JPH0511241Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、紙葉類計数機等に組み込まれ紙葉類
集積部から紙葉を１枚ずつ繰出す紙葉類繰出し装
置に係わり、特に紙葉の繰出し時における紙葉同
士の分離能力の向上を図ることができる紙葉類繰
出し装置に関する。

［従来の技術］ 紙葉類計数機、紙幣払出機等の紙葉類処理機に
は、集積部に多数枚積層された紙葉類を１枚ずつ
繰出すための紙葉類繰出し装置が設けられてい
る。この種の装置として先に「自動給紙装置」
（特開昭52−115072号公報）が提案されている。
同装置は繰出ローラ（主ローラ）と対向して無端
ベルトを設け、該無端ベルトを紙葉の繰出方向と
逆方向へ循環駆動させることにより、積層した紙
葉類から１枚ずつ紙葉類を分離して繰出すもので
ある。

［考案が解決しようとする問題点］ ところで、前述した「自動給紙装置」にあつて
は次のような問題があつた。

繰出ローラの外周面に圧接させる状態で無端
ベルトを配設しているため紙葉相互間の分離能
力が充分ではなく、このため繰出ローラと無端
ベルトとの間に複数枚の紙葉が重なつた状態で
送り込まれてきた時には、紙葉を分離すること
ができない場合があつた。従つて、紙葉を完全
に分離して搬送するためには、紙葉を繰出した
後に搬送速度を加速してやらなければならず、
制御が煩雑になる。

上記加速を行う場合、紙葉が搬送方向へ必要
以上の力で引つ張られる等の障害が生じ易く、
これに伴い騒音が発生する。

本考案は前記事情に鑑み提案されたもので、紙
葉の繰出し時における紙葉同士の分離能力の向上
を図ることができる紙葉類繰出し装置の提供を目
的とする。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は、紙葉類が積層された集積部から蹴出
ローラにより蹴出された紙葉類を１枚ずつ分離し
て繰出すように構成された紙葉類繰出し装置にお
いて、前記蹴出しローラによる紙葉類の蹴出し方
向側に配され該蹴出しローラと連動して回転駆動
されるとともに、その外周面に軸方向に間隔を空
けて形成される複数の周溝を有する繰出しローラ
と、該繰出しローラの周溝を臨む位置に近接状態
に配され且つ周方向に間隔を空けて配されるとと
もに、紙葉類の繰出し方向と逆方向に回転駆動さ
れる複数のベルト車と、該ベルト車と同軸心に回
転自在に設けられ且つ前記周溝の間隔位置に配置
されて繰出しローラとの間に紙葉類を挟持する取
込ローラと、摩擦係数の大なる部材から成り、蹴
出された紙葉類を前記繰出ローラと協働して挟む
外周面が前記繰出ローラの周溝内に入り込むと共
に前記周溝の底面と間隔を隔てて展張される状態
で前記各ベルト車に巻回され紙葉類の繰出し方向
と逆方向へ循環駆動される無端ベルトとを具備す
ることを特徴とする。

［作用］ 本考案によれば、蹴出ローラにより集積部から
順に蹴出された紙葉類は無端ベルトのベルト車へ
の当接部分と繰出ローラの外周面との間へ送り込
まれる。該位置へ複数枚の紙葉類が重なつた状態
で送り込まれると無端ベルトが摩擦力の大なるゲ
ートとして作用することにより、重なつた紙葉類
相互を分離させ１枚ずつ繰出してゆく。該繰出さ
れた紙葉類は無端ベルトのベルト車への非当接部
分と繰出ローラの外周面との間へ搬送される。該
位置へ複数枚の紙葉類が重なつた状態で送り込ま
れると無端ベルトが摩擦力の大なるゲートとして
作用することにより、重なつた紙葉類相互を分離
させ１枚ずつ繰出してゆく。このように無端ベル
トはゲート機構および摩擦分離機構として作用す
るため、紙葉類を１枚ずつ確実に繰出すことがで
きる。無端ベルトのベルト車は、繰出しローラに
近接状態に配されているので、該ベルト車と繰出
しローラとの間隙を小さくしてその間に一度に取
り込む紙葉類の枚数を制限することが可能とな
る。しかも、無端ベルトが繰出しローラの周溝に
入り込むように配されているので、紙葉類は波形
に屈曲されて無端ベルトと繰出しローラとの間に
取り込まれることになり、ゲート機構としての効
果が高められることになる。

また、無端ベルトは、周溝の底面と間隙を隔て
て配されているので、重なつた状態の紙葉類は、
その表面に接触する無端ベルトあるいは繰出しロ
ーラのみから力を受けることになり、摩擦分離機
構としての効果が高められることになる。しか
も、紙葉類に無端ベルトおよび繰出しローラが圧
接されることがないので、紙葉類に無理なストレ
スが加わることがなく、紙幣を健全な状態に保持
することが可能となる。さらに、無端ベルトが繰
出しローラの周方向に間隔を空けて配されるベル
ト車に巻回されて周溝内に展張されているので、
上記の摩擦分離を行う範囲を長く形成することが
でき、複数枚重なつた紙葉類をも有効に分離する
ことが可能となる。

また、隣接する無端ベルトの間隔位置には、繰
出しローラとの間に紙葉類を挟持する取込ローラ
が配設されているので、屈曲状態に取り込まれた
紙葉類の変形が該取込ローラによつて抑制され、
正常な繰出し動作が行われる状態に保持されるこ
とになる。

［実施例］ 以下、図面を参照し本考案の一実施例について
説明する。

第１図は本実施例による紙葉類繰出し装置の構
成を示す側断面図、第２図は第１図のＡ−Ａ線に
沿う矢視図である。これらの図において集積部１
には積層集積された紙葉類Ｓが載置されている。
最下端の紙葉類Ｓの下面と当接する位置には蹴出
ローラ２が配設され、軸３に固定されている。同
ローラ２の周面の一部はゴム等の摩擦係数の大な
る摩擦部材２ａから形成され、該摩擦部材２ａに
より当接する紙葉類Ｓを１回転毎に所定の長さず
つ矢印X1方向へ移動させるようになつている。
また同ローラ２の周面の他部はプラスチツク等の
摩擦係数の小なる部材から形成されている。

紙葉類Ｓの右端側（繰出側）には５つの繰出ロ
ーラ４，４，５，６，６が配設されている。繰出
ローラ４，５は、駆動源（図示略）により回転さ
れる軸７に固定され、繰出ローラ６はその内径に
圧入された一方向軸受７ａを介して軸７に一方向
にのみ回転可能に支持されている。繰出ローラ４
には周溝４ａが形成されており、周溝４ａ両側の
大径部の周面の一部は、ゴム等の摩擦係数の大な
る摩擦部材４ｂから形成され、該摩擦部材４ｂに
より１回転毎に紙葉類Ｓを間欠的に矢印X1方向
へ繰出すようになつている。また同ローラ４の大
径部の周面の他部はプラスチツク等の摩擦係数の
小なる部材から形成されている。各繰出ローラ
５，６の周面の周方向に沿う中央部はゴム等の摩
擦係数の大なる部材から形成され、該中央部の両
側部はプラスチツク等の摩擦係数の小なる部材か
ら形成されている。また、前記軸３へはタイミン
グベルト（図示略）を介して軸７から回転が伝達
されるようになつている。

一方、軸７と平行に配設され駆動源（図示略）
により回転駆動される軸１０に２つのプーリ９が
固定され、これら各プーリ９は各繰出ローラ４と
各々若干の間隙を隔てるようになつている。各プ
ーリ９の周面の大径部の一方の側にはベルト溝９
ａが各々形成され、これら各ベルト溝９ａは各繰
出ローラ４の周溝４ａと対向している。また、大
径部の他方の側にはゴム等の摩擦係数の大なる部
材からなるリング１１が各々取付けられている。
更に軸１０には、ゴム等の摩擦係数の大なる部材
から成るリング１２ａと軸受１２ｂとから成る取
込ローラ１２が回転可能に支持され、該リング１
２ａを介して繰出ローラ５の周面と圧接してい
る。

また、軸１０と平行に配設された軸１４に、
各々ベルト溝１３ａが形成された２つのプーリ１
３が回転可能に支持されている。更に軸１０，１
４と平行に配設された軸１６に、各々ベルト溝が
形成された２つのプーリ１５が回転可能に支持さ
れている。そして、これら各プーリ９，１３，１
５及び各プーリ９，１３，１５の各ベルト溝には
各々ゴム等の摩擦係数の大なる部材から成る無端
ベルト１７が巻回されている。これら各無端ベル
ト１７はプーリ９とプーリ１５との間において
は、各ベルト外周面が繰出ローラ４の各周溝４ａ
内に若干入り込むと共に、各溝底面と間隙を隔て
て対向するようになつている。

また、軸１６にはローラ１８が回転可能に支持
され繰出ローラ５の周面に圧接しており、更に軸
１６には各々ベルト溝が形成された２つのプーリ
１９が固定されている。また、繰出ローラ４の下
方には軸１６と平行に軸２０が配設され、各々ベ
ルト溝が形成された２つのプーリ２１が固定され
ている。これら各プーリ１９，２１及び各プーリ
１９，２１の各ベルト溝には各々無端ベルト２２
が巻回されており、各無端ベルト２２の一方の側
は各々繰出ローラ６の周面に圧接している。そし
て、各繰出ローラ６の回転が各無端ベルト２２を
介して軸１６，２０へ伝達されるようになつてい
る。

次に上記構成による本実施例の動作を第３図〜
第６図に基づき説明する。

装置を運転状態にすると蹴出ローラ２、繰出ロ
ーラ４〜６が紙葉類Ｓの繰出方向に回転駆動され
る一方、無端ベルト１７は繰出方向と逆方向に循
環駆動される。蹴出ローラ２によつて集積部１の
下側から矢印X1方向へ蹴出された紙葉類Ｓが順
次、繰出ローラ４〜６と無端ベルト１７との間へ
送り込まれてゆく。第３図に示す位置P1におい
て各プーリ９のベルト溝９ａに巻回している２本
の無端ベルト１７は、摩擦力の大なるローラゲー
トとして作用するため、位置P1へ複数枚の紙葉
類Ｓが重なつた状態で送り込まれた場合、前記摩
擦力と繰出ローラ４〜６から作用する摩擦力とに
より、重なつた紙葉類Ｓ相互を分離させ、繰出ロ
ーラ４〜６と接触している紙葉類Ｓから順に１枚
ずつ繰出してゆく。この繰出し開始時における紙
葉類Ｓと無端ベルト側、繰出ローラ側との位置関
係を第４図に示す。

更に繰出された紙葉類Ｓが第５図に示す位置
P2に達すると、２本の無端ベルト１７は点Ｑか
ら点Ｒまでの広範囲に渡つて摩擦力の大なるゲー
トとして作用するため、位置P2へ複数枚の紙葉
類Ｓが重なつた状態で送り込まれた場合、たわん
だ無端ベルト１７の摩擦力と繰出ローラ４〜６か
ら作用する摩擦力とにより、重なつた紙葉類Ｓ相
互を分離させ、繰出ローラ４〜６と接触している
紙葉類Ｓから順に１枚ずつ繰出してゆく。この摩
擦分離時における紙葉類Ｓと無端ベルト側、繰出
ローラ側との位置関係を第６図に示す。

この後、位置P2を通過した紙葉類Ｓは繰出ロ
ーラ６と無端ベルト２２とにより挟持された状態
で１枚ずつ矢印X2方向（第１図参照）へ搬送さ
れる。

しかして上記実施例によれば、無端ベルト１７
はゲート機構および摩擦分離機構として作用する
ため、従来以上に紙葉類Ｓの分離能力の向上を図
ることができ、この結果、紙葉類Ｓが複数枚重な
つた状態で蹴出ローラ側から送り込まれてきた場
合においても、紙葉類Ｓを１枚ずつ確実に分離し
て繰出すことができる。

［考案の効果］ 以上説明したように本考案によれば、紙葉類が
積層された集積部から蹴出ローラにより蹴出され
た紙葉類を１枚ずつ分離して繰出すように構成さ
れた紙葉類繰出し装置において、前記蹴出しロー
ラによる紙葉類の蹴出し方向側に配され該蹴出し
ローラと連動して回転駆動されるとともに、その
外周面に軸方向に間隔を空けて形成される複数の
周溝を有する繰出しローラと、該繰出しローラの
周溝を臨む位置に近接状態に配され且つ周方向に
間隔を空けて配されるとともに、紙葉類の繰出し
方向と逆方向に回転駆動される複数のベルト車
と、該ベルト車と同軸心に回転自在に設けられ且
つ前記周溝の間隔位置に配置されて繰出しローラ
との間に紙葉類を挟持する取込ローラと、摩擦係
数の大なる部材から成り、蹴出された紙葉類を前
記繰出ローラと協働して挟む外周面が前記繰出ロ
ーラの周溝内に入り込むと共に前記周溝の底面と
間隙を隔てて展張される状態で前記各ベルト車に
巻回された紙葉類の繰出し方向と逆方向へ循環駆
動される無端ベルトとを具備する構成としたの
で、以下の効果を奏することができる。

無端ベルトはゲート機構および摩擦分離機構
として作用するため、紙葉類を１枚ずつ確実に
分離して繰出す分離能力を大幅に向上させるこ
とができる。これにより紙葉類が複数枚重なつ
た状態で繰出される等の障害を防止することが
できる。

従来のように紙葉類の完全な分離を行うため
に繰出し後の搬送速度を加速することが不要と
なるため、騒音の発生を防止することができ
る。

繰出しローラ外周面の周溝の底面との間に間
隙を空けた状態で該周溝の中に入り込む無端ベ
ルトを展張状態に配したので、無端ベルトおよ
び繰出しローラに挟まれる紙葉類に無理なスト
レスが作用しない状態で摩擦分離を実施するこ
とができ、その結果、紙葉類の健全性を保持す
ることができる。

上記のように紙葉類の健全性を保持しつつ摩
擦分離することができるので、その分離作業を
実施する範囲を長く確保することができ、複数
枚重なつた紙葉類をも確実に分離することがで
きる。

繰出しローラの周溝と無端ベルトとによつて
屈曲させられる紙葉類を取込ローラと繰出しロ
ーラとの間に挟持するので、紙葉類の変形が抑
制され、紙づまり等の不具合を回避することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例による紙葉類繰出し
装置の構成を示す側断面図、第２図は第１図のＡ
−Ａ線に沿う矢視図、第３図は本実施例による紙
葉類繰出し機構の繰出し開始時における動作を説
明するための図、第４図は第３図のＢ−Ｂ線に沿
う矢視断面図、第５図は本実施例による紙葉類繰
出し機構の摩擦分離時における動作を説明するた
めの図、第６図は第５図のＣ−Ｃ線に沿う矢視断
面図である。 ２……蹴出ローラ、４……繰出ローラ、４ａ…
…周溝、９，１３，１５……プーリ（ベルト車）、
１７……無端ベルト、Ｓ……紙葉類。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 紙葉類が積層された集積部から蹴出ローラによ
   り蹴出された紙葉類を１枚ずつ分離して繰出すよ
   うに構成された紙葉類繰出し装置において、 前記蹴出しローラによる紙葉類の蹴出し方向側
   に配され該蹴出しローラと連動して回転駆動され
   るとともに、その外周面に軸方向に間隔を空けて
   形成される複数の周溝を有する繰出しローラと、 該繰出しローラの周溝を臨む位置に近接状態に
   配され且つ周方向に間隔を空けて配されるととも
   に、紙葉類の繰出し方向と逆方向に回転駆動され
   る複数のベルト車と、 該ベルト車と同軸心に回転自在に設けられ且つ
   前記周溝の間隔位置に配置されて繰出しローラと
   の間に紙葉類を挟持する取込ローラと、 摩擦係数の大なる部材から成り、蹴出された紙
   葉類を前記繰出ローラと協働して挟む外周面が前
   記繰出ローラの周溝内に入り込むと共に前記周溝
   の底面と間〓を隔てて展張される状態で前記各ベ
   ルト車に巻回され紙葉類の繰出し方向と逆方向へ
   循環駆動される無端ベルトとを具備してなる紙葉
   類繰出し装置。