JPH05141517A - 自動変速機の油圧制御装置 - Google Patents

自動変速機の油圧制御装置

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Publication number
JPH05141517A
JPH05141517A JP3300732A JP30073291A JPH05141517A JP H05141517 A JPH05141517 A JP H05141517A JP 3300732 A JP3300732 A JP 3300732A JP 30073291 A JP30073291 A JP 30073291A JP H05141517 A JPH05141517 A JP H05141517A
Authority
JP
Japan
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shift
hydraulic
speed
valve
automatic transmission
Prior art date
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Pending
Application number
JP3300732A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Yoshimura
洋 吉村
Takuji Fujiwara
卓治 藤原
Mitsutoshi Abe
充俊 安部
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 バックアウト変速時においても適正なライン
圧を設定することができ、変速ショック、変速時間の間
延び等の発生を有効に防止することができ、かつ制御機
構を簡素化することができる自動変速機の油圧制御装置
を提供する。 【構成】 各種摩擦締結要素21,23,24,25,2
6,27と、油圧機構FSと、ライン圧制御手段Lと、
変速時のライン圧目標値を変速の種類とスロットル開度
とに応じて設定するコントロールユニット32とが設け
られた自動変速機ATにおいて、コントロールユニット
32が、自動変速機ATのバックアップ変速時には、上
記ライン圧目標値を、変速の種類ないし特性と、タービ
ン回転数と、スロットル開度とに応じて補正するように
なっていることを特徴とする。好ましくは、上記変速特
性が、2−4ブレーキ26がオン作動するかそれとも3
−4クラッチ24がオン作動するかで区別されるか、あ
るいは変速後の変速段で区別されることを特徴とする。
さらには、所定の低スロットル開度領域でのみライン圧
目標値の補正が行なわれることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動変速機の油圧制御装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車用の自動変速機にはトル
クコンバータと変速歯車機構とが直列に設けられ、トル
クコンバータはエンジン出力軸のトルクを変速してター
ビンシャフトに伝達し、変速歯車機構は上記タービンシ
ャフトのトルクをさらに変速して駆動輪側に伝達するよ
うになっている。ここで、変速歯車機構は、通常、複数
のギヤを備えたプラネタリギヤシステムからなり、かか
る変速歯車機構には所定のギヤへのトルクの伝達をオン
・オフするクラッチ、あるいは所定のギヤを固定または
解放するブレーキ等の各種摩擦締結要素が設けられる。
そして、これらの各摩擦締結要素を作動させるために油
圧機構が設けられ、この油圧機構を介して各摩擦締結要
素のオン・オフ状態ないし固定・解放状態が切り替えら
れ、変速が行なわれるようになっている。
【0003】そして、近年普及しつつある電子制御式の
自動変速機においては、マイクロコンピュータからなる
コントロールユニットによって、スロットル開度とター
ビン回転数(または車速)とをパラメータとする変速マッ
プに従って、変速歯車機構の切り替え動作すなわち変速
が行なわれるようになっている。例えば、前進4段の自
動変速機の変速マップには、1速→2速、2速→3速、
3速→4速の3つのシフトアップラインと、2速→1
速、3速→2速、4速→3速の3つのシフトダウンライ
ンとが設定され、運転状態がかかるシフトアップライン
あるいはシフトダウンラインを横切ったときに、これに
対応する変速が行なわれるようになっている。
【0004】ところで、一般に自動変速機においては、
変速時における油圧機構の作動油圧すなわちライン圧
は、該変速にかかわる摩擦締結要素での動力伝達量等に
応じた適正な油圧でなければならず、ライン圧が必要以
上に高い場合には摩擦締結要素が急激に締結され、これ
によって変速ショックが生じてしまう。反面、ライン圧
が低過ぎると摩擦締結要素の締結に要する時間が長くな
り、迅速な変速動作が行なえなくなるとともに、摩擦締
結要素の異常摩耗あるいは異常発熱が生じてしまう。
【0005】そして、上記電子制御式の自動変速機にお
いては、変速の種類によって該変速にかかわる摩擦締結
要素での動力伝達量等が異なるので、変速ショックある
いは変速所要時間の間延び等の不具合の発生を防止する
ためには、かかる変速の種類に応じてライン圧を設定す
る必要がある。このため、電子制御式の自動変速機にお
いては、通常、変速時のライン圧は、エンジン負荷(ス
ロットル開度)と変速の種類とに応じて設定されるよう
になっている(例えば、特公昭61−48021号公報
参照)。具体的には、例えば図12に示すような、スロ
ットル開度と変速の種類とをパラメータとする油圧制御
マップに従って、変速時におけるライン圧制御が行なわ
れるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のライン圧制御手法では、エンジン負荷の急激
な低下に起因するシフトアップ変速いわゆるバックアウ
ト変速が行なわれるときには、次のような不具合が生じ
るといった問題がある。すなわち、図13に示すよう
に、通常の増速時においては、例えば矢印Yで示すよう
に、スロットル開度がほぼ横ばいの状態でタービン回転
数が比較的緩やかに上昇し、c点でシフトアップライン
L(例えば、1速→2速シフトアップラインとする)を横
切り、1速から2速へのシフトアップが行なわれること
になるが、このとき図12に示すような油圧制御マップ
の1→2変速欄における、当該スロットル開度に対応す
るライン圧が設定されることになる。
【0007】他方、バックアウト変速時には、例えば矢
印Xで示すように、スロットル開度がa点からb点までほ
ぼ瞬時に低下し、このとき運転状態がシフトアップライ
ンLを横切るので、1速から2速へのシフトアップが行
なわれる。このとき、b点におけるスロットル開度はc点
におけるスロットル開度と等しいので、この場合のライ
ン圧は、矢印Yで示す通常の増速時のシフトアップの場
合と同一値に設定されることになる。しかしながら、b
点ではc点の場合よりもタービン回転数が高くしたがっ
て動力伝達量が大きいので、ライン圧が不足し、このた
め変速に要する時間が長くなり、ひいては摩擦締結要素
の異常摩耗あるいは異常発熱を生じさせるといった問題
がある。
【0008】また、変速時に、エンジントルクとエンジ
ン回転数とに基づいてライン圧を設定するようにした自
動変速機が提案されている(例えば、特表昭58−50
1477号公報参照)。しかしながら、一般に、電子制
御式の自動車においては、エンジンと自動変速機とに、
個別にコントロールユニットが設けられるので、特表昭
58−501477号公報に開示されたような従来の自
動変速機では、エンジントルク信号あるいはエンジン回
転数信号をエンジン側コントロールユニットから自動変
速機側コントロールユニットに取り入れなければならな
いが、このようにすると両コントロールユニット間の信
号伝達機構が複雑化し、かつ多くの制御データを必要と
し、制御機構の大型化・複雑化を招くといった問題があ
る。本発明は、上記従来の問題点を解決するためになさ
れたものであって、通常の変速時はもちろんのこと、バ
ックアウト変速時においても、適正なライン圧を設定す
ることができ、変速ショック、変速所要時間の間延び等
の発生を有効に防止することができ、かつ制御機構を簡
素化することができる自動変速機の油圧制御装置を提供
することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達するた
め、第1の発明は、複数の摩擦締結要素と、該摩擦締結
要素を作動させる油圧機構と、該油圧機構の作動油圧を
制御する油圧制御手段と、該油圧制御手段による変速時
の油圧制御の油圧目標値を該変速の種類とエンジン負荷
とに基づいて設定する油圧目標値設定手段とが設けられ
た自動変速機において、自動変速機のシフトアップ状態
を検出するシフトアップ状態検出手段と、自動変速機の
伝達トルクを検出する伝達トルク検出手段と、駆動系回
転数を検出する回転数検出手段と、上記シフトアップ状
態検出手段によってエンジン負荷の低下によるシフトア
ップが検出されたときには、上記伝達トルク検出手段に
よって検出される伝達トルクと、上記回転数検出手段に
よって検出される駆動系回転数と、当該変速の特性とに
基づいて上記油圧目標値を補正する油圧目標値補正手段
とが設けられていることを特徴とする自動変速機の油圧
制御装置を提供する。
【0010】第2の発明は、第1の発明にかかる自動変
速機の油圧制御装置において、油圧目標値補正手段が、
当該変速動作によって締結される摩擦要素の種類に基づ
いて変速の特性を判別するようになっていることを特徴
とする自動変速機の油圧制御装置を提供する。
【0011】第3の発明は、第1の発明にかかる自動変
速機の油圧制御装置において、油圧目標値補正手段が、
当該変速動作によって新たに設定される変速段の種類に
基づいて変速の特性を判別するようになっていることを
特徴とする自動変速機の油圧制御装置を提供する。
【0012】第4の発明は、第1〜第3の発明のいずれ
か1つにかかる自動変速機の油圧制御装置において、伝
達トルク検出手段がエンジン負荷検出手段からなる一
方、回転数検出手段がタービン回転数検出手段からな
り、油圧目標値補正手段が、上記エンジン負荷検出手段
によって検出されるエンジン負荷と、上記タービン回転
数検出手段によって検出されるタービン回転数と、当該
変速の特性とに基づいて油圧目標値の補正を行なうよう
になっていることを特徴とする自動変速機の油圧制御装
置を提供する。
【0013】第5の発明は、第4の発明にかかる自動変
速機の油圧制御装置において、油圧目標値補正手段が、
エンジン負荷検出手段によって検出されるエンジン負荷
が所定の範囲内にあるときにのみ油圧目標値の補正を行
なうようになっていることを特徴とする自動変速機の油
圧制御装置を提供する。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を具体的に説明する。 <第1実施例>以下、第1,第2,第4,第5の発明にか
かる第1実施例を説明する。図1に示すように、自動車
用の自動変速機ATには、エンジン出力軸1のトルク
(エンジントルク)を変速してタービンシャフト2に伝達
するトルクコンバータ3と、このタービンシャフト2の
トルクをさらに変速し、また後進段が選択されていると
きには回転を逆転させて出力ギヤ4から駆動輪側に出力
する変速歯車機構5とが設けられている。ここで、ター
ビンシャフト2はパイプ状に形成され、その中空部には
エンジン出力軸1に連結されたポンプシャフト6が配設
され、このポンプシャフト6によって、変速歯車機構5
の後方(図1では左側)に配置されたオイルポンプ7が回
転駆動されるようになっている。
【0015】トルクコンバータ3は、実質的に、連結部
材8を介してエンジン出力軸1に連結されたポンプ9
と、タービンシャフト2に連結されポンプ9から吐出さ
れる作動油によって回転駆動されるタービン10と、タ
ービン10からポンプ9に還流する作動油をポンプ9の
回転を促進する方向に整流するステータ11とで構成さ
れ、ポンプ9とタービン10の間の回転数差に対応する
変速比で、エンジン出力軸1のトルクを変速するように
なっている。ここで、ステータ11はステータ用ワンウ
ェイクラッチ12を介して変速機ケース13に固定され
ている。なお、必要に応じてエンジン出力軸1とタービ
ンシャフト2とを直結させるロックアップクラッチ14
が設けられている。
【0016】変速歯車機構5は、よく知られた普通のプ
ラネタリギヤシステムであって、この変速歯車機構5に
は、タービンシャフト2に遊嵌された比較的小径のスモ
ールサンギヤ15と、このスモールサンギヤ15より後
方でタービンシャフト2に遊嵌された比較的大径のラー
ジサンギヤ16と、スモールサンギヤ15と噛み合う複
数のショートピニオンギヤ17(1つのみ図示)と、前部
(図1では右側)がショートピニオンギヤ17と噛み合
い、後部がラージサンギヤ16と噛み合うロングピニオ
ンギヤ18と、さらにこのロングピニオンギヤ18と噛
み合うリングギヤ19と、ショートピニオンギヤ17と
ロングピニオンギヤ18とを回転自在に支持するキャリ
ア20とが設けられている。この変速歯車機構5では、
変速段に応じてスモールサンギヤ15、ラージサンギヤ
16またはキャリア20がトルク入力部となる一方、ど
の変速段でもリングギヤ19がトルク出力部となってお
り、リングギヤ19は前記の出力ギヤ4に連結されてい
る。
【0017】そして、変速歯車機構5内でのトルク伝達
経路を切り替えるために、すなわち変速比を切り替えあ
るいは出力ギヤ4の回転方向を切り替えるために、複数
のクラッチ及びブレーキが設けられている。タービンシ
ャフト2とスモールサンギヤ15との間には、フォワー
ドクラッチ21と第1ワンウェイクラッチ22とが直列
に介設されるとともに、両クラッチ21,22に対して
並列となるようにしてコーストクラッチ23が介設され
ている。そして、タービンシャフト2とキャリア20と
の間には3−4クラッチ24が介設され、タービンシャ
フト2とラージサンギヤ16との間にはリバースクラッ
チ25が介設されている。また、ラージサンギヤ16と
リバースクラッチ25との間には、所定の変速段でラー
ジサンギヤ16を固定するための、サーボピストンによ
って作動させられるバンドブレーキからなる2−4ブレ
ーキ26が設けられている。さらに、キャリア20と変
速機ケース13'との間には、所定の変速段でキャリア
20を固定するローリバースブレーキ27と、キャリア
20の反力を受け止める第2ワンウェイクラッチ28と
が並列に介設されている。なお、以下では、各種クラッ
チ及びブレーキを適宜 「摩擦締結要素」 と総称する。ま
た、便宜上、クラッチにおける締結状態及びブレーキに
おける固定状態を「オン」といい、クラッチ又はブレーキ
における解放状態を「オフ」という。
【0018】ここで、各クラッチ21,23,24,25
と各ブレーキ26,27のオン・オフパターンを組み変
えることによって、表1に示すような各種レンジないし
変速段が得られるようになっている。以下、表1を参照
しつつ、各レンジないし変速段におけるトルク伝達経路
とその変速特性とを説明する。
【0019】
【表1】
【0020】(1)Pレンジ…すべての摩擦締結要素がオ
フされ、タービンシャフト2のトルクは変速歯車機構5
に伝達されない。 (2)Rレンジ…リバースクラッチ25とローリバースブ
レーキ27とがオンされ、他の摩擦締結要素はオフされ
る。なお、第1,第2ワンウェイクラッチ22,28
は、格別の作用を及ぼさない。この場合、ローリバース
ブレーキ27によってキャリア20が固定されているの
で、ラージサンギヤ16とロングピニオンギヤ18とリ
ングギヤ19とが、この順に噛み合う固定的なギヤ列と
して機能する。したがって、ラージサンギヤ16に入力
されたトルクが、このギヤ列内を上記の順に伝わり、ラ
ージサンギヤ16の歯数とリングギヤ19の歯数とによ
って決定される大きな減速比で変速され、出力ギヤ4に
出力される。このRレンジでは、リングギヤ19(出力
ギヤ4)はラージサンギヤ16(タービンシャフト2)と
反対方向に回転し、駆動輪が後進方向に駆動される。
【0021】(3)Nレンジ…Pレンジの場合と同様であ
る。 (4)Dレンジ1速…フォワードクラッチ21がオンさ
れ、他の摩擦締結要素はオフされる。第1,第2ワンウ
ェイクラッチ22,28は通常ロック状態となるが、コ
ースティング時には空転する。この場合、第2ワンウェ
イクラッチ28によってキャリア20が固定されるの
で、スモールサンギヤ15とショートピニオンギヤ17
とロングピニオンギヤ18とリングギヤ19とが、この
順に噛み合う固定的なギヤ列として機能する。したがっ
て、スモールサンギヤ15に入力されたトルクが、この
ギヤ列内を上記の順に伝わり、スモールサンギヤ15の
歯数とリングギヤ19の歯数とによって決定される大き
な減速比で変速され、出力ギヤ4に出力される。リング
ギヤ19(出力ギヤ4)はスモールサンギヤ15(タービ
ンシャフト2)と同一方向に回転し、駆動輪が前進方向
に駆動される。なお、エンジンブレーキは得られない。
【0022】(5)Dレンジ2速…フォワードクラッチ2
1と2−4ブレーキ26とがオンされ、他の摩擦締結要
素はオフされる。第1ワンウェイクラッチ22は通常ロ
ック状態となるが、コースティング時には空転する。第
2ワンウェイクラッチ28は常時空転する。この場合、
ラージサンギヤ16が固定されるので、ロングピニオン
ギヤ18が、自転しつつラージサンギヤ16まわりを公
転する。したがって、基本的には上記Dレンジ1速の場
合と同様の経路でトルクが伝達されるが、リングギヤ1
9の回転数がロングピニオンギヤ18の公転分だけ高く
なるので、Dレンジ1速よりはやや減速比が小さくな
る。なお、エンジンブレーキは得られない。
【0023】(6)Dレンジ3速…フォワードクラッチ2
1とコーストクラッチ23と3−4クラッチ24とがオ
ンされ、他の摩擦締結要素はオフされる。第1ワンウェ
イクラッチ22は格別の作用を及ぼさず、第2ワンウェ
イクラッチ28は常時空転する。この場合、スモールサ
ンギヤ15とキャリア20とが、コーストクラッチ23
とタービンシャフト2と3−4クラッチ24とを介し
て、互いにロックされるので、プラネタリギヤシステム
の一般的な性質に従って、すべてのギヤ15〜19とキ
ャリア20とが固定され一体回転するようになり、ター
ビンシャフト2と出力ギヤ4とが直結される。この場
合、エンジンブレーキが得られるのは当然である。
【0024】(7)Dレンジ4速…フォワードクラッチ2
1と3−4クラッチ24と2−4ブレーキ26とがオン
され、他の摩擦締結要素はオフされる。第1,第2ワン
ウェイクラッチ22,28は常時空転する。この場合、
タービンシャフト2のトルクが、3−4クラッチ24を
介してキャリア20に入力され、このキャリア20のト
ルクは、順に、ロングピニオンギヤ18とリングギヤ1
9とを介して出力ギヤ4に伝達される。2−4ブレーキ
26によってラージサンギヤ16が固定されているの
で、ロングピニオンギヤ18は、自転しつつラージサン
ギヤ16まわりを公転する。したがって、リングギヤ1
9の回転数は、キャリア20の回転数すなわちタービン
シャフト2の回転数より、ロングピニオンギヤ18の自
転分だけ高くなり、変速歯車機構5はオーバードライブ
(増速)状態となる。
【0025】(8)2レンジ1速…Dレンジ1速の場合と
同様である。 (9)2レンジ2速…フォワードクラッチ21とコースト
クラッチ23と2−4ブレーキ26とがオンされ、他の
摩擦締結要素はオフされる。第1ワンウェイクラッチ2
2は格別の作用を及ぼさず、第2ワンウェイクラッチ2
8は常時空転する。この場合、トルク伝達経路及び変速
特性は、基本的にはDレンジ2速の場合と同様である
が、第1ワンウェイクラッチ22が働かないので、エン
ジンブレーキが得られる。
【0026】(10)2レンジ3速…Dレンジ3速の場合
と同様である。 (11)1レンジ1速…フォワードクラッチ21とコース
トクラッチ23とローリバースブレーキ27とがオンさ
れ、他の摩擦締結要素はオフされる。第1,第2ワンウ
ェイクラッチ22,28は格別の作用を及ぼさない。こ
の場合、トルク伝達経路及び変速特性は、基本的にはD
レンジ1速の場合と同様であるが、第1,第2ワンウェ
イクラッチ22,28が働かないので、エンジンブレー
キが得られることになる。 (12)1レンジ2速…2レンジ2速の場合と同様であ
る。
【0027】以下、変速歯車機構5の各摩擦締結要素を
オン・オフさせる油圧機構を説明する。図2〜図6に示
すように、ライン圧制御手段Lを備えた油圧機構FS
は、実質的に、所定の部材に油圧を供給しまたはこれを
リリースする多数の油圧通路からなる油圧通路網Mと、
セレクトレバー(図示せず)のセレクト操作に対応してシ
フトされライン圧の供給経路を切り替えるマニュアルバ
ルブ31と、マニュアルバルブ31のシフト位置と車両
の運転状態(例えば、タービン回転数、スロットル開度)
とに応じて、コントロールユニット32によってシフト
される3つのシフトバルブ33〜35と、所定の摩擦締
結要素への油圧の供給ないしリリースを緩衝させるため
の4つのアキュムレータ36〜39と、所定の摩擦締結
要素への油圧の供給またはリリースのタイミングを調整
する3つのタイミングバルブ41〜43及びバイパスバ
ルブ44と、トルクコンバータ3及びロックアップクラ
ッチ14への油圧の供給を制御するロックアップ制御手
段Uと、油圧通路網Mの所定の部分の流動抵抗を調節す
るための多数のオリフィス及びワンウェイバルブ等で構
成されている。なお、上記オリフィス及びワンウェイバ
ルブは、一般に用いられるマークで図示されているが、
個々には番号を付していない。
【0028】そして、セレクトされたレンジ(P,R,N,
D,2,1レンジ)と車両の運転状態とに応じて、油圧機
構FSによって、各摩擦締結要素にかけられる油圧が制
御され、変速歯車機構5の変速段の切り替えが行なわれ
るようになっている。ここで、2−4ブレーキ26は、
アプライポート26aとリリースポート26bとを備えた
サーボピストンタイプのバンドブレーキであって、アプ
ライポート26aのみに油圧がかけられているときにオ
ン(ブレーキ作動)され、両ポート26a,26bともに油
圧がかけられているときまたはともに油圧がリリースさ
れているときにはオフ(ブレーキ解放)される。その他の
摩擦締結要素は、すべて油圧がかけられたときにオンさ
れ、油圧がリリースされたときにオフされる。
【0029】ライン圧制御手段Lは、基本的には、プレ
ッシャレギュレータバルブ50によって、パイロット圧
にほぼ比例する油圧(ライン圧)を、ライン圧供給通路5
1内に形成するようになっている。このライン圧供給通
路51内のライン圧はマニュアルバルブ31等に供給さ
れる。なお、ライン圧供給通路51内の作動油は、プレ
ッシャレギュレータバルブ50から、リリーフバルブ5
2を備えたトルクコンバータ油路53を介して、トルク
コンバータ3にも供給される。なお、ライン圧制御手段
L及びコントロールユニット32は、請求項1に記載さ
れた「油圧制御手段」に相当する。
【0030】プレッシャレギュレータバルブ50に供給
されるパイロット圧は、減圧弁54と、モジュレータバ
ルブ55と、ライン圧制御用アキュムレータ56と、コ
ントロールユニット32によってデューティ制御される
ライン圧制御用ソレノイドバルブ57とによって形成さ
れるようになっている。具体的には、ライン圧供給通路
51内のライン圧が、減圧弁54によって減圧された
後、減圧油路58を介してモジュレータバルブ55の入
力ポート55aに入力される。また、減圧油路58内の
油圧は、デューティ圧通路59を介してモジュレータバ
ルブ55のコントロールポート55bにも導入される。
ここで、コントロールポート55bにかかる油圧は、コ
ントロールユニット32から入力されるデューティ比に
応じて開閉されるライン圧制御用ソレノイドバルブ57
によって制御される。なお、デューティ比は、後で説明
するように、コントロールユニット32によって、スロ
ットル開度、タービン回転数(車速)、変速の種類ないし
特性等に応じて所定の方法で設定される。
【0031】そして、コントロールポート55bにかけ
られる油圧に対応する油圧が、パイロット圧としてモジ
ュレータバルブ55からパイロット圧通路61に出力さ
れる。ここで、パイロット圧通路61内の油圧振動ない
し脈動が、ライン圧制御用アキュムレータ56によって
吸収される。このようにして形成されたパイロット圧
が、プレッシャレギュレータバルブ50に供給され、こ
のパイロット圧に比例するライン圧がライン圧供給通路
51に形成される。なお、パイロット圧通路61内のパ
イロット圧はカットバックバルブ62にも供給されるよ
うになっている。
【0032】マニュアルバルブ31は、セレクトレバー
(図示せず)のセレクト操作と連動してシフトされ、セレ
クトされたレンジに応じて、ライン圧供給通路51を所
定の油圧供給通路と連通させるようになっている。具体
的には、ライン圧供給通路51を、Dレンジ及び2レン
ジでは第1,第2メイン油圧供給通路63,64と連通さ
せ、1レンジでは第1,第3メイン油圧供給通路63,6
5と連通させ、Rレンジではリバースレンジ用油圧供給
通路66と連通させ、Pレンジ及びNレンジでは上記油
圧供給通路63〜66のどれとも連通させないようにな
っている。
【0033】ここで、第1メイン油圧供給通路63は1
−2シフトバルブ用油圧通路63aとフォワードクラッ
チ用油圧通路63bとに分岐し、1−2シフトバルブ用
油圧通路63aは1−2シフトバルブ33の第1入力ポ
ート33aに接続され、フォワードクラッチ用油圧通路
63bはさらに分岐して、3−4シフトバルブ35の第
1入力ポート35aとフォワードクラッチ21とに接続
されている。第2メイン油圧供給通路64は、2−3シ
フトバルブ34の第1入力ポート34aに接続されてい
る。第3メイン油圧供給通路65は、ローレデューシン
グバルブ67(減圧弁)とボールバルブ68とを介して第
2分岐油圧通路66bに集合された後、1−2シフトバ
ルブ33の第2入力ポート33bに接続されている。リ
バースレンジ用油圧供給通路66は、第1分岐油圧供給
通路66aと、1−2シフトバルブ用通路66bとに分岐
し、第1分岐油圧供給通路66aはリバースクラッチ2
5に接続され、1−2シフトバルブ用通路66bは上記
ボールバルブ68を介して1−2シフトバルブ33の第
2入力ポート33bに接続されている。
【0034】各シフトバルブ33〜35は、夫々、基本
的にはコントロールユニット32によって制御され、入
力ポートから入力される油圧を、セレクトされたレンジ
と変速段とに応じて、所定の出力ポートから出力して所
定の摩擦締結要素に供給し、あるいはリリースするよう
になっている。具体的には、1−2シフトバルブ33に
は、前記した第1,第2入力ポート33a,33bと、第
1,第2出力ポート33c,33dとが設けられ、第1出力
ポート33cはアプライポート用油圧通路71を介して
2−4ブレーキ26のアプライポート26aに接続さ
れ、第2出力ポート33dはローリバースブレーキ用油
圧通路72を介してローリバースブレーキ27に接続さ
れている。
【0035】2−3シフトバルブ34には、前記した第
1入力ポート34aと、第2入力ポート34bと、第1,
第2出力ポート34c,34dとが設けられ、第2入力ポ
ート34bは第1接続通路73を介して3−4シフトバ
ルブ35の第1出力ポート35cに接続され、第1出力
ポート34cは3−4クラッチ用油圧通路74を介して
3−4クラッチ24に接続され、第2出力ポート34d
は第2接続通路75とボールバルブ76と後で説明する
コーストクラッチ用油圧通路77とを介してコーストク
ラッチ23に接続されている。また、3−4クラッチ用
油圧通路74から分岐する第3接続通路78が設けら
れ、この第3接続通路78は3−4シフトバルブ35の
第2入力ポート35bに接続されている。
【0036】3−4シフトバルブ35には、前記した第
1,第2入力ポート35a,35b及び第1出力ポート35
cと、第2出力ポート35dとが設けられ、第2出力ポー
ト35dは、リリースポート用油圧通路81を介して2
−4ブレーキ26のリリースポート26bに接続される
とともに、コーストクラッチ用油圧通路77を介してコ
ーストクラッチ23に接続されている。なお、リリース
ポート用油圧通路81とコーストクラッチ用油圧通路7
7とは、第2出力ポート35d近傍では1本に集合され
ている。
【0037】各シフトバルブ33,34,35は、夫々、
バルブスプール33v,34v,35vの位置を、オン位置
またはオフ位置に切り替えることによって、シフトバル
ブ内での油圧伝達経路を切り替えられるようになってい
る。ここで、オン位置とは図4,図5において右寄りの
位置であり、オフ位置とは左寄りの位置である。なお、
図4,図5中において、各バルブスプール33v,34v,
35vの中心線より上側の部分はオン位置をとった状態
を示し、中心線より下側の部分はオフ位置をとった状態
を示している。そして、各バルブスプール33v,34v,
35vは、各シフトバルブ33,34,35の右側端部に
設けられたコントロール油室33s,34s,35sに油圧
(パイロット圧)がかけられたときにはオフ位置をとり、
このパイロット圧がリリースされたときにはオン位置を
とるようになっている。
【0038】1−2シフトバルブ33のコントロール油
室33sには、ライン圧供給通路51から分岐する第1
コントロール用油圧通路82が接続され、この第1コン
トロール用油圧通路82には、コントロールユニット3
2によってオン・オフされる第1ソレノイドバルブ83
が介設されている。そして、第1ソレノイドバルブ83
がオンされたときには、第1コントロール用油圧通路8
2内のパイロット圧がリリースされ、これに伴ってコン
トロール油室33s内のパイロット圧がリリースされ、
バルブスプール33vがオン位置をとる。このとき、第
1出力ポート33cは第1入力ポート33aと連通し、第
2出力ポート33dは、ドレンポート(×印がつけられて
いる)と連通して開放される。他方、第1ソレノイドバ
ルブ83がオフされたときには、コントロール油室33
sにパイロット圧がかけられ、バルブスプール33vはオ
フ位置をとる。このとき、第1出力ポート33cは開放
され、第2出力ポート33dは第2入力ポート33bと連
通する。
【0039】2−3シフトバルブ34のコントロール油
室34sには、フォワードクラッチ用油圧通路63bから
分岐する第2コントロール用油圧通路84が接続され、
この第2コントロール用油圧通路84に、コントロール
ユニット32によってオン・オフされる第2ソレノイド
バルブ85が介設されている。この場合も、1−2シフ
トバルブ33の場合と同様に、第2ソレノイドバルブ8
5のオン・オフに対応して、バルブスプール34vがオ
ン位置またはオフ位置をとる。ここで、バルブスプール
34vがオン位置をとったときには、第1出力ポート3
4cは開放され、第2出力ポート34dは第2入力ポート
34bと連通する。他方、バルブスプール34vがオフ位
置をとったときには、第1出力ポート34cは第1入力
ポート34aと連通し、第2出力ポート34dは開放され
る。
【0040】3−4シフトバルブ35のコントロール油
室35sには、第2コントロール用油圧通路84から分
岐する第3コントロール用油圧通路86が接続され、こ
の第3コントロール用油圧通路86に、コントロールユ
ニット32によってオン・オフされる第3ソレノイドバ
ルブ87が介設されている。この場合も、1−2シフト
バルブ33の場合と同様に、第3ソレノイドバルブ87
のオン・オフに対応して、バルブスプール35vがオン
位置またはオフ位置をとる。ここで、バルブスプール3
5vがオン位置をとったときには、第1,第2出力ポート
35c,35dはともに開放される。他方、バルブスプー
ル35vがオフ位置をとったときには、第1出力ポート
35cは第1入力ポート35aと連通し、第2出力ポート
35dは第2入力ポート35bと連通する。
【0041】そして、各摩擦締結要素に急激に油圧が供
給されあるいはリリースされると締結ショック(変速シ
ョック)が生じるので、これを防止するために、アプラ
イポート用油圧通路71に対して1−2アキュムレータ
36が設けられ、1−2シフトバルブ用通路66bに対
してN−Rアキュムレータ37が設けられ、フォワード
クラッチ用油圧通路63bに対してN−Dアキュムレー
タ38が設けられ、3−4クラッチ用油圧通路74に対
して2−3アキュムレータ39が設けられている。ここ
で、各アキュムレータ36〜39には、夫々、ライン圧
供給通路51から分岐する背圧通路89を介して、ライ
ン圧が背圧として供給されるようになっている。
【0042】また、レンジないし変速段の切り替え時に
おいて、変速歯車機構5に内部ロック(ダブルロック)が
生じないように、所定の摩擦締結要素のオン・オフタイ
ミングを調整する3−2タイミングバルブ41と2−3
タイミングバルブ42とコーストタイミングバルブ43
とバイパスバルブ44とが設けられている。
【0043】ロックアップ制御手段Uは、ロックアップ
シフトバルブ91とロックアップコントロールバルブ9
2と、第1,第2ロックアップ制御用ソレノイドバルブ
93,94とを備えた普通のロックアップ手段であっ
て、作動油供給通路95を介してトルクコンバータ3に
作動油を供給するとともにトルクコンバータ3内の作動
油を作動油戻り通路96を介してオイルクーラ97に案
内し、かつ必要に応じてロックアップクラッチ用油圧通
路98を介してロックアップクラッチ14に油圧を供給
するようになっている。
【0044】かかる油圧機構FSによって、マニュアル
バルブ31のレンジ位置と、第1〜第3ソレノイドバル
ブ83,85,87のオン・オフ状態とに応じて、各摩擦
締結要素への油圧のオン・オフが制御され、前記表1に
示すような各種レンジないし変速段が得られるようにな
っている。表2に、各レンジ(P,R,N,D,2,1レン
ジ)ないし変速段に対応する第1〜第3ソレノイドバル
ブ83,85,87のオン・オフパターンを示す。なお、
PレンジまたはNレンジでは、マニュアルバルブ31か
ら、第1〜第3メイン油圧供給通路63〜65及びリバ
ースレンジ用油圧供給通路66のいずれにも油圧が供給
されないので、第1〜第3ソレノイドバルブ83,85,
87のオン・オフ状態にかかわりなく、どの摩擦締結要
素にも油圧が供給されない。したがって、すべての摩擦
締結要素がオフされ、変速歯車機構5は中立状態とな
り、トルクを伝達しない。
【0045】
【表2】
【0046】以下、表2を参照しつつ、各走行レンジ
(R,D,2,1レンジ)ないし変速段における、油圧機構
FS内での油圧の伝達経路を説明する。 (1)Rレンジ…マニュアルバルブ31はRレンジ位置を
とり、第1,第2ソレノイドバルブ83,85はオフさ
れ、第3ソレノイドバルブ87はオンされる。この場
合、リバースレンジ用油圧供給通路66に油圧が供給さ
れ、この油圧が第1分岐油圧供給通路66aを介してリ
バースクラッチ25に供給され、リバースクラッチ25
がオンされる。また、リバースレンジ用油圧供給通路6
6内の油圧は、順に、1−2シフトバルブ用通路66b
と、1−2シフトバルブ33の第2入力ポート33b
と、第2出力ポート33dと、ローリバースブレーキ用
油圧通路72とを介してローリバースブレーキ27に供
給され、ローリバースブレーキ27がオンされる。他の
摩擦締結要素は油圧が供給されないのでオフされる。
【0047】(2)Dレンジ1速…マニュアルバルブ31
はDレンジ位置(図4はこの状態を示している)をとり、
第1,第2メイン油圧供給通路63,64に油圧が供給さ
れる。なお、これはDレンジ2〜4速でも同様である。
そして、第1ソレノイドバルブ83はオフされ、第2,
第3ソレノイドバルブ85,87はオンされる。この場
合、第1メイン油圧供給通路63内の油圧が、フォワー
ドクラッチ用油圧通路63bを介してフォワードクラッ
チ21に供給され、フォワードクラッチ21がオンされ
る。また、各シフトバルブ33〜35のどの出力ポート
からも油圧が出力されないので、他の摩擦締結要素はオ
フされる。
【0048】(3)Dレンジ2速…第1〜第3ソレノイド
バルブ83,85,87はすべてオンされる。この場合、
Dレンジ1速の場合と同様にフォワードクラッチ21が
オンされる。さらに、第1メイン油圧供給通路63内の
油圧が、順に、1−2シフトバルブ用油圧通路63a
と、1−2シフトバルブ33の第1入力ポート33a
と、第1出力ポート33cと、アプライポート用油圧通
路71とを介して2−4ブレーキ26のアプライポート
26aに供給される。このとき、リリースポート26bに
油圧が供給されないので、2−4ブレーキ26がオンさ
れる。他の摩擦締結要素は油圧が供給されないのでオフ
される。
【0049】(4)Dレンジ3速…第1ソレノイドバルブ
83はオンされ、第2,第3ソレノイドバルブ85,87
はオフされる。この場合、Dレンジ2速の場合と同様
に、フォワードクラッチ21がオンされ、かつアプライ
ポート26aに油圧が供給される。しかしながら、後で
説明するように、リリースポート26bにも油圧が供給
されるので、2−4ブレーキ26はオフされる。そし
て、第2メイン油圧供給通路64内の油圧が、順に、2
−3シフトバルブ34の第1入力ポート34aと、第1
出力ポート34cと、3−4クラッチ用油圧通路74と
を介して3−4クラッチ24に供給され、3−4クラッ
チ24がオンされる。また、3−4クラッチ用油圧通路
74内の油圧が、順に、第3接続通路78と、3−4シ
フトバルブ35の第2入力ポート35bと、第2出力ポ
ート35dと、コーストクラッチ用油圧通路77とを介
してコーストクラッチ23に供給され、コーストクラッ
チ23がオンされる。さらに、上記第2出力ポート35
dの油圧が、リリースポート用油圧通路81を介して2
−4ブレーキ26のリリースポート26bに供給され、
前記したとおり、2−4ブレーキ26がオフされる。な
お、リバースクラッチ25とローリバースブレーキ27
とは、油圧が供給されないのでオフされる。
【0050】(5)Dレンジ4速…第1,第3ソレノイド
バルブ83,87はオンされ、第2ソレノイドバルブ8
5はオフされる。この場合、Dレンジ2速の場合と同様
に、フォワードクラッチ21と2−4ブレーキ26とが
オンされる。また、Dレンジ3速の場合と同様に、3−
4クラッチがオンされる。他の摩擦締結要素は油圧が供
給されないのでオフされる。 (6)2レンジ1速…マニュアルバルブ31は2レンジ位
置をとるが、摩擦締結要素への油圧の伝達経路はDレン
ジ1速の場合と同様である。
【0051】(7)2レンジ2速…第1,第2ソレノイド
バルブ83,85はオンされ、第3ソレノイドバルブ8
7はオフされる。この場合、Dレンジ2速の場合と同様
に、フォワードクラッチ21と2−4ブレーキ26とが
オンされる。さらに、フォワードクラッチ用油圧通路6
3b内の油圧が、順に、3−4シフトバルブ35の第1
入力ポート35aと、第1出力ポート35cと、第1接続
通路73と、2−3シフトバルブ34の第2入力ポート
34bと、第2出力ポート34dと、第2接続通路75
と、ボールバルブ76と、コーストクラッチ用油圧通路
77とを介してコーストクラッチ23に供給され、コー
ストクラッチ23がオンされる。他の摩擦締結要素は、
油圧が供給されないのでオフされる。 (8)2レンジ3速…Dレンジ3速の場合と同様である。
【0052】(9)1レンジ1速…マニュアルバルブ31
は1レンジ位置をとり、第1,第3メイン油圧供給通路
63,65に油圧が供給される。第1,第3ソレノイドバ
ルブ83,87はオフされ、第2ソレノイドバルブ85
はオンされる。この場合、Dレンジ1速の場合と同様に
フォワードクラッチ21がオンされ、また2レンジ2速
の場合と同様にコーストクラッチ23がオンされる。さ
らに、第3メイン油圧供給通路65内の油圧が、順に、
ローレデューシングバルブ67と、ボールバルブ68
と、1−2シフトバルブ用通路66bと、1−2シフト
バルブ33の第2入力ポート33bと、第2出力ポート
33dと、ローリバースブレーキ用油圧通路72とを介
してローリバースブレーキ27に供給され、ローリバー
スブレーキ27がオンされる。他の摩擦締結要素は、油
圧が供給されないのでオフされる。 (10)1レンジ2速…マニュアルバルブ31は1レンジ
位置をとるが、摩擦締結要素への油圧伝達経路は2レン
ジ2速の場合と同様である。
【0053】このように、表2に示すようなソレノイド
バルブのオン・オフパターンに対応して、表1に示すよ
うな摩擦締結要素のオン・オフパターンが得られ、所定
のレンジないし変速段が得られる。
【0054】上記油圧機構FSには、所定の変速時にお
いて、内部ロック等の発生を防止するために所定の摩擦
締結要素のオン・オフタイミングを調整するタイミング
バルブ41〜43及びバイパスバルブ44が設けられて
いる。バイパスバルブ44は、3−4クラッチ用油圧通
路74に介設されたワンウェイオリフィス101をバイ
パスする第1バイパス油圧通路102に介設されてい
る。そして、バイパスバルブ44には、バルブスプール
44vと、これより上流側の第1バイパス油圧通路10
2に接続される入力ポート44aと、下流側の第1バイ
パス油圧通路102に接続される出力ポート44bと、
パイロット圧通路61内のパイロット圧が導入されるパ
イロット油室44cと、ワンウェイオリフィス101よ
り下流側の3−4クラッチ用油圧通路74内の油圧が導
入されるコントロール油室44dとが設けられている。
【0055】そして、通常のDレンジ2速から3速への
シフトアップ時においては、最初はバルブスプール44
vが右側に押し付けられて入力ポート44aと出力ポート
44bとが連通しているので、第1バイパス油圧通路1
02を介して、油圧が急速に3−4クラッチ24に供給
される。しかしながら、ワンウェイオリフィス101よ
り下流側の3−4クラッチ用油圧通路74内の油圧、す
なわち3−4クラッチ24にかけられる油圧が所定値以
上に上昇すると、コントロール油室44d内の油圧によ
ってバルブスプール44vが左向きに移動させられ、入
力ポート44aと出力ポート44bとが遮断されるので、
ワンウェイオリフィス101が介設された3−4クラッ
チ用油圧通路74を介して、油圧が比較的ゆるやかに3
−4クラッチ24に供給される。このようにして、バイ
パスバルブ44によって3−4クラッチ24への油圧の
供給特性が調整される。
【0056】また、3−4シフトバルブ35の第2出力
ポート35dには、リリースポート用油圧通路81とコ
ーストクラッチ用油圧通路77とが1つに集合された集
合油圧通路104が接続され、この集合油圧通路104
は分岐部105から下流側で、独立したリリースポート
用油圧通路81とコーストクラッチ用油圧通路77とに
分かれている。ここで、集合油圧通路104には2−3
タイミングバルブ42が介設されている。なお、この2
−3タイミングバルブ42をバイパスする第2バイパス
油圧通路106が設けられ、この第2バイパス油圧通路
106に一方弁107が介設されている。そして、2−
3タイミングバルブ42には、バルブスプール42v
と、これより上流側の集合油圧通路104に接続される
入力ポート42aと、下流側の集合油圧通路104に接
続される出力ポート42bと、パイロット圧通路61内
のパイロット圧が導入されるパイロット油室42cと、
3−4クラッチ用油室通路74内の油圧が導入されるコ
ントロール油室42dとが設けられている。ここで、3
−4クラッチ24と2−4ブレーキ26とが所定の適切
なタイミングでオン・オフされ、締結ショックあるいは
内部ロックが生じない。
【0057】なお、コーストクラッチ用油圧通路77に
はコーストタイミングバルブ43が介設され、このコー
ストタイミングバルブ43は、内部ロックの発生を防止
するため、コーストクラッチ23がオンされるタイミン
グを、2−4ブレーキ26がオフされるタイミングより
遅らせるようになっている。また、3−2タイミングバ
ルブ41は、3速から2速へのシフトダウン時等におい
て2−4ブレーキ26等のオン・オフタイミングを調整
する。
【0058】ところで、前記したとおり、コントロール
ユニット32とライン圧制御手段Lとによってライン圧
制御が行なわれ、ライン圧供給通路51内には所定のラ
イン圧が形成されるようになっているが、とくに変速時
においては、コントロールユニット32によって、かか
るライン圧制御の目標値が、スロットル開度TVOと変
速の種類ないし特性とに応じて好ましく設定され、かつ
バックアウト変速時には上記ライン圧目標値が、変速の
種類ないし特性とタービン回転数とスロットル開度とに
応じて好ましく補正され、どのような変速時においても
適正なライン圧が形成され、変速ショック、変速所要時
間の間延び等の不具合が生じないようになっている。な
お、コントロールユニット32は、請求項1〜請求項5
に記載された「油圧目標値設定手段」及び「油圧目標値補
正手段」を含む、自動変速機ATの総合的な制御手段で
ある。
【0059】以下、図7及び図8に示すフローチャート
に従って、適宜図1〜図6を参照しつつ、本願の要旨に
かかわるシフトアップ変速時のライン圧制御の制御方法
を説明する。なお、この第1実施例では説明を省略して
いるが、非変速時あるいはシフトダウン変速時における
ライン圧制御は、一般に用いられている普通の制御方法
により行なわれるようになっている。
【0060】制御が開始されると、ステップ#1で変速
時であるか否かが比較・判定され、変速時であると判定
されれば(YES)、さらにステップ#2でシフトアップ
変速であるか否かが比較・判定される。そして、ステッ
プ#1で変速時ではないと判定された場合(NO)、また
はステップ#2でシフトアップ変速ではないと判定され
た場合すなわちシフトダウン変速の場合は(NO)、シフ
トアップ変速が行なわれないので、これより後の全ステ
ップ(ステップ#3〜ステップ#12)をスキップしてス
テップ#1に復帰する。
【0061】他方、ステップ#2で、シフトアップ変速
であると判定されれば(YES)、ステップ#3で、スロ
ットル開度TVOが読み込まれる。続いて、ステップ#
4で、次の式1によりスロットル開度なまし値TVOa
が演算される。 TVOa=max{[A・TVOa(t−25msec) +(256−A)・TVO]/256,TVO}…………式1 この式1において、TVOa(t−25msec)は25msec前
のTVOaすなわち前回のTVOaを意味し、max{ }は
{ }内の要素中の最大のものを意味する。また、Aはな
まし定数であって0以上256以下の所定の値である。
【0062】次に、ステップ#5で、次の式2によりス
ロットル開度変化量dTVOaが演算される。 dTVOa=min(TVO−TVOa,0)………………………………………式2 この式2において、min( )は( )内の要素中の最小の
ものを意味する。
【0063】ステップ#6では、例えば図12に示すよ
うなライン圧制御マップを検索することにより、変速の
種類ないし特性とスロットル開度とに基づいて、基本的
なライン圧目標値PL0(以下、これを基本ライン圧目標
値PL0という)が演算される。図12に示すライン圧制
御マップでは、変速の種類ないし特性は、当該変速によ
って最終的に選択される変速段すなわち変速後の変速段
を基準にして区別されている。したがって、1速から2
速へのシフトアップと、1速または2速から3速へのシ
フトアップと、1速,2速または3速から4速へのシフ
トアップの3種の変速の種類ないし特性が設定されてい
る。このため、ライン圧制御マップ用のメモリ容量が少
なくてすみ、コントロールユニット32を小型化・簡素
化することができる。なお、変速の種類を最も細かく分
ければ、全部で6種類(1速→2速、1速→3速、2速
→3速、1速→4速、2速→4速、3速→4速)であ
る。このライン圧制御マップの基本ライン圧目標値PL
0は、タービン回転数(車速)の上昇による普通のシフト
アップ変速時、例えば図13中の矢印Yで示すようなシ
フトアップ変速時に適合するライン圧が得られるように
設定されている。
【0064】ステップ#7では、ステップ#5で演算さ
れたスロットル開度変化量dTVOaの正負反転値−dT
VOaが、所定の正の設定値αより大きいか否か、すな
わちスロットルバルブが所定値より大きい速度で閉じら
れつつあるか否かが比較・判定される。本実施例では、
−dTVOa>α(>0)のときには、該シフトアップ変速
がバックアウト変速であると判定するようにしている。
このステップ#7で、−dTVOa≦αであると判定され
れば(NO)、該シフトアップ変速はバックアウト変速で
はないので、ステップ#9で前記の基本ライン圧目標値
PL0が最終的なライン値目標値PL1となる。すなわ
ち、基本ライン圧目標値PL0は補正されない。この
後、後で説明するステップ#12が実行される。
【0065】他方、ステップ#7で−dTVOa>αであ
ると判定されれば(YES)、該シフトアップ変速はバッ
クアウト変速であるので、変速の種類ないし特性と、タ
ービン回転数Ntと、スロットル開度TVOとに応じて
基本ライン圧目標値PL0の補正が行なわれる。この場
合、まずステップ#8で、変速の種類ないし特性が、1
速から2速への変速または3速から4速への変速である
か(以下、これらの変速を第1変速パターンという)、そ
れともこれら以外の変速(以下、このような変速を第2
変速パターンという)であるかが比較・判定される。第
1実施例では基本ライン圧目標値PL0の補正のための
変速の種類ないし特性は、変速により2−4ブレーキ2
6がオン作動するか、または3−4クラッチ24がオン
作動するかによって区別される。すなわち、最も細かく
分けた場合の前記の6種類の変速動作のうち、2−4ブ
レーキ26がオン作動する1速→2速シフトアップと、
3速→4速シフトアップとを第1変速パターンとし、3
−4クラッチ24がオン作動する1速→3速シフトアッ
プと、1速→4速シフトアップと、2速→3速シフトア
ップと、2速→4速シフトアップとを第2変速パターン
としている。なお、1速→4速シフトアップの場合は、
2−4ブレーキ26と3−4クラッチ24の両方がオン
作動することになるが、ここでは第2変速パターンに入
れている。そして、同一の変速パターンに対しては、後
で説明するように、同一の補正マップを用いて基本ライ
ン圧目標値PL0を補正するようにしている。
【0066】このようにするのは、第1変速パターンの
変速においては2−4ブレーキ26がオン作動するとい
った共通点があるので好ましいライン圧目標値がほぼ等
しくなり、第2変速パターンの変速においては3−4ク
ラッチ24がオン作動するといった共通点があるので好
ましいライン圧目標値がほぼ等しくなるからである。つ
まり、変速の種類ないし特性を2種類に分けるだけで、
ライン圧目標値PL0を好ましく補正できるわけであ
る。この場合、変速の種類ないし特性が2種類と非常に
少なくなるので、補正マップ用のメモリ容量が小さくな
り、コントロールユニット32を小型化・簡素化するこ
とができる。
【0067】ステップ#8で、当該シフトアップ変速
が、1速→2速シフトアップまたは3速→4速シフトア
ップであると判定されれば(YES)、すなわち第1変速
パターンの変速であると判定されれば、ステップ#10
で、次の式3により基本ライン圧目標値PL0が補正さ
れ、最終的なライン圧目標値PL1(以下、これを最終ラ
イン圧目標値PL1という)が演算される。 PL1=PL0・K1……………………………………………………式3 この式3において、K1は第1変速パターンにおけるバ
ックアウト変速時のライン圧目標値補正係数であり、例
えば図10(a)に示すような補正マップを用いて、スロ
ットル開度TVOとタービン回転数Ntとに応じて演算
される。
【0068】この図10(a)に示す補正マップでは、ス
ロットル開度TVOが0/8〜2/8の範囲内において
のみライン圧目標値の補正が行なわれ、スロットル開度
TVOが2/8を超える領域では補正が行なわれないよ
うになっている。これは、スロットル開度TVOが小さ
いときには、図13中のb点とc点とを比較すれば明らか
なように、バックアウト変速時のタービン回転数は、通
常のシフトアップ時のタービン回転数より大幅に高くな
り、このためライン圧目標値を補正する必要が生じる
が、スロットル開度TVOが大きいときには、シフトア
ップラインLの傾斜部分の働きにより、通常のシフトア
ップが行なわれるタービン回転数が高回転側に変化する
ので、バックアウト変速時のタービン回転数が通常のシ
フトアップ時のタービン回転数とほとんど差がなくな
り、したがってライン圧目標値を補正する必要性が実質
的になくなるからである。このように、ライン圧目標値
PL0の補正を行なうスロットル開度領域を上記範囲内
に限定しているので、補正マップのメモリ容量が小さく
なり、このためコントロールユニット32を小型化・簡
素化することができる。この後、後で説明するステップ
#12が実行される。
【0069】ステップ#8で、当該シフトアップ変速
が、1速→2速シフトアップまたは3速→4速シフトア
ップのいずれでもないと判定されれば(NO)、すなわち
第2変速パターンの変速であると判定されれば、ステッ
プ#11で、次の式4により基本ライン圧目標値PL0
が補正され、最終ライン圧目標値PL1が演算される。 PL1=PL0・K2……………………………………………………式4 この式4において、K2は第2変速パターンにおけるバ
ックアウト変速時のライン圧目標値補正係数であり、例
えば図10(b)に示すような補正マップを用いて、スロ
ットル開度TVOとタービン回転数Ntとに応じて演算
される。この図10(b)の補正マップにおいても、ライ
ン圧目標値PL0の補正を行なうスロットル開度領域を
0/8〜2/8に限定しているのは、第1変速パターン
の場合と同様の理由による。この後、ステップ#12が
実行される。
【0070】ステップ#12では、最終ライン圧目標値
PL1に油温補正等を施した上で、これに対応する、ラ
イン制御用ソレノイドバルブ57のデューティ比と駆動
周波数とを決定し、さらに上記駆動周波数の逆数である
駆動周期と上記デューティ比とに基づいて、ライン圧制
御用ソレノイドバルブ57の1周期中のオン作動時間を
演算し、このオン作動時間に従ってライン圧制御用ソレ
ノイドバルブ57を駆動する。これによって、最終ライ
ン圧目標値PL1どおりのライン圧が形成され、変速シ
ョック、あるいは変速所要時間の間延び等が防止され
る。この後、ステップ#1に復帰する。
【0071】<第2実施例>以下、第1,第3,第4,第
5の発明にかかる第2実施例を説明するが、この第2実
施例のハード構成は、図1〜図6に示す第1実施例の場
合と実質的に同一であるので、説明の重複を避けるた
め、第2実施例のハード構成の説明は省略する。また、
シフトアップ変速時におけるライン圧制御方法も、基本
的には第1実施例の場合と同様であるので、以下では第
1実施例との相異点のみを説明する。第2実施例におけ
るシフトアップ変速時のライン圧制御の制御方法は、図
7に示すフローチャートの範囲では第1実施例と同一で
ある。
【0072】しかしながら、これより後の制御ステップ
では、図9に示すように、図8に示す第1実施例のフロ
ーチャートとは若干異なる。なお、図9のフローチャー
トにおいて、図8のフローチャートの制御ステップと対
応するステップ(同一のステップ)には、図8と同一のス
テップ番号を付している。すなわち、第2実施例では、
基本ライン圧目標値PL0の補正のための変速の種類な
いし特性は、当該変速によって最終的に選択される変速
段すなわち変速後の変速段を基準にして区別される。し
たがって、ライン圧目標値の補正のための変速の種類な
いし特性は、1速→2速と、1速,2速→3速と、1速,
2速,3速→4速の3種類となる。このようにするの
は、変速後の変速段が同一であれば、好ましいライン圧
目標値がほぼ等しくなるからである。このように、第2
実施例においては、変速の種類ないし特性を3種類に分
けるだけで、ライン圧目標値PL0を好ましく補正でき
る。この場合、変速の種類ないし特性が3種類と少ない
ので(第1実施例よりは多いが)、かかる補正マップ用の
メモリ容量が小さくなり、コントロールユニット32の
構成を小型化・簡素化することができる。
【0073】具体的には、ステップ#100とステップ
#101とで、変速後の変速段が、2速、3速、4速の
いずれであるかが判定され、2速へのシフトアップ(バ
ックアウト変速)であると判定されれば(ステップ#10
0がYES)、ステップ#102で、次の式5により基
本ライン圧目標値PL0が補正され、最終ライン圧目標
値PL1が演算される。 PL1=PL0・K11……………………………………………………式5 この式5において、K11はかかるバックアウト変速時の
ライン圧目標値補正係数であり、例えば図11(a)に示
すような補正マップを用いて、スロットル開度TVOと
タービン回転数Ntとに応じて演算される。
【0074】3速へのシフトアップ(バックアウト変速)
であると判定されれば(ステップ#100がNO、ステ
ップ#101がYES)、ステップ#103で、次の式
6により基本ライン圧目標値PL0が補正され、最終ラ
イン圧目標値PL1が演算される。 PL1=PL0・K12……………………………………………………式6 この式6において、K12はかかるバックアウト変速時の
ライン圧目標値補正係数であり、例えば図11(b)に示
すような補正マップを用いて、スロットル開度TVOと
タービン回転数Ntとに応じて演算される。
【0075】4速へのシフトアップ(バックアウト変速)
であると判定されれば(ステップ#100,ステップ#1
01ともにNO)、ステップ#104で、次の式7によ
り基本ライン圧目標値PL0が補正され、最終ライン圧
目標値PL1が演算される。 PL1=PL0・K13……………………………………………………式7 この式7において、K13はかかるバックアウト変速時の
ライン圧目標値補正係数であり、例えば図11(c)に示
すような補正マップを用いて、スロットル開度TVOと
タービン回転数Ntとに応じて演算される。以上、第2
実施例においても、第1実施例の場合と同様に、変速シ
ョックあるいは変速所要時間の間延び等が防止され、か
つ自動変速機の制御機構が小型化・簡素化される。
【0076】
【発明の作用・効果】第1の発明によれば、シフトアッ
プ変速時における油圧目標値が、基本的には変速の種類
とエンジン負荷とに基づいて、通常のシフトアップ変速
に適合するような値に設定される。そして、バックアウ
ト変速時には、変速の特性と伝達トルクと駆動系回転数
とに基づいて、上記油圧目標値が動力伝達量等に適合す
るように好ましく補正されるので、通常のシフトアップ
時はもちろんのこと、バックアウト変速時においても作
動油圧が適正値に保持され、変速ショックが防止され
る。また、変速所要時間の間延びが防止され、摩擦締結
要素の異常摩耗ないし異常発熱が防止される。
【0077】第2の発明によれば、基本的には第1の発
明と同様の作用・効果が得られる。さらに、油圧目標値
を補正するための変速特性が、当該変速動作によって締
結される摩擦要素の種類に基づいて判別されるので、油
圧目標値の補正における変速パターンの種類が少なくな
り、油圧目標値補正手段が小型化・簡素化される。
【0078】第3の発明によれば、基本的には第1の発
明と同様の作用・効果が得られる。さらに、油圧目標値
を補正するための変速特性が、当該変速後の変速段に基
づいて判別されるので、油圧目標値の補正における変速
パターンの種類が少なくなり、油圧目標値補正手段が小
型化・簡素化される。
【0079】第4の発明によれば、基本的には、第1〜
第3の発明のいずれか1つと同様の作用・効果が得られ
る。さらに、伝達トルクが、エンジン負荷例えばスロッ
トル開度から求められ、駆動系回転数がタービン回転数
から求められるので、伝達トルク及び駆動系回転数の検
出が容易となる。
【0080】第5の発明によれば、基本的には第4の発
明と同様の作用・効果が得られる。さらに、油圧目標値
の補正が、例えば通常のシフトアップ変速時とバックア
ウト変速時とで動力伝達量が異なるような特定のエンジ
ン負荷領域でのみ行なわれるので、油圧目標値補正の精
度を低下させることなく、油圧目標値補正手段の小型化
・簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる油圧制御装置を備えた自動変
速機のシステム構成図である。
【図2】 油圧機構の、変速機まわりのシステム構成図
である。
【図3】 油圧機構の、ライン圧制御手段まわりのシス
テム構成図である。
【図4】 油圧機構の、マニュアルバルブ及び1−2シ
フトバルブまわりのシステム構成図である。
【図5】 油圧機構の、2−3シフトバルブ及び3−4
シフトバルブまわりのシステム構成図である。
【図6】 油圧機構の、ロックアップ制御手段まわりの
システム構成図である。
【図7】 第1実施例または第2実施例における、シフ
トアップ時のライン圧制御の制御方法を示すフローチャ
ートの一部である。
【図8】 第1実施例におけるる、シフトアップ時のラ
イン圧制御の制御方法を示すフローチャートの一部であ
る。
【図9】 第2実施例における、シフトアップ時のライ
ン圧制御の制御方法を示すフローチャートの一部であ
る。
【図10】 (a),(b)は、夫々、第1実施例におけるラ
イン圧目標値の補正マップである。
【図11】 (a),(b),(c)は、夫々、第2実施例におけ
るライン圧目標値の補正マップである。
【図12】 ライン圧目標値を演算するためのライン圧
制御マップである。
【図13】 自動変速機のシフトアップラインの一例を
示す図である。
【符号の説明】
AT…自動変速機 FS…油圧機構 L…ライン圧制御手段 5…変速歯車機構 24…3−4クラッチ 26…2−4ブレーキ 32…コントロールユニット 57…ライン圧制御用ソレノイドバルブ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の摩擦締結要素と、該摩擦締結要素
    を作動させる油圧機構と、該油圧機構の作動油圧を制御
    する油圧制御手段と、該油圧制御手段による変速時の油
    圧制御の油圧目標値を該変速の種類とエンジン負荷とに
    基づいて設定する油圧目標値設定手段とが設けられた自
    動変速機において、 自動変速機のシフトアップ状態を検出するシフトアップ
    状態検出手段と、自動変速機の伝達トルクを検出する伝
    達トルク検出手段と、駆動系回転数を検出する回転数検
    出手段と、上記シフトアップ状態検出手段によってエン
    ジン負荷の低下によるシフトアップが検出されたときに
    は、上記伝達トルク検出手段によって検出される伝達ト
    ルクと、上記回転数検出手段によって検出される駆動系
    回転数と、当該変速の特性とに基づいて上記油圧目標値
    を補正する油圧目標値補正手段とが設けられていること
    を特徴とする自動変速機の油圧制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された自動変速機の油圧
    制御装置において、 油圧目標値補正手段が、当該変速動作によって締結され
    る摩擦要素の種類に基づいて変速の特性を判別するよう
    になっていることを特徴とする自動変速機の油圧制御装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載された自動変速機の油圧
    制御装置において、 油圧目標値補正手段が、当該変速動作によって新たに設
    定される変速段の種類に基づいて変速の特性を判別する
    ようになっていることを特徴とする自動変速機の油圧制
    御装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜請求項3のいずれか1つに記
    載された自動変速機の油圧制御装置において、 伝達トルク検出手段がエンジン負荷検出手段からなる一
    方、回転数検出手段がタービン回転数検出手段からな
    り、油圧目標値補正手段が、上記エンジン負荷検出手段
    によって検出されるエンジン負荷と、上記タービン回転
    数検出手段によって検出されるタービン回転数と、当該
    変速の特性とに基づいて油圧目標値の補正を行なうよう
    になっていることを特徴とする自動変速機の油圧制御装
    置。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載された自動変速機の油圧
    制御装置において、 油圧目標値補正手段が、エンジン負荷検出手段によって
    検出されるエンジン負荷が所定の範囲内にあるときにの
    み油圧目標値の補正を行なうようになっていることを特
    徴とする自動変速機の油圧制御装置。
JP3300732A 1991-09-03 1991-11-15 自動変速機の油圧制御装置 Pending JPH05141517A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3300732A JPH05141517A (ja) 1991-11-15 1991-11-15 自動変速機の油圧制御装置
US07/936,203 US5349885A (en) 1991-09-03 1992-08-27 Hydraulic control system for controlling line pressure based on backtorque and throttle rate in an automatic transmission
KR1019920016005A KR960005977B1 (ko) 1991-09-03 1992-09-03 자동변속기의 유압제어장치

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3300732A JPH05141517A (ja) 1991-11-15 1991-11-15 自動変速機の油圧制御装置

Publications (1)

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JPH05141517A true JPH05141517A (ja) 1993-06-08

Family

ID=17888438

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3300732A Pending JPH05141517A (ja) 1991-09-03 1991-11-15 自動変速機の油圧制御装置

Country Status (1)

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JP (1) JPH05141517A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5772557A (en) * 1995-12-28 1998-06-30 Aisin Aw Co., Ltd. Control system for automatic transmission

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5772557A (en) * 1995-12-28 1998-06-30 Aisin Aw Co., Ltd. Control system for automatic transmission

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