JPH04984Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車の幌構造に関する。

（従来技術） 従来、オープントツプ型自動車においては、一
般に車体上部を開閉自在に覆う幌を設け、この幌
をリンク機構を介して開閉することによりオープ
ン状態にしたりクローズド状態にしたりするよう
になつているが、この種コンバーテイブル型のも
のでは上記幌の開閉操作が煩雑になりまた外観上
も好ましくなく車体上部の剛性強度の確保も難し
いことから、車室上方のルーフ部分は剛性の高い
着脱式ルーフパネルで構成し、逆Ｕ字状可倒式ロ
ールバーの後方の部分だけを覆うリヤ幌を設ける
とともに、上記ロールバーと連動して起倒する幌
張用のリンク機構を設け、上記ロールバーを起倒
させることによりリヤ幌を開閉するようにしたも
のが多くなりつつある。

ところで、上記のようにロールバーの後方部分
だけをリヤ幌で開閉自在に覆う場合、リヤ幌の中
央部に設けられたリヤウインドの上縁からロール
バー後端に至るリヤ幌の長さが非常に短くなるの
で、ロールバーを倒した状態におけるロールバー
の後端とそれよりも前方に倒れ込むリヤウインド
の上縁（前縁）との間の寸法上の節約からリヤウ
インドを小形化せざるを得ず、クローズド状態に
おける後方視界が悪化するという問題がある。

そこで、例えば米国特許第3385629号公報には、
リヤ幌格納時にリヤウインドをリヤ幌の開口部周
縁から切り離すようにしたものが記載されている
が、この構造では幌張り時にリヤウインドとリヤ
幌の開口部との間のシールが不完全なものになつ
てしまうという欠点がある。

（考案の目的） 本考案は、上記の諸欠点に鑑みなされたもの
で、リヤウインドを小形化することなくリヤ幌を
格納出来且つ幌張り時のシール性をも確保できる
ような自動車の幌構造を提供することを目的とす
るものである。

（考案の構成） 本考案に係る自動車の幌構造は、少なくとも車
体後部を覆うリヤ幌と、車体後部の左右の車体側
壁間に架け渡され両側壁に左右の脚部を介して起
立位置と後方に倒伏した格納位置とに亙つて前後
方向に回動自在に連結され且つリヤ幌の前端が固
着されたロールバーであつて、起立位置と格納位
置との位置切換えに連動してリヤ幌を幌張り位置
と格納位置とに位置切換えするロールバーと、ロ
ールバーと連動して起倒し且つリヤ幌を幌張り位
置において展張した状態に保持するリンク機構と
を備えた自動車において、上記リヤ幌にはリヤウ
インド取付用の開口部が形成され、上記開口部の
周縁の少なくとも上半部分がリヤウインドのフレ
ームに蛇腹状幌を介して水密状に連結され、蛇腹
状幌は、リヤ幌が幌張り位置に切換えられたとき
には、リヤ幌とリヤウインドのフレーム間に折り
畳まれた状態に保持され、リヤ幌が格納位置に切
換えられたときには、ロールバーの頂部がリヤウ
インドの上方にあつて且つリヤウインドの前端よ
りも後方へ倒れた格納位置に倒伏するのを許すよ
うにロールバーとリヤウインドの間に前後方向に
伸長可能に設けられているものである。

（作用） 本考案に係る自動車の幌構造においては、ロー
ルバーを起立位置に切換えると、リヤ幌は幌張り
位置に切換えられリンク機構により展張した状態
に保持される。このとき、蛇腹状幌は、リヤ幌と
リヤウインドのフレーム間に折り畳まれた状態に
保持され、リヤウインドの周縁とリヤ幌の開口部
周縁とは蛇腹状幌を介して水密状に連結されてい
るので、開口部とリヤウインドの間は完全にシー
ルされる。

一方、ロールバーを格納位置に切換えると、リ
ヤ幌は格納位置に切換えられる。このとき、蛇腹
状幌は、ロールバーとリヤウインドの間に前後方
向に伸長し、ロールバーの頂部がリヤウインドの
上方にあつて且つリヤウインドの前端よりも後方
へ倒れた格納位置に倒伏するので、リヤ幌は格納
位置に格納される。このようにリヤウインドを小
形化しなくてもリヤ幌を格納することが出来るの
で、後方視界を良好に保つことが出来る。

（考案の効果） 本考案の自動車の幌構造においては、以上（作
用）の項で説明したようにリヤ幌にリヤウインド
取付用の開口部を設け、この開口部の周縁の少な
くとも上半部分をリヤウインドのフレームに蛇腹
状幌を介して水密状に連結したので、ロールバー
を格納位置に切換えてリヤ幌を格納するときには
上記蛇腹状幌が適宜伸長し、リヤウインドを小形
化しなくてもリヤ幌を格納することが出来、後方
視界を良好に保つことが出来ること、リヤウイン
ドの周縁とリヤ幌の開口部周縁とを完全にシール
出来るため幌張り時のシール性を完全なものにす
ることが出来ること、などの効果が得られる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基いて説明す
る。

本実施例に係るオープントツプ型自動車は、第
１図に示すように、略逆Ｕ字状をなし車体後部の
左右の車体側壁間に架け渡され左右の脚部が両側
壁に回動自在に連結されて車体前後方向に回動自
在のロールバー１と、このロールバー１の後方の
車体後部を覆うリヤ幌２と、上記ロールバー１の
頂部とフロントウインドの上部フレーム３とに架
け渡されたルーフパネル４と、上記ロールバー１
と連動して起倒する幌張用のリンク機構５（第２
図参照）とを備えている。

第２図に示すように、上記ロールバー１は、鋼
板で閉断面状の強度メンバーに構成され、その各
脚部１ａの下端部が車体側壁６の上端近傍内側に
ヒンジ結合されている。

上記ルーフパネル４は、鋼板製若しくは合成樹
脂製のハードパネルに形成され、その後端の左右
両端近傍部がヒンジ７を介してロールバー１の脚
部１ａの上端部内側に連結され、ロールバー１に
対して回動自在に構成されている。

上記リヤ幌２の中央のやや後方側部分には、ウ
インドガラス取付用の開口部８が設けられ、この
開口部８を塞ぐリヤウインド９がリヤ幌２の内面
側に設けられ、この開口部８の周縁部のうち上部
周縁部及び側部周縁部の上側約2/3の部分は、蛇
腹状幌を介してリヤウインド９のフレーム１１に
連結され、上記以外の周縁部は蛇腹状幌１０を介
さずにリヤウインド９のフレーム１１に連結され
ている。

第２図に実線で示すように、上記ロールバー１
を起立位置にしてリヤ幌２を幌張り位置に展張し
たり、第２図に仮想線で示したように、ロールバ
ー１を後方に倒して格納位置にしてリヤ幌２を格
納位置に折り畳むことが出来るようにするため、
上記リヤウインド９のフレーム１１の上部が左右
１対の可撓性のベルト１２でロールバー１の上部
に連結されるとともに、このベルト１２の途中部
を上方へ押し上げることによりリヤウインド９を
介してリヤ幌２を幌張り位置において展張させる
とともにその状態に保持するリンク機構５が設け
られる。

上記リンク機構５は、略逆Ｕ字状をなすホーミ
ングバー１３と、上端がホーミングバー１３の各
脚部１３ｂの下端に連結され、且つ下端が車体側
壁６の内側にヒンジ結合された左右１対のロアリ
ンク１４とから構成されている。

上記ホーミングバー１３の頂部の梁部１３ａ
が、左右１対のベルト１２の下側を横断し、その
各脚部１３ｂの下端が、ロールバー１の各脚部１
ａの中段下部の外側にヒンジ結合されており、各
脚部１３ｂの下端からは短いレバー部１３ｃが略
直角に後方へ突設され、このレバー部１３ｃの先
端がロアリンク１４の上端にヒンジ結合されてい
る。

上記ロールバー１を起立位置に起こしたときに
は、レバー部１３ｃがロアリンク１４で下方へ引
張られてホーミングバー１３がロールバー１に対
して後側へ約40°の角度に開き、その梁部１３ａ
でベルト１２の途中部を上方へ突き上げ、ホーミ
ングバー１３は左右のロアリンク１４でレバー部
１３ｃを介してロツク状態に保持されるようにな
つている。

上記ロールバー１を仮想線で図示の格納位置へ
倒していくと、上記ホーミングバー１３は左右の
ロアリンク１４でレバー部１３ｃを介してロール
バー１側へ回動していくようになつている。

上記蛇腹状幌１０とリヤウインド９について、
第３図及び第４図により詳しく説明すると、リヤ
ウインド９のウインドガラス１５はその全周に至
る金属製のフレーム１１にゴム製の緩衝部材１
６，１７を介して取付けられ、蛇腹状幌１０の下
端部はフレーム１１の外側に巻きつけて接着され
るとともにフレーム１１の下面にベルト１２とと
もに或いは単独にビスなどで固着される。

上記リヤ幌２の開口部８の周縁部分は、ループ
状のワイヤ１８や針金を巻き込んで内側へ折り返
され、蛇腹状幌１０が設けられる部分においては
上記折り返し部分が蛇腹状幌１０の上端部に接着
や融着により水密に結合され、また蛇腹状幌１０
が設けられない部分においてはフレーム１１の外
側に巻き込みこれらの外側に外嵌される固定用フ
レーム１９で固定される。

以上の構成において、上記ロールバー１を起立
位置にして、リンク機構５のホーミングバー１３
で左右１対のベルト１２を押し上げると、リヤ幌
２は上記ベルト１２及びリヤウインド９を介して
展張されることになるが、リヤ幌２の開口部８は
幌に生じる張力とワイヤ１８の保形作用で所定位
置に保持されるため、蛇腹状幌１０は第３図のよ
うに折り畳まれた状態に保持されるとともに、リ
ヤウインド９と開口部８の間は蛇腹状幌１０で完
全にシールされる。

これに対して、上記ロールバー１を格納位置側
に倒したときには、第４図に示すようにリヤウイ
ンド９の前端よりも後方へ倒れようとするロール
バー１の頂部でリヤ幌２が後方へ引張られ、これ
に呼応して蛇腹状幌１０が後方へ適宜伸び出すの
で、リヤ幌２を格納位置に格納することが出来
る。このように、蛇腹状幌１０によりリヤウイン
ド９を小形化しなくてもリヤ幌２を格納出来るの
で、後方視界を良好に保つことが出来る。

尚、第３図のようにリヤ幌２を展張した状態に
おいてリヤウインド９の上面側に設けたクランプ
手段でリヤ幌２の開口部８の周縁部をリヤウイン
ド９側へクランプし且つ係止するように構成して
もよく、この場合には蛇腹状幌１０を開口部８の
全周に互つて設けてもよい。

また、本考案は上記実施例に限定されず車体上
部を開閉自在に覆う幌が設けられ、後部の幌にリ
ヤウインドが配設された自動車において適用でき
るものである。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案の実施例を示すもので、第１図
はオープントツプ型自動車の斜視図、第２図は自
動車後部の要部縦断側面図、第３図及び第４図は
各々幌張り位置及び格納状態におけるリヤ幌とリ
ヤウインドの要部縦断側面図である。 １……ロールバー、１ａ……脚部、２……リヤ
幌、５……リンク機構、６……車体側壁、８……
開口部、１０……蛇腹状幌、１１……フレーム、
１５……リヤウインド。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 少なくとも車体後部を覆うリヤ幌と、車体後部
   の左右の車体側壁間に架け渡され両側壁に左右の
   脚部を介して起立位置と後方に倒伏した格納位置
   とに亙つて前後方向に回動自在に連結され且つリ
   ヤ幌の前端が固着されたロールバーであつて、起
   立位置と格納位置との位置切換えに連動してリヤ
   幌を幌張り位置と格納位置とに位置切換えするロ
   ールバーと、ロールバーと連動して起倒し且つリ
   ヤ幌を幌張り位置において展張した状態に保持す
   るリンク機構とを備えた自動車において、 上記リヤ幌にはリヤウインド取付用の開口部が
   形成され、上記開口部の周縁の少なくとも上半部
   分がリヤウインドのフレームに蛇腹状幌を介して
   水密状に連結され、蛇腹状幌は、リヤ幌が幌張り
   位置に切換えられたときには、リヤ幌とリヤウイ
   ンドのフレーム間に折り畳まれた状態に保持さ
   れ、リヤ幌が格納位置に切換えられたときには、
   ロールバーの頂部がリヤウインドの上方にあつて
   且つリヤウインドの前端よりも後方へ倒れた格納
   位置に倒伏するのを許すようにロールバーとリヤ
   ウインドの間に前後方向に伸長可能に設けられて
   いることを特徴とする自動車の幌構造。