JPH0462683B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はコンバインにおいて収穫作業中に機台
が傾斜したときに刈取機の主要部を自動的に水平
状態に姿勢変更させる姿勢調整装置に関するもの
である。

コンバインは機台進行方向に対する左右一対
（以下、機台進行方向に対する左右方向を、左右
方向または機幅方向という）の走行クローラから
なる走行装置と、この走行装置の走行フレーム上
に搭載された刈取機および脱穀機とで構成されて
おり、機台の走行とともに刈取機で刈取られて搬
送された圃場の穀稈は、脱穀機で脱穀、選別され
て回収される。

このようなコンバインによる収穫作業において
は、地面の凹凸により左右の走行クローラに高低
差ができて機台が傾斜したまゝ走行したり、ある
いは右方への傾斜と左方への傾斜とを交互に繰返
すいわゆるローリングをしながら走行することが
ある。このように機台が傾斜すると、これに伴な
つて刈取機の引起し装置や刈刃、穀稈搬送装置な
どがすべて傾斜するので、刈刃による刈高さが機
幅方向の各位置で差ができたり、引起しや搬送の
途中で穀稈が自重によつて予期せぬ方向へ倒れた
りして良好な刈取搬送が行なわれないばかりでな
く、刈刃などが損傷する虞があつた。

そこで従来、少なくとも引起し装置と刈刃とを
備えた刈取機前処理部を本機側に回動自在に支持
させ、機台が傾斜すると手動またはセンサ等の検
出により自動的に刈取機前処理部を回動させて本
機側に追従して傾斜しないように姿勢を調整する
姿勢調整装置が提案されて用いられている。

このうち自動式の姿勢調整装置は、刈取機の前
処理部側に設けたセンサ等によつて機台の傾斜を
検出し、その発する電気信号により電磁バルブ等
を介し前処理部を回動させて傾斜姿勢から水平姿
勢へと復元させるものであるが、従来の装置にお
いてはセンサに泥や雑草などが詰つて検出不良が
発生したり、穀稈の搬送が阻害されたりするとい
う欠点があつた。

本発明は以上のような点に鑑みなされたもの
で、引起し装置や穀稈搬送装置などからなる前処
理部の機台進行方向に対する左右方向中央部を、
本機側に設けた前後方向への軸芯を中心にして左
右両端部が上下動する方向へ傾動可能に支持さ
せ、前記穀稈搬送装置を構成部材である株元搬送
装置を、刈取装置の後方にハの字状に配設すると
ともに、これらの株元搬送装置を搬送チエーンと
その走行端に添接する三角形環状の挟持杆とで構
成し、機台の傾斜を検出し前処理部を傾動させる
駆動装置に接続された水平センサを、前記挟持杆
で囲まれた空間内に配置したことにより、水平セ
ンサへの泥や雑草等の詰りを防止して検出性能の
向上を計り併せて穀稈搬送の円滑化を計つたコン
バインの姿勢調整装置を提供するものである。以
下本発明の実施例を図面に基いて詳細に説明す
る。

第１図ないし第４図は本発明に係る姿勢調整装
置の実施例を示し、第１図はこれを実施したコン
バインの正面図、第２図は同じく前半部の側面
図、第３図は同じく刈取機前処理部の平面図、第
４図は姿勢調整装置の電気、油圧回路図である。
図において、コンバイン１の走行装置２は、駆動
輪３と複数個の転輪４とに無端履帯５を張架して
なる左右一対の走行クローラ６と、これを連結す
る走行フレーム７とで構成されており、走行フレ
ーム７上には、全体を符号８で示す脱穀機が搭載
されている。脱穀機８は刈取穀稈の脱穀装置と脱
穀穀粒の選別装置とが収納された脱穀フレーム９
を備えており、この脱穀フレーム９の扱き口外方
には搬送無端帯１０とその走行端に沿つて支架さ
れて挟扼ばね１１で無端帯１０側に付勢された挟
持杆１２とからなる脱穀穀稈の搬送装置が前後方
向に延設されている。符号１３で示すものは走行
フレーム７と駆動輪３の支持杆とに支持されたメ
ーンギアボツクスであつて、その内部には図示し
ない原動機の回転を脱穀機８の入力軸に伝達する
伝導装置と、駆動輪３に変速して伝達する変速装
置およびクラツチ装置とが収納されている。さら
に脱穀機８の機台進行方向右側斜め前方には、操
縦者が着座する操縦席１４と、各種の操縦レバー
や計器類を備えた操作ボツクス１５とが前後方向
に配設されている。

前記メーンギアボツクス１３の上端面には、搬
送無端帯１０の搬送始端部に軸支部を位置させた
刈取軸受１６が固定されていて、これには円筒状
に形成されて内部に刈取駆動軸１７が軸支された
刈取入力ギアケース１８が回動自在に軸支されて
おり、刈取駆動軸１７はプーリ１９に添接された
ベルトによつて原動側と駆動連結されている。刈
取入力ギアケース１８には中空管状に形成された
縦フレーム２０が基端を一体的に結合されていて
結合部から鉛直下方よりもやゝ前方へ傾斜して延
設されており、その内部には、刈取入力ギアケー
ス１８内で刈取駆動軸１７とギア連結された伝導
軸２１が貫通軸支されている。刈取入力ギアケー
ス１８の一端には、中空状の搬送支持体２２が回
動自在に支持されており、その内部には刈取駆動
軸１７と駆動連結された搬送駆動軸が貫通軸支さ
れている。搬送支持杆２２には、扱き深さ調節用
搬送装置としての穂先搬送装置（後）２３と、根
元搬送装置（後）２４とがほゞ平行して基端部を
支持されており、このうち穂先搬送層胃（後）２
３は、多数のラグ２５を一定間隔で備えた無端帯
とラグ２５の先端走行軌跡に沿つて支架された穂
先ガイド２６とで構成されている。また根元搬送
装置（後）２４は、無端帯２７とその走行端に沿
つて支架された挾持杆（図示せず）とで構成され
ており、後述する穂先、根元両搬送装置（前）４
６，４７から引継がれた穀稈をこれら両搬送装置
（後）２３，２４で脱穀機８へ向つて搬送するよ
うに構成されている。そして、これら両搬送装置
（後）２３，２４は操縦席１４からの操作で搬送
支持杆２２とともに一体とつながつて刈取駆動軸
１７を中心に揺動し、引継がれた穀稈の保持位置
を変化させることにより、脱穀時における穂先位
置、いわゆる扱き深さが調節されるように構成さ
れている。

このように両搬送装置（後）２３，２４と縦フ
レーム２０とで構成された後処理部２８は全体を
符号２９で示す前処理部とで刈取機３０を構成し
ており、前処理部２９は、後処理部２８に対して
傾動かつ着脱可能に支持されている。すなわち縦
フレーム２０の下端部には、三角形状のブラケツ
ト３１が機幅方向へ突出して溶着されており、こ
のブラケツト３１には、縦フレーム２０の軸芯と
直交し前方へ向うにしたがつてやゝ高くなるよう
に傾斜する前後方向への軸芯を有する枢軸３２が
軸支されている。符号３３で示すものは、縦フレ
ーム２０と逆Ｔ字状をなして機幅方向に延設され
た中空状の刈取前フレームであつて、その中央部
を前記枢軸３２を中心にして左右両端部が上下動
する方向へ傾斜可能に支持されており、その内部
に貫通軸支された引起し駆動軸３４との間をベベ
ルギアで駆動連結された入力軸と、前記伝導軸２
１とはスプラインとスプライン溝との係合によつ
て着脱自在に駆動連結されている。また伝導軸２
１の連結部近傍には、刈取前フレーム３３が揺動
しても回転伝達に支障のないよう自在接手３５が
設けられている。刈取前フレーム３３に分草杆ス
テー３３ａ，３３ｂを介して支持された分草支持
杆３３ｃからは複数個の分草杆３６が互に平行し
地面に近接しで前方へ延設されており、各分草杆
３６の先端部には、機台の進行とともに圃場の穀
稈を掻き分ける分草体３７がそれぞれ固定されて
いる。３８は到伏した穀稈の穂先部を場上搬送し
て穀稈を起立させる複数個の引起し装置であつ
て、一定間隔で配設された多数のラグ３９を有し
て引起しケース内で走行する無端帯を備えてお
り、前記刈取前フレーム３３から斜め上方へ突設
された引起しパイプ４０と、分草杆３６とで上下
両端部を支持されている。なお引起し装置３８は
引起し駆動軸３４と駆動連結されて引起しパイプ
４０内を貫通する伝導軸側から駆動されている。
４１は起立した穀管の根元部を刈取るバリカン状
の刈刃であつて、分草杆３６の中央部に支持され
て機幅方向に延設されている。刈刃４１の後方に
は複数個の掻込軸受４２が斜め上方へ向つて突設
されていて、これには掻込軸４３が軸支されてお
り、この掻込軸４３上には、起立した穀稈を掻取
位置へ搬送する掻込ベルト４４と、刈取られた穀
稈を搬送径路へ掻込む回転掻込体４５とが設けら
れている。なお、４個の掻込ベルト４４と回転掻
込体４５とのうち外側のものは引起し駆動軸３４
側から駆動されて積極回転するが、内側のものは
穀稈の相手の回転掻込体４５と挾持して掻込むこ
とにより消極的に回転する。さらに前記刈取前フ
レーム３３にはこれを貫通する引起し駆動軸３４
側から駆動される各一対の穂先搬送装置（前）４
６と根元搬送装置（前）４７とが互にほゞ平行し
てハの字状に支持されており、このうち穂先搬送
装置（前）４６は多数のラグ４８を一定間隔で備
えた無端帯とラグ４８の先端走行軌跡に沿つて支
架された穂先ガイド（図示せず）とで構成されて
いる。また根元搬送装置（前）４７は互に搬送径
路を対向させてハの字状に配設された左右一対の
無端帯４９と、各無端帯４９の走行端に沿う２辺
と、刈取前フレーム３３に平行する１辺とで三角
形環状に形成されて中央の分草杆３６に支持され
た挾持杆５０とで構成されており、その一辺の回
転体を前記外側の掻込軸４３に固定することによ
り、掻込軸４３側から回転駆動されている。そし
て両搬送装置（前）４６，４７は刈取穀稈の穂先
部と根元部を保持して搬送するとともに、その搬
送終端部を前記両搬送装置（後）２３，２４の搬
送終端部に近接して位置されており、搬送穀稈を
引き継ぎ搬送するように構成されている。

次に縦フレーム２０を前処理部２９の上下動方
向へ揺動させる揺動装置と、前処理部２９をその
左右両端部が上下動する方向へ傾動させる駆動装
置について説明する。先ず縦フレーム２０には、
走行フレーム７の前端部に枢支された圧力シリン
ダ５１のピストンロツド作用端が枢着されてお
り、操縦席１４からの操作で圧力シリンダ５１の
ピストンロツドを伸縮させることにより、縦フレ
ーム２０が刈取駆動軸１７を中心に揺動して刈刃
４１による刈高さが調節されるように構成されて
いる。さらに、縦フレーム２０の下部には、シリ
ンダ支持杆５２が刈取前フレーム３３と平行して
水平状に機幅方向へ突設されており、その先端部
には圧力シリンダ５３が枢着されていてそのピス
トンロツド作用端は前記刈取前フレーム３３の一
端に枢着されている。そして刈取前フレーム３３
とステー３３ａ，３３ｂで連結されて前記分草杆
３６を支持する分草支持杆３３ｃの中央部に溶着
されたセンサ台５４上には、水平センサ５５が固
定されており、その位置は三角形環状の前記挾持
杆５０で囲まれた中央部に設定されている。第４
図は水平センサ５５と前記圧力シリンダ５３との
間の電気、油圧回路図であつて、水平センサ５５
の両接点はソレノイドバルブ５６の左右のソレイ
ノイド５７，５８との間をリード線５９によつて
それぞれ接続されている。また、ソレノイドバル
ブ５６の両ポートは、圧力シリンダ５３のロツド
エンド側とヘツドエンド側との間を配管６０によ
つてそれぞれ接続されており、さらに油圧ポンプ
６１とタンク６２との間を配管６３で接続されて
いる。そして機台が傾斜すると、水平に対する傾
斜方向が右であるか左であるかによつて水平セン
サ５５に設けた左右の水銀スイツチ接点のいずれ
かが選択的に閉成し、左右のソレノイド５７，５
８のいずれかを作動させるように構成されてお
り、これによつてソレノイドバルブ５６の各ポー
トを介し圧力シリンダ５３のロツドエンド側とヘ
ツドエンド側とのいずれかへ送油されて、ピスト
ンロツドが伸縮する。そしてピストンロツドの伸
縮により刈取前フレーム３３が伸縮させながら枢
軸３２を中心にして回動し、機台の傾斜にかゝわ
らず刈取機前処理部２９の水平状態が保持される
ように構成されている。

以上のように構成されたコンバインの動作を４
条刈りを例にとつて説明する。原動機を始動して
機台を前進させると、圃場に植立する４条の穀稈
は分草体３７に掻き分けられて隣接する分草体３
７間に１条ずつ導かれ、相対向する２個ずつ２組
の引起し装置３８によつて２条ずつ引起されると
ともに、根元部を掻込ベルト４４で刈取位置へ搬
送される。搬送された穀稈は刈刃４１で根元部を
刈取られると同時に穂先部を引起し装置３８から
解放され、２組の回転掻込体４５によつて２条ず
つ搬送径路へ掻込まれる。掻込まれた各２条ずつ
の穀稈は、根元部の左右の根元搬送装置（前）４
７の無端帯４９と挾持杆５０とで挾持されて搬送
され、また穂先部を左右の穂先搬送装置（前）４
６のラグ４８と穂先ガイドとに保持されて搬送さ
れたのち、搬送終端部で４条が合流する。この穀
稈は搬送装置（前）４６，４７から搬送装置
（後）２３，２４に引継がれて搬送され、その搬
送終端部においてさらに脱穀機８の搬送無端帯１
０に引継がれて搬送されながら脱穀される。

そして、機台が地面の凹凸によつて例えば進行
方向に向つて右方へ傾斜すると、水平センサ５５
の片方の水銀スイツチ接点が閉成しソレノイド５
８が作動するので、油圧ポンプ６１で送給された
圧油は、ソレノイドバルブ５６のポートを介して
圧力シリンダ５３のヘツドエンド側へ送給され、
ピストンロツドが伸長する。したがつて刈取前フ
レーム３３が自在接手３５を伸縮させながら枢軸
３２を中心にして第１図の時計方向へ回動し、刈
取機前処理部２９全体が同方向へ回動して水平状
態に姿勢調整される。すなわち第１図に鎖線で示
すように機第とともに傾斜した刈刃４１が実線で
示すような機第傾斜前の水平姿勢に復帰する。こ
のような姿勢調整動作においては、水平センサ５
５にわら屑や雑草等が巻き付くと検出作用が阻害
されるが、本装置においては、水平センサ５５が
三角形環状の挾持杆５０で囲まれた中心部に設け
られているので、水平センサ５５にわら屑等が巻
き付く虞がなく、検出不良を防止することができ
るとともに、穀稈の搬送が水平センサ５５によつ
て阻害されることがない。

以上の説明により明らかなように、本発明によ
ればコンバインの姿勢調整装置において、機台の
傾斜を検出する水平センサ５５をハの字状に配設
された穀稈搬送装置４７の走行端に添接する三角
形環状の挾持杆５０で囲まれた空間内に設けたこ
とにより、水平センサ５５が搬送穀稈や泥、雑草
などに触れることが少なくなるので、これらが詰
ることがなく、機台傾斜に対する検出性能が向上
するとともに、穀稈の搬送が円滑になり、搬送性
能が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図は本発明に係るコンバイン
の姿勢調整装置の実施例を示し、第１図はこれを
実施したコンバインの正面図、第２図は同じく前
半部の側面図、第３図は同じく刈取機前処理部の
平面図、第４図は姿勢調整装置の電気、油圧回路
図である。 １……コンバイン、２９……刈取機前処理部、
３０……刈取機、３２……枢軸、３８……引起し
装置、４１……刈刃、４７……根元搬送装置
（前）、４９……無端帯、５０……挾持杆、５５…
…水平センサ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 穀稈引起し装置と多条刈りの刈取装置と穀稈
   搬送装置とを一体的に枠組みしてなる前処理部の
   機台進行方向に対する左右方向中央部を、本機側
   に設けた前後方向への軸芯を中心にして左右両端
   部が上下動する方向へ傾動可能に支持させ、前記
   穀稈搬送装置を構成する部材であつて左右両側の
   刈取穀稈をそれぞれ始端部分で集め後方へ搬送し
   て合流させる左右一組の株元搬送装置を前記刈取
   装置の後方にハの字状に配設するとともに、これ
   らの株元搬送装置を搬送チエーンとその走行端に
   添接する三角形環状の挟持杆とで構成し、機台の
   傾斜を検出し前記前処理部を傾動させる駆動装置
   に接続された水平センサを、前記挟持杆で囲まれ
   た空間内に配置したことを特徴とするコンバイン
   の姿勢調整装置。