JPH0474092B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、ペイルパツク中に溶接ワイヤを所
定の捩れを付与しつつコイル状に巻装するに際
し、該溶接ワイヤの飛びはねや踊りを防止して整
然と、しかも高速で巻取りし得るようにしたワイ
ヤ巻回収納方法およびその装置に関するものであ
る。

従来技術 溶接ワイヤをコンジツトチユーブ中に連続的に
送給し、該ワイヤを溶接トーチに臨ませて溶接を
行う溶接方法、例えばMIG溶接法やTIG溶接法
が広く実施されている。また溶接作業の機械化が
進展して半自動溶接および全自動溶接が実施され
るに伴い、溶接ワイヤの消費量も比較的に増大し
ている。そこでこの溶接ワイヤの供給容量を充分
確保し、かつその取扱いおよび携行の便を図るた
めに、用途に応じてリール巻きにしたり、ペイル
パツクと称する容器にコイル状に巻装収納して該
パツクから溶接ワイヤを引き出す方式が採用され
ている。そして前記ペイルパツク中に溶接ワイヤ
を巻回し、順次積層して中空コイル状に巻装した
溶接ワイヤを製造するに際しては、該ワイヤに予
め若干の捩れを付与しておき、前記ペイルパツク
から繰出す際に一般に生ずる捩れを前記予め付与
しておいた捩れにより打ち消して、溶接作業時に
おけるビードの蛇行や溶接位置の偏向を防止する
ようになつている。また前記ペイルパツクからの
溶接ワイヤの引出しを円滑にするために、ペイル
パツクを偏心回転させつつ該溶接ワイヤをハニカ
ム（花柄模様）状に巻回する技術が一般に採用さ
れている（例えば特公昭42−606号公報）。しかし
従来実施されている種々の巻回方法では、溶接ワ
イヤ送給時に存在する高落差のために該ワイヤが
飛びはねたり踊つたりして、整然とした巻回をな
し得ない欠点があつた。

例えば従来技術に係る溶接ワイヤの巻回方法の
一実施例につき、第１図を参照して説明すれば、
溶接ワイヤ１２は図示しない供給源から連続的に
繰出され、大径のガイドプーリ１０を経てピツグ
テイル状に湾曲したガイドチユーブ１４に送給さ
れ、当該チユーブ１４の回転により旋回運動を付
与されながら下方へ送り出されるようになつてい
る。また前記ガイドチユーブ１４の下方には、底
部を有し上部が開放したペイルパツクの外筒１６
が回転自在に配置され、この外筒１６中に内筒１
８が同心的に挿通配置されている。そしてこの外
筒１６および内筒１８の間に形成されるドーナツ
状の空間部分にガイド筒２０が垂直に懸吊支持さ
れ、このガイド筒２０の外周に前記ガイドチユー
ブ１４が非接触で位置している。なお前記ガイド
チユーブ１４の開放端と外筒１６の底部との間に
は、図示の如く相当の落差Ｈが存在するようにな
つている。またガイドチユーブ１４の回転中心お
よびガイド筒２０の中心軸線は一致すると共に、
これらの両軸線は前記ペイルパツクを構成する外
筒１６および内筒１８の回転中心に対しては若干
偏心するようになつている。

前述した如く、ガイドチユーブ１４およびペイ
ルパツクの外筒１６は夫々図示しない回転源によ
り駆動されて所定方向に回転するようになつてい
るから、前記ガイドチユーブ１４から繰り出され
る溶接ワイヤ１２はガイド筒２０の外周に案内さ
れて螺旋状に旋回しつつ落下し、その過程におい
て前記捩れが付与されると共に外筒１６の底部に
花柄模様状のハニカム巻きが施されて行くように
なつている。

発明が解決しようとする課題 しかしながらこのワイヤ巻回方法によれば、回
転中のペイルパツクに対し同じく回転中のガイド
チユーブ１４の開口端は、前述したように外筒１
６の底部に対し相当の落差Ｈを有しているため、
前記開口端から溶接ワイヤが繰り出されて落下す
る過程において飛びはねたり、またガイド筒２０
との接触摩擦により該ワイヤが踊つてその順番で
落下しなかつたりして、整然とした巻回がなされ
ないことが多くその製品品質に悪影響を及ぼして
いる。また前記落差の存在下にガイドチユーブ１
４の回転速度を増大させると、遠心力により溶接
ワイヤ１２が半径方向に膨出して外筒１６の内壁
面に打ち当つて飛びはね、このため高速巻取りを
なし得ず生産性が向上しない等の欠点もある。

発明の目的 本発明に係る方法および装置は、溶接ワイヤを
ペイルパツク中に巻き込んでコイル状に巻装収納
するに際して発生する前記欠点に鑑み、これを解
決するべく案出されたものであつて、ガイドチユ
ーブから送給される溶接ワイヤの飛びはねその他
の外乱をなくして整然とした巻取りを可能とし、
併せてワイヤ巻取り作業の高速化を達成して生産
効率の増大を図ることを目的とする。

課題を解決するための手段 前述した課題を克服し、所期の目的を達成する
ため、本発明に係るペイルパツクへのワイヤ巻回
収納方法は、底部を有する外筒中に内筒を同心配
置したペイルパツクを回転基台上で回転させると
共に、前記外筒中に臨ませた螺旋状のガイドチユ
ーブから溶接ワイヤを送給し、そのワイヤ送給時
に前記ペイルパツクを所定速度で下降させて、該
ペイルパツクに溶接ワイヤを捩れが付与された状
態で巻回収納するに際し、 前記ガイドチユーブは前記外筒中で回転不能に
保持すると共に、 そのワイヤ送給開始時には、該ガイドチユーブ
の開口端を前記外筒の底部上方に僅かな間〓を介
して臨ませておき、 溶接ワイヤの送給中は、前記ペイルパツクを所
定速度で下降させることにより、前記外筒の底部
上に巻回されるワイヤ巻装体の巻回面とガイドチ
ユーブの開口端との間に前記僅かな間〓を常に維
持する制御を与えることを特徴とする。

また前記方法を好適に実施するため、本願の別
の発明は、外筒および内筒からなるペイルパツク
を載置し所定方向に回転可能な回転基台と、この
回転基台の上方から前記外筒中に臨ませた螺旋状
ガイドチユーブと、このガイドチユーブから溶接
ワイヤを送給する際に、前記ペイルパツクを所定
速度で下降させる手段とからなるペイルパツクへ
のワイヤ巻回収納装置において、 前記螺旋状ガイドチユーブを前記外筒中に回転
不能な状態で固定的に配設すると共に、該チユー
ブにおける螺旋中心の軸線を、前記回転基台の回
転中心に対し平行かつ偏心的に位置させ、 溶接ワイヤの送給開始時に、前記ガイドチユー
ブの下方に指向する開口端が、前記外筒の底部上
方に僅かな間〓を介して臨んでいるよう構成した
ことを特徴とする。

実施例 次に本発明に係る方法および装置につき、これ
を実施するための好適例を挙げて、添付図面を参
照しながら以下詳細に説明する。第２図は本発明
に係るワイヤ巻回収納方法を好適に実施し得る装
置の概略構成を示すものであつて、符号２２で示
すペイルパツクは、底部を有しかつ上部の開放し
た外筒２４と、この外筒２４中に同心的に配置さ
れた内筒２６とから構成され、回転基台２８上に
載置されるようになつている。前記回転基台２８
は、支柱３０に適宜の昇降駆動機構（後述）を介
して昇降自在に配設した水平アーム３２上に、回
転軸３４を介して回転自在に支持され、この回転
軸３４は前記アーム３２に取付けたモータ３６の
回転軸にチエン・スプロケツト等の手段により連
結されて所定方向に回転されるようになつてい
る。

また回転基台２８の上方には、溶接ワイヤ３８
の挿通を許容する所定の開口直径を有する螺旋状
のガイドチユーブ４０が適宜の手段により垂直に
固定保持されている。図示の実施例では、このガ
イドチユーブ４０はその螺旋の旋回直径と略等し
い直径を有するガイド筒４２の外周に固定され、
更にこのガイド筒４２は、回転基台２８の上方に
水平に臨ませたビームの如き適宜の手段により固
定保持されている。そして前記ガイドチユーブ４
０の中心軸線l₁は、前記ペイルパツク２２および
これを載置する回転基台２８の回転中心l₂に対し
若干偏心して平行に延在するよう配設位置してい
る。

なお第２図において、前記ガイド筒４２の内方
でかつ内筒２６の外方には、当該内筒２６と同心
的に補助内筒４４が着脱自在に挿通被着されてい
る。この補助内筒４４は、ワイヤ巻回作業時のみ
図示の如く配設されるものであつて、作業終了後
は抜き取られて、巻回作業により形成されたワイ
ヤ巻装体と前記内筒２６との間に若干の環状間隙
を付与し、溶接ワイヤの繰出しを円滑にする機能
を果たすようになつている。

第２図に示す装置において、前記螺旋状に形成
されて固定保持されているガイドチユーブ４０は
充分回転基台２８の上方に近接位置して、その下
部開口端Ｅと前記基台２８上に載置されたペイル
パツク外筒２４の巻回開始前における底部との間
に、第３図に示す如く僅かな間隙Ｇが保持される
ようになつている。そしてワイヤ巻回作業が開始
されて前記ガイドチユーブ４０の下部開口端Ｅか
ら溶接ワイヤ３８が繰り出されると、徐々に中空
コイル状のワイヤ巻装体がペイルパツク２２中に
形成され、これにつれて巻回面のレベルが上昇
し、前記開口端Ｅに接近することになる。そこで
前述した昇降駆動機構が作動を開始し、このレベ
ル上昇速度に対応させて、ペイルパツク２２を載
置している回転基台２８が前記支柱３０に対して
降下させられる。これにより、前記開口端Ｅとワ
イヤ巻回面との間に前記一定の間隙Ｅが常に保持
されるようになつている。なお前記昇降駆動機構
としては、回転基台２８を搭載した水平アーム３
２と直立支柱３０とを昇降自在に接続する公知の
ラツク・ピニオン機構の採用が提案されるが、そ
れ以外にも流体圧を駆動源とするラム機構等の適
宜の手段が好適に使用されるものである。またガ
イドチユーブ４０と回転基台２８（ひいては該基
台上に載置されるペイルパツク２２）とに付与さ
れる垂直な昇降移動は相対的なもので足りるか
ら、図示の実施例とは逆に回転基台２８を昇降不
能に定位置に保持し、ガイドチユーブ４０を昇降
駆動するようにしてもよいことは勿論である。

実施例の作用 次にこのように構成した装置を使用して、本発
明に係るワイヤ巻回収納方法を実施する際の手順
につき説明する。図示しない溶接ワイヤ供給源か
ら連続的に到来する溶接ワイヤ３８は、螺旋状に
形成されかつ固定位置に垂直に保持されたガイド
チユーブ４０中に挿通した状態で送給され、この
螺旋部分を通過する過程において該ワイヤ３８に
は所定の捩れが付与されると共に、チユーブ４０
の下部開口端Ｅから斜め下方へ到来する。このと
き前記ペイルパツク２２を載置した回転基台２８
は、モータ３６により駆動されて所定方向に回転
するようになつているから、前記ガイドチユーブ
４０の開口端Ｅから繰出される溶接ワイヤ３８は
外筒２４の底部に前記捩れの付与された状態で順
次巻回され、中空コイル状の巻装体に形成され
る。しかも前述したようにガイドチユーブ４０の
中心軸線l₁は、外筒２４の回転中心l₂に対し若干
偏心しているから、前記チユーブから繰出される
溶接ワイヤ３８はハニカム（花柄模様）状に巻回
される。

なおガイドチユーブ４０の開口端Ｅは、前述し
たように回転基台２８およびひいてはペイルパツ
ク２２の外筒２４の底部上方に僅かな間隙Ｇを保
持して臨んでいるから、外筒底部上には緩徐に溶
接ワイヤ３８の巻回がなされて行くことになる。
そして前記溶接ワイヤ３８の巻回が進行するにつ
れて、コイル状巻装体の巻回面レベルは上昇して
行くことになるが、このとき前述した昇降駆動機
構を作動させて回転基台２８をガイドチユーブ４
０に対して対応的に降下させることにより、チユ
ーブ開口端Ｅと巻装体の巻回面レベルとの間には
常に僅かな一定の間隙（例えば30〜50mm位）が保
持される。従つて、チユーブ開口端Ｅから連続的
に繰出される溶接ワイヤ３８は、巻回面レベルに
落着する過程において飛びはねたり、踊つたりす
ることなく、整然とコイル状に巻回されるもので
ある。

発明の効果 このように本発明に係る溶接ワイヤの巻回収納
方法およびこれを実施する装置によれば、ペイル
パツク中での溶接ワイヤの巻回に際し、ガイドチ
ユーブの下部開口端とワイヤ巻回面との間には常
に僅かな間隙Ｇが設定されるものであり、前述し
た従来技術に係る巻回方法のように大きな落差は
存在しないので、ワイヤ送給時における該ワイヤ
の飛びはねその他踊りが防止され、極めて整然と
したワイヤの巻回が達成されるものである。

すなわちガイドチユーブは回転不能に保持され
ているので、当該ガイドチユーブを回転させるた
めの複雑な機構が不要となつて簡素化が図られ
る。またガイドチユーブ自体は回転せず、溶接ワ
イヤは該チユーブの比較的長い螺旋部を通過した
後に開口端から現われる。このため溶接ワイヤに
周方向の遠心力は全く加わつておらず、しかもワ
イヤ送給中は、チユーブ開口端から最短距離でワ
イヤ巻装体の巻回面に落着する。従つて従来のワ
イヤ巻回収納方法および装置と異なり、巻回中に
溶接ワイヤが遠心力で半径方向に膨出することが
なく、高速での巻取りを平然となし得る大きな利
点がある。なお第２図に示す実施例では、ガイド
筒４２を設けた場合について説明したが、このガ
イド筒４２を使用することなく本発明方法を実施
することも勿論可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来技術に係るペイルパツクへのワイ
ヤ巻回収納方法を実施する装置の一例を示す概略
説明図、第２図は本発明に係る方法を実施するた
めの好適な一実施例としての本発明装置の概略構
成図、第３図はガイドチユーブの先端とペイルパ
ツク底部との間に僅かな間隙Ｇが形成されている
状態を示す説明図である。 ２４……外筒、２６……内筒、２８……回転基
台、４０……螺旋状ガイドチユーブ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 底部を有する外筒２４中に内筒２６を同心配
   置したペイルパツク２２を回転基台２８上で回転
   させると共に、前記外筒２４中に臨ませた螺旋状
   のガイドチユーブ４０から溶接ワイヤ３８を送給
   し、そのワイヤ送給時に前記ペイルパツク２２を
   所定速度で下降させて、該ペイルパツク２２に溶
   接ワイヤ３８を捩れが付与された状態で巻回収納
   するに際し、 前記ガイドチユーブ４０は前記外筒２４中で回
   転不能に保持すると共に、 そのワイヤ送給開始時には、該ガイドチユーブ
   ４０の開口端Ｅを前記外筒２４の底部上方に僅か
   な間〓Ｇを介して臨ませておき、 溶接ワイヤ３８の送給中は、前記ペイルパツク
   ２２を所定速度で下降させることにより、前記外
   筒２４の底部上に巻回されるワイヤ巻装体の巻回
   面とガイドチユーブ４０の開口端Ｅとの間に前記
   僅かな間〓Ｇを常に維持する制御を与える ことを特徴とするペイルパツクへのワイヤ巻回収
   納方法。 ２ 外筒２４および内筒２６からなるペイルパツ
   ク２２を載置し所定方向に回転可能な回転基台２
   ８と、この回転基台２８の上方から前記外筒２４
   中に臨ませた螺旋状ガイドチユーブ４０と、この
   ガイドチユーブ４０から溶接ワイヤ３８を送給す
   る際に、前記ペイルパツク２２を所定速度で下降
   させる手段とからなるペイルパツクへのワイヤ巻
   回収納装置において、 前記螺旋状ガイドチユーブ４０を前記外筒２４
   中に回転不能な状態で固定的に配設すると共に、
   該チユーブ４０における螺旋中心の軸線l₁を、前
   記回転基台２８の回転中心l₂に対し平行かつ偏心
   的に位置させ、 溶接ワイヤ３８の送給開始時に、前記ガイドチ
   ユーブ４０の下方に指向する開口端Ｅが、前記外
   筒２４の底部上方に僅かな間〓Ｇを介して臨んで
   いるよう構成した ことを特徴とするペイルパツクへのワイヤ巻回収
   納装置。