JPH045383Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は自動車のチルトメーター装置に係り、
詳しくは、ステアリングホイールのチルト操作を
助勢する機構を有するチルトメーター装置に関す
るものである。これは、ステアリングホイールの
角度変更可能なステアリング装置の分野で利用さ
れる。

〔従来の技術〕

運転者の体型や着座姿勢に応じて、ステアリン
グホイールの上下位置を変更することができる機
構を自動車がある。例えば、実開昭52−156032号
公報には、そのような車におけるステアリング装
置に、ある種の改良を施した一例が記載されてい
る。

このような装置で、ステアリングホイールを運
転者の好みに応じてチルトさせると、インストル
メントパルスに取り付けられたメーター類やスイ
ツチ類とステアリングホイールとの相対位置が変
わることになる。その結果、運転者はメーター類
の一部がステアリングホイールの蔭になつて見え
にくくなつたり、スイツチ操作がやりにくくなる
場合がある。

そこで、メーター類とスイツチ類を一つのメー
ターユニツトにまとめ、ステアリングホイールの
チルトに連動してそのユニツトも傾動させる試み
が、ある種のスポーツカーで行われている。この
ようにすれば、ステアリングホイールの位置を運
転者の体型に応じて変更しても、メーターユニツ
トも傾動して上述の難点を解消することができ
る。

〔考案が解決しようとする課題〕 ところで、メーターユニツトは、ステアリング
シヤフトを介して、車体に固定されたステアリン
グ支持部材で支持されることになる。しかし、メ
ーターユニツトはかなりの重量があり、その安定
した支持とチルト時の円滑な傾動を確保すること
が容易でなく、その解決が望まれる。さらには、
メーターユニツトと一体化されているステアリン
グ装置をチルト操作するとき、とりわけ、チルト
アツプに大きい力が要求され、その操作力の軽減
も望まれる。

ところで、実開昭58−33327号公報には、ステ
アリングホイールをチルトさせると、それに応じ
て回動するリンク機構でもつて、メーターユニツ
トなどを傾動させるようにしたメーターの取付構
造が記載されている。

これは、車体に固定したブラケツトに長短のあ
る二本のリンクを枢支し、それらの他端をメータ
ーユニツトの側面に枢支させている。そして、一
方のリンクのブラケツト側の枢支部と他方のリン
クのメーターユニツト側の枢支部との間にスプリ
ングが掛けられ、他方のリンクに、そのブラケツ
ト側の枢支部を中心にして、常時上方側へ回動す
る力が働くようにして、メーターユニツトを上方
へ付勢させている。

このような構造においては、チルト操作の際
に、上記したスプリングが、ステアリングシヤフ
トにかかるメーターユニツトの重量負担を軽減す
ると共に、ステアリングハンドルのチルト操作力
を少なくすることができる。

しかし、メーターユニツトがリンク機構を介し
てブラケツトに枢支された状態にあり、しかも、
支持機構が上記した二本のリンクのみであること
から、重量の大きいメーターユニツトがぐらつい
たり移動が阻害されたりして、安定した支持と傾
動動作を確保されがたい欠点がある。加えて、メ
ーターユニツトを車体に固定したブラケツトに取
り付けているので、その支持構造が複雑化する問
題もある。

本考案は上述の問題に鑑みなされたもので、そ
の目的は、メーターユニツトの傾動をステアリン
グホイールのチルトに連動できるようにすると共
に、メーターユニツトの支持をより一層安定に
し、かつ、チルト時にメーターユニツトの円滑な
傾動を可能にし、さらには、ステアリングホイー
ルをチツトアツプする操作を助勢することができ
るようにして、その操作力の軽減が図られる自動
車のチルトメーター装置を提供することである。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は、メーターユニツトを連動して傾動さ
せるようになつているステアリング装置が、車体
に固定されたステアリング支持部材に、チルト機
構を介して設けられた自動車のチルトメーター装
置に適用される。

その特徴とするところは、第１図を参照して、
チルト機構４に設けられたメーターセツトブラケ
ツト１８と、ステアリング装置の上方に配置され
るメーターユニツト２とが、柱状部材２０を介し
て連結される。また、チルト操作によりメーター
ユニツト２を傾動させる際、柱状部材２０の動き
を案内するガイド部６が、メーターユニツト２と
チルト機構４との間に位置するステアリング支持
部材５に形成される。そして、メーターユニツト
２とステアリング支持部材５に設けたガイド部６
との間に位置する柱状部材２０の外周に、チルト
操作を助勢するスプリング部材７が外嵌されてい
ることである。

〔作用〕

運転者がステアリングホイールをチルトする場
合、所望の上または下方向にステアリングホイー
ルを動かす。そのステアリングホイールの動きに
伴つて、チルト機構４に設けられたメーターセツ
トブラケツト１８および柱状部材２０を介して、
メーターユニツト２が上下動する。その際、柱状
部材２０の動きが、ステアリング支持部材５に形
成したガイド部６によつて確実に案内され、メー
ターユニツト２がぐらついたり移動が阻害される
ことなく円滑に傾動される。

このようなチルト操作において、チツトアツプ
時はステアリング装置を持ち上げることになる
が、メーターユニツト２とステアリング支持部材
５のガイド部６との間に位置する柱状部材２０に
外嵌されたスプリング部材７が、メーターユニツ
ト２、チルト機構４やステアリング装置全体の重
量のかなりの部分を負担する。したがつて、チル
ト操作する者は、そのスプリング部材７が支持し
ない荷重分のみを支え上げればよい。その結果、
スプリング部材７が存在しない場合に比較すれ
ば、操作力は極めて少ないもので済む。

なお、スプリング部材７は、安定した姿勢にあ
る柱状部材２０によつて、その装着姿勢が維持さ
れ、スプリング部材７の組付性も向上する。この
ようにして、メーターユニツト２の傾動やその支
持も安定し、メーターユニツト２の取付性も高め
られる。

〔考案の効果〕

本考案によれば、メーターユニツトをステアリ
ング装置にのみ支持させており、メーターユニツ
トを安定して支持し、かつ、それが傾動する場合
の左右の振れやぐらつきがガイド部で矯正され、
柱状部材の移動も円滑化される。

また、メーターユニツトとステアリング支持部
材との間に位置する柱状部材にスプリング部材が
あり、そのスプリング部材が柱状部材に外嵌され
ており、スプリング部材の位置決めも簡単かつ正
確になされる。そして、そのスプリング部材によ
つて、ステアリングホイールをチルトするときの
操作力を助勢しまた軽減することができる。

〔実施例〕

以下に、本考案をその実施例に基づいて詳細に
説明する。

第１図は本考案の自動車のチルトメーター装置
の分解斜視図で、ステアリングシヤフト１に取り
付けられた図示しないステアリングホイールが、
前方のチルト支点を中心にして上下にチルトでき
るようになつている。このようなチルト操作可能
なステアリング装置には、ステアリングホイール
のチルト操作に連動して傾動するメーターユニツ
ト２が設けられている。

この、メーターユニツト２はメーター類などを
集めて収納しているものであり、一つのプラスチ
ツク製のカバー３で覆われている。メーターユニ
ツト２はチルト機構４に支持され、それがステア
リング装置を支持するステアリング支持部材５に
取り付けられている。

このステアリング支持部材５は、車体に固定し
て設けられているので、ステアリング装置やチル
ト機構４、さらにはメーターユニツト２の重量な
どを受けるに十分な強度を有している。そのよう
なステアリング支持部材５には、ステアリングホ
イールがチルト操作されるとき、メーターユニツ
ト２の傾動を案内するガイド部６が設けられてい
る。そして、メーターユニツト２とステアリング
支持部材５との間に、チルト操作を助勢するスプ
リング部材７が配置されている。

詳述すると、車体ボデイーの前面のカウル８に
ステアリング支持ブラケツト９が固着され、それ
がステアリングシヤフト１の方向に延設されてい
る。この例では、ステアリング振動を防止するた
めに、キヤブサイドボデイー１０にステアリング
フレーム１１が取り付けられ、悪路や高速時にス
テアリング振動が出るのを防止して、ステアリン
グの高速性能や悪路走破性を向上させることがで
きるようになつている。

これは、他端がフロア中央のトンネル部１２に
固定されていたり、車種によつては全幅に延びて
左右のサイドボデイーに固定されている場合もあ
る。いずれにしてもその形状は閉断面を形成する
など剛性の高いものが採用され、インストルメン
トパネル１３（第２図参照）の下にあつて、運転
者からは直接見えない位置に取り付けられる。

このようなステアリングフレーム１１には、そ
の中央の盛り上がつた個所に上述したステアリン
グ支持ブラケツト９の先端が重ねられている。

このステアリング支持ブラケツト９やステアリ
ングフレーム１１などのステアリング支持部材５
は、ステアリング装置におけるチルト機構４やメ
ーターユニツト２の重量を支持するものであり、
その下面には、第３図に示す例えば断面がほぼ逆
Ｕ型のステアリングチルトブラケツト１４が、ス
テアリングシヤフト１の外筒１ａを、上から跨ぐ
ように取り付けられる。

その外筒１ａのステアリングチルトブラケツト
１４に位置する個所には、そのステアリングチル
トブラケツト１４内を上下に摺動するスライダー
１５が固着され、そのスライダー１５をステアリ
ングチルトブラケツト１４に固定するためのチル
トレバー１６（第１図参照）が、スライダー１５
を左右に貫通して取り付けられている。

このチルトレバー１６はステアリングホイール
をチルト操作する前後にスライダー１５のロツク
を解除したり、ステアリングチルトブラケツト１
４にロツクするためのもので、図示の例では、チ
ルトレバー１６を回すことによりねじが進退し、
ステアリングチルトブラケツト１４にスライダー
１５を挟圧する力を発生させたり解除させること
ができるようになつている。

なお、ステアリングホイールがチルトすると、
スライダー１５がステアリングチルトブラケツト
１４内を上下動するので、そのステアリングチル
トブラケツト１４の側面には、チルトレバー１６
の軸がスライダー１５と共に移動することができ
る長穴１７が形成されている。

このようなチルト機構４のスライダー１５に
は、その下部にメーターセツトブラケツト１８，
１８が左右に張り出すように固着され、その先端
の座面部１９に柱状部材としてのメーターストラ
ツト２０が固着されている。すなわち、チルト機
構４に設けられたメーターセツトブラケツト１
８，１８と、ステアリング装置の上方に配置され
るメーターユニツト２とが、柱状部材２０，２０
を介して連結されている。

なお、ステアリングチルトブラケツト１４には
フランジ２１が取り付けられ、それに開口された
穴２２とステアリング支持ブラケツト９およびス
テアリングフレーム１１に設けられた穴２３を介
して、ボルト止めなどでチルト機構４が、ステア
リング支持部材５に強固に固定されるようになつ
ている。

そのようなステアリング支持部材５のうち、本
例ではステアリングフレーム１１にガイド部６を
形成するガイド穴２４が開口され、これに前述し
たメーターストラツト２０が挿通される。そし
て、そのメーターストラツト２０の上にメーター
ユニツト２の下面に設けられた取付座２５が載せ
られ、脚の長いボルト２６を介して、メーターセ
ツトブラケツト１８と一体化が図られている。

すなわち、メーターユニツト２とチルト機構４
との間に位置するステアリング支持部材５には、
チルト操作によりメーターユニツト２を傾動させ
る際、メーターストラツト２０の動きを案内する
ガイド部６が形成されているのである。したがつ
て、メーターユニツト２はスライダー１５のステ
アリングチルトブラケツト１４内での動きに応じ
て上下動することができる。

上述したメーターストラツト２０にはスプリン
グ部材７であるコイルスプリングが外嵌され、こ
のスプリング部材７が、メーターユニツト２のみ
ならず、ステアリング装置のうちのかなりの荷重
を分担支持している。これは、第３図からも分か
るように、メーターユニツト２の下面とステアリ
ングフレーム１１に設けたガイド部６との間に位
置するメーターストラツト２０の外周に配置さ
れ、チルト操作におけるチルトアツプおよびダウ
ンの際の操作力を助勢するように機能する。

このようにして取り付けられたメーターユニツ
ト２は、第２図に示すようにカバー３で覆われ、
運転者が確認したり操作するに必要な部分だけが
現れるように、見栄えよいデザインでまとめられ
ている。

以上の構成例によれば、まず、運転者がステア
リングホイールをチルトする場合、チルトレバー
１６を回して、ステアリングチルトブラケツト１
４内で固定されいるスライダー１５のロツクを外
す。その状態でステアリングホイールがチルト支
点を中心にしてチルト可能となるので、運転者が
所望の上または下方向へステアリングホイールを
動かす。

ステアリングホイールの動きによつて、ステア
リングシヤフト１に固着された第３図に示すスラ
イダー１５が、ステアリングチルトブラケツト１
４内を摺動する。スライダー１５の移動により、
第１図に示す左右に設けられたメーターストラツ
ト２０，２０を介してメーターユニツト２が上下
動する。その際、メーターストラツト２０の動き
が、ステアリングフレーム１１のガイド部６，６
によつて左右同等に案内され、メーターユニツト
２がぐらついたり移動が阻害されることなく円滑
に傾動される。

このようなチルト操作において、チルトアツプ
時はステアリング装置の自重に逆らう方向に持ち
上げることになる。しかし、スプリング部材７が
メーターユニツト２とメーターストラツト２０を
介したチルト機構４やステアリング装置全体の自
重のかなりの分を支持するように、そのコイルス
プリングの強度や弾発力などが設計されているの
で、チルト操作する者はそのスプリング部材７が
支持しきれない荷重のみを支え上げればよい。そ
の結果、スプリング部材７が存在しない場合に比
較すれば、操作力は極めて少ないもので済む。

所望の位置にチルトすると、チルトレバー１６
を回してスライダー１５をステアリングチルトブ
ラケツト１４にロツクする。このような状態にお
いても、メーターユニツト２の支持は左右同等に
なされ、しかも、車体に固着された特に横方向に
強固なステアリング支持部材５に固定されている
ので、その支持がより一層強固なものとなり、メ
ーターユニツト２の取り付けの安定性を高めるこ
とができる。

第４図は異なる実施例で、メーターユニツト２
を支持するステアリング支持部材５が、ステアリ
ング支持ブラケツト９のみである場合の例であ
る。

このステアリング支持ブラケツト９には、左右
に張り出したステアリング支持部２７があり、そ
れにメーターストラツト２０を挿通すると共に傾
動を案内するガイド穴２４が設けられている。し
たがつて、チルト機構４のステアリングチルトブ
ラケツト１４がステアリング支持部２７の下面に
固定され、スライダー１５に固着されたメーター
セツトブラケツト１８に、メーターストラツト２
０を介してメーターユニツト２が支持される。

この例においても、チルト操作によりメーター
ユニツト２を傾動させる際、メーターストラツト
２０の動きを案内するガイド部６が、メーターユ
ニツト２とチルト機構４との間に位置するステア
リング支持部材５に形成されており、メーターユ
ニツト２とステアリング支持部材５に設けられた
ガイド部６との間に位置するメーターストラツト
２０の外周に、チルト操作を助勢するスプリング
部材７が外嵌される。

したがつて、重量の大きいメーターユニツト２
を安定的に支持し、また、姿勢を保持して円滑に
傾動させることができ、かつ、スプリング部材７
によりチルト操作力が助勢される。

なお、上述したガイド部は、左右に設けられる
場合のほかに中央に設けられる場合でも、上述し
た機能を発揮させることができ、そこに設けられ
たスプリング部材によつて操作力を軽減すること
ができるのは、述べるまでもない。

以上の実施例の説明から分かるように、メータ
ユニツトをステアリング装置にのみ支持させてお
り、ステアリング装置を支持するステアリング支
持部材が車体に固定して設けられ、そのステアリ
ング支持部材に、ステアリングホイールのチルト
操作に連動して傾動するメーターユニツトの移動
を案内するガイド部を設けたので、メーターユニ
ツトを安定して支持することができると共に、メ
ーターユニツトが傾動する場合の左右の振れやぐ
らつきがガイド部によつてなくなり、メーターユ
ニツト２に連結されているメーターストラツト２
０移動が円滑化なものとなる。

また、メーターユニツトとステアリング支持部
材との間にチルト操作を助勢するスプリング部材
を配設し、それが、メーターユニツトとステアリ
ング支持部材との間に位置するメーターストラツ
トに外嵌されているので、スプリング部材の位置
決めがメーターストラツトによつて簡単かつ正確
になされ、加えて、そのスプリング部材によつ
て、メーターユニツトの重量の一部をステアリン
グ支持部材に預けることができ、その結果、ステ
アリングホイールをチルトするときの操作力を助
勢しまた軽減することができるようになる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の自動車のチルトメーター装置
の組立分解図、第２図は運転席の前方車内斜視
図、第３図はメーターユニツトの取付図、第４図
は異なる実施例における組立分解図である。 ２……メーターユニツト、４……チルト機構、
５……ステアリング支持部材、６……ガイド部、
７……スプリング部材、９……ステアリング支持
ブラケツト（ステアリング支持部材）、１１……
ステアリングフレーム（ステアリング支持部材）、
１８……メーターセツトブラケツト、２０……柱
状部材（メーターストラツト）、２４……ガイド
部（ガイド穴）、２７……ステアリング支持部
（ステアリング支持部材）。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 メーターユニツトを連動して傾動させるように
   なつているステアリング装置が、車体に固定され
   たステアリング支持部材に、チルト機構を介して
   設けられた自動車のチルトメーター装置におい
   て、 上記チルト機構に設けられたメーターセツトブ
   ラケツトと、上記ステアリング装置の上方に配置
   される前記メーターユニツトとが、柱状部材を介
   して連結され、 チルト操作により前記メーターユニツトを傾動
   させる際、上記柱状部材の動きを案内するガイド
   部が、前記メーターユニツトと前記チルト機構と
   の間に位置する前記ステアリング支持部材に形成
   され、 前記メーターユニツトとステアリング支持部材
   に設けられたガイド部との間に位置する前記柱状
   部材の外周に、チルト操作を助勢するスプリング
   部材が外嵌されていることを特徴とする自動車の
   チルトメーター装置。