JPH0458585B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は通信用端末装置などに用いられる予備
電源の監視方式に関するものである。

従来、商用電源を使う通信用端末装置や火災報
知器などの防災用機器類は、商用電源停電時にも
機能やサービス性を損わないようにするため、電
池などのローカル給電による予備電源方式を採用
していた。

このような装置類の予備電源としては小形で繰
り返し使用ができるニツケル・カドミウム蓄電池
などの２次電池が多く使われていた。

本発明者は先に、前述した予備電源における該
２次電池の性能劣化を監視するため、たとえば該
２次電池の端子電圧をトリクル充電中に常時所定
の基準電圧と比較しておいて、端子電圧が基準電
圧以下に低下したことを検出すると該２次電池に
所定の急速充電電流を流し、所定の時間急速充電
させ、その後さらに強制的に所定の放電電流にな
るように所定の時間強制放電させ、その動作中あ
るいは放電後に再度前記基準電圧と該２次電池の
端子電圧とを比較することにより、該２次電池の
性能劣化を判定するような監視方式を提案した。

前述した予備電源の監視方式は種々の利点を有
するものの、以下に述べる問題点があつた。

即ち、第１に、２次電池（１次電池も同様）の
性能劣化は端子電圧の低下とともに放電電流の低
下をもたらすが、内部抵抗の増加により端子電圧
がそれほど低下しなくても放電電流が著しく低下
する場合がある。このように２次電池の性能劣化
のうちで内部抵抗の増加が著しい場合には、急速
充電させ、その後、強制放電させても端子電圧が
あまり低下しないことがあり、該端子電圧を基準
電圧と比較するのみでは性能劣化を正しく判定で
きない。

第２に、２次電池の端子電圧は一般に、充電状
態と放電状態で異なるという特性を有するため、
一定の基準電圧で該２次電池の端子電圧を比較す
ると劣化判定の精度を著しく落す。

本発明はこれらの問題点を解決するため、放電
電流の有無を検出する電流検出回路を設けること
により内部抵抗の増加という２次電池の性能劣化
を正しく判定し、また、充電時に対応した基準電
圧と放電時に対応した基準電圧とを切換えて出力
する基準電圧回路を設けることにより充電時と放
電時とで端子電圧が異なる２次電池の性能劣化を
正確に検出するようになしたもので、以下、図面
について詳細に説明する。

第１図及び第２図は本発明方式を適用した電源
装置の第１の実施例を示すもので、図中、１，２
は商用電源の入力端子、３は整流・平滑回路、
４，５は通信用端末装置等の負荷への出力端子、
６は第１のタイマー回路、７はトリクル充電回
路、８は急速充電回路、９は複数のセルよりなる
２次電池、１０は強制放電回路、１１は第２のタ
イマー回路、１２は電流検出回路、１３は切換え
回路、１４は停電検出回路、１５は電圧比較回
路、１６は温度補償付基準電圧源、１７は制御部
である。

上記第１のタイマー回路６は制御部１７からの
命令に従つて整流・平滑回路３より供給される直
流電力をトリクル充電回路７又は急速充電回路８
に出力する。ここでトリクル充電回路７には通常
継続的に充電電流が流れるが、急速充電回路８に
は予め設定された時間（この時間は任意に設定で
きるが、一般に完全充電を目的としていないので
比較的短時間でもよい。）の間のみ充電電流が流
れ、該急速充電回路８に充電電流が流れている
間、及び後記試験の際の放電期間の間はトリクル
充電回路７は充電電流が流れなくなつている。

トリクル充電回路７は２次電池９のトリクル充
電に必要な0.02Cから0.1C（ここでＣは２次電池９
の定格容量を１時間で除した電流値である。）の
範囲の中の任意な電流値に定電流化したトリクル
充電電流を２次電池９へ供給する。また急速充電
回路８は２次電池９の急速充電に必要な0.05Cか
ら0.5Cの範囲の中の任意な電池値に定電流化した
急速充電電流を２次電池９に供給するようになつ
ている。

強制放電回路１０は定電流回路や固定抵抗など
によつて構成され、２次電池９より0.1Cから0.5C
程度の電池を放電するように設定されている。ま
た、第２のタイマー回路１１は制御部１７の命令
に従つて強制放電回路１０を所定時間の間だけ動
作させるが、該放電時間は放電電流値と放電時間
の積が前記急速充電電流値と充電時間の積より小
さな値になる範囲で任意に設定される。電流検出
回路１２は強制放電回路１０による放電電流の有
無を検出する。

切換え回路１３は制御部１７の命令に従つて出
力端子４，５と２次電池９とを断続する。また停
電検出回路１４は商用電源が停車した時、その情
報を制御部１７に送出するようになつている。

電圧比較回路１５は常時あるいは負荷の使用時
や遠隔にある局からの指令をトリガとして制御部
１７の命令に従つて２次電池９の端子電圧を後述
する基準電圧と比較し、その結果を制御部１７へ
送出するようになつている。温度補償付基準電圧
源１６は、例えば温度に対して線形あるいは非線
形の電圧を発生する温度センサを備え、周囲温度
に対応した基準電圧、即ち高温時は高く、低温時
は低い基準電圧を電圧比較回路１５に出力する如
くなつている。なお、図中の各回路を結ぶ実線は
電力線、破線は制御信号線をそれぞれ表わすもの
とする。

次に動作について説明する。通常、出力端子
４，５には入力端子１，２より入力した商用交流
電力を整流・平滑回路３で整流し平滑して得た直
流電力が供給される。この時切換え回路１３はオ
フ状態にあり、２次電池９はトリクル充電回路７
より供給される電流によつてトリクル充電され
る。商用電源が負荷の使用中に停電するか、ある
いは停電中に負荷を使おうとすると、停電検出回
路１４が該商用電源の停電を検出し、この情報を
制御部１７に送出する。制御部１７はこの情報を
受けると切換え回路１３をオンし、出力端子４，
５へ２次電池９の直流電力を供給させサービス性
を維持させる。

次に２次電池９の性能劣化を判定する動作を第
２図について説明する。２次電池９がトリクル充
電回路７より供給される充電電流によつてトリク
ル充電されているか、あるいは商用電源の停電が
回復した直後に、電圧比較回路１５で２次電池９
の端子電圧が温度補償された基準電圧より低下し
たことが検出されると、制御部１７は第１のタイ
マー回路６を作動させトリクル充電回路７をオフ
状態にするとともに急速充電回路８をオン状態に
させ、２次電池９を急速充電する。該急速充電の
充電時間が経過すると、制御部１７は第２のタイ
マー回路１１を作動させ強制放電回路１０をオン
状態にし、２次電池９からの放電を開始させる。
この時、電流検出回路１２によつて放電電流の有
無を検出する。電流が検出されない場合は２次電
池９の性能劣化と判定する。電流が検出されてい
る場合は引続き放電を継続し前記放電時間が経過
すると、制御部１７は電圧比較回路１５で再度基
準電圧と比較する。そして２次電池９の端子電圧
が基準電圧以上あれば、さきの端子電圧の低下は
単なる充電不足によるものと判定し通常の運用状
態に復帰させる。

一方、前記充・放電を行なつてもなお２次電池
９の端子電圧が基準電圧以下であれば、制御部１
７は２次電池９の性能劣化と判定する。なお、判
定するタイミングは強制放電中でもよいことはも
ちろんである。そして該判定結果は必要に応じて
情報処理し図示しない表示部に表示させたり、あ
るいは所定の通信線を使つて局側などへ自動送出
させたりすることもできる。

このように上記実施例によれば、強制放電時の
放電電流の有無を検出できるため、内部抵抗の増
加という２次電池の性能劣化を正しく判定でき、
また、基準電圧を周囲温度に対応して設定できる
ため、温度条件の変化に基く２次電池の特性変
化、即ち端子電圧の変化に対処して、低温から高
温までの広い温度範囲において該２次電池の端子
電圧の低下を正確に検出でき、従つて２次電池の
負荷への放電による端子電圧低下の場合も、性能
劣化による端子電圧低下の場合も正確に劣化判定
サイクル動作に入り、性能劣化の判定精度を著し
く向上させることができる。

第３図は本発明の第２の実施例を示すものであ
る。図中、１８は温度補償付トリクル充電回路
で、例えば温度に対して線形あるいは非線形の出
力電圧を発生する温度センサを備え、該温度セン
サの出力電圧をパワートランジスタのベースに入
力し、そのコレクタ電流を制御することにより、
周囲温度に対応したトリクル充電電流、即ち高温
時は多く、低温時は少ない（但し、0.02Cから
0.1Cまでの範囲内）電流を出力する如くなつてい
る。従つて、この実施例によれば、周囲温度が高
温で２次電池の自己放電が大きくてもそれに見合
う充電電流を供給でき、一方、周囲温度が低温に
なつても各温度に対応してトリクル充電電流値を
小さくできるため、２次電池の低温特性である自
己放電が少なくかつ電池内部の化学反応速度の鈍
化による内部ガス圧の上昇や安全弁の作動、液も
れなどの性能劣化に影響する現象を防止できる。
その結果、低温から高温までの広い温度範囲で充
電不足や２次電池の性能劣化を防止でき、さらに
正確な動作状態での電池性能の劣化判定がなし得
る。なお、その他の構成及び効果は第１の実施例
と同様である。

また、特に必要ではないが急速充電回路８につ
いても前述した如き温度補償手段を加えるように
なしてもよい。

第４図は本発明の第３の実施例である。図中、
１９は基準電圧回路で、充電時用基準電圧源１９
ａと放電時用基準電圧源１９ｂと切換え器１９ｃ
とからなつており、充電時用基準電圧源１９ａは
トリクル充電中または急速充電中の２次電池９の
端子電圧に対応し、かつ周囲温度に応じた基準電
圧を発生し、また放電時用基準電圧源１９ｂは強
制放電中または負荷への放電中の２次電池９の端
子電圧に対応した基準電圧を発生する。また切換
え器１９ｃは制御部１７の指令に従つて、トリク
ル充電中または急速充電中は充電時用基準電圧源
１９ａの基準電圧を、強制放電中または負荷への
放電中は放電時用基準電圧源１９ｂの基準電圧を
電圧比較回路１５に送出する如くなつている。こ
こで一般的に充電時の基準電圧は放電時より高く
設定される。従つて、この実施例によれば、２次
電池の端子電圧が充電状態と放電状態では異なる
という２次電池の特性を考慮した電圧比較がで
き、その結果トリクル充電時には基準電圧を高め
に設定することにより２次電池の劣化による端子
電圧の低下を精度よく検出できると同時に、劣化
判定サイクル動作の強制放電時には基準電圧を低
めに設定することにより充電不足による端子電圧
低下と性能劣化による端子電圧低下の区別、即ち
劣化判定の精度を向上させることができる。な
お、その他の構成及び効果は第１及び第２の実施
例と同様である。

以上説明したように本発明の第１発明によれ
ば、電流検出回路を設けて強制放電時の放電電流
の有無を検出するようになしたため、端子電圧と
基準電圧との比較だけでは検出できなかつた内部
抵抗の増加という２次電池の性能劣化を正確に判
定できる。また、第２発明によれば、充電時に対
応した基準電圧と放電時に対応した基準電圧とで
２次電池の端子電圧を比較するようになしたた
め、充電時と放電時とで端子電圧が異なる２次電
池の性能劣化を正確に判定できる。さらにまた、
第３発明によれば、、電流検出回路を設けて強制
放電時の放電電流の有無を検出するとともに、充
電時に対応した基準電圧と放電時に対応した基準
電圧とで２次電池の端子電圧を比較するようにな
したため、内部抵抗の増加という２次電池の性能
劣化を正確に判定できるとともに、充電時と放電
時とで端子電圧が異なる２次電池の性能劣化を正
確に判定でき、従つて、２次電池の保守、管理の
手間や費用等を少なくすることができる等の利点
がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の説明に供するもので、第１図及
び第２図は本発明方式を適用した電源装置の第１
の実施例を示し、第１図はそのブロツク図、第２
図は２次電池の性能劣化を判定する動作サイクル
のフローチヤート、第３図は本発明の第２の実施
例を示すブロツク図、第４図は本発明の第３の実
施例を示すブロツク図である。 １，２……商用電源の入力端子、４，５……負
荷への出力端子、６，１１……タイマー回路、７
……トリクル充電回路、８……急速充電回路、９
……２次電池、１０……強制放電回路、１５……
電圧比較回路、１６……温度補償付基準電圧源、
１７……制御部、１８……温度補償付トリクル充
電回路、１９……基準電圧回路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 商用電源の停電時に負荷と接続する２次電池
   の端子電圧を所定の基準電圧と比較する電圧比較
   回路と、２次電池に所定の値の急速充電電流を供
   給する急速充電回路と、２次電池より所定の値の
   放電電流を放電させる強制放電回路と、前記放電
   電流の有無を検出する電流検出回路と、各動作を
   司る制御部とを備え、前記制御部は、前記電圧比
   較回路で２次電池の端子電圧が前記基準電圧以下
   に降下したことを検出すると、前記急速充電回路
   で２次電池に所定の急速充電電流を所定時間充電
   させ、さらに前記強制放電回路で所定の放電電流
   を所定時間放電させ、該放電時、放電電流が前記
   電流検出回路で検出されない場合は２次電池の性
   能劣化と判定し、また、検出された場合は該放電
   中または放電終了後、再度電圧比較回路で２次電
   池の端子電圧を前記基準電圧と比較することによ
   り２次電池の性能劣化を判定する予備電源の監視
   方式。 ２ 商用電源の停電時に負荷と接続する２次電池
   の端子電圧を基準電圧と比較する電圧比較回路
   と、該電圧比較回路に充電時に対応した基準電圧
   と放電時に対応した基準電圧とを切換えて出力す
   る基準電圧回路と、２次電池に所定の値の急速充
   電電流を供給する急速充電回路と、２次電池より
   所定の値の放電電流を放電させる強制放電回路
   と、各動作を司る制御部とを備え、前記制御部
   は、前記電圧比較回路で２次電池の端子電圧が前
   記充電時に対応した基準電圧以下に降下したこと
   を検出すると、前記急速充電回路で２次電池に所
   定の急速充電電流を所定時間充電させ、さらに前
   記強制放電回路で所定の放電電流を所定時間放電
   させ、該放電中または放電終了後、再度電圧比較
   回路で２次電池の端子電圧を前記放電時に対応し
   た基準電圧と比較することにより２次電池の性能
   劣化を判定する予備電源の監視方式。 ３ 商用電源の停電時に負荷と接続する２次電池
   の端子電圧を基準電圧と比較する電圧比較回路
   と、該電圧比較回路に充電時に対応した基準電圧
   と放電時に対応した基準電圧とを切換えて出力す
   る基準電圧回路と、２次電池に所定の値の急速充
   電電流を供給する急速充電回路と、２次電池より
   所定の値の放電電流を放電させる強制放電回路
   と、前記放電電流の有無を検出する電流検出回路
   と、各動作を司る制御部とを備え、前記制御部
   は、前記電圧比較回路で２次電池の端子電圧が前
   記充電時に対応した基準電圧以下に降下したこと
   を検出すると、前記急速充電回路で２次電池に所
   定の急速充電電流を所定時間充電させ、さらに前
   記強制放電回路で所定の放電電流を所定時間放電
   させ、該放電時、放電電流が前記電流検出回路で
   検出されない場合は２次電池の性能劣化と判定
   し、また、検出された場合は該放電中または放電
   終了後、再度電圧比較回路で２次電池の端子電圧
   を前記放電時に対応した基準電圧と比較すること
   により２次電池の性能劣化を判定する予備電源の
   監視方式。