JPH0513707U - コンクリート部材の座繰工具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コンクリート部材への座繰穴の連続加工を可
能にし、その座繰穴の形状を明瞭にし、内底面を平らに
する。 【構成】 回転する駆動装置１４の先端に取り付けられ
てコンクリート部材６に座繰穴２４を加工するコンクリ
ート部材の座繰工具において、先端角が略１８０度の切
れ刃２を有する板状の切削チップ３と、側壁５の先端部
に前記切削チップ３の基端部を橋掛状に固定する円筒部
材４とを備え、前記円筒部材４の先端開口は、前記切削
チップ３により切削されるコンクリート部材６の切削粉
７を取り込む取込口８とし、前記円筒部材４の側壁５に
は、前記取り込んだ切削粉７を外部に排出する排出口１
１を設けた。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、軽量気泡コンクリート（以下、ＡＬＣという。）パネル、コンクリ ートブロック等の各種コンクリート部材に座繰穴を加工する座繰工具に関するも のである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、コンクリート部材に穴を加工する工具として、図４に示すように、先端 に鋸状の切れ刃３２が形成された円筒管３３と、この円筒管３３の軸心に固定配 置され、先端が該円筒管３３の先端より突出したツイストドリル３４とからなる コアドリル３１が知られている。このコアドリル３１は図示しない回転駆動装置 に取り付けられて、コンクリート部材に座繰穴又は貫通穴を加工するために使用 される。

【０００３】 また、図５に示すように、先端面が凹み、軸心に貫通穴１６が貫設された略円 柱形のドリル本体３６と、その先端面及び外周面に多数個配設された小円錘状の 切れ刃３７とからなるコンクリートドリル３５も知られている。このコンクリー トドリル３５も図示しない回転駆動装置に取り付けられ、前記貫通穴１６から先 端側に圧縮空気又は水を噴き出しながら、コンクリート部材に座繰穴又は貫通穴 を加工する。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

図４のコアドリル３１は、これを貫通穴の加工に使用するときには、格別の問 題はない。しかし、これを座繰穴の加工に使用すると、前記円筒管３３の先端縁 の切れ刃３２とツイストドリル３４との間に切れ刃が無いため、コンクリート部 材に切り残しが生じる。従って、この切り残しを除去する別作業が必要となり、 連続的に座繰穴の加工ができないという問題があった。

【０００５】 図５のコンクリートドリル３５を座繰穴の加工に使用すれば、上記のような切 り残しは生じない。しかし、貫通穴１６からの圧縮空気だけでは加工時にコンク リートの切削粉が充分には排出されないため、切れ刃３７に該切削粉が付着する 。そのため、切れ刃の切れ味が低下し、加工された座繰穴の形状線が明瞭に出な いで凹凸が生じるという問題があった。さらに、加工後に座繰穴内に残った切削 粉を大風量の吸引装置で除去する必要があった。また、このコンクリートドリル ３５の先端面が平らでないので、加工された座繰穴の内底面も平らにならないと いう問題があった。

【０００６】 本考案の目的は、上記問題を解決し、コンクリート部材に座繰穴を少しも切り 残すことなく次々と連続加工することができるとともに、その座繰穴の形状線を 明瞭にし、内底面を平らにすることもできる座繰工具を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案は、回転する駆動装置に取り付けられてコ ンクリート部材に座繰穴を加工するコンクリート部材の座繰工具において、先端 角が略１８０度の切れ刃を有する板状の切削チップと、側壁の先端部に前記切削 チップの基端部を橋掛状に固定する円筒部材とを備え、前記円筒部材の先端開口 は、前記切削チップにより切削されるコンクリート部材の切削粉を取り込む取込 口とし、前記円筒部材の側壁には、前記取り込んだ切削粉を外部に排出する排出 口を設けた。

【０００８】 ここで、「切れ刃」は先端角が略１８０度のものであればよく、この「先端角 」とは切れ刃の回転中心から両外縁までの２つの稜線がなす角度をいう。切れ刃 のその他の要素、例えば切れ刃のすくい角や逃げ角は任意である。「切削チップ 」の材質としては、例えば超硬合金、高速度鋼等を挙げることができる。「排出 口」の形状及び数は限定されない。但し、切削粉の中には比較的大きな塊のもの が生じることがあるので、例えば円形の排出口としたとき、その内径は１０ｍｍ 以上が望ましい。

【０００９】

【作用】

本考案の座繰工具によれば、円筒部材に橋掛状に固定された板状の切削チップ の先端に、回転中心から外縁まで延びる切れ刃を形成できるので、これを駆動装 置により回転させてコンクリート部材に座繰穴を加工する際に、少しも切り残し を生じることなく切削できる。また、このコンクリート部材の切削粉は、取込口 から取り込まれ、排出口から外部へと自然に又は遠心力により排出されるため、 切れ刃の切れ味が切削粉の付着により低下することも少ない。従って、座繰穴の 形状線が明瞭になる。また、切れ刃の先端角は略１８０度なので、座繰穴の内底 面は平らになる。

【００１０】

【実施例】

以下、本考案をＡＬＣパネルの座繰工具に具体化した実施例について、図１〜 図３を参照して説明する。この座繰工具１は、超硬合金により形成された板状の 切削チップ３を備え、その先端には回転中心に対して対称に配された一対の切れ 刃２が形成され、該切れ刃２の逃げ角は略１５度に、先端角は略１８０度に、両 切れ刃２の全長は３５ｍｍに形成されている。この切削チップ３は次の円筒部材 ４の上部に固定されている。

【００１１】 前記円筒部材４は、外径３３ｍｍ、内径２５ｍｍの側壁５と底壁２６とにより 有底円筒状に形成されている。側壁５の先端部の軸心に対して対称な位置には一 対の固定溝２５が形成され、該固定溝２５に前記切削チップ３の両端基端部が差 し込まれて溶接等されることにより、該切削チップ３は円筒部材４に橋掛状に固 定されている。この円筒部材４の先端開口は、前記切削チップ３の近傍に開口す るため、該切削チップ３により切削されるＡＬＣパネル６の切削粉７を円筒部材 ４内に取り込む取込口８となっている。また、円筒部材４の側壁５の回転中心に 対して対象な位置には直径２４ｍｍの円形の二つの排出口１１が貫設され、前記 取り込まれた切削粉７を外部に排出するようになっている。なお、側壁５の先端 部のうち各切れ刃２のすくい面９側には切削粉７を逃がす切欠１０が斜めに形成 されている。

【００１２】 また、前記円筒部材４の底壁２６には外径２０ｍｍの円柱状の保持部１３が連 続し、該保持部１３の下部外周面には雄ねじ部１５が螺刻されている。この保持 部１３の中心には、前記円筒部材４内に開口して圧縮空気を前記切削チップ３に 向かって噴き出す貫通穴１６が貫設されている。

【００１３】 駆動装置１４は、ハウジングに対して軸受１８により回転可能に支持されて図 示しないモーターにより回転駆動される雌ねじ部１７を備え、該雌ねじ部１７に 前記雄ねじ部１５が螺着される。この駆動装置１４の回転数は、ＡＬＣパネル又 は他のコンクリート部材の材質、切れ刃２の全長、座繰工具１の回転軸方向への 進行速度等によって、２５０〜３０００ｒｐｍの範囲で設定される。また、この 座繰工具１の進行速度は０．５〜１０ｍ／分の範囲で設定される。

【００１４】 前記円筒部材４の周囲には、円筒状の周壁１９とその底部に形成された底壁２ ０とからなる集塵カバー２１が設けられている。この周壁１９の中間部には図示 しない吸引装置に連通する集塵穴２２が形成され、前記底壁２０の中央部には切 削チップ３及び円筒部材４が挿脱可能な挿入穴２３が貫設されている。

【００１５】 次に、上記座繰工具１を使用して座繰穴２４を加工するには、この座繰工具１ を駆動装置１４に装着するとともに、集塵カバー２１を該座繰工具１の周囲に配 設し、駆動装置１４を作動させて、座繰工具１を回転させながら回転軸方向に進 行させればよい。座繰工具の回転数は例えば３５０ｒｐｍ、進行速度は例えば１ ｍ／分とする。

【００１６】 この座繰工具１によれば、円筒部材４に橋掛状に固定された板状の切削チップ ３の先端に、回転中心から外縁まで延びる切れ刃２を形成できるので、これを回 転させてＡＬＣパネル６に座繰穴２４を加工する際に、少しも切り残しを生じる ことなく切削できる。従って、切り残しを除去する別作業を必要としないので、 次々と座繰穴２４を連続加工することが可能となり、作業効率の向上を図ること ができる。

【００１７】 また、切削チップ３の形状は板状なので、ＡＬＣパネル６の切削粉７が付着し にくく、さらに、前記貫通穴１６より切削チップ３に向かって噴き出す圧縮空気 により切削粉７を吹き飛ばすので、切削粉７の付着による切削チップ３の切れ味 の低下が防止される。

【００１８】 また、このＡＬＣパネル６の切削粉７は、加工時に取込口８から取り込まれ、 排出口１１から外部に自然に又は遠心力により排出されるため、切れ刃２の切れ 味が切削粉７の付着により低下することも少なく、加工精度も向上する。従って 、座繰穴２４の形状線が明瞭になる。また、切削チップ３の切れ刃２の先端角は 略１８０度なので、座繰穴２４の内底面を平らに加工することができる。

【００１９】 そして、外部に排出された切削粉７は、前記集塵カバー２１により集められて 、吸引装置に吸い込まれる。この集塵カバー２１により比較的小風量の吸引装置 で効率的な集塵が行え、また、衛生的な作業環境が保持できる。

【００２０】 なお、本考案は前記実施例の構成に限定されず、例えば以下のように考案の趣 旨から逸脱しない範囲で任意に変更して具体化することもできる。 （１）貫通穴は必須ではなく、省略してもよい。圧縮空気や水を噴き出して切削 粉を吹き飛ばす手段は必須ではなく、また、別体のエア装置により切削粉を吹き 飛ばすこともできるからである。 （２）集塵カバーは必須ではなく、省略してもよい。

【００２１】

【考案の効果】

本考案は、上記の通り構成されているので、コンクリート部材に座繰穴を少し も切り残すことなく次々と連続加工することができるとともに、その座繰穴の形 状線を明瞭にし、内底面を平らにすることもできる優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案をＡＬＣパネルの座繰工具に具体化した
実施例の使用状態を示す断面図である。

【図２】同じく座繰工具の斜視図である。

【図３】同じく座繰工具の平面図である。

【図４】従来例を一部切り欠いて示す正面図である。

【図５】別の従来例を一部切り欠いて示す正面図であ
る。

【符号の説明】

１ 座繰工具 ２ 切れ刃 ３ 切削チップ ４ 円筒部材 ５ 側壁 ６ ＡＬＣパネル ７ 切削粉 ８ 取込口 １１ 排出口 １４ 駆動装置

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転する駆動装置の先端に取り付けられ
   てコンクリート部材に座繰穴を加工するコンクリート部
   材の座繰工具において、先端角が略１８０度の切れ刃を
   有する板状の切削チップと、側壁の先端部に前記切削チ
   ップの基端部を橋掛状に固定する円筒部材とを備え、前
   記円筒部材の先端開口は、前記切削チップにより切削さ
   れるコンクリート部材の切削粉を取り込む取込口とし、
   前記円筒部材の側壁には、前記取り込んだ切削粉を外部
   に排出する排出口を設けたことを特徴とするコンクリー
   ト部材の座繰工具。