JPH05147499A - 自動車用シートのシートベルト装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 折畳み式のシートを使用状態にセットする時
に特別な作業を行なわなくてもシートベルトバックルを
自動的にシートクッションの座面上に配置せしめること
ができ、シート自体に過大な強度を必要とせず、シート
の軽量化を図り得るような自動車用シートのシートベル
ト装置を提供する。 【構成】 シートクッション２に切欠き孔４を形成する
と共に、この切欠き孔４に対応する自動車のフロア５上
にシートベルトバックル１５を回動可能に取付けてシー
トベルトバックル１５を巻ばね１６等の附勢手段にてフ
ロア５側に常時附勢し、シートクッション２が倒伏位置
（使用位置）に設定される場合にはシートベルトバック
ル１５が巻ばね１６の附勢力に抗して回動されてシート
クッション２の切欠き孔４を貫通した状態で起立され、
シートクッション２が起立位置（折畳み位置）に設定さ
れる場合にはシートベルトバックル１５が巻ばね１６の
附勢力に倒伏されるように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、シートクッションを前
方に起立させた状態でシートバックを前倒させて折畳む
ようにした自動車用シートのシートベルト装置に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】図５及び図６は、この種の型式の自動車
用シート２０に関連して配設されている従来のシートベ
ルト装置２１を示すものである。上述のシート２０はシ
ートクッション２２とシートバック２３とから成り、シ
ートクッション２２は、その前端側に設けられたヒンジ
２４を中心に回転されてフロア２５に対してほぼ９０°
に起立状態になされると共に、シートバック２３が支軸
２６を中心に前方側に回動されて倒伏された状態で折畳
まれるように構成されている。

【０００３】また、図６に明示する如く、上述のシート
ベルト装置２１は、シートクッション２２のフレーム２
７（以下においてシートクッションフレーム２７と記載
する）に固着されたブラケット２８と、このブラケット
２８にアンカーボルト２９にて固定されたアンカープレ
ート３０と、このアンカープレート３０にウェイビング
（帯ひも）３１を介して取付けられたシートベルトバッ
クル３２と、前記ブラケット２８に支軸３３を介して回
動可能に軸支されかつ図外の巻ばね等の附勢力にて所定
方向に常時附勢されているロック部材３４と、フロア２
５上に取付けられたストライカ３５とから構成されてい
る。かくして、シートクッション２２を使用位置にセッ
トした場合には、ロック部材３４が図６に示す如くスト
ライカ３５に係合されてロックされるようになってい
る。なお、シート２０を使用状態にセットする際には、
前記ウェイビング３１をシートクッション２２とシート
バック２３との接合箇所の隅部３６から前方に引き出
し、これにより、前記シートベルトバックル３２をシー
トクッション２２の座面２２ａに配置するようにしてい
る。

【０００４】また、図７は従来の別のシートベルト装置
３７を示すものである。本装置３７はフロア２５上にア
ンカーボルト３８にてアンカープレート３９を固着し、
このアンカープレート３９にウェイビング３１を介して
シートベルトバックル３２を取付けるようにしたもので
ある。この場合には、ウェイビング３１をシートクッシ
ョン２２とシートバック２３との間の隙間４０を通して
シート前方側に引き出し、シートベルトバックル３２を
シートクッション２２の座面２２ａ上に配置するように
している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
如き従来のシートベルト装置２１，３７では次のような
問題点がある。

【０００６】すなわち、図５及び図６に示す如くシート
ベルトバックル３２をシートクッション２２に取付ける
ようにした場合には、シートクッション２２に荷重が加
わると、その荷重は、ウェイビング３１、アンカープレ
ート３０、アンカーボルト２９、ブラケット２８、シー
トクッションフレーム２７、ロック部材３４及びフロア
２５を順次介して伝達されるため、これらのすべてに高
い強度が要求される。その上、部品点数が多くなり、シ
ート自体の重量が重くなるという問題点がある。

【０００７】また、図７に示す如くシートベルトバック
ル３２をフロア２５に取付けるようにした場合には、ウ
ェイビング３１をシートクッション２２とシートバック
２３との間の隙間４０から引き出すようにした構造を採
用している関係上、一度シート２０を折畳み状態にセッ
トした後にシート２０を再び使用状態にする時に、ウェ
イビング３１を前記隙間４０に通してシートベルトバッ
クル３２をシートクッション２２の座面２２ａ上に配置
する作業が必要となる。なお、この作業をしなければ、
シートベルトバックル３２は図９に示す如くシートクッ
ション２２の下敷きになってしまい、シートベルトの装
着が不可能となるばかりでなく、最悪の場合、シートベ
ルトバックル３２やウェイビング３１等が傷つけられて
その機能が損なわれてしまう可能性がある。

【０００８】本発明は、このような問題点を解消すべく
なされたものであって、その目的は、シートを使用状態
にセットする時に特別な作業を行なわなくてもシートベ
ルトバックルを自動的にシートクッションの座面上に配
置せしめることができると共に、シート自体に過大な強
度を要せず、かつ、シートの軽量化をも図り得るような
構成の自動車用シートのシートベルト装置を提供するこ
とにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明では、シートクッションを前方に起立させ
た状態でシートバックを前倒させて折畳むようにした自
動車用シートのシートベルト装置において、前記シート
クッションに切欠き孔を形成すると共に、前記切欠き孔
に対応する自動車のフロア上にシートベルトバックルを
回動可能に取付けて前記シートベルトバックルを附勢手
段にて前記フロア側に常時附勢し、前記シートクッショ
ンが倒伏位置に設定される場合には前記シートベルトバ
ックルが前記附勢手段の附勢力に抗して回動されて前記
シートクッションの切欠き孔を貫通した状態で起立さ
れ、前記シートクッションが起立位置に設定される場合
には前記シートベルトバックルが前記附勢手段の附勢力
にて前記フロア上に倒伏されるように構成している。

【００１０】

【作 用】シートクッションが起立位置（折畳み位置）
から使用位置（倒伏位置）にセットされるのに伴って、
シートベルトバックルがシートクッションの切欠き孔を
介してシートクッション座面上に自動的に配置される一
方、シートクッションを起立位置にするのに伴ってシー
トベルトバックルが自動車のフロア上に自動的に倒伏さ
れる。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の一実施例に付き図１〜図４を
参照して説明する。

【００１２】図１は自動車用シート（リヤシート）１を
示すものであって、同図において、２はシートクッショ
ン、３はシートバックである。上述のシートクッション
２は、その前端部のヒンジ部（図示せず）を中心に回動
可能に自動車フロア５（図２参照）上に取付けられてお
り、図１及び図２に示す倒伏位置（使用位置）と、前方
側において起立した位置（折畳み位置）とに選択的に設
置され得るように構成されている。一方、上述のシート
バック３は、その下端部の軸（図示せず）を中心に回動
可能に配設されており、図１及び図２に示す起立位置
（使用位置）と、前方側に倒伏した位置（折畳み位置）
とに選択的に設置され得るように構成されている。

【００１３】かくして、シートクッション２を前方に起
立させてシートバック３を前倒させることにより、シー
ト１を折畳み状態にセットでき、これに応じてシートバ
ック３の上部に荷物収納用等のスペースを作ることがで
きるようになっている。

【００１４】また、シートクッション２には、その左右
中央箇所であってかつ後方側箇所に切欠き孔４が形成さ
れており、この切欠き孔４に対応する自動車フロア５上
の部分にはバックル保持装置６が配設されている。すな
わち、前記切欠き孔４に対応するフロア５の箇所には、
バックル収納用凹部７が形成されており、この凹部７内
にバックル保持装置６が取付けられている。

【００１５】上述のバックル保持装置６は、図２及び図
４に示すように、フロア５の凹部７に固着されたアンカ
ープレート（取付ブラケット）８と、一対のワッシャー
９，１０及びスペーサ１１を介してナット１２及びボル
ト１３にてアンカープレート８に回動自在に取付けられ
た回動アーム１４と、この回動アーム１４の先端に取付
けられたシートベルトバックル１５と、前記回動アーム
１４をボルト１３を中心に図２において反時計方向に常
時附勢するために前記ボルト１３に装着された巻ばね１
６とから構成されている。

【００１６】また、図２に示すように、シートクッショ
ン２の後端の裏面には押圧ロッド１７が固着され、この
押圧ロッド１７に対応する前記回動アーム１４の一端
（シートベルトバックル１５とは反対側の端部）には、
屈曲片から成るロッド受け部１８が設けられている。し
かして、シートクッション２が使用位置にある場合に
は、回動アーム１４のロッド受け部１８が押圧ロッド１
７にて上方から押圧され、これにより、回動アーム１４
が巻ばね１６の附勢力に抗してボルト１３の軸線を中心
に時計方向に回動されるようになっている。

【００１７】ここで、本例のシートベルト装置の動作に
付き説明すると、次の通りである。まず、シートクッシ
ョン２が図２に示す如く使用位置にセットされている状
態の下では回動アーム１４のロッド受け部１８が押圧ロ
ッド１７にてフロア５側に押圧されるため、回動アーム
１４が巻ばね１６の附勢力に抗して時計方向に回動さ
れ、シートベルトバックル１５がシートクッション２の
切欠き孔４を通ってシートクッション２の座面２ａ上に
配置される。従って、このような状態の下で、乗員がシ
ート１に着座して図外のシートベルトを前記シートベル
トバックル１５に装着することができる。

【００１８】また、シート１を折畳むべくシートクッシ
ョン２を前方に起立させると、それに伴って押圧ロッド
１７によるロッド受け部１８への押圧力が図３に示す如
く解除されるため、回動アーム１４が巻ばね１６の附勢
力にてボルト１３の軸線を中心に反時計方向に回動され
る。そのため、回動アーム１４及びシートベルトバック
ル１５が図３に示すようにフロア５の凹部７内に収納配
置される。そして、このような状態の下で、シートバッ
ク３を前倒させると、このシートバック３はフロア５上
にほぼ水平に倒伏されて折畳まれる。

【００１９】なお、シート１を折畳んだ状態から再び使
用位置にセットすると、シートクッション２の回動動作
に応じて押圧ロッド１７が回動アーム１４のロッド受け
部１８に係合してこれを押圧するため、シートベルトバ
ックル１５が、再度、シートクッション２の座面２ａ上
に自動的に配置される。

【００２０】以上の如きシートベルト装置によれば、シ
ート１を使用位置にセットすればシートベルトバックル
１５がシートクッション２の切欠き孔４を通ってシート
クッション２の座面２ａ上に自動的に配置されると共
に、シート１を折畳めばシートベルトバックル１５がフ
ロア５の凹部７内に自動的に収納されるため、シート１
を使用位置にセットする時にシートベルトバックル１５
をシートクッション２とシートバック３との間の隙間を
通してシート前方に引き出す必要がなく、シートベルト
バックル１５がシートクッション２の下敷きになるよう
なこともない。しかも、シートベルトバックル１５はフ
ロア５に取付けられているため、シート１に必要以上の
強度がいらなくなり、シートの軽量化を図ることができ
る。さらに、シート１を使用状態にセットするのに応じ
てシートベルトバックル１５がシートクッション２の座
面２ａ上に出てくるため、乗員に対してシートベルトの
装着を促し、かつ、シートベルトの装着性も向上する。

【００２１】また、本例のように、フロア５にバックル
収納用凹部７を設けるようにしたので、シートベルトバ
ックル１５がフロア上に出っ張ることなく前記凹部７内
に収納されることとなる。そのため、シートバック３を
フロア５上に水平に折畳むことができ、荷物を載せるの
に支障を来すことがない。

【００２２】以上、本発明の一実施例に付き述べたが、
本発明は既述の実施例に限定されるものではなく、本発
明の技術的思想に基づいて各種の変更及び変形が可能で
ある。例えば、回動アーム１４の形状は必要に応じて任
意に変更可能であり、またこの回動アーム１４を附勢す
る手段としては巻ばね１６に限らず、引張ばねや圧縮ば
ね等も使用可能である。

【００２３】

【発明の効果】以上の如く、本発明は、シートクッショ
ンが使用位置にセットされた時にはシートベルトバック
ルがシートクッションの切欠き孔を通してシートクッシ
ョンの座面上に自動的に配置され、かつ、シートクッシ
ョンが折畳み位置に起立された時はシートベルトバック
ルがフロア上の倒伏位置に自動的に配置されるように構
成したものであるから、シートを使用状態にするに際し
てシートベルトバックルをいちいち所定位置に設置する
操作を行なわずに済むと共に、シートベルトバックルが
シートクッションの下敷きになってしまう心配がない。
しかも、シートを使用状態にセットした場合には、シー
トベルトバックルが自動的に必ずシートクッションの座
面上に出るので、乗員に対しシートベルトの装着を促す
という副次的な効果を奏する。また、シートベルトバッ
クルはフロア上に取付けられるようにしているため、シ
ートベルトからシートに過大な荷重が作用することがな
く、従って、シートの強度の増大を図る必要がなく、シ
ートの軽量化を図ることが可能となる。その上、本発明
に係る自動車用シートのシートベルト装置は、上述の如
き種々の実用的な作用効果を奏し得るものでありなが
ら、比較的構成が簡易で安価に済むという利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】自動車用シート（リヤシート）の斜視図であ
る。

【図２】図１におけるＡ−Ａ線断面図である。

【図３】自動車用シートのシートクッションを起立方向
（折畳み方向）に回動させた状態を示す図２と同様の断
面図である。

【図４】シートベルトバックルの取付構造を示す分解斜
視図である。

【図５】従来のシートベルト装置を備えた自動車用シー
トの側面図である。

【図６】従来のシートベルト装置の要部拡大側面図であ
る。

【図７】従来の別のシートベルト装置を備えた自動車用
シートの側面図である。

【図８】前記シートを折畳んだ状態の下での前記シート
ベルト装置を示す側面図である。

【図９】シートベルトバックルがシートクッションの下
敷きになっている状態を示す前記シートの側面図であ
る。

【符号の説明】

１ 自動車用シート（リヤシート） ２ シートクッション ３ シートバック ４ 切欠き孔 ５ フロア ６ バックル保持装置 ７ 凹部 １５ シートベルトバックル １６ 附勢手段としての巻ばね １７ 押圧ロッド １８ ロッド受け部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シートクッションを前方に起立させた状
   態でシートバックを前倒させて折畳むようにした自動車
   用シートのシートベルト装置において、前記シートクッ
   ションに切欠き孔を形成すると共に、前記切欠き孔に対
   応する自動車のフロア上にシートベルトバックルを回動
   可能に取付けて前記シートベルトバックルを附勢手段に
   て前記フロア側に常時附勢し、前記シートクッションが
   倒伏位置に設定される場合には前記シートベルトバック
   ルが前記附勢手段の附勢力に抗して回動されて前記シー
   トクッションの切欠き孔を貫通した状態で起立され、前
   記シートクッションが起立位置に設定される場合には前
   記シートベルトバックルが前記附勢手段の附勢力にて前
   記フロア上に倒伏されるように構成したことを特徴とす
   る自動車用シートのシートベルト装置。