JPH0513822U - 燃料吹き返し防止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】連結ホースと燃料供給管または燃料注入管の接
続部に吹き返し防止弁を設けたものにおいて、異音の発
生を確実に防止できる燃料タンクの燃料吹き返し防止装
置を提供すること。 【構成】吹き返し防止弁１は、燃料供給管１１の内側に
嵌合される円筒形の弁本体２と、弁本体２の内側に揺動
自在に支承された一対の蝶形弁体３とを備え、弁体３の
軸部側端部の間に板ばねよりなるバネ片６を挿通して取
り付けてある。バネ片６の翼部６ｂは弁体３の燃料タン
ク側側面に圧接し、基部６ａが弁体３の反燃料タンク側
側面に係止される。バネ片６により弁体３はストッパ部
４に常時当接している。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は車両における燃料の吹き返し防止装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、ガソリンが蒸発して燃料タンクの内圧が上昇し、加えて蒸発ガス経路が 閉塞するという異常事態が発生した状態において、フィラーキャップを開けると 、燃料注入口から燃料飛沫が吹き返す場合があった。 このような問題を解決するため、実開昭６３−２５６３３号公報に示されるよ うに、燃料タンクに接続されたフィラパイプの燃料タンク側端部を開閉する弁体 を設け、燃料の吹き返しを防止したものが提案されている。ところが、弁体を燃 料タンクの内部に設けると、フィラパイプを燃料タンクに溶接する関係で、予め 弁体を燃料タンクまたはフィラパイプに取り付けておかねばならず、もし弁体が 外れたりすると、修理が不可能になる欠点がある。

【０００３】 そこで、図５に示すように、燃料注入管Ｘを一端注入口１１ａにフィラーキャ ップ１２を装着した金属製の燃料供給管１１と、一端部が燃料タンク１０の内部 に臨むように燃料タンクに水平に固定された金属製の燃料導入管１３と、両管を 連結するゴムホースよりなる連結ホース１４とで構成し、燃料供給管１１と連結 ホース１４との接続部に吹き返し防止弁１５を設けたものがある。この吹き返し 防止弁１５は、図６のように燃料供給管１１の内側に嵌合され、かつ一端部に連 結ホース１４の内面で圧着保持される鍔部１６ａを有する円筒形の弁本体１６と 、弁本体１６の内側にその直径方向に突設した軸部１７ａによって揺動自在に支 持された一対の蝶形弁体１７と、弁本体１６の内壁に一体に突設され、弁体１７ を閉鎖状態で位置規制するストッパ部１８とを備えた構造となっている。なお、 連結ホース１４の外周面は金属バンド１９で締結されている。 このような吹き返し防止弁１５を設けた場合、燃料の吹き返しに対して弁体１ ７が揺動して弁本体１６を閉鎖するため、燃料の吹き返しを防止できるとともに 、吹き返し防止弁１５が故障した場合でも、連結ホース１４を燃料供給管１１か ら引き抜けば、簡単に修理・交換ができる利点がある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、前記弁体１７は弁本体１６に対して揺動自在であるため、車両の旋 回時や制動時に弁体１７が揺動してストッパ部１８に頻繁に衝突し、この衝突に より異音が発生するという問題があった。また、車体の挙動により燃料が燃料タ ンク１０と燃料注入管Ｘとの間を流動し、そのため弁体１７がストッパ部１８に 頻繁に衝突して異音を発生することもあった。かかる異音は運転者に不安を与え 、注意力を散漫にさせる。この問題を解決するには、ストッパ部１８の弁体側の 側面にゴム等のクッション材を接着して異音の発生を防止してもよいが、この部 位は燃料（ガソリン）に漬かりやすい部位であるため、接着剤が溶けてクッショ ン材が脱落しやすく、根本的な解決にはならない。 そこで、本考案の目的は、燃料注入管を構成する可撓性ホースと金属管との接 続部近傍に吹き返し防止弁を設けたものにおいて、異音の発生を確実に防止でき る燃料吹き返し防止装置を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

前記目的を達成するため、本考案は、一対の弁体の軸部側端部の間に所定の隙 間を設けるとともに、この隙間に挿通され、先端部が弁体の燃料タンク側側面に 圧接し、基部が弁体の反燃料タンク側側面に係止されるバネ片を設け、このバネ 片は弁体をストッパ部に対し燃料注入管から燃料タンクへ注入される燃料の流れ を阻害しない程度の力で圧接保持したものである。

【０００６】

【作用】

燃料タンクの内圧が異常に上昇すると、燃料の一部が飛沫となって吹き返そう とする。ところが、弁体はバネ片によってストッパ部に圧接しており、常時注入 管を閉鎖しているので、燃料の吹き返しが未然に防止される。従前の吹き返し防 止弁では、燃料の吹き返しエネルギーによって弁体が揺動し、弁体がストッパ部 に当たることによって燃料の吹き返しを防止するため、初期の吹き返しや弱い吹 き返しは防止し得なかったが、本考案では最初から弁体がストッパ部に当たって いるので、如何なる吹き返しも完全に防止できる。 走行時に車両が旋回したり制動したりしても、弁体はバネ片によってストッパ 部に当たった位置を保持するので、異音が発生しない。このバネ片の弁体への付 勢力は弁体が遊動しない程度の弱い力に設定されており、燃料注入管から燃料タ ンクへ燃料を注入する場合のように燃料の重力が弁体に作用すれば、バネ片は容 易に撓み、燃料の注入を阻害しない。 バネ片はその基部が弁体の反燃料タンク側側面に係止され、先端部が弁体の燃 料タンク側側面に圧接しているので、止め具等を全く使用せずに取り付けること ができ、バネ片を一旦弁体の間に組み付ければ、弁体がいかに揺動しても脱落す ることがない。

【０００７】

【実施例】

図１，図２は本考案にかかる燃料吹き返し防止弁の一例を示す。なお、本考案 が適用される燃料タンクの構造は図５と同様であり、同一部品には同一符号を付 して説明を省略する。 吹き返し防止弁１は、燃料供給管１１の内側に嵌合される円筒形の樹脂製弁本 体２と、弁本体２の内側に揺動自在に支承された一対の樹脂製蝶形弁体３とを備 えている。前記弁本体２の一端部外周には鍔部２ａが形成され、この鍔部２ａが 燃料供給管１１の端部に当たって位置規制されるとともに、弁本体２の鍔部２ａ の近傍に突設した突起２ｂが燃料供給管１１の内面に形成した凹部１１ａに係合 することにより、弁本体２は抜け止めされる。弁本体２の他端部内面には環状の ストッパ部４が突設されている。また、弁本体２の外周部には２枚の弁体３の軸 部３ａを揺動自在に支持する長円形軸受穴５が対称位置に形成されている。一対 の弁体３の軸部３ａを軸支穴５に嵌合した状態において、弁体３同士の軸部側端 部の間には所定の隙間δが設けられ、この隙間にバネ片６が挿入されている。

【０００８】 バネ片６は図３に示されるように、１枚の板ばねを略Ω状に折り曲げ形成した ものであり、中央部には前記弁体３の隙間δより幅広な湾曲状の基部６ａが形成 され、この基部６ａから両側へ広がるように一対の翼部６ｂが形成されている。 このバネ片６は、翼部６ｂを内側へ撓めた状態で前記弁体３の隙間に挿入され、 翼部６ｂへの付勢力を開放すれば、翼部６ｂは元の位置に復元して弁体３の燃料 タンク側側面に圧接し、この圧接力によりバネ片６全体が燃料タンク側へ押され るため、基部６ａは弁体３の反燃料タンク側側面に係止される。これにより、バ ネ片６は安定に取り付けられる。バネ片６のばね力により弁体３はストッパ部４ に圧接するが、この圧接力は弁体３が車体振動などによって揺動しない程度の弱 い力に設定されているので、燃料供給管１１から燃料タンク１０へ注入される燃 料の流れを阻害しない。

【０００９】 前記構造の吹き返し防止装置において、燃料タンク１０の内圧上昇によりフィ ラーキャップ１２を開けた時に燃料飛沫が吹き返す場合がある。ところが、弁体 ３はバネ片６の付勢力によって常時ストッパ部４に当たって燃料供給管１１を閉 じているので、燃料飛沫の吹き返しエネルギーが弁体３で阻止され、注入口１１ ａから燃料の飛沫が吹き出すおそれはない。また、車両の旋回時や制動時に弁体 ３が揺動しても、弁体３はストッパ部４と常時当接しているので、ストッパ部４ との衝突による異音が発生しない。

【００１０】 前記実施例ではバネ片６として板ばねを使用したが、図４のようなワイヤ状バ ネ片７を使用してもよい。この場合も、中央部に弁体３の隙間より幅広な湾曲状 の基部７ａを形成し、この基部７ａから両側へ延びる一対の翼部７ｂを形成して ある。なお、この実施例ではバネ片７の端末を一方の翼部７ｂの中間で終端とし てある。

【００１１】

【考案の効果】

以上の説明で明らかなように、本考案によれば、弁体の隙間に挿入したバネ片 によって弁体を常時ストッパ部に圧接させるようにしたので、車体振動などによ って弁体が揺動せず、ストッパ部との衝突音を解消でき、異音の発生を防止でき る。また、弁体はバネ片の付勢力によって燃料注入管を常時閉鎖しているので、 燃料の吹き返しは確実に防止され、かつバネ片の付勢力は弁体の揺動を防止する 程度の弱い力に設定されているので、燃料注入を阻害することもない。 なお、前記バネ片を利用することにより、現行の弁本体や弁体の形状を変更す る必要がなく、安価に実施できる利点もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案にかかる燃料吹き返し防止弁の断面図で
ある。

【図２】図１のII−II線断面図である。

【図３】バネ片の斜視図である。

【図４】バネ片の他の実施例の斜視図である。

【図５】従来の燃料タンクの構造を示す一部断面図であ
る。

【図６】従来の燃料吹き返し防止弁の断面図である。

【符号の説明】

１ 吹き返し防止弁 ２ 弁本体 ３ 弁体 ３ａ 軸部 ４ ストッパ部 ６ バネ片 ６ａ 基部 ６ｂ 翼部 １１ 燃料供給管（金属管） １４ 連結ホース（可撓性ホース） Ｘ 燃料注入管 δ 隙間

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】一端部に車体外部に開口した注入口を有
   し、他端部が燃料タンクに連結された燃料注入管を備
   え、この燃料注入管は金属管と可撓性ホースとを接続し
   てなり、金属管と可撓性ホースとの接続部近傍には吹き
   返し防止弁が設けられ、この吹き返し防止弁は、金属管
   または可撓性ホースの内側に嵌合保持された筒形の弁本
   体と、弁本体の内側に直径方向の軸部によって揺動自在
   に支持された一対の蝶形弁体と、弁本体の内面に一体に
   設けられ、弁体を閉鎖状態で位置規制するストッパ部と
   を備えた燃料タンクにおいて、 前記一対の弁体の軸部側端部の間に所定の隙間を設ける
   とともに、この隙間に挿通され、先端部が弁体の燃料タ
   ンク側側面に圧接し、基部が弁体の反燃料タンク側側面
   に係止されるバネ片を設け、このバネ片は弁体をストッ
   パ部に対し燃料注入管から燃料タンクへ注入される燃料
   の流れを阻害しない程度の力で圧接保持したことを特徴
   とする燃料吹き返し防止装置。