JPH0515595Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 この考案は暖房運転時の立上り特性を向上させ
た回転圧縮機の改良に関する。

(ロ) 従来の技術 従来の回転圧縮機は例えば特開昭59−217456号
公報に示されているように構成されている。ここ
で、この公報を参考に従来例を説明する。第４図
において、５０は密閉容器５１内に電動圧縮機本
体５２を収納した回転圧縮機、５３は電動圧縮機
本体５２で圧縮された冷媒を直接密閉容器５１外
に導出する一次吐出側冷媒管で、補助熱交換器５
４に接続され、冷媒もどり管５５より再び密閉容
器５１内に導入される。そして、冷媒ガスは二次
吐出側冷媒管５６より密閉容器５１外に出て、凝
縮器５７、減圧装置５８、蒸発器５９を通り低圧
側もどり管６０を通つてアキユームレータ６１に
入り、圧縮機吸入管６２で直接冷媒が電動圧縮機
本体５２に戻る。低圧側もどり６０には補助熱交
換器５４と熱交換関係にある低圧側熱交換器６３
があり、流入管６４、流出管６５とを低圧側もど
り管６０の接続点６６，６７に接続することでバ
イパス回路が形成されている。流入管６４には回
転圧縮機５０の起動と同時に所定の短時間だけ開
成する開閉弁６８が設置され、また、低圧側もど
り管６０のバイパス回路接続点６６，６７の間に
も開閉弁６９が設けられている。開閉弁６８及び
６９は互に反対の動作をするようにされている。

この構造では起動後短時間の間、電動圧縮機本
体５２により圧縮されて補助熱交換器５４に導か
れた冷媒で、低圧側熱交換器６３にバイパスされ
たもどり冷媒を加熱して、アキユームレータ６１
内での冷媒の再蒸発を容易にし、回転圧縮機５０
に液冷媒が戻らないようにしている。

(ハ) 考案が解決しようとする問題点 しかしながら、補助熱交換器５４に導入されて
もどり冷媒と熱交換された冷媒は冷媒もどり管５
５で密閉容器５１内に戻り、電動圧縮機本体５２
もモータ巻線を冷却し、回転圧縮機５０が起動後
なかなか温度上昇せず、暖房運転時の立上り特性
が悪くなる等の問題があつた。

この考案は上記の問題を解決するために、起動
時に回転圧縮要素で圧縮された冷媒をバイパス管
で直接アキユームレータに導いて短サイクル運転
を行ない、回転圧縮要素で圧縮される冷媒の温度
を上げるとともに、電動要素が冷媒で冷却されな
いようにし、この電動要素の温度上昇をはやめ、
暖房運転時の立上り特性を向上させることを目的
としたものである。

(ニ) 問題点を解決するための手段 この考案は回転圧縮要素の吐出側とアキユーム
レータとの間にバイパス管を接続し、この回転圧
縮要素の吐出側に流路切換弁を設け、この流路切
換弁の切替により起動時に回転圧縮要素で圧縮さ
れた冷媒をバイパス管からアキユームレータに導
き、運転時に圧縮冷媒を電動要素に導くようにし
たものである。

(ホ)作用 この考案は上記のように構成したことにより、
起動時に流路切換弁により回転圧縮要素で圧縮さ
れた冷媒をアキユームレータに導き、このアキユ
ームレータから回転圧縮要素に戻る冷媒の温度を
上昇させる短サイクル運転を行つて断熱圧縮され
る冷媒の温度を高めるとともに、電動要素に短サ
イクル運転時の圧縮冷媒が流れないようにし、か
つ、この電動要素の自己発熱で回転圧縮機自体の
温度を高くし、流路切換弁をアキユームレータ側
から電動要素側に切換えたときに回転圧縮要素で
圧縮される冷媒の温度を高くするとともに、自己
発熱によつて温度上昇した電動要素と前記冷媒を
熱交換させ、この電動要素の熱を効果的に利用し
て凝縮器に供給される冷媒の温度を高めてこの凝
縮器の初期の温度を高くするようにしたものであ
る。

(ヘ) 実施例 以下この発明を第１図乃至第３図に示す実施例
に基づいて説明する。

１は回転圧縮機、２は凝縮器、３が減圧装置、
４は蒸発器、５はアキユームレータであり、これ
らは配管接続されて冷凍サイクルを構成してい
る。回転圧縮機１は内部高圧の密閉容器６と、こ
の密閉容器内に上側に収納された電動要素７と、
下側に収納されてこの電動要素の回転軸８によつ
て駆動される回転圧縮要素９とで構成されてい
る。電動要素７は密閉容器６の内壁に固定された
巻線１０を有する固定子１１と、この固定子の内
部でエアギヤツプ１２を介して回転軸８に挿着さ
れた回転子１３とで構成されている。回転圧縮要
素９はシリンダ１４と、回転軸８の偏心部１５に
よつてシリンダ１４内を回転するローラ１６と、
シリンダ１４の開口を閉塞する上軸受部１７と下
軸受部１８と、この上軸受部に取付けられたカツ
プマフラー１９とにより構成されている。２０は
シリンダ１４に設けられた吐出通路で、この吐出
通路はカツプマフラー１９内と連通している。２
１はシリンダ１４に設けられた吸込通路で、この
吸込通路はアキユームレータ５と連通している。
２２は密閉容器６の上壁に取付けられた吐出管
で、この吐出管は凝縮器２に接続されている。ア
キユームレータ５は筒状ケース２３と、このケー
スの上壁に取付けられて蒸発器４に接続される流
入管２４と、筒状ケース２２の底壁に取付けられ
てこのケース内に上方に延びる流出管２５とで構
成されている。流出管２５はシリンダ１４の吸込
通路２１に接続されている。筒状ケース２３内の
下部の流出管２５には油戻し用の小孔２６が設け
られている。２７はバイパス管で、このバイパス
管はシリンダ１４の吐出通路２０とアキユームレ
ータ５の筒状ケース２３内の流出管２５とに接続
されている。２８はバイパス管２７の吐出通路２
０側に設けられた三方切換弁で、この三方切換弁
の一方に接続された配管２９は密閉容器６内の電
動要素７と回転圧縮要素９とで形成された空間３
０に開口している。

このように構成された回転圧縮機において、シ
リンダ１４内に流入した冷媒はローラ１６の回転
により圧縮され、カツプマフラー１９内に吐出さ
れる。この吐出された冷媒は吐出通路２０から三
方切換弁２８の一方に接続された配管２９を通つ
て密閉容器６内の空間３０に流入する。この空間
に流入して冷媒は電動要素７のエアギヤツプ１２
を通る際にこの電動要素の熱を奪つて吐出管２２
から凝縮器２に吐出される。この凝縮器内に流入
した冷媒は外気と熱交換して凝縮液化し、暖房作
用を行なう。そして、液冷媒は減圧装置３で減圧
され、蒸発器４で気化してアキユームレータ５を
介して回転圧縮機１に戻る。

三方切換弁２８をバイパス管２７側に切替えた
起動時には回転圧縮要素９で圧縮された冷媒が吐
出通路２０からバイパス管２７を通りアキユーム
レータ５の筒状ケース２３内の流出管２５に直接
流入する。この流出管に流入した冷媒は吸込通路
２１からシリンダ１４内に入り、再度圧縮され
る。そして、冷媒は短サイクル運転され、回転圧
縮要素９で圧縮される冷媒の温度が急速に高くな
る。しかも、回転圧縮要素９で圧縮された冷媒は
流出管２５に直接導かれ、アキユームレータ５の
筒状ケース２３内の液冷媒と熱交換されないよう
にしているので、短サイクル運転時の圧縮冷媒の
温度上昇をはやめられる。

また、電動要素７は冷媒で冷却されないように
されており、自己発熱により温度が高くなる。

したがつて、回転圧縮機１は回転圧縮要素９の
圧縮による熱と電動要素７の自己発熱による熱と
で急速に温度上昇する。

この状態で、三方切換弁２８を配管２９側に切
替えると、回転圧縮要素９で圧縮された冷媒は配
管２９を流れて空間３０に流入する。この空間に
流入した冷媒は電動要素７のエアギヤツプ１２を
通る際に高温に発熱した電動要素７の熱を奪つて
凝縮器２に吐出される。このため、凝縮器２は急
速に温度が上がるため、暖房運転時の立上り特性
が向上する。しかも、三方切換弁２８を配管２９
側に切替えたときに、凝縮器２のフアンをまわす
ようにすれば、暖房運転時の冷風吹出は防止され
る。

(ト) 考案の効果 以上のようにこの考案によれば、回転圧縮要素
の吐出側に電動要素側とアキユームレータ側とに
圧縮された冷媒の吐出ガス流を切換える流路切換
弁を設け、起動時に回転圧縮要素で圧縮された冷
媒をアキユームレータに導き、運転時に圧縮冷媒
を電動要素に導くように流路切換弁を切換えたの
であるから、起動時に回転圧縮要素からアキユー
ムレータに圧縮冷媒を戻す短サイクル運転を行
い、アキユームレータから回転圧縮要素に戻る冷
媒の温度を高めて起動初期の断熱圧縮される冷媒
の温度を上昇させることができるようにするとと
もに、電動要素の自己発熱と相まつて流路切換弁
を電動要素側に切換えたときに凝縮器の温度上昇
を速め、暖房運転時の立上がり特性を向上できる
ようにしたものである。しかも、この考案は回転
圧縮機の温度が上昇するまで凝縮器に冷媒を流さ
ないようにしたので、起動初期の冷風吹出を防止
できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図はこの考案を示し、第１図は
冷媒回路図、第２図は回転圧縮機の一部平面断面
図、第３図は回転圧縮機の縦断面図、第４図は従
来例を示す冷媒回路図である。 １……回転圧縮機、５……アキユームレータ、
６……密閉容器、７……電動要素、９……回転圧
縮要素、２０……吐出通路、２７……バイパス
管、２８……三方切換弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 密閉容器と、この容器内に収納された電動要素
   及び回転圧縮要素と、前記密閉容器外に設けられ
   たアキユームレータとを備え、このアキユームレ
   ータから回転圧縮要素へ冷媒を導き、かつ、前記
   回転圧縮要素の吐出側から電動要素を介して密閉
   容器外に圧縮された冷媒を吐出するようにした回
   転圧縮機において、前記回転圧縮要素の吐出側に
   は電動要素側とアキユームレータ側とに圧縮され
   た冷媒の吐出ガス流を切換える流路切換弁が設け
   られ、この流路切換弁は起動時に回転圧縮要素で
   圧縮された冷媒をアキユームレータに導き、運転
   時に圧縮冷媒を電動要素に導くように切換える弁
   であることを特徴とする回転圧縮機。