JPH044903Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は自動車のクラスタースイツチカバーに
係り、詳しくは、スイツチクラスター部をメータ
ークラスター部より運転者寄りに配設した状態
で、両部間をカバー部材で覆つたクラスタースイ
ツチカバーに関するものである。これは、ステア
リングホイールの位置変更可能なステアリング装
置の分野で利用される。

〔従来の技術〕

運転者の体型や着座姿勢に応じて、ステアリン
グホイールの上下位置を変更することができる機
構を有する自動車がある。例えば、実開昭52−
156032号公報には、そのような車におけるステア
リング装置にある種の改良を施した一例が記載さ
れている。

このような装置で、ステアリングホイールを運
転車の好みに応じてチルトさせると、インストル
メントパネルに取り付けられたメーター類やスイ
ツチ類とステアリングホイールとの相対位置が変
わることになる。その結果、運転車はメーター類
の一部がステアリングホイールの蔭になつて見に
くくなつたり、スイツチ操作がやりにくくなる場
合がある。

〔考案が解決しようとする課題〕

そこで、メーター類とスイツチ類を一つのメー
ターユニツトにまとめ、ステアリングホイールの
チルトに連動してそのユニツトも傾動させる試み
が、ある種のスポーツカーで行われている。この
ようにすれば、ステアリングホイールの位置を運
転車の体型に応じて変更しても、メーターユニツ
トも傾動して、上述の難点をある程度解消するこ
とができる。

しかし、メーターとスイツチの前面が同一面上
にあつて、両者が運転車からほぼ等距離の遠い位
置となり、スイツチ操作にやりにくさが残る。そ
の操作性を上げるためにメーターユニツトを運転
者方向に移動させると、メーター類が接近して、
その視認性が損なわれる問題が生じ、その解決が
望まれる。

なお、メーター類やスイツチ類の配置によつて
は、メーターユニツトをカバーで覆うことにより
見栄えよくまとめたり、ステアリングホイールと
一体化されているメーター類やそのカバーによつ
て衝突時の衝撃力吸収が阻害されないようにして
おくことが必要となる場合がある。

本考案は上述の問題に鑑みなされたもので、そ
の目的は、メータークラスター部のメーター視認
性の向上と、スイツチクラスター部のスイツチ操
作性の改善を図つたメーターユニツトを、カバー
部材で見栄えよくまとめると共に、衝突時の衝撃
力の一部を吸収できるようにしたチルト操作可能
なステアリング装置におけるクラスタースイツチ
カバーを提供することである。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の自動車のクラスタースイツチカバーの
特徴とするところは、第１図を参照して、ステア
リングホイール２が、ステアリング支持ブラケツ
ト９により支持されたステアリングシヤフト１に
チルト操作可能に取り付けられ、メータークラス
ター部４Ａとスイツチクラスター部４Ｂとを有す
るメーターユニツト４が、ステアリングホイール
２のチルト操作に連動して傾動するように設けら
れている。

そして、スイツチクラスター部４Ｂは、ステア
リングシヤフト１の線上でメータークラスター部
４Ａよりステアリングホイール２寄りに配設さ
れ、その両クラスター部４Ａ，４Ｂの間〓が、メ
ータークラスター部４Ａを覆うカバー部材５Ａと
は別体のカバー部材５Ｂで覆われる。その別体の
カバー部材５Ｂは、衝突時にステアリング支持ブ
ラケツト９に当接するように設けられている。

〔考案の効果〕

本考案によれば、ステアリングホイールの位置
を運転者の体型や姿勢に応じて上下方向に変更す
ることができると共に、ステアリングホイールの
いずれのチルト位置においても、メーター類の視
認性が阻害されることなく、また、スイツチ類の
操作性が改善される。

両クラスター部の間〓が、メータークラスター
部を覆うカバー部材とは別体のカバー部材で覆わ
れているので、メーターユニツトを見栄えよくま
とめることができる。さらには、その両クラスタ
ー部の間〓を覆うカバー部材が、衝突時にステア
リング支持ブラケツトに当接するように設けられ
ているので、衝突時などの衝撃力の一部をカバー
部材の変形で吸収でき、メータークラスター部の
損傷を抑制することができる。

〔実施例〕

以下に、本考案をその実施例に基づいて詳細に
説明する。

第１図は、本考案の自動車のクラスタースイツ
チカバーを含むステアリング装置の断面図であ
る。そして、ステアリングシヤフト１に取り付け
られたステアリングホイール２が、チルト支点３
を中心にして上下にチルトできるようになつてい
る。

このようなチルト操作可能なステアリング装置
には、ステアリングホイール２のチルト操作に連
動して傾動するメーターユニツト４が設けられて
いる。このメーターユニツト４はメーター類のみ
を収納しているメータークラスター部４Ａと、ス
イツチ類を集めたスイツチクラスター部４Ｂを有
し、それらがプラスチツク製のカバー５で覆わ
れ、第２図のように、全体として見栄えよくまと
められている。

そのメータークラスター部４Ａは、車室前面に
設けられたインストルメントパネル６に形成され
た凹部７内で傾動するように配設され、スイツチ
クラスター部４Ｂは、ステアリングシヤフト１の
線上でメータークラスター部４Ａよりある距離を
隔てたステアリングホイール寄り、すなわち、運
転者寄りに配設されている。そして、両クラスタ
ー部４Ａ，４Ｂの間〓が、メータークラスター部
４Ａを覆うカバー部材５Ａとは別体のカバー部材
５Ｂで覆われている。

詳述すると、第１図に示すように車体のボデイ
インナパネル８にステアリング支持ブラケツト９
が固着され、それがステアリングホイール２方向
に延設されている。このステアリング支持ブラケ
ツト９はステアリング装置におけるチルト機構や
メーターユニツト４の重量を支持するものであ
り、その下面には、第３図に示すように例えば断
面がＵ型のステアリングチルトブラケツト１０
が、ステアリングシヤフト１の外筒１ａを、下か
ら受けるかのようにして取り付けられている。

外筒１ａのステアリングチルトブラケツト１０
に位置する個所には、そのステアリングチルトブ
ラケツト１０内を上下に摺動するスライダー１１
が取り付けられ、そのスライダーをステアリング
チルトブラケツト１０に固定するためのチルトレ
バー１２が、スライダー１１を左右に貫通して取
り付けられている。なお、ステアリングホイール
２がチルトすると、スライダー１１がステアリン
グチルトブラケツト１０内を上下動するので、そ
のステアリングチルトブラケツト１０の側面に
は、チルトレバー１２の軸がスライダー１１と共
に移動することができる長穴１３が設けられてい
る。

このようにしてチルト機構を支持するステアリ
ング支持ブラケツト９には、スライダー１１の上
部に固着されるメーターストラツト１４の挿通穴
１５が開口され、その上にメーターユニツト４の
メータークラスター部４Ａが取り付けられてい
る。一方、スイツチクラスター部４Ｂは、ステア
リングホイール２の近傍のステアリングシヤフト
１の外筒１ａに固着されたフランジ１６に、ボル
トなどで取り付けられる。

このようにして取り付けられた二つのクラスタ
ー部４Ａ，４Ｂは、それぞれカバー部材５Ａ，５
Ｂで覆われ、運転者が確認したり操作するに必要
な部分だけが現れるように、見栄えよくデザイン
されている。したがつて、ステアリングホイール
２がチルトされると、そのカバー５も傾動するの
はいうまでもないが、そのメータークラスター部
４Ａの辺りが、インストルメントパネル６に形成
された凹部７内で傾動することになる。

ところで、上述のカバー部材５Ｂは、他のカバ
ー部材５Ａよりも軟質かまたは肉厚の薄いプラス
チツク材で製作され、ステアリングシヤフト１の
軸方向に力が作用すると変形しやすいように配慮
されている。すなわち、カバー部材５Ｂはカバー
部材５Ａとは一体となつていないので、一体であ
る場合に比べてその剛性は低く、また、その材質
の選定もカバー部材５Ａでの要求を考慮すること
なく決定される。なお、本例ではカバー部材５Ｂ
は、メータークラスター部４Ａとの間〓を覆うだ
けではなく、スイツチクラスター部４Ｂの上下お
よび左右側面をも覆つている。そして、そのカバ
ー部材５Ｂは、衝突時にステアリング支持ブラケ
ツト９に当接するように配置されていて、それが
変形することにより衝撃の一部を吸収させるよう
に配慮されている。

このような構成の実施例によれば、まず、運転
者がステアリングホイール２をチルトする場合、
チルトレバー１２を回してステアリングチルトブ
ラケツト１０内で固定されているスライダー１１
のロツクを外す。その状態で、ステアリングホイ
ール２をチルト支点３を中心にしてチルトさせ、
所望の上または下方向にステアリングホイール２
を動かす。ステアリングホイール２の動きによつ
てステアリングシヤフト１に固着された第３図に
示したスライダー１１が、ステアリングチルトブ
ラケツト１０内を摺動する。

スライダー１１の移動により、第１図に示すよ
うにメーターストラツト１４を介してメーターク
ラスター部４Ａが、インストルメントパネル６の
凹部７内で上下動する。所望の位置にチルトする
と、チルトレバー１２を回してスライダー１１を
ステアリングチルトブラケツト１０にロツクす
る。このような操作により、ステアリングシヤフ
ト１の外筒１ａに固着されたフランジ１６を介し
て取り付けられたスイツチクラスター部４Ｂも傾
動する。

運転者はステアリングホイール２を自己の操作
に適した位置に変更できるだけでなく、メーター
ユニツト４も位置変えできる。メーターユニツト
４が傾動しても、メータークラスター部４Ａは依
然としてインストルメントパネル６とほぼ同一面
に位置する一方、スイツチクラスター部４Ｂはス
テアリングホイール２の近くに位置しているの
で、メーターの視認性は損なわれず、また、スイ
ツチの操作性も向上される。

なお、メータークラスター部４Ａを保護するカ
バー部材５Ａと、それに連続する滑らかな曲面を
有するカバー部材５Ｂとで、メータークラスター
部４Ａとスイツチクラスター部４Ｂおよびその間
〓が覆われ、メーターユニツト４はまとまつた外
観とされる。

ところで、ステアリング装置には、衝突や追突
事故時にステアリングホイールが運転者に及ぼす
衝撃力を緩和するために、ステアリングホイール
２自体の変形機能を与えると共に、ステアリング
シヤフト１の縮小機構が従来より採用されてい
る。しかし、ステアリングホイール２のチルトに
連動して傾動するメーターユニツト４が取り付け
られている場合には、ステアリングシヤフト１の
縮小に伴つてスイツチクラスター部４Ｂのみなら
ずメータークラスター部４Ａも移動しようとす
る。

しかし、メータークラスター部４Ａはインスト
ルメントパネル６の凹部７で傾動するために前方
側に変位する余裕がほとんどない。そこで、例え
ば、ステアリングシヤフト１の外筒１ａが、その
軸方向にスライダー１１と相対的に変位するよう
にしておくと共に、カバー部材５Ｂが、衝突時
に、車体に強固に取り付けられたステアリング支
持ブラケツト９に当接するように配置されている
と、メータークラスター部４Ａを定位置に維持し
たまま、ステアリングホイール２とクラスター部
４Ｂが、カバー部材５Ｂの変形により第４図のよ
うに移動する。したがつて、運転者に与える衝撃
力の一部が、ステアリングホイール２の変形とス
テアリングシヤフト１が縮小する際のカバー部材
４Ｂの変形で吸収される。

以上の説明から分かるように、メーターユニツ
トがステアリングホイールのチルト操作に連動し
て傾動するように設けられ、そのスイツチクラス
ター部が、ステアリングシヤフト線上でメーター
クラスター部よりステアリングホイール側に配設
されているので、ステアリングホイールの位置を
運転者の体型や姿勢に応じて上下方向に変更する
ことができると共に、ステアリングホイールのい
ずれのチルト位置においても、メーター類の視認
性が阻害されることなく、また、スイツチ類の操
作性が改善される。

さらに、両クラスター部の間〓が、メーターク
ラスター部を覆うカバー部材とは別体のカバー部
材で覆われているので、メーターユニツトを見栄
えよくまとめると共に、衝突時などの衝撃力の一
部をカバー部材の変形で吸収でき、メータークラ
スター部の損傷を抑制することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の自動車のクラスタースイツチ
カバーを含むステアリング装置の概略断面図、第
２図は運転席の前方車内斜視図、第３図は第１図
の−線矢視図、第４図はカバー部材の変形を
説明する断面図である。 １……ステアリングシヤフト、２……ステアリ
ングホイール、４……メーターユニツト、４Ａ…
…メータークラスター部、４Ｂ……スイツチクラ
スター部、５Ａ……カバー部材、５Ｂ……別体の
カバー部材、９……ステアリング支持ブラケツ
ト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ステアリングホイールが、ステアリング支持ブ
   ラケツトにより支持されたステアリングシヤフト
   にチルト操作可能に取り付けられ、 メータークラスター部とスイツチクラスター部
   とを有するメーターユニツトが、ステアリングホ
   イールのチルト操作に連動して傾動するように設
   けられ、 前記スイツチクラスター部は、ステアリングシ
   ヤフト線上で前記メータークラスター部よりステ
   アリングホイール寄りに配設され、その両クラス
   ター部の間〓が、メータークラスター部を覆うカ
   バー部材とは別体のカバー部材で覆われ、 該別体のカバー部材は、衝突時に上記ステアリ
   ング支持ブラケツトに当接するように設けられて
   いることを特徴とする自動車のクラスタースイツ
   チカバー。