JPH0515381Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 考案の技術分野 本考案は、プレス金型装置の改良に関する。

従来技術 パンチング加工用のプレス金型は、一般的に、
パンチの付いた上型と、ダイの付いている下型と
により構成されている。一対の上型および下型
は、パンチとダイとを均一のクリアランスでかみ
合わせるために、ガイドポストによつて芯出し状
態で組み付けられている。しかし、プレスへの金
型の取り付け時に、上型はプレスのスライド下面
に取り付けられ、また下型はボルスターの上面に
それぞれ固定されるため、上型と下型のかみ合い
精度は、プレス機械の精度すなわちボルスターに
対するスライドの位置決め精度に依存し、それら
の芯ずれに直接影響してくる。

従来、この芯ずれを防止するために、金型精度
をよくするとともに、同時に精度のよいプレス機
械を使用することが必要であつた。しかし、金型
の加工精度やプレス機械の精度には限界があり、
通常の製品では問題がなくても、特に高い加工精
度の必要な部品などでは、その芯ずれが部品の加
工精度に大きな問題となる。

上記のように、従来のプレス機械によると、上
型がプレスのスライド下面に固定されているた
め、プレス機械の精度の悪さがダイとパンチとの
芯ずれの原因となる。

また、上型の可動量がプレスの上下動の長さす
なわちストローク長と同じために、スライド量が
大きく、ガイド部の摩耗がそれによつて速めら
れ、これが芯ずれの原因となり、加工精度の維持
が難しい。

さらに、金型全体の精度を出す必要があるため
に、金型製作時および金型の保守点検時の精度の
確保が難しく、安定な動作が期待できない。

考案の目的 したがつて、本考案の目的は、プレス用金型に
おいて、上型と下型とのずれを最小限度に抑える
ために、適切な構成すなわちプレス加工時にプレ
ス機械の精度の影響を受けず、充分な精度を長期
間に渡つて維持でき、また金型製作時に精度の出
しやすい構造とすることである。

考案の解決手段 上記目的の下に、本考案は、一対の上型と下型
との組み合わせのうち、下型をプレス機械のボル
スターに固定し、また対応の上型をプレススライ
ドから独立した状態で被加工材の通過を許容する
間隔を形成しながら下降自在に支持し、上記プレ
ススライドの下降時に独立上型を下型の方向に移
動させることにより、独立上型と下型との間の被
加工材に必要なプレス加工を施せるようにしてい
る。

なお、このプレス金型装置は、好ましい実施例
によると、複数のプレス加工部を有する順送り金
型の一部として組み付けられ、連続的な一連のプ
レス加工の過程で、必要なプレス加工に用いられ
る。

考案の構成 第１図は、本考案のプレス金型装置２０の全体
的な構成を示しており、また第２図、第３図およ
び第４図は特徴的な独立上型２１および下型２２
の構成を示している。

すなわち、このプレス金型装置２０はプレス機
械のプレスボルスター２３とプレススライド２４
との間に組み込まれる。

プレスボルスター２３は、その上面でダイホル
ダー１、ダイプレート３を固定的に保持してお
り、ダイプレート３の部分で上面開口型のダイ２
５を固定している。これらのダイホルダー１およ
びダイプレート３は、主下型３１を構成してい
る。

なお、被加工材１９は、スプリング２６によつ
て沈み込み可能なガイドリフター２７に案内さ
れ、ダイプレート３の上面を移動可能な状態で保
持されている。

また、プレススライド２４は、下面側で、パン
チホルダー２および保持部材４を介し、案内支持
ボルト２８によつて、ストリツパーバツキング６
およびストリツパープレート５をスプリングによ
つて下向きに付勢した状態で保持している。そし
て、保持部材４は、ダイ２５と対応する位置でパ
ンチ３０を有し、ストリツパープレート５および
ストリツパーバツキング６の内部を通過して、ダ
イ２５に突入できる状態で保持している。なお、
ダイプレート３と保持部材４との上下の対応関係
は、保持部材４に固定されたガイドポスト３３と
ダイプレート３設けられたガイド孔３４との嵌り
合いによつて保持されている。ここで、パンチホ
ルダー２、保持部材４、ストリツパープレート５
およびストリツパーバツキング６は、主上型３２
を構成している。

そして本考案の特徴的な部分は、独立上型２１
と下型２２とによつて組み立てられている。独立
上型２１は、上記保持部材４の下方に独立した状
態で位置しており、また下型２２は、ダイプレー
ト３の凹部分に組み込まれている。

この実施例の下型２２は、ダボ出しダイピース
７によつて構成されており、ダイプレート３の部
分に埋め込まれている。なお、ダボ出しダイピー
ス７の部分にノツクアウトピン１３がスプリング
１８によつて突出可能な状態で保持されている。

また、独立上型２１は、独立部パンチプレート
８、その下の独立部ストリツパープレート９、独
立部パンチプレート８の上の独立部バツクプレー
ト１０によつて構成されており、これらはダボ出
しダイピース７によつて固定されたガイドピン１
２に対し案内孔３５，３６により上下方向に位置
決め状態で上下動自在に保持されている。そし
て、独立部パンチプレート８と独立部バツクプレ
ート１０とは、一体的に組み合わせられており、
独立部パンチプレート８は、内部でダボ出しパン
チ１１を備え、独立部ストリツパープレート９を
貫通して、前記ダボ出しダイピース７のダイ
（孔）部分と対応させている。さらに、独立部ス
トリツパープレート９は、独立部パンチプレート
８の内部に組み込まれたシヨルダーボルト１５に
よつて上下動自在に保持され、かつスプリング１
７によつて下向き方向に付勢されている。またこ
の独立部ストリツパープレート９は、これにねじ
込まれたシヨルダーボルト１４によつて、ダボ出
しダイピース７に対し被加工材１９の通過を許容
する間隔を形成しながら、ダボ出しダイピース７
に対し上下動自在に支持されており、シヨルダー
ボルト１４の頭部に組み込まれたダイホルダー１
側のスプリング１６によつて上向き方向に付勢さ
れている。結局、独立部ストリツパープレート９
は、スプリング１７によつて下向きに付勢されて
いて、独立部パンチプレート８の下面から常に離
れた位置に有り、かつスプリング１７よりも弱い
スプリング１６によつて上向きに付勢されている
ため、下方のダボ出しダイピース７との間で被加
工材１９の通過を許す程度の間隔を形成してい
る。なお、独立上型２１の構成部分、つまり独立
部パンチプレート８、独立部ストリツパープレー
ト９、独立部バツクプレート１０およびダボ出し
パンチ１１は、ストリツパープレート５およびス
トリツパーバツキング６の空間３７の部分に嵌り
込める形状となつている。そして、独立部バツク
プレート１０の上面は、当接部３８として保持部
材４の下面に直接当接できる状態で対向してい
る。

考案の作用 第２図ないし第４図は、プレス加工の動作順序
を示している。

まず、第２図は、プレススライド２４が上死点
の位置にある状態を示している。この状態で、パ
ンチホルダー２、保持部材４、ストリツパープレ
ート５およびストリツパーバツキング６は、プレ
ススライド２４と一体となつて、そのストローク
長さ分だけ持ちあげられている。しかも、この時
点で、ダボ出し加工用の独立上型２１は主下型３
１および下型２２側に対しシヨルダーボルト１４
とスプリング１６とにより、数mm程度持ちあげら
れ、被加工材１９の通過を許す程度の間隔を形成
している。また、ダボ出しパンチ１１は、パンチ
プレート８に固定されており、スプリング１７と
シヨルダーボルト１５とによつて、ストリツパー
９からさらに数mm程度持ちあげられている。この
独立上型２１の位置精度は、ガイドピン１２によ
つて決められているため、プレススライド２４に
固定された保持部材４がプレスボルスター２３に
対し芯ずれを起こしても、独立上型２１は、それ
らの芯ずれの影響は受けない状態にある。

次に、第３図は、プレススライド２４が上死点
から下死点に向かう下降途中を示している。独立
上型２１の独立部ストリツパー９が主上型３２の
ストリツパープレート５により押さえ込まれ、こ
の結果被加工材１９が押さえ込まれている。つま
り、独立部ストリツパープレート９は、スプリン
グ１６によつて持ちあげられていた分だけ下降し
ている。この後、主上型３２の保持部材４が独立
上型２１のバツクプレート１０の当接部３８に当
たり、それを押さえ始めるため、スプリング１７
がたわみ、パンチプレート８に固定されているダ
ボ出しパンチ１１が下降して、被加工材１９にく
い込み、ダボ出し加工が開始される。

そして、第４図は、プレススライド２４が下死
点の位置ある状態を示している。ダボ出しパンチ
１１とダボ出しダイピース７とがかみ合つて、ダ
ボ出し加工が完了した状態である。この状態で
は、全てのスプリング１６，１７，１８がたわん
で押さえ込まれている。この後、プレススライド
２４は、上死点まで上昇を始め、以上の逆の順序
の動きで戻る。このダボ出し加工が行われる過程
で、被加工材１９は、パンチ３０およびダイ２５
と対応する位置で、パンチング加工が施される。

プレス（ダボ出し）加工は、これらの一連の動
きを１サイクルとして、被加工材１９の送り込み
毎に所定量の送り込み毎に繰り返される。

このように、本考案では、独立上型２１がプレ
ススライド２４の下降ストロークによつて押さえ
込まれるが、独立上型２１の上昇は、内部のスプ
リング１６，１７によつて持ちあげられる。この
ような動きのために、プレス機械の精度、および
一対の主下型３１、主上型３２などの金型全体の
上下の位置精度に関係なく、独立上型２１および
下型２２の精度のみで、プレス加工時の芯出しの
精度が決定される。また、この独立上型２１と下
型２２との相対的な移動量は、全体の金型のそれ
よりも極端に少なくてもすむため、滑り案内部の
摩耗も少なく抑えることができ、精度の維持とい
う点からも有利である。

したがつて、このようなプレス（ダボ出し）加
工によると、第５図に示すような芯ずれがほとん
ど無くなるため、加工後の被加工部材１９の積層
状態においても、第６図に示すように順序ずれる
こともなく、正しい積層状態の製品として組み立
てられる。

考案の他の実施例 上記実施例は、主下型３１および主上型３２に
対し、本考案の独立上型２１および下型２２を組
み込んで、いわゆる順序金型装置として構成して
いる。しかし、本考案は、前述の実施例に限定さ
れず、例えばプレスボルスター２３とプレススラ
イド２４との間に、独立上型２１と下型２２のみ
を組み込み、両者の間の芯ずれを充分に小さくし
て、金型の精度を高めるようにしてもよい。した
がつて、この場合、独立上型２１は、単なる保持
部材４を介してプレススライド２４によつて押し
下げられればよい。また、この保持部材４は、独
立上型２１に当接して、それを押し下げる形状の
ものなら実施例のものに限定されない。

もちろん、本考案は、パンチング加工によら
ず、その他のプレス加工にも組み込まれ得る。

考案の効果 本考案では、次のような効果が得られる。

第１に、部分的に特に精度の必要な工程につい
て、独立上型がプレススライドから独立に構成さ
れており、それらの上下動の精度に影響されない
ため、独立上型と対応の下型との対応関係によつ
て、高い精度で芯出しが可能となる。

第２に、独立上型の可動量は、プレスのストロ
ーク長さに関係なく、２〜３〔mm〕程度と少なく
なつているため、プレス加工部のガイド部の摩耗
による芯ずれの発生が少なく、長い時間に渡つて
加工精度が維持できる。

第３として、精度の特に必要な部分がこの独立
部のみのために、狭い範囲での精度確保ですみ、
金型製作時の精度確保が従来よりも容易に行え
る。

さらに第４として、少なくとも、独立上型がプ
レススライドから独立しており、それから取り外
して調整できるため、プレス加工を続けているう
ちに精度が悪くなつても、その保守点検や修復な
どがプレススライドや保持部材のストロークに制
限されず、簡単に行える。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のプレス金型装置の垂直断面
図、第２図ないし第４図はプレス加工の順序を示
す要部の垂直断面図、第５図は芯ずれ量と加工位
置のずれとの説明図、第６図は加工製品の積層状
態での説明図である。 ４……保持部材、１２……ガイドピン、１４，
１５……シヨルダーボルト、１６，１７，１８…
…スプリング、１９……被加工材、２０……プレ
ス金型装置、２１……独立上型、２２……下型、
２３……プレスボルスター、２４……プレススラ
イド、３１……主下型、３２……主上型、３７…
…空間、３８……当接部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 上下動するプレススライドに取り付けられた
   保持部材と、該保持部材に対し下型側に独立に
   位置した独立上型と、プレスボルスターに取り
   付けられた下型とを備え、上記独立上型は上記
   下型上に被加工材の通過を許容する間隔をあけ
   て下降自在に支持され、上記保持部材の下降移
   動域内で上記保持部材と当接する当接部を上記
   独立上型に形成してなることを特徴とするプレ
   ス金型装置。 (2) 複数のプレス加工部を有する順送り金型の少
   なくとも一部に上記プレス金型装置を組み込ん
   でなることを特徴とするプレス金型装置。