JPH05125634A

JPH05125634A - 抗菌モツプコード糸

Info

Publication number: JPH05125634A
Application number: JP28861891A
Authority: JP
Inventors: Toshio Minami; 俊夫南; Masanori Nakagawa; 政則中川
Original assignee: Asahi Chemical Industry Co Ltd
Current assignee: Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date: 1991-11-05
Filing date: 1991-11-05
Publication date: 1993-05-21

Abstract

(57)【要約】【構成】モップコード糸を構成する素糸のうち少なく
とも１本に銅化合物を含有する繊維を混入した素糸を用
いたコード糸。【効果】抗菌モップコード糸の太さである数ｍｍ以内
の範囲だけでなく、キャンバス上に対しても阻止帯（ハ
ロー）が拡がり、これにより、従来、細菌やバクテリア
やかびなどの繁殖源であったコード房上やキャンバス上
において細菌やバクテリアやかび等の発生やこれらの附
着がなく、極めて衛生的なモップである。又、該抗菌モ
ップコード糸は洗濯による抗菌性の低下も殆んどなく、
非常に耐久性に優れたものである。従って、売り切りの
モップに対して特に有用性が大である。本発明の抗菌モ
ップコード糸は、病院等、より高度な抗菌性が要求され
る分野に対しても優れた効果を発揮することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、抗菌性を有するモップ
コード糸に関する。更に詳しくはレンタル用、売り切り
用いずれに対しても効果的な抗菌性を発揮する抗菌モッ
プコード糸に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】モップはホコリや汚れを捕集除去するた
めの道具であり、その房を構成するコード糸には綿や合
成繊維、再生繊維からなる紡績糸が用いられたり、用途
によっては嵩高性の合成繊維が用いられている。モップ
が使用される生活環境には種々の細菌類、かび類が多数
存在している。モップはそうした環境の中で使用され、
ホコリや汚れを取り去り、捕捉させるものである。

【０００３】モップには細菌類にとって栄養源ともなる
汚れを付着させるために、これらの微生物がコード房上
に附着し繁殖しやすい環境にある。しかもモップは２週
間ないし１ケ月間という長時間にわたって洗濯されるこ
となく使用されている。売り切りでパーソナルユースの
場合、洗濯されるまでの期間はもっと長くなることが想
定される。

【０００４】このようにホコリや汚れ、ゴミなどを一定
期間保持しておくモップは、そのコード房を常に清潔な
状態に保っておくことが極めて必要な特性といえる。ホ
コリや汚れを除去する道具でありながら、使用状態によ
っては細菌繁殖の温床ともなり、そうしたモップを使用
することは衛生上かえってよくない。なぜかならばそれ
が他の対象物へ転移する媒体となるからである。

【０００５】またレンタル形態においては、モップはマ
ットなどと違って、本来ホコリ、汚れを取る道具である
ので洗濯が不可避であり、繰り返えし行なわれる。この
場合、洗濯されても乾燥までに一時ストックされたなら
ば、モップコード上にかびが発生することをしばしば経
験する。元来、コード上は汚れ分の残留や水分の残留な
ど、かびが繁殖しやすい条件にある。

【０００６】かびや微生物が発生すると、むれたニオイ
や、時に悪臭の原因となる。更に腐敗によりコードを構
成する繊維の劣化につながる。綿を使用した場合には特
にその傾向が強い。これらの対策として考えられること
は、モップのコード房自体に抗菌剤や防ばい剤を含浸処
理することである。しかし、この方法では抗菌成分が対
象物に附着するなど安全上問題がある。不特定多数のも
のと接触する可能性のあるモップは安全でなくてはなら
ないからである。

【０００７】また、抗菌加工剤を後加工した繊維を用い
る方法もあるが、洗濯が繰り返えされるモップにとって
効果の接続性に乏しい。抗菌加工剤を後加工した繊維を
使用するくらいなら、その抗菌剤をモップに含浸附着さ
せる方がまだよいことがわかった。更に売り切りの場合
にはこのような方法は採用できない。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐久
性や安全性に優れ、また売り切りの場合においても効果
的な抗菌性を持続して発揮できる抗菌モップコード糸を
提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】即ち、上記の課題を解決
するため、本発明は、モップコード糸を構成する素糸の
少なくとも１本に銅化合物を含有する繊維を混入した素
糸を用いる事を特徴とする抗菌モップコード糸、であ
る。本発明において、銅化合物を含有する繊維とは、水
酸化銅、酸化銅、硫化銅などの銅化合物の少なくとも１
種又はそれ以上を含有する繊維をいう。

【００１０】該繊維は次の方法により得られる。例え
ば、まず、銅アンモニアセルロース溶液を紡糸し、２０
〜５０℃の温水等で凝固させる。該糸は銅とセルロース
の配位化合物を含有した糸（以下、青糸と称する）であ
る。水酸化銅を含有する再生セルロース繊維は、青糸、
の表面を酸で再生し、銅とセルロースとの配位化合物を
糸の中心から半径方向の９０％以内に分布させる方法に
より得られる。

【００１１】又、酸化銅を含有する再生セルロース繊維
は、該青糸を熱湯中に浸漬する事により得ることができ
る。又、必要に応じて過酸化水素水溶液中で処理する事
も可能である。硫化銅を含有する再生セルロース繊維
は、青糸の表面を酸で再生し、銅とセルロースとの配位
化合物を糸の中心から半径方向の９０％以内に分布させ
た青糸を、硫化剤として硫化ナトリウムを含む溶液で処
理する方法により得られる。このようにすると硫化銅を
糸の中心から半径方向の９０％以内にほぼ一様に分布さ
せることができる。

【００１２】更に、前述の青糸表面を酸で再生した青糸
を硫化剤として硫化カリウムを含む溶液で処理すると硫
化銅を糸の中心から半径方向の２０％以上９０％以内
に、リング状に分布させることができる。本発明に用い
る銅化合物を含有する繊維、例えば前記の再生セルロー
ス繊維に含有される銅化合物の含有量は自由にコントロ
ールできるが、長期間安定した殺菌性を得るには、再生
セルロース繊維１ｇ当りに酸化銅換算２０ｍｇ以上、含
有する事が好ましい。又、３５０ｍｇ以上では糸物性が
低下するので好ましくない。更に好ましくは５０ｍｇ以
上である。２０ｍｇ未満では長期間における抗菌性が十
分得られない。

【００１３】これは、該銅化合物を含有する再生セルロ
ース繊維を水に浸漬しても殆んど脱離しないが、殺菌性
を有するに足る銅化合物の量は水中で、ごく微量の酸化
銅換算０．１ｐｐｍ以上であれば充分であり、該繊維か
ら２０℃の水中への溶出量は０．１〜０．２ｐｐｍであ
る。又、再生セルロース繊維１ｇ当りに酸化銅換算２０
ｍｇ以上、含有していると２０℃の水中に１ケ月浸漬し
た後の溶出量は０．１〜０．２ｐｐｍあり、充分な殺菌
性を有している。

【００１４】本発明に用いる銅化合物を含有する繊維に
おいて銅化合物の含有量は、青糸のデニールにより異な
り一様ではないが、青糸の表面を酸で再生する時の酸洗
条件によって制御できる。例えば、銅含有量が酸化銅換
算２０ｍｇ以上では硫酸濃度０．５重量％から３重量％
水溶液で処理時間１／１００秒から１秒である。本発明
は、該銅化合物を含有する繊維をモップコード糸を構成
する素糸に少なくとも１本に混入することが必要であ
る。又、該繊維において、銅含有量が繊維１ｇ当り、酸
化銅換算２０ｍｇ以上ある事が抗菌効果を持続するため
に好ましい。また該繊維は長繊維糸の形でも短繊維を混
紡した紡績糸の形で用いることもできる。

【００１５】本発明においてモップコード糸の素材とし
ては、モップの主力素材である綿のほか、合成繊維や再
生繊維の紡績糸や嵩高性フィラメント糸、及びそれらの
複合物などが用いられ、特に制限されない。本発明にお
いて好適例の素材は綿を用いたもの、あるいは再生繊維
を含むものなどである。これらの素材を最終用途の要求
に応じた太さの素糸を複数本撚り合わせてモップコード
糸とする。その際、その素糸のうちの少なくとも１本に
上記銅化合物を含有する繊維の糸を引揃えや加撚、もし
くはその他の方法にて合わせたものを使用することが必
要である。

【００１６】このようにして得られたモップコード糸
は、ループ状もしくはカット状にして使用される。カッ
トの場合、カットの末端から撚がほどけてほつれが生じ
るのを防ぐために熱融着繊維により固定してもよい。本
発明の抗菌モップコード糸は、肺炎菌、大腸菌、肺炎桿
菌のほか、白癖菌に属するトリコフィトンメンタグロフ
ィティ（Ｔｒｉｃｏｐｈｙｔｏｎｍｅｎｔａｇｒｏｐ
ｈｙｔｅｅ，ＩＦＯ５４６６）、トリコフィトンラ
プラム（Ｔｒｉｃｏｐｈｙｔｏｎｒｗｂｒｕｍ，ＩＦ
Ｏ５４６７）、アスペルギルスフラバス（Ａｓｐｅｒ
ｇｅｌｌｕｓｆｌａｖｕｓ，ＩＦＯ６３４３）、ア
スペルギルスニゲル（Ａｓｐｅｒｇｅｌｌｕｓｎｉ
ｇｅｒＩＦＯ６３４１）、ペニシリウムシトリウム
（Ｐｅｎｉｃｉｌｌｉｕｍｃｉｔｒｉｕｍ，ＩＦＯ６
３５２）、フザリウムリニー（Ｆｕｓａｌｌｉｕｍ
Ｌｉｎｉ，ＩＦＯ４４６８）、リゾフスニグリカン
ス（Ｒｈｉｚｏｐｕｓｎｉｇｒｉｃａｎｓ，ＩＦＯ
５７８１）、クラドスポリウムレシニー（Ｃｌａｄ
ｏｓｐｏｒｉｕｍｒｅｓｉｎａｅＩＦＯ８５８
８）、シユウドモナス（Ｐｓｅｕｄｏｍｏｎａｓ）など
に対して抗菌作用を示す。

【００１７】

【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。

【００１８】

【実施例１〜３】公知の方法で調整したセルロース濃度
１０重量％、アンモニア濃度７重量％、銅濃度３．６重
量％の組成を有する銅アンモニアセルロース溶液を直径
０．６ｍｍの孔を２２００個有する紡口より紡糸し、紡
糸水を満した紡糸濾斗中に２５０ｍｌ／分の吐出量で押
し出し、紡糸濾斗にて充分な凝固を行なわせた。用いた
紡糸水の温度と流量は３０℃、１５リットル／分であ
る。

【００１９】続いて、表１に示す条件にて繊維表面を再
生し、その後、カッターで５１ｍｍの長さに切断し、充
分水洗し、銅とセルロースの配位化合物を糸の中心から
半径方向の９０％以内に含有した水酸化銅を含む短繊維
を得た。次に、硫化カリウム濃度５重量％温度５０℃の
水溶液に２０分間浸漬し、その後、水洗乾燥して硫化銅
を繊維内部に含有する再生セルロース繊維を得た。

【００２０】上記の短繊維を原料にし、該繊維を２０重
量％含む綿との混紡糸（３０／−番手）を作成した。次
に、熱融着繊維と共に加撚してモップコード糸を作成す
る際、１０／−番手の綿糸を素糸とし、これを１１本、
更に素糸として上記で得られた銅化合物含有繊維を混紡
した綿との混紡糸１本を引き揃えて混入させた。

【００２１】更に熱処理により融着固定し、得られたモ
ップコード糸を３本用いフレンジ機によりフレンジに編
成したものをキャンバス上に縫製し、モップを製造し
た。このモップを湿気が高く、汚れの多い作業環境にて
１ケ月使用した。その結果、１ケ月後にて実施例１〜３
の何れのモップにも細菌やバクテリアやかび等の発生及
び附着は認められなかった。

【００２２】また、本発明の抗菌モップコード糸を混入
したモップを洗濯し、脱水したままの状態で１週間ビニ
ール袋の中で密封放置したが、この場合も細菌やバクテ
リアやかびなどの存在は認められなかった。

【００２３】

【比較例１】これに対し、比較例１として市販の綿１０
０％のモップを実施例１と同条件で使用したものはかび
が発生し、不快な臭気があった。

【００２４】

【表１】

【００２５】

【発明の効果】本発明による抗菌モップコード糸は、モ
ップコードの太さである数ｍｍ以内の範囲だけでなく、
キャンバス上に対しても阻止帯（ハロー）が拡がり、こ
れにより、従来、細菌やバクテリアやかびなどの繁殖源
であったコード房上やキャンバス上において細菌やバク
テリアやかびなどの発生やこれらの附着がなく、極めて
衛生的なモップである。

【００２６】又、該抗菌モップコード糸は洗濯による抗
菌性の低下も殆んどなく、非常に耐久性に優れたもので
ある。従って売り切りのモップに対して特に有用性が大
である。本発明の抗菌モップコード糸は、病院など、よ
り高度な抗菌性が要求される分野に対しても優れた効果
を発揮することができる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】モップコード糸を構成する素糸の少なく
とも１本に銅化合物を含有する繊維を混入した素糸を用
いる事を特徴とする抗菌モップコード糸。