JPH0511006Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は薄板連続鋳造機において、板厚偏差が
少なく、かつ目標どおりの板厚の凝固薄板を製造
する装置に関する。

［従来の技術］ 従来、金属薄板たとえば薄鋼板を製造するに
は、鋼塊を分塊圧延して200〜250mm厚さのスラブ
を得、このスラブをホツトストリツプミルで熱間
圧延するか、或は溶鋼を連続鋳造してスラブを
得、これを熱間圧延するプロセスによつている。

しかしながら、これら従来技術によるときは、
大規模なホツトストリツプミルやスラブを加熱す
るエネルギーを必要とする処から、薄板を溶鋼の
連続鋳造によつて直接的に得る技術の開発が望ま
れている。

従来、溶鋼を連続鋳造する場合、鋳型内に溶鋼
を注入し、断面内の周囲を凝固させた後にこれを
下方に引抜く方法が一般におこなわれてきた。し
かし、この方法では 溶鋼を鋳型内に注入するノズルの径と鋳型断
面寸法の関係から、厚さ数10mm以下の鋳片を得
ることは困難である。

鋳片と鋳型内壁面間の摩擦のため、鋳片引抜
速度を2m／min以上にあげることは困難であ
り、2m／min以上にすると凝固殻が破断し溶
鋼流が噴出（ブレークアウト）する危険があ
る。

といつた問題があつた。

これら従来の連続鋳造プロセスにおける問題を
解決して薄板の連続鋳造による効率的な製造方法
およびそのための装置を提供すべく、出願人は先
に特願昭56−188862号において片面鋳造による金
属薄板の製造方法および装置を提案した。

即ち、この方法および装置は傾斜した無限軌道
をなす平板上に溶鋼を注ぎ薄鋼板を鋳造する方法
であつて、鋳造方向と注入溶鋼流の方法を逆に、
つまり無限軌道をなす平板が斜面を上方に向かつ
て移動する状態下で溶鋼を平板上に注ぎ、傾斜移
動平板上における溶鋼（溶融金属）流の下端が溶
鋼の表面張力で自己保持されるようにして連続す
る方法、ならびに、駆動輪により駆動され無限軌
道をなすとともに傾斜した平面を有するベルト機
構と、傾斜したベルト平面上に溶融金属を流下供
給する手段と、傾斜面上方側に鋳片を抽出する装
置と、ベルトを駆動輪を介して斜面上方向に駆動
する装置とよりなる溶融金属の連続鋳造装置であ
る。

この技術によつて、たとえば２〜20mm厚さの鋼
板を連続鋳造によつて製造することができる。こ
の技術によれば、傾斜しその上方側へ移動する無
限軌道平面上で溶鋼（溶融金属）が凝固し、凝固
シエル（鋳片）の抽出速度と無限軌道平面（ベル
ト）の移動速度を同期させれば、ベルト表面と鋳
片間の摩擦に起因するブレークアウトを生ずるこ
とがないから、鋳造速度を飛躍的に高くすること
ができる。

また、片面凝固であるから、鋳造中鋳片の下面
はベルト表面に接しているが、上面は溶鋼または
雰囲気と接している状態で、鋳型のような空間を
制約するものがないからタンデイツシユから溶鋼
を供給するノズル配置に問題を生ずることもな
い。

本出願人は、この技術をさらに改良し、溶融金
属注入流下端部に、金属ベルト幅方向に延在する
固定堰を、金属ベルト上に弾機的に接する如く配
設して、金属ベルト上に溶融金属溜りを形成せし
め、金属ベルト上での溶融金属注入流先端部平面
形状の不揃いに起因する鋳片の湯皺生成の問題を
解決するプロセスを、特願昭59−120588号にて提
案した。

［考案が解決しようとする問題点］ 更にこの方法で溶融金属の湯溜り部において、
側面堰に接する部分での凝固進行により生ずる、
所謂鋳片の「耳」は、特願昭60−178584号にて提
案したように側面堰に耐火断熱材をライニングす
ることにより、その「耳」の生成は効果的に抑制
される。また湯溜り部後端部の金属ベルト幅方向
に延在する固定堰において溶融金属の凝固が起
り、鋳片厚みの不均一、さらにはコールドシヤツ
トと呼ばれる断裂疵の発生に対しては、特願昭60
−178585号にて提案したように固定堰自体に加熱
手段を備えることで大きく改善される。

しかしながら、これらの従来技術にあつても溶
融金属の凝固進行の不均一は完全には達成され
ず、鋳片厚みの不揃いの問題が依然として残つて
いた。本考案は、この溶融金属の凝固を均一に進
行させて、板厚偏差がなくかつ目標どおりの板厚
の凝固薄板を製造する、溶融金属注入流制御装置
の提供を目的としている。

［問題点を解決するための手段、作用］ 本考案は、第１図で斜に上昇しながら走行する
金属ベルト１と、該金属ベルト１の両側部上に配
され金属ベルト１と同期した速度で走行する側面
堰４と、該金属ベルト１上に巾方向に該側面堰４
の間に延在固定して配した後面堰５とで形成され
たスペースに溶湯８を注入し、溶湯をベルト１を
介して冷却装置３により冷却・凝固せしめて凝固
薄板９として取り出す薄板連続鋳造機において、 第２図に示した、複数のストツパー１４，１４
−１，…，１４−ｎを有する上部槽１３と、該ス
トツパー１４，１４−１，…，１４−ｎのそれぞ
れに対応してベルト巾方向に分割して設けられた
下部槽６，６−１，…，６−ｎと該６−１，…，
６−ｎに設けた注入ノズルとよりなるタンデイツ
シユ１８と、第１図に示した、金属ベルト１上の
溶湯８の湯面高さを検知する液面レベル計１７
と、液面レベル計１７が検知した情報に基づい
て、凝固薄板９の巾方向の板厚が同じになるよう
に、かつ目標とした板厚となるように、更に金属
ベルト１上の溶湯８の液面レベルが変動しないよ
うに、ストツパー１４，１４−１…，１４−ｎを
それぞれ独立に制御して開閉する、ストツパーの
駆動装置１５と、よりなる薄板連続鋳造機におけ
る溶融金属注入流制御装置である。

本考案で液面レベル計１７は湯面高さを検知し
て、ストツパーの駆動装置１５を作動させる。凝
固薄板の板厚を一定にするには、湯面高さが変動
しないように制御することが重要である。

本考案のタンデイツシユ１８は、巾方向に分割
して設けられた下部槽６−１，…，６−ｎを有す
る。液面レベル計１７の情報によつて、ストツパ
ー１４，１４−１，…，１４−ｎは独立に制御し
て作動させるが、これによつて下部槽６，６−
１，…，６−ｎに設けられた注入ノズルから注入
される溶湯量は、従来よりも一層きめ細かく制御
されて、凝固薄板の板厚の偏差を少なくし目標ど
おりの板厚とすることができる。第１図で１６は
板厚計で、金属ベルト１を離れた直後の位置で、
凝固薄板９の巾方向の複数個所の板厚を測定する
例であるが、この板厚計１６を本発明の装置に組
み込むと、溶融金属注入制御上更に好ましい結果
が得られる。

尚第１図、第２図のストツパー１４はストツパ
ーロツドを用いた例であるが、ストツパー１４は
公知のスライデイングノズル式のストツパーでも
同じ作用効果を奏する。従つて本発明のストツパ
ーにはスライデイングノズル式のストツパーも含
まれる。

［考案の効果］ 本考案によつて、板厚偏差が少なく、かつ目標
どおりの板厚の凝固薄板を、薄板連続鋳造機によ
つて製造する事ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は薄板連続鋳造機に本考案の装置を組合
せた例を示す図、第２図は本考案のタンデイツシ
ユの例を示す図、である。 １……金属ベルト、２……プーリー、３……冷
却装置、４……側面堰、５……後面堰、６，６−
１，…，６−ｎ……下部槽、７……注入流、８…
…溶湯、９……凝固薄板、１０……圧延ロール、
１１……巻取り装置、１２……薄板コイル、１３
……上部槽、１４，１４−１，…，１４−ｎ……
ストツパー、１５……ストツパーの駆動装置、１
６……板厚計、１７……液面レベル計、１８……
タンデイツシユ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 斜に上昇しながら走行する金属ベルト１と、該
   金属ベルト１の両側部上に配され金属ベルト１と
   同期した速度で走行する側面堰４と、該金属ベル
   ト１上に巾方向に該側面堰４の間に延在固定して
   配した後面堰５とで形成されたスペースに溶湯８
   を注入し、溶湯をベルト１を介して冷却装置３に
   より冷却・凝固せしめて凝固薄板９として取り出
   す薄板連続鋳造機における溶融金属注入流制御装
   置において、複数のストツパー１４−１，…，１
   ４−ｎを有する上部槽１３と、該ストツパー１４
   −１，…，１４−ｎのそれぞれに対応してベルト
   巾方向に分割して設けられた下部槽６−１，…，
   ６−ｎと該６−１，…，６−ｎに設けた注入ノズ
   ルとよりなるタンデイツシユ１８と、金属ベルト
   １上の溶湯８の湯面高さを検知する液面レベル計
   １７と、液面レベル計１７が検知した情報に基づ
   いて、凝固薄板９の巾方向の板厚が同じになるよ
   うに、かつ目標とした板厚となるように、更に金
   属ベルト１上の溶湯８の液面レベルが変動しない
   ように、ストツパー１４−１，…，１４−ｎをそ
   れぞれ独立に制御して開閉する、ストツパーの駆
   動装置１５と、よりなる薄板連続鋳造機における
   溶融金属注入流制御装置。