JPH0454956Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は磁気テープカセツト収納ケースに関
し、特にオーデイオ等に用いられる磁気テープカ
セツトを保管する際に用いられる磁気テープカセ
ツト収納ケースの改良に関するものである。

（従来技術） オーデイオ等に用いらえっる磁気テープカセツ
トは、通常その保管時において、プラスチツクか
ら成る磁気テープカセツト収納ケース（以下、単
に「収納ケース」と云う）に収納される。前記収
納ケースは、前記磁気テープカセツトが記録再生
装置の磁気ヘツド等の挿入される開口部を備え、
且つ該開口部を横切るように装着された磁気テー
プを有しているので、該開口部から塵埃がカセツ
ト内に侵入するのを防止すると共に、該開口部に
位置している前記磁気テープの保護およびカセツ
ト全体を保護する目的で用いられている。

第３図は従来の収納ケースの基本的な構造を示
す。収納ケース１は磁気テープカセツト２０が挿
入されるポケツト４を備えた蓋部２と、磁気テー
プカセツト２０のシヤフト挿入孔２２に入り込む
一対の回転防止突起７を備えたケーシング部５か
ら成つている。そして、収納ケース１はケーシン
グ部５の左右内側に突設された支軸とポケツト４
の左右側壁に透設された孔とが嵌合されているこ
とにより、ケーシング部５と蓋部２とが扉の如く
開閉できるようになされている。そして、収納ケ
ース１は磁気テープカセツト２０の表裏面に対向
する壁部３，６間の間隔が、磁気テープカセツト
２０のカセツト厚み増大部２１の厚さに対応する
ような間隔に構成されているため、収納ケース１
の厚さl₁は、カセツト厚み増大部２１以外のカセ
ツト厚みl₂に比べてかなり大きく構成されてい
る。従つて、磁気テープカセツト２０を収納ケー
ス１に収納して保管すると、磁気テープカセツト
２０を裸で保管した場合の保管スペースに比べて
かなり大きな保管スペースが必要となる。

このため、一般ユーザーが磁気テープカセツト
２０を限られたスペース内に保管するような場
合、例えば、自動車内に出来るだけ多く保管しよ
うとした場合には、収納ケース１に収納しないこ
ともあつた。しかし、磁気テープカセツト２０を
収納ケース１に収納しないで保管すると、塵埃が
カセツト内に侵入し易くなり、磁気テープカセツ
ト２０の記録再生特性の低下を助長する問題があ
つた。

上記のような問題を解消すべき、本出願人は、
実開昭60−163279号公報に開示した如く薄型の収
納ケースを提案した。この薄型の収納ケースは、
磁気テープカセツト２０の開口部のカセツト厚み
増大部２１を受容する凹部が、蓋部２及びケーシ
ング部５に形成された構造である。すなわち、凹
部は他の部分に比べて薄肉に構成されている。こ
のために、成形時における射出樹脂の流動性が凹
部の所において悪くなる。そこで、成形金型のキ
ヤビテイへの樹脂流出口（ゲート）を前記凹部に
対応する位置に設けることにより、射出樹脂の流
動性の問題は解決されるが、凹部のように薄肉の
所にゲートを設けることは、製品の外観上目立つ
位置であるだけでなく、一般に、ゲート跡及びゲ
ート跡周辺には成形時の残留応力が集中しやすい
ために、ケース強度の点を考慮すると薄肉の凹部
にゲートを設けることは困難であつた。

一方、ポケツトの反対側に凹部を設けて、この
凹部にカセツト厚み増大部が受容するような構造
の収納ケースは、第３図に示すような収納ケース
のように、カセツト開口部の保護をインデツクス
シートの如き紙によつて覆う構成が取り難い。こ
のために、特にカセツトの開口部の保護機能に問
題があり、例えばカセツトの開口部がケース内壁
面と擦れることによつて、削れ粉が発生すること
もある。

（考案が解決しようとする課題） 本考案の課題は、その一つが、凹部を有する収
納ケースにおいて薄肉の凹部にゲートを設けるこ
あとができる構成であり、もう一つがカセツトの
開口部の保護機能を高めた構造の収納ケースを提
供することにある。

（課題を解決するための手段） 本考案のかかる課題は、磁気テープカセツトの
カセツト厚み増大部を受容する凹部が蓋部及びケ
ーシング部にポケツトと反対側の所に対面するよ
うに設けられた磁気テープカセツト収納ケースで
あつて、前記凹部に磁気テープカセツトのキヤプ
スタンホールもしくはリフアレンスホールに入り
込む突起部を設けると共に、前記突起部の設けら
れたケース外面側に樹脂流入用のゲートが設けら
れたことを特徴とする磁気テープカセツト収納ケ
ースにより解決することができる。

以下、本考案の実施態様について詳細に説明す
る。

第１図は本考案の一実施態様を示す斜視図であ
る。

第１図に示す収納ケース３０は、ポケツト３４
を有する蓋部３２と、ケーシング部３５とが従来
の収納ケース１と同様に枢着されている。蓋部３
２には、カセツト表裏面に広域的に対向する壁部
３３に、磁気テープカセツト２０の開口部を構成
しているカセツト厚み増大部２１を受容する凹部
３８が形成されている。又、ケーシング部３５に
は、カセツト表裏面に対向する壁部３６にカセツ
ト厚み増大部２１を受容する凹部３８とリールシ
ヤフト挿入孔２２に嵌入する従来の同様の一対の
回転防止突起７が形成されている。

両凹部３８は互いに向い合うようにケース内側
に形成されており、その形状はカセツト厚み増大
部２１を受容する形状、すなわち、蓋部３２とケ
ーシング部３５との開閉回転軸線に対して外方に
広がるような例えば、台形状に構成されている。

なお、収納ケース３０は閉塞されているとき
は、従来と同様に、壁部３６と壁部３３に平行な
ポケツト３４の小壁部とはあたかも同一壁面を構
成するようになされている。又、ケーシング部３
５の左右側壁３９と、側壁３９に対向するポケツ
ト３４の左右側壁との対向面には、図示しない
が、収納ケース３０の閉蓋時に相互に嵌合する凹
凸部が形成されており、カセツト保管時において
不測に開動しないようになされている。

収納ケース３０が閉蓋されているときの壁部３
３と壁部３６との間隔は、磁気テープカセツト２
０のカセツト厚み増大部２１以外の厚さl₂よりも
極く僅か大きくなされていると共に、両凹部３８
間の間隔はカセツト厚み増大部２１の厚さl₅より
も極く僅か大きく構成されている。

収納ケース３０の材質は従来のものと同様でよ
く特に限定するものではない。又、収納ケース３
０の肉厚l₄も磁気テープカセツト２０の保護要件
を満す厚さであればよく従来と同様でよい。

又、上記の凹部３８にはケース内方に突出した
突起部４０が設けられている。この突起部４０は
磁気テープカセツト２０のカセツト厚み増大部２
１に形成されているキヤプスタンホール２３もし
くはリフアレンスホール２４に対応した位置に設
けられている。従つて、収納ケース３０に磁気テ
ープカセツト２０が収納された状態においては、
第２図に示す如く、突起部４０がキヤプスタンホ
ール２３もしくはリフアレンスホール２４に入り
込んでおり、磁気テープカセツト２０の位置を制
限しており、該カセツト２０のがた付きを抑えて
いると共に、カセツト前方の開口部と収納ケース
３０の側壁（回動軸線と平行な側壁）とが接触し
ないようにしている。

また、蓋部３２及びケーシング部３５を射出成
形するときの金型の樹脂流入口であるゲートは、
突起部４０のケース外側の所に位置している。な
お、他の箇所にもゲートを合わせて設けてもよい
ことは云うまでもない。このように、ゲートの位
置が突起部４０の所に設けられていることによ
り、突起部４０が樹脂だまりの役割をしているの
で、薄肉部分である凹部３８にゲートを設けるこ
とができ、ケース成形時の樹脂流動性は極めて良
くなり、成形性を高めることができる。従つて、
樹脂流動性が低いことによる、例えばウエルドラ
インの発生及びクラツクが生じ易くなる問題等も
回避される。

上述の如く構成した収納ケース３０に磁気テー
プカセツト２０を収納保管するときは、開蓋され
た収納ケース３０のポケツト３４に前記磁気テー
プカセツト２０のカセツト後方部分（開口部の反
対側）を挿入する。このとき、蓋部３２の凹部３
８にカセツト厚み増大部２１の片側が対応し、突
起部４０が例えばキヤプスタンホール２３に嵌入
し、そして蓋部３２を閉じるとカセツト厚み増大
部２１の他方側がケーシング部３５の凹部３８に
対応されると共に、他方の突起部４０がキヤプス
タンホール２３に嵌入し、又、リールシヤフト挿
入孔２２に回転防止突起７が嵌入されて、磁気テ
ープカセツト２０は収納ケース３０に収納保管さ
れる。

本考案における突起部４０の大きさは、例えば
キヤプスタンホール２３もしくはリフアレンスホ
ール２４に入り込むことのできる大きさで、且つ
樹脂だまりとしての効果が発揮でき、さらに磁気
テープカセツト２０のがた付きを防止できる大き
さであれば特に制限するものではない。

上記実施態様においては、突起部４０は両凹部
３８にそれぞれ２個ずつ設けたが、本考案はこの
ような態様に限られるものではなく、上下それぞ
れ４個ずつまでならばその数は特に限定するもの
ではない。又、蓋部３２とケーシング部３５とに
１個ずつの設ける場合には、上下で対向する位置
に設けないようにすることが好ましい。すなわ
ち、１個ずつの場合はその位置をずらすことによ
つて、磁気テープカセツト２０の位置規制効果
（がた付き防止効果）を高めることができるもの
である。

（考案の効果） 以上述べたように、本考案の如く磁気テープカ
セツトのカセツト厚み増大部を受容する凹部が収
納ケースに設けられていることにより、収納ケー
スはその厚みが従来より小さくなり、さらに、薄
肉部分である凹部にキヤプスタンホールもしくは
リフアレンスホールに入り込む突起部を形成する
と共に、この突起部のケース外側の所にケース成
形時のゲートを位置させているので、成形時の樹
脂流動性がよくゲートに対向した部分に前記突起
部が存在することにより、この突起部を形成する
空間が射出樹脂の受け部分として作用して成形時
の樹脂流動性をよくできるだけでなく、成形時に
おいてゲート跡部分に残留応力が集中しても、ゲ
ート部分が前記突起部によつて厚肉化されてるた
めに、強度的にも高品質な収納ケースを提供で
き、又、突起部によつて磁気テープカセツトのケ
ース内でのがた付きを抑えることができるので、
カセツト保護効果の向上した収納ケースを提供す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施態様を示す斜視図、第
２図は第１図に示す収納ケースに磁気テープカセ
ツトを収納した状態を示す要部垂直断面図、第３
図は従来の収納ケースを示す斜視図である。 １，３……磁気テープカセツト収納ケース、
２，３２……蓋部、３，６，３３，３６……壁
部、４，３４……ポケツト、５，３５……ケーシ
ング部、７……回転防止突起、２０……磁気テー
プカセツト、２１……カセツト厚み増大部、２２
……リールシヤフト挿入孔、２３……キヤプスタ
ンホール、２４……リフアレンスホール、３８…
…凹部、４０……突起部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 磁気テープカセツトのカセツト厚み増大部を受
   容する凹部が蓋部及びケーシング部にポケツトと
   は反対側の所に対面するように設けられた磁気テ
   ープカセツト収納ケースであつて、前記凹部に前
   記磁気テープカセツトのキヤプスタンホールもし
   くはリフアレンスホールに入り込む突起部を設け
   ると共に、前記突起部の設けられたケース外面側
   に樹脂流入用のゲートが設けられたことを特徴と
   する磁気テープカセツト収納ケース。