伝熱フィン４とを複数交互に設置したコア部５
と、このコア部５の両側に設置される最外側チューブ３
ａの外側に接合された補強材６とを備えたヒータコア１
を設けた。そして、補強材６に、複数の伝熱フィン４に
対してフィン高さが半分程度で、フィン伝熱面積の減少
を補うだけフィン肉厚が厚い突起部２１を複数突設した
フィン部１９を一体的に形成することによって、補強材
６のフィン部１９の放熱性能を複数の伝熱フィン４と同
等にした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば自動車の温水式
暖房装置のヒータコアや自動車のラジエータとして好適
な熱交換器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、例えば自動車の温水式暖房装
置には、図５に示したように、幅方向にチューブ１０１
と伝熱フィン１０２とを複数交互に設置したコア部１０
３と、複数のチューブ１０１の端部に接続されたタンク
１０４とを備えたヒータコア（実開昭６２−１３３８７
号公報など）１００が使用されている。なお、このヒー
タコア１００は、複数の伝熱フィン１０２のうち最も外
側に設置される最外側伝熱フィン１１２の側方に補強材
１０５を接合して、この補強材１０５により複数のチュ
ーブ１０１の耐内圧強度を増強している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のヒー
タコア１００は、図５に示したように、最外側伝熱フィ
ン１１２の片側（内側）しか最外側チューブ１１１と接
触しておらず、最外側伝熱フィン１１２のフィン効率が
その他の伝熱フィン１０２と比較して劣っていた。この
結果、その最外側伝熱フィン１１２の放熱性能を、その
他の伝熱フィン１０２と比較して低下させる要因となっ
ていた。

【０００４】そこで、最外側伝熱フィン１１２のフィン
効率をその他の伝熱フィン１０２と同等以上にするため
に、最外側伝熱フィン１１２のフィン高さをその他の伝
熱フィン１０２より低くし、且つそれによるフィン伝熱
面積の低下を補うためにフィン肉厚を厚くすることが考
えられる。ところが、このような形状に最外側伝熱フィ
ンを変更すると、組み付け時に伝熱フィン１０２を誤っ
て最外側チューブ１１１の外側に組み付けてしまう可能
性があったり、最外側伝熱フィンを形成する型とその他
の伝熱フィンを形成する型とを用意する必要があったり
する等、工数が増加し高コストとなるという不具合があ
る。本発明は、工数の増加や高コストとなることなく、
最外側伝熱フィンの伝熱性能を複数の伝熱フィンに近づ
けた熱交換器の提供を目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、所定の間隔で
幅方向に並設され、内部に熱媒体が流れる複数のチュー
ブ、および隣設するチューブ間に熱伝導可能に接合さ
れ、間を流れる空気に熱を伝える複数の伝熱フィンから
なるコア部と、このコア部の両側方に設置され、前記複
数のチューブの耐内圧強度を増強する補強材とを備えた
熱交換器において、前記補強材は、前記複数のチューブ
のうち最も外側に設置される最外側チューブに接合さ
れ、前記複数の伝熱フィンに対してフィン高さが低く、
且つフィン肉厚が厚いフィン部を一体形成した技術手段
を採用した。

【０００６】

【作用】本発明は、最外側チューブの外側に接合される
補強材に一体的に形成したフィン部のフィン高さを複数
の伝熱フィンに対して低くし、フィン部のフィン肉厚を
複数の伝熱フィンに対して厚くすることによって、フィ
ン効率が向上し、且つフィン伝熱面積の減少が補われる
ことによって、補強材のフィン部の伝熱性能が複数の伝
熱フィンに近づく。このように、補強材のフィン部に最
外側伝熱フィンの役割を持たせることによって、組み付
け時に最外側チューブの外側に誤って伝熱フィンを組み
付けてしまうことを防げる。さらに、複数の伝熱フィン
を形成する型と最外側伝熱フィンを形成する型とを用意
する必要がなくなる。

【０００７】

【実施例】本発明の熱交換器を図１ないし図４に示す一
実施例に基づいて説明する。図１および図２は本発明を
適用した自動車の温水式暖房装置のヒータコアを示した
図である。ヒータコア１は、２つのタンク２と、チュー
ブ３と伝熱フィン４とを複数交互に設置したコア部５
と、このコア部５の両側に接合された２つの補強材６と
から構成されている。２つのタンク２は、複数のチュー
ブ３の上下端部が差し込まれる複数の孔（図示せず）を
形成した座板７と、この座板７の外周縁に形成された側
壁８にろう付けや半田付け等により接合された蓋板１１
とから構成されている。上側のタンク２の蓋板１１は、
内部が温水が流入する入口室９と温水を流出する出口室
１０とに区画されている。その座板７の幅方向の両側に
は、補強材６の上端部をかしめにより固定するための折
返し部１２が形成されている。

【０００８】複数のチューブ３は、黄銅等の金属製で、
コア部５の幅方向に一定の間隔で並列され、内部に温水
（熱媒体）が流れて周囲を通過する空気と熱交換する流
通路１３を備える。これらのチューブ３のうち最も外側
に設置される最外側チューブ３ａには、図３に示したよ
うに、外側面１４および前後面１５、１６を囲むように
補強材６がろう付けや半田付け等により接合されてい
る。複数の伝熱フィン４は、断面形状がコルゲート状を
呈し、熱伝導効率の良好な銅等の金属製で、隣設するチ
ューブ３間に配設され、両側のチューブ３にろう付けや
半田付け等により接合されている。これらの伝熱フィン
４のうち最も外側に設置される１番目の外側伝熱フィン
４ａは、その両側が最外側チューブ３ａと２番目の外側
チューブ３ｂとの両方に接合されている。

【０００９】図４は補強材６の上端側を示した図であ
る。この補強材６は、熱伝導効率の良好な銅等の金属製
で断面形状がコの字状を呈し、複数のチューブ３の耐内
圧強度を増強するもので、上下端部にタンク２の座板７
に形成された折返し部１２に挿入されてかしめ固定され
る挿入片１７を形成している。また、補強材６の平板部
１８には、最外側伝熱フィンの役割を持つフィン部１９
がプレス加工によって一体的に形成されている。そのフ
ィン部１９は、平板部１８の外側面２０から側方側に向
けて打ち出された複数の突起部２１からなり、複数の伝
熱フィン４のフィン高さＨよりフィン高さを半分程度の
ｈにするとともに、複数の伝熱フィン４よりフィン肉厚
をフィン伝熱面積の減少を補うだけ厚くしている。

【００１０】さらに、補強材６の平板部１８の前後縁に
は、最外側チューブ３ａ側に向かって折り曲げられた平
行な２つのフランジ部２２が形成される。これらのフラ
ンジ部２２と平板部１８の内側面２３とは、図３に示し
たように、最外側チューブ３ａの外側面１４および前後
面１５、１６に接合される。

【００１１】このヒータコア１の作用を図１ないし図４
に基づいて簡単に説明する。一般に、伝熱フィン４の伝
熱面積がチューブ３の伝熱面積に比較して、放熱にどの
程度有効に寄与しているかを表す指標としてフィン効率
がある。伝熱フィン４同士の熱伝達率が等しい時、フィ
ン効率とフィン伝熱面積との積が等しければ、それらの
伝熱フィン４の放熱性能は等しくなると言える。図５に
示した従来のヒータコア１００の最外側伝熱フィン１１
２は、片側にしかチューブ１０１がないため、前述した
ように、その他の伝熱フィン１０２と比較するとフィン
効率が劣り、放熱性能が低下していた。

【００１２】そこで、この実施例では、１番目の外側伝
熱フィン４ａの肉厚を増加させることによりフィン効率
を向上させ、且つ最外側伝熱フィン１１２よりフィン高
さを低減することによるフィン伝熱面積の減少を補わせ
ることによって、コア部５の小型化にも拘らず、同等の
放熱性能を得ることができる。実際は、フィン部１９の
フィン高さを、最外側伝熱フィン１１２より低減するこ
とによってもフィン効率が向上する。

【００１３】なお、試作および実験によれば、同一熱伝
達率、同一フィンピッチ、同一フィン幅の時、肉厚１m
m、フィン高さ６mmの最外側伝熱フィンとして機能する
フィン部１９は、フィン肉厚が０．０６mm、フィン高さ
１０mmの１番目の外側伝熱フィン４ａと同等の放熱性能
となる。この結果、本実施例では、フィン部１９の高さ
が図５に示した従来のヒータコア１００の最外側伝熱フ
ィン１１２のフィン高さの半分程度で良いため、コア部
５の幅方向寸法を８mm縮めることができる。

【００１４】以上のように、フィン部１９の放熱性能を
複数の伝熱フィン４と同等にすることによって、タンク
２の幅方向寸法を図２において図示一点鎖線の位置Ｘよ
り小さくすることができ、ヒータコア１全体の幅方向寸
法を減少することができる。また、上述のように、補強
材６のフィン部１９に最外側伝熱フィンの役割を持たせ
ることによって、最外側チューブ３ａの外側に従来設置
された最外側伝熱フィンが不要となるので部品点数を軽
減できる。さらに、組み付け時に最外側チューブ３ａの
外側に誤って伝熱フィン４を組み付けてしまうことを防
止できるので工数を低減できる。そして、１種類の型で
複数の伝熱フィン４を形成することができるので低コス
トとなる。

【００１５】なお、補強材６の内側面２３が最外側チュ
ーブ３ａの外側面１４に、且つ２つのフランジ部２２が
最外側チューブ３ａの前後面１５、１６にまで折り曲げ
られてろう付けや半田付け等により直接接合されている
ため、最外側チューブ３ａの外側面１４や前後面１５、
１６の肉厚が増加することとなる。この結果、最外側チ
ューブ３ａの図示矢印Ａ方向の耐内圧強度も増強するこ
とができるので、最外側チューブ３ａの断面形状が太鼓
状に変形することを防止することができる。

【００１６】本実施例では、最外側伝熱フィンの役割を
持つフィン部１９として複数の突起部２１を形成した
が、複数の突起部２１にルーバやスリットを形成しても
良い。また、フィン部としてその他のフィン形状を採用
しても良い。本実施例では、放熱性能（伝熱性能）を同
等とするという前提で従来のヒータコアと比較して小型
化を図ったが、補強材の放熱部のフィン高さを伝熱フィ
ンと同等とすれば従来のヒータコアと比較して放熱性能
を増大させることができる。本実施例では、フィン効率
とフィン伝熱面積との積を変える要因として、フィン高
さとフィン肉厚を考慮したが、フィン高さとフィン肉厚
の他にフィンピッチ、フィン幅、フィンの熱伝達率等を
考慮しても良い。本実施例では、本発明を自動車の温水
式暖房装置のヒータコアに適用したが、本発明を自動車
のラジエータに適用しても良く、また冷房装置のエバポ
レータやコンデンサ等の熱交換器に適用しても良い。

【００１７】

【発明の効果】本発明は、補強材のフィン部のフィン高
さを複数の伝熱フィンに対して低くし、且つフィン部の
フィン肉厚を複数の伝熱フィンに対して厚くすることに
よって、最外側伝熱フィンの役割を持つ補強材のフィン
部の放熱性能を複数の伝熱フィンに近づけることができ
る。しかも、補強材のフィン部に最外側伝熱フィンの役
割を持たせることによって、組み付け時の間違いを防止
でき、さらに１種類の型で伝熱フィンを形成することが
できるので、工数を減少でき、且つ低コストとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のヒータコアを示した正面図である。

【図２】本発明のヒータコアの主要部を示した正面図で
ある。

【図３】本発明にかかるチューブと補強材とを示した断
面図である。

【図４】本発明にかかる補強材の上端側を示した斜視図
である。

【図５】従来のヒータコアの主要部を示した正面図であ
る。

【符号の説明】

１ ヒータコア（熱交換器） ３ チューブ ３ａ 最外側チューブ ４ 伝熱フィン ６ 補強材 １９ フィン部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 所定の間隔で幅方向に並設され、内部に
   熱媒体が流れる複数のチューブ、および隣設するチュー
   ブ間に熱伝導可能に接合され、間を流れる空気に熱を伝
   える複数の伝熱フィンからなるコア部と、このコア部の
   両側方に設置され、前記複数のチューブの耐内圧強度を
   増強する補強材とを備えた熱交換器において、 前記補強材は、前記複数のチューブのうち最も外側に設
   置される最外側チューブに接合され、前記複数の伝熱フ
   ィンに対してフィン高さが低く、且つフィン肉厚が厚い
   フィン部を一体形成したことを特徴とする熱交換器。