JPH05148907A - 住戸ユニツトからなる建築物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 隣接配置されている住戸ユニット間の隙間が
小さくても、床チャンネル材の横座屈防止、剛性及び耐
力の強化を行うことが可能となり、さらには、能率的に
作業を行うことが可能な住戸ユニット空なる建築物を提
供することを目的とするものである。 【構成】 四隅に配置された４本の柱の上端部間及び下
端部間に天井梁７，９及び床梁１１，１３を架け渡して
内部に居住空間を設けてなるボックス型の住戸ユニット
を、僅かに隙間を設けた状態で前後左右に隣接配置し、
かつそれら各住戸ユニットの上に各階を構成する住戸ユ
ニットを積み重ねて相互に一体化してなる住戸ユニット
からなる建築物である。そして、前後左右に隣接配置さ
れた住戸ユニット同士の対向する床梁１１，１３間の隙
間には、床梁１１，１３の変形を防止する梁補強金具２
０が嵌入されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、前後左右上下に隣接配
置した住戸ユニットからなる建築物に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、予め工場でボックス型に製造され
た複数の住戸ユニットを積層して住宅を構成する工業化
建築物が知られている。

【０００３】前記住戸ユニット１は、図５に示すよう
に、四隅に配置された４本の角型鋼管からなる柱２、
３、４、５と、柱２、３、４、５の上端部間および下端
部間に架け渡された天井梁（天井チャンネル材）６、
７、８、９及び床梁（床チャンネル材）１０、１１、１
２、１３とで直方体状のユニットフレームが形成されて
いる。そして、天井チャンネル材７、９間及び床チャン
ネル材１１、１３間に小梁１４…、１５…が架け渡され
とともに、図示しない外壁パネル、内壁パネル、天井パ
ネル、床パネルなどが取り付けられることにより内部に
居住空間Ａを設けて住戸ユニットが形成される。

【０００４】そして、この住戸ユニット１は、前後左右
に隣接して複数配置され、これら住戸ユニットの上に別
の住戸ユニットが複数重ね合わされ、相互に一体化され
ることにより建築物が構築される。ここで、前後左右に
隣合う住戸ユニット１同士や、上下に積み重ねられて隣
合う住戸ユニット１同士は、離間して配置されている。
すなわち、隣合う住戸ユニット同士の柱、上梁及び下梁
間には、所定の隙間が設けられた状態で配置されるよう
になっている。

【０００５】ところで、上述した複数の住戸ユニット１
で構成される建築物においては、住戸ユニット内部（居
住空間）Ａへピアノ等の重量物を設置すると、局部的な
荷重が小梁１５にかかり、この小梁１５を両端で支持し
ている床チャンネル材１１、１３が横座屈を受けやすく
なる。

【０００６】そこで、床チャンネル材１１、１３の横座
屈等の変形を防止する構造として、従来、図６及び図７
に示す部材が使用されている。

【０００７】すなわち、図６は、前後若しくは左右方向
に隣合って配置されている住戸ユニット１ａ、１ｂの平
面視における下部側断面を示したものであるが、住戸ユ
ニット１ａ、１ｂ同士の対向している床チャンネル材１
１、１３間の隙間Ｔに、床床チャンネル材１、１３のウ
ェブ１１ａ、１３ｂに当接した状態で内部に、角型鋼管
１７が上方から落とし込まれて配設されている。

【０００８】そして、この角型鋼管１７は、図７に示す
ように、床チャンネル材１１、１３と角型鋼管１７の貫
通孔１８、１９を対応させ、角型鋼管１７内部から貫通
孔１８、１９にボルト２０を挿通させナット２１で締め
付けることにより床チャンネル材１１、１３に連結固定
される。

【０００９】これにより、住戸ユニット内部（居住空
間）にピアノ等の重量物を設置しても、角型鋼管１７の
側面と当接している床チャンネル材１１、１３は、変形
が拘束されるので横座屈が防止されるとともに、重量物
の荷重が床チャンネル材１１、１３全体に分散されて剛
性及び耐力が増加された構造となる。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構
造では、前後左右に隣接配置された住戸ユニット１ａ、
１ｂの床チャンネル材同士の隙間Ｔに角型鋼管１７を挿
入し、その位置を保持した状態でボルト２０、ナット２
１の連結部材で床チャンネル材１１、１３に固定すると
いった取付動作を、各階の住戸ユニット間で行わなけれ
ばならないので、多くの時間と手間がかかる作業となっ
ていた。

【００１１】また、隣接配置されている住戸ユニット１
ａ、１ｂ間の隙間（床チャンネル材間の隙間）が小さく
なると、角型鋼管１７内部にボルトを差し込むことがで
きずに角型鋼管１７の使用が不可能となり、床チャンネ
ル材１１、１３の横座屈防止や剛性及び耐力の強化を行
うことができないという問題があった。

【００１２】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、隣接配置されている住戸ユニット間の隙間が小さく
ても、床チャンネル材の横座屈防止、剛性及び耐力の強
化を行うことが可能となり、さらには、能率的に作業を
行うことが可能な住戸ユニット空なる建築物を提供する
ことを目的とするものである。

【００１３】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１記載の
住戸ユニットからなる中高層建築物は、四隅に配置され
た４本の柱の上端部間及び下端部間に天井梁及び床梁を
架け渡して内部に居住空間を設けてなるボックス型の住
戸ユニットを、僅かに隙間を設けた状態で前後左右に隣
接配置し、かつそれら各住戸ユニットの上に各階を構成
する住戸ユニットを積み重ねて相互に一体化してなる住
戸ユニットからなる建築物であって、前後左右に隣接配
置された住戸ユニット同士の対向する床梁間の隙間に
は、床梁の変形を防止する梁補強金具が嵌入されている
ことを特徴とするものである。

【００１４】また、請求項２記載の住戸ユニットからな
る中高層建築物は、梁補強金具は、自身が嵌入されてい
る対向配置した床梁同士を連結するとともに、床梁の直
下に位置している住戸ユニットの対向する天井梁同士を
連結して、隣接配置されたた住戸ユニットの天井梁及び
床梁同士をつづり合わせた構造としていることを特徴と
するものである。

【００１５】さらに、請求項３記載の住戸ユニットから
なる中高層建築物は、梁補強金具は、対向配置した天井
梁若しくは床梁と連結する基板と、この基板中央の上下
面から突設して梁間の僅かな隙間に嵌入される突起部と
が具備されていることを特徴とするものである。

【００１６】

【作用】本発明の請求項１記載の住戸ユニットからなる
建築物によれば、前後左右に隣接配置された住戸ユニッ
ト同士の対向する床梁間の僅かな隙間には、床梁の変形
を防止する梁補強金具が嵌入されているので、住戸ユニ
ット内の居住空間にピアノ等の重量物を設置しても、梁
補強金具が床梁の横座屈防止が可能となる。

【００１７】また、請求項２記載の住戸ユニットからな
る建築物によれば、梁補強金具は、自身が嵌入されてい
る対向配置した床梁同士を連結するとともに、床梁の直
下に位置している住戸ユニットの対向する天井梁同士を
連結して、隣接配置された住戸ユニットの天井梁及び床
梁同士をつづり合わせた構造としているので、居住空間
内部へ重量物が設置されても、その荷重が床梁全体に分
散される。また、住戸ユニット同士の鉛直方向、水平方
向の剛性が強化される。

【００１８】さらに、請求項３記載の住戸ユニットから
なる建築物によれば、梁補強金具は、対向配置した天井
梁若しくは床梁と連結する基板と、この基板中央の上下
面から突設して梁間の僅かな隙間に嵌入される突起部と
が具備されているので、隣接配置された住戸ユニット間
の隙間が僅かであっても、取付操作が簡単でかつ確実に
床梁が補強される。さらにまた、住戸ユニット間の隙間
に突起部が嵌入されるので、正確に隙間間隔の調整を行
うことができる。

【００１９】

【実施例】本発明の住戸ユニットからなる建築物の実施
例について、図１ないし図４を参照して説明する。

【００２０】本発明の特徴は、図１に示すように、左右
に隣接配置された住戸ユニット１ａ、１ｂと、これら住
戸ユニット１ａ、１ｂの上に重ねられる住戸ユニット１
ｃ、１ｄとの梁チャンネル材間に、梁補強金具２０が配
設されていることである。

【００２１】梁補強金具２０は、図２に示すように、四
角板状の基板２１と、基板２０の中央部から基板面と直
交する方向に上下に延びる中空形状の突起部２２、２３
と、基板の縁部の上下面から突起部と平行に延びる外周
におねじが形成されたねじ部２４、２４と、ねじ部２
４、２４間に形成されたシノ穴３０とで構成されてい
る。

【００２２】ここで、基板の幅Ｌは、図１に示した左右
に隣接配置された住戸ユニット１ａ、１ｂの天井チャン
ネル材１１、１３の上部フランジと当接するように設定
されている。また、突起部の幅Ｒは、住戸ユニット１
ａ、１ｂの天井チャンネル材１１、１３の隙間幅（若し
くは住戸ユニット１ｃ、１ｄの床チャンネル材の隙間
幅）と同一に設定されている。また、突起部２２、２３
の先端部は、くさび状に形成されている。

【００２３】この梁補強金具２０は、図１に示すよう
に、住戸ユニット１ａ、１ｂ、１ｃ、１ｄ間の天井チャ
ンネル材７、９と床チャンネル材１１、１３に挟まれて
セットされている。ここで、図３に示すように、天井チ
ャンネル材７、９と床チャンネル材１１、１３には、梁
補強金具２０のねじ部２４が挿通する貫通孔２５が穿設
されている。

【００２４】梁補強金具２０は、住戸ユニット１ｂの天
井チャンネル材７の上フランジ７ａと、住戸ユニット１
ａの天井チャンネル材９の上フランジ９ａに、下向きピ
ン２４が貫通孔２５に挿通され、かつ下向き突起部２３
が天井チャンネル材７、９のウェブ７ｂ、９ｂ間に嵌め
込まれた状態で配設されている。そして、天井チャンネ
ル材７、９内部に突出したピン２４には、ナット２７が
ねじ込まれている。

【００２５】また、梁補強金具２０の上には、住戸ユニ
ット１ｄの床チャンネル材１１の貫通孔２５と、住戸ユ
ニット１ｃの床チャンネル材１３の貫通孔２５に上向き
ピン２４を挿通し、かつ床チャンネル材１１、１３のウ
ェブ１１ａ、１３ａ間に上向き突起部２２を挟み込んだ
状態で、住戸ユニット１ｃ、１ｄが配設されている。そ
して、床チャンネル材１、１３内部に突出したねじ部２
４には、ナット２５がねじ込まれている。

【００２６】次に、上記構成の梁補強金具２０を、住戸
ユニット１ａ、１ｂ、１ｃ、１ｄの梁チャンネル間に配
設する手順を、図１及び図３を参照して説明する。先
ず、左右に配置された住戸ユニット１ａ、１ｂの天井チ
ャンネル材９、７上に、貫通孔２５にピン２４を挿通さ
せ、かつ下向き突起部２３をウェブ７ａ、９ａ間で挟み
込んだ状態で梁補強金具２０を載置する。

【００２７】ここで、住戸ユニット１ａ、１ｂ間の隙間
が所定の幅より狭く、天井チャンネル材７、９のウェブ
７ａ、９ａ間に突起部２３が入り込めない場合には、下
向き突起部２３の先端部を隙間に挿入し、ハンマー等で
基板２１の上面を叩いて下向き突起部２３をウェブ間内
部に嵌入する。

【００２８】また、逆に住戸ユニット１ａ、１ｂ間の隙
間が所定の幅より大きく、貫通孔２５にピン２４を挿通
できない場合には、天井チャンネル材１１、１３に形成
されたシノ穴（図示せず）及び梁補強金具２０のシノ穴
３０にシノを通して、互いのシノ穴を合わせることによ
り住戸ユニット同士の位置を調整する。このように、住
戸ユニット１ａ、１ｂの天井チャンネル材７、９間に梁
補強金具２０をセットするだけで、住戸ユニット間の隙
間調整が簡単に行うことができる。そして、天井チャン
ネル材７、９内部に突出したねじ部２４に、ナット２７
をねじ込んで梁補強金具２０を固定する。

【００２９】次に、住戸ユニット１ａ、１ｂの上に、床
チャンネル材１１、１３の貫通孔２５にピン２４を挿通
させながら住戸ユニット１ｃ、１ｄを載置する。そし
て、床チャンネル材１１、１３の内側に突出したねじ部
２４にナット２７をねじ込む。これにより、床チャンネ
ル材１１、１３間に上向き突起部２２が挟み込まれた状
態で住戸ユニット１ｃ、１ｄが配設される。

【００３０】以下同様に、他の住戸ユニットの梁チャン
ネル間にも、梁補強金具２０を配設して前後左右及び上
下に住戸ユニット１を配設していくことによ建築物が構
築される。

【００３１】したがって、本実施例の住戸ユニットから
なる建築物においては、住戸ユニット１内の居住空間に
ピアノ等の重量物が設置されても、前後左右に隣接配置
された住戸ユニット１ｃ、１ｄ同士の対向する床チャン
ネル材１１、１３間の僅かな隙間に上向き突起部２２が
嵌入されているので、床チャンネル材１１、１３の横座
屈を防止することができる。

【００３２】また、梁補強金具２０は、自身が嵌入され
ている対向配置した床チャンネル材１１、１３同士を連
結するとともに、床チャンネル材１１、１３の直下に位
置している住戸ユニット１ａ、１ｂの対向する天井チャ
ンネル材７、９同士を連結するように、隣接配置した住
戸ユニットの天井チャンネル材及び床チャンネル材をつ
づり合わせた構造としているので、居住空間Ａ内部へ重
量物が設置されても、その荷重が床チャンネル材１１、
１３全体に分散され、床部の剛性及び耐力が強化された
構造となるとともに、住戸ユニット１同士の鉛直方向、
水平方向の剛性が強化された構造とすることができる。

【００３３】さらに、梁補強金具２０は、対向配置した
天井チャンネル材７、９若しくは床チャンネル材１１、
１３と連結する基板２１と、この基板２１中央の上下面
から突設して梁間の僅かな隙間に嵌入される突起部２
２、２３とが具備されているので、隣接配置された住戸
ユニット１間の隙間が僅かであっても、確実に床チャン
ネル材１１、１３を補強することができる。

【００３４】さらにまた、住戸ユニット１間の隙間に突
起部２２、２３が嵌入されるので、正確に隙間間隔の調
整を行うことができる。

【００３５】なお、図４に示すように、ねじ部２４をピ
ン形状として、天井チャンネル材７、９、床チャンネル
材１１、１３とのボルト結合を、ピン結合としたとして
も、本願発明の効果を十分に発揮することができる。

【００３６】また、図３において示した天井チャンネル
材７、９、床チャンネル材１１、１３のウェブ７ａ、９
ａ、１１ａ、１３ａと当接している突起部２２、２３を
ボルト結合により連結すると、さらに床チャンネル材１
１、１３の横座屈の防止と、つづり合わせ構造を確実に
することができる。

【００３７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項１
記載の住戸ユニットからなる建築物によれば、前後左右
に隣接配置された住戸ユニット同士の対向する床梁間の
僅かな隙間には、床梁の変形を防止する梁補強金具が嵌
入されているため、住戸ユニット内の居住空間にピアノ
等の重量物を設置しても、梁補強金具が床梁の横座屈を
防止することができる。

【００３８】また、請求項２記載の住戸ユニットからな
る建築物によれば、梁補強金具は、自身が嵌入されてい
る対向配置した床梁同士を連結するとともに、床梁の直
下に位置している住戸ユニットの対向する天井梁同士を
連結して、隣接配置された住戸ユニットの天井梁及び床
梁同士をつづり合わせた構造としているため、居住空間
内部へ重量物が設置されても、その荷重が床梁全体に分
散され、床部の剛性及び耐力が強化された構造となると
ともに、住戸ユニット同士の鉛直方向、水平方向の剛性
が強化された構造とすることができる。

【００３９】さらに、請求項３記載の住戸ユニットから
なる建築物によれば、梁補強金具は、対向配置した天井
梁若しくは床梁と連結する基板と、この基板中央の上下
面から突設して梁間の僅かな隙間に嵌入される突起部と
が具備されているため、隣接配置された住戸ユニット間
の隙間が僅かであっても、取付操作が簡単でかつ確実に
床梁を補強することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】住戸ユニット間に梁補強金具がセットされた状
態を示す斜視図である。

【図２】梁補強金具を斜視図である。

【図３】左右に隣接配置された住戸ユニットの床梁間
と、これら住戸ユニットの直下の住戸ユニットの天井梁
間にセットされた梁補強金具を示す断面図である。

【図４】梁補強金具の別の実施例を示す斜視図である。

【図５】本発明に使用される住戸ユニットを示す斜視図
である。

【図６】住戸ユニットの床梁を支持するために従来使用
されていた住戸ユニット間の角型鋼管を示す要部平面図
である。

【図７】角型鋼管を示す要部平面図である。

【符号の説明】 １ 住戸ユニット ２、３、４、５ 柱 ６、７、８、９ 天井梁 １０、１１、１２、１３ 床梁 ２０ 梁補強金具 ２１ 基板 ２２、２３ 突起部 ２４ ねじ部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 四隅に配置された４本の柱の上端部間及
   び下端部間に天井梁及び床梁を架け渡して内部に居住空
   間を設けてなるボックス型の住戸ユニットを、僅かに隙
   間を設けた状態で前後左右に隣接配置し、かつそれら各
   住戸ユニットの上に各階を構成する住戸ユニットを積み
   重ねて相互に一体化してなる住戸ユニットからなる建築
   物であって、 前後左右に隣接配置された住戸ユニット同士の対向する
   床梁間の隙間には、床梁の変形を防止する梁補強金具が
   嵌入されていることを特徴とする住戸ユニットからなる
   建築物。
2. 【請求項２】 梁補強金具は、自身が嵌入されている対
   向配置した床梁同士を連結するとともに、床梁の直下に
   位置している住戸ユニットの対向する天井梁同士を連結
   して、隣接配置されている住戸ユニットの天井梁及び床
   梁同士をつづり合わせた構造としていることを特徴とす
   る請求項１記載の住戸ユニットからなる建築物。
3. 【請求項３】 梁補強金具は、対向配置した天井梁若し
   くは床梁と連結する基板と、この基板中央の上下面から
   突設して梁間の僅かな隙間に嵌入される突起部とが具備
   されていることを特徴とする請求項１若しくは請求項２
   記載の住戸ユニットからなる建築物。